Thursday, June 26, 2025

日本語の動詞活用、五段活用、上一段 / 下一段活用

 日本語の動詞活用には、ごく少数の変格活用を除いて、五段活用、上一段活用、下一段活用がある。五段活用が圧倒的に多い。五段活用も上一段 / 下一段活用も基本的には規則的である。

A. 五段活用 書 (か) く、読 (よ) む  

<書 (か) 、読 (よ) >が語幹になる。活用部は<く>がある<か行>、<む>がある<ま行>。すなわち

 <書 (か)>の後にに<か、き、く、け、こ>

<読 (よ) >の後にに<ま、み、む、め、も> 

つまりは

書か、書き、書く、書け、書こ

読ま、読み、読む、読め、読も

<書 (か) 、読 (よ) >の一音節だけでは何のことだかわからないが、日本人であれば

書か、書き、書く、書け、書こ

読ま、読み、読む、読め、読も

のニ音節の場合は、日本人であれば、これらの後にどのような言葉がくるか察しがつくのだ。

書かーない 否定。文法用語では未然形という。未然は<いまだしからず>で<まだxxない>。否定<xxない>と 未然<まだxxない>は違うが、未然形という。

書きーてー>書ーいて (音便) 、書きーます、書き始める。 文法用語では連用形という。連用は<用言に連なる>で、あとに用言がくるということだが、

<ます> は助動詞で用言と言えるが、<て>は助詞で、助詞は用言ではない。<書きー始める>の<始める>は動詞で用言。

書く  基本的には後に何も続かない。それで文法用語では終止形という。

書くーとき、ところ  文法用語では連体形という。連体は<体言に連なる>で、あとに体言 ( 名詞) がくる。

書けーば  文法用語では仮定形という。<書けば>は<もし>がなくても仮定を表す。

書こーう  それで文法用語では未来形または意思形という。

と思っていたが、 Wikiでは


五段活用の例

カ行五段活用「書く」の例

 ”

となっている。 <か、き、く、け、こ>の<こ>は第二の未然形となっている。これは<書こう>は昔<書かう>になっていたためのようで、歴史を背負っている。 <か、き、く、け、こ>の順番を考え、また<五段活用>の名からすると、すっきりしない。

文法用語は統一がとれていない。

未然形、終止形、仮定形、命令形は伝える内容、一方連用形、連体形は<用言>、<体言>の文法用語由来だ。

日本人であれば、普通は上記の語尾変化を無意識にほぼ間違いなく使えるようになってから<動詞活用>を学ぶ、というか確認する。語尾変化を学ぶというよりは、文法用語を学ぶのだ。語尾変化はしゃべり始めてから時間をかけて実践で学ぶのだ。間違えれば親が正すだろう。

1)未然形

未然形は大活躍する。

否定ー書かーない
受身ー書かーれる
使役ー書かーす、せる

一例をあげれば <取る>は

否定ー取らーない
受身ー取らーれる
使役ー取らーす
、せる 

2)連用形

連用形も大活躍する。主に他の動詞、助動詞、助詞をしたがえる。連用の<用>は<用言>の<用>だが<連 (つら) ね用 (用途)>とも言える。上で取り上げたが

書きてー>書いて(音便) 。書いてしまう。書いてみる。
書きます

Wiki 


助動詞 ます

  1. 動詞の連用形について丁寧さを示す助動詞。

 ”

その他

書きながら

連用形の重要な働きとして<複合動詞をつくる>がある。

書き終える
書き損じる
書き始める

一例をあげれば <走る>は

走りてー>走って(音便) 。走ってみる。
走ります

その他

走りながら

複合動詞

走りー終える
走りー始める
走りー去る 

3)終止形

名称に反して終止形の後につく言葉ある。

<と>、<から> 

五段活用では終止形と連体形が同じなので、終止形の後ににつく言葉の判断は難しい。後で見るが、上一段活用、下一段活用も終止形と連体形は同じだ。

終止形の後につく言葉 

終止形の後につく助動詞があるが、ここでは省略。 

4)連体形

基本的には後ろに体言 (名詞) を従える。 上述にように連体形は終止形と同じ。

書くーとき、ところ、もの
読むーとき、ところ、もの 

連体形に付く、助動詞、助詞がある。助詞では、上記の

[走る]のは → [静かな]のは… ⇒ 連体形
[走る]ので → [静かな]ので… ⇒ 連体形

連体形の後につく助動詞

ようだ

上のアンチョコチェック法では

[走る]ようだ → [静かな]ようだ… ⇒ 連体形

となる、だが<ようだ> は<様だ>で<様>は体言と言える。

5)仮定形

仮定というと、英語につられて

もしxxば  

が頭に浮かぶが、日本語では<もし>はいらない。 仮定形を使って

書けーば
読めーば
取れーば
走れーば 

でよく、簡潔だ。昔は仮定の助詞ともいえる<ば>は未然形についた。

書かーば
読まーば
取らーば
走らーば 

<急がば回れ>の<急がば>は古い言い方で、現代語であれば<<急げば回れ>だ。上の

書けーば
読めーば
取れーば
走れーば

は古い言い方では仮定形ではなく已然形。已然形は未然形と対応しており、未然形が<いまだ然らず>に対して、已然形は<すでに然り>。したがって、古語では

書けば ー すでに書いた (ので)
読めば ー すでに読んだ (ので)

の意になる。例

Wiki 

"

「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」、正岡子規俳句。中略。

季語(秋)。「法隆寺の茶店に憩ひて」と前書きがある。法隆寺に立ち寄った後、茶店で一服して柿を食べると、途端に法隆寺の鐘が鳴り、その響きに秋を感じた、というのが句意である。「くへば」は単に「食べていると」という事実を述べて下に続けているもので「鐘が鳴るなり」と因果関係があるわけではない。

"

<食べると>と<食べている>とでは意味が違う。 已然形の意とすると<食べると>が正しい。<(もし) 柿を食えば>ではない。古後での仮定は<柿くはば>となる。

6)命令形

命令形は<命令>という内容に即した名前だ。基本的に命令形はそれだけで完了し、後には何も続かない。

書け
読め
取れ
走れ

 

B. 上一段活用 

起きる、落ちる   <起き、落ち>が語幹になる。<起きる>、<落ちる>は自動詞。

未然形 ー 起きない
連用形 ー 起きて、起きます、起き上がる
終止形 ー 起きる
連体形 ー 起きるとき、起きる場所
仮定形 ー 起きれば
命令形 ー 起きろ

すべて<起き>+<xx>で、語幹の活用がない。上一段活用というのは、<起き>の<き>は<か、、く、け、こ>の<き>で、部の<き>の字とう意味だ。だが

終止形 ー 起きる
仮定形 ー 起きれば
命令形 ー 起きろ 

と <起きる>の<る>の部分が活用する。<る>の部分を

五段活用させると

未然形 ー 起きらない (ダメ)
連用形 ー 起きりて、起きります、起きり上がる (ダメ)
終止形 ー 起きる
連体形 ー 起きるとき、起きる場所
仮定形 ー 起きれば
命令形 ー 起きれ (ダメ)

で、ダメなのは未然形、連用形、未然形だ。<起きる>昔は<起く>でか行上二段活用活用。

起きーず (未然形)
起きーて
起く
起くるーとき
起くれーば  (已然形)
起きよ

<上段>というのは、活用で<か、、け、こ>の<>と<>がでてくるからだ。

古後では未然形が<仮定>を表したので<起きーば>が 仮定をあらわあす。だがこれは聞いたことがない。<落ちる<>、古語<落つ>も同様。<落つーば>が 仮定をあらわあすが、これは聞いたことがない。<起きよ>の<よ>は活用語尾というよりは命令に特化された<語尾>はまたは助詞のような感じだ。

歴史的には古語の上二段活用活用ー>現代口語の上一段活用活用だが、この変化はややこしそうだ。

さて、<起きる>、<落ちる>は自動詞だが対応する他動詞がある。

起きる ー> 起こす
落ちる ー> 落とす

<起こす>は<起こ>、<落とす>は<落と>が語幹で、活用部は<す>だ。活用はより汎用的な五段活用。

未然形 ー 起こさない、使役:起こさす、起こさせる、受身:起こされる(受身)

連用形 ー 起こして、起こします
終止形 ー 起こす
連体形 ー 起こすとき、起こす場所
仮定形 ー 起こせば
命令形 ー 起こせ

で問題ない 。

自動詞<落ちる>、他動詞<落とす>

落ちる

未然形 ー 落ちない
連用形 ー 落ちて、落ちます
終止形 ー 落ちる
連体形 ー 落ちるとき、落ちる場所
仮定形 ー 落ちれば
命令形 ー 落ちろ

落とす

未然形 ー 落とさない、落とさす、落とさせる、落とされる
連用形 ー 落として、落とします
終止形 ー 落とす
連体形 ー 落とすとき、落とす場所
仮定形 ー 落とせば
命令形 ー 落とせ

自動詞が上一段活用 、他動詞が五段活用というのは、理由がありそう。

B. 下一段活用 

寝 (ね)る、染める  <寝 (ね)、染め>が語幹になる

寝 (ね)る

未然形 ー 寝ない、寝かす
連用形 ー 寝て、寝ます、寝ころがる
終止形 ー 寝る
連体形 ー 寝るとき、寝る場所
仮定形 ー 寝れば
命令形 ー 寝ろ

すべて<寝 (ね)>+<xx>で、語幹の活用がない。

染める

未然形 ー 染めない、使役:染めさす、受身L染められる
連用形 ー 染めて、染めます、染め出す
終止形 ー 染める
連体形 ー 染めるとき、染める場所
仮定形 ー 染めれば
命令形 ー 染めろ 

すべて<染め>+<xx>で、語幹の活用がない。下一段活用というのは、<染め>の<め>は<ま、み、む、、も>の<め>で、下部の<め>の字とう意味だ。だが、これも

終止形 ー 染める
仮定形 ー 染めれば
命令形 ー 染めろ 

と <染める>の<る>の部分が活用する。<る>の部分を

五段活用させると

未然形 ー 染めらない (ダメ)
連用形 ー 染めりて、染めります、染めりだす (ダメ)
終止形 ー 染める
連体形 ー 染めるとき、染める場所
仮定形 ー 染めれば
命令形 ー 染めろ

でダメなのは未然形と連用形だけだ。<染める>昔は<染む>でま行下二段活用活用。

染めーず (未然形)
染めーて
染む
染むるーとき
染むれーば  (已然形)

染めよ

で、上記の古語<起く>の上二段活用活用に相応している。

これまた、歴史的には古語の下二段活用活用ー>現代口語の下一段活用活用だが、この変化はややこしそうだ。

さて<寝る>は自動詞、<染める>は他動詞だ。 <寝る>に対応す他動詞はないが、<染める>に対応する自動詞は<染まる>。<染まる>は<染ま>を語幹とし<る>の部分が五段活用する。

未然形 ー 染まらない
連用形 ー 染まりてー>染まって(音便)、染なります、染まりだす
終止形 ー 染まる
連体形 ー 染まるとき、染まる場所
仮定形 ー 染まれば
命令形 ー 染まれ

(染まろう)

 

sptt


No comments:

Post a Comment