<まるーめる>動詞についてはこれまで何度か挑戦している。基本的には
xxまる ― 自動詞
xxめる ― 他動詞
だ。
今回は<かる-ける>動詞に挑戦。基本的には<まるーめる>動詞と同じく
xxかる ― 自動詞
xxける ― 他動詞
だろう。古語<xxく>が自動詞<xxかる>、他動詞<xxける>に変わったと仮説できるが、チェックしてみる。
<かる-ける>の例
開く (あく) 開かる ー 開ける 戸が開かない (開く) 、戸が開からない (開かる)
(預 (あず) く) 預 (あず) かる ー 預ける
(受く) 受かる ― 受ける
少し前のポスト "ヘンテコな他動詞<受ける>、自動詞<受かる>" 参照
<xxに受かる>で<xxが受かる> とは言わない。
かかる - かける (虹がかかる、 橋が架かる - 橋を架ける)
<架かる、架ける>は漢語由来の当て字。
カネがかかる ー カネをかける この<かける、かかる>は<要 (い) る>の意。
大金を賭ける この<賭ける>も漢語由来の当て字。
命がかかる ー 命をかける この<かかる、かける>は<懸かる / ける>とも<賭かる / ける>ともなる。
漢字をつかうと、掛かる / ける、架かる / ける、懸かる / ける、賭かる / ける、駆ける、欠ける (欠けるはイントネーションが違う) があるが、<掛ける、架ける、懸ける>、さらには<賭ける>は基本的に同じような意味だ。
<かける>については、ひと昔前のポスト
かける, 掛ける、懸ける、 駆ける、賭ける、掻く、書く November 19, 2012 参照
ころがる (自動詞) ー ころげる (自動詞)
授 (さず) く 授かる ー 授ける
( 助く) 助かる ー 助ける
(つく 【漬く】) つかる (漬ける) ー 漬ける 建物の一部が水につかる、汚れ物を水につけておく、漬物がよくつかる、漬物をつける
つなぐ (繋ぐ) つながる ー つなげる
(遠ざく) 遠ざかる ー 遠ざける
(広ぐ) 広がる - 広げる
ぶつかる ー ぶつける (方言か)
(みつく 【見付く】) 見つかる - 見つける
(儲く、 まうく) もうかる (儲かる) - 儲ける
(分く) わかる - 分ける、
ところで、チェックしてみるとすぐわかるが、現代語の<xく>、<xxく>、<xぐ>、<xxぐ>動詞はかなり多い。とこらが、<かる-ける>、<がる-げる>とコンビ動詞なるのは少ない。上の例は例外といえる。さらに現代語や古語の<xく>が見つからないものがある。これはどうしたことか?
上記の例の古語、古語と思われる<xく>、<xぐ>、<xxく>、<xxぐ>は他動詞。末尾の<古語解説>参照。一方、上記の<xかる>、<xがる>、<xxかる>、<xxがる>は自動詞で、例外的な例とはいえ、統一がとれている。
抜き出してみると
開 (あ) かる、受かる、かかる、助かる、つかる (漬ける)、つながる、遠ざかる、ひしゃがる、広がる、ぶつかる、見つかる、もうかる (儲かる)、わかる
<預 (あず) かる>、<授 (さず) かる>は<xxを預かる>、<xxを授かる>で他動詞。これはおそらく授受関連動詞のためだろう。
これらの自動詞はいずれもやや特殊な言い方、というか、英語に比べて日本語的な言い方、表現だ。これはあとで見るが、<xxける>、<xxげる>とのペア対応がない<xxかる>、<xxがる>も同じようなことが言える。全般的に日本語野自動詞は特殊なのだ。
<xく>、<xぐ>
<xく>動詞
空 (あ) く (自動詞) 席が空く、部屋が空く (自動詞) 、席 / 部屋を空ける (他動詞)開 (あ) く (自動詞) ドアが開く まどを開ける (他動詞)
飽く (自動詞) 飽きる (自動詞)
(生く) 生ける (他動詞) 花を生ける
浮く (自動詞)
置く (他動詞)
書く (他動詞)
欠く (他動詞) 思慮を欠く、欠ける (自動詞) 知恵が欠ける
聞く (他動詞)
効く (自動詞) 薬が効く
割 (さ) く (他動詞) 割ける (自動詞)
(避く) (他動詞) 避ける (他動詞)
咲く (自動詞) 花が咲く
敷く (他動詞) 布団を敷く
透 (す) く 透ける (自動詞)
空 (す) く (自動詞) おなかがすく、電車が空く
漉 (す) く (他動詞) 紙を漉く
好く (他動詞)
急 (せ) く (自動詞) 気が急く
炊く(他動詞) 炊ける (自動詞) 御飯が炊ける
(たく) たかる (自動詞) ハエがたかる
着く (自動詞)
付く (自動詞) 付ける (他動詞)
就く (自動詞)
(浸く) 浸 (つ) かる (自動詞) ー 漬ける (他動詞)
突 (つ) く (他動詞)
解く(他動詞) 解ける (自動詞)
どく(自動詞) どける (他動詞)
泣く (自動詞) 赤ん坊が泣く、花子が泣く
抜く(他動詞) 抜ける (自動詞) 釘が抜ける
のく 退く (自動詞) のける (他動詞)
吐く(他動詞) 商品を吐く 吐ける (自動詞) 商品が吐ける
掃く (他動詞)
履く (他動詞)
引く (他動詞)
引く (自動詞) 潮が引く ひける (自動詞) 潮が引ける、仕事がひける
拭く (他動詞)
吹く(自動詞 / 他動詞) 風が吹く (自動詞) 、笛を吹く(他動詞)
巻く (自動詞 / 他動詞) 風が巻く、渦がまく (自動詞)、ネジを巻く (他動詞)、渦をまく (他動詞)
撒く (蒔く) (他動詞) 種を蒔く
(負く) 負ける (自動詞) A組が負ける。B組がA組に負ける
向く 向ける (他動詞) 銃を向ける
剥 (む) く (他動詞) 皮をむく、むける (自動詞) 皮がむける <皮がむける>は可能の意もある。
焼く (他動詞) 焼ける (自動詞)
(よく) よける (自動詞 / 他動詞) 横によける (自動詞)、車がよけて通る (自動詞)、車をよけて歩く (他動詞)
<横によける>は<わが身を横に動かしてよける>、<車がよけて通る>は<車が人をよけて通る>の簡易表現とすると、<よける>は他動詞になる。
湧く (自動詞) アイデアが湧く、水が湧き出る
沸く (自動詞) 湯が沸く
(分く) 分かる、わかる (自動詞) ― 分ける (他動詞)
1)なぜか自動詞、他動詞は拮抗している。
2)<xく>-<xかる> は少ない
(浸く) 浸 (つ) かる (自動詞)(分く) 分かる、わかる (自動詞)
3)<xく>-<xける> は比較的多い。
自動詞<xく> - 他動詞<xける>。<xける>は他動詞化のようにみえるが、以外と少ない。
空 (あ) く (自動詞) 席が空く、部屋が空く (自動詞) 、席 / 部屋を空ける (他動詞)
開 (あ) く (自動詞) ドアが開く (自動詞) まどを開ける (他動詞)
付く (自動詞) 付ける (他動詞)
どく(自動詞) どける (他動詞)
のく(自動詞) のける (他動詞)
4)他動詞<xく> - 自動詞<xける>
欠く (他動詞) 思慮を欠く、欠ける (自動詞) 知恵が欠ける割 (さ) く (他動詞) 割ける (自動詞)
炊く(他動詞) 炊ける (自動詞) 御飯が炊ける
抜く(他動詞) 抜ける (自動詞) 釘が抜ける
剥 (む) く (他動詞) 皮をむく、むける (自動詞) 皮がむける
焼く (他動詞) 焼ける (自動詞)
<割ける、炊ける、抜ける、むける、焼ける>は可能にもなる。これはややこしいが、<xける>、<xxける>全般にいえることで、注意、区別が必要。これは別のポスト
<xぐ>動詞
(上ぐ) (他動詞) 上がる (自動詞) ― 上げる (他動詞) 天ぷらが揚がる、天ぷらを揚げる
嗅ぐ (他動詞)
漕ぐ (他動詞)
(下ぐ) (他動詞) 下がる (自動詞) ― 下げる (他動詞)
削 (そ) ぐ (他動詞) 削 (そ) げる (自動詞)
継ぐ (他動詞)
研 (と) ぐ (他動詞)
遂 (と) ぐ (他動詞) 遂 (と) げる (他動詞) やりとげる
凪 (な) ぐ (自動詞)
脱ぐ (他動詞) 脱げる (自動詞)
剥 (は) ぐ (他動詞) ー 剥げる (自動詞) 頭がはげる
(曲ぐ) (他動詞) 曲がる (自動詞) ― 曲げる (他動詞)
もぐ (捥ぐ) (他動詞) もげる(自動詞) 取っ手がもげる、木の枝がもげる
1)<xぐ>は他動詞が多い
他動詞<xぐ> - 自動詞<xがる> - 他動詞<xげる>
(上ぐ) (他動詞) 上がる (自動詞) ― 上げる (他動詞)(下ぐ) (他動詞) 下がる (自動詞) ― 下げる (他動詞)
(曲ぐ) (他動詞) 曲がる (自動詞) ― 曲げる (他動詞)
2)他動詞<xぐ> - 自動詞<xげる>
削 (そ) ぐ (他動詞) 削 (そ) げる (自動詞)脱ぐ (他動詞) 脱げる (自動詞)
剥 (は) ぐ (他動詞) ー 剥げる (自動詞) 頭がはげる
もぐ (捥ぐ) (他動詞) もげる(自動詞) 取っ手がもげる、木の枝がもげる
3)他動詞<xぐ> - 他動詞<xげる>
告ぐ (他動詞) 告げる (他動詞)遂 (と) ぐ (他動詞) 遂 (と) げる (他動詞)
<xxく>、<xxぐ>
<xxく>動詞
あずく(預く) (他動詞) 預かる カネを預かる (他動詞) カネを預ける
あばく 暴く (他動詞)
あるく 歩く (自動詞)
うごく 動く (自動詞)
うごめく 蠢く (自動詞)
うずく 疼く (自動詞)
うめく 呻く
えがく 描く (他動詞)
おどろく 驚く (自動詞)
かしずく (自動詞) 殿にかしずく
かたむく 傾く (自動詞) 片向く 傾ける (他動詞)
かわく 乾く (自動詞)
築く (他動詞)
きらめく (自動詞)
くじく (他動詞) 足をくじく
くどく 口説く (他動詞)
くだく 砕く (他動詞) 砕ける (自動詞)
ささやく (自動詞)
さずく(授く) (他動詞) 授かる (自 / 他動詞) 子供が授かる、子供を授かる ー 授ける (他動詞)
さばく 裁く (他動詞) (さばける、さばけた人)
さばく 捌く (他動詞) さばける (自動詞) 商品がよく捌ける (売れる)
ざわめく (自動詞)
しごく (他動詞) 刀をしごく 生徒をしごく
しりぞく 退く (自動詞)
たたく 叩く (他動詞)
(つく 【漬く】) (自動詞) つかる (漬ける) (自動詞) ー 漬ける (他動詞)
つつく (他動詞)
つづく 続く (自動詞) 続ける (他動詞)
つぶやく (自動詞)
つまずく 躓く (自動詞)
(遠ざく) (他動詞) 遠ざかる (自動詞) ー 遠ざける (他動詞)
遠のく (自動詞)
ときめく 時めく (自動詞)
とどく 届く (自動詞) ー 届ける (他動詞)
とどろく 轟く (自動詞)
どよめく (自動詞)
なげく 嘆く (自動詞)
(なま) なまける (自動詞)
なびく 靡く (自動詞)
のぞく 除く (他動詞)
のぞく 覗く (他動詞)
はじく (他動詞) はじける (自動詞) 水がはじける、爆弾がはじける
はたく (他動詞)
はたらく 働く (自動詞)
はばたく 羽ばたく (自動詞)
はぶく 省く (他動詞)
ひしめく (自動詞)
ひびく 響く (自動詞)
ひらく 開く (他動詞)
(ふざく) ふざける (自動詞)
ふぶく 吹雪く (自動詞)
(ぼく) ぼける (自動詞)
ほざく (他動詞)
ほどく (他動詞) ほどける (自動詞)
みがく 磨く (他動詞)
(みつく 【見付く】) (他動詞) 見つかる (自動詞) - 見つける (他動詞)
(儲く まうく) (他動詞) もうかる (儲かる) (自動詞) - 儲ける (他動詞)
(設く まうく) (他動詞) 設ける (他動詞)
もがく (自動詞)
やぶく 破く (他動詞) ー 破ける (自動詞)
1)なぜか自動詞、他動詞は拮抗している。
2)<xxく>-<xxかる>-<xxける>
あずく(預く) (他動詞) 預かる (他動詞) 預ける (他動詞)さずく(授く) (他動詞) 授かる (自 / 他動詞) 授ける (他動詞)
(つく 【漬く】) (自動詞) つかる (漬ける) (自動詞) ー 漬ける (他動詞)
(遠ざく) (他動詞) 遠ざかる (自動詞) ー 遠ざける (他動詞)
(みつく 【見付く】) (他動詞) 見つかる (自動詞) - 見つける (他動詞)
(儲く まうく) (他動詞) もうかる (儲かる) (自動詞) - 儲ける (他動詞)
3)<xxく>-<xxける>
かたむく 傾く (自動詞) 片向く ー 傾ける (他動詞)くだく 砕く (他動詞) ー 砕ける (自動詞)
つづく 続く (自動詞) ー 続ける (他動詞)
とどく 届く (自動詞) ー 届ける (他動詞)
はじく (他動詞) ー はじける (自動詞)
ほどく (他動詞) ー ほどける (自動詞)
注)
あずかる (預かる) ー 預ける
<xxを預かる>で他動詞だが、<ご光栄にあずかる>という言い方がある。
言いつかる ー 言いつける
<言いつかる>も<部長職を言いつかる>、<母から買い物を言いつかる>で他動詞だが、<部長職に言いつかる>という言い方も可能か。
さずかる (授かる) ー 授ける
思いがけず、この年で子供がさずかった、この年で子供をさずかった
という言い方がある。
挿入
<xxめく>動詞
ところで<xxめく>は慣用動詞語尾ともいえる。おもしろい語が多い。
うごめく 動くきらめく キラキラ
ざわめく ザワザワ
さんざめく
ときめく
どよめく
はためく ハタハタ
ひしめく ヒシヒシ
ひらめく ヒラヒラ
ふるめく 古い
めくるめく 目くるめく クルクル
よろめく ヨロヨロ
<うめく 呻く>は<xxく>動詞
その他
春めく、秋めく
がある。
慣用<xxける>動詞
さらにところで<xxける>も慣用動詞語尾ともいえる言い方がある。これもおもしろい語が多い。そして<xxく>とは関係ないと言っていい。
あざける
おじける おじる
おどける
こける
ずるける ずるい 関連語<ずらかる>
とぼける 接頭辞<と>+<ぼける>
ねぼける <寝る、ねる>の<ね>+<ぼける>
ばける
ふける
ふざける
ふやける
ぼける
<xxぐ>動詞
あえぐ (自動詞)
あおぐ 仰ぐ (他動詞)
いそぐ 急ぐ (自動詞)
およぐ 泳ぐ (自動詞)
かしぐ (自動詞) かしげる (自動詞)
かせぐ 稼ぐ (他動詞)
かつぐ 担ぐ (他動詞)
くつろぐ (自動詞)
さわぐ 騒ぐ (自動詞)
しのぐ 凌ぐ (他動詞)
すすぐ 濯ぐ (他動詞)
そそぐ 注ぐ (自動詞)
そよぐ (自動詞) 風がそよぐ
たじろぐ (自動詞)
つむぐ 紡ぐ (他動詞)
とつぐ 嫁ぐ (自動詞)
はしゃぐ (自動詞)
はなやぐ (自動詞)
ひしぐ (自動詞)
ひしゃぐ ひしゃがる - ひしゃげる (へしゃぐ へしゃがる - へしゃげる 方言か)
(広ぐ) (他動詞) 広がる (自動詞) - 広げる (他動詞)
またぐ 跨ぐ (他動詞) またがる (自動詞)
みつぐ 貢ぐ (他動詞)
やわらぐ 和らぐ (自動詞)
ゆらぐ 揺らぐ (自動詞)
<xxがる>はやや特殊なまたは慣用的な使い方がある。
慣用的な<xxがる>動詞
けむたがる けむい、けむたい 煙 (けむり)いきがる 粋 (いき)
いやがる いやだ、いやな
<xxける>は他動詞っぽいが、自動詞もある。けっこうある。
<xxける>自動詞
明ける 夜が明ける - 夜を明かす
裂ける、割ける
透 (す) ける 透けて見える
炊ける 御飯が炊ける - 御飯を炊く
溶ける 氷が解ける、溶ける ー 顔料を水に溶く、溶かす
解ける 難問題が解ける ー 難問題を解く
化 (ば) ける ー 化かす (バカの語源か?)
ふける ふけて見える
負ける ― 負かす
焼ける 魚が焼ける - 焼く 魚がうまく焼けた。
<魚が焼ける>は可能の意もある。
花子は魚がうまく焼ける。 <花子は魚をうまく焼ける>はやや翻訳調。<花子は魚をうまく焼く>は問題ない。
<xxげる>自動詞
こげる 焦げる逃げる ― 逃がす(にがす、のがす)
はげる 頭がはげる ― 剥 (は) ぐ、剥がす
追記 一部重複
<xxく ー xxける>
向くー 向ける <西を向く>は<を>をとるが自動詞扱いのようだ。西に向いて、西に向かって。ただし、<西に向けて>とも言う。また<気が向く>の<向く>は明らかに自動詞。<顔を向ける>の<向ける>は他動詞。
そむくー そむける
<法律にそむく>で<そむく>は自動詞。<顔をそむける>で<そむける>は他動詞。だが<そむける>は<そむく>の可能にもなる。
少し前のポスト ”ヘンテコな動詞<そむく>、<そむける>” 参照。
<xxける>他動詞。自動詞なし。
避ける
<xxかる>自動詞。他動詞なし。
たかる ハエがたかるむずかる 赤ん坊がむずかる
<がる-げる>
<xxがる>自動詞。対応する他動詞なし。
すがる 恩にすがる、手すりにすがる
とがる 先がとがる (尖る)
<xxげる>には自動詞もある。
茂 (し) げるしょげる
脱げる ー 脱ぐ、脱がす
逃げる ― 逃がす(にがす、のがす)
はげる 頭がはげる ― 剥 (は) ぐ、剥がす
めげる
<xxげる>他動詞。対応する自動詞なし。
かかげる 掲げる、掲ぐ
告げる 告ぐ
遂 (と) げる
以上にように<かる-ける>、<がる-げる>動詞はややこしい。
末尾
古語解説
あ・ぐ 【上ぐ・挙ぐ】
活用{げ/げ/ぐ/ぐる/ぐれ/げよ}
①
上へやる。位置を高くする。
出典源氏物語 若紫
「簾(すだれ)少しあげて、花奉るめり」
[訳] (尼君は)すだれを少し上げて、(仏に)花をお供えしているようだ。
以下略
活用{げ/げ/ぐ/ぐる/ぐれ/げよ}
①
垂らす。つり下げる。
出典平家物語 二・大納言死去
「男は烏帽子(えぼし)もせず、女は髪もさげざりけり」
[訳] 男は烏帽子もかぶらず、女は髪を垂らしていなかった。
学研全訳古典辞典
と・ぐ 【遂ぐ】
他動詞ガ行下二段活用
活用{げ/げ/ぐ/ぐる/ぐれ/げよ}
なしとげる。
出典徒然草 五九
「去りがたく心にかからん事を本意(ほい)をとげずして」
[訳] 捨てにくく、気がかりなことの目的をなしとげないで
学研全訳古典辞典
あづ・く 【預く】
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
① 預ける。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「妻(め)の嫗(おうな)にあづけて養はす」
[訳] (かぐや姫を)妻である老女に預けて育てさせる。
② 縁づける。結婚させる。
出典源氏物語 夕顔
「娘をば、さるべき人にあづけて」
[訳] 娘をふさわしい男と結婚させて。
学研全訳古典辞典
う・く 【受く】
他動詞カ行下二段活用
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
① 受け止める。受け取る。
出典万葉集 一九六六
「風に散る花橘(はなたちばな)を袖(そで)にうけて」
[訳] 風に散る橘の花を袖に受け止めて。
② 聞き入れる。承知する。
出典竹取物語 貴公子たちの求婚
「『よきことなり』とうけつ」
[訳] (翁(おきな)は)「それはよいことだ」と承知した。
③ こうむる。授かる。身に受ける。
出典徒然草 一五五
「ただし、病(やまひ)をうけ、子産み、死ぬることのみ、機嫌をはからず」
[訳] ただし、病気にかかり、子を生み、死ぬことだけは時機に無関係である。
以下略
さずく〔さづく〕【授く】
読み方:さずく
[動カ下二]「さずける」の文語形さずく (授く) はネット古語辞典で出てこない。
学研全訳古典辞典
たすく 【助く・扶く・輔く】
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
① 助力する。補佐する。
出典源氏物語 桐壺
「朝廷(おほやけ)の固めとなりて、天(あめ)の下たすくる方にて見れば」
[訳] (源氏の人相は)朝廷の支えとなって、天下(の政治)を補佐する方であると見ると。
② 支える。
出典源氏物語 蓬生「左右の戸もみなよろぼひ倒れにければ、をのこどもたすけて」
[訳] 左右の戸もみなよろよろと倒れてしまったので、男たちが支えて。
③ 救う。
出典竹取物語 蓬莱の玉の枝
「旅の空に、たすけ給(たま)ふべき人もなきところに」
[訳] 旅の途上なので、救ってくださるような人もないところであるのに。◆「た」は手、「すく」は力を添える意。
学研全訳古典辞典
つ・く 【漬く】
活用{か/き/く/く/け/け}
水にひたる。水につかる。
出典万葉集 一三八一
「広瀬川袖(そで)つくばかり浅きをや」
[訳] あなたは、私の長い袖が水につかりそうに浅い広瀬川のように薄情なのに。
文語活用形辞書
遠ざく
読み方:とほざく
カ行下二段活用の動詞「遠ざく」の終止形。
「遠ざく」の口語形としては、カ行下一段活用の動詞「遠ざける」が対応する
<遠ざく>はネット古語辞典で出てこない。古語は聞きなれないが< とほそく 【遠退く】>
学研全訳古典辞典
とほそく 【遠退く】
活用{か/き/く/く/け/け}
遠く離れる。遠ざかる。出典万葉集 四二五八
「恋ふれば都いやとほそきぬ」
[訳] (去った人を)恋しく思っていると、都はいよいよ遠ざかってしまった
学研全訳古典辞典
ひろ・ぐ 【広ぐ】
活用{げ/げ/ぐ/ぐる/ぐれ/げよ}
① 広げる。
出典竹取物語 ふじの山
「薬の壺(つぼ)に御文(ふみ)添へ、参らす。ひろげて御覧じて」
[訳] 薬の壺に(かぐや姫の)お手紙を添えて(帝(みかど)に)献上する。(帝は)広げてご覧になって。
②(一族を)繁栄させる。▽「門(かど)ひろぐ」の形で用いる。
出典源氏物語 薄雲
「なほ、この門ひろげさせ給(たま)ひて」
[訳] やはり、この(源氏の)一族を繁栄させなさって。
学研全訳古典辞典
み-つ・く 【見付く】
活用{か/き/く/く/け/け}
見なれる。見てなじむ。
出典源氏物語 手習
「さだ過ぎたる尼額(あまびたひ)のみつかぬに」
[訳] 盛りをすぎた尼削(あまそ)ぎの額のなじんでいないのに。
二]自動詞カ行下二段活用
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
[一]に同じ。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「鳶(とび)烏(からす)も、不断、焼き印の大編み笠(がさ)をみつけて」
[訳] とびやからすも、ふだん焼き印入りの大編み笠を見なれて。
[三] 他動詞 カ行下二段活用
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
見つける。発見する。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「金(こがね)ある竹をみつくる事重なりぬ」
[訳] 金の入っている竹を見つけることが何回もあった。
学研全訳古典辞典
まう・く 【設く・儲く】
{語幹〈まう〉}
① 準備する。用意する。
出典平家物語 四・橋合戦
「杉の渡しより寄せんとてまうけたる舟どもを」
[訳] 杉の渡し場から攻めようとして用意していた舟々を。
② 作り構える。こしらえる。
出典源氏物語 若紫
「草の御蓆(むしろ)も、この坊にこそまうけ侍(はべ)るべけれ」
[訳] 旅の仮寝のお宿も、この僧坊に作り構えるべきでしょう。
出典大和物語 一四九
「妻(め)をまうけてけり」
[訳] 妻を持っていた。
④ 得をする。手に入れる。
出典徒然草 五三
「からき命まうけて、久しく病みゐたりけり
[訳] あやうい命を手に入れて(=助かって)、長い間病気で苦しんでいた。
⑤ かかる。
出典徒然草 一七五
「財(たから)を失ひ、病(やまひ)をまうく」
[訳] 財産を失い、病気にかかる。
学研全訳古典辞典
わ・く 【分く・別く】
活用{か/き/く/く/け/け}
① 区別する。分ける。
出典古今集 冬
「雪降れば木毎(きごと)に花ぞ咲きにけるいづれを梅とわきて折らまし」
[訳] ⇒ゆきふれば…。
② 判断する。理解する。
出典新古今集 雑上
「めぐり逢(あ)ひて見しやそれともわかぬ間まに雲隠れにし夜半(よは)の月影」
[訳] ⇒めぐりあひて…。
[二 ]他動詞 カ行下二段活用
{語幹〈わ〉}
① 区別する。分ける。
出典平家物語 二・阿古屋之松
「日本は、昔三十三か国にてありけるを、中ごろ六十六か国にわけられたんなり」
[訳] 日本は、昔三十三か国であったのを、そう遠くない昔六十六か国に分けられたそうだ。
② 押し分けて進む。切り開いて進む。
出典更級日記 竹芝寺
「野山、蘆(あし)荻(をぎ)のなかをわくるよりほかのことなくて」
[訳] 野や山を越え、蘆や荻の中を押し分けて進む以外のことはなくて。
③ 物を分ける。分配する。
出典源氏物語 葵
「ただ今は、ことざまにわくる御心もなくて」
[訳] 現在は、(紫の上以外の)ほかの女に分け与えるご愛情もない状態で。
sptt
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