<かもしれない>は常套句。英語の may の訳語としても定着している。頭の<かも>はあとで検討するとして、<知れない>とはどういう意味か? <知れない>は<知れる>の否定。<知れる>は主に決まり文句で使われ、単独、独立的、一般的にはあまり使われない。
それはたかが知れている。 <たか>は<高い>の<高>で、高さ、程度のこと。
花子と太郎は気ごころが知れた仲だ。
彼の名前は知れわたっている。
<知れる>は<知る>の受身形<知られる>と比べられるが、
以上は<知る>の受身形<知られる>で置き換えられない。
それは, 言わずとも、知られたことだ。(ダメ)それはたかが知られている。(ダメ)
花子と太郎は気ごころが知られた仲だ。(ダメ)
彼の名前は知られわたっている。 (ダメ)
<知れる>と<知られる>の違いは微妙だが、上の4例からは、
<知れる>の意味は<知られている>に近いが、現状の様態で経過は問わない。
一方、<知られる>の意味は、これも<知られている>に近く、現状の様態だが、経過が少しからんでいる感じがある。
さて、<知れない>は<知れる>の否定。
太郎がした悪事は数知れない。この勝利への花子の貢献はかり知れない。
次郎があんなバカなことをするとは (彼の) 気が知れない。
これらの例も<知られない>では置き換えられない。
太郎がした悪事は数知られない。(ダメ)この勝利への花子の貢献ははかり知られない。(ダメ)
次郎があんなバカなことをするとは気が知られない。 (ダメ)
<数知れない>、<はかり知れない>、<気が知れない>は常套句になっている。
はかり知れない ー はかることができないほど大きい
気が知れない ー 気持ち、意図がわからない。
上の3例からは、<知れない>は<できない>、<わからない>の意だ。
他にも
素性が知れない ー 素性がよくわからない
行方(ゆくえ) が知れない ー 行方がよくわからない
といった言い方がある。
以上から<かも知れない>の<知れない>は<知ることができない>、<わからない>の意と言っていいだろう。
さて<かも>だが、これは疑問をあらわす<か>+<も>。<も>のない
xxか知れない
という言い方ができないわけではない。
美代子はこの数学問題を解けるか知れない。
だが普通は
美代子はこの数学問題を解けるかも知れない。
と<かも>が使われる。 <も>は普通追加、添加、列挙の意の助詞とされるが、用途はもっと広い。
以前のポスト
<も>は大助詞 Jul 1, 2017
<キジも鳴かずば>の<も>について、<も>は大助詞-3 June 26, 2021
参照
<も>には<他にもある>を示唆する用法がある。<菊もかおる秋>
これは類推させる助詞とも言える。
sptt
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