Tuesday, October 6, 2015
自動詞の受身形と迷惑、被害、<たたる>
日本語の特徴の一つに<自動詞の受身形>というのがある。
1)旅行は雨に降られて楽しみが半減した。
2)太郎は皆の前で花子に泣かれて困り果てた。
3)まわりで子供たちに騒がれてテレビドラマに集中できない。
4)夫は妻に突然死なれて途方にくれた。
5)爺さん婆さんに毎朝早く起きられて閉口(へいこう)している。
以上は
1)<雨が降る>の<降る>は自動詞。
2)<花子が泣く>の<泣く>は自動詞。 <xxを泣く>という言い方があるが、<なく>は基本的に自動詞とみなす。
3)<子供たちが騒ぐ>の<騒ぐ>は自動詞。 これも<xxを騒ぐ>という言い方がある。
4)<妻が死ぬ>の<死ぬ>は自動詞。
5)<爺さん婆さんが起きる>の<起きる>は自動詞
後半部の意味内容
1)楽しみが半減した。
2)困り果てた。
3)集中できない。(集中できなくて困った)
4)途方にくれた。
5)閉口している
いずれもネガティブな内容。もう少し具体的には迷惑する(した)、被害を受ける(た)、といった迷惑、被害の感情表現だ。
1)旅行は雨に降られて楽しみが半減した。
これは
旅行は雨にたたられて楽しみが半減した。
という表現もある。<たたる>は他動詞のようだが<xxがyyにたたる>で自動詞。これまた自動詞の受身形だ。<たたる>はおもしろい動詞で、自動詞だが、意味的には<迷惑、被害をかける>、もっと一般的には因果動詞(xxさせる、xxの原因となる、英語の to make, to cause)のような意味があり他動詞っぽい。またなにか目に見えない力(ちから)がはたらいている(誰かが、何かがはたらかせている)ような感じだ。名詞(体言)は<たたり>で連用形の名詞(体言)化だ。
雨がたたって旅行は楽しみが半減した。(雨が原因で旅行は楽しみが半減した。)
という言い方もできる。だがこの場合も<たたる>は自動詞だ。
<たたる>以外では<わざわい>がある。<わざわう>という動詞はないようで<xxがわざわいする>となり、これまた自動詞だ。長すぎるためか<たたる>ほどは頻繁に使われていないようだ。
私の見るとこでは日本人、中国人は言語上は被害妄想民族で(韓国語は調べていないが、おそらく日本語に似ているだろう)、受身形を用いて<迷惑、被害>をかなり簡単に表現する。中国語の場合は<被害>の<被(bei)>を使い、元来<迷惑、被害>だが、英語の受身形の訳はこの<被(bei)>が使われ、迷惑、被害感がつきまとうようだ。
さらに検討予定。
sptt
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