前回のポスト " <動詞連用形+かける>の複合動詞 " に続いて
<動詞連用形+かかる>の複合動詞
をチェックしてみる。前回のポストで
”乗りかける 乗りかかった船
では
1)まだ乗り終えていないが (未完) 乗り始めている。
2)すでに乗り終えていて (完了) <乗り始める>ではない。
の二つの場合が考えられる。
<乗りかかった船>は慣用表現で、もとは<乗りかける>ではなく<乗りかかる>。<乗りかけた船>でも通じるが、慣用的に<乗りかかった船>という。
”と書いた。<動詞連用形+かかる>をザっと調べてみたが、<xxかける>でも<xxかる>でも、ほぼ同じような意味になるものがある。
xxと言いかけて、言うのをやめた。
xxと言いかかって(xxと言いかかったが)、やめた、
<かける>は他動詞、<かかる>は自動詞。
あえて違いを探せば
<xxと言いかけて>には意思が感じられるが、<xxと言いかかって>にはあまり意思が感じられず、自然のなりゆき的だ。一方<言う>は<xxと言う>で<と>を取るが、他動詞と見ていいだろう。明らかに他動詞になるのは
ウソを言う。
<xxかける>でも<xxかる>でも、ほぼ同じような意味になるもの。微妙な違いはある。
やりかける 仕事をやりかけたところに太郎が遊びに来た。
やりかかる 仕事をやりかかったところに太郎が遊びに来た。仕事がやりかかったところに太郎が遊びに来た。
仕事はやりかかったところで太郎が遊びに来た。
上の<やりかかる>は何かおかしい。この<やる>は<xxをやる>で他動詞。一方<かかる>は自動詞。<何かおかしい>のはこのためか?
<やる>は<する>の意だが、<しかける>、<しかかる>には慣用用法がある。
しかける
仕事をしかけたところに太郎が遊びに来た。
罠 (わな) をしかける。慣用用法
しかかる
<しかかり品 (仕掛品) >は未完成品。<しかけ品>というのはほとんど聞かないが<しかけ中の製品>だ。これも<しかかり中の製品>と言いそう。<する>は<xxをする>で他動詞だが自動詞の<かかる>と相性がいいようだ。あるいは<しかける>が別の意味を持つためか。
機械を止めかけた時に、また仕事が入ってきた。
止める 他動詞、かける 他動詞
燃料切れで機械が止まりかかる
止まる 自動詞、かかる 自動詞
だが
機械を止め (他動詞) かかった (自動詞) 時に、また仕事が入ってきた。
燃料切れで機械が止まり (自動詞) かける (他動詞)
でも問題なさそう。
古い家が倒れかけている
古い家が倒れかかっている
病気の老人が死にかけている
病気の老人が死にかかっている
以上の例もほぼ同じような意味になる。
仕事を終えかける仕事が終わりかける
は普通の言い方だが
仕事を終わりかける
仕事が終えかける
でも間違いではないだろう。個人差があるか。
忘れかける
忘れかかる
そのことは忘れかかっていた。
もほぼ同じような意味になる。微妙な違いを探せば。
そのことは忘れかけていた。
は話者の意識が感じられる。一方
そのことは忘れかかっていた。
は話者の意識というよりは<思い出し>の感じ、あるいは自然のなりゆき的、さらには<自動詞的>だ。
<忘れる>は<xxを忘れる>で他動詞。上記の例は、意識的に<は>を使っているが、この<は>を<を>に変えてみる。
そのことを忘れかけていた。
そのことを忘れかかっていた。
一番目はまあいいが、二番目の
そのことを忘れかかっていた。
は変な日本語だ。 <忘れる>他動詞と<かかる>自動詞の組み合わせが悪いのか。
今度は<は>を<が>に変えてみる。
そのことが忘れかけていた。
そのことが忘れかかっていた。
今度は一番目が<変な日本語>で、二番目も<変な日本語>だが、なんとかなるか。<忘れる>は他動詞だが
そのことが xxかかっている
という<自動詞的>な意識が残っているためか。
以上はかなり微妙なところがあるが、文法的にはおもしろくもある。
取りかかる 慣用表現
取りかける
は
何かをし始めて、まだ終わっていない状態
だが<取りかかる>は
何かをし始めて、まだ終わっていない状態
であるが、<始める>に重点があり<まだ終わっていない状態>はほとんど意識されていない。
衰退、消滅の動詞 自動詞 + かかる
取れかかる 取れる 自動詞 <取りかかる>は慣用表現だが<取れかかる>は違う。
くずれかかる <くずれかける>も可。
死にかかる <死にかける>も可。
溺れ (おぼれ) かかる <溺れかける>も可。
消えかかる <消えかける>も可。 火が消えかかる、火が消えかける
なくなりかかる <なくなりかける>も可。
はげかかる <はげかける>も可。 ペンキがはげかかる、ペンキがはげかける
倒れかかる <倒れかける>も可。 古い木が倒れかかっている、古い木が倒れかけている
以上はほぼ同じような意味になる。
終わりかかる / 終わりかける
少し違うようだ。普通は<終わりかける>。<終わる>は自動詞だが他動詞<かける>と相性がいいようだ。
寿命が終わりかかる
寿命が終わりかける
<が>を<は>に変えてみる。
寿命は終わりかかっている
寿命は終わりかけている
ほぼ同じような意味だが、<寿命は終わりかかっている>は臨場感がある。だが個人差があるか。
前回のポスト " <動詞連用形+かける>の複合動詞 " で Wki <かける>の解説を引用したが<かかる>の解説もあるので、末尾にコピー、ペイストしておく。意味は相当多岐にわたっているが、複合動詞の構成要素としての<かかる>説明はない。
もたれかかる
よりかかかる
の<かかる>相当の<かかる>の単独動詞としての説明が見当たらない。
<かける>では
はしごを壁に立てかけてのぼる。
とう言い方ができる。
Wikiの説明の2番目に
2. 上からかぶせるように置かれる。#布などが被せられる。一部または全体が覆われる。
- 寝た子に毛布がかかる。
説明はまぜか他動詞<置く、被せる、覆う>の受身形が使われている。
寝た子に毛布がかかる。
<かかる>は自動詞だが、他動詞の<かける>で置き換えると
寝た子に毛布をかける。
<毛布がかかる>に似た言い方には
落ちかかる 落ち葉が道路に落ちかかる
降りかかる 雪は頭や服に降りかかる振りかかる 雪の上に刀が振りかかる
漢字で書くと違いがあるが、耳で聞けば、大した差はない。
五番目に
5 浴(あ)びせられる。
熱湯がかかる。
があるが2番目と同じような意味だ。
末尾
Wiki
- (ものが高い場所などに)取り付けられる。
- 壁に時計がかかる。
- 上からかぶせるように置かれる。#布などが被せられる。一部または全体が覆われる。
- 寝た子に毛布がかかる。
- (架かる)両端を固定して中央は浮かせた状態になる。
- 橋が架かる。
- 期間などの一部が重なる。
- 浴びせられる。
- 熱湯がかかる。
- 機械が使用される。再生される。
- 掃除機がかかる。エンジンがかかる。電話がかかる。音楽がかかる。
- 影響を受ける。
- (当然に)消費される。転じて、必要となる。
- 子供の教育には手間がかかる。
- そこに行くまで、3時間はかかる。
- そこに行くのに、10000円はかかる。
- 課せられる。
- 税金がかかる。
- 議題に上がる。
- この件については次の会議にかかる予定だ。
- 焦点となる。その結果次第である。依存する。
- 優勝がかかった試合。
- 支払いが約束されている。
- 多額の賞金がかかっている。
- (数学)乗じられる。
- 6には2がかかっている。
- (文法)修飾する。
- 交配される。
- 馬にロバがかかるとラバが生まれる。
- 色がまじる。
- 黄色がかかった緑。
- 医師に診察してもらう。通院する。
- 着手する。
- 仕事にかかる。
- 攻める。
- かかってこい。
- 関連する。関係する。
- 特許出願に係る発明
- (補助動詞)きめこむ。そのような態度を取る。
- 決めてかかる。なめてかかる。疑ってかかる。