Sunday, May 12, 2019

<急ぐ>は自動詞、他動詞?


日本語の<急ぐ>は、手もとの辞書では自動詞となっている。<に急ぐ>。例が少ないが<死に急ぐ>があげらている。例をさがせば

学校に急ぐ
病院に急ぐ

これらは言い換えると

学校に急いで行く
病院に急いで行く、駆(か)けつける。

の意だ。自動詞でいいだろ。しかし、この辞書にのっている例は

結論を急ぐ
検討を急ぐ
ことを急ぐ

があげられている。<を>をとるので他動詞ではないのか?この説明はこの辞書にはない。これまた<急いで>を使って

結論を急いで出す
検討を急いでする

と言い換えられ、この方がよく使われるだろう。つまりは動詞<急ぐ>はあまり使われず<急いで>という副詞用法が一般的だ。

ことを急ぐ - これは慣用的な言い方だ。しいて<急いで>を使えば<ことを急いでする>となる。

<急ぐ>は自動詞、他動詞、はたまた自他兼用動詞?

使役的な他動詞として<急がす>、<急がせる>がある。だがいくつかの言い方がある。

太郎を病院に急がさす。
太郎を病院に急がせる。
太郎を急がせて病院に行かす。 (これが一般的だ)

花子に結論を急がす。
花子に結論を急がせる。
花子に結論を出すよう急がす。
花子に結論を出すよう急がせる。
結論を出すよう花子を急がせる。
花子を急がせて結論を出さす。-これが一般的な言い方か?<急がせる、検討させる>で使役形が二度出てくる。

次郎に検討を急がす。
次郎に検討を急がせる。
次郎を急がせて検討させる。 - これまた<急がせる、検討させる>で使役形が二度出てくる。これは一種の文法パターンだろう。これまたこの言い方が一般的か?
他動詞的な<急ぐ>と使役的他動詞の<急がす>、<急がせる>はどこが違う。

結論を急ぐ (結論を急いで出す)
検討を急ぐ (検討を急いでする)

と使役でない場合は<誰が急ぐ>のか?使役ではないので第二者(話しての相手)、第三者ではなく、第一者(話し手)のようだが、

私は結論を急ぐ。
君は結論を急ぐ。
太郎は結論を急ぐ。
我々は結論を急ぐ。
君たちは結論を急ぐ。
太郎たちは結論を急ぐ。

英文法書の下手な日本語訳のようだが、間違いではない。少し言い換えて

私は結論を急いでいる。
君は結論を急ぐ必要がある。君は結論を急ぐべきだ。君は結論を急いだほうがいい。
太郎は結論を急いでいる。太郎は結論を急いでいるわけではない。
我々は結論を急いでいる。
君たちは結論を急ぐ必要がある。君たちは結論を急ぐべきだ。君たちは結論を急いだほうがいい。
太郎たちは結論を急いでいる。太郎たちは結論を急いでいるわけではない。

とすると日常会話に近い。しかも使役ではないが<を>をとる他動詞のようだ。これはどう説明したらいいのか?

これらは見方を変えると

急ぐ <- 自分自身を急がす

と解釈したらどうか? 順序を変えると

自分自身を急がす(急がせる) -> 急ぐ

この場合<急がす(急がせる)>は使役でもいいし、もっと一般的な他動詞でもいい。そして、ここが肝心なのだが、<急ぐ>は自動詞となる。なぜなら<急ぐ>は<自分自身から発生している>行動だからだ。この見方は<急ぐ>に限らず他の自動詞だか他動詞だかよくわからない動詞にも応用できそう。

だがこの説明は<急ぐ>が自動詞説明としてはまあいいが、なぜ<を>をとる自動詞なのかの説明にならない。話は別でわけて考えておく必要がある。さらにだが、この疑問への回答はすでに上にある。つまり

結論を急ぐ
検討を急ぐ



結論を急いで出す
検討を急いでする

の<省略>と見るのだ。 <省略>はゴマカシのように見えるが、そうではない。

Do you get up early in the morning everyday?

-Yes I do.

と省略され、これで十分なのだ。はたまただが、これは話が違いゴマカシのようだ。はたまたまただが、英語では次のようにいう。

he hurried his lunch   
ランチを急ぐ -> 急いでランチを食べる。
to hurry back/home
家路を急ぐ -> 急いで家に帰る。
to hurry in/out
入(はい)るのをを急ぐ/出るのを急ぐ -> 急いで中に入(はい)る、急いで外に出る

最近の別のポスト<イタリア語の再帰動詞-3 (自動詞、他動詞)>参照。

以上とは別に

家路(いえじ)を急ぐ。

というのがある。これは

 家路を急いで帰る、戻る、行く。

と言い換えられ、これは

 家路を帰る、戻る、行く。

で<を>をとる移動動詞として説明できるだろう。だが<省略法>は同じだ。

sptt

Saturday, May 11, 2019

イタリア語の再帰動詞-4(自動詞、他動詞)


前回のポスト ”イタリア語の再帰動詞-3(自動詞、他動詞)” が長くなってきたので、続きは独立させることにした。イタリア語の再帰動詞の検討の結論の一つは前回のポストの最後に書いた。重要なの繰り返しておく。


to hurry の自動詞用法が to hurry oneself の意になる。見方を変えると他動詞 to hurry を使った to hurry oneself が自動詞の to hurry になるということだ。つまりは英語では表面上 to hurry が自動詞にも他動詞にもなるということなのだ。これは英語の大きな特徴で実際には to hurry oneself  はほとんど使われず(myself, yourself, himself, herself, themselves は長すぎる)to hurry で間に合わせている、済ませている。一方イタリア語は他動詞+si (mi, ti, si, ci, vi) の再帰用法で英語の自動詞に対応させている。日本語はどうか?答えは、日本語では他動詞/自動詞ペアで対応しているといえる。

以前に

1)英語ではなぜ自他兼用動詞が多いのか?
2)日本語ではなぜ他動詞/自動詞ペアが多いのか?

という疑問をなげかていたが、これが答えになるだろう。あるいは

 3)イタリア語ではなぜ再帰用法動詞が多いのか?

という疑問に対する答えにもなるわけだ。 



これは動詞 to hurry に限ったことではない。イタリア語の再帰動詞の検討の結論(イタリア語の再帰動詞用法の特徴)の一つで他にもイタリア語の再帰動詞用法の特徴があるはずだ。もう少し例を検討してみる。

Italian Grammar Drills (Paola Manni - Tate 著)という初級イタリア語文法(練習)書がある。その Chapter 10 は Reflexive Verbs で、次のような解説がある。

Reflexive verbs express an action reflecting back to the subject. In other words, the subject and the object  are the same within a sentence. Many verbs that are reflective in English are also reflective in Italian, but not all reflective in both languages.

この解説は間違いではないだろうが、いかにも簡単すぎる。こと(イタリア語の再帰動詞)はそう簡単ではない。この解説に続いて再帰動詞の例が英語訳つきで紹介されている。イタリア語の再帰動詞の検討には例が多い方がいいので、前回のポストの例に加える意味で、その個所をコピーしておく。

abituarsi   -   to get used to
addormentarsi  -   to fall asleep
alzarsi   -  to get oneself up
ammalarsi   -   to get sick
annoiarsi   -   to get bored
chiamarsi  -  to call oneself
dimenticalsi   -   to forget
divertirsi   -   to have fun
domandarsi   -  to wonder
farsi la barba   -   to shave
farsi il bagno   -   to take a bath
fermarsi   -   to stop oneself
girarsi   -   to turn oneself
lamentarsi   -  to complain
lavarsi   -  to wash oneself
meravigliasi   -  to be ashameed
mettersi   -   to put on, wear
mettersi a   -   to begin
prepararsi   -   to get ready
presentarsi   -   to introduce oneself
ricordarsi   -   to remember
riposarsi  -  to rest
sedersi   -   to sit down
sposarsi  -  to get married
svegliarsi   -   to wake up
vergognarsi   -  to be ashamed
vestirsi   -   to get dressed

以上はこれまたabc順で、特に区分け、分類はない。

前回のポストで取り上げた例(Collins の伊英辞典の巻末あるに再帰用法動詞の項の中の例)と重なるものが少なくない。

addormentarsi   to go to sleep
alzarsi   to get up
annoiarsi   to to get bored / be bored
chiamarsi   to be called
(chiedersi  to wonder) - これは英語の to wonder が同じ。上ではdomandarsi   -  to wonder。
divertirsi   to to enjoy oneself / to have fun
fermarsi   to stop
lavarsi   to wash / to get washed
prepararsi   to get ready
ricordarsi   to remember
sedersi   to sit
svegliarsi   to wake up
vestirsi   to dress / to get dressed

重なっているということは再帰動詞の<例中の例>、代表的、典型的な例かもしれないので、これら例を個々に少し詳しく調べてみることにする。幸い前回個々に検討した例は<fermarsi   to stop>だけだ。




Tuesday, April 30, 2019

イタリア語の再帰動詞-3 (自動詞、他動詞)

<イタリア語の再帰動詞>の第3弾。実際に辞書にあたってみると再帰動詞用法というのが頻繁にでてくる。一般動詞用法(非再帰動詞用法)が先に出てきて、続いて再帰動詞用法が出てくる。英語には再帰動詞用がないといってもいいいので、イタリア語の再帰用法動詞の英語訳は<よくわからない>のが多い、と言うか一般動詞用法と同じ訳ですましているのが多い。不親切ともいえるが、おそらく再帰の意味をあらわそうとするとわずらわしくなるためだろう。いわば意訳になっているのだ。イタリア語では再帰動詞用法として辞書にあるのだけが再帰動詞用法ではない。辞書になくとも再帰で使われる動詞は少なくないといえる。文法は、実際に使われている言葉の中の法則を見つけること、と言えるので以下具体例を検討してみる。これは長くなりそう。

1. イタリア語の再帰用法動詞の英語訳

Collins の伊英辞典の巻末にイタリア語文法の解説があり、その中に再帰用法動詞の項がある。

accomodarsi    to sit down / take a seat
addormentarsi   to go to sleep
alzarsi   to get up
annoiarsi   to to get bored / be bored
arrabiarsi   to get angry
cambarsi   to get changed
chiamarsi   to be called
chiedersi  to wonder
divertirsi   to to enjoy oneself / to have fun
darsi male   to hurt oneself
fermarsi   to stop
lavarsi   to wash / to get washed
perdersi   to to get lost
pettinarsi   to to comb ones hair
preoccuparsi   to worry
prepararsi   to get ready
ricordarsi   to remember
sbrigarsi   to hurry
sedersi   to sit
svegliarsi   to wake up
vestirsi   to dress / to get dressed

以上はabc順で、特に区分け、分類はない。<英語訳は<よくわからない>のが多い例としては

cambiarsi   to get changed
chiedersi  to wonder
darsi male   to hurt oneself
fermarsi   to stop
preoccuparsi   to worry
sbrigarsi   to hurry

など(他にもある)。

cambiarsi   to get changed

cambiarsi は文字通りでは<自分自身を変える>で、おそらくこのような意味もあるのではないかと思うが、例文(Reverso Context) はなぜかほとんど<(服を)着替(が)える>になっている。

Signor Waterman, ha dimenticato di cambiarsi il costume.
Mr. Waterman, you forgot to change your costume.


Può cambiarsi nel camerino degli uomini.
You can get changed in the men's room.

Ha detto che andava a casa a cambiarsi.
She said she was going home to get chang

一番目は il costume があるが、あとの二つは具体的なものが出てこない。一番目は


cambiarsi le scarpe (靴)の例があるが、自分の靴でも si のないcambiare le scarpe という例文(Reverso Context)もある。

Non devi cambiare le scarpe,
You don't have to change your shoes

le scarpe your shoes となっているが、You don't have to change your shoes を伊訳した場合はどうなるのか。

Non ti devi cambiare le scarpe,
Non devi cambiareti le scarpe, 

と再帰用法にしても間違いではないだろう。 

chiedersi  to wonder 

chiedersi は文字通りでは<自分自身に問う>だが to wander (what, who, how) の構文に対応する。
 

Non c'è nulla da chiedersi,
There's nothing to wonder about.

Quei soldati ora cominciano a chiedersi per quanto tempo dovranno restare.
Those soldiers are only now beginning to wonder how long they'll end up staying.


A questo punto, bisogna anche chiedersi chi è rimasto.
At this point, you got to wonder who's even left.

だが to wander if / whether 相応の例文がみあたらない。chiedersi と to wonder は語感的には相当違う。逆に to wonder if を英伊辞典(Reveso Contex)で例文を調べてみると

Started to wonder if you were still interested.
(È un po' che non avevo tue notizie, ) iniziavo a chiedermi se fossi ancora interessato.

Then I began to wonder if I was cursed or perhaps blessed.
Poi iniziai a chiedermi se fossi maledetto o... piuttosto benedetto.

I'm beginning to wonder if they care.
Inizio a chiedermi se gli interessi.

などがあるが、どういうわけか iniziare a chedersi se の例文が多い。そして
iniziare a chedersi se ではすべての例文が一人称の chiedermi se となっている。おもしろいがここではこれ以上は調べない。

darsi male   to hurt oneself 

darsi male にはよく出くわす。

Nessuno vuole farsi male
None of us wants to get hurt.

Ho paura che qualcuno possa farsi male.
(Because) I'm afraid that someone could get hurt.

Ho paura che qualcuno possa mi fare (del) male.

とすると意味が違ってくる。

一般的には far (del) male a qn だ。

Io volevo fare male a Monica, non a Corinne.
I wanted to hurt Monica, not Corinne.


Non devi fare male alla mia mamma.
You mustn't hurt my mama.

Non mi fare del male, Callisto.

Just don't hurt me, Callisto.


Non voglio fare del male a degli innocenti, ma non mettetemi alla prova.
I mean no harm to these innocents, but do not put me to the test.

したがって、とり立てて再帰用方に特化しているということではない。ところで、日本語を見てみると 

darsi male  自分自身を傷(きず)つける

だが<(自分自身が)傷つく >という自動詞表現がある。英語では to get hurt と<(自分自身が)傷つけられる>で他動詞の受け身表現だ。だが少し、あるいはよく考えると、

私は傷つく。
は傷つくだろう。
私は傷ついた。

とはあまり言わない。なにか変だ、しらじらしい感じがする。しかし

花子は傷つく。
花子は傷つくだろう。
花子は傷ついた。

は変ではない。では英語の受け身表現にならって

私は傷つかされる。
は傷つかされるだろう。
私は傷つかされた。

花子は傷つかされる。
花子は傷つかされるだろう。
花子は傷つかされた。

は英語の訳文としても相当変だ。 これもここではこれ以上は調べない。上記(辞書)では

darsi male   to hurt oneself  

となっているが

darsi male   to get hurt 

でもいい。これは to get oneself hurt が正確で、英語ではto get hurt で済ましている、再帰(oneself)を省略している、 と見ることもできる。これは大きな英語の特徴だろう。

fermarsi   to stop

これは解説が必要。 fermarsi = to stop では何のことだかわからない。これは to stop が多義語のためだ。

I stop.

私は止まる。to stop は自動詞。to stop は自動詞。

I stop oneself.

私は私自身を止める。 -> 私は止まる。to stop は他動詞。これが fermarsi  だ。

だがこと(to stop)はそう簡単ではない。以上は基本的に物理的に<動いているもの>が止まる、止めるだ。

I stop to smoke.   (わたしは)たばこを吸うために止まる。

イタリア語では

Mi fermo a fumare.

I stop my car.   (わたしは)くるまを止まめる。

イタリア語では

Fermo la mia macchina.

というのがあるが、英語の訳文のような気がする。fermasi + la macchina では次のような例文がある。(Reveso Contex

Basta fermarsi... fermare la macchina ora!
Just stop... stop the car now!
Guidare la macchina senza fermarsi
Drive the car without stopping

以上の2例は fermarsi <止まる>、<自分自身が止まる>あるいは<自分自身を止める>の意だろう。

Tutte le macchine devono fermarsi subito.
Once again, every car needs to pull over immediately.
Ho sentito una macchina fermarsi e poi un piccolo splash.
I heard a car pull up and then this little splash.
 

Qualcuno ha sentito una macchina fermarsi?
Didn't anyone hear that car pull up... is that her?

以上の3例は fermarsi は<くるまが止まる>意で自動詞になる。

I stop smoking.   (わたしは)たばこを止(と)める。->たばこをやめる

イタリア語では

Smetto di fuare

以上で to stop の多義性がわかるだろう。to stop はそう簡単ではないのだ。

引用が長くなるが to stop のCollins インターネット辞典のイタリア語訳を末尾にコピーしておく。

preoccuparsi   to worry

preoccupare の意味は字ずらから推測できる。pre は前。この場合は時間的に’前’、<前もって>、<あらかじめ>というのがある。occupare は to occupy で<占領する>。この場合は心を<占領する>するだ。つなげると何となく to worry (心配する)の意になる。さて問題は to worry の方で、これは自動詞と他動詞がある。日本語では<xxを心配する>で to worry は他動詞のように見えるが

I am worrying about xx.
Don't worry !

で to worry は自動詞。Collins Reveso English - Italian で

worry

2       vt  
a      (cause concern)    preoccupare  
to worry o.s. sick (about or over sth)      preoccuparsi da morire (per qc)  
don't worry yourself or your head about it      non fartene un pensiero 
3       vi  
to worry about or over sth/sb      preoccuparsi di qc/per qn  
don't worry!      non preoccuparti! 

で don't worry yourself という他動詞の再帰用法例がある。don't worry your head about it というのは見たことも聞いたこともないが、間違いではないだろう。to worry はおもしろい動詞だがこれもこれ以上は進めない。一方に日本語の方もやや複雑で

<xxを心配する>で<心配する>は他動詞。大和言葉の<悩む>は<xxに悩む>で基本的に自動詞。だがそう簡単ではない。

将来を心配する。<将来を悩む>はダメだろう。<将来に悩む>はまったくダメだ。
資金繰りを心配する。(多分にこれからの資金ぐり) 資金繰りに悩む。(多分に現在の資金ぐり)
母の病気を心配する。 母の病気に悩む。 - 意味というかニュアンスが違う。

<心配する>と<悩む>は使い分けられている。これもおもしろいところだがこれ以上は進めず、最後の to hurry に移る。

sbrigarsi   to hurry

to hurry もなかなかやっかいな動詞だ。I am in a hurry. はよく使うが、この hurry は名詞だ。

hurry の Collins Reveso English - Italian の解説。
 
1       n   fretta, premura  
to be in a hurry (to do)      avere una gran fretta (di fare)  
to do sth in a hurry      fare qc in fretta  
done in a hurry      fatto (-a)   in fretta  
are you in a hurry for this?      ti serve subito?  
what's the hurry?      che fretta c'è?  
there's no hurry      non c'è fretta or premura  
he won't do that again in a hurry      fam   non lo rifarà tanto facilmente  
2       vt     (person)    far fretta a  ,   (work)    fare in fretta
to hurry to do sth      affrettarsi a fare qc  
he won't be hurried      non gli si può far fretta  
she hurried him into the car      l'ha spinto in macchina  
he was hurried to the hospital      è stato portato d'urgenza all'ospedale  
he hurried his lunch      ha mangiato il pranzo alla svelta 
3       vi   fare in fretta  
to hurry back/home      affrettarsi a tornare indietro/a casa  
Sharon hurried back home      Sharon si affrettò a tornare a casa  
to hurry after sb      precipitarsi dietro a qn  
to hurry in/out      entrare/uscire in fretta 

いろいろな表現があるが(to hurry はかなりの多義語、というか、そう単純ではないのだ)、基本的には to hurry = affretarsi 。なぜか sbrigarsi が出てこない。sbrigarsi を調べる(注)前に上記の英語の to hurry の例文を検討してみる。

to hurry to do sth      affrettarsi a fare qc   

このto hurry は他動詞になっていない。

he won't be hurried      non gli si può far fretta 
これは to hurry の受け身形なので他動詞だ。主語は he (人)なので日本語では<xx を急がせる、せかせる)の使役形の他動詞になる。

he was hurried to the hospital      è stato portato d'urgenza all'ospedale   
これは英語とイタリア語ではかなりあるいはまったく違った表現になっている。fretatarsi も sbrigarsi もでてこない。英語の方はどういう意味か。 

he was hurried は受け身形だが能動主がいない。ここでは<誰かにせかされて病院に行った>わけではないだろう 。さらに<行った>という語はない。<行った>という語ないが<行った>に違いいない。したがって< to harry someone go (to go, going) to somewhere> と言うことなのだ。ところが、これをよく考え、調べてみると、これはかなりの確率で

After the accident, the injured man was hurried to the hospital.

の意味だろう。イタリア語の方は<運ばれた、 è stato portato>となっている。

he hurried his lunch      ha mangiato il pranzo alla svelta
これは<急いでxxを食べる>、もっと一般的には<急いでxxをする>に相当する。そして、重要なことは to hurry のなかに<食べる>、<する>の意が含まれている(内包されている、implied)ことだ。
 
he hurried his lunch      ha mangiato il pranzo alla svelta
これはもう説明がいらないだろう。to hurry に<食べる>が内包されているのだ。alla svelta = quickly, svelto が形容詞(quick)。

次は to hurry の自動詞用法だ。これも重要。

to hurry back/home      affrettarsi a tornare indietro/a casa 

これをどう解釈するかというと、

to hurry oneself back/home

と他動詞的に解釈するのだ。ここで back、home は副詞だ。以下の例文も to hurry oneself  と他動詞的に解釈できる。これも重要と書いたが、これは

to hurry の自動詞用法が to hurry oneself の意になる。見方を変えると他動詞 to hurry を使った to hurry oneself が自動詞の to hurry になるということだ。つまりは英語では表面上 to hurry が自動詞にも他動詞にもなるということなのだ。これは英語の大きな特徴で実際には to hurry oneself  はほとんど使われず(myself, yourself, himself, herself, themselves は長すぎる)to hurry で間に合わせている、済ませている。一方イタリア語は他動詞+si (mi, ti, si, ci, vi) の再帰用法で英語の自動詞に対応させている。日本語はどうか?答えは、日本語では他動詞/自動詞ペアで対応しているといえる。

以前に

1)英語ではなぜ自他兼用動詞が多いのか?
2)日本語ではなぜ他動詞/自動詞ペアが多いのか?

という疑問をなげかていたが、これが答えになるだろう。あるいは

 3)イタリア語ではなぜ再帰用法動詞が多いのか?

という疑問に対する答えにもなるわけだ。
 
  
注)sbrugarsi

Collins Reveso English - Italian の解説。

sbrigare

1       vt     (lavoro, pratiche)    to deal with, get through  ,   (clienti)    to attend to, see to, deal with
ho ancora alcune faccende da sbrigare      I've still got a few things to do  
sbrigare le faccende domestiche      to do the housework  
se la sa sbrigare da solo      he can manage o do it by himself  
2    sbrigarsi             vip  
  (fare in fretta)   
to hurry (up), get a move on  
devi sbrigarti se non vuoi perdere il treno      you'll have to hurry if you don't want to miss the train  
sbrigatevi!      hurry up! 

上の解説では、元の動詞 sbrigare には表面上<急ぐ>という意味はない。to deal with、to get through は<処理する、済ます>の意だ。to attend は<アテンドする>の意もあるが、attention 関連で<注意を払う、面倒をみる、manage する、処理する、済ます>の意がある。例文はこのような意味で<急ぐ><急いでxxする>の意はない。ところが sbrigarsi はなぜか突然 to hurry up の意味が出てくる。例文もそうだ。この謎の理解には日本語が役立つ。

日本語の<急ぐ>は、手もとの辞書では自動詞となっている。<に急ぐ>。例が少ないが<死に急ぐ>があげらている。例をさがせば

学校に急ぐ
病院に急ぐ

これらは言い換えると

学校に急いで行く
病院に急いで行く、駆(か)けつける。

の意だ。自動詞でいいだろ。しかし、この辞書にのっている例は

結論を急ぐ
検討を急ぐ
ことを急ぐ

があげられている。<を>をとるので他動詞ではないのか?この説明はない。これまた<急いで>を使って

結論を急いで出す
検討を急いでする

と言い換えられる。

ことを急ぐ - これは慣用的な言い方だ。

自動詞、他動詞の判別は別として<急ぐ>には<(急いで)処理する、済ます(ようにする)>の意がある。これは sbrigarsi に<急いで処理する、済ます>の意があるといえる。そして、この意が英語では多義語ともいえる to hurry を使った to hurry up になったものだろう。つまりはto hurry up には<急いで処理する、済ます>の意があるといえる。

末尾

Collins インターネット辞典: to stop (動詞のみ)のイタリア語訳

transitive verb

  1. (arrest movement of)
    1. (runaway, engine, car) fermare, bloccare
    2. (blow, punch) parare
  2. (put an end to)
    1. (gen) mettere fine a
    2. (noise) far cessare
    3. (pain) far passare
    4. (production, permanently) arrestare
    5. (temporarily) interrompere, sospendere
    she drew the curtains to stop the light coming in tirò le tende per impedire che entrasse la luce
    rain stopped play la partita è stata sospesa a causa del maltempo
  3. (prevent) impedire
    to stop sb (from) doing sth impedire a qn di fare qc
    to stop sth (from) happening impedire che qc succeda
    can't you stop him? non puoi fermarlo?
    to stop o.s. (from doing sth) trattenersi (dal fare qc)
    I managed to stop myself in time sono riuscito a fermarmi in tempo
  4. (cease) smettere
    to stop doing sth smettere di fare qc
    I'm trying to stop smoking sto cercando di smettere di fumare
    stop it! smettila!
    I just can't stop it (help it) proprio non riesco a smetterla
  5. (suspend)
    1. (payments, wages) sospendere
    2. (subscription) cancellare
    3. (leave) revocare
    4. (cheque) bloccare
    to stop £30 pound from sb's wages trattenere trenta sterline dallo stipendio di qn
    1. (also stop up) (block, hole) bloccare, otturare
    2. (leak, flow of blood) arrestare, fermare
    to stop one's ears tapparsi or turarsi le orecchie

intransitive verb

    1. (stop moving, pause, gen) fermarsi
    2. (cease, gen) cessare
    3. (machine, production) arrestarsi
    4. (play, concert, speaker) finire
    stop! fermo!
    stop, thief! al ladro!
    without stopping senza fermarsi
    to stop to do sth fermarsi per fare qc
    he stopped to look at the view si è fermato per guardare il panorama
    to stop in one's tracks or stop dead fermarsi di colpo
    to stop at nothing (to do sth) non fermarsi davanti a niente (pur di fare qc)
    to know where to stop (figurative) avere il senso della misura
    the bus doesn't stop there l'autobus non si ferma lì
  1. (informal, stay)
    to stop (at/with) fermarsi (a/da)
    I'm not stopping non mi fermo

sptt




英語、日本語の見えない再帰用法


前の三つのポスト<英語の re-xxxx 動詞の再帰用法>はうまくいかなかった、といっていいが、得るものはあった。何を得たかというと。

1)英語では自動詞/他動詞兼用の動詞がごく普通にたくさんあるに対して、日本語では自動詞-他動詞ペアが普通でたくさんある。英語の日常語では

to lie  -  to lay
to rise  -   to raise
to sit  -  to set

ぐらいだ。

英語の自/他兼用動詞は多い。

to bend  曲がる-曲げる。おもしろい例がある。This metal rod easily bends. It is easy to bend this metal rod metal.
to close  閉じる The door closes. Please close the door. これは日本語も自他兼用。戸(ドア)がとじる。戸をとじる。<しまる-しめる>は自他コンビ動詞。戸がしまる。戸をしめる。
to cut   切る-切れる(よく切れる、This knife cuts well)
to decrease  減る-減らす
to increase   増(ふ)える-増やす 
to open  開(ひら)く。The store opens today. Taro opened a new store. これは日本語も自他兼用.。<あく-あける>は自他コンビ動詞。
to sell   売る-売れる(よく売れる、This knife sells well)
to stop  止(と)まる-止める This clock often stops. Please stop this car. 日本語の方は<とどまる-とどめる>、<やむ-やめる>の関連ペア動詞がある。

などなど。ここは英語の自/他兼用動詞の話しではないのでこれくらいにしておく。

英語では次のような見える再帰用法がある。

Enjoy yourself ! 

I enjoyed today. (自動詞)も可能だろう。日本人にはこの方が自然だ。また他動詞としては
I enjoyed the party very much today.

日本人にはこの方が自然だ。 Enjoy yourself ! はとってつけた感じがする。英語でも例外の方だろう。Enjoy !  というのも聞く。間違いではないだろう。

前の三つのポスト<英語の re-xxxx 動詞の再帰用法>では書かなかったが、英語の見えない再帰用法があるのを発見した。

I lay myself on the ground  -  I lie on the ground
I raise myself up.   -   I rise.
I set myself on a chair .  -  I sit on a chair.

The plain is going to takes off.   は  The plain is going to take itself off the ground.(離陸する)と言うことだろう。to take は基本的に他動詞だ。to take off には<(衣服、帽子、靴、手袋など身に着けているものを)脱ぐ>という意味もある。だが、英語では

Please take off your shoes.

と your をつけるのが普通で the shoes ではない。ところがイタリア語では

Per favore, togliersi le scarpe
prima di entrare [prima di entrare=before coming in])

or (more formal)

Siete pregati di togliervi le scarpe
prima di entrare)
https://forum.wordreference.com/threads/please-take-off-your-shoes.1501711/

と言うのだ。 togliersitogliervi は再帰用法。このイタリア語の再帰用法はいたるところに出てくる。英語では your が si (vi) と the を兼ね備えていることになる。これも英語の見えない再帰用法と言える。

日本語にも見えない再帰用法がある。

1)今日の講義はこれで終わる。(自動詞)
2)今日の講義はこれで終える。(他動詞)

どちらもよさそうだ。2)の他動詞は<今日の講義これで終える。>が文法的には正しいが、実際には文法の先生でもこうは言いそうもない。これをどう解釈するかというと

今日の講義はこれで(これを)終える。

の<これを>を省略したものと解釈するのだ。 この用法は法律文で頻繁に出てくる。

窃盗はこれを犯罪とみなす。

立て看板でもよく見る。

ここで立ち小便は禁ずる。 

<禁ずる(禁じる>は<xxを禁ずる(禁じる>で他動詞だ。 したがってこれは

ここで立ち小便は(これを)禁ずる。 

の<これを>を省略したものと解釈する。

この例は

窃盗 = <それ>を
立ち小便 = <それ>を

なので、ある意味では再帰用法だ。そして<それを>が、あたまのなかでは一瞬思いうかんでいるようだが、省略されていると見るのだ。

下線部が英語、日本語の見えない再帰用法といえるのではないか?そしてこれは重要なことだ。


次のような表現もある。

<よける><さける><よせる>は他動詞だ。これは

(自分の身を) xx から<よける><さける>
(自分の身を)<よせる>

場合、元来は他動詞で<動かす>だが、<動く>の意、またはその意識にもなり、日本語の隠れた再帰表現といえる。


sptt






Saturday, April 27, 2019

英語の re-xxxx 動詞の再帰用法 - 2、自動詞、他動詞 -続き


<英語の re-xxxx 動詞の再帰用法>の第三弾。 話が表題の内容からどんどん横道にそれてきたが、それたままもう少し話を続ける。話はまだ<英語の re-xxxx 動詞>そのものについてで、再帰用法はほとんど関係ない。

前々回で少し触れたが英語の re-xxxx 動詞には次のようなのがある。

7)re + 形容詞 型

to refine
to refresh
to relax  lax は<ゆるい>という形容詞。

以上は

xx を  fine、fresh、lax の状態に<re->の基本的な意味の一つの<もどす>こともあるが、<もどす>にこだわらない場合も考えられる。この場合には<re->は形容詞の動詞化と言える。さらに広げて次のような re-xxxx 動詞がある。

to return

これは代表的な re-xxxx 動詞だが、

re + turn 分けられる。 そして to turn は独立した動詞なのだ。

to return  = to turn back

でもある。<re->に back の意味があるわけだが、それだけだろうか。

to remark

<マークをする、つける>なら to mark でよさそう。 to remark はいわば派生用法だ。

8)比較的短い語で1)-6)で分類できないもの、できにくいもの。

to receive  - これは上記の<反対>、<反抗>、against の逆になる。
to recommend - これは方向としては back、against ではなく forward だ。
to refer  - to infer、to confer、to prefer がある。
to regard - イタリア語で guardare(注視する)、普通の<見る>は vedere。
to regulate - regul (?) または regular の動詞化。<再び>とか<あらためて>の意はない。
to reinforce     意味からは to inforce の強調と言えそうだが、to inforce という動詞はない。動詞はto enforce、名詞は enforcement 。to reinforce は to enforce の強調と言えるが、<再び>とか<あらためて>の意も少しはあるか。
to relate - 関係づける
to relay  - <再び置く>ではない。<リレーする>だ。
to rely  - to rely on xx で xx にたよる、xx による。
to remove  -  これはよくわからない。to move に re- がついてなぜ<取り去る>になるのか?
to render - 元の意は to give back だが、美術用語では to reproduce or represent by artistic or verbal means というの時々聞く。照明のレンダーリング。
to reply  -  答える、2)to return に入るか
to report - これは<答える>、したがって2)to return に入るか
to reprimand   叱責する、責(任)を問いつめる
to request    - 問う、求める   英語では名詞 quest 動詞 to quest (to search for) がある。
to require  - 問う、求める   英語では query (問い、疑問)という名詞形がある。
to research  - 探す、調査する (問う、求める)
to respond  - 答える、応じる。2)to return に入るか
to result   -  to result in xx という言い方で、<結果として xx になる>
to reveal     - (かくれていた)xx を現わす
to reward - to award の意味を考えると、<見返りを与える>になりそうだが、そうではない。

問う、求める(to request、to require、to research)と答える(to reply、to report、to respond )の両方に(re ->が使われている。


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