Monday, December 21, 2020

擬態語、擬音語+する (<する>は他動詞、自動詞、いったい何だ? -2)


以前に

<する>は他動詞、自動詞、いったい何だ?

というタイトルで<する>について書いている。読みかえしてみたが書き換える必要はないようだ。終わりのところで次のように書いている。


以上から<xx(漢語)する>の一語の動詞は他動詞のみ、自動詞のみ、他動詞/自動詞の両方があるの三種類あることになる。これは<する>が他動詞のみの働きであること考えるととんでもないことだ。例外的に、<音がする>、<匂いがする>など感覚関連で<が>を取る自動詞と見られる表現がある。<頭痛がする>も感覚関連動詞だろう。あるいは病理関連として独立させてもいい。<頭痛をする>は認めらていないがおもしろい表現だ。ケガは<怪我>と言う当て字があるが、漢語か?ケガはなんと<ケガする>でも<ケガをする>でもいい。以上は大いに別途検討価値がある。感覚動詞は複雑。また動詞の活用も<サ変>で変テコな活用だ。ここで分析はしないが、この変テコさは漢語の意味と関連がありそう。以上は2字の漢語だけを取り上げたが、

愛する
察する
達する
感ずる(感じる)
変ずる(変じる)

など<1字の漢語+する>もある。

中国語は変テコな言語で、語形変化なしで名詞になったり、動詞になったり形容詞になったりする。だがこれは日本人(日本語)が<xx する>と言う漢語動詞を作るのにきわめて便利。<動詞+する(動詞)>の組み合わせは違和感があるが<名詞(体言)+する(動詞)>にはこの違和感がない。したがって、上で取り上げた漢語(和製漢語もある)は融通無碍に動詞にも名詞(体言)にもなり、名詞(体言)とみなして、その後ろに<する>を加えれば日本語では動詞が出来上がる。

比較的新しいところでは<英語の動詞+する> というヘンな組み合わせがある。

エンジョイする
エキサイトする
ゴーする
プレイする(ゴルフ)
(まだあろう)

エンジョイ(to enjoy)は動詞で名詞は enjoyment 。 エキサイト(to excite )も動詞で名詞は excitement 。一方ゴー(to go)は動詞だが名詞形あまり使わないが go だ。 to go, going も名詞の代用になる。go-ment、とか go-ity、go-ation と言う純名詞形はない。play は to play の動詞と a play の名詞がある。<プレイをする>ではないので、英語<動詞>+<する>だろう。

英語は漢語のようにはいかない。 エンジョイ、エキサイトは動詞”感”が残っており、<動詞+する(動詞)>の組み合わせは違和感があるのだ。もっともこの違和感の発生がこれらの和製英語表現の使用目的になっているようだが。



<頭痛をする>については最近独立させて別のポストを書いている。というのもしょうこりもなく最近また<する>をチェックしている。手もとの辞書(三省堂<新明解>)で<する>を調べてみたが、わかったようでよくわからない解説となっているので、参考にはするが自説を展開することにした。今回は<する>が超使用頻度、多義語の動詞であることから、無数にある例文を分類しながら分析して結論めいたものを出すつもりだ。当然ながらかなり長くなるだろう。まずは<擬態語、擬音語+する>を検討してみる。これだけでも相当長くなりそう。

0.擬音語

擬音語は幼児語にあり、言語のもとの、またそのもと言える。

犬はワンワン
猫はニャーニャ
豚(ぶた)はぶーぶー   (自動車もブーブーだ)
牛はモーモー (モウモウ)
羊(ひつじ)はメーメー

からすはカーカー
スズメはチュンチュン
にわとりはコケコッコー
セミはミンミン(ミンミンぜみ)
カエルはケロケロ
蚊(か)はブンブン

以上動物の鳴き声や発生する音をまねたものだ。最後の<蚊(か)がブンブンする>以外は<する>はつかず<犬がワンワン鳴く>で<鳴く>がつく。馬は<馬はヒンヒンいななく>。

自然現象

雨がザーザー (ザアザア)降る
風がヒューヒュー吹く(鳴く)。
カミナリがゴロゴロ鳴る

目には見えるが音がないもの

カミナリがピカッとひかる。 <ピカッ>は<ひかる>由来で、<ピカッ>は擬態語。
星がキラキラきらめく。  <キラキラ>は<きらめく>由来で、<キラキラ>は擬態語。

人が出す音

赤ん坊がエンエン泣く。

<シクシク泣く>のシクシクは擬音語か?<メソメソ泣く>のメソメソは擬態語だ。

グ―グ―いびきをかく。
ゴホンゴホンとせきをする。

<と>はあってもなくてもいいようだ。

楽器その他

太鼓(たいこ)がドン(ドン)と鳴る。
笛がピーヒャラ、ピーヒャラ鳴る。
お寺の鐘がゴーン(ゴーン)と鳴るのが聞こえる。
風鈴がチリンチリン鳴る(する)

これまた<と>はあってもなくてもいいようだ。これは検討した方がいい。

一方擬態語は擬音語より相当発達した段階の言葉だが擬音語由来のもも少なくない。したがってこれからたくさんでてくるが、擬態語は擬音語の区別ははっきりしないだろう。

古い木の廊下を歩くとミシミシいう。
水たまりを歩くと水はピチャピチャ撥(は)ねる
 

さて本題の<擬態語、擬音語+する>を検討する。

1.擬態語、擬音語+する

擬態語、擬音語は、個人的にはあまり好きではない。これを多用する人が好きになれないのが原因のようだ。しかし日本語では日常多用される。思いうかぶものをアイウエオ順に並べてみる。

簡単と言うかごく短いところでは

かっとする(かっとなる)  <かっかする>というのもある。
からっとする  かっらとした天気、からから天気
さっとする  <さっと拭(ふ)く>、 <さっさとする>、<さらりとする>というのもある。
ざっとする (ざっと見る)
すかっとする
ぞっとする、  ぞっとしない

にたっとする
にやっとする
はっとする
むっとする

吃音(つまる音)でないのには、上の<さらり(と)>以外に

かたりとする(もの音)
がたりとする (もの音)
ごとりとする (もの音)
どきりとする

以上は多分擬態語、擬音語部が短いので<する>の前に<と>がついている。この<と>は<xx という音、コト(が)>の意だ。<が>は表面に出てこない。最後の

<どきりと>ということする。

は変な日本語だが、こういうことだ。音であれば、その前の

<ごとりと>いう音する。

になる。これからすると<する>は<xxxをする>の他動詞ではなく、格助詞<が>あることになるので自動詞ということになる。

次は少し長くなり、用例もふえる。特に意識はしなかったのだが、ア行の<あっさりする>から始めたためか、これが ” 吃音(つまる音<っ>+<り > + <する>" のパターン(X + っ + Y + り + する)で、思い浮かぶものがすべてこのパターンになった。


あっさりする (あっさりした、あっさりした人)    <浅(あさ)い>由来か?
うっかりする (うっかりした(?)、これは微妙で<うっかりした人>とは言いそうだが、<太郎はうっかりした人だ>はおかしい。)    <迂闊(うかつ)>>由来か?
うっとりする
おっとりする (おっとりした)

がっかりする
がっくりする
がっちりする  がっちりした
ぐったりする
げっそりする
こってるする(こってりした)     <濃(こ)い>由来か?

さっぱりする (さっぱりした)
しっかりする (しっかりした)   <しかと、たしかに>由来か?
しっとりする (しっとりした)
すっきりする

たっぷりする (たっぷりした)
ちゃっかりする (ちゃかりした)
でっぷりする (でっぷりした)
どっきりする  (どきりとする)

にっこりする
ねっとりする (ねっとりした)
のっそりする (のっそりした)

はっきりする (はっきりした)
びっくりする
ひっそりする (ひっそりした)
ほっそりする (ほっそりした)
ぽってりする (ぽってりした)
みっちりする(やる) (みっちりした)     <密(みつ)>由来か
むっくりする (むっくりした)
むっつりする (むっつりした)
もっこりする (もっこりした)

ゆっくりする
ゆったりする (ゆったりした)

(追加予定)}

このところをもっとはっきりさせてほしい。
びっくりさせないでくれ。
今度はゆっくりしていってください

のように、このパターンの<x+っ+xり+する>日常無意識に使っている。

<xxxx した>は体言(名詞)を修飾する。すべてではないが上の例では<xxxx した>で使われる方が多いようだ。意味的には

味覚、食感

あっさりする (あっさりした)
さっぱりする (さっぱりした)
こってるする(こってりした)
ねっとりする (ねっとりした)

人の性格

あっさりする (あっさりした)
おっとりする (おっとりした)
さっぱりする (さっぱりした)
しっかりする (しっかりした)
ちゃっかりする (ちゃかりした)
ねっとりする (ねっとりした)
はっきりする (はっきりした)
むっつりする (むっつりした)

人の外観

がっちりする (がっちりした)
でっぷりする (でっぷりした)
ほっそりする (ほっそりした)
ぽってりする (ぽってりした)
むっくりする (むっくりした)

人の動作の様態(さま)、しぐさ

のっそりする (のっそりした) - (ゆっくりした)
ゆったりする (ゆったりした)

ゆっくりする ー これはすくなくとも二つの意味がある。

i ) <ゆったりする>>と同じような意味。しがって形容詞的な<ゆっくりした>もある。<ゆっくりした旅、仕事>

ii )人の動作の様態(ゆっくりした)ではなく、<急がないで xx する、せかないで xx する、あわてて xxし ない、くつろぐ>などの動詞内容(行為)だ。つまりは<ゆっくり(と)+する>で動詞<する>の意味が強く残っている。<ゆっくり>は<する>を修飾する副詞だ。

人の感情、心情を表現する、 あるいは感情、心情が動作、表情に現れているのを表現する

うっかりする
うっとりする
がっかりする
がっくりする
ぐったりする

どっきりする

にっこりする

びっくりする
ゆっくりする

これが一番多い。表現内容はやや複雑だ。しかも<xxxx した>として使われるより<xxxxする><xxxx した(過去)>と動詞として使われる場合が多いようだ。 ここは<擬態語、擬音語+する>のポイントの一つなので、もう少し掘り下げてみる。よくみると自分の感情、心情を表現する、している場合と他人が見ての他人の<外に現れた>感情、心情を表現する、している場合がある。

a)自分の感情、心情を表現する、している場合

私はうっかりしていた。 <私はうっかりした、うっかりする、うっかりするだろう>とはあまり言わないだろう。

私はうっとりしていた。 <私はうっとりした、うっとりする、うっとりするだろう>とはあまり言わないだろう。
私はうんざりした、していた。 <私はうんざりする、うんざりするだろう>とは言いそう。
私はがっかりした、していた。 <私はがっかりする、がっかりするだろう>とはあまり言わないだろう。

私はがっくりした、していた。 <私はがっくりする、がっくりするだろう>とはあまり言わないだろう。
私はぐったりしていた。 <私はぐったりした、ぐったりする、ぐったりするだろう>とはあまり言わないだろう。

私はどっきりした。 <私はどっきりしていた。私はどっきりする、どっきりするだろう>とはあまり言わないだろう。

私はにっこりした、していた。 <私はにっこりする、にっこりするだろう>とはあまり言わないだろう。

私はびっくりした、していた。<私は私はびっくりする、びっくりするだろう>とは言いそう。

私はゆっくりしていた。 <私はゆっくりした>は言いそうにない。<私はゆっくりする、ゆっくするだろう>とは言いそう。 この場合の<ゆっくりする>は<くつろぐ>に近い。<ゆっくり>の語源はよくわかっていない。似たような意味のの<のんびり>の語源もよくわかっていない。

b) さて他人が見た場合はどうか?

太郎はうっかりしていた。 <太郎はうっかりした、うっかりする、うっかりするだろう>とはまず言わないだろう。

花子はうっとりしていた。 <花子はうっとりした、うっとりする、うっとりするだろう>ともまず言わないだろう。
次郎はうんざりした、していた。 <次郎はうんざりする、うんざりするだろう>とは言いそう。
美代子はがっかりした、していた。 <美代子はがっかりする、がっかりするだろう>

三郎はがっくりした、していた。 <三郎はがっくりする、がっくりするだろう>とは言いそう。
千代子はぐったりした、していた。 <千代子はぐったりした、ぐったりする、ぐったりするだろう>とはあまり言わないだろう。

佐藤はどっきりした、していた。 <佐藤はどっきりする、どっきりするだろう>とは言いそう。

加藤はびっくりした、していた。 <加藤はびっくりする、<加藤はびっくりするするだろう>とは言いそう。

鈴木はにっこりした、していた。 <鈴木はにっこりする>は言いそうにない。<鈴木はにっこりするだろう>とは言いそう。

<ゆっくりする>:<のんびりする>、<くつろぐ>の意

木村はゆっくりしていた。<木村はゆっくりした>、<木村はゆっくりする、ゆっくするだろう>は言いそうにない。

<ゆっくりする>: <ゆっくりxxする>の意

木村はゆっくり(と)した。 <木村はゆっくり(と)していた。>は誤解をまねきそう。<木村はゆっくり(と)やっていた。>ならよさそう。<木村はゆっくり(と)する、ゆっくり(と)するだろう>とは言いそう。

個人的な判断が入っているが相当やっかいだ。

モノゴト(事物)の形容

たっぷりする (たっぷりした)  十分大きい、余裕がある。<たっぷりある>という表現がある。
どんよりする (どんよりした)
もっこりする (もっこりした)これも主に<xxxx した>として使われる。

さて上で

人の感情、心情を表現する、あるいは感情、心情が動作、表情に現れているのを表現する

と書いたが、モノ、コトをふくめて一般化すると

あるモノ、コト(モノ、コト、人の感情、心情)の状態、状況の内容は擬態語、擬音語の意味がになっている。

これに<する>がついた形、すなわち

<擬態語、擬音語+する >は

擬態語、擬音語の意味がになっている<あるモノ、コト(モノ、コト、人の感情、心情)の状態、状況>を表わす、言葉として表現する。

と言えそうだ。<する>はけっして<xxxx をする>の意ではない。 

それでは<擬態語、擬音語+する >と<擬態語、擬音語+だ >を比較してみよう。

私はあっさりだ。  
太郎はうっかりだ。
花子はうっとりだ。
次郎はうんざりだ。 次郎がうんざりだ。 
美代子はおっとりだ。
三郎はがっかりだ。
千代子はがっくりだ。
佐藤はぐったりだ。
加藤はげっそりだ。
鈴木はさっぱりだ。
少年Aはしっかりだ。
少女Bはしっとりだ。
青年男子C男はすっきりだ。
青年女子D子たっぷりだ。
中年男性E男はちゃっかりだ。
中年女性F子はでっぷりだ。
壮年男性G男はどんよりだ。
壮年女性H子はにっこりだ。
中老年男性I男はねっとりだ。
中老年女性J子はのっそりだ。
高老年男性K男ははっきりだ。
高老年女性L子はひっそりだ。
会社員男性M男はほっそりだ。
会社員女性N子はぽってりだ。
公務員O男はむっくりだ。
公務員P子はむっつりだ。
バス運転手Q男はもっこりだ。
バス運転手R子はゆっくりだ。
医師S男はゆったりだ。

機械的な作業だが、おもしろいことが見つかった。上記例文は<形容動詞(代表:静かだ>的な<xxxx だ>とこれに相当しないモノに分けられる。<形容動詞><静かだ>のような<xxxx だ>の方は<形容動詞>の活用終止形<静か>->連体形<静か>を利用できそうだが、試してみるとダメで連体形(体言修飾)は<xxxx した>になってしまう。ところでこの<xxxx した>で二分できる。上の例と比べてみる。

私はあっさりした。 (ダメ)  - あっさりする (あっさりした)
太郎はうっかりした。(よさそうだが、何か変だ。普通は<太郎はうっかりしていた>だ。) - うっかりする (<太郎はうっかりした人だ>は使えそうだ)
花子はうっとりした。   - うっとりする   これも<花子はうっとりしていた>が普通だ。
次郎はうんざりした。 次郎がうんざりした。  うんざりする
美代子はおっとりした。 (ダメ) - おっとりする (おっとりした)
三郎はがっかりした。  - がっかりする
千代子はがっくりした。  - がっくりする
佐藤はぐったりした。   - ぐったりする これも<佐藤はぐったりしていた>が普通だ。
加藤はげっそりした。  - げっそりする
鈴木はさっぱりした。   - さっぱりする (さっぱりした、<鈴木はさっぱりした人だ>とは言う)
少年Aはしっかりした。 (ダメ)  - しっかりする (しっかりした)
少女Bはしっとりした。  (ダメ)  - しっとりする (しっとりした)
青年男子C男はすっきりした。 -すっきりする
青年女子D子たっぷりした。 (ダメ) - たっぷりする (たっぷりした) (D子はxxをたっぷりした>で<する>は他動詞。また<たっぷりした人>は限られる。<たっぷりした服>ならいい)

中年男性E男はちゃっかりした。(ダメ) - ちゃっかりする (ちゃっかりした)
中年女性F子はでっぷりした。(ダメ)  - でっぷりする (でっぷりした)
壮年男性G男はどっきりした。  - どっきりする
壮年女性H子はどんよりした。(ダメ)  - どんよりする (どんよりした)
中老年男性I男はにっこりした。  - にっこりする
中老年女性Jはねっとりした。(ダメ)  - ねっとりする (ねっとりした)
高老年男性K男はのっそりした。(ダメ)  - のっそりする (のっそりした)
高老年女性L子男ははっきりした。(ダメ) - はっきりする (はっきりした)
会社員男性M男はひっそりした。(ダメ)  - ひっそりする (ひっそりした)
会社員男性M男はほっそりした。(ダメ)   - ほっそりする (ほっそりした)
公務員O男はぽってりした。(ダメ)    - ぽってりする (ぽってりした)
公務員P子はむっくりした。(ダメ)  - むっくりする (むっくりした)
バス運転手Q男はむっつりした。  - むっつりする (むっつりした)
バス運転手R子はもっこりした。(ダメ)   - もっこりする (もっこりした)
医師S男子はゆっくりした。 (上記参照。二つの違った二つの意味がある) - ゆっくりする
医師T子はゆったりした。 (ダメ)  -  ゆったりする (ゆったりした)

例外が少しあるが(うっかりする-うっかりした、さっぱりする-さっぱりした、ゆっくりする-ゆっくりした)

1)私はあっさりした。 (ダメ)  - あっさりする (あっさりした)

<私はあっさりした。>とは言えない。

2)花子はうっとりした。      - うっとりする

<花子はうっとりした人だ>とは言えない。

の明らかに違う二つの組に分けられる。<擬態語、擬音語+する>の同じ構成でこの違いは何を意味するのか? 

さらには 、上で書いたが

<形容動詞><静かだ>のような<xxxx だ>の方は<形容動詞>の活用終止形<静か>ー>連体形<静か>を利用できそうだが、試してみるとダメで連体形(体言修飾)は<xxxx した>になってしまう。

のはなぜか。 形容動詞の正体をあきらかにするのに、この<なぜか>を説明することが役立つのではないか?

一例

静かだ、静かな
びっくりする、びっくりした
どっきりする、どっきりした

この家は静かだ。静かな家。
この家はびっくりする。びっくりする家。 -> この家はびっくりだ、びっくりな家。(なんとかなりそう)
この家はどっきりする。どっきりする家。 -> この家はどっきりだ、どっきりな家。(かなり無理がある)

<びっくり>と<どっきり>は似たような擬態語だ。家を部屋に代えてみる。

この部屋は静かだ。静かな部屋。
この部屋はびっくりする。びっくりする部屋。 -> この部屋はびっくりだ、びっくりな部屋。
この部屋はどっきりする。どっきりする部屋。 -> この部屋はどっきりだ、どっきりな部屋。

家は大和言葉、部屋は漢語だ。

びっくりな部屋 -> びっくりの部屋 -> びっくり部屋

どっきりな部屋 -> どっきりの部屋 -> どっきり部屋

<静かな部屋>はもちろん問題ないが<静かな>は形容詞的な部屋にかかる修飾語だ。

<びっくりの部屋>、<どっきりの部屋>も問題ない。<びっくりの>、<どっきりの>は部屋にかかる修飾語だが、意味は形容詞的ではなく動詞的だ。すなわち部屋ではなく人が<びっくりする>、<どっきりする>、または人が<びっくりさせられる>、<どっきりさせられる>部屋という意味になる。英語の場合は surprising で人を<びっくりさせる>、<どっきりさせるる>となるが、日本語にも適用できる。これで形容動詞と<擬態語+する>の違いがわかる。だが味方によっては違うように見れる(見ることができる)。

<びっくりの部屋>、<どっきりの部屋>を人が人が<びっくりした状態にあることを表わす>、<どっきりしたた状態にあることを表わす>部屋とみるのだ。

ところで形容動詞語尾変化の<びっくりな部屋>、<どっきりな部屋>はどうか?これらも人が<びっくりした状態にあることを表わす>、<どっきりしたた状態にあることを表わす>部屋とみることができるだろう。<な>は<ある状態にある(<静か>という状態にある)>こと表わす。

それでもまだ違いがある。<静かの状態>は継続する、継続が予想される、継続性が頭にある。一方<びっくりした状態の部屋>、<どっきりした状態の部屋>の状態もある程度は継続性はあるが<静かの状態ほど長くは意識されない。これ(状態の継続性の程度)に関連しては、上でで少しふれたが

太郎はうっかりした。(よさそうだが、何か変だ。普通は<太郎はうっかりしていた>だ。)
花子はうっとりした。 - うっとりする   これも<花子はうっとりしていた>が普通だ。
佐藤はぐったりした。 - ぐったりする これも<佐藤はぐったりしていた>が普通だ。

ここに違いがあるが、ある状態(擬態語が持つ意味)にあること表わす<擬態語、擬音語>に<する>がついた形<擬態語、擬音語+する>は形容動詞もどきの表現方法といえないか。さらには見方をかえて、

形容動詞とは<擬態語、擬音語+する>に似た表現方法

としたらどうか。 <擬態語、擬音語+する>の方が形容動詞よりはるかに語彙は多く、<エンジョイする>のような造語能力がある。形容動詞はガラパゴス品詞になるか?

 ” 吃音(つまる音<っ>+<り > + <する>" のパターンで<する>以外の一般動詞の場合は” 吃音(つまる音<っ>+<り > " の部分は動詞を修飾し、主に様態を示す副詞相当になる。<なる>、<ある>は少し様相が違いようだが別途調査。

<する>以外の一般動詞の場合の例も相当ある。<する>ではないので解説なしにアイウエオ順に並べてみる。

あっさり負ける

かっきり5時に着く
がっちりもうける   <がっちりする、がっちりした>もある。
がっぽりもうける
きっちり合う、終わらす、勉強しておく、閉める
くっきり見える
こっそり盗む
ごっそり取られる

ざっくり言うと
さっぱり見ない    これは<さっぱるりxxない>の掛かり句だ。  さっぱりする、さっぱりした
しっかり覚える、覚えておく   しっかりする、しっかりした
じっくり考える
しっとり濡(ぬ)れる       しっとりする、しっとりした
すっかり忘れる
すっぽり抜ける
そっくり盗まれる

たっぷり食べる
てっきりxxと思う、思った
どっかりすわる
とっぷり日が暮れる
どっぷりつかる

のっそり起きる

はっきり言う、聞こえる   はっきりする、はっきりした(返事)
ぱっくり口をあける
ぱったり止まる
ばったり倒れる
ぽっきり折れる

みっちりしごく
めっきり老(ふ)ける 

以上は試してみたが、擬態語と動詞(<する>を含む)の間に例外なく<と>をいれることができる。これは文法法則。このとは擬態語が動詞を修飾するときに<と>がなくても<と>があってもいいということだが、当然まったく同じではなく<と>のあるなしで微妙なニュアンスの違いがある。そして擬態語は基本的には動詞の内容が行われる様子、程度を示す。


<X+ん+Y+り>のパターン

こんもり茂る   こんもりした

しんみり聞く  しんみりした
すんなり行く

たんまりもうける

にんまり笑う    にんまりする
のんびり働く  のんびりする   これも<ゆっくりする>と同類で二つの意味がある。

ひんやり     ひんやりする -ひんやりした   cool  

ほんのり香(かお)る   ほんのりする - ほんのりした

やんわり話す  やんわりする - やんわりした

<X+ん+Y+り>はなにか共通の(多くは好ましい)ニュアンスがある。だが濁音の場合は

あんぐりする    あんぐる口をあける

げんなりする

ずんぐりした人  ずんぐりする  - ずんぐりした  

どんよりくもる    どんよりする - どんよりした

ぼんやり考える      ぼんやりする

で否定的な意味になるものが多い。これは日本語全般に言えることだ。

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畳語式(重ね音式)擬態語、擬音語+する

実を言うと今回のチェックはこれから始まったが、上の” 吃音(つまる音<っ>+<り> " のパターンが例文が少なく扱いやすいと見えたので先にもってきた。(調べてみると、実際はかなりある。末尾参照)<畳語式(重ね音式)擬態語、擬音語+する>のパターンは非常に多い。日本語の生成、発展と関係があろう。

いじいじする  (いじける)、(いじいじする気持ち、いじいじした気持ち、態)、(いじける気持ち、態度いじけた気持ち、態度)
いらいらする  (いらいらする気持ち、いらいらした気持ち)
うかうかする
うきうきする   (うきうきする気持ち、うきうきした気持ち)
うだうだする
うとうとする  (うとうとする状況、うとうとした状況)
おたおたする
おどおどする  (おどおどする状況、おどおどした状況)
おろおろする  (おろおろする状況、おろおろした状況)

かさかさする (<かさかさ>という音がする)、  
かさかさする (かさかさした、乾燥した、肌) 肌がさかかさする。
この<かさかさ>は<肌がかさかさだ>、<かさかさの肌>以外に人によっては<かさかさな肌>とも言いそうなので半ば<形容動詞>になっている。

がさがさする   がさつく
がさごそする  (かさこそする)
がたがたする  (がたがたする状況、がたがたした状況)  がたつく
かちゃかちゃする (かちゃかちゃする状況、環境、かちゃかちゃした状況、環境)
がやがやする  (がやがやする状況、がやがやした状況)
かりかりする  (かりかりする気持ち、かりかりした気持ち)
がんがんする
きびきびする (きびきびした態度、しぐさ)
くさくさする  (くさくさした)
ぐずぐすする
ぐちゃぐちゃする (させる)
くらくらする
ぐらぐらする
くりくりする
ぐりぐりする
けちけちする
こそこそする
ごそごそする
こっくりこっくりする
こまごまする (こまごました)
ごみごみする (ごみごみした)
こりごりする

さくさくする (さくさくする食感、舌ざわり、さくさくした食感、舌ざわり)
さばさばする (さばさばした性格)
さむざむする (さむざむする天気、さむざむ(と)した天気)
さらさらする (さらさらする感触、肌ざわり、さらさらした感触、肌ざわり、さらさらの感触、肌ざわり)
ざらざらする (ざらざらする感触、肌ざわり、ざらざらした感触、肌ざわり、ざらざらの感触、肌ざわり)
ざわざわする
じくじくする (じくじくした)
じたばたする     これは子音交替がある。
じとじとする (じとじとする天気、じとじとした天気)
じめじめする (じめじめする天気、じめじめした天気)
しゃきしゃきする (しゃきしゃきした)
すうすうする  (すうすうする感じ、すうすうした感じ)
すかすかする  (すかすかした、すかすかの、すかすかな)
せいせいする  (せいせいした気持ち)
ぜいぜいする (息が不規則、ぜいぜいさせる)
せかせかする (せかせかした)
ぞくぞくする  (ぞくぞくする話、ぞくぞくした話(ダメ))
そわそわする (そわそわした態度)

たらたらする (方言口語)
だらだらする  (だらだらした態度)
ちくちくする  (ちくちくするセータ、ちくちくしたセータ(ダメ)
ちゃらちゃらする  (ちゃらちゃらした)
ちょろちょろする
ちらちらする   ちらつく
ちんたらする (方言口語) だらだららする
つるつるする (つるつるする表面、つるつるするした表面)
つんつんする
てかてかする (てかてかする頭、てかてかした禿げ頭)
てきぱきする   これは子音交替がある。
どきどきする  (どきどきする心、心理、状況)
どぎまぎする   これは子音交替がある。
どろどろする (どろどろする液体、どろどろした液体)

なでなでする  (<なぜなぜする>はなまりか)
なよなよする (なよなよした体格、態度)
にこにこする   (にこにこした顔)
にたにたする   (にたにたした顔)
にやにやする   (にやにやした顔)
ぬるぬるする  (ぬるぬるする表面、ぬるぬるした表面)
ねちねちする  (ねちねちした性格)
ねばねばする  (ねばねばする表面、ねばねばした表面)
のそのそする
のらりくらりする (のらりくらりした態度、対応)
のろのろする  (のろのろした態度、対応)

はきはきする (はきはきしない) (はきはきした人)
ぱこぱこする
はらはらする
はればれする
ぴかぴかする
ひくひくする  - ひきつく、 ひきつけ
びくびくする
ぴこぴこする
ひらひらする
ひりひりする
ぴりぴりする
ふらふらする   ふらつく
ぶらぶらする    ぶらつく
ふわふわする  (ふわふわする布団、ふわふわした布団、ふわふわの布団、ふわふわな布団)
べたべたする  (べたべたする表面、べたべたした表面)
べとべとする  (べとべとする表面、べとべとした表面)
へらへらする
ぽこぽこする
ほのぼのする  (ほのぼのした)
ぼやぼやする  
ほれぼれする

まごまごする   まごつく
みしみしする  (これはさはがすのに時間がかかった。)
むかむかする   むかつく
むしむしする   (むしむしした天気)
むずむずする  (背中がむずむずする)
めそめそする
めちゃくちゃする
もさもさする
もぐもぐする (させる)
もじもじする
もそもそする
もたもたする   もたつく
もやもやする

やれやれする
ゆるゆるする
よたよたする

わくわくする

(追加予定。いくらでもありそう。)

非常に多いので分類が必要だ。

1) 擬音語由来と思われるもの

2)擬態語、擬音語でない動詞、形容詞、体言(名詞)由来のもの

あきあきする  <ー   飽(あ)く、飽きる
いじいじする  <ー   いじる(?)、(いじく)いじける
いらいらする
うきうきする   <ー   浮(う)く
うとうとする   <ー  疎(うと)む、疎ましい、うつ(?)、
おどおどする  <ー  おどろく
おろおろする  <ー  愚(おろ)か

かさかさする (音がする)

がさがさする

がさごそする  (かさこそする)

がたがたする   <- 片(かた) - 片ちんば

かちゃかちゃする
がやがやする
かりかりする
きびきびする (きびきびした)

くさくさする  (くさくさした)  <- 腐(くさ)る。 草(くさ)の匂いと関係ないか?

ぐずぐすする      <- 屑(くず) <ぐずる>は逆に<ぐずぐず>由来ではないか

ぐちゃぐちゃする (させる)
くらくらする      <- くらむ、 暗(くら)い
ぐらぐらする     < - くらくら

くりくりする

ぐりぐりする
けちけちする     <けちる>は逆に<けちけち>由来だろう。
こそこそする
ごそごそする
こっくりこっくりする
ごみごみする (ごみごみした)   <- 込(こ)む

こりごりする    <- 凝(こ)る、こりる、

さくさくする (した)
さばさばする
さらさらする
ざらざらする
じくじくする
じたばたする
じとじとする
じめじめする     <- 湿(しめ)る

しゃきしゃきする (しゃきしゃきした)
すうすうする
すかすかする
せいせいする
ぜいぜいする (息が不規則、ぜいぜいさせる)
せかせかする    <-  急(せ)く
ぞくぞくする
そわそわする

たらたらする (方言口語)  ちんたらする (方言口語)
だらだらする      <- 垂(た)れる   <だれる>は逆に<だらだら>由来ではないか。
ちくちくする
ちゃらちゃらする  (ちゃらちゃらした)
ちょろちょろする
つるつるする     

てかてかする    
でこぼこする
どきどきする
(どぎまぎする     <まぎ>は<紛(まが)う>由来)
どろどろする (どろどろした) <- 泥(どろ)

なでなでする  (<なぜなぜする>はなまりか) <- なでる(なぜる)
なよなよする (なよなよした)   <- なよやか(?)

にこにこする
にたにたする
にやにやする 

ぬるぬるする

ねちねちするねばねばする    <- 粘(ねば)る

のそのそする     <- のろい(?)
のらりくらりする    <- のろい
のろのろする    <- のろい


はきはきする (はきはきしない)  <- 掃(は)く、 はっきり

ぱこぱこする
はらはらする
はればれする   <- 晴(はれ)、

ぴかぴかする   <- 光(ひか)る
びくびくする     <- 引(ひ)く
ぴこぴこする    <- 引(ひ)く
ひらひらする    <- 広(ひろ)い
ひりひりする
ぴりぴりする
ふらふらする    <- 振(ふ)る、振(ふ)れる
ぶらぶらする     <- 振(ふ)る、振(ふ)れる
ふわふわする
べたべたする
べとべとする
へらへらする    <- 振(ふ)る、振(ふ)れる
ぽこぽこする
ほのぼのする
ぼやぼやする    <- ぼやける、ぼやく((?)

ほれぼれする    <- 惚(ほ)れる

まごまごする
みしみしする  (これはさはがすのに時間がかかった。)
むかむかする
むしむしする    <- 蒸(む)す
むずむずする
めそめそする
めちゃくちゃする
もさもさする
もぐもぐする (させる)
もじもじする
もそもそする
もたもたする     もつ (なが持ちする)
もやもやする

(やきもきする    <焼き><- 焼(や)く)
やれやれする    <- 遣(や)る、やる(=する)
ゆったりする (ゆったりした)
ゆるゆるする    <- ゆるむ

よたよたする

わくわくする

 

さて<擬態語、擬音語+する>はある意味で様態を示すので<形容動詞もどき>(これは上で簡単にふれた)、さらには<形容詞もどき>だ。畳語式(重ね音式)の形容詞をさがしてみた。


青青(あおあお)しい   青い
あらあらしい  荒い
いたいたしい   痛い
いまいましい
重々(おもおも)しい   重い

軽々(かるがる)しい  軽い
くどくどしい   くどい
けばけばしい   毛羽 (けば)
黒々しい    黒い

さむざむしい   寒い    さむざむした、さむざむとした <-さむざむする
白々(しらじら)しい   白い  しらじらしいウソ
すがすがしい   
そらぞらしい    そら(空)  そらっとぼける

たけだけしい   意味がよくわからないが<ぬすっとたけだけしい>
たどたどしい

どくどくしい    毒(どく)

なまなましい    なま(生)
なれなれしい   慣(な)れる
にがにがしい   苦(にが)い
にくにくしい    憎(にく)い

はかばかしい    はかばる、 はかどる 
はなばなしい   はなやか
ふてぶてしい

みずみずしい

よそよそしい   よそ)ほか)の
よわよわしい   弱(よわ)い

わかわかしい   若(わか)い

もとの形容詞の繰り返しが基準だ。以上は大和言葉の畳語で漢語の畳語ははるかに大和言葉畳語以上だろう。

ところで

つぎのような表現を比べてみよう。

おんな おんなしい(女女しい)

なんとか通じ、<いかにも女らしい>だが 、使い方は

花子はいかにも女らしい。

はいいが

太郎はいかにも女らしい。

はおかしい。だが

太郎はおんなおんなしい(女女しい)ところがある。

といいそうだ。ところで

太郎はおんなおんな(女女)したところがある。

でもよさそう。<おんなおんな(女女)した>は<おんなおんな(女女)する>由来だ。

 もうひとつ

このイモは<いかにもいもらしい>。 

このイモは<いもいもしい>。 

このイモは<いもいもしている>。 

この猫は<いかにも猫らしい>。 

この猫は<ねこねこ(猫猫)しい>。

この猫は<<ねこねこ(猫猫)している>。

<xx する>、<xx している>の方が汎用性がありそうで<する>が持つ汎用性の効用だろう。

 <いもする>、<ねこする>ではだめだが、畳語にする擬態語相当になり

 <いもいもする>、<ねこねこする>と畳語にすると擬態語相当になり<擬態語+する>で上で繰り返しているが


あるモノ、コト(モノ、コト、人の感情、心情)の状態、状況の内容は擬態語、擬音語の意味がになっている。

これに<する>がついた形、すなわち

<擬態語、擬音語+する >は

擬態語、擬音語の意味がになっている<あるモノ、コト(モノ、コト、人の感情、心情)の状態、状況>を表わす、言葉として表現する。

を応用すると

<擬態語+する >は

擬態語の意味がになっている<あるモノの状態>を表わす、言葉として表現する。

<いもいもする>、<ねこねこする>は

イモや猫がもつ状態、状況、この場合は特徴を表わす、言葉として表現する

ということになる。

相当長くなってみたので<擬態語、擬音語+する>は以上でとりあえず結論とし、以下は追記とする。


追記

畳語式(重ね音式)だが子音交替、母音交替がある<擬態語、擬音語+する>

一種のバリエーションと言える

あたふた(ata-futa)する

かたこと(kata-koto)する (がたごとする)

 ちくたく(chiku-taku)する

どたばた(dota-bata)する


(追加予定)

 

<する>がつかない擬態語、擬音語もこれまいくらでもありそう。これは<する>の場合とは違って副詞相当だ。

うんうん言う

からから笑う

きっかり来る(着く)
きらきら光る

くすくす笑う
くだくだ言う    くどい
ぐたぐた言う
くるくる回(まわ)る
ぐるぐるる回(まわ)る
ぐんぐん伸びる

けらけら笑う

こっそり盗む  こそどろ
ごしごし洗う
ころころころがる
ごろごろ鳴る

さらさら流れる

しくしく泣く
じっくり見る
じっと見る
じりじりさがる

すいすい泳ぐ
すくすく育つ
すくすく伸びる
すやすや眠(ねむ)る
すらすら読む
ずるずるさがる、おちる   ずり落ちる
ずんずん進む

ぞろぞろついて行く 

つかつか進み出る

てくてく歩く

とことこ歩く
どっかりすわる
どっぷりつかる
どんどん進む、やる、落ちる

なみなみ注ぐ
ぬくぬく育つ

のこのこ出て来る

のしのし歩く
のそのそ歩く
のそのそ起きだす

ぶるぶる震(ふる)える、(振るえる)

まじまじ見る

めきめき上達する(じょうずになる、うまくなる)

もりもり食べる

ぱらぱら散る
ばんばんやる

ぴかぴか光る
ひらひら舞う

びんびん響(ひび)く

ぺらぺらしゃべる
べらべらしゃべる

みすみす逃(のが)す

むかむかする - むかつく 


よろよろ歩く

(追加予定)

 末尾 <。擬態語、擬音語の頭韻遊び>

 

はじめに<擬態語、擬音語は、個人的にはあまり好きではない>と書いたが好きになる方法をみつけた。擬態語、擬音語の頭韻遊びだ。頭韻詩にはならないが頭韻音頭にはなりそう。こういう遊びは実践が必要と考え試したみた。なかなかおもしろい<ことば遊び>だ。

 

擬態語、擬音語の頭韻音頭(とういんおんど)-1

<X + っ + Y + り + する>のパターン


あっさり あさりが 朝寝(あさね)して
いったり きたりで いそがしい       <いっXり>がみつからない。
うっかり うかつに 浮かんでみては
えっちら おっちら えささがし        <えっXり>がみつからない。
おっとり おどおど おとなしい

かっきり きっかり 鍵(かぎ)閉(し)めて
きっちり きちんと 木戸(きど)も閉め
くっきり くりくり 区切りする
げっそり やせても 男(おとこ)は男
こっそり こそこそ こそどろだ。

さっぱり さばさば さばかれて
しっかり しかられ しかめつら
すっきり すっかり すっからかん
せっかち せかさか せかされて      <せっXり>がみつからない。
そっくり そのまま 外(そと)に出る。      

たっぷり もうけが 出るはずが
ちっとも 出ずに ちり積もる     <ちっXり>がみつからない。<ちゃっかり>というのがある。
つっぱり すぎて つぎはぎだらけ  <つっXり>がみつからない。
てっきり てきぱき 敵がくる      <てっXり>がみつからない。
どっきり どきどき どぎもを抜かれ



納豆(なっとう)食べて 納得(なっとく)すれば   <なっXり>がみつからない。
にっこり 笑って
ぬっと出てきた 盗っ人(ぬすっと)が  <ぬっXり>もみつからない。
ねっとり ねちねち ねじあがり
のっそり のそのそ のぞいてる。 

はっきり はきはき 掃(は)きそうじ
ひっそり ひそんで ひそひそ話(ばなし)
ふっくら ふかふか 羽根(はね)布団(ぶとん)
へっぴり腰で へちまが 立って  <へっXり>がみつからない。<べったり>というのはある。
ほっそり腰で 歩く姿(すがた)が なやましい。 

まっさら さらさら 皿(さら)まわし      
みっちり 道(みち)みち 見違える
むっつり むかむか 無我夢中
めっきり 目が出て 目が回(まわ)る
もっこり もこもこ もうこりごり。

やっぱり やっとこ やったが ダメだ。      
ゆっくり、ゆったり、ゆりかご ゆれて
酔った よた者 よたよた 歩く       <よっXり>がみつからない。
わっと おどかし わっしょい、わっしょい    <わっXり>がみつからない。
わっしょい、わっしょい、うん、うん、うん。

 

制限、ルールが多いと<遊び>からはなれるので、自由音頭とする。

 

擬態語、擬音語の頭韻音頭(とういんおんど)-2


あかあか あかるく
いきいき いきる
うきうき うかれて、うさばらし
おろおろ するのは おろかもの。

かるがる かろやか
きらきら きら星(ぼし) きらめいて
くるくる くるんで
けちけち けちれば
ころころ ころがる、ころころ ころがる。

さらさら さらって
しろじろ しらむ
すべすべ すべって すべてが
せかせか せかせか、せいてはことをしそんじる。
ぞろぞろ ぞろぞろ そろって ぞろぞろ。

たっぷり 食べれば
ちゃらちゃら ちゃらちゃら ちらかして
つんつん つんつん 運のつき
てんてん てんてん てんてこ舞(ま)い
どっさり どんぶり
うどんが どんどん。

なくなく 泣けば
にっちも さっちも 逃げられない
ぬくぬく ぬければ
ねちねち ねだる
のっそり のぞけば なにもない。

はきはき 掃(は)けたら
ひっそり ひとり
ふらふら ふられて
へとへと へばる
ほとほと ほだされ ほぞをかむ。

まずまず まざれば ますます まずい
みしみし みしみし ミシンがきしむ
むしむし むせって
めきめき めぐる
もぐもぐ もぐれば もぐらと同じ。

やれやれ やれば
ゆらゆら ゆれて
よろよろ よれば よろこばしい
わくわく 終わって 運(うん)のつき。 

 

支離滅裂(しりめつれつ)、ナンセンスだが、そこがミソ。意外とおもしろいのでもう一つ作ってみた。

擬態語、擬音語の頭韻音頭(とういんおんど)-3

あきあき あきても あきたりない
いろいろ 色(いろ)にも いろいろあるが
いらいらしても 始まらない
うっとり うっかり
えっちら おっちら
おろおろ するのは おろかもの

かりかり かりかり かりんと食べて
きりきり キリンが きりきりまい
くらくら くらやみ 目がくらみ
けろけろ けろけろ カエルがさわぐ
ころころ ころころ ころがる 石ころ

ざらざら ざらざら ザラメがざれる
じたばた しても 始まらない
ずるずる ずると ずれていく
ぜいぜい ぜいぜい 息きらし
ぞくぞく するのは  俗っぽい。

だらだら だらだら 誰もがだれる
ちょろちょろ 見せて ちょろまかす
つくつくぼうしの 運つきて
てるてうぼうずの 出(で)るまくなし
どろどろどろの どろ沼だ。

なれなれしいのは なれてはいるが
にたにたするのは 似たもの夫婦
ぬけねけ言っても ぬけめなし
ねちねちするのは  ねうちなし
のろのろ 呪(のろ)われ のろまと言われ。

はらはら どきどき 腹がへり
ひたひたひたと ひとり 行く
ふらふら ふらふら ふらついて
へとへとへとに へたばって
ほとほと ほどにも ほどがある。

まごまごするのは 孫でいい
みるみるうちに 見えなくなって
むかむかしても むかつくな
めきめき きらめき ときめいて
もりもり 食べれば 盛りだくさん。

やれやれやれと やればいい
ゆらゆら ゆれても ゆるぎない
よろよろ 歩けば よろずがみえる
ワクワクすれば 知恵わき出して
終わってみれは 運(ウン)つき。

いくらでもできそう。脚韻もあった方が語呂がいが、とりあえずは頭韻音頭(とういんおんど)-4.

あれよあれよの あきれ顔
いまいましいのは いましがた
うとうとするのが うとましい
えっちら おっちら 越後(えちご)の国へ
えっちら おっちら 落ちていく 。

かりかりしても かりんと食べて
きりきり舞いも 止まりきる
くりくり頭を くりくりすれば
けらけら笑って おけら顔
ころころ ころがり これまでだ。 

ざぶざぶざぶと ざぶとん洗う
じめじめ じめじめ なめくじが
ずんずん 進んで ずっこけて
ぜんぜん ダメで 全滅(ぜんめつ)だ
ぞろぞろ ぞろぞろ そらぞらしい。

たどたどしいが 正しくて
ちりちり ちぢんで 散(ち)っていく
つかつか つかむが つかまらない
てくてく 歩いて くたくただ
とことこ 歩いて とことん 疲れた。

なみなみ 注(つ)いだ おしるこ なめて
にたにた するのは 早すぎる
ぬけぬけ 盗(ぬす)むは ぬすっとだ
ねばねば ねばるは ばねばかり
のこのこ 残(のこ)って 残(のこ)り組。

はらはら はればれ
ひらひら 開(ひら)いて ひるがえる
ぶるぶる 震(ふる)えて 振(ふ)りかえる
へらへら へばって 減(へ)るばかり
ほとほと ほれぼれ 掘ほ)りかえす。

まるまる 丸(まる)く 丸(まる)まって
みすみす ミスるは 見せしめだ
むざむざ するのは むさくるしい
めらめら 燃(も)えれば めろめろだ
もりもり もがいて 盛(も)りかえす。

やっとこ さっとこ やっぱりダメだ
ゆっくり ゆられて 行(ゆ)くとこなし
よたよた よろよろ よろしくない。
わくわく わけても わからない
うんうん うなって 運(うん)のつき。

 

さらにもう一つ。擬態語、擬音語の頭韻音頭(とういんおんど)-5

あっぱれ あばれて あれよあれよ
行け行け どんどん
うんうん 言っても うんこは出ない
えへん えへんと えばってみても
おっかなびっくり おかしがる。

かるがるしくも からめられ
きりきり きざまれ 切り取られ
くそくそ なにくそ へのかっぱ
けろけろ ケロリン けろけろけろ
ころころ ころがり 助かった。

さんさん さんまが 空を飛び
しらじらしいが 白(し)ら雲を
すいすいすいと すり抜けて
せかされながらも せくことなし
そらぞらしくも そり返る。

たんたん たまごが おったまげ
近(ちか)くで 時計が ちくたく ちくたく
つかつか 進んで つかまえて
手にして 見れば でんでん虫
とんとん 拍子(びょうし)は とんでもない。

はなれ ばなれに 花が咲き
ひらひら 花びら 散り始め
ふらふら ちょうちょが 羽を振る
へっぴり腰で へなへな 飛んで
ほどよく ほとほと ほぞをかむ。

ますます まざれば まぎらわしい
みみず みみずく みさかいなし
むしけら 蒸(む)しても 報(むく)われない 
めめしく 泣くても 飯(めし)はない
もんもん もだえて もうおしまい。

やれやれ やったが やるせない
ゆっくり ゆったり ゆくりなく
よらば よったで よりきられ
わんぱくが わんわん 泣いても
運(うん)尽(つ)きる、うん、うん。 


(追加予定)

 

 

sptt

 



 

 

 

 

Saturday, December 19, 2020

<頭痛をする>は文法的に間違いか?

 

<頭痛がする>が標準的な言い方だが<頭痛をする>は間違いか?和製英語の<エンジョイする>は認められ使われている。細かいことをいえば、エンジョイは動詞(to enjoy)なので<エンジョイメントする>が少し正しいと思うが、長すぎるので言語効率から<エンジョイする>になったのか?どうもそうではなさう。これは別のところで書いたが、<エンジョイする>のエンジョイは名詞形<エンジョイメント>を短くしたものではなく、あくまで動詞の to enjoy だろう。そうすると<する>は<おまけ>だが、日本語として動詞化するには必要な<おまけ>なのだ。この<動詞化する>も同じことが言える。中国語では元来<動詞化>ですでに<動詞にする>の意味がある。<ジョイする>、<エンジョイ>はしようとしてできるが、<頭痛>は、仮病は別として、しようとしてできることではない。<雨がふる>と同じような現象で、<頭痛がする>という言い方が感覚的に違和感がない。やまとことばであれば<頭が痛い>、<頭が痛む>という言い方があある。<痛い>は形容詞、<痛む>は自動詞だ。<頭痛がする>の<する>は自動詞だが、<頭痛をする>がOKとすると<する>は<を>をとるので他動詞だ。ところで<エンジョイする>の<する>は自動詞か、はたまた他動詞か?<エンジョイがする>は<頭痛をする>以上に変だが、<エンジョイをする>なら少し変といった程度でたいして違和感はない。<エンジョイする>の<する>は<を>が前にないが他動詞とみなせそうだ。だが<さあ、みなさん、これからエンジョイをしましょう>とはまずいわないだろう。ことはそう簡単ではなさそうで言葉のおもしろいところだ。

英語(米国英語か)では

Enjoy !
Enjoy your self ! Enjoy your life !

というが、日本語では

Enjoy ! : お楽(たの)しみください。 (この enjoy は自動詞か?)

はまだいいが、Enjoy your self ! Enjoy your life ! は適当な訳がみつからない。 こちらの enjoy は他動詞だ。この英語をアメリア人がこういうのを初めて聞いたときはアメリア人は日本人とは人種が違うと思った記憶がある。


さて、むかし<頭痛、歯(は)いたにケロリン>という薬のコマーシャルがあった。<歯(は)いた>は大和言葉で、頭痛に続くので歯痛(しつう)とばるが、<しつう>では耳で聞いてすぐには何だかわからないので<歯(は)いた>が採用されたのだろう。<歯(は)いたがする>とは言わないようだ。普通は<歯がいたい>。<歯が痛む>。<肩こりがする>、<吐き気がする>はいい。<せきが出る>は<せきをする>というのもある。病理(やまい)表現はいろいろある。

さて<頭痛をする>だが、 継続して、また多くの人々が使っていけば<エンジョイをする>程度の変さになり、さらには日本語として認知されていくのではないか。だが<頭痛がする>と違った意味でないと日本語への貢献度は薄い。 考えられる違った意味は

1) 頭痛を経験している。
例) 最近頭痛をしている。
<最近頭痛がして>はいいが<最近頭痛がしていて> はややおかしい。

2) 頭痛の意識をしている。 頭痛を意識している。

例)太郎はきょうは休みか? そういえば太郎は<最近頭痛をしている>といっていたな。
上で
<頭痛>は、しようとしてできることではない
と書いたが、意識するこはできる。特によくおこる頭痛は健康にかかわるので意識するだろう。

3) 2)と関連するが、頭痛が経常的におこるとき。 経常的におこることを表わすとき、表わしたいとき。

 

<元気>はいい例だ。

元気がある - 元気がでる - 元気だ  <元気をする>は<頭痛をする>、<エンジョイをする>に近い。<最近元気してますか?>は認知されていそうだ。<最近元気してますか?>はさらに一歩進んだ新表現といえよう。

 

(追加) <病(やま)い>、生理現象

人との関係が強いが一種の自然現象だ。

<病(やま)い>

腹が痛い - 腹痛がする
歯が痛い
胃が痛い - 胃痛だ。<胃痛がする>はやや変だ。
腰(こし)が痛い - 腰痛(ようつう)だ、腰痛がする。
膝が痛い

咳(せき)がでる -せきをする
熱がでる - 熱がある
吐き気がする
寒気がする
めまいがする

病ではないが、日常的な生理現象も自動詞表現が使われる。


元気がある - 元気がでる - 元気だ  <元気をする>は<頭痛をする>、<エンジョイをする>に近い。<最近元気してますか?>とは言いそうだ。

くしゃみがでる - くしゃみをする
げっぷがでる - げっぷをする
あくびがでる - あくびをする
鼻水がでる
くそがでる - くそをする
おしっこがでる - おしっこをする
へ(おなら)がでる -  へ(おなら)をする
いびきをかく - いびきをする
息(いき)をする

<xx をする>の<する>は他動詞か自動詞か?

sptt
 

Thursday, December 3, 2020

自動詞と他動詞の違いを考える-2、自立動詞と他立動詞


前回の<自動詞と他動詞の違いを考える>のポストの最後は


疑問が多く、結論が出ていないがひとまずここで終える。継続予定。

となっているので、継続するが、前回の内容とは関係ないといっていい。

英語では他動詞が transitive verb 自動詞が intransitive verb で他動詞が主、自動詞が従の印象をあたえるが、日本語で<自他>に<主従>の意味はない。英語国民がどう考えているかわからないが、日本語では<自動詞、他動詞>とたいていはこの順序だろうが、この順序に主従関係はない。ところで、自動詞はいいとして他動詞の<他>は文法用語の分類のための象徴的な<他>の意味以外に何か意味があるのだろうか。日本語文法では基本的には<を>をとれば他動詞ということになっているが(変な言い方だが<大雑把な大原則>)、<を>をとることと<他>の関係をみつけるのは簡単ではない。<自動詞、他動詞>は文法用語で<自動>の動詞、<他動>の動詞という意味はない。あくまで<自>の動詞、<他>の動詞。くどくなるが、頭に<自>の字がつく動詞、頭に<他>の字がつく動詞ということに過ぎないのだ。

中国語では自動詞と他動詞という言葉は使わず

自動詞 - 不及物動詞

他動詞 - 及物動詞 

と名づけされているが、おそらくこれは英語の苦心の翻訳語で、<直接目的語(物)をとる、とらない>の区別をあらわしており

不及物動詞 - intransitive verb
及物動詞  - transitive verb

に相応している。また実際には中国人は英文法学習用には使うが中国語には適用しないだろう。だが日本語の中国語テキストでは不及物動詞、及物動詞がでてくる。

<東京に行く><去东京( 東京)>と言う。日本語文法からは助詞<に>相当の語がないのでなれるまでは何か東京を食べてしまう感じだ。<吃饭(飯)(ご飯を食べる)>はまたその類推から<去東京)>の<去>は他動詞のように見える。調べてはいないが、それでも中国語では英語の<to go (= 去)>が自動詞(intransitive verb)なので<去>は不及物動詞(自動詞)扱いだろう。そうすると中国語では<を>をとれば他動詞というわけにはいかない。もっとも英語でもこの目的格をあらわす助詞<を>はないので、<を>をとれば他動詞というわけにはいかない。英語では直接目的語を取れば他動詞、to go to Tokyo のように直接目的語がない(名詞に前に前置詞がある、言い換えると、動詞の後に日本語の助詞相当の後置詞がある)場合は自動詞。英語国民も<去东京( 東京)>の直訳 to go Tokyo は大きな違和感があるだろう。

走路 - 道を歩く

<歩く>は日本語では自動詞だが<を>をとる。これは<を>をとる自動詞で説明される。このため日本人にとって<走路>は<去東京>と違って違和感はない。だだ英語国民にとっては to walk on the road (street) が<走路>では to walk road(street) となるのでこれまた違和感があるだろう。中国語も日本語も定冠詞はない。

一方英語でもこのようなことは言え、下の二例はいづれも英語として正しい。

to meet Hanako  (to meet は直接目的語 Hanako をとるので他動詞)
to meet with Hanako (to meet はHanako の前に前置詞 with をとるので自動詞)

日本語では<花子にあう(会う><花子とあう(会う、合う>で<会う>、<合う>は<を>をとらないので自動詞。念を押せば<花子を会う、合う>とはいわないので自動詞。これは文法規則だ。細かことを言えば<文法>は文字通りでは<文の法則>。規則や法則には例外がある。文法はこの例外が数学定理や物理の法則と違って文法則の例外が多く、収拾がつかない場合が数多くある。このポストのタイトル<自動詞と他動詞の違い>に文法則はあるが収拾がついていない代表的な例だ。これは日本語に限らず、英語、中国語も同じような状況だろう。このような状況から、正しさ度合に違いはあるだろうが文法の仮説はいくらでもできる、さらにはでっち上げることができる(ここで<でっち上げる>は悪い意味ではない)。以下新仮説、<でっち上げ仮説>の一つを述べることにする。

忘れないように、また話がそれて行かないように、結論から先にのべると(この方法を数学では<演繹(えんえき)法>と言うようだ)

自動詞が<主>、他動詞が<従>

自動詞は自立(律)動詞、他動詞は他立(律)動詞 、他依存動詞

<立(律)>は<立>でも<律>でもいいという意味だが、自律は自律神経からすると自分を律する(コントロールする)、おのずから律する(コントロールする)という意味で、それなりの意味はあるが、ややこしくなるので以下は

自動詞は自立動詞、他動詞は他立動詞 、他依存動詞

として話を進める。 <他動詞は他立動詞 、他依存動詞>の方がミソなのだが<自動詞は自立動詞>の方から始める。ここで<自立>とは<おのずから立つ>で他に依存しないということなのだが、文法上具体的に直接目的語をとらない、直接目的語をとらなくとも意味が成り立つということだ。だがこの直接目的語は多分に英語文法の直接目的語で、日本語にはそのまま当てはまらない。上で紹介したので繰り返すことになるが、

<去東京)>の<去>は他動詞のように見える。調べてはいないが、それでも中国語では英語の<to go (= 去)>が自動詞(intransitive verb)なので<去>は不及物動詞(自動詞)扱いだろう。

ここで<東京>は中国語でも直接目的語ではないだろう。日本語では<東京に(へ)行く>で助詞<に(へ>>があるため<東京>は直接目的語ではないのが明らかだ。これは中国語に比べ助詞の分だけ長くはなるが日本語の特徴、利点と言える。また

<道を歩く>の<歩く>は日本語では自動詞だが<を>をとる。これは<を>をとる自動詞で説明される。 

ここで<道>は直接目的語ではないことになっている。難癖(なんくせ)をつければこれは文法違反だが、これにはそれなりに規則らしいものがあり、<規則的な例外>と言える。ややこしいがこれは文法規則とすることができる。

したがって、直接目的語はかなり恣意(しい)(かって)的、主観的で、使われる言葉、言葉の並び方では判断できない。だが目安(めやす)としては<を+直接目的語>をとらない動詞を<自立>動詞とする。

以上もっともらしく話をすすめているが、別んポストではフランス語やイタリア語で頻繁に使われる再帰動詞にからめて

上記の表現がどこまで自動詞化しているかは別途調べる予定だが、 <他動詞の自動詞化>とみなせる。

などと書いているので、以下はあくまで  仮説の一つと見ていただきたい。

 

A. 自動詞は自立動詞

<自立>の<立つ>は自動詞。

立つ - 立てる。 ややこしいが<立たす>は自動詞<立つ>の使役がかっている。

<使役がかっている>としたのは

太郎を廊下に立たせる。

は使役でいいが

旗を廊下に立たせる。

は使役とはいいがたい。普通は

旗を廊下に立てる。

と他動詞<立てる>を使うが、100人のうち数人は<旗を廊下に立たせる>、<旗を廊下に立たせよう>と言いそうだ。もっとも人は出てこないが使役では<横になっている廊下の旗を立たせて来い>と言うだろう。またもっとも<横になっている廊下の旗を立てて来い>でもいい。<立てる>は自動詞<立つ>のペア他動詞といえるのだが、使役がかった<立たす>は何か。手もとの辞書で少し調べてみたがよくわからない。<立たす>はどうも(関東)方言のようで、標準語は<立たさす>、<たたさせる>(手もとの辞書も未然形につく使役に助動詞そして<さす>と<させる>がのっている)のようだ。

廊下に太郎を立たす。 -> 廊下に太郎を立たさす。

<未然形+す>よりも<未然形+さす>の<さす>の方が二音節で使役度が高いか? 

話をさらに混乱させることになるが他動詞<立てる>も使役が可能だ。

横になっている廊下の旗を太郎に立てさす、立てさせる。 

<立てす>はだめだ。したがって<未然形+す>の使役形は凡用性がないことになる。

この論議はまた後ででてくる。 同じような論議は2013年に<自動詞、他動詞-7 他動詞と動詞の使役形>というタイトルで書いている。今読み返してみると、私の見方は基本的に変わっていないが、あっさり書いている感じで、結論めいたことは書いていない。今回は何が何だか自分でもわからないくらいゴチャゴチャになっているが、結論めいたものを出そうとしている。そしてこの結論めいたものは自立動詞、他立動詞に関連している。

さて<立つ>は主に人や動物の動きだ。<たつ>は多義語でいろいろな漢字が使われるが家や建物には<建つ>、<建てる>が用いられるが基本的には<たつ>、<たてる>だ。<動き>の動詞は自動詞が多い。

<立つ>の反義語の一つは<すわる>だ。<すわる>は自動詞、呼応する他動詞は<すえる>。

漢字にすると

座(すわ)る - 据(す)える (英語も to sit - so set のペア自他動詞になっているが英語では数少ない例だ。)

となるが、ひらがなで書けば

すわる - すえる。

<腰を据える>は、<座る>にほぼ等しい。<腹をすえる>は<腹をたてる>の反義語に近い。

<立つ>の反義語では

倒(たお)れる - 倒す
ころぶ - (ころばす)
つまづく  - (つまづかす)
ねる(横になる)、 ねている(横になっている) - 廊下にねている旗を立たせて来い

もある。<ころぶ>はペアの他動詞がないようにみえる。<ころばす>は<ころぶ>の未然形+使役の<す>と分析できそう(行く->行かす)だが、<太郎に花子をころばさす>が使役形だ。<太郎に花子をころばす>はなぜか変でダメのようだが、<太郎に>のない<花子をころばす>は変ではない。<ころばす>はそうすると<ころぶ>のペアの他動詞か?ペアらしい他動詞は<ころべる>だがこの意味で<ころべる>は聞いたことがない。使う機会はきわめて少ないと思うが<ころぶことができる>が<ころべる>になる。<ころべられる>、<ころべれる>も可能形だがますますこういう人は少ないだろう。”<太郎に花子をころばさす>が使役形だ” と書いたがは微妙なところというか大事なところがある。<ころぶ>は意図しないことだ。<ころぼうとして><ころぶ>わけではない。<太郎に花子を行かさす>も同じようなこと言え、元来花子は<行く>は意図しないことだ。場合によって<行きたくない>かもしれない。そのような状況で、花子を無理やり、または説得して、あるいはこれまた場合によってはお願いして<花子が行くようにする>こと言える。これまた<太郎に花子を行かす>は線だが<太郎に>のない<花子を行かす>は変ではない。わけがわからぬなったところで、話は<ころぶ>にもどって、花子は<ころぼうとして><ころぶ>わけではない。そのような状況で、<太郎に花子をころばさす>は花子を無理やり、または説得して、あるいはこれまた場合によってはお願いして<花子がころぶようにする>こととは言えない。したがって<ころばす>は単純に<使役形だ>とはいえない。これでますますわけがわからぬなった

<つまづく>もペアの他動詞がないようで、チェックしてみると<ころぶ>と同じような具合になる。

<ねる(横になる)>は意味的には<自立して(立って)はいないが、今進めている論議では<を+直接目的語>をとれないので自立動詞だ。 <ねる>は<寝る>の意味もある。これまたややこしいが<寝る>は場合によってはさらに<眠(ねむ)る>の意味もある。<ねる>に関してはおもしろい発見をした。<ねる>の使役形は<ねさす>、<ねらさす>、<ねらさせる>がある。だが、<ねる>のペア他動詞に<ねかす>がある。<寝かす(眠らす)>だけではなく、立っているモノを横にする、横たえるのも<ねかす>だ。だがおもしろい発見はこれではなく

ねる (自動詞、自立動詞) ー> 寝かす(他動詞)

ローマ字書きすると

ne-ru -> ne-ka-su 

と ka の発音が加わるのだ。<かす(ka-su)>は<xx く>の未然形で<xx か>+<す>で

行く - 行かす (行かさす、行かせる、行かさせる)
書く - 書かす  (書かさす、書かせる、書かさせる)
咲く - 咲かす  (咲かさす、咲かせる、咲かさせる)
炊(た)く - 炊(かす  (炊(かさす、炊(かせる、炊(かさせる)
泣く - 泣かす  (泣かさす、泣かせる、泣かさせる)
引く - 引かす  (引かさす、引かせる、引かさせる)
巻(ま)く - 巻かす  (巻かさす、巻かせる、巻かさせる)
焼く  - 焼かす  (焼かさす、焼かせる、焼かさせる)
沸(わ)く - わかす  (わかさす、わかせる、わかさせる)

これはいくらでもある。

<xx-ku > -> <xx ka (-su) >で母音交替がみごとに規則的だ。

 ne-ru -> ne-ka-su の形(ka が入り込む形)の自他ペア動詞を探してみたがたが見つからない。<見つからないのを見つけた>のだ。これが大発見。いろいろチェックしてみたが、結論を先にのべると、これは

 ne-ru -> ne-ra-ka-su -> ne-ka-su

の変化である可能性が高い。これと関連しては

ちる - ちらす - ちらかす
chi-ru -> chi-ra-su  -> chi-ra-ka-su (chi-ra-ka-ru)

鳴(な)る - 鳴(な)らす - 鳴らかす
na-ru -> na-ra-su -> na-ra-ka-su

<鳴らかす>は超方言口語だろう。こどものころ<そんなにくるまのホーンを鳴らかすな>というのを聞いたことがあるような気がする。

やる - やらす - やらかす 
ya-ru -> ya-ra-su -> ya-ra-ka-su  やらかす  へまをやらかす

<やらかす>も超方言口語だ。<へまをしでかす>というのもある。<し>は<する>だが<で>はなにか?多分<でる>、<だす>関連だろう。

というのがある。 したがって

ne-ru -> ne-ra-ka-su -> ne-ka-su

の変化である可能性が高い、ということになる。

さらに<まかす>、<だれだれに xx をまかす>の<まかす>の自動詞が見つからないのも発見した。<まかす>の使役形は<まかさす>、<まかせる>、<まかさせる>だが、<まかす>と<まかせる>はほぼ同じ意味(ニュアンス)で使役性がうすい。もっとも<まかさす>、<まかさせる>も使役性がうすいといえる。これは<まかす>の意味内容に関連しているからだろう。

ともっともらしく書いたが、手もとの辞書では<まかせる>の見出しと解説があるが、<まかす>が見出し語にない。よく見ると<まかせる>の解説の最後に<まかす(他、五段)>とごく簡単にかいてある。

名詞(体言)用法の<おまかせ(メニュー)>は下一段活用の<まかせる>連用形<まかせ>由来だ。五段活用の<まかす>だど<まかし>で<おまかし>になる。<おまかしメニュー>でもよさそうだが、ほとんど聞かない。使い分けがありそうだが、ここではこれ以上進めない。さて<まかす>の自動詞が<上記の<巻(ま)く>が自動詞候補だ。<巻く>は自他兼用動詞で、しかもいろいろな意味がある。

風が巻く。竜(たつ)巻きか?
水(の流れ)が巻く。渦巻きか?

だが関連が見つけられるのは他動詞の<巻く>で<いろいろなモノを巻いてまとめて渡して頼む>。つまりは<一括請負させる>-><まかせる>。かなりのコジツケだ。

もう一つは、<まかす>の<ま>は接頭辞で、意味は<かす>にある。<かす>は現代語大和言葉では<貸(か)す>として使われているが、

カネを貸す

とは信頼できる人(ほぼまちがいなく貸したカネを返してくれる人)にカネを<まかす>、<まかせる>ことで、カネの使い方は問わない。これだと解説に矛盾が出るので、カネを<預ける>、<預からす>こととする。

カネ(モノ)を貸(か)す - 返してくれることを前提にカネ(モノ)を人に預(あず)ける

となる。 <預(あず)ける>も預けたモノ(カネ)を返してもらえることが前提になっている。

この状況はかなり<まかす>に近い。<xx をまかす>は

花子に仕事をまかす。
太郎に赤ん坊(の世話)をまかす。
次郎に重大任務をまかす。

で まかしたことの<十分期待できる返り>がある。<かす>は二音節で日本語動詞の基本形といえる。基本形と’いうことは、ほぼ日本語ができたころに使われ始めたと考えられる。このような言語創成期に<かす>が<返してくれることを前提にモノを人に預(あず)ける>(日本語創成期にカネはなかったろう)という複雑な意味があったとは思われない。おそらく<まかす>のような意味があっただろう。つまりは<かす>が言葉はなかったがより一般的な<まかす>の意で使われていた。このより一般的な意味をもつ<かす>が<返してくれることを前提にモノを人に預(あず)ける>に特化されていったため、本来のより一般的な<まかす>の意のある言葉が必要になったきた。<ま>には<まこと(ま+こと)>の接頭辞の<ま>で、単なる<おと>だけの接頭辞ではなく<返してくれることが十分期待できる>の意もありそうだ。こちらの節は<かなりのコジツケ>でもない。

さて、ne-ru -> ne-ka-su の形(ka が入り込む形)は二音節動詞では見つからなかったが、音節が
ふえれば<かす>動詞はある。

おびえる - おびやかす   古語が<おびゆ>で説明がつく。
ごまかす  <誤魔化す>はあきらかに当て字で、当てにならない
だます - だまかす (方言か?)   <だまる - だまらす>と関連がありそう。
ちる - ちらかす (ちらす) (上で言及した)
ばける - ばかす   <バカ>の語源候補
ひえる - ひやかす    古語が<ひゆ>で説明がつく。
ひえる - ひやかす
(ひける) - ひけらかす
(ほったる) - ほったらかす
(みせびる) - みせびらかす

<ねかす>は別として、なぜかいい意味の<かす>動詞はないようだ。これは別のところで<おもしろい<かす動詞>といったタイトルでもう少しほりさげて書いている。<さす>では

似る - 似さす
見る - 見さす

が語幹<に>+<さす>、<み>+<さす>になる。ただし<さす>は使役の助動詞だ。一方<かす>は使役の助動詞にはなっていない。見方を変えれば<かす>は自動詞の他動詞化の動詞語尾と言えそう。

 

1.<動き>の自動詞

<動き>の動詞は自動詞が多いが対応するペアの他動詞があるものとないものがある。

動く - 動かす
歩く
ころぶ
つまづく
走る
ころがる - ころがす
落ちる-落とす

<財布をなくす>を場合によっては<財布を落とす、落とした>という。実際には<財布が落ちる、落ちた>のがどうしたことか?これは、失敗、ヘマをした責任に逃れの表現ではないか?<財布を落とす>意図はなく、誰かが<(わたしの)財布を落とす、落とした>の意ではないかと疑っている。この<誰か>は神とか天とすると<責任に逃れ>には都合がいい。

あがる(上がる)- あげる(上げる)

のぼる  <階段をあがる、のぼる>は<を>をとるが<あがる、のぼる>は自動詞っぽい。<座敷にあがる>、<木にのぼる>。この<木>は<のぼる>という行為の直接的な対象で直接目的語のように見える。<山にのぼる>はなにか違和感があるが<山をのぼる>というのも何か変だ。

さがる  <さがる>で自動詞だが<部屋をさがる>とう慣用的な言い方がある。ペアの他動詞は<さげる>だが、<花子は首にネックレス、耳にはイヤリングを下げている>の<さげる>は他動詞っぽくない。<花子の首にネックレス、耳にイヤリングが下がっている>は何か変な描写だ。

くだる - くだす

<山をくだる>と言うがこれは慣用的な言い方で、山が直接目的語とは言い難い。<くだす>は見かけ<くだる>の他動詞、使役形だが、意味は<くだる(おりる、下にさがる)>の意味から離れる。判断をくだす。腹をくだす(腹がくだる)。

乗る - 乗せる

<太郎に車に乗らせる>は<に>が続けて出てきて聞きにくいが、自動詞<乗る>に使役形とみなせる。一方<太郎に車を乗らせる>は<太郎に車を運転させる>の意味になる。<太郎を車に乗せる>の<乗せる>は他動詞で<運転させる>の意味にならない。

降(お)りる <階段をおりる>は<を>をとるが自動詞っぽい。<バスからおりる>とも<バスをおりる>ともいう。 <降(お)りる>の使役形は<降(お)りさす>、<降(お)りさせる>で<花子にバスをおりさす、させる>となる。一方<荷(に)をおろす>で<おろす>はペアの他動詞になる。<荷がおりる>はおかしいが<肩の荷がおりる>ならいい。

泳ぐ 
もぐる
浮く
沈(しず)む - 沈める  (<静まる-静(鎮)める>の自他ペア動詞がある。

流れる - 流す

飛ぶ - 飛ばす <空を飛ぶ>は<を>をとるが動詞としては自動詞性が強い。紙飛行機(ロケット)を飛ばす。

跳(は)ねる、飛び跳ねる、跳ね返る
曲がる - 曲げる

<かどを曲がる>と言うが、<かど>が<曲がる>接目的語とは言い難い。実際には<かどにそって曲がる>で<曲がる>はあくまで自動詞だろう。<曲げる>というれっきとしたペアの他動詞がある。<かどを折れる>ともいうが<折れる>は他動詞<折る>の何か?<木の枝を折る>の受身形は<木の枝が折れる>ではない。<木の枝が折られる>で受け身になる。この辺は外国人泣かせだろう。<折れる-折る>は自他コンビだ。<ねる>と同じく意味的には<折れ>ては自立しなくなくなるが、<折れる>は目的語がなくとも意味が成立する自立動詞だ。

下線部はこれから述べることに関連している。

いくらでも例がありそうだ。際限なく続きそうなのでこれくらいにするが、以上自動詞のうち

歩く
走る
ころぶ
つまづく
のぼる (自動詞として)
泳ぐ
もぐる
浮く
跳(は)ねる

には対応する純ペアの他動詞がない。これは大きな特徴といえる。使役とペア他動詞は違うが、違いは微妙な場合が多い。また上で少し触れたように(立つ-立たす-立たさす)使役にも度合があるようで、ややこしい。だがこの<微妙な場合>や<ややこしい>が重要になってくるので、<のおざり>(この語源は何か)にできない。もっともらしいが反論はすぐ出て来る。

歩く - 歩かす - 歩かさす - 歩かせる
走る - 走らす -走らさす -走らせる
ころぶ - ころばす - ころばさす - ころばさせる
つまづく - つまづかす - つまづかさす - つまづかせる
のぼる - のぼらす - のぼらさす - のぼらせる
泳ぐ - 泳がす - 泳がさす - 泳がせる
もぐる - もぐらす - もぐらさす - もぐらせる
浮く - 浮かす - 浮かさす - 浮かせる
浮かぶ - 浮かべる (これは自他ペア)
跳(は)ねる - (<跳ねす>というのはない) 跳(は)ねさす <跳ねる>は<xxを跳ねる>で他動詞にもなる。

右側の動詞は<を>をとる他動詞だが使役的な他動詞だ。<使役的な他動詞>としたのは目的語がひとや動物であれば

歩く - 太郎を歩かす
走る - 花子を走らす
ころぶ - 次郎をころばす
つまづく -美代子をつまづかす
のぼる - 犬をのぼらす
泳ぐ  - 猫を泳がす
浮く - 佐藤を浮かす 
もぐる - 加藤をもぐらす
跳(は)ねる - 山田を跳(は)ねさす

でだいたい使役の意味がある、残る。<太郎を動かす><太郎を動かしてxxさせる>で使役の意味もあるが<じゃまになっている太郎を動かす>では使役の意味がない。<次郎をころがす>も使役の意味がでにくい。使役の意味を出させようとすると<次郎にたまをころがさす>となる。目的語がひとや動物ではなくモノ場合はどうか。

歩く - (花子を歩かす) 適当な歩くモノがない。 ロボットを歩かすは使役的だ。
走る - 電車を走らす
ころぶ - (次郎をころばす)
つまづく - (美代子をつまづかす)
のぼる - (犬をのぼらす)
泳ぐ  - (次郎を泳がす)  適当な泳がすモノがない。 おもちゃのカエルを泳がすも使役的だ。
もぐる - 潜水艦をもぐらす
跳(は)ねる - ボールを跳(は)ねさす

対応する(ペアの)他動詞がない自動詞は<孤独(こどく)自動詞>、<ソロ(splo)自動詞>と名付けられそう。 さて話はややこしくなるが<を>をとる自動詞を考え直してみる。以前に ”<を>をとる自動詞、移動動詞>" というようなタイトルのポストを書いているが、これは一般的に認められているようだ。

<行く>、<来る>は動きの自動詞だが移動動詞の代表と言える。<行く><来る>はペア他動詞がなく他動詞は使役になる。

行く - 太郎を行かす、行かせる
来る - 花子を来さす、来させる

<行く>、<来る>は自動詞だが当たり前のように<を>をとる。

我が道を行く
遠い道のりを来る、暗い夜道をくる

ところが今回調べ、考え直してみると、”<を>をとる自動詞、移動動詞>" はさらに

<を>をとる自動詞、動き動詞

と一般化できそうだ。<移動(移る)>は<動き>に含まれるので、一般化になる。数学や物理ではこの<一般化>は最重要課題と言っていい。これは文法にも言えるだろう。またここでは詮索しないが<移動(移る)>の英語のtransitive、trans は移動と関係がある。

動く - ゴキブリが、お掃除ロボットが床を動く。
歩く - 道を歩く。これは移動動詞とみなせる。
走る - 運動場を走る。これも移動動詞とみなせる。
ころがる - まりが坂道(下り坂)をころがる。これも移動動詞とみなせる。
泳ぐ  - それは畳(たたみ)を泳ぐようなもので、効率が悪い(ナンセンスだ)。
もぐる - もぐらは土をもぐる。<土にもぐる>は隠れるような感じがあるが<<土をもぐる>は積極的、自主的な感じがする。
飛ぶ - 空を飛ぶ。これは移動動詞とみなせる。
跳(は)ねる -  ボールは壁をはねる。

<動き>は移動を伴うことが多いので、以上のようになる。したがって移動を伴わない<動き>の動詞例をチェックしないといけない。 移動を伴わない<動き>の動詞というのがあるのか?

まわる - まわす (自転、to spin)

普通は<地球はまわる>と言い<地球がまわる>はあまり聞かない。<地球をまわす>はまず聞かない。一方普通は<コマがまわる>と言い<コマはまわる>はあまり聞かない。<コマをまわす>は普通の言い方だ。大きさからして普通の回るものはコマ扱いだろう。

まわる - まわす (公転、to orbit) -公転はあきらかに移動をともなう。

<地球は太陽をまわる>で<まわる>は<を>をとる自動詞になる。<太陽は地球をまわす>と言えるのか?

ゆれる - ゆらす

振り子は動いているが、移動しているとは言い難い。それでも<xxの間をゆれる>という。

<動く>は手もとの辞書では哲学的、物理学的に

時間の経過ともにその位置がかわる(こと)

とある。

話がだいぶ長くなってきたので結論を出したいとことろだが、独断、間違いを少なくするためにはもう少し自動詞の範囲を広げて調べる必要があろう。だが以上から<動く-動かす>を代表させて結論めいたものを垣間(かいま)見ておく。

 動く-動かす

の<動かす>は自動詞<動く>の使役形か、それとも自動詞<動く>のペア他動詞か、という疑問だ。私の意見はどうもはっきり区別できない中間のどこかにあるような気がする。言い換えると

自動詞<動く>の使役形と言えるほど使役がかってはいないが、自動詞<動く>のペア他動詞といえるほど他動詞として一人前になっていない。

といったところだ。ところで、からかっているようだが、 結論めいたものと言ったのはこれではなく、結論めいたものというのは

他動詞<動かす>は自動詞<動く>由来 

動く -> 動かす

と言うコロンブスの卵みたいな 結論だ。例は

下(くだ)る -> 下(くだ)す
飛ぶ -> 飛(と)ばす
乗る -> 乗せる

で矢印の逆は考えにくい。

流(なが)れる -> 流(なが)す

これは<流る>由来。<流す>は使役形だ。<xx が流る>、<xx を流る>と言っていたかもしれない。さらには昔は助詞のない<xx 流る>での両方の意味があったと思われる。<xx を流る>といっても<流す>の意味はない。<流す>は使役形なので<流る>の使役形由来だろう。

落ちる -落とす

これは<落つ>由来。<xx が落つ>は自然だが、<xx を落つ>は不自然だ。<落つ>の未然形は<落ちず>で<落ち>なので<落ちす>、<落ちさす>などとなるが、これが<落とす>になったものだろう。<使役形の<す>が残っている。したがってこれは<落つ>-><落とす>の変化とみていいだろう。

ところで、<動き>動詞でもペア自他動詞がある。上にあげた例では

下(さ)がる - 下げる

これは<下(さ)ぐ>由来で、<xx が下ぐ>、<xx を下ぐ>と言っていたかもしれない。さらには昔は助詞のない<xx 下ぐ>で自動詞、他動詞の両方の意味があったと思われる。
沈(しず)む - 沈める

曲がる - 曲げる

これは<曲ぐ>由来で、<xx が曲ぐ>、<xx を曲ぐ>と言っていたかもしれない。さらには昔は助詞のない<xx 曲ぐ>で自動詞、他動詞の両方の意味があったと思われる。

最後の二例は<xx まる-xx める>自他ペア動詞 (例:まるまる-まるめる、からまる-からめる、たまる -ためる)に代表される日本語動詞の大きな特徴のひとつの自他動詞の作られ方で、母音交替が簡単だが重要な働きをしている。これは矢印の方向が決めにくい

<行く>、<来る>は動きの自動詞だが移動動詞の代表と書いたが、準代表動詞に

進む - 進める
しりぞく - しりぞける 

がある。他動詞はまだ一人前になっていないようで

<軍隊(馬)を進める>は

軍隊(馬)を進ます、進ませる、進まさせる

も使いそうだ。 <進まさせる>は使役感があるが<進ます、進ませる>は<進める>とたいして変わりがないように思える。一方

<軍隊(馬)をしりぞける>は何か変だ、<敵をしりぞける>ならいい。<軍隊(馬)をしりぞける>は

軍隊(馬)をしりぞかす、しりぞけさす、しりぞかせる、りぞかさせる

が考えられるが、使役のようでもあるが他動詞のようでもある。 <軍隊(馬)をしりぞかす>が一番他動詞のようで<敵をしりぞかす>も他動詞に近く(または他動詞で)<しりぞく>の使役形というのはおかしい。それでは<しりぞかす>と<しりぞける>はどこが違うということになる。<しりぞく>はもともと自他兼用だったろう。

馬がしりぞく。 あるいはこの意味で<馬しりぞく>。
馬をしりぞく。  あるいはこの意味で<馬しりぞく>。

さらには<進む>の方も 

馬がすすむ。 あるいはこの意味で<馬すすむ>。
馬をすすむ。  あるいはこの意味で<馬すすむ>。

つまりは自動詞から、あるいは自他兼用動詞から<他動詞>が出てきたと言えないか?

<動き>の動詞に関連して<動かない>、言い換えると<とまる>、<とどまる>がある。

とまる - とめる  <まるーめる>動詞だ。

<止まる>以外に<泊まる<があるが関連語だ。もとは<止(と)む>で自他兼用。これが<まるーめる>の自-他になっていったと考えられる。<やむ>も同類だ。<やむ>は古語のように聞こえるがまだ辛抱強く残っていて、

雨がやむ。やむをえない、 やむをえず、やむにやまれず、やむなく

と現代語でも普通によく使われる。<やむ-やめる>はまだ<まる-める>自他動詞の<やまる-やめる>の移行期にあるのではないか。また地方にによっては少数はだが

雨がやまる。風がやまる。

と言うようだ。<やむ-やめる>はまだ<まる-める>自他動詞の<やまる-やめる>の移行期にあるのではないか。<やむ-やめる>の活用をチェックしてみる。

雨が
やまない
やんで(やみて)、やみました
やむ
やめば

五段活用

会社を
やめない
やめて、やめました
やめる
やめれば

下一段活用

<やまる>を活用させると

雨が
やまらない
やまりて、やまりました
やまる
やまれば 

<やまりて>、<やまれば>は認知されていなようだ。むしろ<雨やまりて>は古語の風情だ。

 やむをえない、 やむをえず、やむにやまれず、やむなく

の慣用句を検討してみる。言い方は違うがみな同じような意味だ。

本来はしたくなかったが、せざるをえなかった。
本来はしたくないが、せざるをえない。
しかた(仕方)なく 、他に適当なしかた(仕方)がなかった/ないので

といったかなり複雑な状況、あるいは背景で使われる。

<やむ>は本来<止まる>の意なので、言い換えると

やむをえない、 やむをえず -> 止まるをえない、止まるをえず -> 止まることができない
やむにやまれず -> 止まるに止まれず
やむなく ‐> 止まるなく -> 止まることなく

となるが、どうもこなれれた言い方ではない。<止まる>を他動詞の<止める>に換えてみると

やむをえない、 やむをえず -> 止めるをえない、止めるをえず -> 止めることができない
やむにやまれず -> 止めるに止められず
やむなく ‐> 止めるなく -> 止めることなく

この<止める>は表面には出てこないが<自分が自分を><止める>の意に近い。 少し上のイタリア語の再帰動詞用法あるいは再帰動詞法を参考にすると、他動詞による再帰用法は自動詞になる、自動詞の意味になると関連があろう。日本語の場合は、ある意味でこれとは逆で

<やむ>はもとは自他兼用動詞で

雨やむ  ->  雨がやむ
武士やむ -> 武士をやむ 

と使われただろう。つまりは<やむ>に他動詞用法があったのだ。<やむ>は自他のどちらが<主>かとえば<自>だろう。自動詞の<やむ>はいまもそのまま使われているのが、<自>が<主>の根拠だ。

とどまる - とどめる  これも<まるーめる>動詞だ。これももとは<とどむ>で自他兼用だったろう。他動詞の方はいまでもがんこに残っていて

xxをとどむ    xxの跡をとどむ

という。

<xxがとどむ>も探せばあるだろう。ちなみに<が>がない

xxの跡とどむ

は自動詞に聞こえる(xxの跡がとどまる、とどまっている)。

<とどめをさす>という言い方があるが、<とどめ>は<とどむ>の連用形の体言(名詞)用法。<完全に止める、やます、やめさす>の意だ。

 

つぎに<動き>関連以外の自動詞とし日常生活関連の動詞をチェックしてみる。

生きる - 生かす
死ぬ - 死なす
生まれる - 生む、生ます
起きる - 起こす
寝(ね)る - 寝(ね)かす (赤ん坊を寝(ね)かす)。人によっては<寝(ね)さす。寝(ね)かさす>という。
休(やす)む - 休める、休ます 自動詞としての<休む>は<鳥が木の枝(屋根の)の上で休む、休んでいる>が一例。人の場合は<からだが休まる>で<休まる>も使う。対応ペア動詞は<休める>になろ。<からだを休める)。だが<からだを休ます>ともいう。一方<学校(会社)を休む>というので<休む>は他動詞でもあるようだ。

<寝る、起きる>は毎日欠かさずやっている。 日常頻繁使用動詞は特殊化している場合が多い<寝(ね)る-寝(ね)かす>は上ですでにチェックしたので<起きる-起こす>をチェックしてみる。

おきる(起きる) 自動詞 - おこす(起こす) 他動詞 

<起こす>は基本的に自分を<起こす>ことはなく<誰かが誰かを起こす>ことになる。<起きる>は気がつかずに使っているが、フランス語やイタリア語(スペイン語もそうだろう)では<起きる>は<自分を起こす>と表現する。ここ数年時々勉強し直しているイタリア語では

起こす ー alzare という他動詞がまず先にあって、<おきる>は<自分を起こす>と表現する。

Collins Reverso Dictionary

   alzarsi      vr  
  (persona)   
to rise, get up  
a che ora ti alzi la mattina?      what time do you get up in the morning? 

<私は起きる>は mi alzo (私は私を起こす)となる。<vr >は reflexive verb の略で<再帰動詞>という。<私は私を起こす>は長いが mi alzo はたかだか3音節だ。イタリア語ではこの<再帰動詞>が日常茶飯事のように多用される。日本語には基本的にないし、英語でも上の訳語にあるように to get up ですます。イタリア語方式では to get me up または<再帰動詞>を意識すれば get myself up となる。get up の to get は自動詞、get myself up の to get は他動詞だ。これは別のポストでふれているが、大げさにいうと<他動詞による位相変換>、<他動詞の自動詞化>と言える。 

<起きる>では他人、第三者が出てこないが<私は私を起こす>では<私は>の<私>、あるいは<私を>の<私>は他人、第三者の感がある。<私>が別の<私>との関係を他動詞を使って客観的に表現しているのだ。一方<私は起きる>も言語表現なのである程度客観的な表現にはなるが自動詞<起きる>は自分から出て行かない。言い換えると<自立>している。一方イタリア語の他動詞 alzare は目的語がないと文が成り立たない(他立)。ここがこのポスト<自立動詞と他立動詞>のポイントだ。

下記参照

イタリア語の再帰動詞-1、他動詞->自動詞位相変換
https://sptt-latin-subjunctive.blogspot.com/2017/09/blog-post_29.html

働(はたら)く - 働かす
遊(あそ)ぶ - 遊ばす

<はたらく>、<あそぶ> は<生きる>とともに日常生活の三大動詞だろう。いずれも自動詞だ。<あそぶ>、<生きる>は自動詞的な意味(自立性)が強いが<はたらく>は<他>との関係が必要のようで自律性が薄いようだ。<あそばす>、<はたらかす>は手もと辞書の見出し語にある。<あそばす>の解説はごく簡単で<(子供などを)遊ぶようにさせる>。簡単だが、<遊ぶようにさせる>は自動詞の他動詞化を簡単に説明している。

自動詞(遊ぶ)ようにさせる -> 遊ばす 他動詞     子供を公園で遊ばす

これはまた後で出てくる。

はたらく - はたらくようにさせる - はたらかす 他動詞  頭をはたらかせる

はいいが

動く - 動くようにさせる - 動かす 他動詞  体を動かす、足を動かす

は<動くようにさせる>では変だ。これは動かす対象が自分自身の一部だからだろ。機械を動かす、車を動かす

なら<動くようにさせる>でもいい。 もっとも<頭をはたらかせる>も自分の頭だがこれは問題ないようだ。

生活というとまず<衣食住>をあげるひとがいるが、衣は<衣服を着る、身に着ける>で他動詞。食も<食べ物を食べる、口に入れる>で他動詞。住は<住(す)む>で自動詞だ。なぜ自動詞なのかを考えるひとはまずいないだろうが、少し考えて見ると、自主的に強い自分の意志であるところに住むひと、住めるひとは少なく、たいていはやむなく<xxに住むことになる>からではないか?(これは大いにこじつけ理由、でっち上げ理由)

住む - 住ます

<住ます>は使役的な意味になるので<住む>は<孤独自動詞>、<ソロ自動詞>だ。

移る - 移す(引っ越し)

英語の

自動詞 - intransitive verb
他動詞  - transitive verb 

の transit (あるいはより広義の trans)は<移る-移す>に関連している。飛行場では飛行機を<乗り換える>のを transit (トランジット)と言う。参考のため trans がつく言葉を並べると

transocean 海を越えて
transform  Fourier Transform フーリエ変換
transformer - 電気(電子)部品のトランス(変圧器)。最近はアニメの変身ロボット(変身超人、変身スーパーマン)
transgender 性変換
translation (to translate) 翻訳 (翻訳する)
transmitter (to transmit) 送信機(送信する)
transportation (to transport) 輸送(輸送する)

がある。いくつか違った意味があるが、分類すると

越える、単なる<越える>ではなく、AからBに飛び越える、またがる
変える、 AからBに変わる、AをBに変える
送る これもAからBに送る - これはAからBに<移す>とも言える

はじめの方で書いたが、<他>と<transit(ive)> は直接関係はない。だが<transit(ive)>または広義の<trans>を考えて見ると、<AをBに変える(AがBに変わる)>、 特に<あるものをAからBに移す>は他動詞の象徴的な意味が隠れているようだ。ここがミソで、今回のこの<自動詞と他動詞の違い>を調べ、考えているうち発見した。だがこれはあとで<他立、他依存>の他動詞の話をするときに詳しく書く。

<衣食住>の内の残る二つ<衣食>は炊事洗濯。<住>に関係してくるが掃除がある。炊事洗濯+掃除で家事というようだ。<衣>では洗濯以外に<買う>、<つくろう(繕う)>がある。<つくろう>は今では死語に近いか。<衣食>は<生きる>、<はたらく>、<あそぶ>とは違ってモノに働きかける行為が多く、中国語の<及物動詞>すなわち他動詞が多いようだ。

炊事: 炊(た)く、焼く、煮る、ゆでる(うでる)、蒸(む)す、揚(あ)げる、あぶる、漬(つ)ける、ひたす、湯がく。切る、たたく、ねじる、つつむ、混ぜる。

炊事は以上の<動詞>の化学変化や物理的な力をかけてで分離、変形させて料理を<つくる>創造的な作業だ。<作る>は他動詞の代表といえ、後で検討する他動詞<他立動詞>のところでもう少し深く考えてみる。 ここでは炊事化学変化動詞をチェックしてみる。上で取り上げたのは他動詞、当たり前のように料理人から調理されるモノを見た動詞だ。調理されるモノの立場から見ると、受け身形になるが、それとは別に自動詞がある。ならべて検討してみる。

炊(た)く - 炊かれる(受身)  - 炊ける(自動詞) (炊けている)
焼(や)く - 焼かれる  - 焼ける (焼けている)
煮(に)る - 煮られる  - 煮える (煮えている)
ゆでる(うでる) - ゆでられる(うでられる)  - ゆだる(うだる)(ゆだっている、うだっている
蒸(む)す - 蒸される  - (蒸す - 蒸している)
揚(あ)げる - 揚げられる  - 揚がる (揚がっている)
あぶる - あぶられる - あぶれる (あぶれている)
漬(つ)ける - 漬けられる  - 漬かる (漬かっている)
浸(ひた)す  - 浸される  - 浸たる (浸っている)
湯がく - 湯がかれる -  湯がける (湯がけている)、湯がく(湯がいている)-自他兼用

1)<蒸す>の自動詞は<蒸す>だろう。<まんじゅうが蒸す>で変ではない。したがって<蒸す>は自他兼用動詞だ。<湯がく>は適当な自動詞みつからない。

2)実際の」炊事の場面では<受け身>はまれにしか使われなだろう。さかなや野菜の身になれば多用されだろうが、一般には考えにくい。

3)一方自動詞は実際の炊事の場面でもよく使われる。

ごはんは炊けたか? - はい、もう炊けています。
肉じゃがはもう煮えている。
サンマがうまく焼けた。

4)自動詞は人が主語になると可能の意になる。

花子はまだ小さいがちゃんとご飯が炊ける。(今は知能電気釜(がま)があるので比較的簡単だが、むかしはカマ(釜)ドで炊き、うまく炊くにはコツの習得が必要だった。)

太郎はサンマがうまく焼ける。

<煮える>はだめで<美代子は肉じゃががうまく煮れる>で<煮れる>になるようだが<煮える>でも通じそう。さらには<煮えれる>でもよさそう。この辺は微妙というかまだ決まっていないようだ。

調理自動詞にならない<蒸せる>は可能になる。<次郎はイモがうまく蒸せる、あるいは、蒸せれる>。

佐藤は肉があぶれる。   <仕事にあぶれる>という言うのをよく聞く。

鈴木はそばがうまく湯がける。

だが、<ゆだる、揚がる、漬かる、浸(ひた)る>はだめで

ゆでられる、ゆでれる
揚げられる、揚げれる
漬けられる、漬けれる
浸(ひた)せる、浸せれる (ひてられる、ひてれる、にならない)

さて、自動詞だが、以上の炊事、調理用語は他動詞が<主>、自動詞は他動詞から派生したものが多
いようだ。少なくとも<炊く、焼く、煮る>は二音節の基本他動詞だ。

炊(た)く - 炊ける
焼(や)く - 焼ける
煮(に)る - 煮える

は同じ母音交替の他自動詞だ。ゆでる  - ゆだる

揚(あ)げる - 揚がる
漬(つ)ける - 漬かる
-----
混(ま)ぜる - 混ざる

も同じ母音交替の他自動詞だ。さて自動詞を並べてみる。

ごはんがうまく炊(た)ける。
魚が、肉が焼(や)ける。
肉じゃががもうすぐ煮(に)える。
たまごが、ジャガイモがゆだる。
まんじゅうが蒸(む)している。
肉がちょうどよくあぶれる
てんぷらがまもなく揚(あ)がる。
大根が漬(つ)かる。
このうどんが湯がけるまでには時間がかかる

以上の内実際によく使われるのは

ごはんがうまく炊(た)ける。
肉じゃががもうすぐ煮(に)える。
肉がちょうどよくあぶれる
てんぷらがまもなく揚(あ)がる。

で<うまく>とか<もうすぐ>とか<ちょうどよく>とか<まもなく>などの副詞を加えたものだ。このような副詞がないのは文法的には正しいが文法書のなかの現実離れした発話だ。副詞を除いてみると

ごはんが炊(た)ける。
肉じゃががぐ煮(に)える。
肉があぶれる。
てんぷらが揚(あ)がる。 

で現実味がない発話だが、少しよく考えて見ると共通したところがある。

1)逆戻り繰り返しになるが、<炊(た)ける>、<煮(に)える>、<あぶれる>、<揚(あ)がる>などの調理自動詞は

<うまく>、<もうすぐ>、<ちょうどよく><まもなく>など

の副詞と相性がいい。

2)参考のため手もとの辞書にあったみたがこのような調理自動詞の解説は概して簡単だが、多くは

<十分食べられる状態になる>

と解説されている。これは大きな発見で、調理動詞アスペクトといえる。つまりは

ごはんが<十分食べられる状態に>炊(た)ける。
魚が、肉が<十分食べられる状態に>焼(や)ける。
肉じゃがが<十分食べられる状態に>煮(に)える。
たまごが、ジャガイモが<十分食べられる状態に>ゆだる。
まんじゅうが<十分食べられる状態に>蒸(む)している。
肉が<十分食べられる状態に>くあぶれる
てんぷらが<十分食べられる状態に>揚(あ)がる。
大根が<十分食べられる状態に>漬(つ)かる。
このうどんが<十分食べられる状態に>湯がけるまでには時間がかかる

の<十分食べられる状態に>が表に出てこないがこの意味が内包されている(implied)、とういこ。これ(調理動詞アスペクトといえる)は別のところで取り上げる予定。

炊事は人が強くからんでいるが、発話者はいるだろうが以上の例文に直接人は出てこない、表現されていいない。言い換えると、人は背後にいるが例文自体は火や、熱や、湯水(ゆみず)や油をつかった化学変化現象、自然現象とは言いにくいが、人が直接関与しない現象を述べている。さらに言い換えれば自立現象を述べている、といえる。ごはん、さかな、肉、などのモノは出て来るが主語であって対象、目的語ではない。<雨がふる>、<風が吹く>の<雨>、<風>相当なのだ。例文ではあえて格助詞<が>を使っているが、<が>は<雨がふる>のように動詞の自動詞性と相性がいい。ここで小結論を述べておくと

炊事、料理用語は他動詞が<主>、自動詞は他動詞から派生したものが多いようだが自動詞として十分に独立、自立しており、目的語はまったく関与していない。 


洗濯: 洗う、すすぐ、干(ほ)す、乾(かわ)かす-乾く

掃除: 掃く、ふく

いずれにしても家事動詞は他動詞が活躍する。

日常生活では目に見えるモノにこだわらなければ多くは無意識のうちに give and take をしている。

to give  - 与える
to take  - 取る

とすると、これが見えないが

与える - やる、くれる、くれてやる、あげる、送る、贈る; xx してやる、xx してあげる、

取る - もらう、受け取る; xx してもらう

 とこなれた日本語を使えば無意識のうちの give and take が見えてくる。だがgive and take と対応する上記の日本語動詞は他動詞だ。日常茶飯事の<売る><買う>も他動詞だ。日常生活は他動詞なしではなる立たない。相互依存というよりは<からまり>で成り立っているように見える。

日常生活に限らないが、ものごと<始め>と<終わり>がある。

始まる - 始める
終わる - 終える 

<終わる>の方は

止(と)まる - 止(と)める    <泊(と)まる-泊める>というのもあるが、関連語だ。
やむ - やめる

という言い方もあるが、これは上ですでにふれた。

 

さてつぎは感覚動詞、五感動詞の自動詞をチェックしてみる。

見える - 見る
聞こえる - 聞く
におう(匂う、臭う) - かぐ(嗅ぐ)
味わう(他動詞)。自動詞はなさそう。
自:ふれる(何かが顔にふれる) - 他:ふれる (顔に手をふれてみる)

感覚動詞、五感動詞はやっかいだ。別のところで書いているのでここでは詳細は省略。おもしろいのは自動詞の方は自立の感じはなく、むしろ<まわり>の何かが自分の感覚(機関)を刺激するといった他立、他律、他依存の関係、状態だ。逆に他動詞の方が<xx しようとする>自主性がある。これは新たな発見だ。

<する>の効用

見える  -  いなびかり(稲光)がする
聞こえる -  xx の味音がる。xx の味声がする。
におう(匂う、臭う) xx の味香りがする。xx の味においがする。
味わう(他動詞)。自動詞はなさそう。  - xx の味がする
自:ふれる(何かが顔にふれる) -  ?

xx の感じがする。

 

知覚動詞

<知る>が代表。考える、思う、感じるも知覚動詞になるか。

<xxを知る>で他動詞。考える、思う、感じるも同じ。自動詞的な意味は受身形になる。

xx が知られる、知られている

xx が考えられる、xx と考えられている

xx と思わられる

xx が感じられる

上記の<xxと>の<と>は何かはここでは詮索しない。<と>については別のところで、調べて書いてある。知覚動詞についてもこれまた別のところで書いているのでここでは詳細は省略。ただし感覚動詞、五感動詞とは逆というかややこしい関係になる。<感じる>は別として、<知る>、<考える>、<思う>は相当強い自主的な精神、頭脳の動き、働(はたら)きだが、それにもかかわらず純自動詞がない。これはどうしたことか?これまたおもしろい現象だ。これまた新たな発見だ。

もう一つ<泣き笑い>と喜怒哀楽(感情表現)動詞をチェックしてみる。

<泣く>は手もとの辞書によると自動詞

花子が泣いている。
親の死になく。 

<親の死を泣く>は手もとの辞書によと間違いになるが、こういう人もいるだろう。

<笑う>は手もとの辞書によると自動詞と他動詞兼用だ。

太郎が笑っている。
花子は太郎の失敗を笑う。

喜怒哀楽(感情表現)動詞

喜怒哀楽の漢字にしたがうと

喜(よろこ)ぶ
怒(いか)る
哀(悲)しむ
楽しむ

<を>をとる、あるいは<を>がとれる動詞は

娘の結婚を喜ぶ
部下のミスに怒(いか)る
親の死を悲(かな)しむ
ゴルフを楽しむ 

<部下のミスに怒る>は<部下のミスを怒る>、<親の死を悲(かな)しむ>は<親の死を泣く>程度でOKだろう。この<に>はクセモノだ。 喜怒哀楽動詞は基本的に<を>がとれる 他動詞だ。ここで下線をひいたのは<を>をとる他動詞と区別するためだ。というのは

太郎が喜ぶ、怒る、悲しむ、楽しむ

もっと日常的に使われる

太郎が喜んでいる、怒っている、悲しんでいる、楽しんでいる
太郎は喜んでいる、怒っている、悲しんでいる、楽しんでいる 

が<を>をとらないが立派な日本語の言い方だからだ。したがって他動詞とは時と場合によっては<を>がとれる動詞ということになる。

他にも感情表現動詞はいろいろあるある。同じように<を>がとれる動詞かどうか調べてみる。

おごる(奢る、驕る) 
恐れる
悔(く)やむ、悔いる
苦(くる)しむ
たじろぐ
なじむ 
悩(なや)む
迷(まよ)う(漢字は書けないが<躊躇する>という漢語はよく聞く)

なぜか否定的(negative)な意味の動詞が多い)。また<xx む>が多い。

他にも感情表現動詞はいろいろあるある。<を>がとれる動詞は

おごる(奢る、驕る) - 初めの小さな成功におごる
恐れる、こわがる - 失敗を恐れる、失敗をこわがる
悔(く)やむ、悔いる - 失敗を悔やむ、失敗を悔いる
苦(くる)しむ  - 失敗の連続に苦しむ
たじろぐ - 失敗にたじろぐ
なじむ  - 失敗になじむ(慣れる)。失敗になじんでは(慣れては)いけない。
悩(なや)む - 失敗の連続に悩む
迷(まよ)う  - 選択に迷う

以上に内下線をした<恐れる、こわがる>、<悔(く)やむ、悔いる>は

恐れる、こわがる - 失敗に恐れる、失敗にこわがる
悔(く)やむ、悔いる - 失敗に悔やむ、失敗に悔いる

のように<を>を<に>に代えると具合が悪い。もっとも<失敗に悔やむ>はだれかが言いそうだ。これまた<を>がとれる動詞ということで、とらなくても日本語として成り立つ。

花子が恐れる、こわがる。
花子が恐れている、こわがっている。
美代子が悔(く)やむ、悔いる。
美代子が悔やんでいる、悔いている。

<を>とらなくても日本語として成り立つので<恐れる、こわがる>、<悔(く)やむ、悔いる >は自動詞と言いたくなるが、上記のように<を>がとれる動詞を他動詞としている。したがって<を>をとらない場合があっても他動詞なのだ

感情表現動詞ではないが<急ぐ>も自他兼用だ。<急ぐ>がおもしろい動詞で<いそがしい>は<急ぐ>由来の形容詞だ。 <急ぐ>の英語化は私は苦手で、復習をかねて英語に<急ぐ>表現をチェックしておく。

Hurry up !   - 急げ!

to hurry は基本的に自動詞だが、使役用法(xxを急がす、yyするようxxを急がす)。to be in a hurry (to do something) という名詞用法がある。長くなるのとネット辞書のコピー、ペイストが多いので末尾(注)参照。

病理動詞

痛む
うずく(疼く)
治(なお)る

例が少ないが以上はたいていが格助詞として<が>をとる自動詞。そして<を>がとれる動詞ではない。

胃を痛む - まったくダメ
背中をうずく - まったくダメ
ひざの痛みを治る - まったくダメ

相当強い自動詞だ。<急ぐ>と同じく<痛む>の英語化は私は苦手だ。 


B. <他立、他依存>の他動詞 

他動詞がなぜ<を>をとると<他立、他依存>になるかを説明すればよさそうだ。<演繹(えんえき)法>の続きで、結論から先にのべると、これはコロンブスも卵で

他動詞 は<xxを>という形、<直接目的語+を>、さらに言い換えると<他のモノ+を>という形をとらないと意味をなさない。すなわち<他>がないと意味をなす動詞にならない。したがって

<他立、他依存>の動詞が他動詞

ということ。中国語の話にもどるが、中国語では

不及物動詞 - intransitive verb
及物動詞  - transitive verb

でこれと関連づけると<及物>は物に及ぶ、<不及物>は物に及ばないでこの<物>を<他>に置き換えると

不及動詞 - intransitive verb
動詞  - transitive verb

となる。くどくなるが、<及他>は他に及ぶ、<不及他>は他に及ばない。日本語の自動詞、他動詞に当てはめると

他に及ばない(他をとらない)のが自動詞
他に及ぶ(他をとる)のが他動詞

ということになる。

ここで<他>は<自>と対立するもの、具体的には<自>から離れた、<自>とは明確に区別できる自以外の<他>と言うこと。そして繰り返しなるが他動詞はこの<他>を必要とする。これは<他>がなくても成り立ち、意味をなす<自立>の自動詞と根本的に違う。演繹法だから、この決論をサポートする例、説明が必要だ。

太郎いま寝ている
花子いま歩ている
次郎はい走っている
美代子はいま遊んでいる  (遊ぶは自動詞、<もてあそぶ>は他動詞) 

以上はいづれも自動詞で十分に意味をなしている。

次はどうか。

太郎はいま読んでいる。
花子はいま食べている。
次郎はいま飲んでいる。
美代子はいま見ている。
佐藤は今聞いている。

動詞は他動詞だが直接目的がない。直接目的はないが別段変ではなく、このような発話はある。だがなんかが欠けている感じは否めない。無関心でなければ

太郎はいま何を読んでいる?
花子はいま何を食べている?
次郎はいま何を飲んでいる?
美代子はいま何を見ている?
佐藤は今何を聞いている?

と問うだろう。だが特に問わなくてもたいていの日常生活は進むだろう。直接目的語はないが情報は伝わる。これは文法上というか言語学上どう解釈したらいいのか?回答はからかっているようだが、直接目的語がなくても他動詞は他動詞。直接目的語が必要な時に直接目的語がとれれば他動詞、とするのだ。これは文法上の定義なのだ。だがこれはひと昔まえのことで、いまは他動詞という文法定義、文法用語に従わない、使わない方向ににあるようだ。少なくとも最近の有名な英語辞書で自動詞、他動詞の明確な区別をしていないのを見かける。直接目的語を取る場合はこう、取らない場合はこう、といった説明なのだ。実情にはあったいるが、それでは言葉の文法的分析はどうなるのか?おれは大きな問題と言えよう。

さて、

 





末尾(注)英語の<急ぐ>

1)to hurry

https://www.dictionary.com/browse/hurry


verb (used without object), hur·ried, hur·ry·ing.

to move, proceed, or act with haste (often followed by up):

Hurry, or we'll be late. Hurry up, it's starting to rain.

verb (used with object), hur·ried, hur·ry·ing.

to drive, carry, or cause to move or perform with speed.
to hasten; urge forward (often followed by up).
to impel or perform with undue haste: to hurry someone into a decision.

to hurry someone into a decision.


一番目は
verb (used without object) で自動詞だが intransitive verb という語は出てこない。二番目はverb (used with object)で他動詞になるが
transitive verb という言葉は出てこない。また内容的には他動詞というよりは≪自動詞の意味の)使役形だ。
to hurry someone into a decision.は覚えていた(丸暗記しておいた)方がよさそうだ。


---------

もう一つ
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/hurry


to move or do things more quickly than normal or to make someone do this:
Hurry or you'll be late.
[ + to infinitive ] She hurried to answer the phone.
I refuse to be hurried into a decision (= to be forced to make a decision too quickly).
After spending her lunch hour shopping, she hurried back (= returned quickly) to work.
I hate to hurry you, but I have to leave in a few minutes.
UK Don't hurry your food (= don't eat it too quickly).


[ + to infinitive ] She hurried to answer the phone.

の使いかたも学校では習わないかもしれない。これまた丸暗記しておいた方がよさそうだ。
I hate to hurry you, but I have to leave in a few minutes. は使役だ。

UK Don't hurry your food (= don't eat it too quickly). これは他動詞用法。

注)これまた
intransitive verb、transitive verb という言葉は出てこない。

2) to haste

https://www.dictionary.com/browse/haste

"

haste

noun

swiftness of motion; speed; celerity: He performed his task with great haste. They felt the need for haste.
urgent need of quick action; a hurry or rush: to be in haste to get ahead in the world.
unnecessarily quick action; thoughtless, rash, or undue speed: Haste makes waste.

verb (used with or without object), hast·ed, hast·ing.

Archaic. to hasten.

"
用途は名詞が主だ。to be in haste to (infinitive)は余裕があれば覚えていた方がいい。

動詞は自他兼用(
used with or without object)のようだが例文がない。Archaicは古語ということ。したがってここはArchaicでない to
hasten を調べる必要がない。

https://www.dictionary.com/browse/hasten


"

to hasten

verb (used without object)

to move or act with haste; proceed with haste; hurry: to hasten to a place.

verb (used with object)

to cause to hasten; accelerate: to hasten someone from a room; to hasten the arrival of a happier time.

"

to hastenは自他両刀使い。

自動詞に方は to hurry に似かよっている。他動詞の方は使役形もあるが純他動詞用法もある。名詞のhaste は覚えて使えるようにしておいた方がいうさそうだが、動詞のto hasten は頭に中に入れておけばいいだろう。