Friday, March 1, 2013

日本語の不定に関係した格助詞<が>の用法


英語と対比してみると日本語の不定に関係した格助詞としての<が>の用法は広い。中国語はあまリ自信がないが、これまでい聞いたことがありそうな表現を追加。

1.自然現象表現

雨がふる。 It rains. It is raining. 下雨。
雪がふる。 It snows. It is snowing. 下雪。
風が吹く。  It is windy. 有风。
夜が明ける。
日が暮れる。
実がなる。
こどもが生まれる。

2.五感現象表現

頭が痛い。 I have a headache.  我头痛。
おなかがすいている。 I am hungry.  我饿了。
音がする。 I hear sound. Something makes sound.
音が聞きえる。 (可能表現)I hear sound.
海が見える。(可能表現) I see the sea.
バラが香る。 Roses (two or more roses) emit fragrance.
バラの香りがする。 I smell fragrance of roses.
変な味がする。(It) tastes strange. 文法的には不正確だが、It は省ける。

3.すききらい、よしあし表現

太郎は花子が好き。 Taro likes Hanako.  太郎喜欢花子。
花子は太郎がきらい。 Hanako does not like Taro.  花子不喜欢太郎。

4.生成、出現現象表現

花が咲く。    Flowers (two or more flowers) bloom. Flowers are in bloom.   开花。
事故がおきる。 An accident occurs.   发生以外。
火が出る(つく)。to catch fire. 着火 
(注:日本語は<XXに火が出る(つく)>だが英語、中国語はXXが主語になる)
ぼろが出る。
さびが出る。

 5.可能表現

太郎は英語ができる。        Taro can manage English.
花子はこの意味がわかる。 Hanako understands the meaning of this.

6.受身表現

xxがみられる。  xx is seen. There seems xx. We see xx.
xxが噂されている。 <xxと噂されている>よりも<定>度低いようだ。  xx is rumored.
xxが言われている。 <xxと言われている>よりも<定>度が低いようだ。 xx is said. They say xx.


上記のうち、1.自然現象、2.五感現象、4.生成、出現現象は<不定>主体をどう表現するかだ。
3.すききらい、よしあし表現<すききらい、よしあし>は自分で決めるというよりは、なんとなく(不定)決まる内容だろう。 かなり前 (2010) の下記ポスト参照。

I love you.
Du fehlst mir. or I LOVE YOU - 2

全般的に英語や中国語より日本語の方が文法的に規則性が広い。

 日本語 - 不定関係は<が>で示せる。
 英語 - 非人称主語の<it >、非人称主語に近い<there>、<定>度のやや低い<we>、<they>を導入している。
 中国語は<不定>の主体を動詞の後において自然現象や生成、出現を表現。



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助詞<が>と非人称表現

このポストは前回のポスト”<が>は不定、<は>定の階層性、二重構造”の続き。

 欧米語では非人称表現というのがある。英文法の学習では必ずある。学習ではあまりおもしろくないが、日本語の助詞<が>、<は>との対比で見るとにわかにおもしろくなる。

英文法の学習では

It rains. (It's raining が普通だろう)が代表だが、前回のポストで取り上げた

<xxがある> は英語の there is xx, there are xx に相当

も 非人称表現に近い。there は<そこ>ではない。

It rains. 雨ふる。
It thunders.  カミナリなる。
There is a book (on the desk). (机の上に)本ある。
There are apples(in the fridge). (冷蔵庫のなかに)りんご(いくつか)ある。

以上の表現で<が>を<は>で置き換えられるが、<は>は限定あるいは対比用法で一般的ではない。英語も同じで下記の表現は可能。

Rain falls. 雨ふる。(雨についての解説)
Thunder sounds  カミナリなる。(カミナリについての解説)
The book is (on the desk). (その)本(机の上に)ある。
The apples are (in the fridge). (例の)りんご(複数、二個以上)(冷蔵庫のなかに)ある。

英語は人称を用いた表現が圧倒的だ。前回ポストで取り上げた例。

これがありません。 I do not see (cannot find) this.
太郎がいません。(太郎も<定>) I cannot find Taro. I do not see Taro.
これがわかりません 。 I cannot understand this.

以外に、

I am hungry. (私は)おなかがすいている。<私はおなかがすいている>は日本語としておかしい。<おれ、はらががすいている(男性)>, <わたし、おなかすいてるの(女性)>ならよさそう。
I feel cold. (私は)寒い。<私は寒い>は日本語としておかしい。<私、寒い>ならよさそう。

以上で<は>がいらないのは(<は>を使うとおかしい(変)なのは<私>が<おなかがすいている>、<寒い>という状況が<は>と結びつかないからだろう。<私、おなかがすいている感じ>とか<私、寒い感じ>は学生風、現代風、女性風だが、理論的によさそう。また<は>をつけると解説調になる。<私は怒っている>がおかしいのと同じだ。

I see many people in the park today. 今日公園にひとがたくさんいる。
Can you hear that?  (きみ)あれがきこえるかい?
I like (find) this better. (私)これがいい。

さて非人称表現に戻ると、

It rains. 雨ふる。
It thunders.  カミナリなる。
There is a book (on the desk). (机の上に)本ある。
There are apples(in the fridge). (冷蔵庫のなかに)りんご(いくつか)ある
のように<が>を使うのが一般だ。なぜ<が>かというと<が>は不定と関連していいる。<It rains>の it は定ではなく不定だ。英語では主語のない<Rains>とはいえないので<やむなく> it を使っているのだ。<Rains>は<雨だ>に相当するか?

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<が>は不定、<は>定の階層性、二重構造


<が>は不定、<は>不定の問題について一考察。

<xxがある> は英語の there is xx, there are xx に相当。
一方<xxはある> は英語の xx exists, xx exist に相当。

何がありますか?

<何はありますか?>とは言わない。 <何>は疑問すなわち<不定>だ。

さて、次の表現はどうか?

これがわかりますか?

<これ>は明らかに<定>だが、<が>をとる。

 <これはわかりますか?>といえるが、<は>は限定あるいは対比用法で一般的ではない。

<これがわかりますか?> で明らかに<定>の<これ>に<が>がつく理由はこの表現が疑問文だからだろう。疑問文自体は<不定>だ。そして疑問文の<不定>は<これ>の<定>より優先するのだ。大げさに言うと、ここに<定><不定>の階層性、二重構造がみられる。

では否定表現はどうか。

これがありません。
太郎がいません。(太郎も<定>)
これがわかりません  。

<これはありません>、<太郎はいません>、<これはわかりません >はやはり限定あるいは対比用法で一般的ではない。

したがって、 否定は<不定>で、しかも<これ>、<太郎>の<定>より優先するのだ。

ところで上記三つの否定表現を英語で言うとどうなるか?

これがありません。  I do not see (cannot find) this.
太郎がいません。(太郎も<定>) I cannot find Taro. I do not see Taro.
これがわかりません 。 I cannot understand this.

1)英語では<I>(主語、主体)を用いて表現するのが普通。
2)<これ>、<太郎> は目的語(対象)になる。

逆に1)、2)から日本語表現を見ると<これがわかりません>の<これ>は<が>がついているが主語、主体ではなく目的語、対象だ。一方<これがありません>の<これ>、<太郎がいません>の<太郎>はく目的語、対象>とは言えないが、それでは100%主語、主体かというとそうでもなさそうで、これは<不定>が関連しているのではないか。微妙なところだが、文法のおもしろいいところだ。

It does not exist. これはありません。
There is not it. この英語は違反だが、<これがありません>に近い。

Taro is not (here). 太郎はいません。
Taro does not exist. 太郎という人物はいません。
There is not Tara. これも違反のようだが、<太郎がいません>に近い。


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