Friday, January 15, 2021

半濁音の<擬態語、擬音語+する>

半濁音と呼ぶのは知らなった(忘れた)が擬態語、擬音語では<ぱぴぷぺぽ>を使ったのもある。<ぱぴぷぺぽ>は現代日本語(大和言葉)では<らりるれろ>と同く語頭にはこないと思うが、言葉遊びで<ぱ行>と<ら行>の組み合わせを調べてみる。参考のため<は行>と<ば行>も並べておく。


はらはら  ばらばら  ぱらぱら  雨がぱらぱらし始めた。
ひらひら  びらびら  ぴらぴら  場合、人によっては<ぴらぴらする、はためく>
ふらふら  ぶらぶら  ぷらぷら  場合、人によっては<ぷらぷらする>
へらへら  べらべら  ぺらぺら  英語がぺらぺら、ぺらぺらな紙
ほらほら  ぼらぼら  ぽらぽら

はりはり  ばりばり  ぱりぱり  このキュウリはぱりぱりする。洗濯物がぱりぱりに乾く。
ひりひり  びりびり  ぴりぴり  神経がぴりぴりする。
ふりふり  ぶりぶり  ぷりぷり  ぷりぷりする、怒(おこ)る
へりへり  べりべり  ぺりぺり  変型 ぺろりぺろり、 ぺろりぺろりなめる
ほりほり  ぼりぼり  ぽりぽり  せんべいをぽりぽり食べる(かじる)

はるはる  ばるばる  ぱるぱる
ひるひる  びるびる  ぴるぴる
ふるふる  ぶるぶる  ぷるぷる
へるへる  べるべる  ぺるぺる
ほるほる  ぼるぼる  ぽるぽる

はれはれ  ばればれ  ぱれぱれ
ひれひれ  びれびれ  ぴれぴれ
ふれふれ  ぶれぶれ  ぷれぷれ
へれへれ  べれべれ  ぺれぺれ
ほれほれ  ぼれぼれ  ぽれぽれ 

はろはろ  ばろばろ  ぱろぱろ
ひろひろ  びろびろ  ぴろぴろ
ふろふろ  ぶろぶろ  ぷろぷろ
へろへろ  べろべろ  ぺろぺろ  ぺろぺろなめる
ほろほろ  ぼろぼろ  ぽろぽろ  涙をぽろぽろ流す。


ぱりっとした服    
ぴりっと辛い
ぺろっとなめる

 意外と少ない。とくに<る><れ>との組がないのが目につく。<ぷるぷるプリン>とは言えそうだ。

<か行>で試してみる。

はかはか  ばかばか  ぱかぱか  馬がぱかぱか歩く、進む。。
ひかひか  びかびか  ぴかぴか  星がぴかぴか光る。 
ふかふか  ぶかぶか  ぷかぷか  うきが、小舟がぷかぷか浮かぶ。煙草をぷかぷかふかす。
へかへか  べかべか  ぺかぺか
ほかほか  ぼかぼか  ぽかぽか  ぽかぽか陽気。ぽかぽかたたく(なぐる)。

はきはき  ばきばき  ぱきぱき   小枝がぱきぱき折れる。小枝がぱきぱき燃える。
ひきひき  びきびき  ぴきぴき
ふきふき  ぶきぶき  ぷきぷき
へきへき  べきべき  ぺきぺき
ほきほき  ぼきぼき  ぽきぽき  小枝がぽきぽき折れる。膝関節がぽきぽきする。

はくはく  ばくばく  ぱくぱく   口をぱくぱくさせる。
ひくひく  びくびく  ぴくぴく   まぶたがぴくぴくする。  ひきつけ
ふくふく  ぶくぶく  ぷくぷく
へくへく  べくべく  ぺくぺく
ほくほく  ぼくぼく  ぽくぽく  木魚をぽくぽくたたく。木魚がぽくぽく鳴る。 

はけはけ  ばけばけ  ぱけぱけ
ひけひけ  びけびけ  ぴけぴけ
ふけふけ  ぶけぶけ  ぷけぷけ
へけへけ  べけべけ  ぺけぺけ
ほけほけ  ぼけぼけ  ぽけぽけ

はこはこ  ばこばこ  ぱこぱこ  場合、人によっては、<ふたがぱこぱこする>
ひこひこ  びこびこ  ぴこぴこ   場合、人によっては、<まぶたがぴこぴこする>
ふこふこ  ぶこぶこ  ぷこぷこ
へこへこ  べこべこ  ぺこぺこ   おなかがぺこぺこ。   へこむ
ほこほこ  ぼこぼこ  ぽこぽこ  場合、人によっては、<ぽこぽこ穴があいている>

ふたがかっぱとあく(開く
ぱきっと折れる。
口がぱくっとあく(開く)。
ぴかっと光る。
うきがぴくっとする。 ぴくっと首をひっこめる。
ぽかんと口を開ける。
ぽきっと折れる。

<さ行>以下は半濁音で意味がとれるものだけを並べておく。

ぱさぱさ  髪が、パンがぱさぱさ(する)。

<さ行>とは相性がよくないようだ。 

<た行>

ぱたぱた  鳩が羽をぱたぱたさせる。旗がぱたぱたする。
ぺたぺた  貼り紙をぺたぺた貼る。
ぽたぽた  塗りたてペンキがぽたぽたたれる
ぴたぴた、 ぴちゃぴちゃ  雨の中をぴたぴた、ぴちゃぴちゃ歩く。
ぱちぱち  たき火がぱちぱち鳴る。
ぴちぴち  ぴちぴちしたとりたてのまぐろ
ぽつぽつ  雨がぽつぽつ降ってきた。
ぽとぽと  塗りたてペンキがぽとぽとたれる。

ぱたっと止まる
ぴったりする
ぴたっと止まる
ぷっつり切れる。
ぽってりした
ぽとんと落ちる

<な行>とは相性がよくないようだ。 

<ま行> とも相性がよくないようだ。 

<や行> とも相性がよくないようだ。

ぴよぴよ    ひよこがぴよぴよ歩く(と言うか)

<ぱぴぷぺぽ>は<らりるれろ>、<かきくけこ>、<たちつてと>とは相性がよく、<なにぬねの>と<まみむめも>とは相性がよくないのは子音の発音方法の違いによると思われる。子音の発音方法は意識していないが

<ぱぴぷぺぽ>は半濁音と言うよりは清音に近い。けっして半分でも濁音ではない。子音発生は息を瞬時にだす。対応する濁音は<ばびぶべぼ>だ。一方<か行>も清音でしかも子音発生は息を瞬時にだす。一方<な行>と<ま行>は濁音ではなく清音だが<ねちねち>した清音で<か行>や<ぱ行>の<ぱきぱき>した清音とは違う。一方日本語の<た行>はやっかいで

た - <ぱきぱき>清音
ち - <ねちねち>清音
つ - <ねちねち>清音
て - <ぱきぱき>清音
と - <ぱきぱき>清音

これからすると

ぱちぱち   たき火がぱちぱち鳴る。
ぴちぴち   ぴちぴちしたとりたてのまぐろ
ぽつぽつ  雨がぽつぽつ降ってきた。

は例外となる。

<さ行>は<か行>、<た、て、と>、<ぱぴぷぺぽ>とは違い<擦(す)り>清音といえるが、さらに分類すると

さ - <ぱきぱき>清音 あるいは<かさかさ>、<ぱさぱさ>清音 ぱさぱさ (髪がぱさぱさ)
し - <ねちねち>清音
す - <かさかさ>清音
せ - <かさかさ>清音
そ - <かさかさ>清音


sptt

Thursday, January 7, 2021

濁音の<擬態語、擬音語+する>

 ” <する>は他動詞、自動詞、いったい何だ? -2 (擬態語、擬音語+する)” のポストでも無意識のうちに例としていくつか取り上げているが、濁音の<擬態語、擬音語+する>を見てみる。

畳語式(重ね音式)擬態語、擬音語+する


かさかさする - がさがさする     がさつく
かさこそする - がさごそする
かたかたする - がたがたする     がたつく
かちかちする - (がちがちする)    がちがちのがんこ頭
かちゃかちゃする - がちゃがちゃする
(かやかやする) - がやがやする   (がやつく)
(かつかつする) - がつがつする   がっつく
かりかりする - がりがりする - がり勉
かんかんする - がんがんする
(きしきしする) - ぎしぎしする    (戸が)きしむ
きらきらする - ぎらぎらする
くすくすす(笑う) - ぐずぐずする    ぐずつく、 ぐずる
くちゃくちゃする - ぐちゃぐちゃする
くちゅくちゅする - ぐちゅぐちゅする    くすぐる
くらくらする - ぐらぐらする    ぐらつく
くりくりする - ぐりぐりする
こそこそする - ごそごそする
(こたこたする) - ごたごたする   ごたつく
(こみこみする) - ごみごみする   こむ、こみあう
こりこりする - こりごりする - ごりごりする

さくさくする - ざくざく(ある、とれる)
さらさらする - ざらざらする      ざらつく
(さわさわする) -ざわざわする    ざわつく
しくしく(泣く) - じくじくする
しとしと(雨がふる) - じとじとする
(しめしめする) - じめじめする
(しみしみする) - しみじみする - (じみじみする)

(しゃりしゃりする) - じゃりじゃりする
(しりしりする) - じりじりする
すうすうする  - ずうずう(しい)
すかすかする - ずかずか(入ってくる)
するするする - ずるずる(引く) (*)
せいせいする - ぜいぜいする
(そくそくする) - ぞくぞくする

(たふたふ) - だぶだぶ(する)   服(靴)がだぶだぶ  だぶつく
たらたらする - だらだらする
ちゃらちゃらする - ぢゃらぢゃらする(じゃらじゃら) パチンコ玉、コイン
つるつるする - づるづるする(*)
(ときときする) - どきどきする
(とくとくする) - どくどく(流れ出る)
(とはとはする) - どばどば(流れ出る)
とろとろする - どろどろする    とろむ、泥(どろ)、泥棒(どろぼう)、こそどろ(こそこそする)
とんとん(音)する - どんどん(音)する

(はたはたする) - ばたばたする   ばたつく
はらはらする - ばらばらする    ばらつく
ひくひくする - びくびくする      びくつく
ひりひりする - びりびりする(電気)
ふらふらする - ぶらぶらする     ふらつく - ぶらつく
(へたへたする) - べたべたする   べたつく
へとへとする(へたる) - べとべとする   べとつく
へらへらする - べらべら(しゃべる)
(ほやほやする) - ぼやぼやする    ぼやける

(追加予定)


<xxxxする>以外

くたくただ - ぐたぐた言う
(くつくつ) - ぐつぐつ煮える
(くとくと) - くどくど言う   くどい
くるくるする(まわる) - ぐるぐる巻く(自他)
けらけら笑う  - げらげら笑う
(こしこすする) - ごしごし洗う
ころころころがる - ごろごろ鳴る

(しろしろ) - じろじろ見る
するすろ落ちる - ずるずるさがる、落ちる   ずり落ちる
(すんすんxx) - ずんずん進む
そろそろ行く - ぞろぞろついて行く

(つらつら) - づらづらついて行く   連(つら)なる
(とくとくする) - どくどく流れ出る
(とはとはする) - どばどば流れ出る
(とほとほ) - とぼとぼ歩く
とんとん進む、 とんとん拍子(びょうし) - どんどん進む

(はちはち) - ぱちぱち - ばちばち(はねる)
(はりはり) - ばりばり(さける、裂ける)
ひたひた(進む、歩く) - びたびた(ひたる)
ふつふつする(煮える) - ぶつぶつ言う、 
(ふるふるxx) - ぶるぶる震(ふる)える、(振るえる)
(ほたほた) - ぼたぼた落ちる
(ほりほり) - ぼろぼり(掻く)

 (追加予定)

濁音<擬態語、擬音語は<にごる>というよりは全般的に 1)濁音は重い、鈍い感じだ。悪い意味、否定的(negative)な意味は思ったより少ない。2)また<xx(濁音)つく>の造語が目立つ。1)、2)は意外な発見だ。

 もう少し調べてみる.

がっかりする
がっくりする(くる)
がっしりする(したからだ)
かっちりしめる - がっちりする(したからだ)、がっちりもうける
がっぷり組む   がっぷりよつ(相撲)
がっぽりもうける
ぎっくりする
ぐっしょり濡れる
ぐっすり眠る
ぐったりする
げっそりする(した)
ごっそり抜ける

ざっくり(切る、言う)
じっくり(xxする)

でっぷりする(した)
どっかりすわる
どっきりする
どっさりある
どっしりする(した)
とっぷり暮れる - どっぷりつかる

ばっさり切る
ばったり倒れる
びっくりする    びくつく

びっしょり(ぬれる)

べったりする(つく)    べたつく

げんなりする
ずんぐりする(した)
どんよりする(した)


(ときまきする) - どぎまぎする    とまどう
(とたはたする) - どたばたする

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ぶつ(ぶっ)、ぶん + 動詞 (口語、方言)

ぶっかける
ぶっきる (切る)
ぶっ殺(ころ)す
ぶったおす
ぶったぎる
ぶったぐる      やらずぶったぐり
ぶったたく
ぶったまげる
ぶっちぎる
ぶっとばす
ぶっぱなす

ぶちこわす (ぶっこわす)
ぶちのめす
ぶちまける (ぶっまく)

ぶんどる
ぶんまわす

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濁音擬態語、擬音語の頭韻音頭(とういんおんど)-1


がたがた がたぴし がたがきた
がっかり がっくり 学がない
がっぽり 儲(もう)けて がっちり 貯(た)める
ぎっちり ぎしぎし ぎりぎり ぎっちょん
ぐったり ぐたぐた ぐちばかり
げんなり げっそり げたはいて
ごっそり ごそごそ ごみ箱あさる

ざらざら ザラメが ざっくり とれる
じたじた ばたばた じたばたしても
じろじろ 次郎(じろう)が 白目で(しろめ)で にらむ
ずたずた 裂(さ)かれて ずるずる ずれて
ぜんぜん 是(ぜ)非(ひ)とも 銭(ぜに)がない
ゾンビが ぞろぞろ ゾロアスター

だんだん どんどん 出(で)て来る はずが
だらだら でれでれ 出るまくなし
ぢりぢり ちぢんで ちりぢりだ
づかづか 近(ちか)づき つぎはぎ だらけ
でっぷり でたでた 出たとこ 勝負(しょうぶ)   
どきどき どっきり どぎもを抜かれ

ばったり 倒(たお)れて ばてばてだ
びたびた びしびし びしょぬれだ
ぶかぶか ブーツが ぶつかって
ぶっつり 切られて ぶったまげ
べったり べとべと バターがとける
ぼんやり ぼやぼや ぼろがでる。

 

sptt


 

Tuesday, January 5, 2021

擬態語、擬音語+つく

 このポストは<擬態語、擬音語+する>の続編

<畳語式(重ね音式)擬態語、擬音語+する>を調べているうちに、<擬態語、擬音語+つく>の言い方が可能なものがいくつかあるのに気がついた。だが<擬態語、擬音語+する>に比べるとはるかに少ない(末尾参照)。これは何を意味するのか?また、この場合の<つく>はどういう意味か?

抜き出してみると

いらいらする  - いらつく
うろうろする  - うろつく

がさがさする  - がさつく
がたがたする  - がたつく 
がやがやする   - がやつく
ぐずぐずする  - ぐずつく
ぐらぐらする  - ぐらつく

ざらざらする  - ざらつく
ざわざわする  - ざわつく
じとじとする  - (じとつく)
せかせかする  - (せかつく)

ちゃらちゃらする - (ちゃらつく)
ちょろちょろする  - (ちょろつく)

ねばねばする  - ねばつく

ばらばらする  - ばらつく
ぴかぴかする  - (ぴかつく)
ひくひくする  - (ひきつく)、 ひきつけ
びくびくする   - びくつく、 なにをびくついているんだ?
ふらふらする  - ふらつく
ぶらぶらする   - ぶらつく
べたべたする  - べたつく
べとべとする  - べとつく

まごまごする  - まごつく
むかむかする  - むかつく
もたもたする  - もたつく

よたよたする  - よたつく

カッコをつけたものは人によっては言いそうなもの。明らかに意味やニュアンスが違うのもあるが

 たとえば

 いらいらする  - いらつく
うろうろする  - うろつく

ぐらぐらする  - ぐらつく

ざらざらする  - ざらつく

ねばねばする  - ねばつく

びくびくする   - びくつく
ふらふらする  - ふらつく
ぶらぶらする   - ぶらつく
べたべたする  - べたつく
べとべとする  - べとつく

まごまごする  - まごつく
むかむかする  - むかつく
もたもたする  - もたつく

はほぼ同じような意味だ、ニュアンスだ。<xxxxする>が6音節と長いのにく比べて<xxつく>は擬態語、擬音語の畳語(重ね音)部分を半分だけ使っていて4音節と短く、言いやすいが、擬態語、擬音語のリズム感は失われている。リズム感は失われているが擬態語、擬音語の意味と言うか感じ、効果はなんとか保たれている。<擬態語、擬音語+する>に比べるとはるかに少ないのは、おそらく擬態語、擬音語がもつ感じを<xxxxする>を使って出したい、持ちたいためではないか。

<する>は超スーパー動詞、超々動詞で

がたがた音がする

で自動詞。

勉強をする、仕事をする

で他動詞。さらには<擬態語、擬音語+つく>に似た<を>のない、したがって目的語のない

勉強する、仕事する

とも使える。だが

勉強をする、仕事をする

で他動詞とすると、受け身が可能なのだが

 勉強が(は)される、仕事は(が)される、

はダメで、

 勉強が(は)なされる、仕事は(が)なされる、

としないといけない。とうことは<する>は純粋他動詞とは言いにくい。一方

勉強する、仕事する

は何かだが、 

英語を勉強する

とは言え

英語が(は)勉強される

と言うことができるので<勉強する>は他動詞っぽい。だが<こう言うことができる>というだけで、変な日本語だ。

一方<仕事する>は

秘書を仕事する
英語の先生を仕事する

はダメで、

秘書の仕事をする
英語の先生の仕事をする

となる。

勉強は漢語、一方仕事は<しごと>で大和言葉だ。ここに違いがあるように見えるが、同じような意味内容の漢語を使った

労働する
商売する

で試してみると

金属加工を労働する
金属製品を商売する

はダメ、つまりは<労働する>、<商売する>は<漢語+する>だが、<仕事する>と同じく

金属加工の労働をする
金属製品の商売をする

 となる。ということは、この違いは<大和言葉+する>と<漢語+する>の違いではなく<勉強する>と<仕事(労働、商売)する>の意味内容の違いにあるようで、複雑そうだ。たとえば

記憶する

この格言を記憶する

の<記憶する>は<勉強する>と同じく他動詞っぽく

この格言が(は)記憶される

と言える。

<仕事する>は<xxを仕事する>といまのところ言えそうもないが、日本語がさらに自由を獲得すれば、あるいは乱れて行けば

秘書を仕事する
英語の先生を仕事する

さらには

英語を仕事する 

と言うようになるのではないか。

いまのとこるは<と>を使った

秘書を仕事とする
英語の先生を仕事とする
英語を仕事とする

だが、これは

<がたがたする>はもともと<がたがたする>と言っていた、と考えれば特におかしいということはない。

このおもしろい日本語の問題については "<する>は他動詞、自動詞、いったい何だ?"  というポストで検討している。 また最近のポストでは ”<頭痛をする>は文法的に間違いか?” がある。

さて<つく>はどういう意味か? かなり前に書いたポスト”<つく>(突く、着く、付く )について” では


漢字を使うと意味が違う、あるいは微妙に違うようだが、大和言葉としての<つく>はかなり大雑把な動詞、よくいえば、かなり一般化、抽象化された語だ。もとの大きな意味は共通している(同源とか同根というが、いわば<ur- つく>だ)。<ある場所にに近づく、近づける>といったような意味だ。

と分析している。

<つく>も超スーパー動詞、で造語能力がきわめて高い。

ありつく
行きつく
うわつく
縁(えん)づく   縁は漢語
おちつく

といくらでも複合動詞ができるが、<xxつく>の<xx>の二音節と相性がいいようだ。そして<ある場所にに近づく、近づける>といったような意味がある。

だが<xx(擬態語、擬音語)つく>は”<ある場所にに近づく、近づける>といったような意味だ” そのままでは説明できない。だが

いらいらする  - いらつく

を<いらいら>の状態が<くっつく>、<固定する>でなんとかなりそう。一方<いらいらする>と<する>を使った場合は<いらいら>の状態が<ある>、<出てくる>でとどまっている。

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末尾

いじいじする
いらいらする  - いらつく
うかうかする
うきうきする
うだうだする
うとうとする
うろうろする   - うろつく
おたおたする
おどおどする
おろおろする

かさかさする
かさかさする
がさがさする  - がさつく
がさごそする
がたがたする  - がたつく 
がやがやする   - がやつく
かりかりする
がんがんする
きびきびする
くさくさする
ぐずぐずする  - ぐずつく
ぐちゃぐちゃする
くらくらする
ぐらぐらする  - ぐらつく
くりくりする
ぐりぐりする
けちけちする
こそこそする
ごそごそする
こっくりこっくりする
こまごまする
ごみごみする
こりごりする

さくさくする
さばさばする
さむざむする
さらさらする
ざらざらする  - ざらつく
ざわざわする  - ざわつく
じくじくする
じたばたする
じとじとする  - (じとつく)
じめじめする
しゃきしゃきする
すうすうする
すかすかする
せいせいする
ぜいぜいする
せかせかする  - (せかつく)
ぞくぞくする
そわそわする

たらたらする
だらだらする
ちくちくする
ちゃらちゃらする - (ちゃらつく)
ちょろちょろする  - (ちょろつく)
ちんたらする 
つるつるする
つんつんする
てかてかする
どきどきする
どろどろする 

なでなでする 
なよなよする
にこにこする
にたにたする 
にやにやする
ぬるぬるする 
ねちねちする 
ねばねばする  -ねばつく
のそのそする
のらりくらりする
のろのろする

はきはきする
ぱこぱこする
はらはらする
はればれする
ぴかぴかする  - (ぴかつく)
ひくひくする  - (ひきつく)、 ひきつけ
びくびくする   - びくつく、 なにをびくついているんだ?
ぴこぴこする
ひらひらする
ひりひりする
ぴりぴりする
ふらふらする  - ふらつく
ぶらぶらする   - ぶらつく
ふわふわする 
べたべたする  - べたつく
べとべとする  - べとつく
へらへらする
ぽこぽこする
ほのぼのする
ぼやぼやする  
ほれぼれする

まごまごする  - まごつく
みしみしする
むかむかする  - むかつく
むしむしする
むずむずする
めそめそする
めちゃくちゃする
もさもさする
もぐもぐする
もじもじする
もそもそする
もたもたする  - もたつく
もやもやする

やれやれする
ゆるゆるする
よたよたする  - よたつく
わくわくする

-----

濁音

<つく>はなぜか濁音と相性がいい。


かさかさする - がさがさする     がさつく
かたかたする - がたがたする     がたつく
(かやかやする) - がやがやする   (がやつく)
(かつかつする) - がつがつする   がっつく
くらくらする - ぐらぐらする    ぐらつく
(こたこたする) - ごたごたする   ごたつく

さらさらする - ざらざらする      ざらつく
(さわさわする) -ざわざわする    ざわつく

(たふたふ) - だぶだぶ(する)   服(靴)がだぶだぶ  だぶつく

(はたはたする) - ばたばたする   ばたつく
はらはらする - ばらばらする    ばらつく
ひくひくする - びくびくする      びくつく
ふらふらする - ぶらぶらする     ふらつく - ぶらつく
(へたへたする) - べたべたする   べたつく
へとへとする(へたる) - べとべとする   べとつく

(追加予定)

 

sptt

Saturday, January 2, 2021

<苦しい>形容詞

 

<xxくるしい>、<xxぐるしい>と言い方がある。調べてみたが、期待に反してそれほど多くはない。

暑(あつ)苦(くる)しい
息(いき)苦ぐる)しい
かた苦(ぐる)しい  この<かた>は多分<堅(かた)い、固(かた)い>の<かた>だろう。
(お)聞(き)き苦(ぐる)しい   耳障(ざわ)り
こころ苦(ぐる)しい
せま苦(くる)しい   これは<苦(ぐる)しい>と濁らない。
寝(ね)苦(ぐる)しい
(お)見(み)苦(ぐる)しい   目障(ざわ)り
むさ苦(くる)しい   これは<苦(ぐる)しい>と濁らない。

めまぐるしい   調べてみたがこれは<くるしい>ではない。 <目まぎる、めまぎれる(紛れる)>の意だ。

中国語では辛苦(xin-ku)というのがよく使われる。文字通りでは<つらい、くるしい>だ。<つらい>、<xxするのは(が)つらい、くるしい、きつい、大変だ>というような意味だ。場合によっては<ご苦労(くろう)さまです>として使われる。

さて上の用例は少ないが、いくつかに分類できる。

1) 息(いき)苦(ぐる)しい、こころ苦(ぐる)しい

 これは

息が苦(くる)しい、こころが苦(くる)しい 

が短縮されたものだが <息苦しい>、<こころ苦しい>で少し長い、特化された形容詞と言える。

2) 聞き苦しい、見苦しい

<聞き>、<見(み)>は<聞く>、<見る>の連用形の体言(名詞)用法で

聞くことが(聞くのが)苦(ぐる)しい、見ること(見るのが)苦(ぐる)しい

で1)と同じ構造になる。使い方は複雑で

太郎の歌は聞き苦しい。
この放送では一部 お聞き苦しいところがありました。おわびもうしあげます。(これはかなりもってまわった表現だ。これからでてくるが、お聞きにくい、お聞きずらい、ですむだろう)

見苦しいまねはよせ。
お見苦しいところを見せてしまいました。

<聞き苦しい><見苦しい>の形容詞に丁寧語の<お>がついており<お美しい>と同じで行き過ぎではないか。

3) 暑(あつ)苦(くる)しい、かた苦(ぐる)しい、せま苦(くる)しい、寝苦(ぐる)しい、むさ苦(くる)しい

意味的には、これらは<苦情>がましい言い方だ。 <寝苦しい>は<寝る>の連用形<ね>の体言(名詞)用法+<くるしい>で上の2)の構造だが、<見苦しい>、<聞き苦しい>は場合によっては苦情をこえて非難にまでなるようだ。<お見苦しい>、<お聞き苦しい>は非難を回避する時に使われれる。<寝苦しく>させるのは<暑苦しい>と同じで人でない場合が多い。その他は<形容詞+苦しい>の構造だ。

暑い+苦しい
かたい+苦しい
せまい+苦しい
(むさい)+くるしい   <むさい>という形容詞は聞いたことがない。

さて、似たようなのに<にくい(憎い)>がある。これは動詞の連用形につき、汎用性がある。<難い>とも書くようだが、こちらは<かたい、がたい>の方がいい。中国語では<難>、<好難>というのがよく使われるが、<むずかしい>といった意味だ。<むずかしい>は一般性ががあり、<私には、君には、太郎にはむずかしい>でOKだが、<にくい>は一人称、二人称でよく使われるようだ。<太郎は(が)言いにくい>は少し変だ。 <むずかしい>は<むつかし(い)>がもとだろう。

言いにくい
行きにくい
来(き)にくい
書きにくい
噛(か)みにくい
着(き)にくい
見にくい   <見にくいアヒルの子>は意味がズレる。
食べにくい
飲みにくい

やりにくい (しにくい) 

 さらに<にくい>に似たようなのに<ずらい>がある。これも動詞の連用形につき、汎用性があるが、場合によっては<にくい>より個人的な<好き嫌い>が関与しているか。<xx したくない>。あるいは何か障害あるような感じだ。英語の I hate to say "No" to you. は<私は君にNoとは言いにくい>というようりは<私は君にNoとは言いずらい>に近いようだ。

言いずらい
行きずらい
来ずらい
書きずらい
噛(か)みずらい
着ずらい
見ずらい     <見ずらいアヒルの子>
食べずらい
飲みずらい

やりずらい (しずらい)

 この<ずらい>は<ずる>、<ずれる>、<ずらす>ではなく<つらい(辛い)>由来だろう。<つらい>は漢字では<辛い>があててられている。初めに出てきた中国語の辛苦(xin-ku)の<辛>だ。したがって基本的には心理的な要素がはいってくる。一方<にくい>はもともとは<憎い(憎む)>と個人的な、そしてきわめて強い感情的な語だが、<xx (し)にくい>はなぜか客観的な感じ(感情)だ。


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