Thursday, April 29, 2021

逆説と譲歩のあいまいさ

逆接と譲歩は、少し調べればわかるが、似て非なるものだが区分は明確ではない。英語では

though は逆接(だが)

even though は譲歩(にもかかわらず)

となっているようだが、実際のところ大した違いはない。英語の even は曲者(くせもの)だ。英語の代表的な逆接の接続詞は but で、短くて発音も簡単なので習いたての日本人の英語では多用される。多用されると単調になるので、適当に

however
though
on the contrary

をまぜた方がいい。だが on the contrary は単純に but の置き換えにならない。

We had bad weather today. But we went out.
We had bad weather today. However we went out.
Though we had bad weather today, we went out. これは although でもよく
Although we had bad weather today, we went out.

on the contrary は具合が悪い。

but はダメだが、however と though は結果文の最後に付け足しのように言ってもよく、こうすると英語中級くらいになる。付け足しの感じだが、ある種の強調だ。わたしの英語では too が最後にくるが、聞いた限りでは多くのインド人の英語では also が付け足しのように最後にくる。

We had bad weather today. We went out though.
We had bad weather today. We went out however.

一方 on the contrary は

We had bad weather today. On the contrary we went out.  (ダメ)

なぜかというと、多分対比の対象がないからだろう。 

We had bad weather today. You might think we did not go out. On the contrary we went out.  

これならいい。On the contrary は接続詞ではなく、(逆接の)副詞句、あるいは(逆接の)接続詞句だろう。さて譲歩の even though (にもかかわらず)だ。

Even though we had bad weather today, we went out. 

悪天候にもかかわらず、出かけた。  

と訳して、テストでマルがもらえる。普通はこのまま覚えて譲歩などは考えないだろう。なにが譲歩かということだが

悪天候だったので、出かけないことが予想されたが、出かけた。

ここに譲歩の意味(一歩譲って)を探すのは簡単ではない。むしろ単純な逆接でいいだろう。

悪天候だった。しかし出かけた。
悪天候だった、出かけた。 

<しかし>や<が>は言外に<出かけないことが予想されたが、それに反して>という内容が含まれている。これは譲歩ではなく逆接だ。繰り返しになるが

Even though we had bad weather today, we went out. は普通

悪天候にもかかわらず、出かけた。 

と訳されるが、これも

言外に<出かけないことが予想されたが>があることになるが、<それに反して>ではなく<それにもかかわらず>。だが繰り返しになるが実際のところ大した違いはない。これまた似て非なる表現に

No matter how bad the weather is today, we will go out.

がるが、これは<どんな悪天候にもかかわらず、出かける。> ではなく

<どんな悪天候でも、出かける。>になる。また even if を使った

Even if we have bad weather today, we will go out. (念を押すと we will still go out. か)

たとえ悪天候になっても(なったとしても)、出かける。

も可能だが、このような No matter how や even if を使った表現は譲歩表現か? still も even と同じく曲者(くせもの)で、上の

we will still go out

の still は日本語では<それでも>、念を押して<それでもやはり>に相当する 譲歩副詞といえそう。だが still の意味は<それでも>だけではない。これまで曲者 only と even は検討したので、機会があれば譲歩表現とからめて still も検討する予定。

以上は<逆説と譲歩>の第一弾で、まだ続く予定。 

 

(注)

調べてみたところ2016年に<譲歩文(xx にもかかわらず)>というポストを書いている。読み直してみたが、およそ同じようなことを書いている。気に掛けていたのだ。


sptt


Monday, April 26, 2021

Nevertheless はどういう意味か?

 

Nevertheless は普通<(それ)にもかかわらず>と訳されるが、文字どおり訳せば、日本語では熟語副詞みたいになるが<けっして(xx)より少なくはなく>となり、何が何だかわからない。<(xx)より少なくない>は言い換えると<(xx)より多い>となる。わかりずらいが、これは<以上>とminimum、<以下>と maximum を考えればいい。

------  上限 

      ^

下限より少くない = 以上、minimum 

         v
------  下限 

下限より少ない

<xx>は nevertheless がある文の内容に反する内容の文、句で、たいていは nevertheless がある文の前のにくる。

たとえば

We had bad weather today. Nevertheless we went out.

今日は悪天候だった。にもかかわらず外出した。

では<今日は悪天候だった>が相当。したがって<今日は悪天候だった。これより少なくなく(これより多く)(nevertheless) . . . . .>となるが、これではまだ何が何だかわからない。 この謎は次のように考えるととける。

この nevertheless や同類の in spite of、despite、notwithstanding (いずれも<にもかかわらず>と訳される)もそうだが、表面に出ている言葉の意味だけではナンセンスになる。上で述べた

nevertheless=これより少なくなく、これより多く 

は文脈からするとナンセンスなのだ。<にもかかわらず>のような言い方は文法上<譲歩>とよばれるが、よく使われる(意識していないが、おそらくもっともようく使われる)<修辞法>、修辞的な言い回しなのだ。 修辞的な言い回しは往々にして言外の(implicit)意味が活躍する。

今日は悪天候だった。にもかかわらず外出した。

の場合の言外の(implicit)意味は

今日は悪天候だった。(だから普通なら外出しない。それに反して)、(それに反して=にもかかわらず)外出した。

の下線部。<だから普通なら外出しない>は一般に考えられる、予想/想定されることで、これは頭の中にあり、言葉に出てこない。だれの頭の中かというと発話者とはかぎらず、聞き手も含まれるだろう。この言外の<だから普通なら外出しない>の予想、想定がないと<にもかかわらず>は成立しない。英語の

We had bad weather today. Nevertheless we went out.

も同じで We had bad weather today. では We did not go out. が予想、想定されて頭の中にあるが言葉には出てこない。そしてこの予想、想定に反して実際は we went out. で、これで修辞の効果がでる。そしてこの修辞のためにつかわれる言葉が nevertheless なのだ。だがこれでも<目からうろこ>ではない。 nevertheless  すなわち<(xx)より少なくない>や言い換えた<(xx)より多い>と<にもかかわらず>は一語一語の意味からも、直観的にも、理屈からも結びつかない。

nevertheless  をもう一度考えて見る。クセモノは the ではないか? the の意味、働きがよくわからないので、ごまかしだが、これを無視して

nevertheless  = けっしてより少なくなく

とした。正確には

never less  = けっしてより少なくなく

だ。この the もまた謎だ。

これまた少し考えると分けがわからない英語の言い回しに

The earlier the better。

というのがある。試験に出てきたら、教科書とか参考書にある<早ければ早いほどいい>と訳せば、多分マルがもらえるだろう。辞書で調べてみたが、この訳は80-90点ぐらい。95点ぐらいなのは<早ければ早いだけいい>。98点ぐらいなのは<早ければその早さに比例していい>。正確だが長すぎ、日本語らしくないので98点。<だけ>は別のポストで書いたときにしつこく調べたが、手もとに辞書によると<背の丈>の<丈(たけ)>由来で、大きく分けて三つの意味がある。1)2)が英語のonly に近いが、3番目に<早ければ早いだけいい>の<だけ>があり、これは明かに only ではない。3番目の解説は

3)やった(思った)事に応じて、その結果が十分なものであることを表わす。

例文

a)わざわざ行っただけのことはあった。
b)ばんばっただけあって、成果が上がった。
c)練習するだけ進歩する。 

この解説は例文のa)、b)の説明にはいいが、c)の説明として少し変で

3)やる事に応じて、比例して、その結果が出ることを表わす。

がいいし、1)2)にもあてはまる。キーワードは<応じて、比例して>だ。辞書の解説で見たことはないが、the に<応じて、比例して>の意味があるとすると、neverthe(less) は(xxxx)に応じず、比例せず ->に反して、<xxxxにもかかわらず>、となり譲歩の意味が出て来る。今度は less が問題になる。いろいろ考えてみた。これまた少しずるい方法だが演繹(えんえき)的に、譲歩の意味、すなわち予想、予期、想定、<はず>に反してということから、この less を<結果を否定する、結果を軽く見る>とするとつじつまがあう。ややこしいが、すなわち

今日は悪天候だった。にもかかわらず外出した。

を例にとると、 結果(外出した)を<否定する、軽く見る>ということ、そしてこれに<応じず、比例せず>に、となる。これを言いかると

 外出しなかった、 外出しなかった可能性が高かった  <応じず、比例せず>

          Less                                                                Never the

これをひっくり返すと、nevertheless となる。

あるいは

<外出しなかったという予想>にまったく比例せず(Neverthekess)

 となる。証明終わり。


sptt

 

 

Thursday, April 22, 2021

"even" は英語の奇妙な発明

前回のかなり気合を入れて書いたポスト”<in spite of>の spite について” で次のように書いた。


悪天候でも(の場合でも)運動会は行われる。ここでも<も>が出て来る。これは even though という言い方があり、<譲歩>が強まる。この英語の even は曲者(くせもの)で、よく、くわしく理解して使っている人は少ないだろう。だが大体は間違いなく使っている。このクセモノ even については別途検討予定。

忘れないうちに別途検討した。辞書で調べてみると"even" は副詞と形容詞として使われる。ややこしいのは副詞のほうで、日本語の<でも>、<ても>、<とも>に相当し、"even" も相当する日本語も逆説とか譲歩、場合によってははっきりしない<逆説とも譲歩ともとれる使い方>がある。

簡単な方の形容詞としては

平均化された、でこぼこが少ない、均等な

と言った意味で、この意味の副詞は"evenly" で、"even" ではない。

The cake should be evenly given to every one.  均等に与えられる。

ここでは形容詞の "even" はこれ以上深入りしない。

副詞の even はかなり込み入っており、以前に書いた ”any は英語の大発明 - 日本語、イタリア語、中国語の any は?” の any と似たようなところがあり、<ひとすじなわでは行かない>。日本語、イタリア語、中国語との比較の効用はこの "even" にもあてはまり、この方法で検討してみる。英語の "even" には独自性がある。

手もとの辞書で even に相当する<ても>、<でも>をしらべてみると、理解しにくい説明がある。

<でも>

1)許容される最低の場合を示す

子供の足でもでも十分あれば行ける。 (even a child)
いそがしくて日曜日でも遊んででいられない。
いまからでも遅くない。
これだけでも持って行きなさい。

以上の4例が<許容される最低の場合を示す>で説明できるだろうか。

日曜日が<許容される最低の場合>とはどういうことか?

子供の足でもでも十分あれば行ける。

の<でも>は<許容される最低の場合を示す>ようだが、

おとなの足でも十分では行けない。

の<でも>は<許容される最低の場合を示す>というよりは<考えられる最高の場合を示す>ではないか。同じように

今からでも遅くない。

一時間前からでも遅くない。

はナンセンス。

一時間前からでも遅くなかった。

もナンセンスのようだが、

<xxするのは今からでも遅くない>とすると<xxするのは一時間前からでも遅くなかった>は当たり前で、いうまでもない。だからこうは言わないだろう。

一時間後からでも遅くない。 

はナンセンスではない。わけがわからなくなっているが、 <今から>は<許容される最低の場合>だろうか。わけがわからなくなっているのは<でも . . . .ない>と否定になっているからで。

今からではもう遅い。

一時間前からではもう遅い。

はナンセンスだが

一時間後からではもう遅い。

は意味がある。<今からではもう遅い>の<今から>も<一時間後からではもう遅い>の<一時間後から>はいずれも<許容される最低の場合>の意があるが、より一般的には<許容される範囲内での限度、限界の場合>だ。だがこの2文は<でも>ではなく<では>だ。これまたややこしい。<でも . . . .ない>は <even xx   yy not (not yy)>に相当する。さらに英語では

今からではもう遅い - even from now it is already late

で意味をなす。 一方日本語の<今からでももう遅い>はナンセンス。

一時間後からではもう遅い - even from one hour later it is already late

 はナンセンス。even if from one hour later it is already late

とすれば<一時間後からとしても(となっても)、(それでは)もう遅い>の意で成り立つ。これまたややこしいが、<許容される範囲内での限度、限界の場合>は<許容される最低の場合>よりわかりやすく、しかもより一般的(汎用的)だ。

2)考えられる消極的な条件がともかく成立することを表わす。

- お茶でも飲んでいこう  (これは英語が見つからない。We have several choices to do but how about going to have some tea. とでもなるか )

- 木村君でもいてくれたら (even if は違い意味。only if があるが、これもイマイチ、<木村君さえいてくれたら>ならなんとかよさそうだが、まだイマイチ)

- あすにでも来てもらおう (as soon as tomorrow か as late as tomorrow か、あるいはほかの意味か)

- けがでもされたら、大変だ。(これは英語が見つからない。)

<お茶でも飲んでいこう>というのが一番目にあるが、これは1)許容される最低を示す、の方だろう。

また<でも>に<条件がともかく成立することを示す>意味はないだろう。たとえば

 <木村君でもいてくれたら>は<いてくれたら>が<条件が成立することを示して>いる。

<消極的な条件>とはどういう条件か。<もしけがをしたら>は仮定だが条件として、<消極的な条件>とはどういう条件か。縁起が悪いが<死にでもされたら>に比べれば<けがでもされたら>は消極的な条件(仮定)と言えそう。<死にでもされたら、なをさら大変だが>と言った比較が言外にあるか。

(死にでもされたら、なをさら大変だが)、けがをされても、大変だ。

に近が、 <けがでもされたら、大変だ>はまだ少し違うようだ。

2)は複文の文が前提になっている。 <木村君でもいてくれたら>のあとには別の文がくるが、省略できる。 

 <考えられる消極的な条件>はこれまた<許容される範囲内での限度、限界の場合>に通ずるところがある。問題は<消極的な>だ。

<消極的な>はおそらく<少なくとも>、<小さくとも>が連想されるが、実際には<多くとも>、<大きとも>にも適用される変な<消極性>だ、これは最低、最高、最小、最大、xx以上、xx以下Minimum、Maximum を少しよく考えればいい。

<最低=xx以上>、<最高=xx以下>の定義のもとにある考え方、コンセプトは基本的に同じ。低い、高いに関係ない。 

上の<でも>の1)<許容される最低の場合を示す>を<許容される最低=xx以上、または最高=xx以下の場合を示す>とすると汎用性がでてくる。

3)(不特定の指示語について)消極的な意味で無限定に成立することを表わす。

いつでもいい (Any time will do. が英語の慣用表現。 Even any time will do.  No matter what time でも通じる)

どこへでもついて行こう (To) Any place I will will follow you. で通じるか。(To) Even any place,
No matter where (you go) I will follow you. でも通じる。

これまた<消極的>が出て来るが<消極的な意味で>とはどういう意味か? 

日本語ん<ても>、<でも>も <ひとすじなわでは行かない>。繰り返しになるが、手元の辞書の<でも>の解説

1)許容される最低を表わす。

2)考えられる消極的な条件がともかく成立することを表わす。

3)消極的な意味で無限定に成立することを表わす。

はいずれも意味がよく分からないが、苦心の末の説明か。あるいは編集時間切れで、中途ハンパなままなのか。前回のポストで使った中国語が参考になると思うが、後回しにして、今再勉強中の西洋語のイタリア語との比較を勉強を兼ねてやってみた。これはなかなか参考になる。

even

1       adv  
a    perfino, anche  
even on Sundays      perfino di domenica  
and she even sings      e sa anche or addirittura cantare  
not even ...      nemmeno or neppure or neanche...  
he didn't even say hello      non ha neanche salutato  
even though, even if      anche se  
even as      proprio nel momento in cui  
even now he can't do it      non lo sa fare nemmeno ora  
without even reading it      senza neppure leggerlo  
he can't even read      non sa nemmeno leggere  
even so      ciò nonostante  
not even if/when      nemmeno or neppure se/quando  
b      (+ comp adj or adv)    ancora  
even faster      ancora più veloce  
even more      ancora di più  
you'll have even more fun tomorrow      domani vi divertirete ancora di più 

  a    perfino, anche 

 

perfino は象徴的だ。fino は<終わり>、<限度>、<fino a xx>で<xxまで>の意味だ。関連英語では final がある。

anche も象徴的だ。anche は使用頻度が高い too, also に等しい副詞だ。関連英語では encore (アンコール)がある。

even on Sundays      perfino di domenica

は幾つかの意味で解釈できる、

<日曜でも>が一般的だが、状況としては

日曜でも働いていいる(働く)

背景を言い足すと

月曜から土曜はもちろん、日曜も働いていいる。 も = too, also = anche

月曜から土曜はもちろん、日曜まで(も)働いていいる。 まで = fino a

意味が隠れているが、日曜は最終目標ではなく<限度>だ。つまり<限度を含んで>の意だ。<限度を含んで>は<限度を含んではいるが、それまで>だ。

and she even sings      e sa anche or addirittura cantare 

この even は少しむずかしい。

彼女は歌も歌う。彼女は歌を歌うこともする。

彼女は歌さえ歌う。彼女は歌を歌うことさえする。

彼女は歌でも歌う。彼女は歌を歌うことでもする。- これはダメ。

背景を言い足すと

通常は歌を歌うこと以外のことをする、利き手が知っているのは歌を歌うこと以外のことをすること。

 歌を歌うことは予想外の付け足しなのだ。付け足しなので<さえ>の<も>問題なくつく。予想外の付け足しの意が even にはある。

not even ...      nemmeno or neppure or neanche...  
he didn't even say hello      non ha neanche salutato 

 not even は even の否定でややこしい。

he didn't even say hello 

彼はハローさえも言わなかった。
彼はハローとさえ(も)言わなかった。

彼はハローでも言わなかった。

はダメ。

言外には<だから、なにも言わなかった>とか<だから、質問に答えるようなことはなかった>などが隠れている。 <許容される範囲内での限度、限界の場合>を考えると、これは最高、最良(ベスト)で、それ以上は<想定、予測、期待、許容され><ない>となる。日本語では<でも.....ない>ではなく<さえ(も).....ない>に変わってしまう。

彼はハローさえ(も)言った。
彼はハローとさえ(も)言った。 
 
と肯定にすると、状況は逆転する。つまり<許容される範囲内での限度、限界の場合>を考えると。 これは最低、最悪(ワースト)で、それ以上が<想定、予測、期待、許容され><る>となる。しかも修辞の働きがある。
 
彼はハロー(と)さえも言った。 

この発話がなされる状況はごくまれだが、ないことはない。
 
彼は極端な無口でしゃべることはほとんどなく、自分から挨拶することも、挨拶に答えることもしない。という状況では

彼はハロー(と)さえも言った。 

という発話は成り立つ。これは最低、最悪(ワースト)で、それ以上が<想定、予測、期待、許容され><る>。場合によっては<そしていろいろなことしゃべりだした>などとなる。

当たり前のように使っているが、この even は特殊なのだ。 

even though, even if      anche se 

別のポスト<譲歩文 - 英語、日本語、イタリア語>で次のように書いている。

イタリア語の譲歩文

なぜイタリア語なのかと言うと、すでに上で述べたが

1)イタリア語では動詞変化に接続法というのがあり、接続法は仮定文とともに譲歩文(仮定文、譲歩文とも従属節)で使われる。

という文法法則。さらにもう一つ

2)even if をイタリア語では anche se ということを発見したからだ。

even if xxxは日本語で

xxx でも、ても、とも、

と<も>がでてくる。イタリア語のanche は元来<も>の意なのだ。ancore (アンコール)は関連語。 se は if。if に even ではなく anche すばわち too, also, again, as well がついているのだ。しかも if の前にだ。だがこの anche は too, also, again, as well の意ではなく、譲歩の意だろう。日本語の<も>が too, also, again, as well の意以外に譲歩内容をあらわすように。


Collins Reverso Dictionary 


anche
  
   cong  

a      (pure)    also, too  
e va anche a Roma      and he's going to Rome too, and he's also going to Rome  
parla inglese e anche italiano      he speaks English and Italian too o as well  
vengo anch'io!      I'm coming too!  
sono stanchissimo! - anch'io!      I'm really tired! - me too!  
gli ho parlato ieri -- anch'io      I spoke to him yesterday -- so did I  
anche oggi non potrò venire      I won't be able to come today either  
potrebbe anche cambiare idea, ma...      he may change his mind, but ...  
avresti anche potuto avvertirmi      you could have let me know  
b      (perfino)    even  
lo saprebbe fare anche un bambino      even a child could do it  
anche se        (ipotesi)    even if,   (nonostante)    although  
anche se dovesse piovere      even if it rained  
me lo ricordo anche se avevo solo sei anni      I remember it, although I was only six  
anche volendo, non finiremmo in tempo      however much we wanted to, we wouldn't finish in time 
 

イタリア語の方もそうだが、対訳の英語の方も

 even a child could do it

even if it rained

however much we wanted to, we wouldn't finish in time

と従属節、主節とも仮定法、条件法が使用されている。内容は仮定というよりは譲歩だ。さて日本語の<も>、イタリア語の anche がなぜ譲歩の意味を持つようになったかだが、これは文法用語の<譲歩>の意味は<とりあえず肯定するが、(疑問を残す、反対のことをいう、示唆する)>で、これをいいかえると<とりあえず仲間に入れておいて、含めておいて>つまりは<も>、anche で修飾し、(疑問を残す、反対のことをいう、示唆する)>言い方、と言える。

” 

ここでの anche の訳としてeven がある。並列、添加の<も>、anche がともに譲歩がらみの表現に流用されていることは注目に値する。一方 even には too, also, again, as well ほどの並列、添加の意味はない。

even as      proprio nel momento in cui  
even now he can't do it      non lo sa fare nemmeno ora  
without even reading it      senza neppure leggerlo  
he can't even read      non sa nemmeno leggere  
even so      ciò nonostante  
not even if/when      nemmeno or neppure se/quando

以上はイタリア語中級、上級と言えるので、私のイタリア語の勉強になってしまうが、読むのが面倒な人は読みとばしてもいい。

<even as>は聞いたことも見たこともない。したがって使ったことはない。

Collins ネット辞典

even as 

in British English

(conjunction)
at the very same moment or in the very same way that
 
例: even as I spoke, it thundered

これでproprio nel momento in cu の意味が確認できる。だが、使うことはないだろう。もと英国領の香港に長らくすんでいるが、わたしの英語は基本的に若いころに聞き、習ったアメリカ英語だ。

nemmeno、neppure の<ne>は否定の意だろう。したがってnemmeno、neppure 自体に否定の意があることになるが、上記の文例では否定の non  が別にあり、こちらがが本物の文の否定だ。したがってnemmeno、neppure の<ne>は飾り見たいなものだが否定の non と組みになって(係り結びみたいなものだ)強調された否定、あるいはある種の特別なニュアンスがある否定になるのだろう。

nemmeno の meno は英語の less 相当で、これまた<にもかかわらず>と訳される接続詞 nevertheless が思いうかぶnevertheless は意味ありげな the を無視すれば直訳では<よりすくなくない>-><より多い>となるが、何のことだかよくわからない。この nevertheless は<にもかかわらず>シリーズの3番目か4番目で検討予定。

neppure はneppure=neanche となっている neppure の pure はこの機会を利用して勉強してみる。

pure
 
1       avv  
a      (anche)    too, as well, also  ,   (in proposizioni negative)    either
viene suo fratello e pure sua sorella      his brother is coming as is his sister, his brother is coming and his sister is too o as well  
siamo stati a Zurigo e pure a Lucerna      we went to Zurich and to Lucerne as well  
è venuto pure lui      he came too  
pure lei non lo sa fare      she can't do it either  
b      (con valore concessivo)    faccia pure!      please do!, by all means!, go ahead!  
te l'avevo pur detto di non andarci      I did tell you not to go  
2       cong  
a      (tuttavia, nondimeno)    but, and yet, nevertheless  
non è facile, pure bisogna riuscirci      it's not easy and yet we have to succeed  
è giovane, pure ha buon senso      he's young but he's sensible  
b      (anche se, sebbene)    even though  
pur non volendolo, ho dovuto farlo      I had to do it even though I didn't want to  
pur essendo fuori mano      even though it is out of the way  
c      (con valore finale)    pur di vederlo contento farebbe di tutto      she would do anything to make him happy 

   

とややこしい。

 

末尾

even  形容詞

2       adj  
a      (smooth)    liscio (-a)     ,   (level)    even (with)      allo stesso livello (di)  
to make even      livellare  
an even surface      una superficie liscia  
b      (uniform, speed, breathing)    regolare  ,   (temperature)    costante,   (temper)    calmo (-a)  ,   (tone, voice, colour)    uniforme
c      (equal, quantities)    uguale  ,   (score)    di parità, pari    inv  
the scores are even      sono a pari punteggio  
to have an even chance (of doing sth)      avere una buona probabilità (di fare qc)  
to get even with sb      vendicarsi di qn  
to break even        (Fin)   chiudere in pareggio  
that makes us even        (in game)      (fig)   siamo pari  
they are an even match      sono allo stesso livello  
d      (number)    pari    inv    

 

1)滑(なめ)らかな、でこぼこが少ない (表面)

2)平均化された、均一な、

3)等しい

 

参考

別のポスト<譲歩文 - 英語、日本語、イタリア語>