Friday, April 16, 2021

形容詞をつくる接辞<ない>と<xxなす>動詞

 

<やまとことばじてん>の方のポス ト” <せつない>の意味 ” の追記で次のように書いた。


追記

もと<切なる>

とある。だがこの語源(由来)についてそれ以上の説明はない。

の再考。 この辞書でたまたま<あぶない>を調べたが、<あぶない>の<ない>は形容詞をつくる接辞と書いてある。これだと、<せつない>の解説はごく簡単で説明が要らないくらいだ。

<あぶない>の変化の順序は

あやふい(あやうい) -> あふなし (<なし>は形容詞接辞)  -> あぶない

ところでこの形容詞接辞の<なし>は<なす>由来ではないか。<なす>は

借金をなす(返す)  関東方言か?
(この場を)とりなす
おりなす
(追加予定)

の<なす>と関連があろう。だが<なす>は自動詞<なる>とコンビの他動詞で、動詞化の接辞ならわかるが、形容詞接辞にはなりにくい。これも再考予定。

文法的な事項が多いので、別途再考、検討してみた。

1) 形容詞をつくる接辞<ない>

” 形容詞をつくる接辞<ない>” の例を探してみた。否定の<ない>が圧倒的に多く、これに比べると、” 形容詞をつくる接辞<ない>” の例はごく少なく、探すのに苦労した。手もとの辞書で ” 形容詞をつくる接辞<ない>” と書いてあるもの。上記の<あぶない>以外では

ゆくりない、ゆくりなし

これは難しい。私はこれまた少し考えるとよくわからない<こころおきなく>の類と考ていた。実際この意味で使ってしまったことがあるような気がする。由緒ある<やまとことば>のようなので意味や使い方調べは読者にまかせる。

はしたない

これも難しく、由緒ある<やまとことば>だが比較的簡単なので、手もとの辞書を参考に解説すると

<はし><端><端っこ>の<はし>で、<はした金>が一例。つまりは<端にあって重要でないモノ、コト>さらには<見下(くだ)すべきモノ、コト>となる。<はしため>という言葉は差別用語だろうがもう死語で聞いたり、使ったりする機会はない。次の<た>は<接辞>で特に意味はない。そして最後の<ない>が” 形容詞をつくる接辞<ない>”。これで意味が通る。<はしたが無い>ではなく<はしたがある>のだ。

似て非なる言葉に<みっともない>がある。これは<見たくも無い>、関西語の<見とうも無い>で<ない>は否定の<ない>だ。

----ー

手もとの辞書では” 形容詞をつくる接辞<ない>”と書かれていないもの。

せつない

手もとの辞書では、” もと<せつなり>” と書いてある。<やまとことばじてん>の方のポス ト<せつない>参照。

せわしない

手もとの辞書では、<せわしない>は<せわしい>の強調、となっているが、

<せわしい>+ ” 形容詞をつくる接辞<ない>” とすれば、簡単に説明もなく<強調>とするよりはいい。 <やまとことばじてん>の方のポス ト<せわしい、せわしない>参照。

あどけない 

語源不詳だは<ない>はかなり高い確率で” 形容詞をつくる接辞<ない>”。 <あどけが無い>ではない。

いたいけない

語源はややこしい。これまた<ない>はかなり高い確率で” 形容詞をつくる接辞<ない>”。<いたいけが無い>ではない。

継続調査


思いなし   <思いがない>ことではない。
こころなし  <こころがない>ことではない。

下記の2)参照


2) <xxなす>動詞

動詞連用形+なす

借金をなす(返す)  関東方言か?

動詞連用形+なす

(この場を)とりなす
おりなす(織りなす)
言いなす

<なす>は単に<xxする>ではなく<よくするように、よくなるように、うまく><する>の意がある。<とりなす>の<とる>は<取る>では意味が通じにくく<とりあつかう>の<とり>で<取って処理する>の<処理する>を含む、と<こじつければ>意味が通る。(バカにできないことば理解の<こじつけ>法)

見なす    普通は<AをBと見なす>のように使う。これも<こじつけ法>を使えば、AをBと<うまくなるように、同じようになるように>見ると、考えればいい。

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名詞(体言)+なし

大雑把に言って、<形作る>の意となる。

意味をなす
山をなす(苦情、問題、波、ちり)
大家をなす
名をなす
富をなす
群(むれ)れをなす
国をなす

色をなす (辞書によると、顔色を変える)

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思いなし

思いがなせるのか(思いがなせるわざか)

- 太郎はこのところ、思いなしか、さびしそうだ。

こころなし

心ががなせるのか(心がなせるわざか)

- 花子はこのところ、こころなしか、少しやせたようだ。

<思いなし、こころなし>はデリケートな言葉だ。

追加-2

関連語

<なし崩し>の<なし>。<なし>は<なす>の連用形。<なし崩し>はおもしろい言葉だ。関係ないようだが、<断(ことわる)>とからめてみると、おもしろい。

<なし崩し>は、手もとの辞書によると<既成事実をつくること>と書いてあるが、大体はあるよからぬ、けしからぬ(*)意図をもって既成事実をつくること、だ。

一方<ことわる(断る)>は大きく分けて二つの意味があり



1)(多くは相手に都合の悪いと思われること )を前もって伝えるておくこと、さらには前もって伝えて了解を得ること。<断っておきたうい>ならいいが、<断わっておくが>は<前もって伝えて了解を得ておくが>で、本来なら<<前もって伝えて了解を得ておきたいが>で、<了解をえるべき>なのだが、実際は<了解を得る、得ないにかかわらず強引(ごういん)にする>ことを伝える場合が多い。場合によって<断行>になるが、ここが<なしくずし>に似ているところだ。社会生活では大体<断わっておいてする>が、戦争状態で<断わっておく>はばかげている。

2)申し入れ、願いごとを拒絶すること。

世の中を見ると<なし崩し(なし崩す)>や<断り(断わる)>は政治、外交のかなり込み入った状況で活躍する。

<断(ことわ)る>の<断>は変な当て字で、<断>は判断、決断の断で<断じる>ならいい。手もとに辞書では<断じる>の第一義として<断行する>ような意味が書かれているが、<断じる>に<断行する>の意味はない。

 

けしからぬ(*)

<けし>は<怪し>でこれを否定(ぬ=ない)すると<怪しく無い>となってしまうが、これも 形容詞をつくる接辞<ない>と同じようなところがあって、ネット辞書によると、この<ぬ>>は強調で、<はなはだ怪しい>の意になる。一方<いやしからぬ>の<ぬ>は単純な否定で<いやしくない>の意。これからすると、<けしからぬ>を<ぬ>を単純に<ぬ>>は強調とは言えないのではないか。この否定の<ぬ>も形容詞をつくる接辞<ぬ>と言えるだろう。

 

sptt

 

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