だいぶ前(2017年)に ” 好き、嫌いの文法分析 ” というタイトルで<好きだ、嫌いだ。好く、嫌う>にからんだ表現の文法的解釈をいろいろこねまわしている。この中で簡単に<好かれる>、<嫌われる>という受け身表現も使われる、と書いている。詳しくは調べていないが、<好かれる>、<嫌われる>の日常会話での使用頻度は<好きだ、嫌いだ。好く、嫌う>より高いのではないか? 最近中国語で次のような表現に出くわした。
讨人喜欢 (討人喜歓)
讨人嫌 (討人嫌)
意味がよくわからないのでネット調べてみると
討人喜歓
delightful · likable · pleasant · sweet · adorable · flattering · pleasing. lovable. charming.
で四字語が一語の形容詞になっている。
討人嫌の方も
unpleasant; disagreeable
で一語の形容詞になっている。これまた中国語との対比ではよくわからない。
中国語のポイントは<討>で、中語語の<討>は多義語だが<惹>の意があり
討人喜歓 ー 人によろこびを惹き起こす、人を喜ばせる
討人嫌 ー 人に嫌気を惹き起こす
が原意。惹人喜歓、惹人嫌であれば、初対面でも察しがついたかもしれない。これで英語が上のような形容詞になっているが何とかわかる。
日本語では、いろいろあるが、表題の
討人喜歓 ー (人に)好かれる
討人嫌 ー (人に)嫌われる
惹人xx、討人xxは一種の使役で
to make someone xx
或いは、もっと一般的に
to make anyone xx
to make people xx
日本語では
討人喜歓 ー 人を楽しくする
討人嫌 ー 人をいやな気分にする
という言い方は可能だが、翻訳調だ。
人を楽しくする ー>(人に)好かれる
人をいやな気分にする ー> (人に)嫌われる
は一種の使役表現ー>受け身表現変換だが、内容的には
人を楽しくすると (人に)好かれる
人をいやな気分にすると (人に)嫌われる
というプロセスがある。 討人喜歓、討人嫌は、英語訳からして、字づらとは違ってこのプロセスをへた意味で使われていることになる。
<好かれる><嫌われる>は<好く><嫌う>の受身形だが、
(人に)好かれる人、性格、人柄
(人に)嫌われる人、性格、人柄
のような修飾的形容詞になる。( )内に入っているが<人に>は重要だ。中国語の場合は、このような使い方の時は<的>をつけて
討人喜歓的、討人嫌的となるようで、節に<的>をつけた形で、中国語の特徴と言える。
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