Friday, September 14, 2012

日本語の助詞


日本語に限らないのだろうが、助詞は膠着語の大きな特徴。ヨーロッパ語にはないので検討対象として比較検討は難しい。ただし、ややこしいが、おもしろくもある。トルコ語は膠着語だが、助詞と思われるものを語尾変化ととらえている。(注) ヨーロッパ語の動詞、名詞、形容詞の語尾変化は語尾変化自体に明示された(explicit)意味はなく暗示(implicit)であるのと同様に、分類方法にもよるが、基本的には助詞自体に明示された(explicit)意味はない。助詞単独で明示された(explicit)意味をもてば、助詞ではなく、名詞や接続詞になる。ヨーロッパ語では語と語、句と句、文と文をつなぐのに接続詞を多く使う。接続詞は語尾変化がないが、接続助詞に似て明示された(explicit)意味が薄い and、or、but と、明示された(explicit)意味が残っている also、however nevertheless などがある。また英語では格変化が退化したためか、ある言葉と他の言葉と関係を示すのに前置詞が活躍する。日本語の助詞は名詞(体言)の後に置かれるので位置は違うが、前 置詞に似たような働きがある。前置詞には明示された(explicit)意味が薄れた、at、on、to、for、of、by がある。これらは日本語の助詞の働きに似ている。一方かなり明示された(explicit)意味がある against, between、during、before、after、within、without、さらには of  を伴った前置詞句 in spite of、in stead of、regardless of もある。

(注)トルコ語(Japanese-wiki)

日本語助詞助動詞のように、単語の末尾に接尾辞を付着させて文法関係を示す膠着語であり、語順も日本語に似て、原則として主語を文の先頭、述語を文の末尾に置く(SOV型)。形容詞も日本語同様、前置修飾である。母音調和を行うことも大きな特徴である。
例:Ben dün mektubu yazdım.(私は昨日、手紙を書いた。)
  Ben(私) dün(昨日) mektub(手紙) u(「を」に当たる格語尾) yaz(「書く」を意味する動詞yazmakの語幹) (過去形を作る接辞) m(主語が一人称単数の場合に用いる人称語尾)
ここでは、日本語との違いとして、助詞「は」に当たる主題を表す接尾辞が存在しないこと、主語の人称によって動詞の語尾が変化することが挙げられる。


1. 日本語の格助詞

格助詞という言葉を誰がいつごろから使いだしたか知らないが、少なくとも<格>が活躍する言語にかなり精通した文法学者だろう。格助詞の使用は日本語の大きな特徴だ。

格変化のあるヨーロッパ語の名詞、形容詞、代名詞の格変化を考えた場合、日本語の助詞は大別して格助詞とその他の助詞ということになる。ヨーロッパ語では格変化のほかに 前置詞がけっこう使われる。この前置詞群は日本語の格助詞以外の助詞に相当するも のもあるが、 助詞だけでは間に合わない。これはめんどうな問題で、難しいが少し整理したほうがい い。

英語 (フランス語やスペイン語もそうだが)は名詞、形容詞の格変化が退化しているため前置詞が大活躍する。

ラテン語、ドイツ語、ロシア語の格変化

格変化のあるヨーロッパ語

ラテン語 -フランス語、スペイン語、イタリア語などの母言語
ドイツ語 - ゲルマン語
ロシア語 - スラブ語

ラテン語
主格 (nominativus) 、呼格(vocativus) 、属格 (genitivus) 、与格 (dativus) 、対格(accusativus) 、奪格 (ablativus) 、地格 (locativus) の七つがる。(Japanese Wiki)

ドイツ語
Nominativ(主格)、Genitiv(属格)、Dativ(与格)、Akkusativ(対格)がある。(Japanese Wiki)

なお、ドイツ語の格が四つの格に簡素化されたこと、また簡素化されながらも格変化が今も残っているのを検討するのはおもしろい課題だ。

ロシア語
主格、生格、与格、対格、造格、前置格(Japan Wiki)
Nominative, Genitive, Dative, Accusative, Instrumental, Prepositional (English Wiki)

ここではラテン語の呼格(vocativus) とロシア語の前置格(Prepositional)はやや特別なので検討しない。

ラテン語の呼格(vocativus) - 極めて限られた使用なので。
ロシア語の前置格(Prepositional) - 詳しくは調べていないが、どうも格の意味(役割)というよりは前置格の後に置かれるということなので。

またほぼ意味は同じで、名称が違うのがあるので次のように決めておく。

主格 - Nominative (英語)
属格 - Genitive (英語)
与格 - Dative(英語)
対格 - Accusative(英語)
奪格(ラテン語) - Ablative(英語)
造格(ロシア語)- Instrumental (英語)
場所格(ラテン語) -Locative (英語) 地格は<地面>や<土地>を連想するので、場(ば)格、場所格のほうがいい。

以上の格変化は名詞やそれを修飾する形容詞の語尾変化で、文の中の他の語との関係を示す。ここで<示す>は明示する (explicit)のではなく暗示するのだ。あるいは内包された(implied, implicit)関係、意味を示す。変化部分に明示された意味jはない、明示された意味をもってはいけないのだ。ここは重要なところで、日本語 の格助詞をどう位置づけるかにかかわってくる。

格変化を<内包された(implied)意味、または同じ文の中の他の語との関係を示す>とした場合に奪格(ラテン語)、造格(ロシア語)、場所格(ラテン語)はやや問題がある。

奪格(ラテン語) - 本来の奪格の役割以外に前置詞を伴っていろいろな意味が派生してしまっているのだ。

前置詞 (Japanese Wiki ラテン語文法(2))
奪格支配
ā ~から
cum ~とともに
~について
ex, ē(子音の前のみ) ~から外へ
in ~の中で
sine ~なしで
対格支配
ad ~へ
per ~を通って
in ~の中へ
trāns ~を通って

in については、対格支配の場合は「~の中へ」と、外から中への動的な動きを表す(英語のintoに近い)のに対して、奪格支配の場合は、英語の in に近く単に中にいることだけをあらわす。このような前置詞としては、他にsub(対格では~の下へ、奪格では~の下で)があげられる。 (以上Japanese Wiki)

造格(ロシア語)
格の名称は違うが奪格(ラテン語)にもこの機能(手段、方法を示す、英語の by, with、日本語の<で>)がある。これだと造格と奪格の差がなくなる。

場所格(ラテン語)
ラテン語ではごく一部の名詞を除いて奪格に吸収された。 (Japanese Wiki<処格>)
ラテン語辞書は主格、属格、与格、対格、奪格のみが示されている(呼格もない)。

このポストは日本語の格助詞の検討上、場所格をあえて含める。

さて、 今度は日本語の格助詞だが、基本的な機能は一応格変化と同じとする。すなわち、<内包された(implied)意味、または同じ文の中の他の語との関係を示す>ということだ。

日本語の格助詞は

主格 - が、(の)
属格 - の、(が)
与格 - に (へ)
対格 - を
奪格(純) - から
奪格、造格 - に、で
場所格 - で、に

英語はどうなっているかというと,  格変化はほとんどなくなってしまっている。

主格 - 無し。基本的には<位置>で決まる。
属格 - ’s、of
与格 - 原則として無し。よく使うが例外として人称代名詞がある-me, him, her, us, them (you は
       主格と同じ)
       前置格の使用が進んでおり、to me, to him, to her, to us, to them, to you  でもいい。             
対格 - 原則として無し。よく使うが例外として人称代名詞があるが 与格と同じ me, him, her,
       us,them (you は主格と同じ)
奪格(純) - from
奪格、造格 - by, with
場所格 - at, on, in

<主格 - 無し>は正確ではなく、<”原格” として残った>と言う方がいいだろう。<主格>も<格変化>の一つであったのだから。 


日本語の格助詞は上記のほかに、

と - 共同の相手、作用の結果、引用、並立を示す。 (Japanese Wiki)

より - 比較の基準に用いるほか、起点を表す用法も備えるが現在後者は、主に文章語となり、「から」と意味の重なっている。 (Japanese Wiki)

<と>はWikiの解説ほど簡単ではなく、<が><の><に><を>に劣らずきわめて重要な格助詞。これは別途検討。

奪格(純) - from  は<から>は起点のほか、<xxから取る>(本来の奪格)、<xxから作られる>、<xxから察すると>などの用法がある。

起点の<から>があれば、到着地点(place)や到着時点(time)が無いのは片手落ちで、 到着点を示す<まで>があるべきで、<まで>を加える。<まで>は単独で使われる。

ここまで来て下さい。

 <まで>を加えると奪格という名称がふさわしくなくなる。ラテン語の奪格も同じような状況なので(名称がふさわしくなくなっている)、<起着格>とか<始め終わり格>とかが考えられるが、ここでは思い切って、<ピンキリ格>とする。<ピンからキリまでの格>の意だ。場所の<どこからどこまで>、時間の<いつからいつまで>以外にも<xxからyyまで>はもちいられている。例えば、<良いものから悪いものまで>、すなわち、<ピンからキリまで>。

奪格、造格 - by, with は

a)受身表現のやり手(agent) を示す。 by

The apple was eaten by Taro.  りんごは太郎食われた。

b)手段、道具、方法を示す。with

Taro wrote a letter with a bush and ink. (太郎は筆と墨手紙を書いた。)

場所格 - at, on, in、 で、に

前置詞<to>は英語では与格をしめすが、もともとは方向を示したのだろう-toward。したがって、場所格の<へ>を加えた。

ここまでをとりあえず整理すると日本語の格助詞は次のようになる。

主格 - が、(の)
属格 - の、(が)
与格 - に (へ)
対格 - を
ピンキリ格 - から、まで 
奪格、造格 - に、で
場所格 - で、に、へ
??格 - と 
比較格 - より 比較の基準。 否定では<xxほどyyない>で<ほど>が使われる。

 <??格>はまだ名がない。 <より>は<比較格>でいいのではないか。比較はピンキリ(xxからyyまで)とならんで大切なコンセプトだ。<より>は英語のthan, as に相当する。 ただし、than, as は前置詞ではなく接続詞扱い。

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前置詞との違い

繰り返しになるが、ラテン語の前置詞を見てみよう。

前置詞 (Japanese Wiki ラテン語文法(2))
奪格支配
ā ~から
cum ~とともに
~について
ex,ē(子音の前のみ) ~から外へ
in ~の中で
sine ~なしで
対格支配
ad ~へ
per ~を通って
in ~の中へ
trāns ~を通って

日本語訳が付いているが、注意して見れば日本語の助詞に対応しているのは

奪格支配
ā ~から
対格支配
ad ~へ

の二つだけだ。

他の前置詞に対応する日本語は助詞ではない。助詞の特徴はなんども述べてきたが、<内包された(implied)意味、または同じ文の中の他の語との関係を示す>ということだ。助詞自体に明示された(explicit)意味はない。

cum~とともに           伴う
~について     付く
ex,ē(子音の前のみ)~から外へ     外
in~の中で       中
sine~なしで       無し

per~を通って     通る
in~の中へ      中
trāns~を通って     通る

みなそれぞれの語に明示された意味がある。明示された意味があっては助詞ではない(格変化でもない)。

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2.格助詞<へ>と<に>の違い

格助詞<へ>と<に>の違いは難しいようで実は簡単だ。<へ>が比較的限られた使われ方しかないのにくらべて<に>は万能選手だ。いろいろ調べてみたが、<へ>は次の場合を除き、微妙なニュアンスの違いはあるが、<に>で置き換え可能。

母への手紙。<母にの手紙>とはいえない。
君への伝言。<君にの伝言>とはいえない。

すなわち、体言 + へ + の + 体言

そのほかの<へ>は<に>で置き換えられる。当然ながら、この<に>は<へ>で置き換えられるが、他の<に>は<へ>で置き換えられない。

<へ>と<に>の微妙なニュアンスの違いは何か?

1)君に伝言がある。
2)君へ伝言がある。

1)2)は同じではない。1)の<君に伝言がある>にくらべ 2)の<君へ伝言がある>は具体的に書かれた伝言(メモなど)を思い浮かべる度合いが高い。<君への伝言>が意識されるためか?

場について言えば、<へ>は方向性(direction)が強いのに対して<に>は居場所性(location)が強い。

1)荷物を棚にのせる。
2)荷物を棚へのせる。

1)2)はあまりニュアンスの差がないようだが、

1)棚にのせてある荷物
2)棚へのせてある荷物

2)よりも1)が普通だ。なぜなら、荷物はすでに棚に<ある>からだ。<へ>は<ある(いる)>(存在の動詞)とはつながりにくい。

 <へ>も<に>英語文法でいう間接目的語をしたがえるが、物理的な移動の時には<へ>でもいいが、普通は<に>だ。

1)この本を君に送ろう。
2)この本を君へ送ろう。

1)2)でもいい。ただし、発音上からは1)は<この本を君に贈(おく)ろう>の意にもなる。

1)この本を君に贈(おく)ろう。 この本を君にやろう。 この本を君にあげよう。
2)この本を君へ贈(おく)ろう。 この本を君へやろう。 この本を君へあげよう。

1)はいいが、2)はややおかしい。


はじめに書いたように<に>は万能選手で、 <へ>の役割領分をおかしてきたのか? あるいは逆か? <へ(he)>は発音しづらいが実際は<e>なので発音はらく。<に(ni)>も発音はらくだ。


きわめて一般的には<へ>与格、<に>は場所格と言える。

へ         へ
の も の
   へ

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3.格助詞<で>と<に>の違い

次に<で>と<に>の違いに付いて検討してみる。

1)どこにいる? (人、動物の存在)
2)どこでいる? 
3)どこにある? (物の存在)
4)どこである?  
5)どこにする?
6)どこでする?

 2)はダメだがほかはいい。

5)の<どこにする?>は分からない場所をを問うているのではなく、選択の質問で、これは他の疑問詞でも共通でルール化されている。<する>は<おこなう><する>の意味ではなく<選択する>の意だ。

なんにする? 
だれにする?
いつにする?
どれにする?
どのようにする? 

4)の<どこである?>は<何かの出来事> の発生場所を問うている。

どこで火事があった?
どこで事故があった?

6)の<どこでする?>は存在ではなく、<何かの行為>が行われる場所を問うている。

以上からわかるように、 <に>は人、動物、存在、物の存在にかかわる場所について用いらる。、一方<で>は出来事や行為にかかわる場所について用いられる。

<で>は<に>ほど万能選手ではないが、けっこう幅広く活躍する。場所関係以外では、

1)方法、手段を示す(格のひとつ)。英語の前置詞 with や by の用法に近い。

グラフで示す。
ナイフで切る。
棒でたたく。


2)原因、理由を示す。 because of, due to

病気で会社を休む。
運動会は雨で中止。

 3) 時間、特に期間を示す。

2時間で終える。 in two hours ;( 2時に会う  at 2 o'clock)
2-3日で答えます。in two to three days; (2-3日後に答えます 2-3 days later)
明日でいい。 by tomorrow ;(明日にする。  tomorrow )

 4)<体言 + で>副詞化(動詞を修飾する)する。 副詞化なので、<体言 + で>の意味としては様子、状況を示す。ただし<体言 + に>の副詞化もある。

急いでくる 。  (早めにくる。)
急ぎ足でくる 。
 <急い>は<急ぎ>の音便で、動詞<急ぐ>の連用形の体言化。

元気でいる。
元気に過ごす。 ただし<元気で過ごす>とも言う。


これは上記の場所の場合の逆になる。すなわち、<で>は<何かの状態>の存在を示し、<に>は<何かの状態>である行為が行われることを示している。形容詞の場合もこの傾向がある。上の<元気に>は形容詞<元気な>の連用形とも見なせる。

綺麗でいる。- <で>は<何かの状態>の存在を示す。

きれいにやる。 これはかならずしも<美しい>ではなく、<正当に>とか、<問題なく>の意。

綺麗にする。 yyをxxにする。<に>の用法の一つ。 
結果を示す対格。<を>は元来の作用の対象を示す対格。したがってこの文は二つの対格をとる。

綺麗になる。 xxになる。<に>の用法の一つ。 結果を示す対格

<に>は<何かの状態>である行為が行われるいは、変化することを示している。


ごく一般的には<で>は奪格、造格、<に>は対格と言える。
 
上記2)は<原因、理由を示す格>としてもよさそうだが、3)4)は<格>というよりは前置詞の役割に近くなる。日本語には前置詞がないので<後置詞>か。これは万能選手の<に>についてもいえる。これは大きな問題なので次に別途検討する。


4.格助詞<と>は日本語の大発明


1.<格助詞について>で

<と>はWikiの解説ほど簡単ではなく、<が><の><に><を>に劣らずきわめて重要な格助詞。これは別途検討。

と書いた。

そこで格助詞<と>を別途検討してみる。<と>は相当重要な格助詞である。一字、一音節で簡単だが<日本語の大発明>といえるのではないか。


1)英語の前置詞 with の働きがある。

君と一緒に行く。
君と会いたい。(<君に会いたい>とも言う。) to meet you, to meet with you どちらも可。

だが、<君に会いに行く>と<君と会いに行く>ではかなり意味が違う。


2)重要な働きはは断定、判断、決定などの内容を示す働きで

xxとする。
xxとみなす。
xxとして

注意しなければいけないには、これらはは<事実ではなく>断定、判断、決定など頭の中で行われていることを表現していることだ。事実は事実として頭の外に存在している。認識論になるのでこれ以上深入りしない。

a)これは事実だ。 
b)これを事実とする(見なす)。

a)の<だ>はよく断定の助動詞といわれるが、断定も判断や決定と同じで頭の中で行われることだ。ところで、a)とb)の意味は微妙に違う。

さらに次のような言い方がある。

xxと思う      to think that
xxと考える          to think that
xxという               Someone says that
xxと言われる     it is said that
太郎はxxと言った。Taro says that

thatは接続詞だ。

3)<に>に近い働き

xxとなる - xxになる

<xxになる>はxx部分が名詞でも形容詞でもいいが、<xxとなる>はxx部分が体言に限られるようだ。

歩が金になる。
歩が金となる。

さなぎが蝶になる。
さなぎが蝶となる。

<に>と<と>の違いは微妙だ。

4)比較、対比の対象を示す働き

AはBと違う。  英語では to differ from, be different from
AとBは違う。  英語では A and B are different. 並列的
AはCと同じ。     英語ではbe same as
AとCは同じ。     英語では A and B are the same. 並列的

5)英語のandに相当する働き 

 <や>との違い。

この<と>は並列助詞という区分もある。 一方<や>は並列助詞という区分もあれば副助詞での区分もある。4)の例を用いれば、

AとBは違う。 --> AやBは違う。 
AとCは同じ。 --> AやCは同じ。

 一語の違いだが意味はかなり違う。

 あなたと私 -->  あなたや私
 馬と鹿 -->   馬と鹿

一語の違いだが意味は微妙に違う。 どこが違う? これは別途検討。


<と>はこのように幅広く活躍するが格助詞としての主要な働きは接続機能だろう。接続は単なる接続と違う。認識論に関連する接続法とのからみだ。

前々回のポストでは <??格>はまだ名がないとしたが、接続の格助詞なので接続格接続法格が適当だろう。<sptt Notes on Grammar>の書き始めのころ(2009)Latin Subjunctive(接続法)について書いたが、これが参考になる。

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5.格助詞<の>と英語の of について

助詞<の>は主に方向を示す助詞<へ>と同じく簡単で、活躍場は限られているようだ。属格<の>は、英語でいえば属格表現の<'s>と前置詞の<of>に相当する。ただし、これは多分に英語文法の影響がある。属格でなさそうな<の>と属格の変 化と思われる<of>について検討する。

1)属格でなさそうな<の>

私のこれから言わんとするところは.......

昨日君のしたことは.......

昨日あなたの書いたメモは.......

金のなる木

以上はいずれも主格の<が>で置き換えられる。

<へ>と<に>もそうだが、<の>と<が>も上記のように交換可能の場合がある。歴史を調べれば分かると思うが、<へ>と<に>あるいは<の>と<が>のどちらかが格の以移行期間ではないかと思う。


2)属格の変化と思われる<of>

英語の of =日本語の<の>ではない。属格の変化と思われる<of >、より正確には<の>以外の属格の用法。これは日本人はなかなか使いこなせない。なぜなら何故<of>を使うのかしっくりいかないのだ。

A friend of mine (this tends to be said as " my friend" or " one of friends" by Japanese.)

This photo reminds me of the childhood (or the time I was a kid).

(this tends to be said " I recall my childhood by this photo".)

She robbed me of all the money I had.

(this tends to be said " She robbed all my money" or "She robbed all the money from me".)

It's very kind of you. (very common and short, so just say "It's very kind of you")

以上は属格の変化 より正確には<の>以外の属格の用法と思われる。後日再検討。

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後日再検討結果

ただし 今回は英文法が主になる。また、本家の英文ということでThe Adventure of Sherlock Holms からの引用を多くした。

<of>は at、on、in、with などの前置詞に比べて前置詞らしからぬところがある。前置詞というよりはむしろ前置格詞とか格前置詞というような語だ。

1)所有の of
2)帰属の of
3)同格のof
4)性質(quality)、属性(characteristic, property, feature)の of
5)数量(quantity)の of
6)主体または客体を示す of
7)特定動詞の後につく of

他にもいくつかある。分類法でやると収拾がつかなくなると思う。

1)所有の of
<a fried of mine>と<my friend>は違う。<a friend of mine>は不定。<my friend>は定。それにしても<a friend of mine>は変な言い方だ。

定不定は無意識のうちに区別している。日本語には定冠詞 the、不定冠詞 a, an がないので、定不定の区別がないように見られるが、そんなことはない。(以前にいくつか例をあげた)英語を母国語としている人々はほぼ無意識のうちに the、不定冠詞 a (an) を区別していると思う。 さて、次の二つの文はどこが違う?

"There is a friend of mine, Mr Isa Whitney, and I wish to speak with him. " (The Adventure of Sherlock Holms)

"This is my friend and colleague, Dr Watson, who is occasionally good enough to help me in my cases." (The Adventure of Sherlock Holms)

2)帰属の of
an employee of a company, a boss of a company, a member of one big family

one of the most famous buildings in the world これも決まりだろうが、これも変な言い方だ。<世界で最も有名な建物の一つ>と訳される。

two of the whole members

以上の例は摘出、<取り出し>、<引き抜き>の of  といえそうで out of  でも間違いではないだろう。一方、集合、<まとめ>の of  もある。

a collection of postage stamps
a series of events

3)同格の of
City of London,

4)性質(quality)の of、属性(characteristic, property, feature)の of
a man of honesty, a man of patience, a woman of beauty, a woman of elegance, something of this sort

以上はいずれも形容詞を使って次のように言い換えられる。この場合形容詞は名詞の前に来る。フランス語、スペイン語などでは形容詞は名詞の後に来るので、この変化は注目すべきことだ。

a man of honesty -> a honest man
a man of patience -> a patient man
a woman of beauty -> a beautiful woman
a woman of elegance -> a elegant woman

This is of great importance that ...... (The Adventure of Sherlock Holms)

something of importance (The Adventure of Sherlock Holms)
これは
something important あるいは some important thing とも言える。どちらが古い言い方なのか?

something of this sort , nothing of this sort  (The Adventure of Sherlock Holms)

5)数量(quantity)の of
a lot of oranges、 tens of thousands、 two spoonful of sugar, a series of xxx, a collection of xxx

以上は数または量が前に来る場合。

a glass of milk, a cup of coffee、 という言い方がある。これもよく考えると変な言い方だ。

a glass of milk - ミルク(牛乳)のガラスのコップ(グラス)ではない。グラス一杯のミルク。 日本語では<ミルク、グラス一杯>が普通か。後者では<の>は 必要ない。

a cup of coffee - コーヒーの碗(コップ、カップ)ではない。コーヒーカップでもない。コップ一杯のコーヒー。日本語では<コーヒー、一杯>が普通か。

two spoonful of sugar - これも<二匙の砂糖>よりも<砂糖二匙>が普通だろう。

数が後に来る場合もある。
a girl of fourteen  (The Adventure of Sherlock Holms)

6)主体または客体を示す of
Criticism of politicians (客体) - 政治家への批判。<政治家の批判>は曖昧。英語の Criticism of politicians も曖昧といえば曖昧。
Existence of politicians (主体)- 政治家の存在
Change of politicians (主体、客体)- 政治家の変更。これもやや曖昧。to change は自動詞、他動詞として使われる。
主体または客体を示すのは of ではなく、of の前の語の意味だ。

7)特定動詞の後につく of
よく使われる例
I think of
I am afraid of xxx
I am ashamed of xxx
They accused him of xxx

前の<格助詞<の>と英語の of について>で取り上げた例。

This photo reminds me of the childhood (or the time I was a kid).
She robbed me of all the money I had.



6. <象の子供>と<子供の象>

<が>と<は>の違いでよく引き合いにだされるのに<象は鼻が長い>というのがある。 これにならって、次の二つを比べてみよう。

1)象の子供
2)子供の象

意味は違うが、日本語としてはおかしくない。 英語に直訳すると、

1)a child of an elephant
2)an elephant of a child

 1)はいいが、2)はダメだ。a child elephant になるだろう。an elephant in childhood でもいいか?an elephant child はダメだ。


<分類法でやると収拾がつかなくなると思う>ので、一般化をこころみてみる。

日本語の<の>はというのは大きな修飾という役割がある。飾りではないのだ。修飾というと形容で形容詞が連想されるが、<XXの>で形容詞 ではないが形容(修飾)の働きがある。

1)-3)は実のところ似たり寄ったりで、帰属関係の修飾だ。
 4)の<性質(quality)の of、属性(characteristic, property, feature)の of>は<of XX>を形容詞で置き換えらる。したがって、これ本質的な修飾だ。
5)の<)数量(quantity)の of>は数または量(quantity)に関する修飾といえる。
6)の<主体または客体を示す of>は修飾に見えるが、修飾といえなくもないが、もともとは修飾というよりは語と語を関係付ける<格>の働きだ。
7)の<特定動詞の後につく of>も属格的な働きだ。


他のThe Adventure of Sherlock Holms からの引用いくつか(順不同)。xx (名詞) of  yy (名詞)や be of xx という言い方が目に付く。

this observation of his
it may be of some service
It is of importance that it should not rain before we are able to go out the ground.
You have been of material assistance to me.
a little cry of satisfaction
a case of considerable interest
You have a great gift of silence.


<と>と <や>と and


<と>と <や>と and の違い。

この<と>は格助詞のほかに並列助詞という区分もある。 一方<や>は並列助詞としての区分もあれば副助詞での区分もある。

AとBは違う。 --> AやBは違う。 
AとCは同じ。 --> AやCは同じ。

 一語の違いだが意味はかなり違う。

 あなたと私 -->  あなたや私
 馬と鹿 -->   馬や鹿

一 語の違いだが意味は微妙に違う。 どこが違う? 同じ並列でも<と>は定並列。<など>やetc の意味をふくまない。<と>によって限定されているのだ。一方<や>不定並列。<など>やetc の意味を内包しており、<や>によって限定されないのだ。<定不定>は文法上の大きなコンセプト。英語のandにはこの区別がない。日本語の<と>と <や>のほうが分析的なのだ。もっとも日本語には定冠詞、不定冠詞がない。ただし、定、不定の差異の潜在意識はあり、それが<と>と <や>の使い分けだ。


8. 接続助詞の<と>

格助詞<と>は別に接続助詞の<と>がある。 これは<格>としての接続ではなく、文と文を接続する助詞。

1. 時系列での順接

ご飯を食べるとすぐ寝てしまった。
ご飯を食べていると太郎が来た。

2. 確定条件順接

次郎はご飯を食べるときまって眠くなる。
夜になると暗くなる。 これは<ば>でもいい。夜になれば暗くなる。

3. 仮定条件順接

そこを左へ曲がると郵便局がある。 <ば>でもいい。 そこを左へ曲がれば郵便局がある。
この本を読むとよくわかる。 <ば>でもいい。 この本を読めばよくわかる。

 <ば>のほうが動詞が仮定形に変化するので仮定の度合いが高いようだ。


接続助詞の<と>は<ば>と一緒にして別途検討。


<と>と <や>と and

<と>と <や>と and の違い。

この<と>は格助詞のほかに並列助詞という区分もある。 一方<や>は並列助詞としての区分もあれば副助詞での区分もある。

AとBは違う。 --> AやBは違う。 
AとCは同じ。 --> AやCは同じ。

 一語の違いだが意味はかなり違う。

 あなたと私 -->  あなたや私
 馬と鹿 -->   馬や鹿

一 語の違いだが意味は微妙に違う。 どこが違う? 同じ並列でも<と>は定並列。<など>やetc の意味をふくまない。<と>によって限定されているのだ。一方<や>不定並列。<など>やetc の意味を内包しており、<や>によって限定されないのだ。<定不定>は文法上の大きなコンセプト。英語のandにはこの区別がない。日本語の<と>と <や>のほうが分析的なのだ。もっとも日本語には定冠詞、不定冠詞がない。ただし、定、不定の差異の潜在意識はあり、それが<と>と <や>の使い分けだ。

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9. 接続助詞の<と>と<ば>

前に少し触れたが、<と>は格助詞以外の接続助詞の<と>がある。接続助詞の<接続>は格としての接続ではなく、前の文と後ろの文をつなぐ接続だ。

おそらく、もともとの役目は<時系列での順接>だろう。 順接の確定条件と仮定条件の主役の助詞は動詞の活用まで含めてしまう<ば>だろう。<ば>は確定条件、仮定条件にかかわりなく仮定形の後に付く。

1. 時系列での順接 - 英語では when XXX, YYY または XXX, then YYY に相当。ロジックはない。
   when、then は接続詞。

ご飯を食べるとすぐ寝てしまった。
ご飯を食べていると太郎が来た。

2. 順接確定条件 - 英語では as, since  または XXX, therefore YYY に相当。ロジック機能あり。
  as, since、therefore は接続詞。


夜になると暗くなる。 これは<ば>でもいい。夜になれば暗くなる。

次郎はご飯を食べるときまって眠くなる。 これは<ば>使った<次郎はご飯を食べればきまって眠くなる>はしこし変だ。

 <きまって>を除くと

次郎はご飯を食べると眠くなる。 これは<ば>使った<次郎はご飯を食べれば眠くなる>はそれほど変ではない。

3. 順接仮定条件 - 英語では if + 動詞仮定形(conditional)に相当。ロジック機能あり。

そこを左へ曲がると郵便局がある。 <ば>でもいい。 そこを左へ曲がれば郵便局がある。
答えはこの本を読むとわかる。 <ば>でもいい。 答えはこの本を読ばわかる。

以上の<と>と<ば>の違いは微妙で、<へ>と<に>、<が>と<の>の違いと同様、時系列的にどちらかが移行期にあるのではないか。

 <ば>のほうが動詞が仮定形に変化するので仮定の度合いが強い。英語< if + 動詞仮定形(conditional)>は日本語の<ば>と同じように動詞が活用する。

<も し>は多分に英語の if が影響しているようだ。 if を訳さないと間違い、あるいは正確な訳ではないと思ってしまうのだ。 if を使わず (仮定条件が現れない)動詞仮定形(conditional) だけでも仮定法の叙述となる。日本語では翻訳調の<動詞仮定法>まがいがあるが、日本語になっていいない。

1)金持ちならば、これを買うだろう。 (<買うのに>が日本語らしい、以下同じ)

2) 金持ちなら、これを買うだろう。 

3)金持ちだったならば、これを買うだろう。 (場合によっては、<これを買っただろう>、以下同じ)

4) 金持ちだったなら、これを買うだろう。 

5)金持だったら、これを買うだろう。 

2)4)5) は<ば>を使っていないが、<ば>使ったのとほぼ同じ意味になる。3)4)5)は完了の助動詞<た>が使われている。ただし、さらに<ならば>、<な ら>、<ら>が付いている。 <だった>音便で、音便がない例は<したら>、<来たら>だ。条件文に完了の助動詞<た>を使うと<条件度>が高くなるよう だ。これは英語でもそうだ。あるいは英語文法の影響か?

ある辞書では<たら>は<XXば>の略と説明している。<ならば> ー-><なら>は略というよりは<ば>の省略。 <たら>は<XXば> --><たなら> --><たら>と省略が進んだのか?

”<タラ>とか<レバ>ばかりで......” という言い方がある。<たら>は一語としてとらえられている。

<ら>は<から><さら>とかの助詞の一部として使われるが、<ら>一語での助詞扱いはない。動詞連用形+完了の助動詞<た>+<ら>で順接仮定条件を表すのはおもしろい。


順接確定条件も順接仮定条件も同じ助詞<と>、<ば>で表せるのは曖昧さにつながるが、これは分析的なほうがいいという見方で、両者を含む、より一般化した<順接条件>の方が含みがあっていいという見方もできる。


10. 接続助詞<から><ので>はロジック助詞

前回のポストで順接の確定条件、仮定条件を作る接続助詞の<と>と<ば>を検討した。これらは、普段はほとんど意識しないが、ロジック用の助詞である。

我思う故に我あり。 英語版は I think, therefore I am. もとのラテン語は Cogito ergo sum. 英語で二度出てくる I に当たる言葉がない分簡潔だ。

<故に> がロジック用の言葉だが、助詞ではなく、therefore 、ergo と同じく接続詞だ。

<我思う故に我あり。>古語ではないが現代語でもない。一時代前の文語か。現代語では<私が思う、だから私がある。>とでもなろうが、いろいろな言い方ができる。

ロジック助詞としての接続助詞の前に格格助<が>と係助詞(あるいは指示格助とも)<は>の大きな問題がある。

私が思う、だから私がある。
私は思う、だから私がある。
私が思う、だから私はある。 
私は思う、だから私はある。

意味は微妙に違う。ここではとりあえず、 <私が思う、だから私がある。>で話を進める。ロジックとしては順接なので順接条件の接続助詞の<と>と<ば>で接続詞<故に>代替してみる。

私が思うと、私がある。 
私が思えば、私がある。

ロジックとしはやや弱い。必然性がないのだ。必然性を持たせるためには、理由、根拠、原因を示し、結論、結果を導く接続助詞の<から>や<など>が使われる。

私が思うから、私がある。
私が思うので、私がある。

<から>と<ので>はちがう。

1)<から>は<ので>よりも必然性が弱い。
2)<から>は結論、結果のほうに視点があり、<ので>は理由、根拠、原因のほうに視点がある。
3)<から>は口語で多く、<ので>は文章語で多く用いられる。

忙しかったから、行けなかった。
忙しかったので、行けなかった。

言い訳としては<忙しかったので、行けなかった。>のほうがよさそうだ。

頼まれたから、殺した。
頼まれたので、殺した。

罪を軽減するための証言としては<頼まれたので、殺した。>のほうがよさそうだ。

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逆接の確定条件、仮定条件用の助詞

順 接があれば逆接があり、逆接の確定条件、仮定条件用の助詞がある。<が>、<だが>、<ても>など。逆接は譲歩ともいう。逆接は導入件用文を作るが、それ 続く結論、結果の文が条件から当然推定される結論、結果に反するものを導く。結論、結果が条件(前提)から当然期待される結論、結果ににはんするのである から、ロジック用の助詞にはなれない。

英語では順接の場合と同じく接続詞となる。英語には助詞がない。

 が - but 結論、結果文の頭に付く接続詞。

だが -although 普通は<にもかかわらず>と訳される) 逆接確定条件。条件文の頭に付く接続詞。

ても(でも) - even if  英語は逆接仮定条件のみ。

ても(でも)-  even though  英語は逆接確定条件のみ。


順接の場合と同じで、ても(でも)は逆接確定条件でもあり逆接仮定条件でもある。

金持ちだが、しあわせでない。 逆接確定条件
たとえ金持ちでも、しあわせになれない。 逆接仮定条件
もし金持ちだとしても、しあわせとはかぎらない。 逆接仮定条件
あんなに金持ちでも、しあわせでない。 逆接確定条件

まずしいのだが、しあわせだ。 逆接確定条件
たとえまずしくても、しあわせになれる。 逆接仮定条件
もしまずくても、しあわせになれる。 逆接仮定条件
あんなにまずくても、しあわせだ。 逆接確定条件


確定条件、仮定条件の区別が曖昧なのがこれらの助詞の特徴。

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11. 日本語にない for 助詞

日本語の助詞はヨーロッパ語の前置詞と同様発達しており、かなり様々な暗示された(内包された、implicit)意味を表すが、どういうわけか英語の for と against にあたる助詞が見当たらない。

for -普通<のため>、<のために>と訳される。

against  -普通<に対(たい)して>、<に反対して>、<に逆(さか)らって>などと訳される。

for  の翻訳日本語<のため(に)>は通常 平仮名で書かれるが、かしこまると<の為(に)>と書かれる。<為(ため>は訓読みで大和言葉だ。 また、<ため>は助詞のように見えるが、<ためになる本>のように、それ自体に明示された(explicit)<益>、<利益>、<得>などの意味があり、助詞ではない。同じように against の翻訳日本語は明らかに助詞ではない。

英語で for  が多用されているのを考えてみると、これはとても奇妙なことだ。

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12.終助詞

日本語の終助詞は外国人にとって習得が最も難しい助詞だろう。終助詞自体には文法上まったく意味がないといっていいのだ。中国語の语气助词に相当する。私(香港在住の日本人)の話す中国語(広東語)にはよく使われるものを含めてほとんど语气助词がない。したがって、<変な>、<不自然な>、<外国人の>中国語なのだ。语气助词の習得に文法学習はほとんど役にたたない。 したがって、残念ながらか幸いにか sptt Notes on Grammar の検討対象にならない。努力と時間も関係するだろうが、こればかりは、どうもこどもの頃からの自然な学習が必要のようだ。


sptt


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