<xx にくい>は一般的に動詞の連用形について形容詞をつくる。
読みにくい(小説)
書きにくい(字、紙)
住みにくい(家)
言いにくい(こと)
食べにくい(肉、パン)
例はいくらでもありそう。意味は<xx(するの)が難しい>で、英語でいえば difficult という形容詞に相当するだろう。
a difficult novel to read
a difficult letter to write
a difficult house to live (これは少しおかしい)
a difficult thing to say
a difficult piece of meat (bread) to eat
さて次はどうか?
1)見にくい字
2)見にくいアヒルの子
1)は
見にくい(小さい)字
見にくい(かすれかかった)字
見にくい(きたない)字
であれば一般的な用法と言える。<見るのが難しい>だ。だが
発音は同じだが<見にくい(きたない)字>と<醜(みにく)い字 >は微妙に違う。<醜(みにく)い字 >は2)見にくいアヒルの子、のグループだ。
<見にくいアヒルの子>は9割がた書く場合は<醜いアヒルの子>となるだろう。また意味上も9割がた物理的に<見るのがが難しい><アヒルの子>ではない。
ところで日本語では<食べにくい>は普通<まずい>の意にならないが、私が住む香港の広東語では<難食>は料理が<まずい>の意だ。したがって同じような現象が中国語にもあることになる。
<あいにく>は副詞だが、だぶん<合いにくい>の副詞形。<速い>--><速く>。
さておもしろいのは<xx くるしい>という言い方の形容詞だ。それほど多くはなく、また<xxにくい>形容詞ほどは一般化しておらず限定的だ。思いつくまま書きあげてみる。
動詞の連用形+ぐるしい
見ぐるしい
聞きぐるしい
寝ぐるしい
ごく自然な日本語を話す友人の韓国人が<思いぐるしい>と言うのを何度か聞いたことがあるので、彼の頭のなかでは<xx ぐるしい>が一般化しているのかもしれない。
名詞(体言)+ぐるしい
息ぐるしい
心ぐるしい
<愛くるしい>は<愛>+<苦しい>の意味ではない。
形容詞の語幹+くるしい
狭(せま)くるしい - せまっくるしい (関東方言)
暑(あつ)くるしい - あつっくるしい (関東方言)
不明+くるしい
むさくるしい
<むさ>がよくわからないが、<蒸(む)し暑い>、<むしゃくしゃする>が関連するか?
さて<xx ぐ(く)るしい>の意味だが、<息ぐるしい>を除けば、物理的な<苦しい>というよりは不快感、閉塞感をあらわしているようだ。
<追加>
別のポスト ” <苦しい>形容詞 ” から
<xxくるしい>、<xxぐるしい>と言い方がある。調べてみたが、期待に反してそれほど多くはない。
息(いき)苦ぐる)しい
かた苦(ぐる)しい この<かた>は多分<堅(かた)い、固(かた)い>の<かた>だろう。
(お)聞(き)き苦(ぐる)しい 耳障(ざわ)り
こころ苦(ぐる)しい
せま苦(くる)しい これは<苦(ぐる)しい>と濁らない。
寝(ね)苦(ぐる)しい
(お)見(み)苦(ぐる)しい 目障(ざわ)り
むさ苦(くる)しい これは<苦(ぐる)しい>と濁らない。
めまぐるしい 調べてみたがこれは<くるしい>ではない。 <目まぎる、めまぎれる(紛れる)>の意だ。
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