かなり前(2018年)に ” うらみ、つらみの<xx む(mu)>動詞 ” というポストを書いているが、<xx む>動詞に再度挑戦。2018年のポストはほとんど参考にしていない。
<xむ>、<xxむ>動詞を機械的<あいうえお順>に並べてみる。
<xむ>
あむ 編むいむ 忌む
うむ 生む、倦む
笑む <笑む>はほぼ死語で<ほほ笑む>。<笑みを浮かべる>
かむ 噛む、咬む、 鼻を<かむ>
きむ 決む(決める)
くむ 組む、汲む
こむ 込む(込める)、混む
しむ 沁みる
すむ 住む、済む、澄む
せむ 攻む(攻める)、責む(責める)
そむ 染む(染まる、染める)
たむ 貯む(貯める)、矯む(矯める)
つむ 積む、摘む、詰む(詰める)
とむ 富む、止む(止める)
なむ 舐む(舐める)
のむ 飲む
ふむ 踏む
ほむ ほめる(誉める)
もむ 揉む
やむ 已む(已める)、病む
よむ 読む
以上からは特に<む>の語感は感じられない。
<xxむ>だと多くなる。
<あ行>
あおむ 青む、赤む、白む、黒む
あがむ あがめる(崇める) おがむ(拝む)と関係がありそう
あぐむ
(あざむ) あざむく(欺く)
(あやむ) あやめる(殺める)
あゆむ 歩む
いがむ いがみあう
いさむ 勇む、勇ましい、勇み足
いじむ いじめる
いたむ 痛む、いたましい、悼む
(いとむ)いとめる(射止める)
いどむ 挑む
(うすむ)薄む 薄まる、薄める、薄い
うずむ うずめる(埋める)
うとむ 疎む これを、<うとむ>と読める人は少ないだろう
うらむ 恨む うらめしい
うるむ 潤む これを、<うるむ>と読める人は少ないだろう
え(?)
おがむ 拝む
おさむ おさめる (治める、収める、納める)
おしむ 惜しむ
<か行>
かがむ 屈む これを、<かがむ>と読める人は少ないだろう。 <しゃがむ>は方言か。
かこむ 囲む
かさむ 嵩む これを、<かさむ>と読める人は少ないだろう
かすむ 霞む かすめる (掠める)
(かたむ) 固む 固まる、固める、固い
かゆむ かゆい (痒い)
からむ 絡む
きざむ 刻む
きしむ 軋む これを、<きしむ>と読める人は少ないだろう
きばむ 黄ばむ 黄+ばむ、青ばむ、黒ばむ
きわむ きわめる(極める)
くすむ くすんだ色
くぼむ 窪む
くらむ 目がくらむ 暗い
くるむ 包む これを、<くるむ>と読む人は少ないだろう
け(?)
このむ 好む 好ましい
こばむ 拒む これを、<こばむ>と読める人は少ないだろう
<さ行>
しかむ しかめる(<顰める>が読める人はまずいないだろう)
(しがむ) しがみつく
しくむ し組む
しずむ 沈む
しとむ しとめる(し留める、し止める)
しぼむ 萎む これを、<しぼむ>と読める人は少ないだろう
すくむ 竦む これを、<すくむ>と読める人は少ないだろう
すごむ すごい
すすむ 進む
すずむ すずしい
すぼむ すぼめる 口をすぼめる
せばむ せばめる(狭める)
そねむ これは漢字が出てこない。 ねたみそねみ。
<た行>
たたむ 畳む
たゆむ これを、<たゆむ>と読める人は少ないだろう。弛むことなく、弛まず
たるむ 弛む これを、<たるむ>と読める人は少ないだろう
たわむ 撓む これを、<たわむ>と読める人は少ないだろう
ちぢむ 縮む
つかむ 掴む
つぐむ 口をつぐむ
つつむ 包む
つとむ つとめる 努める、務める
つまむ 摘まむ
つるむ 弦む これを、<つるむ>と読める人は少ないだろう、弦(弦)由来
て(?)
とがむ (咎む) とがめる、咎める(咎む、咎める、<とがむ><とがめる>と読める人は少ないだろう)
とどむ とどめる
とろむ とろける、<まどろむ>は<目がとろむ>
<な行>
ながむ ながめる (眺める)
なごむ 和む これを、<なごむ>と読める人は少ないだろう
なじむ 馴染む
なずむ 泥む これを、<なずむ>と読める人は少ないだろう
なずむ〔なづむ〕【▽泥む/▽滞む】 1 そのことに心がとらわれる。こだわる。執着する。
2 物事がはかばかしく進まないでいる。進むのに難渋する。とどこおる。<暮れなずむ>は<なかなか暮れない、という意味か?>
なだむ なだめる (宥める) これを、<なだめる>と読める人は少ないだろう
にくむ 憎む にくい、にくらしい
にじむ 滲む
にらむ 睨む これを<ぬるむ>と読める人は少ないだろ
ぬすむ 盗む
ぬるむ 温む これを<ぬるむ>と読める人は少ないだろ、ぬるい
ねたむ 妬む これを<ねたむ>と読める人は少ないだろ
のぞむ 望む
<は行>
はさむ 挟む
はじむ はじめる (始める)
はずむ 弾む
はばむ 阻む これを、<はばむ>と読める人は少ないだろう
はらむ 孕む
ひがむ 僻む これを、<ひがむ>と読める人は少ないだろう
ひずむ 歪む <ゆがむ>とも読める。<歪>は<ひずみ>、<歪み>は<ゆがみ>
ひそむ 潜む
ひるむ 怯む これを、<ひるむ>と読める人は少ないだろう
ひろむ ひろめる(広める)
ふくむ 含む
へこむ
ほそむ ほそめる(細める)
<ま行>
まとむ まとめる (纏める) まとまる
みとむ 認める
むくむ これは漢字がなさそう。<浮腫む>むりやりな漢字だ。
めぐむ 恵む
めざむ 目+覚む (目覚める)
もとむ 求む (求める)
<や行>
やすむ 休む (休まる、休める)
ゆがむ 歪むゆるむ 緩む これを、<ゆるむ>と読める人は少ないだろう
よどむ 淀む
<わ行>
?
ーーーーー
今回<xx む>動詞に再挑戦しようと思ったのは、よく出くわす中国語の<委屈>という語に関連して<うらむ>(うらみつらみ)、<ねたむ>、<そねむ>(ねたみそねみ)などの曲折した negative な感情表現の動詞に<xx む>が多いのではないか、という疑問がわいてきたからだ。以上調べた限りでは<委>も<屈>も出てこない。
<あ行>
(あざむ) あざむく(欺く)
いじむ いじめる (これは曲折した negative な感情が関連した行動だ。)
いたむ 痛む、いたましい
うとむ 疎む これを、<うとむ>と読める人は少ないだろ
うらむ 恨む うらめしい
おしむ 惜しむ
<か行>
こばむ 拒む
<な行>
にくむ 憎む にくい、にくらしい
ねたむ 妬む これを<ねたむ>と読める人は少ないだろ
<は行>
ひがむ 僻む これを、<ひがむ>と読める人は少ないだろう
ひずむ 歪む <ゆがむ>とも読める。<歪>は<ひずみ>、<歪み>は<ゆがみ>
<や行>
ゆがむ 歪むよどむ 淀む
が目立つ程度。
<うらみつらみ>の<つらみ>は<つらむ=つらい、つらく思う>由来だが<つらむ>はほとんど聞かない。
<ねたみそねみ>の<そねみ>は<そねむ>由来だが<そねむ>もほとんど聞かない。
一方 positive な<xxむ>もけっこうある。
いさむ 勇む は必ずしもいい意味ではない。 勇み足
いどむ 挑む
このむ 好む
すすむ 進む
なごむ 和む
なじむ 馴染む
のぞむ 望む
めぐむ 恵む
意外な発見-1
ある意味ではやまとことば物理、工学用語がすくなくない。
たるむ 弛む たるみ
たわむ 撓む たわみ
ちぢむ 縮む ちぢみ
はずむ 弾む はずみ
ひずむ 歪む ひずみ
へこむ へこみ
ゆがむ 歪む ゆがみ
ゆるむ 緩む ゆるみ
漢字は使わない方がよさそう。また多くは<曲折した negative>ではないが、変形する、正常でなくなる状態になる、とは言える。
意外な発見-2
顔、身体の表情表現
かがむ、しゅがむ目がくらむ
顔を(しかむ)しかめる
口をすぼむ、すぼめる
にらむ
手足がむくむ
顔がゆがむ、顔をゆがめる
意外な発見-3
これは大いに文法に関係している。
<xxむ>は自動詞<xxまる>と他動詞<xxめる>に<進化>したものが少なくない。これまで<xxまる><xxめる>。<まる><める>動詞として幾度かとりあげているが、ここでは以前のポストは見ないで話しを進める。
うずむ うずまる(埋まる) 砂にうづまる、うずめる(埋める) 身を砂にうづめる
かがむ かがまる、 かがめる 身をかがめる
すくむ すくまる 身がすくむ、身がすくまる、 すくめる 身をすくめる
くるむ くるまる、布団にくるまる、 くるめる 身を布団にくるめる
ちぢむ ちぢまる 身がちぢまる、 ちぢめる 身をちぢめる
ひそむ 潜む、 ひそめる(潜める) 身をひそめる
以上
身を砂に埋める は <砂に埋まる>こと
身をかがめる は <かがまる>こと
身をすくめる は <(身が)すくむ>こと
身を布団にくるめる は<布団にくるまる>こと
身を潜める は <潜む>こと
で他動詞ー>自動詞変換だ。もっともこれは<xxむ>に限ったことではない。
身を隠(かく)す 隠れる
目をさます 目がさめる <目を覚ます>は自分が自分の目をさますことではない。
ーーーー
形容詞+<まる><める>
あおむ 青む、赤む、白む、黒む
は 青くなる、赤くなる、etc となる。
ひろむ (ひろまる) ひろめる(広める)
は 広くなる、広くする
同じように
(高む) 高まる、高める
は 高くなる、高くする
形容詞の連用形+なる ー 自動詞形容詞の連用形+する ー 他動詞
で一般性がある。(文法上重要)。またかなり昔から使われてきたとようだ。
一方、語幹+<まる>、語幹+<める>はこの一般性がない。だが
青い ー 青める、青める固い ー 固まる、固める
薄い ー (薄む)薄まる、薄める
などの言い方もあり、形容詞+なる、形容詞+する、よりは一音節短いの省力化になり、また<語感>が違う。
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