Thursday, January 23, 2014

感覚動詞-1)視覚、<見る>、<見える>、日本語、英語、ロシア語


だいぶ前のポスト<自動詞、他動詞-6 日本語の他動詞、自動詞の作られ方>の中で感覚動詞、五感動詞に簡単に述べた。末尾参照。けっこう複雑なので再度検討してみる。、まずは視覚の<見る>、<見える>について。


見える(自動詞) - 見る(他動詞)

XXが見える
XXを見る

日本人だと気づきにくいが、<見える>と<見る>は発音はかなり似ている。また使用頻度は日常では<見える>がはるかに多い。

英語はどうか?

<見える>に相当する英語は自動詞 to seem が考えられるが、同じではない。to be seen が<見える>に近い。他動詞 to see の受身形だ。また自動詞、他動詞の区別をしなければ to see が<見える>に相当する場合が多い。

あそこに教会が見える。

The church seems over there. - これは間違い。
The church is seen over there. - これは間違いではないがやや客観的、第三者的な感じがする。文法的には、主語は The church で to see の受身形が使われている。
I see the church over there. - 英語ではこれがが普通だろう。<あそこに教会が見える>が相当する日本語だ。<私はあそこに教会が見える>とすると可能の意味を含んでくる。変な日本語だが<私にはあそこに教会が見える>としてもほぼ同じだ。
<I see the church over there.>と発話するとき<私はあそこに教会を見る>とか<私はあそこに教会を見ている>という意識は薄く、あるのは<あそこに教会が見える>の潜在意識だ。<私はあそこ教会を見る>とか<私はあそこ教会を見ている>とも違う。

英語では to see 以外に to look があるが、これは日本語の<見る>に近い。ややこしいのは to see は他動詞だが to look は自動詞で前置詞 at (場合によっては into など)が必要。自他が日本語と逆になる。また<見れども見えず>は<Looking at it but cannot see it>で、英語では動詞が違い、したがって意味に差が出る。日本語の方も<見れ><見え>で似かよってはいるが、<見れども>の<見れ>は他動詞<見る>の仮定形、<見えず>の<見え>は自動詞<見える>の未然形。<見れども見られない、見れない、(見ることができない)>でもよさそうだが、<見れども見えず>だ。<見えず>は<見ることができない>の意味にはなる。


Taro is looking at the church over there. 太郎あそこの教会を見ている。

(注)the church は a church でもいいが意味は違ってくる。

<XXのように見える>という言い方があるが、英語では

to seem XX (or like XX)
to look XX (or like XX)

The building over there seems (looks) like the church. あそこのたてもの(例の)教会らしい。
The building over there seems (looks) like a church. あそこのたてもの教会らしい。

(注)<the> と<a>、<が>と<は>の違いに注意。

英語では<見る>関連に to see、to look 以外に to watch、to view、to regard があるがこれらは他動詞。また<見せる>に相当する英語は to show で話がややこしくなる。 to show は<見せる者>と<見せられる者>の関係があり、<見せられる者>が見ることになる。

いずれにしても日本語では<見る>の関連動詞<見える>、<見せる>ですべてをまかなっており、経済的だが、日本語学習者には難しいところではないか?

日本語や英語にはないが、ドイツ語やロシア語には reflective verb という語法がある。

1)мне привиделся страшный сон.

2)I had a terrifying dream.

3)私は怖い夢を見た。

2)の英語と3)の日本語は文法的に同じ構造。1)のロシア語は直訳すると<怖い夢が私に見えた>となる。мне привиделся の下線部が reflective verb 語法。夢は見ようとして見るものではないので<(私に)夢が見えた>と自動詞を使ったの方が理にかなっているのだが、英語の影響を受けてか<夢を見た>と他動詞を使うのが普通になっている。

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<末尾>

<自動詞、他動詞-6 日本語の他動詞、自動詞の作られ方>

5. 五感動詞

<わかる> は知覚動詞と言えるが、感覚動詞、五感動詞はどうか? けっこう複雑だ。

自動詞 - 他動詞

見える - 見る。 <見える>の使役は<見えさせる>、<見えさす>だがほとんど使われず<見せる>となる。<見る>の使役は<見らせる>、<見さす>で<見るようにさせる>だがこれらもほとんど使われず<見せる>となる。
また<見える><見る>の未然形<見>+<得る>で可能の意がある。<見る>は他動詞なので自発の意はない。だが古語形<見ゆ>は自動詞(<見える>の意)で<見ゆ>の未然形は<見え>で、<見える>に自発の意が出てくる。被害、迷惑の場合は<見られる>となる。


sptt



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