Tuesday, February 10, 2015

ドイツ語の接頭辞(prefix)- 16<fort->


ドイツ語 の接頭辞(prefix)の第16弾で<fort->について調べてみる。前回のドイツ語の接頭辞(prefix)- 15<ver->と大いに関係がある。

 相良独和大辞典<ver->の解説はかなり長いが、その一部は次の通り。


 ”

<ver->の語源で<不明>でないのは<four- (vor, für)>から発生したと見られる場合と<fra- (fort) >から発生したと見られる場合があり、<不明>なのは<rings, rings-herum(まわり)>となっている。

four- (vor, für)>から発生下と見られる場合は

代理 - 例  vertreten, verantworten
経過 - 例  verplaudern, verschalfen  
通過 - 例  verlegen, verleben
阻止、遮断 - 例  versagen, versperren (*)

fra- (fort) >から発生したと見られる場合は
  
消滅、破壊、破損 - 例  (自)verschwinden, verfallen, (他) verarbeiten, verbrauchen (**)
金品及び 時間の消費 - 例  vertrinken, verplaudern
反対の方向、錯誤 - 例  verdrehen, verwöhnen
除去 - 例  vertreiiben, verjargen (***)
場所の移動 - 例  versetzen, verpflanzen
基礎語の逆 - 例  verachten, verbitten

 ”


一方 相良大辞典の接頭辞(prefix)の<fort->の解説は


分離接頭辞で、常にアクセント有り。” 前進、継続、除去 "の意味がある。


とごく簡単な説明だ。 

また同辞典の副詞<fort>の解説はやや長く、

1)前方へ(vorwörts)、先へ(vor)
2)引き続く、さらに 例: und so fort
3)去る(weg)


となっている。 <fort->動詞の見出し語は136個(多分)。日本語の訳語はほぼ例外なく ” 前進、継続、除去 " の意のうち少なくとも一つはある。ただし<前に(へ)進む>と言う訳語は少ない。

さて、接頭辞<fort->に戻って” 前進、継続、除去 "の意味を考えてみる。

<前進>は<前へ(に)進む>ことだが、少し考えてみると、発話時には<前の方>が強く意識されており、足元(今いるところ)の意識は薄い。個々の<fort->動詞の日本語訳では<前に進む>という訳語が現れる動詞は少ない。自動詞の<xx さる>(走り去る、流れ去る、飛び去る)が該当しよう。ただし日本語の<去る>はかならずしも<前の方>ではなく<後ろの方>にも去れる。<抜き去る>、<置き去る>。<横や斜(なな)めの方>にも去れるだろう。さらに<除去>の意味にもなり。取り去る、奪(うば)い去る、削(けず)り去る。日本語の<去る>は多義語で注意する必要がある。

<継続>は<ある動作、行動、状態が続くこと>だ。これも前進ほどではないが発話時には<前の方>が意識されている。したがって<前進>と<継続>は関係があるといえる。上記の例 und so fort は英語では and so forth 以外に and so on があり、また to go on、to keep on xxx ing という継続のいい方があるので fort (ドイツ語)= on と言えそう。日本語訳では<xx (し)続ける>となるが<fort>と<続ける>の意識転換は容易ではない。

<除去>は個々の<fort->動詞の日本語訳では<去る>、<去らせる>、<出る>、<出させる>、<取る>、<除く>、<捨てる>がつく動詞が該当する。 fortbringen、forträumen、fortsetzen、forttecken、fortstellen には<取り除く>、<片付ける>の日本語訳が出て来る。

おもしろい、と言うかよくわからないのは

fortgehen - 立ち去る、遠ざかる、いき続ける、継続する
fortkommen - 去る、失う、前へ進む、はかどる、うまくやる

fortgehen はまあいいとしてfortkommen がどうして<去る、失う、前へ進む、はかどる、うまくやる>の意になるかだ。日本語の感覚では fortgehen だ。(別途検討)


<除去>の接頭辞は fort 以外にもけっこうある。ab-、ent-、ver-、veg-。次回は<veg->を取り上げる予定。



sptt









 

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