Wednesday, March 11, 2020

波がたつ、波をうつ


前回の」ポスト<時間の方向>で波の現象に関連して時間表現の後(うしろ)と前(まえ)の話をしたが、今回は波関連の日本語表現をチェックしてみる。

波がたつ

<波がたつ>は<波が立つ>でいいだろう。これは波、特に水面上の波をよく観察した表現だ。水面上の波は前後、左右に進んでるようにみえる(こともある)がよく見ると水面がその場で上下運動しているだけなので<波が立つ>でいい。上下運動を強調すると<波が立ったりすわったり>になるか?もっと一般的には

波がおこる
波が出る

波がなくなる、消える
波がおさまる、静(しず)まる

は問題ない。波を風で置き換えられるので波も風も同じような自然現象ととらえていたのだろう。


波が寄せる
波が寄せて来る

という言い方はあるが

波が寄せて行く

は変だ。波は動いて行く、進んで行くように見えるが上記のように<よく見ると水面がその場で上下運動しているだけなので>

波が動いて行く、
波が進んで行く

というのもあまり聞かない。

<流れる>はまったくダメで

波が流れる
波が流れて来る
波が流れて行く

したがって波は<流れる>ものではないのだ。

波は間違いなく動いているが、<波が流れる>と同じく

波が動く

は聞かない。

 
波をうつ

<波をうつ >は<波を打つ>ではしっくりこない。 <波がうつ >ではなく文法違反のような<波をうつ >で

水面が波をうつ 。
表面が波をうつ。

という言い方なので<波をうつ >で<波のような状態をしている >という意味になる。

水面が波うつ 。
表面が波うつ。

も自然な表現だ。

波打ち際(ぎわ)

という言い方があるが、これは<波が打ちつける、寄せて来る際(きわ)、端 (はし)、ところ>で<波うつ>とは違う。

ほかの<xxをうつ>表現をさがしてみると

脈をうつ(脈うつ)
あいづちをうつ - あいづちは相槌か。<鎚(つち)を打つ> も少し変で<xxを鎚で打つ>が実情に合っている。したがって<あいづち>は波、脈のような反復運動と見た言い方だ。


波にのる - これは波に乗って前に進むような感じがある。これは比喩的に使われる。

波に逆(さか)らう - これは押し寄せてくる波に逆らう。または波の上下運動に逆らう。これも多くは比喩的に使われる。

波風(なみかぜ)をたてる - 風が吹いて波が立つ、が実情でこれを比喩的に<風を吹かして波を立てる>の意か。あるいは<波や風をたてる>の意か。だが<風をたてる>はほとんど聞かないが<風立ちぬ>という詩だか小説がある。


波がゆれる

<波にゆられて>、<波が船をゆらす>はいいが<波がゆれる>は変だ。細かいことを言うと波がゆれないと<波にゆられて>や<波が船をゆらす>は不可能なはずだ。これは<波は自動的に動く、自動詞>にならないということか?だが<波をゆらす>もダメだ。なんだかかなりこんがらかってきた。 振動表現では<振れる、振らす、振るわす、震える、震わす>があるが波には使われないいうだ、


sptt






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