Saturday, August 24, 2013

ロシア語と日本語の相違


ロシア語と日本語の相違

1.相似 - 似ているところ

1)発音

似ているとはいえないが、 ロシア語の子音と母音で日本語の発音はほぼ出来る。逆はダメで、L(л) と R(Р) の区別がある。F(ф)、V(B)の発音がある。 (  ) 内はロシア文字。

ロシア語はソフトな濁音が多い。

ざ、じ、ず、ぜ、ぞ
だ、ぢ、づ、(ぜ)、(ぞ)
じゃ、じゅ、じょ
ぢゃ、ぢゅ、ぢょ

ラヂオはラヂオ(радио)。 英語の<di>はなく、<ぢ>となる。日本語と同じく英語の<du>、<ti>、<tu>の発音はなく、それぞれ

du - <じゅ>、<ぢゅ>にに近い音
ti -  <ち>に近い音
tu - <ちゅ>に近い音

となるようだ(後日再検討)

2)冠詞がない

冠詞がないと頼りなさそうだが、無ければ無いで済み、取り立てて問題はない。

3)形容詞、動詞に語尾変化があり複雑。 中国語はまったく変化なし。英語は比較的簡単(形容詞は変化なし)。

4)所有を存在としてあらわす。

英語で<I have XX>, 中国語で<我有 XX>というところを<私に XX がある>という。

she's got two brothers  -  у неё есть два бра́та
у = by, at    に
неё = her  彼女
есть (to be, there is, there are ) ある
два = two ふたつ(の)
бра́та = brothers 兄弟 (複数形、単数形は
брат

5) 繋辞(copula) がない(を用いない)

Мари́я ()студе'нтка.  (Maria is a student. ) まり子は学生()だ。 

日本語の<は>は助詞で<まり子>と<学生>の関係を示すが動詞(繋辞)ではない。<だ>は断定の助動詞でこれまた動詞(繋辞)ではなく、<まり子は学生()>ということ断定する働きだけだ。()が繋辞で、この場合繋辞がない。

6) <だ>は肯定、<な>は否定。 

yes - да (da)
no - нет
(niet)

 да (da) と断定、あるいは否定の反対の肯定をあらわす<だ>が偶然の一致とは思えない。<だ>の使用はかなり古いとは言えず、ロシア語の輸入ではないか?
なお、<はい>は広東語の<(係 - 発音:ハイ)>の可能性が高い。もっとも<係呀 - 発音:ハイア)>として使われる場合が多い。<係>は<yes>意外に 繋辞(copula) として頻繁に使われる。なぜ広東語かといえば、日本は1941年12月末(クリスマス)から-1945年8月まで香港を軍事的に占領していた。
否定も古くは <ず>で<ない>の使用開始もそれほど古くはないだろう。したがって、これまたロシア語の輸入ではないか? もっとも否定は英語 no、not、フランス語 non、ドイツ語 nein とみな<N>音で、ロシア語の нет (niet) 自体輸入語の可能性が高い


-----

2.違うところ 

実際のところ違うところのほうが圧倒的に多く、ロシア語はいわば別世界の言葉だ。


1)ロシア語の基本語順は英語、中国と同じ。

主語 + 述語 + 目的語

ただし、ロシア語の場合名詞の格変化があるので目的語の位置は比較的自由。

2)ロシア語の名詞は単複に加えて性別(男性、女性、中性)がある。

3) ロシア語の名詞は上記(性別-男性、女性、中性)に加えて格変化がある。一方日本語は格助詞を使って区別する。この項目は文法の核であるので説明が長くなる。

ロシア語の格変化

a) 主格  -  ~は、~が  主格を示す
b) 生格 (Genitive Case の訳) -  ~の 所有、所属を示す
c) 与格 -  ~に  間接目的語を示す
d) 対格 -  ~を  直接目的語を示す
e) 造格 (Instrumental Case の訳)- ~で、~として  手段、職業を示す
f) 前置詞格- 前置詞の後に使われる。 生格、与格、対格、造格をとる前置詞も多いが、意味が違う。


3)-1 人称代名詞

ロシア語には英語と同じく 人称代名詞がある。ロシア語は人称による動詞の語尾変化があり、この語尾変化は各人称に対応するので人称代名詞を用いなくても大きな混乱は起きないはずだが、人称代名詞は下記のように英語に対応するものがそろっている。イタリア語も同じような状況だ。

From <Russian Tutorial -http://ielanguages.com/russian.html>


Personal Pronouns


Personal Pronouns
Case I/Me You
(singular/ informal)
He/It She We You
(plural/ formal)
They
Nominative Я Ты Он/Оно́ Она́ Мы Вы Они́
Accusative Меня́ Тебя́ Его́ Её Нас Вас Их
Dative Мне Тебе́ Ему́ Ей Нам Вам Им
Genitive Меня́ Тебя́ Его́ Её Нас Вас Их
Prepositional Мне Тебе́ Нём Ней Нас Вас Них
Instrumental Мной Тобо́й Им Ей На́ми Ва́ми И́ми



Note that when preceded by a preposition, those pronouns beginning with a vowel take an H- on the beginning.


当然ながら格変化がある。英語は相当簡素化している。

I - me
you - you
he - him
she - her
we - us
you - you (plural)
they - them

右側の語は与格、対格のみならず、生格(属格)(of ~)、造格(奪格)( with ~, by ~)、前置詞格でもある。

 一方日本語にはシステマチックな人称代名詞群はない。単数、複数、男性、女性の区別もシステマチックでない。いわば<メチャクチャ>だ。

一人称単数
私(わたし、わたくし)、俺(おれ)、僕(ぼく)、小生(しょうせい)、手前(てまえ) 
<代名詞>とはいえないが、(子供にたいしては)<お母さん(お父さん、おじさん、おばさん、etc)は>で お母さん(おとうさん、etc)が一人称になり、(生徒にたいしては)<先生は>で先生が、一人称になる。いわばいくらでもある。

二人称単数
あなた、君(きみ)、お前(おまえ)、貴様(きさま)、てめえ
これも<代名詞>とはいえないが、(太郎、花子、山田にたいしては)<太郎、(花子、山田)は>、で太郎、花子、山田が二人称にもなる。

三人称単数
この人、その人、あの人、かの人、彼(かれ)、彼女(かのじょ)

複数は複数を示す語<たち>、<ら>、<ども>を単数語の後に加える。

私(わたし、わたくし)+ たち、ら、ども
あなた + たち、ら、ども
この人 + たち、ら、ども


3)-2 指示代名詞

From <Russian Tutorial -http://ielanguages.com/russian.html>



Demonstrative Pronouns


This/These
That/Those
Case
Masc.
Fem.
Neut.
Pl.

Masc.
Fem.
Neut.
Pl.
Nominative Э́тот Э́та Э́то Э́ти
Тот Та То Те
Accusative Э́тот/Э́того Э́ту Э́то Э́ти/Э́тих
Тотого Ту То Теех
Dative Э́тому Э́той Э́тому Э́тим
Тому́ Той Тому́ Тем
Genitive Э́того Э́той Э́того Э́тих
Того́ Той Того́ Тех
Prepositional Э́том Э́той Э́том Э́тих
Том Той Том Тех
Instrumental Э́тим Э́той Э́тим Э́тими
Тем Той Тем Те́ми


    Notes on Э́то: Not only is this word the neuter-nominative, it is also used in the predicative sense; that means if you want to say "this is" or "is this," you simply write это. (See section 36 for more on this.) Also, you may have noticed that there are no articles (a, an, the) in Russian, a fact that can make direct translations sound strange at times; if you wish to indicate that you are speaking about a specific thing, you can use the э́тот, тот, or оди́н.


3)-3 所有代名詞

From <Russian Tutorial -http://ielanguages.com/russian.html>

 Possessive Pronouns 

Possessive Pronoun Мой My/Mine
Case Masc. Fem. Neut. Pl.
Nominative Мой Моя́ Моё Мои́
Accusative Мой/Моего́ Мою́ Моё Мои́/Мои́х
Dative Моему́ Мое́й Моему́ Мои́м
Genitive Моего́ Мое́й Моего́ Мои́х
Prepositional Моём Мое́й Моём Мои́х
Instrumental Мои́м Мое́й Мои́м Мои́ми
Pronouns that decline like this one: Твой (your/yours informal)

Note that the possessive pronouns его́ (his,) её (her,) их (their) do not decline.



Possessive Pronoun Наш Our/Ours
Case Masc. Fem. Neut. Pl.
Nominative Наш На́ша На́ше На́ши
Accusative На́шего На́шу На́ше На́ших
Dative На́шему На́шей На́шему На́шим
Genitive На́шего На́шей На́шего На́ших
Prepositional На́шем На́шей На́шем На́ших
Instrumental На́шим На́шей На́шим На́шими
Pronouns that decline like this one: Ваш- (your/yours formal, plural)


ロシア語の格変化 (上述のコピー)

a) 主格  -  ~は、~が  主格を示す
b) 生格 (Genitive Case の訳) -  ~の 所有、所属を示す
c) 与格 -  ~に  間接目的語を示す
d) 対格 -  ~を  直接目的語を示す
e) 造格 (Instrumental Case の訳)- ~で、~として  手段、職業を示す
f) 前置詞格- 前置詞の後に使われる。 生格、与格、対格、造格をとる前置詞も多いが、意味が違う。

a)主格

日本語でも<が>、<の>、<に>、<を>は格を示す格助詞。<は>は議論の余地があるが、格助詞ではなく、係助詞。

Japan-Wiki の<は>説明は次のとおり。


係助詞

ついた語に意味を添えて強調するもの。述語と呼応することもある(古典語では係り結びがあり、現代語では「しか」が否定形に呼応)。(副助詞に含める説もある)

<は>

文節活用語連用形などに接続し、ついた語句の範囲を、多くの事柄から一つに限定して提示したものとするような、強調の役割をしたり、題目を提示して、叙述の範囲をきめたり、叙述内容の成り立つ条件に限定を加える事を示す。また、格助詞副詞などに付いて意味語勢を強めるなど、二つ以上の判断を対照的に示すこともある。現在では「わ」と発音する。



したがって、日本語の文法上<は>は主格を示す格助詞ではない。だが実際上は主格を示す場合が多い。

私は行く。

太郎はギターを弾(ひ)く。

花子は太郎が好き。 (この例は<は>と<が>があり、文法上の説明は単純ではない)

b)生格

ドイツ語やラテン語では属格。<生格>は働き、内容よりは genitive case の訳からきたものだろう。ロシア語の生格は<~の 所有・所属を示す>以外の用法がある。英語の of にも日本語の<の>もそうだが

фотография брата.      a (the) photo of the bother      兄(弟)の写真
Берег моря                  a (the) coast of the see           海の岸

<of>、<の>はおそらく一番よく使われる前置詞、助詞だが、同じように生格は頻繁に使われる。

 ロシア語には前置詞の後につく前置詞格があるが、生格をしたがえる前置詞が意外と多い。

Близ -- Close to
Без -- Without
Вместо -- Instead of
Вне -- Outside of
Внутри -- Inside of
Вокруг -- Around (usually a circular area)
Для -- for (use by, for the benefit of)
До -- up to, until
Мимо -- By, past
Около -- Near, around, approximately
Помимо -- Besides, other than
После -- After (event, day, etc.)
Против -- against, in opposition to

英語でも前置詞句では<of ~>となり、いわば生格(属格)だ。上記の例では

instead of、outside of、inside of、for the benefit of があるが、これ以外に

because of
in place of
speaking of
for the sake of
in spite of

がある。

c)与格

基本的には<与える>、<与えられる>の意が残っている。


d)対格

(against)(through) は前置詞だが、前置詞格ではなく対格をしたがえる。

e)<造格> これに相当する格はラテン語では普通<奪格(ablative の訳)>という訳語が使われていいる。

 f) 前置詞格の名称は意味上の分類ではなく形態上の分類(前置詞の後に使われる)から来ているが。 生格、与格、対格、造格との意味の違いがある。


Japan-Wiki の<ラテン語-奪格>の説明は次のとおり。


奪格(だっかく、: ablative case: casus ablativus)は、名詞の一つで、主に起点・分離(~から)を示す。従格、離格ともいう。
古典ギリシア語では属格に吸収されたが、ラテン語では処格具格を吸収して、手段(~によって)等を始とする多彩な用法をもち、.........

"

造格が<~で、~として  手段、職業を示す>だけの働きだとしたら、名前は<造格>よりも<処格>(処理する)、あるいは<具格>(道具、手段、英語では Instrumental Case )の方がよさそう。だが造格は<~で、~として  手段、職業を示す>以外に次のような用法がある。

i) The same principal applies to parts of the day:
утро - morning 
утром - in the morning

день - day, afternoon
днём - in the afternoon

вечер - evening
вечером - in the evening

ночь - night
ночью - at night

ii)
iii)
iv)
v)
vi)

4) ロシア語の形容詞は形容する名詞の単複別、性、格によって語尾が変化する。

5)ロシア語は接頭辞が大活躍する。

これは文法的におもしろいところで、追って別途独立して詳しく書く予定。ドイツ語の接頭辞に関しては別のポストでいくつか書いている。er-、be-、um-、durch-、 über-。

a)ロシア語は接頭辞でするところを日本語では複合動詞(動詞の組み合わせ)でする。



b)アスペクトとも大いに関係する。

ロシア語は接頭辞は アスペクトと関連する。日本語のアスペクトは<もの>、<こと>、<ところ>の名詞、<いる>、<ある>、<いく>、<くる>、<しまう>(完了)の基本動詞使って表現する。

ロシア語のアスペクト(Aspect)は複雑で、反面おもしろいが、基本的に完了(定)(perfective)と継続(不定)(imperfective)に分けて動詞表現するが、動詞の語尾変化ではなく、ことなる形の動詞を使う。これが時制にからんで多様な表現となる。完了(perfective)はいわゆる<完了>でも、過去でもなく、継続(imperfective)をしない、一回限りの、動作、行為(する)、発生(なる)を示す。現在形は内容的に継続しているととらえ、すべて継続(imperfective)で完了(perfective)は使わない。


A) 日本語のアスペクト (時制がらみ)

1. 現在形

日本語の現在形

1)中立あるいは基本叙述。説明、解説を表す。
太郎は働く。 美代子は見る。次郎は来る。 花子はいる。
ロシア語では継続(不定)(imperfective)動詞の現在形が用いられる。2)と同じ。

2)継続的、断続的行為、動作、連続的状態をを表す。
ロシア語では継続(不定)(imperfective)動詞の現在形が用いられる。

太郎は(毎日)働く。 美代子は(毎日)見る。次郎は(毎日)来る。 花子は(朝からずっと)いる。

3)未来を表す。
太郎は(あした)働く。 美代子は(あした)見る。次郎は(あした)来る。 花子は(午後)いる。
ロシア語では内容によりに完了(定)(perfective)動詞の現在形(現在形は現在を表さない)と継続(不定)(imperfective)+未来を表す語 быть (元来<to be>の意)の人称語尾変、の二つの表現がある。

中立叙述とはロシア語の不定詞に相当するが、英語と同じく、ロシア語の不定詞そのままではは叙述文にはならず現在形でも人称別に語尾変化がある。
日本語の動詞終止形は中立叙述で会話内容、文脈、または修飾ごを伴って継続的、断続的行為、(一回限りの、一時的な)動作、行為、出来事、連続的状態、さらには未来の意を示す。

太郎は本を読む。- 時を示す語がないと現在とも未来ともとれ、継続(断続、習慣)とも一回限りの、一時的な動作、行為ともとれる。曖昧とも中立とも、また不定と言える。中立、不定アスペクト

アスペクト(Aspect)の範囲を広げれば日本語アスペクト(Aspect)はかなり豊富である。

太郎は毎日本を読む。

太郎は毎朝一時間本を読む。

一時間といっているので実際は<読む>行為は継続するのだが、この場合<読む行為>の<継続>を表しているのではなく<読む行為>の習慣、繰り返しを表している。継続、習慣、繰り返しアスペクト

未来形 - 単純(中立)未来時制(テンス)

太郎はあした本を読む。(実際このような発話はまずない。<本>が曖昧なのだ。)
太郎は今日借りた本をあした読む。(これもこのような発話はまずない。誰の発話なのか曖昧なのだ。)
太郎は<今日借りた本をあした読む>と言う(言った)。
太郎は今日借りた本をあした読むことにした。

<読むこと>は動詞<読む>の名詞化(体言化)といえるが、この場合一回限りの行為を示す。

太郎は今日借りた本をあしたから毎日読むことにした。

この場合<XX(動詞連体形)+こと+にする(した)>という形で習慣、繰り返しの意を含むようになる。習慣、繰り返しの意のアスペクト
 また<読むことはいいことだ>となると習慣、繰り返しの意が出てくる。

 太郎はいま本を読んでいる。 進行形、進行アスペクト

英文法では<現在進行形>というのがあるが、日本語では次のように表す。

太郎は(いま)働いている。 太郎は(いま)働いているるところだ。
美代子は(いま)見ている。  美代子は(いま)見ているところだ。
<行く>、<来る>は具合が悪く
次郎は(いま)来ている。(ダメ) ---> 次郎は(いま)来るところだ。 次郎は(いま)来ているところだ。 (ダメ)
花子は(いま)いる。 花子は(いま)いるところだ。 英語で I am being とはいわない。

英語の現在進行形は日本語では

動詞連用形 て + いる
動詞連用形 て + いる + ところ + だ

になるがロシア語が継続(imperfective)系動詞の現在形が用いられる。日本語では<ところ>の表現機能のひとつだ。 

<次郎は(いま)来ている>、<次郎は(いま)来るところだ>、<次郎は(いま)来ているところだ>はやや曖昧だ。

次郎は(いま)来ている。 - こうは言えない。 <次郎は(いま)来ている>は<もう来てしっまている>のだ。
次郎は(いま)来るところだ。 - Jiro is about to come の意味にもなる。
次郎は(いま)来ているところだ。- Jiro has already come and is staying (here) の意味になる。
Jiro is now coming は<次郎は今こちらにむかっている(ところだ)>とかなり長くなる。

これは<来る>という動詞の意味(移動、方向)が関係している。移動、方向がらみの動詞はロシア語も複雑。

ところで英語の<be about to>は<差し迫った未来>とでもいえよう。一般には、

動詞連体形 + ところ + だ

で表せる。

太郎は(いま)働くところだ。
美代子は(いま)見るところだ。
次郎は(いま)来るところだ。
ただし
花子は(いま)いるところだ。 - こうは言えない。
 これは<いる>という動詞の意味(存在)が関係いしている。これも意味論になるのでここでは深入りしない。これも<ところ>の表現機能のひとつだ。 

不完了/未完了は完了の否定だが継続でもある(終わっていない)。また人の世界の見方は開始よりも完了が視点になっているようで、特に未完了は日本語では<まだxxx(し)ていない>と係り結びになり、強調されている。

1)xx は(が)始まった。
2)xx は(が)終わった。 

1)は<始まる>を使っているが内容は<完了>だ。また<終わる>、<終える>、は完了を明示的に(explicitly)にあらわす。<しまう>は<終わる>、<終える>ほど明示的ではない。

宿題はもうしてしまった。
宿題はなるべく早くしてしまおう。
xx は(が)始まってしまった。

英語の<to be about to>は<差し迫った未来>とでもいえよう。一般には、

動詞連体形 + ところ + だ

今するところだ。

2. 過去形、完了形

日本語の過去形、完了形

日本語では過去と完了の明確な区別がない。

<動詞の連用形 + た>で過去、も完了も表す。

過去から現在まで継続、断続していることを表す
(ずっと) 動詞連用形 て + きた (have + 過去分詞)
(ずっと) 動詞連用形 て + きて + いる (やや翻訳調) (to have + been xx-ing)

過去の経験を表す
動詞連用形 + た + こと + が + ある     経験アスペクト

過去の進行形

xx していた。  <して>+<いる>の過去(完了)形<いた>
xx しているところだった。 <しているところ>+断定に助動詞<だ>の過去(完了)形<だった>

<いた>も<だった>も完了と言うよりは現在と一応切り離された<過去>。


太郎は働く。 美代子は見る。次郎は来る。 花子はいる。

上記以外にも次のような表現がある。

動詞連体形 + もの + だ   (socially required rules、natural phenomenon)

男は働くものだ。(socially required rules、natural phenomenon) 道徳的摂理のアスペクト
りんごは木から落ちるものだ。(natural phenomenon) 因果関係のアスペクト、自然の摂理のアスペクト

動詞連用形 + た + もの + だ   (used to 不定詞)

太郎は(よく)働いたものだ。   過去の習慣、繰り返しの意のアスペクト

動詞連体形 + た + もの + だった   回想(recalling)のアスペクト

太郎は(よく)働いたものだった。

動詞連体形 + こと + だ  名詞(体言)化、体言対象化; 感動

必要なのは太郎が働くことだ。

太郎はよく働くことだ。  (感動) 普通は<太郎は(なんと、まあ、ほんとに、etc)よく働くことだ。

XX ということになる   因果関係アスペクト

AをすればBということになる。

動詞連用形 + た + ところ + だ  (to have just finished))

美代子は見た。  単純完了、単純過去
美代子は見たところだ。  完了というよりは過去の一回限りの、一時的な動作、行為、出来事アスペクト

動詞連体形 + ところ + だった

美代子は見るところだった。  <to be about to の過去> または
美代子は見るところだった。 (が実際はみなかった)の意味にもなる。
曖昧さがのこるが、たいてい副詞が入り 曖昧さは除ける。

美代子は(ちょうど)見るところだった。
美代子は(もうすこしで)見るところだった。

いずれにしても<もの><こと><ところ>が大活躍する。日本語のアスペクトといえる。

動詞連用形 て + いく  

動詞連用形 て + くる  

<くる><いく>は移動の動詞だが、<動く>、<歩く>、<飛ぶ>などが純粋な移動動詞であるに対して、アスペクト(Aspect)的な働きがある。

B) ロシア語のアスペクト

未着手

ロシア語のアスペクトに関しては、前のほうでごく簡単にのべたが、もっと詳しく検討する予定。


6)関係代名詞がある 

(未着手)


sptt


No comments:

Post a Comment