Sunday, September 6, 2015

音象徴 -2 「 動き」のイメージ


前回のポストでは「 動かない」という基本イメージの<st->の英語と日本語について調べた。当然ながら「 動く」という基本イメージについて調べてみたくなる。

英語では

to move

ラテン語系では motion がある。 少し範囲を広げれば

to walk
to run
to swim
to fly
to push
to push up, down
to pull
to pull up, down
to drive  これは車のドライブ以外に基本的な<動かす>の意がある。

to swing
to shake 

以上は主に直線的な運動だが、物理的に重要な回転、振幅運動があり、

回転運動
to rotate (ラテン語系)
to spin
to xx around

振幅運動
to swing
to shake

以上の語からは音象徴は見つけにくい。

回転につては、sptt やまとことばじてんのポスト<回転のやまとこと>でつぎのようなことを書いた。


英語の場合も発音上グループ化が出来そうだ。

to rotate, to revolve
around, surround
swivel  (chair)
to turn (a page), to turn around
to wind, to roll
whirlpool
to bend
to involve, to wrap, to bundle
circle, ring
round

以上の外(ほか)に

to swirl
to twirl
curl 
rondo
(追加予定)

英語では ”r” がらみの発音が多い。英語の ”r” は<巻き舌>ではないが、スペイン語やイタリア語では<巻き舌>の”r” だ。

whirl、swirl、twirl、curl  (名詞形もある)は明らかに発音上同じグループで<まわる>感じがある。

"


さて日本語の方だが、まず基本的なのは

動く(うごく) - 動かす

関連では、<うごめく>というのがある。コンピュータワープロでは<蠢く>というすごい漢字が出てくる。上記の」英語にならうと、

to walk - 歩く(あるく)
to run - 走る(はしる)、かける
to swim - 泳ぐ(およぐ)
to fly - 飛ぶ(とぶ)。日本語の<とぶ>は<飛ぶ>以外に<跳(と)ぶ>がある。<跳(は)ねる>もこの仲間だ。
to push - 押す(おす)
to push up, down 押し上げる、押し下げる
to pull -  引く
to pull up, down - 引き上げる、引き下げる
to drive - 動かす

回転関連では

回(まわ)る - 回す
転(ころ)がる - 転がす
転げる
めぐる

<まわる>は自動詞の後について

動きまわる
歩きまわる
走りまわる
駆け回る
泳ぎまわる
飛びまわる、跳びまわる、跳ねまわる
---
遊びまわる

<見まわる>、<聞きまわる>、<嗅(か)ぎまわる>、<ふれまわる>は他動詞になる。

一方他動詞には<まわす>がつく。

押しまわす
引きまわす
---
見まわす

だが、<まわる>、<まわす>はかならずしも厳密な回転ではない。

振幅、振動関連では

揺(ゆ)れる -揺ら
揺らぐ - 揺るがす
振れる - 振る

以上ざっと見ただけでは「 動く」という基本イメージの特定の音はないようだ。しかしよくみると、

うごく
およぐ
あがる - あげる - 古語は<あぐ>
下がる - さげる  - 古語は<さぐ>
ゆらぐ

などは音イメージがある。 ヒントは<うごく>の<ご>、<およぐ>、<ゆらぐ>の<ぐ>だ。特に<ぐ>には<動き>のイメージがありそう。

あぐ(あがる、あげる)、いぎ、うぐ、えぐ(えぐる)、おぐ(およぐ)
かぐ、きぐ、くぐ(くぐる)、けぐ、こぐ(漕ぐ)
さぐ(さがる、さげる)、しぐ、すぐ(すぎる)、せぐ、そぐ(削ぐ)
たぐ(たぐる)(たぎる)、ちぐ(ちぎる)、つぐ(注ぐ)、てぐ、とぐ(研ぐ)
なぐ(なぐる、なげる)、にぐ(にげる)、ぬぐ(脱ぐ)、ねぐ、のぐ(のがれる)
はぐ(剥ぐ)、ひぐ、ふぐ、へぐ、ほぐ(ほぐれる)
まぐ(まげる)、みぐ、むぐ、めぐ(めぐる)、もぐ(もげる)(もぐる)
やぐ     ゆぐ(ゆらぐ)    よぐ
らぐ(ゆらぐ)、りぐ、るぐ、れぐ、ろぐ
              わぐ

二音節+<ぐ>は組み合わせが格段にふえてしまうが

かかぐ(かかげる)
かしぐ - かしげる
かたぐ(かたげる)
ささぐ(ささげる)
さわぐ
しのぐ
そよぐ
つなぐ
はしゃぐ
ひさぐ(古語)
ひしゃぐ(ひしゃげる)
またぐ
もたぐ(もたげる)
ゆらぐ

<ぐる>は<ぐるぐるまわる>の<ぐる>だが、<ぐる>をとる語は次のとおり。

えぐる
くぐる
さぐる
たぐる
なぐる、なげる
まがる - まげる 古語は<まぐ>
めぐる
もぐる


ぐるぐる (まわる)
ぐらぐら (ゆれる)、 ぐらつく
ぐんぐん (のびる)
ぐっと (引く) - <動く>、<動かす>ためには力が必要。

<ゆらぐ>は<ぐ>のみならず、<ゆら>の方にも<ゆらゆら>に代表されように主に振幅、振動の<動き>のイメージがある。

ゆるぐ - ゆるがす
ゆるむ - ゆるめる
ゆれる - ゆらす

くゆる(古語)
もゆる(古語)

<は行>
剥(は)ぐ、 剥がす
離(はな)す - 離れる
放(はな)つ
跳(は)ねる
ひねる
開(ひら)く
振(ふ)る - 振れる
経(へ)る
掘(ほ)る


 sptt





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