a + b --> abb-
a + c --> acc-
中略
a + v --> avv-
a + z --> azz-
以上の語群はまさに<群>と言えるほど辞書始めの部分のかなりの部分を占めており、<a->接頭辞語群ともいえるが、語彙形成の面でおもしろい。
前回のポスト “イタリア語の接頭辞 -1<s->” ではドイツ語の接頭辞<ver->を大いに活用したがドイツ語の接頭辞<ab->、<an->ドイツ語独自のもので、ほとんどイタリア語の接頭辞<a->とは関係がなく、利用したり参考にすることはしない。
1)ただし<a->にはドイツ語接頭辞<an->の主な意味である<接近>の意味はある。(注1)これは英語の接頭辞<a->にも<接近>の意味がある。
to access <-> to recess
to annex (to add as an extra or subordinate part, especially to a document)
to append (to add (something) to the end of a written document), appendix
to approach
to attach <-> to detach
to attend
to attract <-> to distract
だが以上はいずれもラテン語由来の動詞のでイタリア語の<a->接頭辞ともとは同じと言うことになる。
2)<使役>の意味を持つ語が少なくない。
使役の文法的な意味、定義は大問題だと思うが
a)自動詞を使役にすると他動詞になる。
行く - 行かせる
眠る - 眠らせる
これは、xx(誰々) を行かせる、と目的語をとることになるからだ。だがこれは見方によっては自動詞の他動詞化という大きな問題(論議)になる。
b)他動詞の使役
する - させる
食べる - 食べさせる
c)日本語の動詞は自動詞/他動詞がペアになっているものがやたら多い、というかペアになっているのが普通で、これは日本語の大きな特徴と言える。
見える - 見る
聞こえる - 聞く
立つ - 立てる
対象が人の場合は
0)xx(誰々)が立つ(自動詞)
i) xx(誰々)を立たせる(使役)
ii) xx(誰々)を候補に立てる(他動詞)
iii) xx(誰々)を候補に立てさせる(他動詞の使役)
対象がモノの場合は
0)家(旗)が立つ(自動詞)
i) 家(旗)を立たせる -誰々に家(旗)を立たせるでは使役になるが、<誰々に>がないと他動詞ともいえる。
ii) 家(旗)を立てる(他動詞)
iii) 家(旗)を立てさせる(他動詞の使役も可能だが、許可の意が強い)
日本語の使役の助動詞はいくつかあるが、 <純>使役はないようだ。使役は基本的には人、場合によっては動物(人の仲間の家畜)が目的語になる。<xx に yy (を)させる>となるので、日本語訳では人、動物は間接目的のようにみえるが
太郎に取りに行かせる。
の<太郎>は使役の直接目的語ともいえる。<行く>は自動詞。
太郎に旗を立てさせる。
これは許可と言うよりは使役だ。許可の意にしたければ
太郎に旗を立てさせてやる。
だが、やや曖昧で別の言い方になるか?
太郎に旗を立てるのを許す。
太郎に旗を立ててもいいと言う。 (<xx してもいい>は英語の may の翻訳調)
話が日本語の細かいことになって来たので、イタリア語にもどる。 もっとも、イタリア語<a->接頭辞も微妙、曖昧、細かいところがある。
3)これは見つけにくいが、ある意味では<a->接頭辞の基本的な意味だろう。もちろんこれまた例外が少くないが<拡大解釈>し、広義で見てのことだ。何かというと、<前に進むこと>、<前向き>、漢字を使えば<積極性>だ。 これは今述べたように<拡大解釈>し、広義で見れば、1)<接近>や2)<使役>と関連してくる。これがもっとも一般的(general)で、包括的な解釈ではないか。
4)生成(新たなもの、状況を作り出す(の意味を持つ語が少なくない。これも、<拡大解釈>して漢字を使えば<積極性>だ。形容詞や名詞を動詞に変える<a->の働きも、これまた<拡大解釈>すれば<積極性>だ。
5)形容詞や名詞を動詞に変える働き。これまた<拡大解釈>すれば<積極性>だ。
イタリア語の接頭辞<a->については英語との関連が主になるが、イタリア語独自のものもある。連想が働けば日本語との関連もつけ加える。
顕著ではないが、また人によりけりかもしれないが英語よりも強い促音になるようだ。上記の英語例のように同じ、または同じような語が英語にも多々あるが、ほとんどはイタリア語(すなわちラテン語、歴史的にはフランス語か)由来で純の英語(アングロサクソン、ゲルマン)に<a->がついたものは少ない。一方英語とは共有しないイタリア語の独自の接頭辞<a->もそこそこあり、これらは調査対象としておもしろい。イタリア語に限ったことではないが形容詞に<a->がついて動詞になる、名詞に<a->がついて動詞になる。こうしてできた動詞も英語と同じで動詞の過去分詞はさらに形容詞になる。形容詞や名詞に<a->がついて動詞になり、その動詞の過去分詞がさらに形容詞になるのだが、形容詞に<a->がついてできた動詞の過去分詞が形容詞になる場合はもとの形容詞と同じ意味ではなく、意味が少し、または大きく違ってくる。<a->による自動詞->他動詞変換も見られる。
(注1)sptt Notes on Grammer ドイツ語の接頭辞(prefix)- 9 <an->
相良独和大辞典の解説はなぜかごく簡単で次の通り。例外が少なくまとめやすいということか。
”
分離動詞の前綴りで常にアクセントを有し”事物への接近、接触、動作の開始、持続、強調” などの意味を表わす。
"
a + b --> abb-
abbassare (to lower) basso (形容詞、低い)
abbattere (to knock down) <- battere (to knock、たたく)
abbeverare
Allattare i cavalli, abbeverare le mucche...
You know, milk the horses, water the cows.
日本語では<花や木、家畜に水をやる>と言うが、英語のto water はこの語が示すように to water の一語で<水をやる>の意。すでに<を>があるので、他動詞としては<xxx に>の<xxx>が直接目的語になる。イタリア語も水(acqua)の字はないが他動詞で、使い方は英語の同じだ。餌をやるも to feed は他動詞で<えさ>がすでに含まれている。
<(これも主に家畜が)水を飲む>と書いたが、bevere を使わないところを見ると、(家畜がかってに)水を飲むのではなく、<みずを飲ませる>、<(家畜が)水を飲むようにする>の意があるのか? そうすると<a- 接頭辞に意味が出てくる。<使役>だ。
英語では(動物に餌(えさ)を)やるの意の to feed があるが、イタリア語には相当する nutrire と言う動詞もあるあが(英語の nuturion と同類) 、日本語に近い言い方もある。
to feed (Reverso English - Italian)
have you fed the cat? hai dato da mangiare al gatto?
to feed sth to sb or sb sth dare qc da mangiare a qn
nutrire
la madre nutriva i piccoli the mother was feeding her young
nutrivo profonda stima per lui I felt great respect for him
abboccare 自動詞で<餌に食いつく>と言った意味。<-bocca (mouth)
abbordare (to board 乗船する) <- bordo (edge, border)
bordo
il bordo del tavolo/letto the edge of the table/bed
sul bordo della strada at the roadside
eravamo seduti sul bordo della piscina we were sitting on the edge of the pool
è nero, con un bordo rosso it's black, with a red border
fuori bordo overboard
a bordo di (nave, aereo) aboard, on board (英語の aboard は副詞)
era a bordo di una macchina rossa he was in a red car
c'erano cento passeggeri a bordo dell'aereo there were a hundred passengers on board the plane
salire a bordo (di qc) (aereo, nave) to go on board (sth), board (sth), (macchina) to get in(to sth)
siamo saliti a bordo dell'aereo we got on the plane (一部省略)
abbottnare (to button up ボタンをかける)
abbozzare (to draft, to sketch, to outline) <- bozza (draft)
abbronzare (to tan, to bronze 日焼けさせる)<- bronzo (bronze 黄銅)
abbronzarsi (to get a tan 日焼する)
abbracciare (to embrace) <- braccio (arm 腕(うで))
a + c --> acc-
accedere
accedere (伊英辞典では to enter となっているが to admitted to, to be able to access, to give access to で<アクセスする(できる)>の意。英語の access は動詞にもなり to approach or enter (a place) の意。一方イタリア語のaccedere の過去分詞は acceduto、名詞のアクセスは accesso。次に出てくる基本語(多頻度使用語)の accendere の過去分詞(形容詞)は acceso なので注意。
accendere
accendere (to light, to switch (turn) on). <(あかり、テレビ、ラジオを)つける。過去分詞は acceso で形容詞にもなる。
C'era la luce acceso. - The light wa (switched, turned) on.
Aveva in mani=o una candela accesa. - He (She) was holding a lighted candle.
accennare
accennare あおもしろいイタリア語の動詞だ。accennare (to indicate, to pint out)
他動詞: 示唆する(ほのめかす)、指摘する。 to mention 言及する。
自動詞: 英語、日本語からは自動詞が想像しにくいが、下記 Reverso からの例文参照。
accennò ad alzarsi, ma poi si trattenne he made as if to get up but then stopped
accenna a piovere it looks as if it's going to rain
ha accennato al fatto che vuole partire he mentioned that he wants to leave
cenno は関連名詞で sign, signal, nod, wink, gesture, hint の意。far cenno で
far cenno di no (con il dito)
to wag one's finger
far cenno a qn to gesture to sb
mi ha fatto cenno di avvicinarmi he beckoned to me to come forward
<示唆する(ほのめかす)>と<指摘する(わかるように示す)>は大きく違う。名詞のcenno
(sign, signal, nod, wink, gesture, hint
の意)はどちらかと言うと<ほのめかす>だ。誰かに何かをしてもらう時に<ほのめかす>と<指摘する>の方法が考えらfれるが、どちらが効果を発揮するかは状況による。英語の
signal, nod, wink, gesture, hint
はそのままで動詞になる(上記例文では自動詞が多い)。これはイタリア語では考えられないことだ。
to signal
to nod
to wink
to gesture
to hint
accettare (to accept)
acciuffare (to seize, catch) つかみ取る、つかみ(あう)<- ciuffo
accogliere
cogliere
accomodare (to fix, to repair, to mend)
accomodsrsi は慣用表現で to sit down、to take a seat (S'accomodi!)
a + ff
affaciarsi: to appear (顔を出す、顔を見せる)再帰形。もとの affaciare は使われない。
faccia = face
afferrare (to seize, grasp)
ferrare: to shoe (a horse), to hoop a barrel (しめつけて固定する)ferro = iron(鉄)で馬の靴や樽のタガは鉄製だ。
to catch, to seize <取る>の基本動詞は prendere (to take) だが<取る>にもはいろいろある。
a + gg
agguantare: to catch, to seize
guanto: glove 当然複数、ペアで使われる場合が多い。
un paio di guanti di lana a pair of woollen gloves
aggiungere (to add)
giuggere (to arrive) 自動詞 raggiungere (to reash) 他動詞
a + ll
allegare ( to tie, to enclose) 音楽用語で legato というのがある。
legare 自体に to tie (つなぐ、結ぶ)の意味がある。基本動詞の一つだ。
a + pp
appriofittare di (to take advantage of) (xxを)利用する
名詞は(un) profitto
上記例文のように必ずしもいい意味で使われるわけではない、
apportare (to bring, to cause, to make)
portare は to carry の意味。to bring は具体的な場合は<(手で、腕でかかええ)持って来る(行く)>で to carry に近い。接頭辞<a->がついて to cause, to make になるが日本語では<もたらす>と言う語があり<持って来る(行く)>に近い。<もたらす>は幸い適当な一語の漢字がない。<もたらす>は<持た>+<らす>あるいは<持たら>+<す>で、使役、または cause and effect(原因-結果、因果関係)の to cause の意だ。下記の例文(Reverso Context)では to make、to provide もでてくるが、基本的には<もたらす>の意だ。
Dirò all'architetto di apportare le modifiche necessarie. | I will instruct the architect to make the necessary changes. |
Abbiamo proposto alcuni emendamenti per apportare ulteriori miglioramenti. | We have tried to make further improvements through our proposed amendments. |
Lo sviluppo di tale settore possiede le potenzialità per apportare vantaggi enormi in termini sociali, economici e ambientali. | Developing this sector has the potential to bring enormous social, economic and environmental benefits. |
Conto sul Parlamento per apportare i pochi correttivi necessari. | I am counting on Parliament to provide the few corrections needed. |
José Manuel Fernandes per apportare un chiarimento sulla votazione sull'emendamento 41. | José Manuel Fernandes to provide a clarification on the vote on Amendment 41. |
Vorrei, tuttavia, apportare una precisazione. | Let me, though, make one thing clear. |
この<もたらす>(to cause, to make) は基本的には
cause and effect(原因-結果、因果関係)の to cause
が働いて(原因となって)結果(effect)がでてきて、<新たな状況をつくる>ことになる。<もたらす>つまりは apportare
はこのプロセスのことを言っているのだ。portare (to carry) の意もからむが、接頭辞
<a->にはこのプロセスが含まれているとみることができる。形容詞や名詞を動詞に変える<a->もこれに関連している。<新たな状況をつくる>は to
create があるが、もっと広範な意味で to make で、これが上記の例文の apportare -> to make
となっているわけだ。
a + rr
arranpicare - arranpicarsi to climb
これは単に<のぼる>ではなく<(壁、崖(がけ)を登る>、<よじのぼる>。
rampicare
rampa = ramp (傾斜) 高速道路のランプ
a + tt
attaccare (to attach; to attack) <a->の近接の意がある。
to attach と to attack では少し意味が違う。to attach が主だろう。なぜなら<s->接頭辞の sttaccare は to remove (離脱)の意だからだ。
staccare (to remove、取り去る、切り取る) 音楽用語で staccato というのがある。
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