Japan wiki の日本語動詞活用未然形の説明は次のようになっている。
未然形: 打消の<-ない>、受身、可能などの<-れる(られる)>、使役の<-せる(さる)>、意思、推量の<-う>などに接続する形。
未然は<未(いま)だ然(しか)らず>で<まだxxない>の意だ。打消の<-ない>はこれでよいが、そのほかの<受身、可能などの<-れる(られる)>、使役の<-せる(さる)>、意思、推量の<-う>などに接続>を個別に見てみよう。
1)受身、可能などの<-れる(られる)>
2)使役の<-せる(さる)>
3)意思、推量の<-う>
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カ行五段活用「書く」の例
1)受身、可能などの<-れる(られる)>
<など>は自発、被害(迷惑)、尊敬だろう。
受身 - この手紙は太郎によって書かれた。
可能 - <てがみ>は<手紙>と書かれるが、トイレットペーパーではない。 可能<書ける>が普通(注)。
自発 - この詩は悲しみのの中で書かれた。(受身とも取れるが、それは英語の受動態の意識の影響)
被害(迷惑) - 中傷の手紙が書かれ、あちこちに送られて困った。
尊敬 - この手紙は先生が書かれた。
可能と自発は<書く>の場合意味の取り方は微妙、悪く言えばあいまい。受身、可能、自発、被害(迷惑)は明確に分類できないことが多い。日本語の特徴ともいえるが、英語の will もよく分からないところがある。
2)使役の<-せる(さる)>
使役 - 太郎に手紙を書かせた。
3)意思、推量の<-う>
この<う>は曲者。
意思の<-う>と推量の<-う>の区別。前回の<日本語動詞活用-意思形、推量形>での説明と重複するが、
カ行五段活用「書く」の例では、
私が書こう。 <書こう> = <書こ>+意思の「-う」だから<意思>という説明は単純すぎる。この用法(書こ+う)で<意思>が成り立つのは主語が一人称に限られる。
1)主語が一人称の場合 - 私が書こう。
2)主語が二人称の場合 - あなたが書こう。
3)主語が三人称の場合 - 太郎が書こう。
2)3)は意思というよりは推量。ただし、普通には
2) あなたが書くだろう。あなたが書くことになろう。あなたが書くことになるだろう。
3) 太郎が書くだろう。 太郎が書くことになろう。太郎が書くことになるだろう。
書く(終止形)+だろう
書く(連体形)+こと+に+なろ+う
書く(連体形)+こと+に+なる+だろう
また、これらは話者の推量だ。 <だろう>は前々回の<<だろう>について>で説明した。
二人称、三人称の意思は表せる。
2)あなたが書こうとは思わなかった。
2)あなたが書こうとする内容は理解できない。
3)太郎が書こうとは恐れ入った。
3)太郎が書こうとしてもだめだ。誰も読みはしない。
<書こ->自体に意思、推量の意味があるわけではない。<書こ+う>となって初めて意思、推量の意味がでてくるのだが、<書か->で止めると、<ない>、<かれる>がある程度予測されるのと同じで、<書こ->で止めると<-う>がある程度予測される。動詞活用のポイント。めんどうくさいが、中国語の四声や、英語の三人称の<動詞+(e)s>や<名詞複数形のxxxx(e)s>、ドイツ語の名詞、形容詞の性別、単複別、格別の変化もめんどうだ。このめんどうくささになれないと、言葉はおもしろくなくなる。客観的には、それこそ多様な言葉が同じように聞こえ理解しにくくなるのだ。
書く + ない
書く + れる(られう)
書く + せる
書く + ます
書く + ば
書く + う
さて、曲者の<う>だが、古語の推量の助動詞<む>から来ている。<む>と<う>は発音上代わりやすい。
古語<書かむ> -> <かかう>(発音はおそらく次第に<かこう>にさらに変化)-->現代語<かこう>
意思と推量の違いは微妙で、特に一人称は曖昧だ。
<私が書こう>は意思の意が強ければ意志、推量の意が弱ければ推量。意志と推量のあいだの場合もあるだろう。
これは、<書く><書きます>の場合も同じようで、曖昧なところがある。
私は書く。(中性)
私は(必ず)書く。(意思)
私は(すぐ)書く。(近い未来、意思が強ければ意思)
私は書きます。(中性)
私は(必ず)書きます。(意思)
私は(すぐ)書きます。(近い未来、意思が強ければ意思)
二人称、三人称の場合は<意思>が薄らぐ。人ではなくモノの場合は擬人法を除けば意思はない。
ロボットが書こう。
ロボットが書く。
ロボットが書きます。
さて、五段活用は上記の説明でいいのだが、上一段、下一段、カ変、サ変は<う>ではなく、<よう>になる。
上一段 - 古語<見む> --> 現代語<見よう>(<見う>ではない)
下一段 - 古語<寝む> --> 現代語<寝よう>(<寝う>ではない)
カ変 - 古語<来む> --> 現代語<来よう>(<寝う>ではない)
サ変 - 古語<しむ> --> 現代語<しよう>(<しう>ではない)
この<よう>はどこから来たのか?
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(注)
可能<書ける>が普通
<書ける>の<書け> は仮定形だ。もし<書け>ば。したがって五段活用の<仮定形+る)> は可能を表すことになる。
行く - 行ける (自動詞)。
読む - 読める
上一段活用の場合<仮定形+る>はダメ。<る>では変化がないのだ。
見る - 見る、見れる、見られる(受身とも、尊敬とも取れる)
起きる - 起きる、起きれる、起きられる。
伸びる - 伸びる、伸びれる、伸びられる (伸ばせる、伸ばせられる、が普通)
下一段段活用の場合は五段活用同様<仮定形+る)> は可能を表す。仮定形と未然形が同じなのでややこしい。
蹴る - 蹴れる。 <蹴られる>は受身、ときにより尊敬
食べる - 食べれる。 (誤用または方言で、<食べられる>が普通(標準)だが受身にもなる。またときにより尊敬。
当てる - 当てれる。 <当てられる>が普通(標準)だが受身にもなる。ときにより尊敬。
サ変
する - すれる(ダメ)。 <することができる>とながくなる。または簡単に<できる>
カ変
来る - 来れる(ダメ)。 <来(こ)れる、られる>でこれは未然形+れる、られる
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