以前に幾度か感覚(五感)動詞ついては書いたが、今回は認識の動詞の意味について考えてみる。 以下検討する動詞は大和言葉で漢語由来(漢語+する)の動詞は参考とする。
知る
日本語(以下<日本語>は大和言葉の意味)の認識の動詞の代表は<しる、知る)>だろう。<しる>の語源はまだ調べていないが、<しるし>、<しらせ>と関連があろう。<しるし>は<しるす>の連用形の体言化用法、<しらせ>も<しらせる>の連用形の体言化用法。そして<しらせる>は<しる>使役形と言えるが、英語で言うと to let someone know とも簡潔に to report to someone とも言える。<しるし>では<印>の漢字が用いられる。また漢語では、認識、知識、意識、見識、識別と<識>の字が多く出てくる。
わかる
<わかる>は<分かる>で、モノゴトを<分け>て見、考えると認識が生まれる、深まると考えると、分析的な思考を示唆しており、いい日本語の一つだ。<わかる>は<xx をわかる>とは翻訳、翻訳調でもまず使われず、まちがいだろう。<xx がわかる>が普通だが、<太郎は xx がわかる>は、少し考えるとやや特殊な言い方で、<象は鼻が長い>の<長い(形容詞)を<わかる(一応、自動詞)>で置き換えたのに似ている。<太郎>は主語ではなく、主題。主語は<xx>なのだ。また<太郎は”よしあし(善悪)”の違い がわかる>、<太郎は英語がわかる>、<そんなこと(は)わかっている>の<わかる>ではそれぞれ意味が違う。また<が>がつくから自動詞とも単純には言えない。<が>を主語ではなく対象を示す助詞と見たほうが都合がいい場合があるからだ。また、<わかる>は<理解する>の意もあり、英語の to understand を訳すときは、この英語動詞が他動詞のためもあるが<わかる>よりも<理解する>が使われがちのようだ。形容詞の easy も<簡単だ、な>となりやすいが<わかりやすい>でいい場合もある。同じように、 difficult は<むずかしい>となりやすいが<わかりにくい>でいい場合もある。
気がつく、気づく
<気>は元来漢語と思われるが、現在では漢語由来の大和言葉に近い。
気がつきにくいが、英語の動詞 to know は<知る>ではなく<知っている>の意が大半。<知る>をもっと正確に訳せば to become to know で、<知る>はプロセスの動詞なのだ。最近よく聞くが<気づき>は名詞形で、英語の awareness 意に近い。to aware という動詞はなく、aware は形容詞で to be aware of は<気がついている、気づいている>, to become aware of で<気がつく、気づく>となる。<知っている>と<知る>と同じような関係だ。 to notice も<気がつく、気づく>の意に近いが、他動詞だ。名詞形も同じ notice でこの場合は to take notice of となる。 to have notice of とすれば<気がついている、気づいている>に近づくようだが、あまり聞かない。 aware は形容詞だが、述語的に使われ、名詞を修飾する aware xx の形はない。上に書いたが、この aware の名詞形は awareness だ。自覚と言う漢語がこれに似ている。日本語では<身に覚(おぼ)えがある、ない>という言い方がる。これは<見て覚えている>の<見覚え>とは違う。
末尾(注1)動詞 beware
その他
さとる
<xx をさとる>で他動詞。名詞は<さとり>。<さとり>は短い時間に起こるようだが、それまでに長い時間がかかるのが普通で、そのほうが<さとり>に価値があるようだ。
めざめる
<さとる>ほど哲学的ではないが、大和言葉らしいのに<めざめる>がある。<xx に目覚める>で、ピンとこないが<さとる>と違って自動詞だ。<目が覚(さ)める>は主語-動詞の組み合わせで、他動詞を使うとは<目を覚ます>となるが、大抵は<自分の目をさます>で、結局自動詞的な意味になる。他人が対象の場合は<目をさまさす>と使役形になるようだが<目をさましてやろう>でもよさそうだ。。目覚まし時計はあるが、認識させるの意での<めざます>はあまり聞かない。<めざめる>は me-za-me-ru で耳できいてもいいことばで、mi-mi-za-wa-ri ではない。英語の to wake (up) は自他両用の動詞で<目がさめる>、<目をさます>の意になる。(言うまでもないが、英語では<目>の字がなく、一つの動詞だ)。また比喩的には<めざめる>、<めざめさす>(<めざさす>はあまり聞かない)の意になろう。
感づく
<感>と書くと漢語になるが、<カンがいい>の<カン>とすると漢字は<勘>の字を使うようだ。この<勘>は<考(かんが)える>の<かん>と関係ありそうでもある。<気がつく>、<気づく>と似ているが少し違う。<気がつく、気づく>は to become aware of で、<感づく>は字面から to sense の感じがあるが、これも<xx を感づく>ではなく<xx に感づく>でこれもピンとこないが自動詞だ。名詞形の<感、勘)づき>はあまり聞かない。
見つける
<見つける>は認識とは関係が薄い<発見する>に近い意味で使われる場合が多い。<気づく>、<感づく>から<見つく>がありそうだが<見つける>になる。<見つく>はなさそうだが<見つける>は<見つく>の<可能形>と思われる。<う>--> <える>変換、あるいは<仮定形+る>、あるいは<語幹+<える>は可能形になる。
読む - 読める
書く - 書ける
たべる - たべれる (文法上<たべられる>は未然形+<れる>で、可能、受身(被害、迷惑)、尊敬、自発になる)
眠(ねむ)る - 眠れる
見える、認める
<見る>は(脳からの指令はあるものの)物理的な動作だが、<見える>は認識に近い。<xx が見える>で自動詞。英語の I see (it). は<わかる>の意でよく使われる。<認める>は<見止める>あるいは<見留める>がもとの大和言葉 で、これも認識関連の悪くない日本語だ。<xx を認める>でこれは他動詞。<留(と)める>、<留(とど)める>は<印>の字が適当な<しるす>、<しるし>と関連する。ただし、<認める>は実際には<承認、承諾、OK>の意の<認める>が優勢だ。
見抜く
<見つける>、<みとめる>は認識の動詞として合格だが、どちらかと言うと目に見えるモノ、現象の一般的、表面的な認識にとどまっている感じがある。見えるモノの背後、あるいは奥(おく)にあって見えるモノ、現象を作り出している目に見えない原因、理由を認識するには<見抜く>能力が必要だ。<見抜く>はいい日本語だ。これは他動詞で受身な考えでは<見抜け>ない。英語には名詞だが Insight という語がある。いわば<中を見抜く>能力だ。
さらに<知る>は他の認識プロセス動詞<わかる>、<さとる>、<気がつく>、<気づく>、<感づく>、<見える>、<見つける>、<認める(見とめる)>、<見抜く>と文法的な法則が違うところがある。
まだ、知っていない - 知る - もう、知っている
まだ、わかっていない - わかる - もう、わかっている
まだ、さとっていない - さとる - もう、さとっている
まだ、目ざめていない - めざめる - もう、目ざめている
まだ、気がついていない - 気がつく - もう、気がついている
まだ、気づいていない - 気づく - もう、気づいている
まだ、感づいていない - 感づく - もう、感づいている
まだ、見えていない - 見える - もう、見えている
まだ、見つけていない - 見つける - もう、見つけている
まだ、認めていない - 認める - もう、認めている
まだ、見抜いていない - 見抜く - もう、見抜いている
認識とは少しずれるが
まだ、覚ええていない - 覚える - もう、覚えてえている (ここでは<痛みをおぼえる>の<おぼえる>ではなく記憶する>の意)
以上のうち<まだ、知っていない>はほとんど使われない。認識のプロセスを考え、他の認識プロセス動詞にならうと(法則性)
まだ、知っていない - 知る - もう、知っている
となるべきだが、こうはならずに<まだ、知らない>になるのだ。一方単純否定を調べてみる。
知らない - 知る
わからない- わかる
さとらない - さとる
めざめない - めざめる
気がつかない - 気がつく
気づかない - 気づく
感づかない - 感づく
見えない - 見える
見つけない - 見つける
認めない - 認める
見抜かない - 見抜く
覚えない - おぼえる
結果はそう単純ではない。
<知らない>は単純否定と不可能(できない)の意がある。
英語を知らない --> 英語ができない
車の運転を知らない --> 車の運転ができない
マージャンを知らない --> マージャンができない
<わからない>には不可能(できない)の意があるが<知らない>とは違う。
英語がわからない --> 英語ができない (OK)
車の運転がわからない --> 車の運転ができない (ダメ)
マージャンがわからない --> マージャンができない (一応OKだが、少しおかしい)
その他は
さとらない - さとることができない --> さとれない
目ざめない - 目ざめることができない 認識の意味では<目ざめない>に不可能の意があり、したがって<目ざめる>に可能の意がある。<目ざめられない>は使われない。
気がつかない - 気がつくことができない <気がつけない>はあまり聞かない
気づかない - 気づくことができない <気づけない>はあまり聞かない
感づかない - 感づくことができない <感づけない>はあまり聞かない
見えない - 見ることができない <見えない> には不可能(できない)の意がある。
見つけない - 見つけることができない --> 見つけられない、<見つけない>はあまり聞かない
認めない - 認めることができない --> 認められない、<認めない>はあまり聞かない
見抜かない - 見抜くことができない --> 見抜けない、<見抜かない>はあまり聞かない
覚えない - 覚えることができない --> 覚えられない
ただし、単純否定に不可能(できない)の意があるとも解釈できる。
<さとらない>、<気がつかない>、<気づかない>、<感づかない>、<覚えない> は不可能(<できないない>)からそうなるのだ、と解釈する。
<知らない>は<知ることができない>ではない。こうなってしまう(なってしまった)わけ(理由、原因)はなにか?
考えられる原因は<知る>自体に<可能の意味>があることだ。上述のように
英語を知っている --> 英語ができる
車の運転を知っている --> 車の運転ができる
マージャンを知っている --> マージャンができる
と言う。以上は知識として<知っている>ではなく、練習、経験を経てやり方を<知っている>(得ている)の意だ。否定も<不可、ダメ、出来ない>の意になる。
英語を知らない --> 英語ができない
車の運転を知らない --> 車の運転ができない
マージャンを知らない --> マージャンができない
一方英語は
I know English. (ダメ)---> I know how to speak, write English.
I know driving. (ダメ)---> I know how to drive a car.
I know majon. (ダメ)---> I know how to play majon.
これは英語の to know が<知っている>の意で、プロセスの<知る>の意がないことに関係しよう。
上ですでに一部取り上げたプロセス動詞と言葉はあまりよくないが持続動詞を英語-日本語で対比してみる。
to know 知る
to become to know 知っている
to understand わかる
to understand わかっている
to become aware of, to notice 気づく
to be aware of, to notice 気づいている
to memorize, to remember 覚える
to remember 覚えている
to feel, to become to feel 感じる
to feel 感じている
以上例は少ないが、代表的な認識の動詞に関しては日本語ではプロセス動詞と持続動詞の違いは文法的な法則がある。
動詞連用形 + ている
一方英語の方は違った動詞を使ったり、同じ動詞でプロセス動詞と持続動詞の意味があったりで、いわばメチャクチャだ。
他の言語はどうか?
中国語
以下いずれも Dict.cn から。
To know (英‐中)
1. I know Paris better than Rome.
我对巴黎比对罗马熟悉。
2. He's sometimes been known to sit there all day.
有时能见到他整天坐在那里。
3. I know London as the place where I spent my childhood.
我熟悉伦敦,那是我度过童年的地方。
英語の to know もそうだが熟悉は<知っている>で<知る>ではない。熟悉の意だと英語では to know よりも to be familiar with がよく使われる。
can (英‐中)
4. You can count on me.
你可以指望我。
5. Can you help me?
你能帮我吗?
6. Can you cook?
你会烹饪吗?
<可以>、<能>、<会>の違いは中国語のテキストブックに詳しい説明がある。
<会>が大体 to know how to do の意で使われる。広東語では<識>で <你会 xx>は <你識 xx (動詞)+名詞>となる。
Define 知道 (中‐英)
1. be aware of 2. know
Examples:
1. 直到几个月后,他才知道这故事。
It was not until a few months later that he knew the story.
5. 你知道他欺骗他的妻子吗?
Did you know he was cheating on his wife?
知道 v.懂得,明白, 理解, 认识到, 听说, 获悉
Examples:
1. Am I to understand that you refuse?
我是不是应当认为你拒不接受?
2. I don't understand what you are saying.
我不知道你在说什么。
3. If you can't do it, I will understand.
如果你不会做这件事的话,我可以理解。
我是不是应当认为你拒不接受?
2. I don't understand what you are saying.
我不知道你在说什么。
3. If you can't do it, I will understand.
如果你不会做这件事的话,我可以理解。
以上の<知道>も大体<知っている>の意だが、<わかる>、<わかっている>の意にもなる(懂得, 明白, 理解)。広東語は概して普通語より簡潔で<知道>は<知>の一語で済む。意味は<知道>と大体同じようだ。<識>とはかなり明確な区別があり、なれるまではよく間違う。広東語で<(わたしは)花子を知ってる>は<我識花子>で<識>が使われるが、普通語では<我认识(認識)花子>と<(認識>を使う。
もう一つ觉得(覚得)を取り上げる。これはよく使われる。下記の英訳(to think, to feel)からは認識そのものに見えるが、主語が<我(あたし)>の場合はどちらかと言うと<認識結果の表明>だ。また、<感じる>の意の場合は認識と言うよりは知覚、感覚だ。
Define 觉得 (中‐英) |
Examples:
1. 她推说她觉得很疲劳。
She pleaded that she felt very tired.
2. 他觉得他们和他地位相等。
He feels that they are his equals.
3. 我非常恼怒,以致觉得非给报社写封信不可。
I was so annoyed that I felt impelled to write a letter to the paper.
4. 发生了这样不愉快的争吵之后,我觉得有必要离开。
I felt obliged to leave after such an unpleasant quarrel.
5. 他觉得公司对他使用不当。
He felt misused by the company.
6. 辛苦工作了四个小时后,他觉得非常饿。
He felt very hungry after four-hours' hard work.
ドイツ語
er kann gut Englisch he speaks English well
er kann kein Französisch he doesn't speak French
er kann/er kann nicht schwimmen he can/can't swim
können は<出来る>の意で、kennen は<知る>の意だ。
ドイツ語の認識関連の言葉をもう少し調べてみた。
<知る>関連では kennen と wissen が代表で、代表が二つある。wissen から先(さき)に解説すると、wissen は基本的には事実を<知っている>、<知る>の意がある。また名詞の das Wissen はknowledge 知識と言うよりは<知っていること(ところ)>の意に近い。また die Wissenschaft はおおむね科学(science)の意だ。
From Collins G-E Reveso Dictionary
wissen
wis•sen ( wusste) pret ( gewusst) ptp
to know (über +acc , von about)
ich weiß (es) (schon) I know
ich weiß (es) nicht I don't know
weißt du schon das Neuste? have you heard the latest?
das weiß alle Welt (absolutely) everybody knows that
ich weiß von ihr or über sie nur, dass sie ... all I know about her is that she ..., I only know that she ...
von ihr weiß ich das Alter I know her age, I know how old she is
von jdm/etw nichts wissen wollen not to be interested in sb/sth (*)
er weiß es nicht anders he doesn't know any different (*)
er weiß zu genießen he knows how to enjoy himself (*)
jdn/etw zu schätzen wissen to appreciate sb/sth (*)
das solltest du selber wissen you ought to know
das hättest du ja wissen müssen! you ought to have realized that
man kann nie wissen you never know
weißt du, ... you know ...
ja, weißt du well, you see
dass du es (nur) (gleich) weißt just so you know
ich weiß sie in Sicherheit/glücklich I know that she is safe/happy
ich weiß (es) nicht I don't know
weißt du schon das Neuste? have you heard the latest?
das weiß alle Welt (absolutely) everybody knows that
ich weiß von ihr or über sie nur, dass sie ... all I know about her is that she ..., I only know that she ...
von ihr weiß ich das Alter I know her age, I know how old she is
von jdm/etw nichts wissen wollen not to be interested in sb/sth (*)
er weiß es nicht anders he doesn't know any different (*)
er weiß zu genießen he knows how to enjoy himself (*)
jdn/etw zu schätzen wissen to appreciate sb/sth (*)
das solltest du selber wissen you ought to know
das hättest du ja wissen müssen! you ought to have realized that
man kann nie wissen you never know
weißt du, ... you know ...
ja, weißt du well, you see
dass du es (nur) (gleich) weißt just so you know
ich weiß sie in Sicherheit/glücklich I know that she is safe/happy
b
(=sich erinnern) to remember
(=sich vor Augen führen) to realize
ich weiß seine Adresse nicht mehr I can't remember his address
weißt du noch, wie schön es damals war? do you remember how great things were then? (*)
weißt du noch, damals im Mai/in Stone? do you remember that May/the times in Stone? (*)
du musst wissen, dass ... you must realize that ...
(=sich vor Augen führen) to realize
ich weiß seine Adresse nicht mehr I can't remember his address
weißt du noch, wie schön es damals war? do you remember how great things were then? (*)
weißt du noch, damals im Mai/in Stone? do you remember that May/the times in Stone? (*)
du musst wissen, dass ... you must realize that ...
Wissen Wis•sen nt , -s no pl knowledge
meines Wissens to my knowledge
etw ohne jds Wissen tun to do sth without sb's knowledge
etw gegen or wider geh (sein) besseres Wissen tun to do sth against one's better judgement
nach bestem Wissen und Gewissen to the best of one's knowledge and belief
mit jds Wissen und Willen with sb's knowledge and consent
Wissen ist Macht knowledge is power
meines Wissens to my knowledge
etw ohne jds Wissen tun to do sth without sb's knowledge
etw gegen or wider geh (sein) besseres Wissen tun to do sth against one's better judgement
nach bestem Wissen und Gewissen to the best of one's knowledge and belief
mit jds Wissen und Willen with sb's knowledge and consent
Wissen ist Macht knowledge is power
おもしろいのは
von jdm/etw nichts wissen wollen not to be interested in sb/sth (*)
これは<xx を知りたくない>になる。<xx に興味がない>よりいい。
er weiß zu genießen he knows how to enjoy himself (*)
jdn/etw zu schätzen wissen to appreciate sb/sth (*)
er weiß es nicht anders he doesn't know any difference (*)
上二つは事実を<知っている>と言うよりは<xx のやり方、し方を知っている>の意に見えるが、上述の<車の運転を知っている --> 車の運転ができる>とは違う。<xx するすべを知っている>の意に近いか。三番目は日本語では<違いがわからない>になる。
weißt du noch, wie schön es damals war? do you remember how great things were then? (*)
weißt du noch, damals im Mai/in Stone? do you remember that May/the times in Stone? (*)
この二つは<まだ知っている>になるが、この言い方は日本語にない。
次はkennen。
From Collins G-E Reveso Dictionary
kennen
ken•nen ( kannte) pret ( gekannt) ptp vt to know to be acquainted with
to recognize
er kennt das Leben he knows the ways of the world, he knows about life
er kennt den Hunger nicht he has never known hunger, he doesn't know what hunger is
er kennt keine Müdigkeit he never gets tired, he doesn't know what tiredness means
kein Erbarmen/Mitleid etc kennen to know no mercy/pity etc
jdn als etw kennen to know sb to be sth
kennen Sie sich schon? do you know each other (already)?
kennen Sie den (schon)? [Witz] have you heard this one?
das kennen wir (schon) iro we know all about that
kennst du mich noch? do you remember me? (*)
(*) これも<まだ知っている>の意になるが、これまたこの言い方は日本語にない。
一見 wissen の<知る>、<知っている>との区別がよくわからないかも知れないが、下記の相良大独和辞典の解説が参考になる。
”
人および物の存在、特徴、性質などについて多く直接経験による表象、記憶を有し、その人および物を他から識別できるの意。ただし、 wissen は知識を有するの意。
”
ただし、例文からもわかるように kennen と wissen の違いはそう簡単ではなさそう。
ドイツ語は接頭辞が活躍する。 wissen の接頭辞つき関連語は見つからない。現在は使われない bewissen の過去分詞 bewusst は認識関連の形容詞として使われる。
From Collins G-E Reveso Dictionary
bewusst
1 adj
a usu attr (Philos, Psych) conscious
b attr
(=überlegt) conscious
[Mensch] self-aware
er führte ein sehr bewusstes Leben he lived a life of total awareness
[Mensch] self-aware
er führte ein sehr bewusstes Leben he lived a life of total awareness
c pred
sich ($) einer Sache ($) bewusst sein/werden dat, gen to be/become aware or conscious of sth, to realize sth
etw ist jdm bewusst sb is aware or conscious of sth
es wurde ihm allmählich bewusst, dass ... he gradually realized (that) ..., it gradually dawned on him (that)
sich ($) einer Sache ($) bewusst sein/werden dat, gen to be/become aware or conscious of sth, to realize sth
etw ist jdm bewusst sb is aware or conscious of sth
es wurde ihm allmählich bewusst, dass ... he gradually realized (that) ..., it gradually dawned on him (that)
2 adv
a consciously
[leben] in total awareness
[leben] in total awareness
b
(=willentlich) deliberately, intentionally
bewusst machen be•wusst ma•chen vt
jdm etw bewusst machen to make sb aware or conscious of sth, to make sb realize sth
sich ($) etw bewusst machen dat to realize sth
jdm etw bewusst machen to make sb aware or conscious of sth, to make sb realize sth
sich ($) etw bewusst machen dat to realize sth
上記の英語解説では、conscious、 self-aware、 to realize、 intentionally の認識関連の語がでてくる。conscious は aware の意に近ラテン語系の語。to realize は動詞で、意味からはプロセス動詞で<気がつく>、<気づく>の意に近い。self-aware は漢語になるが自覚に近い。大人が少し大きくなった子供に<自覚をもて>と言うようだが、言われた方は<わかったようで、何のことかよくわからない>のが<自覚>ではないか? 大和言葉で<まだ目ざめないのか>といった方が効果があるだろう。一方、自意識(self consciousness)は自意識過剰のように使われるので、少し違う 。自覚は簡単な意味もあるが<さとり>に関連した深い意味の場合もある。また、上にも書いたが大和言葉の<身に覚えがある>は自覚や<さとり>と結びつかない。
一方 kennen には接頭辞つきの動詞がいくつかある。
ankennen はないが anerkennen はある。
anerkennen :
[Staat, König, Rekord] to recognize
[Forderung auch, Rechnung] to accept
[Vaterschaft] to accept, to acknowledge
(=würdigen) [Leistung, Bemühung] to appreciate
[Meinung] to respect
(=loben) to praise
anerkennen の英訳語はいくつかあり一見関係なさそうで、多義語に見えるが、よく考えれば<元は同じ、同根>と言える。
auskennen :
vr sep irreg (an einem Ort) to know one's way around , (auf einem Gebiet) to know a lot (auf or in +dat about)
sich in der Stadt auskennen to know one's way around the town
sich bei Männern/Frauen (gut) auskennen to know (a lot) about men/women
man kennt sich bei ihm nie aus you never know where you are with him
auskennen は再帰動詞用法しかなく、やや特殊。
bekennen :
1 vt to confess, to admit
[Sünde] to confess
[Wahrheit] to admit, (Rel) [Glauben] to bear witness to
[Sünde] to confess
[Wahrheit] to admit, (Rel) [Glauben] to bear witness to
2 vr
sich (als or für) schuldig bekennen to admit or confess one's guilt
sich zum Christentum/zu einem Glauben/zu Jesus bekennen to profess Christianity/a faith/one's faith in Jesus
sich zu jdm/etw bekennen to declare one's support for sb/sth
sich nicht zu jdm bekennen to deny sb
sich (als or für) schuldig bekennen to admit or confess one's guilt
sich zum Christentum/zu einem Glauben/zu Jesus bekennen to profess Christianity/a faith/one's faith in Jesus
sich zu jdm/etw bekennen to declare one's support for sb/sth
sich nicht zu jdm bekennen to deny sb
bekennen がなぜ to confess (告白する)になるのかわかりづらいが to admit は<非を認める>の<認める>。これも<認める>とはいえ認識とは直接関係なさそう。だが、少しよく考えれば<告白する>、<認める>は他人に<知らせる>ことだ。<告白する>、<認める>に似た意味の動詞に<白状する>と言うのがあるが、意味は微妙に違うようだ。
erkennen :
vt
a
(=wieder erkennen, anerkennen, einsehen) to recognize (an +dat by)
(=wahrnehmen) to see, to make out, to discern
[Unterschied] to see
[Situation] to see, to understand
ich erkannte die Lage sofort I immediately realized what the situation was
er hat erkannt, dass das nicht stimmte he realized that it wasn't right
kannst du erkennen, ob das da drüben X ist? can you see or tell if that's X over there?
jdn für schuldig erkennen (Jur) to find sb guilty
(jdm) etw zu erkennen geben to indicate sth (to sb)
jdm zu erkennen geben, dass ... to give sb to understand that ...
sich zu erkennen geben to reveal oneself (als to be), to disclose one's identity
erkennen lassen to show, to reveal
erkenne dich selbst! know thyself!
du bist erkannt! I see what you're after, I know your game
(=wahrnehmen) to see, to make out, to discern
[Unterschied] to see
[Situation] to see, to understand
ich erkannte die Lage sofort I immediately realized what the situation was
er hat erkannt, dass das nicht stimmte he realized that it wasn't right
kannst du erkennen, ob das da drüben X ist? can you see or tell if that's X over there?
jdn für schuldig erkennen (Jur) to find sb guilty
(jdm) etw zu erkennen geben to indicate sth (to sb)
jdm zu erkennen geben, dass ... to give sb to understand that ...
sich zu erkennen geben to reveal oneself (als to be), to disclose one's identity
erkennen lassen to show, to reveal
erkenne dich selbst! know thyself!
du bist erkannt! I see what you're after, I know your game
erkennen 自体はto recognize、to see、to understand (見える、わかる)の意だが、 erkennen geben、erkennen lassen で<知らせる>の意になる。
vt irreg [Lage, jdn etc] to misjudge
(=unterschätzen auch) to underestimate
ein Dichter, der zeit seines Lebens verkannt wurde a poet who remained unrecognized in his lifetime
ich will nicht verkennen, dass ... I would not deny that ...
es ist nicht zu verkennen, dass ... it is undeniable that ..., it cannot be denied that ...
seine schlechte Laune/seine Absicht war nicht zu verkennen his bad temper/his intention was obvious
verkennen の接頭辞<ver>はかなり特殊な意味を示している。いづれにしても認識関連の動詞だ。ここではこれ以上詮索しない。
さらに、<気づく>、<感づく>、の<つく>からすると この意がある接頭辞<an->は認識がらみの動詞が anerkennen 以外にもありそうなので調べてみたが、見る、聞く、感じる、の感覚動詞がらみの動詞ぐらいで思ったほどはない。(注)
ansehen
anhören
anfuhlen
例外が一つある。anmerken だ。実を言うと、このポストを書き始めたのは最近あるドイツ語の製品解説書の冒頭で Vorbemerkungen と言うドイツ語に遭遇したからだ。 これは複数形で単数形は (die)Vorbemerkung 相当する英語は Introductory Remarks (これも複数形になる)。なぜ複数にするのかよくからないが、日本語では<前書き>になろう。Vorbemerkung を分解すると、Vor (<前>の意味があり、前置詞のほか接頭辞にもなる。be も接頭辞として使われ、意味はいろいろあるが、この場合、後ろの merken と言う動詞に<ひねり>を加えているようだ。英語では、to become、 to behold、 belated などであまり多くないがが、ドイツ語では be-xxen 動詞ははるかに多い。Merkung は merken の名詞形。注意したいのは bemerken = 英語の to remark (動詞、英語では名詞も (a) remark)ではないということだ。手もとの独英辞書にようると bemerken には大きく分けて二つの意味がある。
1) to notice, to recognize, to observe
2) to mention
1)はこのポストのテーマになっている認識関連の動詞だ。 to observe =<観察する>となるが大和言葉では<見つけるために見る>、<近寄ってよく見る>といった意味の動詞で、必ずしも認識そのもの動詞ではない。
2)は to mention =<述べる>ではなく、<認識したことを述べる>の意なのだ。そして明らかに他人(読者)に<認識したこと>を<知らせる>の意なのだ。
したがって Vorbemerkungen はけっして<前置き>ではない。英語の to remark も本来は、<認識したことを述べる(知らせる)>の意があるのだろう。ただし、英語の remarks は<備考>と訳されることが多い。<備考>だと<おまけ>みたいに見られるが(特に、たくさんあったり、そのため小さい字でかかれたりする場合)、remarks は <印(しる)すべきコト>の意もあるようだ。
当然 merken は key 動詞だ。 key 動詞と言うかkennen と wissen と並ぶ認識関連の最重要動詞のともいえるだろう。
merken
mer•ken vt
a
(=wahrnehmen, entdecken) to notice
(=spüren) to feel
(=erkennen) to realize
ich merke nichts! I can't feel anything!
davon habe ich nichts gemerkt I didn't notice anything
das kann man leicht merken that's easy to see
jdn etw merken lassen to make sb feel sth
seine Gefühle merken lassen to let one's feelings show
hat er dich etwas merken lassen? did you notice anything in the way he behaved?
woran hast du das gemerkt? how could you tell that?
wie soll ich das merken? how am I supposed to tell (that)?
du merkst auch alles! iro nothing escapes you, does it?, you ARE observant(, aren't you?)
das merkt jeder/keiner! everyone/no-one will notice!
das ist kaum zu merken, davon merkt man kaum etwas it's hardly noticeable
das ist zu merken you can tell
ich merke keinen Unterschied I can't tell the difference, (weil es keinen gibt) I can't see a difference
上記のうち英語が to tell で訳されているのがあるが、これらは単に<言う>ではなく<認識したことを言う>の意味であることに注意したい。
(=spüren) to feel
(=erkennen) to realize
ich merke nichts! I can't feel anything!
davon habe ich nichts gemerkt I didn't notice anything
das kann man leicht merken that's easy to see
jdn etw merken lassen to make sb feel sth
seine Gefühle merken lassen to let one's feelings show
hat er dich etwas merken lassen? did you notice anything in the way he behaved?
woran hast du das gemerkt? how could you tell that?
wie soll ich das merken? how am I supposed to tell (that)?
du merkst auch alles! iro nothing escapes you, does it?, you ARE observant(, aren't you?)
das merkt jeder/keiner! everyone/no-one will notice!
das ist kaum zu merken, davon merkt man kaum etwas it's hardly noticeable
das ist zu merken you can tell
ich merke keinen Unterschied I can't tell the difference, (weil es keinen gibt) I can't see a difference
上記のうち英語が to tell で訳されているのがあるが、これらは単に<言う>ではなく<認識したことを言う>の意味であることに注意したい。
b
(=im Gedächtnis behalten) to remember, to retain
merke: ... NB or note: ...
sich ($) jdn/etw merken dat to remember sb/sth
sich ($) eine Autonummer merken dat to make a (mental) note of a licence (Brit) or license (US) or registration number
das werde ich mir merken!, ich werds mir merken! inf I'll remember that, I won't forget that
das hat er sich gemerkt he's taken it to heart
merk dir das! mark my words!
merke: ... NB or note: ...
sich ($) jdn/etw merken dat to remember sb/sth
sich ($) eine Autonummer merken dat to make a (mental) note of a licence (Brit) or license (US) or registration number
das werde ich mir merken!, ich werds mir merken! inf I'll remember that, I won't forget that
das hat er sich gemerkt he's taken it to heart
merk dir das! mark my words!
c
(=im Auge behalten)
sich ($) etw merken dat to remember sth, to make a note of sth
merken Sie sich ($) den Mann! dat keep an eye on that man
diesen Schriftsteller wird man sich ($) merken müssen dat this author is someone to take note of
sich ($) etw merken dat to remember sth, to make a note of sth
merken Sie sich ($) den Mann! dat keep an eye on that man
diesen Schriftsteller wird man sich ($) merken müssen dat this author is someone to take note of
日本語では<覚える>はプロセス動詞、覚えた後は<覚えている>になる。英語の to remember は<覚える>、<覚えている>両方に使う。I remember it. I will remember it. 一方ドイツ語では上記のように再帰動詞の用法になるが、他の言い方もあろう。
認識は<脳に印(しるし)をつける>ことともいえそうで、これが日本語(知る、しるす、しるし)でもドイツ語( merken 、 bemerken )でも反映している。
英語では動詞 to mark、名詞 (a) mark があるが特に認識関連の語というわけではない。、ドイツ語には Merk という名詞はないがMerkmal という名詞がある。
Merkmal
nt , -s, -e characteristic, feature, (Biol, Zool) distinctive mark or marking
(注)
ドイツ語接頭辞<an->についてはドイツ語接頭辞シリーズの次回のポストで改めて書くつもりだ。
(注1)
http://en.wiktionary.org/wiki/beware (23-Sept-2014)
Verb
beware (third-person singular simple present -, present participle -, simple past and past participle -)
- (defective, transitive, intransitive) To use caution, pay attention (to) (if intransitive, construed with of).
The verb beware has become a defective verb and now lacks forms such as the third-person singular simple present bewares and the simple past bewared. It can only be used imperatively (Beware of the dog!) or as an infinitive (You must beware of the dog or They told me to beware of the dog).
The inflected forms bewares, bewared, and bewaring are called obsolete in Fowler's Dictionary of Modern English Usage, along with the simple indicative "I beware". The forms bewares and bewared are very rarely found in modern texts, though bewaring is slightly less rare. These inflections are more likely to be found in very old texts.
The meanings conveyed by the obsolete inflected forms may be easily achieved by splitting "be" and "ware", conjugating "be", and possibly replacing "ware" with the more modern "wary"; thus, "bewares" > "is wary", "bewared" > "was wary", etc
sptt
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