Wednesday, May 6, 2020

超高使用頻度語の<あう>の分析


<あう>は超高使用頻度語で<あう>なしでは日本語の会話は進まないだろう。

1.会う

人にあう。ひどい目(め)にあう。

この<目(め>も検討にあたいする高使用頻度語だ。別途検討として話を進める。

<xxをあう>でなく<xxにあう>なので自動詞ということになる。


2.合う

2-1)

この靴は足に合わない。この色は背景の色に合わない。その言い方はこの場に合わない。

否定が多いようだが

この靴は足にぴったり合う。この色は背景の色にそこそ合う。 ここはその場に合ったい方をすべきだ。

慣用表現では

意見が合わない
性(しょう)に合う、合わない
そりが合う、合わない
タイミングが合う、合わない
つじつまが合う、合わない
間(ま)にあう、あわない
リズムに合わせる

これも<xxに合う>なので自動詞。

太郎と花子は言い争いあう。
太郎は花子と言い争いあう。

<xxを言い争いあう>より<xxにつて、xxで言い争いあう>なのでこれも自動詞にようだ。だが<xxを言い争いあう>も間違いではないだろう。

だれが勝ったかを言い争いあう。

<1.会う>も<2.合う>も 明らかに対象があるが基本的には<を>とらない。

英語は

to see は他動詞だが to meet はto meet you, to meet with you の両方が可能。英語は日本語より自他動、他動詞兼用の動詞が多い。融通無碍なのだ。


1)<会う>と2)<合う>は、一般化すると、<つく><はなれる>の動詞二大分類で

離れているもの(こと)が近づく
離れているもの(こと)を近づける

ことといえる。

2-2)

争いあう。助けあう。せめぎあう。愛しあう。にくみあう。

争い合う。助け合う。せめぎ合う。愛し合う。にくみ合う。

と<合う>漢字をより<あう>とひらがながよさそう。もっとも言ったり、聞いたりする場合は<あう>だけだ。2-1)の<合う>と違い<互いにxxあう> なので、英語でいえば< to xxxx (動詞)each other> に相当する。これは日本語の方があるかに短くまた動詞との結びつきが強く、日本語の方がすぐれているような気がする。<互いに(each other)>はほとんど意識されていなのではないか。フランス語やイタリア語でが再帰動詞(の each other 用法)が相当する。むしろ<英語にはこれがない>ともいえる。

<xxあう>の例はそれこそいくらでもある。

しあう、争(あらそ)いあう、言いあう、いがみあう、打ちあう、打ちあわせる、押しあう、押しあいへしあい、落ちあう
語(かたり)あう、からみあう、切りあう、競いあう、組みあう(とっくみあう)、けなしあう、蹴りあう、殺しあう
刺しあう、さぐりあう、しのぎあう、せめぎあう、すりあわせる、せりあう、そしりあう
xx しあう、しあい。試合は<ためしあい>の場合もあるが多くは<しあい>だろろ。
助けあう、たたきあう、立ちあう、つかみあう、突(つ)きあう、突(つつ)きあう、付きあう、つきあい、つぶしあう(相撲で<ほしのつぶしあい>というにがある)、詰めあう(詰め合わせる)、出あう、取りあう
抱(だ)きあう、 出(だ)しあう、だましあう、出(で)あう、出あい
なぐさめあう、なぐりあう、(きずを)なめあう、にくみあう
はげましあう、果(はた)しあい(<-果たしあう)、話しあう、引きあう、引きあい、ふざけあう、ふれあう、ふれあい、ほめあう
見あう、見あい、みつめあう、めぐりあう、持ちあう
やりあう、寄せあう
分(わ)かちあう、わたりあう、笑いあう

あとは興味とヒマのある読者にまかせる。サンプルは数が多い方が分析結果が正確になる傾向がある。

少しよくみると、以上の例のうち単に <互いに(each other、reciprocal)往復動作、思考>では説明できないものが少なくない。

落ちあう、出あう、めぐりあう

これは<会う>の意だろう。

打ちあわせる、組みあわせる、組みあわせ、詰めあう、詰めあわせ(詰めあわせる)、話しあう、持ちあう、寄(よ)せあう、

これらは

打ち合わせる、組み合わせる、組み合わせ、詰め合う、詰めあ合わせ(詰めあ合せる)、話し合う、持ちあ合う、寄(よ)せ合う、

と漢字の<合う>でも違和感はない。

三人、三つ以上の場合は<たがいに>というよりは、<(それぞれみなで)、合わせて>、<他動詞の場合は(それぞれみな)合わせて>の意になるようだ。これは<ともに、一緒に、合わせて(together)合同動作、思考>と言えよう。

立ち会う

<立ちあう>の<あう>はなにか?<その場に居あわせる>だと<あわせる>が出てくる。

付きあう、つきあい

<付く>は<xxに付く>で、上でで書いた

<つく><はなれる>の動詞二大分類で

離れているもの(こと)が近づく
離れているもの(こと)を近づける

の<付く>だ。<つく>と<あう>は相性がいい。 <相性>の意味を少しよく考えると参考になる。

<付きあう、つきあい>には原意の<離れているもの(こと)が-互いに-近づく>のもとの意が残っている。


取りあう

<取りあう>の<あう>はなにか?<取りあいになる>は<たがいに、(それぞれ)みなが取ろうとする>。<xxには取りあわない方がいい>といういいかたがある。<xxは相手にしない方がいい>という意味で<相手にする、しない>が出て来る。相手がいるのだ。

引きあう、引きあい

<たがいに引き合う、つなひき>の意味以外に <xxは引き合わない>は<xxは割に合わない>で算数が出て来る。ビジネス上の<ひきあい>はまた別の意味だ。これも相手がいる。

さらに少しよくみると、上記の <互いに(each other)、reciprocal、往復動作、思考>グループでは、これだけでなく、相互作用により程度が段々強くなる、大きくなるような意味を含むものがあるものがある。たとえば

言いあう、いがみあう

では<ああ言えば、こう言う>でどんどんエスカレートしていく感じがある。

紅白歌合戦では歌を歌いあう
大声を出しあう
居酒屋で酒の飲みあいになる(いっき、いっき)

は<お互いに>に以外に、三人以上では<順番に>になる。

これらは<互いに(each other)、reciprocal、往復動作、思考>の<reciprocal、往復>性が薄い、またはないが<相(あい)対してxxする>ともいえるものがある。

<相(あい)対してxxする>は<互いに(each other)、reciprocal、往復してxxする>をふくむ意味の一般化といえる。したがって、大雑把に(一般化して)いえばこのひらがなの<あう>は<相(あい)対してxxする>の意があるといえる。これは一種の言語(日本語)表現上のアスペクト(相)といえないか。

<xx しあう>の<xx>は漢語がくるが、意外と少ない。<xx しあう>は大和言葉動詞との結びつき、一体化傾向が強い。

遠慮しあう
競争しあう
尊敬しあう

<あう>と相性の悪い動詞もある。

遊びあう (->ふざけあう)
走りあう (->競(きそ)いあう)
戦いあう(戦争しあう) (->争(あらそ)いあう)

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たのみあう (頼みあう)
たよりあう (頼りあう)
まかせあう
問いあう  (<問い合わせる>は別の意味になる。)

<頼む>、<頼る>などは相手はいるが一方的な言動だ。<質問しあう>ならいい。

祈りあう
考えあう
願いあう
読みあう

以上はどちらかというと個人的に独立した言動だ。<遊ぶ>もこれか?<独り言をいいあう>はナンセンスだ。だが<思いあう>、<信じあう>、はOK. 


<あう>の連用形体言(名詞)用法は<あい>だ。

複合名詞

やまとことば

あいだ (空間と時間を兼ねる)
あいこ、おあいこ
相槌、合槌(あいづち)
相手、(あいて)
愛想が尽きる

ネット辞典

三省堂 大辞林 第三版

あい そ [3]愛想

あいそう愛想の転
人に対す応対仕方好感をもたれる言葉遣い表情態度など。 -がいい -のない人
人を喜ばせるための言葉振る舞い -を言う
相手抱いている好意 -が尽き
特別な心遣いもてなし心付けなど。 何の-もございませんで…
飲食店などの勘定勘定書 おあいその形が多い


この愛想は本来<相想>、さらには<あい(相)相(そう)>ではないか?<愛>の字や<想>の字は上記の意味に<合わない>。基本的には<相手、何かに合わせる>意がある。

a)時間の<あい>

あい

<このあいだ>はなぜ<このあいだ>の意味にるのか(なったのか)?

合い間(あいま)
頃合い(ころあい)
間にあう

b)状態、程度の<あい>

重箱よみ

度合(どあい)
具合(ぐあい) (具は北京語ではju だが広東語では<コイ(gui)>と発音するので漢語由来だろう)

ふところ具合
からだの具合

やまとことば

場合(ばあい)
意味あい
色合い - 色の具合
肌合い (肌ざあり) - 触れたときの感じ具合
間(ま)合い  - 間(あいだ)、間隔の具合

<間(ま)合い>は一次元の範囲(距離)をあらわしている。<場合(ばあい)>は二、三次元、あるいは時間の範囲あらわしている。だが<時と場合による>という言い方があるので、この場合は<場合>は時を含まないということになう。度合、具合は次元を離れたスカラーの範囲。そして肝心なのは<範囲>といのは点ではなく、幅、奥行き、高さ(縦、横、上下の幅)があることだ。これは箱、容器にたとえられる。

<xxの場合>は英語では

in case of (that) が相当するが<xxを箱に入れて>が原意で、<三次元の場に入れること>だ。

<場合>さらには接辞の<あい>は範囲のある箱、容器にたとえられるが、このこれらの範囲は厳しく限定された、固定されたものではなく、不確定部分、未限定部分、変更余地のあるかなりいい加減、融通のきく範囲であることだ。意味がとりずらい<場合(ばあい)>、<意味あい>、<色合い>はこう考えるいいだろう。




sptt

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