大きければ大きいほどいい。
これを英訳せよといわれると、たいていは
The bigger the better.
とするだろう。なぜかというとそのように教えられている、さらには英語母国人がそう言うからだ。the は何かというと答えられる人は、まじめな英語の先生か英文法の専門家ぐらいだろう。 the はあきらかに定冠詞ではない。内容的には比較に関連しているので than と関連があるか。
さて日本語の<大きければ大きいほどいい。>と英語の<The bigger the better.>では雲泥の差、海と山ほどの違いがある。前半の<大きければ>は仮定あるいは条件のようだ。似たような表現をさがしてみると、
大きければ、よりいい。
大きければ、もっといい。
大きければ、なおいい。
大きければ、さらにいい。
大きければ、ますますいい。
<いい>に英語のような比較形はないので<より>、<もっと>、<なお>、<さらに>、<ますます>の比較を示す副詞(形容詞<いい>を修飾する)を使う。英文翻訳では比較級=<より>、<もっと>が使われるが翻訳調で日本語らしくない。また使い過ぎると単調になる。
大きければ大きいほどいい。
は<大きいければ>のあとにもう一度<大きい>が出てきてそれに<ほど>がついている構造が大きな特徴だが、英語のThe bigger the better. で the が繰り返し出て来るところは似ている。<ほど>は日常よく使うがいったい何か?
ほどほど(に)
ほどなく
それほど(でもない) - これは程度を示すようだ。
すればするほど(よくなる、悪くなる)、言えば言うほど(反対する)、考えれば考えるほどわからなくなる
最後の3例は<大きければ大きいほどいい>に似た表現だ。<大きければ大きいほどいい>をもっと丁寧にいうと<大きければ大きいほど(もっと、なお、さらに、ますます)いい>になるが<ほど>に比較作用があるようで<もっと、なお、さらに、ますます>をはぶいてもいいようだ。
さて中国語だが、わたしが住む香港の広東語では
早ければ早いほどいい。
は
早啲、好啲。
とごく簡単、簡潔。<啲>は比較を示す語で、日常では超高頻度使用語だ。英語に直訳すると Earlier, better. で何だかよくわからない the はいらない。
sptt
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