日本語の格助詞<の>、そして形式名詞の<の>と中国語の<的>の並列検討は得るところが多い。前々回のポスト " 形式名詞の<形式>は単なる形式か? ー3<ところ> " で引用した白水社中国語辞典の<所>の関連個所を再び使わしてもらう。今回の焦点は<所>ではなく<的>だ。
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5 助詞 (書き言葉に用い,〔[名詞・代名詞+]‘所’+動詞+‘的’〕の形で,‘的’の後の名詞・名詞句を修飾し;…が)…するところの.◆(1)修飾される名詞・名詞句は意味上は動詞の目的語に当たる.(2)最後の用例のように,時に‘的’を省略する.
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上の日本語訳では<的>の訳として<の>がでてこないが、これは中国語<的>の重要な機能だ。<所>を忠実に訳せば
- 我所认识的人不多。=私の知っているところの人は多くない.
- 氧气是人类所不能缺少的东西。=酸素は人類にとって欠くべからざるところの物質である.
- 所谈的道理十分玄妙。=語ったところの道理は全くつかみどころがない.
- 我国所产的各种毛皮享有很高的名誉。=わが国が生産するところの各種の毛皮は非常に高い名声を持つ.
最後の例は少し手を入れてある。二番目に出て来る<的>、<很高的名誉>の<的>は単純に日本語の<の>に続く語を修飾する格助詞<の>相当。その他の<的>は<所>との組で使われる<的>で、解説にある
〔[名詞・代名詞+]‘所’+動詞+‘的’〕の形で,‘的’の後の名詞・名詞句を修飾し;…が)…するところの.◆(1)修飾される名詞・名詞句は意味上は動詞の目的語に当たる.(2)最後の用例のように,時に‘的’を省略する.
を少しがんばって理解すればいい。一番目の例文
を詳しくチェックしてみる。
中国語
<我所认识的人>の構造は、解説を参考にすると
〔[名詞・代名詞+]‘所’+動詞+‘的’〕の形で,‘的’の後の名詞・名詞句を修飾し;…が)…するところの.
我 + 所 + 认识 (認識、動詞) + 的 + 人 (认识 (認識) = (人) を知っている)
わたしが知っているところの人
の<の>に相当する。<ところ>は中国語でも日本語でも省けるので
我 + 认识 (認識、動詞) + 的 + 人
文字通りでは
わたしが知っているの人
となるが、日本語では<の>がない
わたしが知っている人
となる。大きな違いは、中国語では<的>が必要だが、日本語では不用。これは不用というよりは<