形式名詞の<ところ>をチェックしていたところ、おもしろいことを発見した。形式名詞というのは、これまでの形式名詞関連のポストで何度も引用しているが
形式名詞とは、たとえば「書くこと」の「こと」、「正しいもの」の「もの」、「起きたところ」の「ところ」、「食べるとき」の「とき」など、動詞や形容詞といった用言に付いて体言化したりする名詞です。
この場合、文の構成を見れば、確かに名詞と位置づけられるようにも思われますが、本来の意味を表現しているとは言えず、あくまでもその前にある動詞や形容詞を名詞化するだけの役割になっています。つまり、意味的には本来の名詞の役割を持たず、形の上で名詞にするために使われているわけです。
”
<ところ>は<こと>、<もの>と並んで形式名詞の代表の一つ。日常生活でよく聞く、使うものの例を並べると
お忙しいところを、お邪魔 (じゃま) しました。
ご多忙 (中) のところを来ていただき、まことにありがとうございます。
お休み (中) のところ (を)、失礼します / しました。
おくつろぎ (中) のところ (を)、失礼します / しました。
お楽しみ (中) のところ (を)、失礼します / しました。
お疲れ (中) のところ (を)、申しわけありませんが、もひと仕事お願いします。
お急ぎ (中) のところ (を)、お邪魔 (じゃま) しました。
おとり込み中のところのようですので、またあらためてまいります。
(中、ちゅう) はあってもなくてもいい。(を) もあってもなくてもいい。この<を>は接続助詞か。上の例は逆接でも、順接でも、譲歩でもない。いわば<つなぎ助詞>で、なくてもいいので中国語の軽い語気助詞といえるか。
中 (ちゅう) は
仕事中、会議中、食事中、話し中、勉強中、練習中
などで使われ、この場合、仕事や会議や食事や<話し>や勉強や練習の<なか>のいるわけではないので名詞 (体言) につく 形式名詞といえるか。<なか>も使えなくはない。
お忙しいなかを、お邪魔 (じゃま) しました。
ご多忙のなかを来ていただき、まことにありがとうございます。
お休みのなかを、失礼します / しました。
おくつろぎのなかを、失礼します / しました。
お楽しみのなかを、失礼します / しました。
お疲れのなかを、申しわけありませんが、もひと仕事お願いします。
お急ぎのなかを、お邪魔 (じゃま) しました。
この<なか>場合は<ところ>がいらない。なおかつ元の意味を<中間>とすると、元の意味からズレているので、まさしく<形式名詞>といえそうだ、だが<なか>は<うち (内、内部) >の意味もある。
お忙しいうちにいるのを、お邪魔 (じゃま) しました。
ご多忙のうちにいるのを来ていただき、まことにありがとうございます。
お休みのうちにいるのを、失礼します / しました。
おくつろぎのうちにいるのを、失礼します / しました。
お楽しみのうちにいるのを、失礼します / しました。
お疲れのうちにいるのを、申しわけありませんが、もひと仕事お願いします。
お急ぎのうちにいるのをを、お邪魔 (じゃま) しました。
上で元の意味を<中間>としたのは空間上で<上、中、下>の<上、下>と対比させたからだ。<上 (うえ、じょう)>の形式名詞度をチェックして見る。
のうえ
かくなるうえは
覚悟のうえでxxする
承知のうえでxxする
そのうえで
xxするうえで (の注意事項)
法律上、 法律の上からは
経済上、経済上 (じょう) の理由から
礼儀上、礼儀の上からは
習慣上、習慣の上からは
規則上、規則の上からは
形式上、形式の上からは
身の上
一身上 (じょう) の都合により
<以上>も数学の<以上>以外の意味で使われる。
こうなった以上
話は以上だ
以上は元来の<うえ、上>の意から相当ずれているばかりでなく、意味もさまざまだ。別途形式名詞の<うえ>をチェックする価値がある。手元の辞書 (三省堂) をチェックしていたら、おもしろい解説が書いてある。
”
うえ ー 形式名詞的に
1.xxに関することを表わす。
形のうえでは共著になっているが
気持ちのうえの圧迫感 (英語では under pressure、中国人は<圧力>が好きなようでよく耳にする。)
二人の遺児のうえを思って暗然たる気持ちになった
身の上の話
2.すでに実現している (ことが求められる) 事柄であり、新たな事態が展開する (意志や態度を決める) 前提となるものであることを表わす。
もとより覚悟のうえです
見たうえで決める
酒のうえ (飲酒が過ぎた結果) での失敗
見られたうえはしかたがない
上の解説は ( ) が多くてわかりずらい。少なくとも
酒のうえ (飲酒が過ぎた結果) での失敗
の解説にはならない。<意志や態度を決める>とあるので<決断と実行>の前提を述べるにに<うえ>が使われる、ということだ。
3.すでに実現している事態の傾向をさらに強めるような要素が加わる (を加える) ことを表わす。
しかられたうえに罰金まで取られた
慎重のうえにも慎重を期する
”
3.は<xxの上に重ねる>で元の<うえ>の意味が残っているといえる。
問題は<酒のうえでの失敗 >で、 <覚悟のうえ、見たうえで、見られたうえは>とはあきらかに違う。<酒のうえでの失敗 >とは一体どういう意味か?
1.(xxに関することを表わす)で
形のうえでは共著になっているが
という例文がある。これにならうと<酒に関する失敗>でなんとかなりそうだが、もう少しよぅ考えると<酒のうえでの失敗 >は言いわけ、ともとれる。<言いわけ>にもいろいろあるが、<本心からしたのではない>というのがある。<酒のうえでの失敗 >と<うえ>をつかうのは<これは表面上 (じょう) で、本心からしたのではない>と言いたいのだ。本心は<中身、なかみ>で表面上は<うわべ>なのだ、と言いたいのだ。ここに<なか>と<うえ>の大きな違いがある。したがって
<酒のなかの失敗>と言うと言いわけがきかないが、<酒のうえの失敗>と言えば言いわけになりうる。
<下、した、げ、か>は<上、中>ほど活躍しないようだ。
このよう様な状況下では
は英語の
under this condition, under the condition like this
の訳からではないか。日本語では
このよう様な状況の<もと>では
となるか?
当時の軍事政権のもとでは
sptt
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