Monday, March 17, 2025

文を収める助動詞<だ>

 

別のブログ<やまとことばじてん>の方で、最近<やまとことばの Yes と No>というタイトルのポストを書いた、そのなかで


一方(Yes の)<そうだ>の<そう>は、いわゆる<こそあど語>で

こうだ
そうだ
ああだ
どうだ ?

の<そうだ>。上の四つは言い換えると

このようだ
そのようだ
あのようだ
どのようだ ?

<そうだ>、<そのようだ>は<it looks like it> の意がある。頭の<it>は<それ>ではなく、意味のある<to look like it>の不定句を<定文>にするための仮主語のようなもの。日本語でこのようにする必要はない。だが<定文>にするには<だ>が必要。(これは新しい発見だ。別途検討)
 
"

と書いたので、忘れないうちに検討しておく。助動詞<だ>については<うたがわしい>助動詞として、かなり以前にポストを書いたことがある。

断定、指定の助動詞<だ> June 2013 (* 末尾注)

 
さて、上記の引用部をもう少しよくチェックしてみると
 
<そうだ>は Yes になるが、<そのようだ>は Yes にならない。<そのようだ>は
 
It looks like it. 
 
あるいは
 
It looks so.
 
でもいい。この<It>も仮主語。<そう見える>という日本語では主語がないが、<それはそう見える>(<だ>はいらない)、<それはそのようだ>の意になるが、こうは言わず<そう見える>、<そのようだ>になる。<そう見えるだ>と言わないのは<見える>は終止形で、これで文が<収まって>いるからだ。一方、しつっこくなるが、<そのようだ>で<だ>が必要なのは、<だ>がないと文が<収まらない>からだ。
 
 It looks は It seems、maybe と並んで日本人が好きな、あるいは使いたがる、言質を取られるのをおそれた、責任回避の言い方だ。この冒頭の<It>が何だかわからないところが好まれるのか?<そのようだ>は最後に<だ>があるが、断定を避けた言い方だ。<そのよう>はだめで、英語で冒頭に<It>が必要なように、末尾の<だ>がないと、文として収まらない。これは<断定、指定>以外の<だ>の用法と言えないか>?
 
文として収める、文を収める<だ>だ。<断定、指定>も一種の言葉に出てこない (implicit な) <意味>で、これが助動詞<が>にある、ということだ。
 
 
 
 sptt
 
 
(*)(末尾注)
 
断定、指定の助動詞<だ> June 2013 からの抜粋

 ここでは話を簡単にするため<だ>を思い切って大和言葉の<定める>、<定めの>助動詞としてみる。<定める>はここでは英語の to identify に近い意味だが、自己同一化ではなく、一対一の対応を定めるといった意味。 (注3)

(注3)
(注)で書き加えるといった重要度の低いことではないが(詳しくは別途検討予定)、断定、指定に似通った<定>のつく語はけっこうある。確定、規定、決定、定義、判定、(さらには意味はやや限定されるが、評定、約定、固定、そして限定)などは断定、指定を大きな間違いなしで置き換えることができる。(意味はやや限定されるが、評定、約定、固定、そして限定がある。) ということは、<断定、指定の助動詞>という言い方は、かなり曖昧ということになる。<定>にこだわれば、肯定(.....である)、否定(.....(で)ない)、未定(まだ.....(で)ない)がある。<ない>は否定(打ち消し)の助動詞。さらには仮定、推定、想定、予定、暫定があり、仮定は仮定形というのがあうが、<らしい>は推定(推量)の助動詞。想定は仮定に近い。予定(だ、する)は英語の助動詞 will に近い。暫定はやや込み入っており<とりあえず.....しておく>という言う意味だ。仮定、推定、想定、予定は<定>の字が使われているが文法的な意味での<定>ではない。<仮定法>や英語にはないが他の欧米語のある<接続法>の世界だ。

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