Tuesday, April 20, 2021

<in spite of>の spite について

 

<in spite of>はいわゆる idiom (熟語)で、 spite の意味を詮索せずに<in spite of xx>=<xx にもかかわらず>と覚えて、英語のテストででてきたら、こう訳してマルがもらえる。 spite の意味を詮索してみると spite の意味と熟語<in spite of>の意味の違いはおもしろい謎だ。少し調べてみたが初級、中級ではない高級辞書にも説明がない。ネットで調べてみたが、この謎に挑戦しているのはすぐには見つからい。この謎に挑戦してみた。

spite は<in spite of>以外ではほとんど聞かない、見ない。形容詞の spiteful をごくたまに見る程度。spiteful と同じような意味でよく見聞きする形容詞は malicious だ。spite は純英語、 maliciousはラテン語系の語で、もとの名詞は malice でこれが名詞 spite に相当するがこれはほとんど見聞きしない。

spite、malice の基本的な意味はだいたい<悪意>に相当するがそう簡単ではない。英語の辞書ではネットで一番目に出て来るのをコピー / ペイストすると

spite

a desire to hurt, annoy, or offend someone.

synonyms: malice, maliciousness, ill will, ill feeling, spitefulness, bitterness, animosity, hostility, antagonism, enmity, resentment, resentfulness, rancour, malevolence, venom, spleen, gall, malignance, malignity, evil intentions, envy, hate, hatred, vengeance, vengefulness, vindictiveness, nastiness, mean-spiritedness, meanness, bitchiness, cattiness, maleficence

 "

で同義語がやたらある。 やたらにあるが<in spite of>のspite の置き換えができるものはない。また<in spite of xx>の <in> を<の中で>、<という状況で>と訳して

xxの悪意の中で
xxの悪意という状況で

となるが、これでは<xx にもかかわらず>の意にまったくならない。<xx にもかかわらず>の<かかわる>は<関係する>の意に近いが、<xx に関係なく>はそのまま<xx にかかわらず>にならない。<xx 関係なく>相当の英語熟語 に

regardless of

がある。 <regardless of xx> と<in spite of xx>ではやはり意味が少しちがう。<regardless of xx>の方はかなり客観的な<xx とは関係なく> 。

天気(天候)に関係なく運動会は行われる。

とはいう。

悪天候に関係なく運動会は行われる。

ともいうが

悪天候にかかわらず運動会は行われる。

というのが普通だ。これは悪天候が運動会を行うことをさまたげる(反対する、反抗する)という状況がある。ここが重要なのだが、詳しくは後述。

悪天候にかかわらず運動会は行われる。

というのが、英語訳の」影響からか、もっと普通だ。 微妙なところだが、これは in spite of の訳語としての方がふさわしいようだ。<も>の論議はここではしないが、<も>はいくつかの意味がある大助詞で(副助詞か。関係だけを示す格助詞とは違う)、ややこしいいわゆる文法用語の<譲歩>がからんでくる。これまたここが重要なのだが、詳しくは後述。<譲歩>の英語には

although xx
though xx
no matter what, how xxxx(形容詞)

<in spite of>はこれらの<譲歩>の英語で入れ替えが可能だ。だがニュアンスは違うようだ。

although xx、though xx は基本的には<xx だが>の逆説で、xx には予想されることとは反対になる、あるいは予想されることが実現するにををさまたげる条件、内容が示される。

悪天候だが運動会は行われる。 (悪天候だと運動会は行われないことが予想されるが、運動会は行われないはずだが、それでも(なぜか)運動会は行われる。客観的事実)

悪天候でも(の場合でも)運動会は行われる。  ここでも<も>が出て来る。これは even though という言い方があり、<譲歩>が強まる。この英語の even は曲者(くせもの)で、よく、くわしく理解して使っている人は少ないだろう。だが大体は間違いなく使っている。このクセモノ even については別途検討予定。

客観的な<xx とは関係なく>を使った

悪天候に関係なく運動会は行われる。

と比べてみると 

悪天候だが運動会は行われる。 = 悪天候に関係なく運動会は行われる。

は成り立ちそうだ。<かかわる>は<関係する>とは違う。 <かかわる>は大和言葉でコンピュータワープロでは<拘わる>、<関わる>、<係る>と出て来る。<関わる>は<係る>の漢字が意味するものは基本的には客観的な<xx に関係なく>の<関係>だ。 <拘わる>の<拘>は拘束、拘泥で<拘わる>は別のようだ。だが大和言葉の<かかわる>は<関係する>も<拘束する、拘泥する>も含んでいる。口語だが<ひっかかる>という言い方がある。<かかわる>や<にもかかわらず>はなにか<ひっかかる>ところがある。しかしながら、<拘束する、拘泥する>の<かかわる>としても<悪意>の spite とは依然まったく関係ない。ちなみに中国語ではどういうかというと

英語-中国語ネット辞典

in spite of
 
尽(儘)管 (jǐnguǎn)   
 
が一般的だ。手もとの英中辞典もこれと<不管>が載っている。尽は日本語では<尽くす、尽きる>だが、尽>簡体字で日本語の<尽きる>ではない。<儘>は中国語では
 

 
(1)
極、最。如:「儘先」、「儘量」、「儘快」、「儘可能」、「儘裡邊」、「儘底下」。
(2)
聽任、不加限制。如:「這些錢儘管他去用。」
 
と意味ありげだ。(1)<できるだけxx>、最高、限度、(2)任(まか)せる、制限なし、いくらでも。 <任せる>はおもしろい言葉だ。<できるだけ>、限度、制限なしに任せる>はある意味では<尽きるまで>だがかなり違う。<儘>は日本語では、調べたところ、面白いことだが、我儘(わがまま)、其の儘(そのまま)の<まま>として出てくる。<儘>は見たことは少しあるが、書いたことはない。<まま>は<言うがまま>、<するがまま>など<任せる>に関連ありそうだが、後回し、または別途検討とする。
 
<不>は否定。問題は<>だが、これもネットで調べてみると、おおもとは楽器の笛だったようだが、現代語としては
 
(3)
負責、辦理。如:「管理」、「管事」、「管帳」、「管吃管住」。
(4)
保證、鐵定。如:「管用」、「包管你考得上!」
(5)
約束、教導。如:「管教」、「看管」、「管束」、「管不住」。
(6)
理會、顧慮。如:「不管你了!」、「別管他,我們先走。」
(7)
儘管:儘量。如:「你儘管放心的去玩吧!」

とある。かなりの多義語だ。関係ありそうなのは(3)
「管理」、処理、(6)顧慮。(7)は儘管そのものが出ているが、意味が違う。儘管もこれまた多義語なのだ。
 

儘管 jǐnguǎn

(1) [feel free to;not hesitate to]∶表示不必考慮別的,放心去做,相當於“只管”

有困難儘管說

(2) [always;all the time] 〈方〉∶老是;總是

她儘管笑,不愛說話

(3) [although;while;when]∶表示姑且承認某種事實,下文往往轉折 (轉折=逆接)

儘管費了好大力氣,也沒成功

 
からすると「你儘管放心的去玩吧!」は<好きなように、心配せずに遊んで来い>といった意味だろう。
 
以上から

尽(儘) - xx を管理できるかぎり、xx を顧慮できるかぎり、xx を処理できるかぎり
         xxの管理(顧慮、処理)制限なく。 これは<任せる>に通じる。
管 - xxを管理しない、顧慮しない、処理しない
 
でなんとか譲歩の意味がとれる。だがここでも悪意(spite)は出てこない。ここで悪意(spite)の謎に挑戦するかというと、そうではなく、関連はあるのだが、以上でのべた<譲歩>がらみの表現の英語、中国語、日本語の表現を比較してみる。これは表題と関係なさそうだが、関係がある。
 
 
 英語
 
<in spite of>の中に譲歩を示す語はない。
 
even though の場合には、詳しくは見ていないが even に譲歩の意がありそう。というのは even がない though だけと even though では意味が違う。
 
though xx  は<xx だが>でとりたたて譲歩の意味はない。一方

even though は<xx でも>、<xx にかかわらず>、<xx にもかかわらず>の意になる。この<も>は意味がある。<AもBも>で並列、列挙、<AだけでなくBも>で追加、添加の意味がある。添加は too、also だが even B は<Bさえも>になり、単純な添加ではない。


中国語

中国語は日本語よりも英語に近い。

<儘管>の中に<譲歩>を示す語はない。上でかなり強引な訳をしているが、

  - xx を管理できるかぎり、xx を顧慮できるかぎり、xx を処理できるかぎり

       xxの管理(顧慮、処理)制限なく。 

で、 <譲歩>を示すような<でも>、even 相当の語がないのだ。管>の二語に<譲歩>の意味はない。 譲歩>の意味は表面に出てこず内包(implicit)されているのだ。これと同じように<in spite of>に譲歩>の意味は表面に出てこず内包(implicit)されている。ここが肝心なところ。

 -> xx をできるかぎり処理する 

として、実際使われる場面では

<xx をできるかぎり処理する (限度までやったとして)>、さらには<限度までやって>の意があるのだ。なにが<も>になるかというと<できるかぎり>、限度まで>なのだ。できるかぎり>、限度まで>の意が<>にはある、内包されている。ここが一つのポイント。譲歩はある意味で<限度>との比較から出てくる。ここがもう一つのポイント。

中国語では<儘管>以上に<>が逆説、譲歩として使われる。そして逆説と譲歩の違いはかならずしも明確ではない。(末尾参照)

日本語の文構成は助詞が使われるため分析的で明瞭だ。<譲歩>は表現され内包はない。

悪天候にかかわらず運動会は行われる。

中国語の管>にならえば

最悪の天候になって(も)運動会は行われる。
天候の悪さが限度になって(も)運動会は行われる。 

 中国語では<も>は表明にでてこない。これは上でいま説明した=内包。

これから<にも>や<も>をとってしまうと

悪天候かかわらず運動会は行われる。
最悪の天候になって運動会は行われる。
天候の悪さが限度になって運動会は行われる。 

でわけが分からなくなるが、これが中国語式なのだ。中国語は助詞が未発達とうか、助詞をほとんど使わずに発達してきた言語だ。その分、語順と修辞、そして内包が大きな役割をする。 

遠回りしたようだが、ここまで来ると<in spite of>の spite の謎が解ける。

1)中国語の管>と同じく<in spite of>自体には譲歩の意味はなく、逐語訳では

xxの悪意の中で
xxの悪意という状況で

となる。だが譲歩の意味合いが内包されているとすると、

xxの悪意の中で
xxの悪意という状況で

2)次に<悪意>の意味を少しよく考えて見ると、

spite = a desire to hurt, annoy, or offend someone.

悪意 = 誰かを傷つける、悩ます、攻める

で大体は(良いと思って)xx しようとするのに対抗してくる、xx しようとするのを(悪意を持って)さまたげようとすること、さらにはそのようなことをする目に見えない力だ。こうすると

xx という(悪意を持って)さまたげようとする目の見えない力があって
xx という(悪意を持って)さまたげようとする目の見えない力が加わっている状況の中(in)

 で説明できる。おまけとしてさらに中国語の管>の意を加えれば

xx という(悪意を持って)さまたげようとする目の見えない最大の力があって
xx という(悪意を持って)さまたげようとする目の見えない力が加わっている最悪の状況の中(in)で

といったことになる。 これが<in spite of>で、しかも spite(悪意)の意味も強く残っている。

 notwithstanding

 <in spite of>と似たのに notwithstanding というにがあり、これまたnot も withstanding も関係なく<にもかかわらず>と訳すと英語のテストでマルがもらえる。だがこちらの方は<xx にもかかわらず>の前置詞熟語ではなく。文、節のあとに<にもかかわらず>と独立して使われる接続詞。withstanding は動名詞で、動詞は to withstand。この to withstand はそのまま上で述べた<対抗する>、<抵抗する>の意味があり、<in spite of>の意味に関連する。直観的にはこの関連がわかるが、 notwithstanding を直訳すると<抵抗なく、抵抗なしに>で<にもかかわらず>の意味にはならない。<にもかかわらず>の意味を持たせようとすると

against withstanding

だが、not = against ではけっしてない。not を使うとすれば not being withstood となる。これからすると、notwithstanding はnot being withstood の間違った言い方というかnot being withstood の意識が潜在的にあるが、出てくる言葉はnotwithstandingということだ。言葉、特に口語ではこういうのはけっこうある。

nevertheless


nevertheless もこれまた notwithstanding と同じ<にもかかわらず>の意味をもつ独立した接続詞。nevertheless は上の notwithstandingのような説明がすぐには思いうかばないので別途検討する予定。

xxのくせに

上で<この英語の even は曲者(くせもの)で>と書いたが、曲者(くせもの)の<くせ>も曲者だ。

太郎は男のくせに勇気がない。
花子は女のくせにめったに涙をみせない。

これはやや翻訳調になるが

太郎は男にもかかわらず勇気がない。
花子は女にもかかわらずめったに涙をみせない。

と言い換えられる。<くせ>はいくつか違った意味があるが、中毒に似た意味がある。

<くせ>自体は中立のようで

良いくせをを身につける。
悪いくせは直す。 

というが、実際には <悪いくせ>が主だ。中毒とは

xxするのは悪い、やめたほうがいいと、わかっているがやめられない。
xxであるのは悪い、直したがいいと、わかっているが直せない。

この中毒、中毒症状は悪意(spite)がなせるわざと言えないことはない。悪意(spite)は意地がわるく、人がいいことをしようとするのをさまたげるのだ。

太郎は男のくせに勇気がない。 

を言い換えると、

太郎は本来の男のように勇気があるのがいいとわかって入るが、勇気がない。

だが spite = くせ、ではない。ここは言葉のおもしろいところで、何かのヒントになりそうだ。


末尾

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english-chinese-simplified/though

though

conjunction (接続詞)

despite the fact that

虽然,尽管 She hasn't called, even though she said she would. 虽然她说过要打电话,可还没打。

but
可是,不过,然而
They're coming next week, though I don't know which day. 他们下周要来,但我不知道是哪天。

 

sptt

 

 


 


 

 

 

 

 



Friday, April 16, 2021

形容詞をつくる接辞<ない>と<xxなす>動詞

 

<やまとことばじてん>の方のポス ト” <せつない>の意味 ” の追記で次のように書いた。


追記

もと<切なる>

とある。だがこの語源(由来)についてそれ以上の説明はない。

の再考。 この辞書でたまたま<あぶない>を調べたが、<あぶない>の<ない>は形容詞をつくる接辞と書いてある。これだと、<せつない>の解説はごく簡単で説明が要らないくらいだ。

<あぶない>の変化の順序は

あやふい(あやうい) -> あふなし (<なし>は形容詞接辞)  -> あぶない

ところでこの形容詞接辞の<なし>は<なす>由来ではないか。<なす>は

借金をなす(返す)  関東方言か?
(この場を)とりなす
おりなす
(追加予定)

の<なす>と関連があろう。だが<なす>は自動詞<なる>とコンビの他動詞で、動詞化の接辞ならわかるが、形容詞接辞にはなりにくい。これも再考予定。

文法的な事項が多いので、別途再考、検討してみた。

1) 形容詞をつくる接辞<ない>

” 形容詞をつくる接辞<ない>” の例を探してみた。否定の<ない>が圧倒的に多く、これに比べると、” 形容詞をつくる接辞<ない>” の例はごく少なく、探すのに苦労した。手もとの辞書で ” 形容詞をつくる接辞<ない>” と書いてあるもの。上記の<あぶない>以外では

ゆくりない、ゆくりなし

これは難しい。私はこれまた少し考えるとよくわからない<こころおきなく>の類と考ていた。実際この意味で使ってしまったことがあるような気がする。由緒ある<やまとことば>のようなので意味や使い方調べは読者にまかせる。

はしたない

これも難しく、由緒ある<やまとことば>だが比較的簡単なので、手もとの辞書を参考に解説すると

<はし><端><端っこ>の<はし>で、<はした金>が一例。つまりは<端にあって重要でないモノ、コト>さらには<見下(くだ)すべきモノ、コト>となる。<はしため>という言葉は差別用語だろうがもう死語で聞いたり、使ったりする機会はない。次の<た>は<接辞>で特に意味はない。そして最後の<ない>が” 形容詞をつくる接辞<ない>”。これで意味が通る。<はしたが無い>ではなく<はしたがある>のだ。

似て非なる言葉に<みっともない>がある。これは<見たくも無い>、関西語の<見とうも無い>で<ない>は否定の<ない>だ。

----ー

手もとの辞書では” 形容詞をつくる接辞<ない>”と書かれていないもの。

せつない

手もとの辞書では、” もと<せつなり>” と書いてある。<やまとことばじてん>の方のポス ト<せつない>参照。

せわしない

手もとの辞書では、<せわしない>は<せわしい>の強調、となっているが、

<せわしい>+ ” 形容詞をつくる接辞<ない>” とすれば、簡単に説明もなく<強調>とするよりはいい。 <やまとことばじてん>の方のポス ト<せわしい、せわしない>参照。

あどけない 

語源不詳だは<ない>はかなり高い確率で” 形容詞をつくる接辞<ない>”。 <あどけが無い>ではない。

いたいけない

語源はややこしい。これまた<ない>はかなり高い確率で” 形容詞をつくる接辞<ない>”。<いたいけが無い>ではない。

継続調査


思いなし   <思いがない>ことではない。
こころなし  <こころがない>ことではない。

下記の2)参照


2) <xxなす>動詞

動詞連用形+なす

借金をなす(返す)  関東方言か?

動詞連用形+なす

(この場を)とりなす
おりなす(織りなす)
言いなす

<なす>は単に<xxする>ではなく<よくするように、よくなるように、うまく><する>の意がある。<とりなす>の<とる>は<取る>では意味が通じにくく<とりあつかう>の<とり>で<取って処理する>の<処理する>を含む、と<こじつければ>意味が通る。(バカにできないことば理解の<こじつけ>法)

見なす    普通は<AをBと見なす>のように使う。これも<こじつけ法>を使えば、AをBと<うまくなるように、同じようになるように>見ると、考えればいい。

---

名詞(体言)+なし

大雑把に言って、<形作る>の意となる。

意味をなす
山をなす(苦情、問題、波、ちり)
大家をなす
名をなす
富をなす
群(むれ)れをなす
国をなす

色をなす (辞書によると、顔色を変える)

---

思いなし

思いがなせるのか(思いがなせるわざか)

- 太郎はこのところ、思いなしか、さびしそうだ。

こころなし

心ががなせるのか(心がなせるわざか)

- 花子はこのところ、こころなしか、少しやせたようだ。

<思いなし、こころなし>はデリケートな言葉だ。

追加-2

関連語

<なし崩し>の<なし>。<なし>は<なす>の連用形。<なし崩し>はおもしろい言葉だ。関係ないようだが、<断(ことわる)>とからめてみると、おもしろい。

<なし崩し>は、手もとの辞書によると<既成事実をつくること>と書いてあるが、大体はあるよからぬ、けしからぬ(*)意図をもって既成事実をつくること、だ。

一方<ことわる(断る)>は大きく分けて二つの意味があり



1)(多くは相手に都合の悪いと思われること )を前もって伝えるておくこと、さらには前もって伝えて了解を得ること。<断っておきたうい>ならいいが、<断わっておくが>は<前もって伝えて了解を得ておくが>で、本来なら<<前もって伝えて了解を得ておきたいが>で、<了解をえるべき>なのだが、実際は<了解を得る、得ないにかかわらず強引(ごういん)にする>ことを伝える場合が多い。場合によって<断行>になるが、ここが<なしくずし>に似ているところだ。社会生活では大体<断わっておいてする>が、戦争状態で<断わっておく>はばかげている。

2)申し入れ、願いごとを拒絶すること。

世の中を見ると<なし崩し(なし崩す)>や<断り(断わる)>は政治、外交のかなり込み入った状況で活躍する。

<断(ことわ)る>の<断>は変な当て字で、<断>は判断、決断の断で<断じる>ならいい。手もとに辞書では<断じる>の第一義として<断行する>ような意味が書かれているが、<断じる>に<断行する>の意味はない。

 

けしからぬ(*)

<けし>は<怪し>でこれを否定(ぬ=ない)すると<怪しく無い>となってしまうが、これも 形容詞をつくる接辞<ない>と同じようなところがあって、ネット辞書によると、この<ぬ>>は強調で、<はなはだ怪しい>の意になる。一方<いやしからぬ>の<ぬ>は単純な否定で<いやしくない>の意。これからすると、<けしからぬ>を<ぬ>を単純に<ぬ>>は強調とは言えないのではないか。この否定の<ぬ>も形容詞をつくる接辞<ぬ>と言えるだろう。

 

sptt

 

Friday, April 9, 2021

形容詞の動詞化-日本語、英語、イタリア語


形容詞の動詞化はある程度規則性がみられる。これは日本語に限らず、英語にもあるが様子が違う。また最近再勉強中のイタリア語にもあり、これまた様子がかなりちがう。これらの違いは文法的におもしろいところがある。以前のポスト<まる-める動詞 - II>で、少しまとめて日本語の<形容詞の動詞化(自動詞-他動詞の組み)>をチェックしてみたことがある。今回は英語、そして再勉強を兼ねてイタリア語との比較を試みる。この背景にはイタリア語の再帰動詞による自動詞化という文法規則を調べる目的がある。また調べ直してもいいが、めんどうなので以前のポスト<まる-める動詞 - II>を利用したが、適宜に主に追加、少し削除、またわかりやすいように大幅に並べ替えた。<まる-める>だと<自動詞-他動詞>の順になるが、 イタリア語の再帰動詞による自動詞化は<他動詞->自動詞>となるので、<める-まる>の順にした。だが、<自動詞->他動詞>の造語法もある。


高い - 高める - 高まる

high    -  heighten (他動詞、高める)

    -  to raise  (他動詞、起こす、立たす)   -   to rise  (自動詞、起きる、立つ)

alto    -  alzare (他動詞、起こす、立たす)  - alzarsi (自動詞、起きる、立つ)

 
低い - 低める(低くする) - 低まる(低くなる)

low    -  lower (自他兼用)   to lower the voice; the voice lowered

basso  -  abbassare -  abbassarsi 1) 身を低める(曲げる)、2)落ちる

はやい(早い) - 早める - 早まる

 

early(形用詞、副詞) - 

quick   - quicken (自他兼用) 

speedy    - to speed up (自他兼用)  これば<速度>を速(はや)めるだが、結果的にコトが早(はや)まる、早めに結果をだす(結果がでる)ことになる場合が多い。日本語では<早い><速い>は不分離だ。

presoto 

fretta (noun)   - affrettre (急がす)- affrettrsi (急ぐ)   in fretta  = in a hurry (急いで)

(      )   - anticipare (自他兼用)(早める) 早く(来る、着く)

はやい(速い) - 速まる - 速める

rapid

speedy    -    speed up (自他兼用)

(      )   -     accelerare (自他兼用)


遅い(おそ) - (遅める)遅らす、遅くする - (遅まる)遅れる、遅くなる

時間が遅い

late (形容詞、副詞)

delayed    - to delay (自他兼用)

tardo (ritarodo)  - ritardare (自他兼用)     tardo(slow, late) は形容詞。ritardo は名詞 in retardo (遅れて)

 (       )   - ritmandare  (to return, to postpone)

 (       )   - rinviare (to return, to postpone)

速度(動き、進み具合が)遅い、のろい

slow   -   to slow down (自他兼用)

lento    -  rallentare  (自他兼用)

この早い、速い、遅いは相当複雑で、違う言語ではこれまた相当複雑だが共通したところもある(詳しくは別途検討予定)

広い - 広める - 広まる  (広げる - 広がる、というのもある。)

wide   -   to widen  (自他兼用)

broad   -   to broaden  (自他兼用)

large   -   to enlarge  (他動詞) <広い>と言うよりは<大きい>  en + xxxx(形用詞)は形容詞の動詞化の一つ。strengthen、darken、blacken など<xxxx(形用詞)+ en>が多い。

largo   -   allargare  (自他兼用)  イタリア語の<大きい>は普通 grande。


せまい - せばめる - せばまる  (これは発音からは例外だ)せばむ(古語自他兼用か)

narrow   -  to narrow  (自他兼用) - to narrow down

stretto    -   stringere, restringere -  stringersi, restringersi   (stringere は<しめつける>が原意で stretto も<(しめつけられて)せま苦しい(tight)>と言った語感だ。

 
近い - 、近づける(近くする、近める) - 近づく(近くなる、近まる)

near

closed

vicino   -  avvicinare (他動詞) - avvicinarsi


遠い - 遠ざける(遠くする、遠める) - 遠ざかる(遠くなる、遠まる)

far

distant

lonatano   -  allontanare (他動詞) -  allontanarsi


固(かた)い、 - 固める - 固まる

硬い、堅い  - 硬くする、堅くする - 硬くなる、堅くなる

hard    -  to  harden

solid    -   to solidify       -  (          )

duro    -  indurire   -  indurirsi

robust    -  irrobustire   -  irrobustirsi

foroza (noun)    -  raforzare   -  raforzarsi 

 
やわらかい - (やわらげる) - (やわらぐ)  これは例外だ。
やわらかい - やわらかくする - やわらかくなる

soft    -   to soften (自他兼用)

molle   - 

morbido   -  ammorbidire  -  ammorbidirsi

浅(あさ)い - 浅くする - 浅くなる

shallow


深(ふ)い - 深める(深くする) - 深まる(深くなる)

deep     -   to deepen (自他兼用)

profondo   -  approfondire  -   approfondirsi


厚(あつ)い - 厚くする - 厚くなる

thick    -   to thicken (自他兼用)

spesso   -  ispessire  -   ispessirsi      (spesso also means often)

薄(うす)い - 薄くする  -  薄くなる

thin     -    to thin (自他兼用)

sottile   -   (        )    -   (        )

 薄(うす)い - 薄める  -  薄まる

dilute      -    to dilute -   (        )

 (        )    -    diluire    -   (        )


濃(こ)い  - 濃くする - 濃くなる

thick    -   to thicken (自他兼用)

dense    -

spesso -    ispessire    -   ispessirsi           spesso = often という意味がある。 


丸(まる)い - まるめる(まるくする) - まるまる(まるくなる)

round  

rotondo   -    arrotondare    -  (         )

<丸(まる)い>の反対は<四角い>とは言えない。三角、五角、六角も<丸くない>。

(角張った)   -  (     )    -   角張る

清い - 清める - 清まる

pure     - purify -  (       )

pure     - purificare   -  purificarsi

clear       -  clarify   -  (       ) 

chiao        -  chiarire, chiarificare   -  (       )


きたない -  きたなくする - きたなくなる

dirty

sporco  -  sporcare  -  sporcarsi

<きれい>は最後に<い>があるが形容詞ではなく<綺麗な>で形容動詞。<綺麗>は古い漢語だ。現代中国語は美丽(麗)、漂亮。

赤(あか)い - 赤める(赤くする) - 赤まる(赤くなる)

red    -   redden (自他兼用)

rosso   -   arrossare  (他動詞)) -  arrossarsi


その他の色は具合が悪い。

白い - 白くする(白める) - 白くなる(白まる)

white    -   whiten (自他兼用)

bianco    -   imbiancare     -  imbiancarsi

                      sbiancare      -   sbiancarsi     (青白くなる)

pale

bianco    -   imbiancare     -  imbiancarsi


黒い -     黒くする(黒める) - 黒くなる(黒まる)  <黒ずむ>というのがある。

black    -   blacken (自他兼用)

nero    -   annerire (他動詞)) - annerirsi


青い - 青くする(青める) - (空が)青くなる(青まる)

blue

azzurro    -  (azzurare)

以下は<まるーめる>用法がない。だがむりして言えないこともない。

小さめる、重める、短める、新しまる(<あらたまる>といのがある)、新しめる、古まる(<古めく>というのがある)、古める、暗まる。

小さい   -     小さくする(ちぢめる、縮める)  -  小さくなる(ちぢまる、縮まる)

small

little

(shrunken)     -     shrink    -  shrink       自他兼用

piccolo    -    rimpiccolire    -   rimpiccolirsi

 

大きい   -     大きくする  -  大きくなる

big

large    -     enlarge    -  

grande     -   ingrandire     -  ingrandirsi

 
軽い

light    -   lighten

leggero    -  allegerire

重い   -     重くする  -  重くなる

heavy

pesante    -   appensantire     -  appensantirsi  (to gain weight, to become heavier)


短い   -     短くする(ちぢめる、縮める)   -   短くなる(ちぢまる、縮まる)

short    -   shorten (自他兼用)

corto    -   accorciare    -   accorciaresi

長い   -     長くする(伸ばす)   -   長くなる(伸びる)

long

lungo    -   allungare    -  allungarsi


新しい

new  - to renew

nuovo

古い

old

vecchio

若い

young

giovane

明るい

bright     -   brighten

brilliante 

暗い

bark     -   darken (自他兼用)

buio

例外
 
さむい - (さむ) - さめる(自動詞) - さます(他動詞)

cold       - to freeze (凍(こお)る、凍らす)(自他兼用)

freddo      -  freddarsi (冷(ひ)える)  -   freddare  (冷(ひ)やす)

暑い

hot

caldo


せまい - せばむ - せばまる - せばめる  (これは発音からは例外だ)
あたたかい - あたたむ - あたたまる(あたたかまる) - あたためる(あたたかめる)

warm      - warm  (自他兼用)  warm up

すずしい - すずむ - すずまる - すずめる (可能)

cool     - cool  (自他兼用)  cool down

 
やわらかい - (やわらぐ) - (やわらげる)  これは例外だ。

soft    - soften (自他兼用)

痛い - 痛む - (いたまる) - 痛める

painful     -   pain(非人称)

dolore


苦しい - 苦しむ - (くるしまる) - くるしめる

suffering    -  suffer

たのしい - たのしむ - (たのしまる) - たのしめる (可能)

joyful    -  enjoy (自他兼用)、 enjoy oneself

悲しい  -  悲しむ   -  悲しませる

trist

<まる-める動詞 - II>では抜けてしまったが、まだまだよく使われる形容詞がたくさんある。多分<まるーめる>にならないからだったろう。

良(よ)い  -   良(よ)くなる  -   良(よ)くする

good    -   to better (他動詞) (比較級の better そのまま)由来) 名詞は betterment

buono    -  megliolare (自他兼用)、比較級の meglio 由来

悪(わる)い  -   悪(わる)くなる  -   悪(わる)くする

bad     -  worsen (自他兼用)

cattivo  -  peggiorare (自他兼用)、比較級の peggio 由来

正(ただ)しい  -   正しくなる  -  正しくする、正(ただ)す

right      - 

correct     -  (       )   -    correct (他動詞)

corretto     -  (       )   -    corregere (他動詞)

 justo 

間違った  -    間違う (自他兼用)

誤(あやま)った  - (    )   -  誤る (他動詞)  <身を誤る>は再帰動詞用法に近い

wrong    -

(sbagliato) - (          ) - sbagliare

美しい  -   美しくなる  -   美しくする

beautiful   -  (       )   -   beautify

bello

<きれい>は最後に<い>があるが形容詞ではなく<綺麗(きれい)な>で形容動詞。<綺麗>は古い漢語だ。現代中国語は美丽(麗)、漂亮。
  

きれいな(汚れていない)

clean    -  (       )   -   cleanse

               - pulire

 きたない -   きたなくなる  -   きたなくする

汚(よご)れた-   汚(よご)れる  -  汚(よご)す (<汚れた>で<汚された>ではない)

dirty     -   (       )    -  to dirty

sporco    -   sporcarsi    -  sporcare

醜(みにく)い  -   醜(みにく)くなる  -   醜(みにく)くする

ugly    -   (       )    -  

brutto

貧(まず)しい  -   貧しくなる  -   貧しくする

poor 

povero

対応する形容詞(rich 相当)が見つからない。富(と)んだ、豊(ゆた)かな 

易(やさ)しい

easy

facile

難(むずか)しい

difficult

difficile

きびしい

strict

やさしい(親切な)

gentle

gentile