イタリア語の再帰動詞用法に関連して英語の re-xxxx 動詞の再帰用法を調べてみた。タイトルの<英語の re-xxxx 動詞の再帰用法>は再帰動詞用法に興味のない人は何を言っているのかわからないかもしれない。私はイタリア語の再帰動詞用法に非常に興味がある。これはおそらく、再帰動詞を使った表現が世の中のモノゴト、デキゴトの見方、感じ方を反映している、と考えているからだろう。フランス語やドイツ語にも再帰動詞用法はあり(そしておそらく日本語も含め他の言語にも形を変えた再帰動詞用法はあるだろう)、ことさらイタリア語の再帰動詞用法にこだわることはないのだが、イタリア語文法の学習をに二年ほど前から再開しているので、イタリア語の勉強のため、より深い理解、さらにはある程度納得(なっとく)してイタリア語の再帰動詞が使えるようになるのではないかという期待もあった(これは今もある)。調べた結果は現時点では期待したほどではなかったが、少し得るものがあったので忘れないうちに書き残しておこうと思った次第である。英語の re-xxxx 動詞を調べ、これがタリア語の再帰動詞用法と関連があるかどうかを調べ始めたのだが、実際には英語の re-xxxx 動詞を調べることが主になってしまったたが、これからも得るところがあった。
代表的なのは
to repeat
to return
で日本語でも<リピートする>、<リターンする>で動詞になる。意味はどうかというと
1)to repeat(自/他動詞)- リピートする - 繰り返す(自/他動詞) - 反復(する)(自/他動詞) 長い間隙(休み)がなく繰り返す。
日本語の<繰り返す>は<xx を繰り返す>、<xx が繰り返される(受け身)>で他動詞のようだが、<歴史は繰り返す>で英語と同じく自/他兼用動詞。 調べればすぐわかるが<リピートする>も自/他兼用。<反復する>も<同じことを反復する>、<歴史は反復する>でこれまた自/他兼用か。これは些細なことのようでもあるが、重要なことのようでもある。
to reciprocate 前後(または上下)運動を繰り返すレシプロエンジン。回転するのがロータリーエンジン。回転するものを投影させると前後(または上下)繰り返し運動になり、関係があるというか、大局的に見れば同じものともいえる。 これも些細なことのようでもあるが、重要なことのようでもある。
to recycle
to reiterate
to revolve 回転運動は反復運動だ。上の to reciprocate を参照。英語の to revolve はこれまた自/他兼用。日本語では<回(まわ)る、回(まわ)す>の自他コンビがある。
2)to return (自/他動詞) - リターンする - 自動詞の戻(もど)る、返(かえ)る、帰ると戻す、返すの他動詞の他動詞がある。漢語では-帰還(する)(自動詞)、返還(する)、返却(する)(他動詞)がある。<リターンする>は
東京にリターンする
不良品をリターンする
でこれまた自/他兼用だ。<xxする>は曲者なのだ。英語の to return もまたぞろ自/他兼用。英語は<どういうわけか>自/他兼用動詞が多い。
to rebound
to redeem - あがなう。金銭関連もあるが<罪をあがなう(贖罪)>という言い方がある。
to reflect - 反射する(させる)。これは再帰用法の再帰に近い。
to retrospect - これは<retro->が接頭辞だ。
to reverse
to revert
3)redevelop - 再開発する - これは1)と似ているが、同じことを幾度も<繰り返す>のではなく、同じことをある程度の間隙(休み)の後に再び始める(to restart)、再開する。だが分類でなく一般化すれば1)の仲間になる。<あらたに、あらためてxxする>、中国語では<重新>と言うようだ。
to rebuild
to recycle (再利用する)
to reconsider
to rediscover
to reopen
to restart
to resume
to reunite
to reuse (再利用する)
to review
to revive
があり、調べた限りではこの大三分類で re-xxxx 動詞 の多くは分類できる。
英語では See you again. の again というのがあり、これは中国語では<再见(見)>の<再>、日本語では<では(じゃー)、また>の<また>に相当。イタリア語では A rivederci. と言うが rivedere (再び見る、会う)という動詞が使われ、さらに再帰用法になっている。ただし、これは<お互いに>の意の再帰用法。英語の場合、again and again (and again . . . . ) で to repeat になる。
手もとのBerlitz 英伊辞典では英語の接頭語<re->に、
again = di nuovo (あらたに)、indietro (back、うしろに)という簡単な解説がある。英語の場合 back は曲者で、自動詞の場合は
to go back (home) - 戻る、帰る。 Go back home ! 家に(祖国に)帰れ
to come back - 戻ってくる、帰ってくる
to retreat - 引き下がる
で文字通り back (後ろ)でいいが
to call back (電話で)かけ返す (コールバックする)
to hit (strike) back 打ち返す 日本語は、野球で<打球を打ち返す>で他動詞。英語は to hit は to hit a ball で他動詞だが to hit back の熟語としては to hit back to Taro で自動詞になる。この場合、 back は前置詞か。だが to hit back a ball、to hit a ball back という言い方も可能だろう。この場合、 back は副詞か。
to push back 押し返す
の方向は聞き手からは back (後ろ方向)だが、話者からは forward(前方向)になる。
日本語では
言い返す 誰々に(何々を)言い返す
たたき返す 何々を誰々にたたき返す
やり返す 誰々に(何々を)やり返す
といった言い方がああり、 これも話者からは forward(前方向)だ。
以上と関連はあるが、小分類としてグループ化すると
4)to refuse - こばむ (他動詞) - 拒絶(する)、反対(する)、抵抗(する)、反抗(する)(他動詞)、against
to refute
to resist
to reject
to repel はね返す
外部からの力に反対して現状を保つという意味では
to refrain この動詞は自動詞で I refrain from a bad habit of smoking. という言い方があり、
I refrain (oneself) from の意味なので再帰用法といえる。
to remain
to retain
to reserve
このグループ(against)は物理の作用反作用を考えれば2)to return の仲間と言える。
5)to revenge - 復讐(ふくしゅう)する
to retaliate
これも2)、4)の仲間と言える。
6)to remedy - 治る、治す、直る、直す(元の正常な状態に戻す) - 修正する、回復する(させる)
to recover - 取り戻す
to redirect - 方向を修正する
to regain - 取り戻す
to revise - 直す、訂正する、改定する
to rescue
to rewrite - 書き直す
これも<元の(正常な)状態に戻す>と見れば2)の back 関連だ。
<回復する>は自他兼用。
健康が回復する
健康を回復する
一方大和言葉の方は、上記のように<治る、治す>、<直る、直す>の自他コンビ動詞だ。
7)re + 形容詞 型
to refine
to refresh
to relax lax は<ゆるい>という形容詞。
<re + 形容詞 型>と書いたがこれは<形容詞->動詞>変換でもある。<再び>、<新たに>、<元に戻る、戻す>の意味が加わっており、<re->は二つのはたらきを同時にしていることになる。
8)比較的短い語で1)-6)で分類できないもの、できにくいもの。
to recall - 再び呼ぶ。いわゆるリコールは派生用法か。
to receive - これは上記の<反対>、<反抗>、against の逆になる。
to recline - リクライニング シート(reclining seat 背もたれ椅子)、うしろ、back 関連だ。
to recognize - to reconsider は<再考する>でいいが、 to recognize は<再認識する>と言うよりは<認識する>だ。
to recommend - これは方向としては back、against ではなく forward だ。
to reduce - to induce、to produce、to reproduce がある。
to refer - to infer、to confer、to prefer がある。
to regard - イタリア語で guardare(注視する)、普通の<見る>は vedere。
to regret - 日本語、中国語(漢語)でも<後悔(する)>で back (後ろ)が出てくる。
to regulate
to reinforce 意味からは to inforce の強調と言えそうだが、to inforce という動詞はない。動詞はto enforce、名詞は enforcement 。
to relate
to relay - <再び置く>ではない。<リレーする>だ。
to rely
to remark
to remember - 次の to remind とは使い方が違う。<覚えている>が普通で to know (知っている)と同じような使いか方で、知覚動詞とえる。だが、to remember = おぼえる(似たようなのに to memorize があるが、これまた意味は少し違う)、to know = 知る、の意にもなる。
to remind - 思い返す(させる)、思いおこす(させる)、呼びおこす(させる)
to remove - これはよくわからない。to move に re- がついてなぜ<取り去る>になるのか?
to reply - 答える、2)to return に入るか
to report
to reprimand 叱責する、責(任)を問いつめる
to request - 問う
to require - 問う
to research - 探す、調査する (問う)
to respond - 答える、応じる
to result - to result in xx という言い方で、<結果として xx になる>
to reveal - (かくれていた)xx を現わす
to reward - to award の意味を考えると、<見返りを与える>になりそうだが、そうではない。
上記のうち
to receive、to reply、to report、to request、to respond は相手が必要で、この<相手が必要>は <re- >に関係ないだろうか? ややこしくなるが、さらに to relate のように、もっと一般的に<相手との関係>が<re- >に関係ないだろうか? 言語の説明では便利な用語に強調、派生というのがあるがこれで<re- >が説明できないか?
またto request、to requireが<問う>の意に対してto reply、to report、to request、to respond は<答える>になる。
調べた限りでは以上の分類で英語のすべての re-xxxx 動詞 を大体分類できる。予想とは違って再帰用法に該当するものが見当たらない。<再帰>なので文字通りでは<再度、再三=to repeat>、<帰=to return>と言うことになるが、再帰用法の内容かからは<to repeat>は関係なく、<帰=to return>が関連し<自分自身に帰る、戻る、返る>、<自分自身に戻す、返す>のが再帰用法と言える。したがって back 関連なので、もう少し調べてみる。
to recline (oneself) to decline というのがある。
to relax (oneself)
to repose (oneself) - to rest
具体的に自分の<身を><後ろに傾ける>、<ゆるめる(lax)>、<置く(to pose)>で<re->の再帰用法と言えるか?
自動詞の場合これでいいが(oneself がいらない、あるいは自動詞のなかに含まれている)、他動詞の場合は oneself が必要だ。英語で<Enjoy yourself !>という言い方があるが、これを初めて聞いたときには違和感があった。<自分を楽しみなさい(楽しませなさい)>といったいどういうことだ。このような言い方英語には多くないが(自動詞で間にあわせる)、イタリア語では頻繁に出てくる。つまりは、イタリア語の他動詞+si は英語では自動詞になるということだ。
<英語の re-xxxx 動詞の再帰用法>の調査はこれまでのところ大きな発見はない。しかし、話は横道にそれるが、この調査で辞書を読んでいくうちに下記の伊英日の違いを発見した。上記の
A rivederci. もその一つ。
to remember / to remind
この関連動詞はかなり込み入っている。
Do you remember Hanako ? Hanako を覚えていますか? to remember 覚えている。
一方 to remind は非常にやっかいで
Does this photo remind you of Hanako ? が正しい英語(日常ごく普通に使われる)。 直訳は
この写真はあなたをして花子を思い出させますか?
to remind 誰々 of 何々(誰々)という構成なのだ。 この of が曲者だ。
to recall というのもある(日本語のリコールの意味もある)。インターネット辞典では
”
bring (a fact, event, or situation) back into one's mind; remember.
"I can still vaguely recall being taken to the hospital"
synonyms: | remember, recollect, |
という解説があるが、to recall=to remember、to recollect ではない。特に to remember とは大きく違う。
to remember は<覚えている>
to try to remember で<覚えておくようにする、覚えているようにする、忘れないようにする>。
to recall は<(とくに努力をしなくても、自然と)xx を思い出す、思い起こす>。
to remind は上記のようにto remind 誰々 of 何々(誰々)という構成で、<誰々に何々(誰々)を思い出させる、思い起こさせる>。<(とくに努力をしなくても、自然と)>という背景がある。そして<(努力をして)思い出す、思い起こす、呼び起こす>が to recollect なのだ。
イタリア語も英語とはちがい、一部に再帰用法が出てくる。
recordare は to record (記録する)ではない。
Collins Reverso
ricordare
1 vt
a (nome, persona, fatto)
to remember, recall
il mio numero è facile da ricordare my number is easy to remember(覚える、記憶する)
ricordare di fare qc to remember to do sth (覚えておく、忘れないようにしておく)
ricordare di aver fatto qc to remember having done o doing sth (覚えている)
se ben ricordo if I remember rightly (覚えている)
ti ricordo con affetto (nella corrispondenza) I often think of you (覚えている)
il mio numero è facile da ricordare my number is easy to remember(覚える、記憶する)
ricordare di fare qc to remember to do sth (覚えておく、忘れないようにしておく)
ricordare di aver fatto qc to remember having done o doing sth (覚えている)
se ben ricordo if I remember rightly (覚えている)
ti ricordo con affetto (nella corrispondenza) I often think of you (覚えている)
b (far presente ad altri)
ricordare a qn qc/di fare qc to remind sb of sth/to do sth (この構成の違い注意)(思いおこさせる)
ricordami di spedire la lettera remind me to post the letter
ti ricordo che c'ero prima io I'd like to remind you that I was here first
scene che ricordano il passato scenes which recall the past
mi ricorda molto suo padre he reminds me a lot of his father
ricordami di spedire la lettera remind me to post the letter
ti ricordo che c'ero prima io I'd like to remind you that I was here first
scene che ricordano il passato scenes which recall the past
mi ricorda molto suo padre he reminds me a lot of his father
以上から ricordare は to remember と to remind の意味があることになる。
c (menzionare)
to mention
d (commemorare)
to commemorate
2 ricordarsi vip 再帰用法
ricordarsi (di) to remember
non mi ricordo I can't remember (これは<覚えられない>ではなく<覚えていない>だろう)
ricordarsi di fare qc to remember to do sth <xxするのを覚えておく>
ricordarsi di avere fatto qc to remember having done o doing sth <xxしたのをを覚えている>
ti ricordi di me? do you remember me?
non si è più ricordato di darmi il libro he forgot to give me the book
以上からricordarsi再帰用法 はto remember 限られているようだ。<身に覚えがある>と覚えていればいいか。
<(努力をして)思い出す、思い起こす、呼び起こす>が to recollect は
to recollect
と簡単で上記の
ricordarsi (di) to remember
non mi ricordo I can't remember (これは<覚えられない>ではなく<覚えていない>だろう)
ricordarsi di fare qc to remember to do sth <xxするのを覚えておく>
ricordarsi di avere fatto qc to remember having done o doing sth <xxしたのをを覚えている>
ti ricordi di me? do you remember me?
non si è più ricordato di darmi il libro he forgot to give me the book
以上からricordarsi再帰用法 はto remember 限られているようだ。<身に覚えがある>と覚えていればいいか。
<(努力をして)思い出す、思い起こす、呼び起こす>が to recollect は
to recollect
vt rammentare, ricordare
と簡単で上記の
b (far presente ad altri)
ricordare a qn qc/di fare qc to remind sb of sth/to do sth で間に合うようだ。rammentare を調べていくと話が長くなるのでやめておく。
さて、伊英日以外に中国語も参考になる。手もとの英漢辞典(高階版)では接頭辞<re->の簡単な解説として
<又、再、重新> の漢字がある。だが個々の re-xxxx 動詞を調べていくと<回、复(複)、反>の漢字が頻繁に出てくる。 <重新>は文字通りでは renewal (名詞形)になる。
<又、再、重新>は英語では again の一語で間に合ってしまう。つまり again はかなりの多義語なのだ。<又、再>は日本語では<また>ですましてしまうが、<又、再>使い分けが必要。慣れるまで少し時間がかかる。<回、復、反>はこれまでの説明で何度も出てきている。
sptt
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