Wednesday, December 4, 2024

日本語の複合動詞<xx 上がる、上げる>、<xx 下がる、下げる> 、英語の<動詞+up / down>

日本語の複合動詞<xx 上がる、上げる>、<xx 下がる、下げる> 、英語の<動詞+up / down>を比較、検討してみる。

細かいことを言うと、組み合わせはもう少し複雑で

1.自動詞+上がる、他動詞+上がる
2.自動詞+上げる、他動詞+上げる
3.自動詞+ 下がる、他動詞+下がる
4.自動詞+下げる、他動詞+下げる
5.自動詞+up 、他動詞+up
6.自動詞+down 、他動詞+down

となる。 英語では、単独動詞として自動詞の to rise (上がる) 、他動詞の to raise (上げる) があり、数少ない自他動詞ペアだ。

1.自動詞+上がる、他動詞+上がる

1-1)自動詞+上がる

浮き上がる

駆け上がる
勝ち上がる
切れ上がる   

よくわからないが<小股が切れ上がる>というのがある。<切れる>は自動詞。

このナイフはよく切れる。

この<切れる>は他動詞<切る>の可能形とみなせるが、自動詞<切れる>とすると、変な自発になる。

せり上がる   

競売 (せり) でせり上がる。この場所がせり上がっている。で多義語のようだが、意味は似ているところがある。

立ち上がる   

<立ち>自動詞<立つ>の連用形。自動詞<立つ> 立たない、立ち (立って)、立つ、立つ時、立てば。

でき上がる   

<できる>は<xxができる>で自動詞。<できる>を英語にしようとすると、やっかいだ。<can> は可能の意がある助動詞。<able >は可能と言うか<能力がある>という意がある形容詞。 <だれだれはできる人だ>では<できる>は形容詞になる。

太郎は数学ができる。

Taro can Math. ダメ。Taro can do Math well. でなんとかなるが、主動詞<do>が必要。

<できあがる>の<でき>は<できる>の連用形とみなせるが、<できあがる>に可能の意は全くない。<できあがる>の、<でき>は

火山ができる、ニキビ (できもの) ができる、耳にタコができる 

の<できる>で、基本的な自動詞の一つだ。上の三例は、原因が想像されるためか自発感が薄い。      

飛び上がる、跳び上がる

成り上がる  

<成り上がり者>はj本来自発的に<成り上がった人>だが、実際はそこそこ努力した人も含む。しかし批判的、非難的な言い方だ。

干 (ひ) 上がる  

<ひ>は古語<ひる>の連用形。 <ひからびる>というのもある。<からびる>は<枯れる>+<xxびる>

吹き上がる

<吹く>は自他兼用。風が吹く。笛を吹く。<吹き上げる>ほどは使われないが<吹き上がる>は自発の感がる。

膨 (ふく) れ上がる  これは自発的だ。<膨れ上げる>という言い方はない。

巻き上がる   <巻く>は自他兼用。ほこりが巻き上がる。
まくれ上がる  

<まくれる>は自動詞。他動詞は<まくる>。<めくれる>、<めくる>というのもある。
舞い上がる   <舞う>は自他兼用。風が舞う。舞を舞う。風が舞い上がる。
燃え上がる

わき上がる   <湯が沸く>の<沸く>。

 

1-2) 他動詞+上がる

買い上がる   相場用語

切り上がる   外為用語  <切り上げる>は意図的。<切り上がる>は<なぜかこのところ円が切り上がってきている>と言うと、自発的だ。

組み上がる  普通は<xxを組み上げる>のように使うが、<xxがうまく組み上がる、上がった>も可能。状況によるが、可能、自発。

汲み上がる  普通は<井戸から水を汲み上げる>のように使うが、<井戸から水汲み上がる>も可能だろう。状況によるが、水に目を向ければ可能、自発。

繰り上がる  <繰 (く) る>>は基本的に他動詞。<繰り上がる>は自動詞、自発か?

仕上がる  <仕 (し)>は<する>の連用形。<する>は基本的に他動詞。<仕上がる>は自動詞、自発か?

積み上がる   <積み上げる>に比べるとかなり自発的。

のし上がる   

<のす>は自他兼用。おもしろい動詞だ。<のし上がる>では自動詞になる。意思が感じられるためか、自発の感がない。<のし上げる>は使役になるようだ。

持ち上がる   

<持つ>は基本的に他動詞。<持ち上がる>は可能にもなるが、自動詞、自発にもなる。 結婚話が持ち上がる。

盛り上がる   <盛る>は基本的に他動詞。<盛り上がる>は自動詞、自発か? 

複合動詞<自動詞+上がる>が自動詞で、自発の意味がありそうなのは推測できるが、 複合動詞<他動詞+上がる>が自動詞になるものがある、さらには自発の意味になる場合があるのは注目すべきことだ。

 

2.自動詞+上げる、他動詞+上げる

2-1)自動詞+上げる

立ち上げる  自動詞 <立つ> 立たない、立ちて (立って)、立つ、立つ時、立てば。

乗り上げる   <乗る>は<xxに乗る>で自動詞。 暗礁に乗り上げる。<乗る>がそぐわない場合もる。

吹き上げる   <吹く>は自他兼用か。風が吹く。笛を吹く。

 

2-2)他動詞+上げる

編み上げる  to finish knitting
打ち上げる
売り上げる
押し上げる  to push up      <腕立て伏せ>は push up

買い上げる
書き上げる  to finish writing
数え上げる
築き上げる
切り上げる
組み上げる
汲み上げる
繰り上げる

差し上げる   慣用用法がある  to give
仕上げる    to finish up

たくし上げる (たくり上げる)   袖をたくし上げる  to roll up one's sleeves
叩 (たた) き上げる   主に慣用用法
立て上げる  他動詞<立てる> 立てない、立てて、立てる、立てる時、立てれば。<立て上げる>はあまり聞かない。 

突き上げる  突いてあげる、慣用用法がある。
作り上げる  to build up、to finish making, building
積み上げる  to pile up
釣り上げる
吊り上げる  
取り上げる  to pick up

 慣用用法<選ぶ> to choose, to select は to pick out で to pick up ではない。

引き上げる  to pull up、慣用用法1)to lift up、to raise up、慣用用法2)to withdraw。

<懸垂 (けんすい) >は pull up。腹筋運動は sit up。椅子から立ち上がることではない。これらはジムで道具を使わなければ、自重 self weigh が負荷のなっているので、self weight training と言うようだ。

振り上げる  to raise     to raise one's hand

吹き上げる  <吹く>は自他兼用。風が吹く。笛を吹く。火山が火を噴 (吹) き上げる。

巻き上げる  

<巻く>は自他兼用。風で砂ぼこりが巻き上がる。風が砂ぼこりを巻き上げる。慣用用法 金を巻き上げる。英語の to wind up は<時計のネジを巻く>。慣用用法では<終える>、to end up (with) というのがある。

まくり上げる  <まくる>他動詞。競馬用語で<まくり上げる>と言うのがある。

<めくり上げる>というのもある。

見上げる   to look up  慣用用法もある。
磨き上げる  to improve、to polish up   ブラシアップ ( to brush up ) は和製英語のようだ。
持ち上げる  to lift, to lift up
盛り上げる

読み上げる

<他動詞+上げる>は汎用性が高く、意味をなせばいくらでもある。 

調理用語
蒸し上げる  ー 蒸しあがる
たき上げる - たき上がる
焼き上げる  ー 焼き上がる
茹 (ゆ) で上げる  ー 茹で上がる

上で書いたが、右側の複合動詞<他動詞+上がる>が自動詞、さらには自発の意味になる場合が少なくない。

 

3.自動詞+ 下がる、他動詞+下がる

3ー1)自動詞+下がる

成り下がる   

垂れ下がる  

ぶら下がる   ぶらりと下がる  複合動詞ではなく<副詞+動詞>の変形。

 

3ー2)他動詞+下がる

食い下がる  慣用用法
繰り下がる

吊り下がる     自動詞  to hang   xxが吊り下がっている

引き下がる  慣用用法 その、ある<場>から去る、撤退する。

<引き下がる>は<他動詞 引く>+<自動詞 下がる>のようだが、<引く>は<わが身を引く>の<わが身が>が隠れているとみなせる。

 

4ー1)自動詞+下げる

 チェック中

 

4-2)他動詞+下げる

言い下げる  to withdraw, deny what one said.
押し下げる  to push down

繰り下げる

ずり下げる   ずりおろす   to pull down

吊り下げる   to hang、down はいらないようだ。 to hang up は奇妙だが<電話を切る>。

取り下げる  慣用用法 to abandon
払い下げる
引き下げる   to pull down 慣用用法
振り下げる
掘り下げる  to dig down はダメで、to dig deep と言うらしい。慣用用法

見下げる   to look down 主に慣用用法

 

<xx 下がる、下げる>は<xx 落ちる、落とす>という言い方あもある。

自動詞+落ちる



(かけ落ちる)   かけ落ち
くずれ落ちる
転 (ころ) げ落ちる。転がり落ちる
ずれ落ちる
抜け落ちる

 <落ちる>は慣用表現が少なくない。

汚れが落ちる    汚れが洗い落ちる
金が落ちる     金が使われて落ちる
運、ツキが落ちる
落ち度
落ち目 (down、downward)

 

他動詞+落ちる

チェック中

自動詞+落とす

チェック中

他動詞+落とす

言い落とす   言い忘れる
撃ち落とす  撃って落とす 

聞き落とす  聞き逃す
切り落とす  切って落とす
口説 (くど) き落とす      口説いて落とす。<落とす>は説得する、攻略する。
蹴 (け) 落とす   蹴って落とす   慣用表現もある。

叩 (たた) き落とす  叩いて落とす
取り落とす   取りそこなって落とす  実際には<取りそこなって落ちる>か?    <落とす>意思はないだろう。<財布を落とす>も変な言い方だ。

引き落とす   慣用用法  銀行口座から金を引き落とす
吹き落とす   吹いて落とす
振り落とす   振って落とす

見落とす    見逃す。<見逃す>は別の意味の慣用用法がある。これも<落とす>意思はないだろう。 

読み落とす   あまり聞かないが、ある個所を、読み逃す、読み忘れる。 

これも<落とす>意思はないだろう。 <読み飛ばす>は意思がある場合とない場合がありそう。

ーーーーー

一体、<財布を落とす>はおかしな言い方だ。 <落とす>意思はないだろう。

言い落とす  言い忘れる
聞き落とす  聞き逃す
見落とす   見逃す

があるので

思い落とす
考え落とす

があってもよさそうだが、聞かない。

 ーーーーー

さて、上記のチェック中に注目したい。実を言うと最近の複合動詞調査で、これは初めから気になっていたことなのだが、これまで<チェック中>に遭遇しなかった。したがって、この<チェック中>は重要なのだ。

これと言うのは

主動詞が自動詞 + 補助動詞が他動詞

主動詞が他動詞 + 補助動詞が自動詞

の組み合わせの場合のことだ。 組み合わせとしては具合が悪いはずなのだ。だが、これまで代表的な複合動詞チェックした限りでは、けっこうある。

4ー1)自動詞+下げる

 チェック中

 数は多くないが

3ー2)他動詞+下がる

はある。

食い下がる  慣用用法
繰り下がる  <繰り下がる>は<繰り下げる>の自動詞用法と見ていい。

算数で、四捨五入で5以上の場合は五入で<繰り上がる>が 、四捨では<繰り下がらない>。<繰り下げる>は 、例えば、ある行事の予定日を一日から数日遅らす場合に使いそうだ。これの自動詞用法は可能だ。

運動会が一週間繰り下がった。

だが<運動会が一週間繰り上がった。>ほどは使いそうもない。 

運動会が一週間延期された。<運動会が一週間延期した>はダメだろうが、自発感がある。

吊り下がる     自動詞  to hang

<吊るす>は明らかに他動詞だが、<吊る>は他動詞か?

衣服をハンガーに吊る。

はダメ。 衣服をハンガーに吊るす

<首吊り>は<首を吊る> で<吊る>は他動詞だ。だが実際は、

首に縄など輪 (わ) っか状のものを首にかけて体を吊るす。 さらには、意思に関係なく体の自重で<(体が)吊り下がる>ことになる。

引き下がる  慣用用法.。上記参照。(わが身を) 引いて後へ下がる。 

 

他動詞+落ちる

チェック中

振い落ちる  <ふるい>にかけると、小さな、あるいは重いものが下に落ちる。だが<振い落ちる / た>はあまり聞かない。ある種の試験は不適任者を<振い落とす>目的があるが、<俺はふるい落とされた>は聞くが、<俺はふるい落ちた>はあまり聞かない。

 

自動詞+落とす

チェック中

泣き落とす   慣用用法  <落とす>は説得する、攻略する。

<くどき落とす> という言い方があるが、これは<泣き落とす>と違い<他動詞+落とす>。しかも典型的な複合動詞で<説得して攻略する>の意だ。


追記

英語の<動詞+up / down>も検討する予定だったが、上の説明では参考程度に出てくるだけだ。<up / down>は自動詞にも他動詞にも付き、元来副詞で、強調して発音すれば副詞<度合い>が高まる。

to go up, to go down

to come up    これは慣用表現で<(現れ)出て来る>

to slow down     to get slowing down、the car is slowing down  自動詞。 to slow down the speed. 他動詞


sptt

No comments:

Post a Comment