Friday, August 15, 2025

<五段活用 -> 下一段活用>変換による可能動詞化


少し前に書き始めた<日本語の動詞活用、下一段活用>は下一段活用動詞全般に渡っているのといくつかの発見 (というか、初めて知ったこと) が少なくなく、個々の発見をチェックしながら書き進めたので相当長くなってしまった。おそらく、私以外は相当の我慢をしながらでない読み切れないだろう。発見の中でも最大の発見は

<五段活用 -> 下一段活用>変換で可能動詞になる、というもの。

 発見はあくまで個人的なもので、日本語文法を少し学んだ人には<常識>なのかもしれない。Wiki には<可能動詞>として次のような長い解説がある。



可能動詞
(かのうどうし)とは、現代日本語共通語)において五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させたもので、可能(行為をすることができること)の意味を表現する。




行く 自動詞  ー> 行ける
買う 他動詞 ー> 買える
書く 他動詞 ー> 書ける
住む 自動詞 ー> 住める
立つ 自動詞  ー> 立てる  <立てる>は自動詞<立つ>に対応する他動詞の<立てる>がある。
取る 他動詞  ー> 取れる  <取れる>は他動詞<取る>に対応する自動詞の<取れる>がある。
飲む 他動詞  ー> 飲める
引く 他動詞  ー> 引ける
増す 自動詞 ./  他動詞 ー> 増せる          川の水が増す(自動詞)、  人の数を増す(他動詞)
読む 他動詞 ー> 読める 

自動詞、他動詞に関係なく成り立つ。見事な 変換と言える。しかも活用全体の変換なのだ。

可能は助動詞でも表せる。未然形+助動詞<れる>

行く 自動詞 ー> 行かれる
買う 他動詞 ー> 買われる
書く 他動詞 ー> 書かれる
住む 自動詞 ー> 住まれる
立つ 自動詞 ー> 立たれる 
取る 他動詞 ー> 取られる
飲む 他動詞 ー> 飲まれる
引く 他動詞 ー> 引かれる
増す 自動詞 / 他動詞 ー> 増される
読む 他動詞 ー> 読まれる 

<行かれる>はいいが、他はほぼダメ。他動詞は<受身>の意が強い。

<住まれる>はほとんど聞かない。尊敬ともとれるが、<住まわれる>が使われるだろう。自動詞の受身で<被害相>として

あの一家に我が家の隣に住まれては困る。  

立たれる  そこに立たれては邪魔だ。この<立たれる>は自動詞の受身で<被害相>。泣かれて困る。

ーーーーー

英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語の<可能>は主に助動詞を使って表される。

英語 ー can, to be able to
ドイツ語  ー können
フランス語  ー pouvoir
イタリア語 ー potere, sapere, essere capace di

potere   する可能性を持ち合わせている能力がある。手段を持ち合わせている。
sapere  する能力がある。学習、訓練、経験などによって。する能力がある。学習、訓練、経験などによって。(sapere は助動詞ではないだろう_)
essere capace di ~ (be able to) 

英語ではなくなってしまっているがドイツ語、フランス語、イタリア語では助動詞に人称変化がある。人称によって助動詞語尾が変化する。時制では、今度は英語も含めて助動詞語尾が変化する。

このような語尾変化は覚えるのが大変だが、日本語の動詞活用と同じで、見方を変えれば,語尾の変化だけで違った意味を表せるようになっている。

ーーーーー

<五段活用 -> 下一段活用>変換で可能動詞になる

は<全部まとめて変換>することなので画期的なことと言える。

書かない、書こう
書きてー>書いて(音便)
書く
書くとき
書け

五段活用の<書く>を下一段活用動詞に変化させると

未然形 書けーない
連用形 
書けーて、書けーます
終止形 
書けーる
連体形 
書けーるーとき
仮定形 
書けーれば
命令形 
書けーろ 

書け>がややおかしいが、<書く>の下一段活用への変換による可能動詞化と言える。繰り返しになるが <全部まとめて変換>するのだ。

ーーーーー 

<下一段活用動詞>の<下一段活用動詞>への変換による可能動詞化はナンセンスだ。


染める 他動詞 ー 可能 染められる、染めれる

<染める>は古語<染む>の下一段化活用化と言えるが可能駅にならない。

染める 他動詞 ー 染まる 自動詞

の関係がある。

掛 (か) ける 他動詞 ー 可能 掛けられる、掛けれる
掛 (か) ける 他動詞 ー 掛かる 自動詞

乗せる 他動詞 ー 可能 乗せられる、乗せれる
乗せる 他動詞 ー 乗る 自動詞  バスに乗る

当てる 他動詞 ー 可能 当てられる、当てれる
当てる 他動詞 ー 当たる 自動詞

重 (かさ) ねる 他動詞 ー 可能 重ねられる、重ねれる
重 (かさ) ねる 他動詞 ー 重なる 自動詞

浮かべる 他動詞 ー 可能 浮かべられる、浮かべれる
浮かべる 他動詞 ー 浮かぶ 自動詞 

その他

植える  他動詞 (古語 植う)ー 可能 植えられる (受身とも) 、植えれる
植える  他動詞 (古語 植う)ー 植わる 自動詞  庭にxx植わっている。

植 (う)える>の古語形はややこしい。<ワ行下二段活用>で 

活用{ゑ/ゑ/う/うる/うれ/ゑよ}

受ける  他動詞 (古語 受く) ー 可能 受けられる、受けれる
受ける  他動詞 (古語 受く) ー 受かる 自動詞  試験に受かる。<受かる>は自動詞だが、他動詞<受ける>にそのままは対応しない。

捨てる 他動詞 (古語 捨つ ー 可能  捨てられる (受身とも)、 捨てれる
捨てる 他動詞 (古語 捨つ) ー 自動詞 ? 

可能は助動詞でも表せる。未然形+助動詞<られる>、<れる>。

ーーーーー 

<上一段活用動詞>の<下一段活用動詞>への変換による可能動詞化。

着 (き) る 他動詞ー> ける
起きる
 自動詞 ー> 起ける
飽きる 
自動詞 ー> 飽ける
閉じる 
他動詞 ー> 閉ぜる
落ちる 自動詞 ー> 落てる
見 (み) る 
他動詞 ー> める
借りる
 他動詞  ー> 借れる

で、全くダメ。

着 (き) る ー> 可能 着られる、着れる
起きる ー> 可能 起きられる、起きれる
飽きる ー> 可能 飽きられる (受身)、飽きれる (何か変だ) あきれたやつだ
<飽きる>は自動詞だが<飽きられる>は受身だ。

閉じる ー> 可能 閉じられる (受身とも)、閉じれる
落ちる ー> 可能 落ちられる(何か変だ)、落ちれる
試験に落ちる。試験に落ちられる ー 被害、迷惑、尊敬。 試験に落れる ー 可能 

見 (み) る ー> 可能 見られる (受身とも)、見れる
借りる ー> 可能 借りられる、借りれる 

<上一段活用動詞>の可能は助動詞で表せる。未然形+助動詞<られる>、<れる>。だが、ややこしいのがある。 


sptt

 

 

 




 

Wednesday, August 13, 2025

<xxびる>動詞ー2

<xxびる>動詞を調べてみた。代表で正規動詞らしいのに<滅びる>がある。なぜかいくつかの<xxびる>動詞、特に口語<xxびる>、は<滅びる>関連だ。アイウエオ順。

あびる 他動詞
いびる 他動詞
帯 (お) びる 他動詞
大人 (おとな) びる  自動詞
かびる (黴る)  自動詞 
くびる (縊る) 他動詞 ー くびれる 自動詞
こびる 自動詞
錆 (さ) びる 自動詞  <さびれる>、<さびれた>は関連語だろう。
せびる 他動詞
ちびる 自動詞  口語 ちびた鉛筆
伸びる 自動詞
のびる 自動詞  パンチを食らってのびた。
ひからびる 自動詞
ひなびる(いなかびる)自動詞   ひなびた (鄙びた) 町
ビビる 自動詞  口語
古びる 自動詞   古びた店 <新しびる>とは言わないので、<古>と<びる>はあるイメージが結びついているのだろう。

ほころびる 自動詞 (ほころぶ)  服の袖がほころびる。梅の花がほころびはじめた。
滅びる 自動詞 ー 滅ぼす  他動詞
わびる (詫びる)  他動詞

追記

<xx びる>動詞については

August 30, 2018 <xx びる>動詞

というポストがある。こちらの方が詳しい。

 

 sptt

Sunday, August 10, 2025

<愛する>はサ行変格活用、はたまたサ行五段活用?

 

一字漢語+する(昔は<一字漢語+す>)は比較的よく使われる。漢語的なところがある。


愛す(る) ー 可能 愛せる、 愛せられる (ダメ)、愛せれる (可能)否定 愛さない (<愛しない>はダメ)
圧す(る) ー 可能 圧せる、 圧せられる (可能、受身)、否定 圧さない / 圧しない
介す(る) ー 可能 介せる、介せられる (可能、受身)、否定 介さない  意に介さない
課す (る) ー 可能 課せる、課せられる (可能、受身)否定 課さない (<課しない>はダメ)
帰す (る) ― 可能 帰せる、帰せられる (可能、受身)、帰せれる (可能)、 否定 帰さない / 帰しない
喫す (る)  喫せられる (受身)、 否定 喫さない / 喫しない
供す (る) (供じる) 可能 供せる、供せられる (可能、受身)、供せれる (可能)、 否定 供さない / 供しない
決す (る)  可能 決せる、 決せられる (可能)、決せれる (可能)、否定 決しない
称する  可能 称せる、称せられる (可能、受身)、称せれる (可能)、 否定 称さない
制す (る)  可能 制せる、制せられる (可能、受身)、制せれる (可能)否定 制さない / 制しない
達す(る)  可能 達せる(ほぼダメ)、達せられる (可能、受身、自発)、達せれる (可能)、 否定 達しない (達さない)
徴す(る)  可能 徴せる、徴せられる (可能、受身)、徴せれる (可能)、否定 徴さない / 徴しない
呈す(る)  可能 呈せる、呈せられる (可能、受身)、呈せれる (可能)、否定 呈さない / 呈しない
徹す(る)  可能 徹せる、徹せられる (可能、受身)、徹せれる (可能)、否定 徹しない
排す (る)  可能 排せる、排せられる (受身)、排せれる (可能)、否定 排さない / 排しない)
発 (はっ)する 可能 発せる、発せられる (可能、受身)、発せれる (可能)、否定 発しない(発さない)
罰 (ばっ)する  可能 罰せる、罰せられる (可能、受身)、罰せれる (可能)、否定 罰しない(罰 さない)
要す(る) 可能 要せる、要せられる (可能、受身)要せれる (可能)、否定 要さない / 要しない

 一番目の<愛する>の活用は標準的には、サ行変格活用<する>を使った

未然形 しーない、される(受身)
連用形 し―て、しーます
終止形 する
連体形 するーとき
仮定形 すれーば
命令形 し ーろ
 
が使われるはずだ。ところが
 
愛する ー 否定 愛さない、<愛しない>はダメ。
 
現代語ではサ行五段活用というのがある。

Wiki

話す
hanasu
- - - - - - -

これを応用すると

未然形 さーない、される(受身)、ーそう (意思)
連用形 し―て、しーます
終止形 する
連体形 するーとき
仮定形 せーば
命令形 
(意思形 ーそう)
 
これからすると<する>はサ行五段活用。
 
課す (る)、介す(る)も同様。だが、これらは例外で、標準的には、サ行変格活用<する>が使われる。
 
<一字漢語+する>曖昧なものが少なくない。
 
さない / しない
供さない / 供しない
称さない / 称しない
徴さない / 徴しない
排さない / 排しない
要さない / 要しない 
 
 
<愛する>がサ行五段活用のようになったのは大和言葉のサ行五段活用<恋する>に<引かれた>たためはないか?だがこれは<課する>、<介する>の説明にならない。
 
上記の否定が<xさない>) になっている動詞 、否定が曖昧な動詞 (xさない / xしない) の特徴は<x>部が母音になっていること。ちなみに促音便動詞をチェックしみると
 
圧 (あっ) する ー 可能 圧せる、 否定  圧しない(圧さない)
喫 (きっ)する  喫せられる (受身)、 否定 喫しない (喫さない)
決 (けっ)する  可能 決せる、 決せられる (可能、受身)、決せれる (可能)、 否定 決しない(決さない)
達 (たっ)する  可能 達せる(ほぼダメ)、達せられる (可能、受身、自発)、達せれる (可能)、 否定 達しない(達さない)
徹 (てっ)する  可能 徹せる、徹せられる (可能、受身)、徹せれる (可能)、否定 徹しない(徹さない)
発 (はっ)する  可能 発せる、発せられる (可能、受身)、発せれる (可能)、否定 発しない(発さない)
罰 (ばっ)する  可能 罰せる、罰せられる (可能、受身)、罰せれる (可能)、否定 罰しない(罰 さない)
 
でこれも曖昧なところがある。

一字漢語+ずる(昔は<一字漢語+ず>)

は比較的統制がとれており

案ず(る)(案じる)ー 可能 案ぜる(ダメ)、案じられる (可能、自発)、否定 案じない
感ず (る)(感じる) 可能 感ぜる(ダメ)、感じられる (可能、自発)、感じれる (可能)、否定 感じない
禁ず (る)(禁じる) 可能 禁ぜる(ダメ)、 禁じられる (可能、受身)、禁じれる (可能)、否定 禁じない
献ず (る)(献じる) 可能 献ぜる(ダメ)、献じられる (可能、受身)、献じれる (可能)、 否定 献じない
参ず (る)(参じる) 可能 参ぜる(ダメ)、参じられる (可能)、参じれる (可能)、 否定 参じない
信ず (る)(信じる) 可能 信ぜる(ダメ)、信じられる (可能)、参じれる (可能)、 否定 信じない
煎ず (る)(煎じる) 可能 煎ぜる(ほぼダメ)、煎じられる (可能、受身)、煎じれる (可能)、 否定 煎じない
先ず (る)(先じる) 可能 先ぜる(ほぼダメ)、先じられる (可能、受身)、先じれる (可能)、 否定 先じない
損ず (る)(損じる) 可能 損ぜる(ダメ)、損じれる (可能)、 否定 損じない

転ず (る)(転じる) 可能 転ぜる、転じられる (可能)、転じれる (可能)、 否定 損じない
任ず (る) (任じる) 可能 任ぜる(ほぼダメ)、任じられる (可能、受身)、任じれる (可能)、否定 任じない
免じる(免じる) 可能 免ぜる(ほぼダメ)、免じられる (可能、受身)、免じれる (可能)、免じられる (受身)、否定 免じない

可能形の<xxぜる>は基本的にだめ。否定は<xxじない>で例外がない。

 

2字漢語+する(昔は<2字漢語+す>)も統制がとれており

ニ語漢語+<せる>は可能にならない。可能は<xxできる>になるようだ。否定は<xxしない>。
 
安心する  可能 安心せる ダメ。 可能 考慮できる  否定 安心しない 
考慮する  可能 考慮せる ダメ  可能 考慮できる  否定 考慮しない   
詮索する  可能 詮索せる ダメ  可能 詮索できる  否定 詮索しない  
探索する  可能 探索せる ダメ  可能 探索できる  否定 探索しない  
難航する  可能 難航せる ダメ  可能 (難航できる)  否定 難航しない  
判断する  可能 判断せる ダメ  可能 判断できる  否定 判断しない  
満足する  可能 満足せる ダメ  可能 満足できる  否定 満足しない  
免除する  可能 免除せる ダメ  可能 免除できる  否定 免除しない  
憂慮する  可能 憂慮せる ダメ  可能 (憂慮できる)  否定 憂慮しない

 

sptt  

 

 

Tuesday, August 5, 2025

ヘンテコな動詞<さばく (裁く)>、<さばける>

 <さばけた人>という言い方がある。<さばけた>は<さばける>由来。

 <さばける>は自動詞で、

さばける 自動詞 ー さばく 他動詞

という対応があるが<さばく>は多義語で、

1)人を裁く
2)在庫をさばく(売って在庫をなくす、へらす) 
3)混雑した人々をうまくさばく
4)花子は魚をうまくさばく。(調理用、または刺身用に解体する)

2)3)4)は 意味に共通したところがあり、<うまくものごとを処理する / うまくものごとに対処する>。

1)判事は人をさばける。 可能
2)- 1 太郎は 在庫がさばける。
2)- 2   在庫がさばける。

これは可能の意味にもなるが自動詞にもなる。

3)なれた駅員は混雑した人々をうまくさばける。 可能
4)花子は魚が / をうまくさばける。 可能

<さばける>は<さばく>の可能の意になるが、2)- 2のような例外もある。

さて<さばけた人>に戻ると

<さばけた>は<さばける>由来。上の<うまくものごとを処理できる / うまくものごとに対処できる>人でよさそうだが、イマイチずれがある。

<さばけた人>は 90% ほめ言葉で

道理がわかって、モノにこだわらない人

サバサバした、さっぱりした性格の人とはまた違う。


 sptt

Monday, August 4, 2025

ヘンテコな動詞<そむく>、<そむける>

 

<そむける>、<そむく>は意味が異なる。

 <そむく>は

上司にそむく
法律にそむく
正義にそむく
意にそむく

などのように使われ、漢字変換では<背く>と出てくる。前後があれば<背く>で<そむく>と読めそうだが、単独の<背く>の場合には<そむく>はすぐには思い浮かばない。意味内容からは他動詞っぽいが<xxにそむく>なので自動詞。<xxをそむく>とは言わない。

一方<そむける>は

顔をそむける、目をそむける

のような限定的な使い方で<そらす>の意のようだ。語源は

背 (を) 向ける

のようで、確かに、見ている対象に背を向ければ、顔や目を<そらす>ことになる。

せむける ー> そむける

の変化のようだ。<顔をそむける、目をそむける>の顔、目を除くと<そむける>になるが、<そむける>単独では使えないようだ。

死体からそむける
見たくないものからそむける

はダメだ。また

注意をそらす

はいいが

注意をそむける

はダメだ。

ところで、<そむける>の語源は<背 (を) 向ける>だろうか? <背 (を) 向ける>は何か取って付けた感じだ。

1)そっぽを向く

という言い方があり。 

そっぽを向く ー> そっぽ向くー> そ向く

が考えられるが、<向く>は<を>をとっても自動詞。<向ける>は他動詞で、<そむける>も他動詞だ。

2)<そむく>は漢字で書くと<背く>になるが<そむく>、<そむける>に<背>の意はないだろう。簡単に<そむける>の語源は<そむく>ではないか。<そむく>は<xxに反対する、反抗する、逆らう>だが、原因、または結果して<対象から離れる>の意がある。<そむける>は<対象から、目や顔を離す>ことだ。

 

sptt



 

 

 


Sunday, July 27, 2025

ヘンテコな動詞<捉 (とら) える>、<とらわる>、<とらわれる> 

 

前回のポスト

ヘンテコな動詞<つかむ>、<つかまる>、<つかまえる> 

に続いて、意味としては似ているような

捉 (とら) える 他動詞 ー  とらわる、とらわれる 自動詞
 
<捉 (とら) える>の受身は<捉えられる>。他動詞<捉える>の関連自動詞として<とらわる>、<とらわれる>がある。<とらわる>はあまり使われないが、<とらえらる>の意として使える。同じような意味で
 
つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞 
 
がある。<つかまる>は <つかまえらる>の意としてよく使われる。<つかまえらる>より簡潔だ。だが、<つかまる>は

手すりにつかまる
 
という用法、意味がある。<とらわる>にこの用法はない。
 
一方<とらわれる>は 意味が少しズレていて
 
劣等感にとらわれる
旧習にとらわれる
 
などと使われる。意味は<とらえられる>とほぼ同じだが、対象が抽象的なもののようだ。また<とらえられる>よりは少し簡潔だ。だが
 
囚 (とら) われの身  

という言い方がある。しかし
 
敵にとらわれる
 
はダメだろう。
 
 
sptt
 

 


Friday, July 25, 2025

ヘンテコな動詞<つかむ>、<つかまる>、<つかまえる> 

 

つかまえる 他動詞  ー つかまる 自動詞 ー つかむ 他動詞がある。

この3動詞の関係はおもしろい。

<つかまる>は他動詞<つかまえる>の自動詞形といえる。

 <つかまえる>は英語では to catch だが、受身の to be caught は日本語では<つかまえられる>とも言えるが、普通は簡単、簡潔な<つかまる>と言う。

犯人は警察につかまった。 The criminal was caught by the police.

が普通で

犯人は警察につかまえられた。 The criminal was caught by the police.

はまれだ。 

つかまえる 他動詞  ー つかまる 自動詞

この簡易な自動詞用法は、日本語ではよく見られ、日本語らしい。

植 (う) える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。
備 (そな) える 他動詞 ー 備わる 自動詞  xxが備わっている
伝 (つた) える 他動詞 ー 伝わる 自動詞
捉 (とら) える 他動詞 ー とらわる、とらわれる 自動詞 

気がつきにくいが

上 (あ) げる 他動詞 ー 上がる 自動詞
下 (さ) げる 他動詞 ー 下がる 自動詞

もこの類だ。

さて

つかまる 自動詞 ー つかむ 他動詞

のコンビは様相が異なる。<つかまる>は行為の対象があるので他動詞っぽいが

手すりにつかまる to hold, to grip a rail

で<に>をつとるので自動詞だ。(格) 助詞<に>には対象を示すというのがあるが

手すりをつかむ    to hold, to grip a rail

の<つかむ>は<を>をとるのでれっきとした他動詞だ。

つかまる 自動詞 ー つかむ 他動詞

の古語をネットでザっと調べてみたが出てこない。近代語か方言かもしれない。

 

sptt

 

 

 

 

Thursday, July 24, 2025

他動詞<抱える>と自動詞<関わる、係る>

 

<抱える>は他動詞、<関わる、係る>は<xxに関わる、係る>で 自動詞。一見関係なさそうだが、平仮名で書けば、または耳で聞けば

<かかえる>ー<かかわる> 

<関わる、係る>の方は多くは<xxに関わる、係る>と使うが

xxは (が) yyに関わって、係わっている

という純自動詞的な言い方がある。少しよく考えると、<関わる、係る>の漢字に惑わさられなければ、話は違ってくる。

一方、<抱える>は<だきかかえる>とも言えるが、<抱 (だ) き抱 (かか) える>とは書かない。したがって<抱く>の<抱>も<抱える>の<抱>もかなりの当て字だ。

<かかえる>ー<かかわる> 

で話を進めよう。

<かかえる>は上記のように物理的、身体動作的には<だきかかえる>だが、比喩的に

問題をかかえる
借金をかかえる 

などと言う。一般的には<自分の内に持つ>と言えそう。あたり前だが<何かを自分の内に持つ>とその何かと自分との間に関係、<かかわり合い>ができる、生じる。<できる>、<生じる>は典型的な自動詞だ。つまりは<かかえる>と<かかわり>ができる、生じるのだ。

これで<終わり、以上>でもいいのだが、<かかえる>と<かかわる>の言葉をもう少しチェックしてみる。<かかえる>の古語は<かかふ>で、ネット辞典では

https://kobun.weblio.jp/content/%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%81%B5

学研全訳古語辞典

かか・ふ 【抱ふ】

[一]他動詞ハ行下二段活用

活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

① 抱きかかえる。

② 自分に課せられたものとして持つ。かかえる。

出典平家物語 一一・鶏合壇浦合戦
「これ程の大事を前にかかへながら」

[訳] これ程の大事をこのさきに抱えているのに。

③ 召しかかえる。雇い入れる。

という解説がある。 

一方<かかわる>の古語は<かかはる>で、ネット辞典では

https://kobun.weblio.jp/content/%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%81%AF%E3%82%8B

 学研全訳古語辞典

かかは・る 【係はる・関はる】

自動詞ラ行四段活用

活用{ら/り/る/る/れ/れ}

かかわりあいになる。関係をもつ。

出典蜻蛉日記 上

「かかる所も、とりつくろひかかはる人もなければ」

[訳] このような所も、手入れをしかかわりあいになる人もないので。

という解説がある。

これからすると、古語の<かかふ>、<かかはる> は昔から現代語の<かかえる>、<かかわる>のような独立した意味で使われていたようで他動詞<かかふ>から自動詞<かかはる>に転用されていった形跡がすぐには見いだせない。

<かかふ>、<かかはる>の関係、つまりは、他動詞と自動詞では意味にズレがある動詞では、最近調べているが、

たずさえる (たづさふ)他動詞 ー たずさわる 自動詞
受ける  (受く) 他動詞 ー 受かる 自動詞
従 (したが) える (従ふ) 他動詞 ー 従う (従ふ) 自動詞 (したがって)

もややズレがある。古語<従ふ>はややこしい。他動詞養蜂と自動詞用法がある。

一方、ズレがあまりない動詞もある。

植 (う) える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。
備 (そな) える 他動詞 ー 備わる 自動詞  xxが備わっている
つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞 (これもややズレがある)
伝 (つた) える 他動詞 ー 伝わる 自動詞

 ところで、<関わる、係る (かかわる) >では

 掛 (か) ける 他動詞 ー 掛 (か) かる  自動詞

があり、これまた漢字にとらわれなければ 

 かける 他動詞 ー かかる  自動詞

<かかる>の方は意味としては、物理的、身体動作的には<引っかかる>だが、比喩的には

yyは (が) xxにかかる 

で<関係する>の意で使われる。同義語とも言える。

できるかできないかは努力にかかっている。
できるかできないかは努力にかかわっている。

<かわる>は<かかえる>よりも<かかる>由来の線が濃いようだ。


sptt

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

ヘンテコな他動詞<たずさえる>、自動詞<たずさわる>

 

他動詞<たずさえる>と自動詞<たずさわる>では意味にズレがある。

古語<づさふ>は

[一] 自動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

手を取りあう。連れ立つ。連れ添う。

出典万葉集 七二八

「吾妹子(わぎもこ)とたづさひ行きてたぐひて居(を)らむ」

[訳] あなたと連れ立って行って、一緒にいよう。

の自動詞と

[二] 他動詞ハ行下二段活用 活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
 
がある。

手に持つ。携帯する。携える。

これは現代語<たずさえる> の意と同じだ。

みやげをたずさえて (携えて) 故郷に帰る。

<手にもって>、<携帯して> 故郷に帰る。

では日本語の味がない。

一方<たずさわる>の古語は<たづさはる>で自動詞だが

自動詞ラ行四段活用

活用{ら/り/る/る/れ/れ}

① 手を取り合う。

出典万葉集 九〇四

「夕星(ゆふつづ)の夕べになればいざ寝よと手をたづさはり」

[訳] 夕方の星の出る夕べになると、さあ寝なさいと手を取り合い。

(<を>取るので自動詞というよりは他動詞。<たづさはり>自体に<手を取り合う>の意味があるので<夕星(ゆふつづ)の夕べになればいざ寝よとたづさはり> でも通じるはずだ。これであれば自動詞でもいさそう。

② 連れ立つ。

出典万葉集 三九九三

「思ふどち馬うち群れてたづさはり」

[訳] 親しい仲間が馬に乗って集まり連れ立ち。

( ①と②の意味は上の古語<たずさふ>の

[一] 自動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

手を取りあう。連れ立つ。連れ添う

とほぼ同じ。)

③ かかわり合う。関係する。

出典徒然草 一六七

「一道にたづさはる人」

[訳] 一つの専門の道にかかわり合う人

 <たずさわる>と<③ かかわり合う。関係する>は似たようなところがある。一方

① 手を取り合う。
② 連れ立つ。
 
は現代語の<たずさわる>とは関係が薄い。

頭の<た>は 訳文に見えるがに<手>の意だ。

手折る ー> たおる
手の心  ー>たなごころ (手のひら 
手綱 (たづな)

などと言うのがある。したがって、古語<言葉が誕生したころは<手>の意味があったであろう。したがって

手を取りあう。(手を取って) 連れ立つ。手を取って) 連れ添う。 

が原意。古語の<づさはる>では、これが<かかわり合う。関係する>の意味に変わって行ったことになる。上記の

③ かかわり合う。関係する。

出典徒然草 一六七

「一道にたづさはる人」

[訳] 一つの専門の道にかかわり合う人

ここで注意したいのは<たさはる>ではなく<たさはる>。ほとんど聞かないが

という言葉があり、関連語かもしれない。 

"  
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12180529352

<たずさわる>の<かかわり合う。関係する>という意味は、<手>を使うと

手を出す
手を入れる
手を突っ込む (首を突っ込む)
 
というような言い方がある。

<かかわり合う、関係する>に関連しては
 
 抱 (かか) える 他動詞 (抱 ふ)ー ?  かかわる(関わる)(かかはる)
 
というのがある。 <?>マークつきだが、<関わる>の漢字にだまされてはいけない。
 
これは別途検討。 

 
sptt

Saturday, July 19, 2025

ヘンテコな動詞<耐える>ー 自動詞、他動詞?

<たえる>には<絶 (た) える>と<耐 (た) える>がある。<絶える>は

自動詞<絶える>に対して、他動詞の<絶やす>がある。

マンモスは絶えた。
友人からの連絡が絶えている。

という純自動詞的な用法がある。 一方、他動詞の<絶やす>は

この悪習を根こそぎ絶やす必要がある。

などと使う。 

この悪習根こそぎ絶やす必要がある。

ともいうが、<を>がなくても他動詞だろう。法律文のようになるが、これは

この悪習は、これを根こそぎ絶やす必要がある。

と言い換えが可能だ。

さて、同じ<たえる>の発音で<耐える>がある。<耐える>は普通

苦痛に耐える。
重労働に耐える。

と言い、自動詞。

苦痛を耐える。
重労働を耐える。 

と普通は他動詞的には使わない。

自動詞 絶える ー 他動詞 絶やす

のように自動詞<耐える>に対応する他動詞はあるか?

<耐える>は普通<xxに耐える>で自動詞だが、<xxが耐える>という純自動詞的な言い方はあまりきかない。<xxを耐える>はダメか?

<耐える>の類語として、ネット辞典では

 https://www.weblio.jp/content/%E8%80%90%E3%81%88%E3%82%8B

[類語](1耐え忍ぶ忍ぶこらえる辛抱する我慢する忍耐する隠忍する忍従する頑張る歯を食いしばる涙を呑む抑える

が載っているが

xxを忍ぶ、xxをこらえる、xxを辛抱する、xxを我慢する

が普通で、みな他動詞だ。<xxする>動詞が他動詞になるのはそれなりの理由があるようだが、<xxを忍ぶ>、<xxをこらえる>は純粋に他動詞だ。<耐える>が<xxに耐える>で自動詞なのはどうしたことか? 繰り返しになるが、<xxを耐える>はダメか?

英語で<耐える>に相当する語は to endure で

to endure stress, grate pain, difficulty

など直接目的語をとる他動詞。だが自動詞用法もある。

Dictionary..com

verb (used with object)

  1. to hold out against; sustain without impairment or yielding; undergo.

    to endure great financial pressures with equanimity.

    プレッシャーに耐える

  2. to bear without resistance or with patience; tolerate.

    I cannot endure your insults any longer.

    侮辱に耐えられない

  3. to admit of; allow; bear.

    His poetry is such that it will not endure a superficial reading.

    浅薄な読み方に耐えられない

英語は直接目的語をとる他動詞だが、日本語訳 (sptt訳) ではいずれも<xxに耐える、耐えられない>になっている。

verb (used without object)

endured, enduring 
  1. to continue to exist; last.

    These words will endure as long as people live who love freedom.

    これらの言葉は人々がが自由を愛する限り耐える (生き残る)。

  2. to support adverse force or influence of any kind; suffer without yielding; suffer patiently.

    Even in the darkest ages humanity has endured.

    最も暗い時代でも人間性は耐えた、耐え抜いた (生き残った)。

  3. to have or gain continued or lasting acknowledgment or recognition, as of worth, merit or greatness.

    His plays have endured for more than three centuries.

    彼の劇作は三世紀以上も耐えてきた (生き抜いてきた)。

日本語訳に<耐える>、<耐えた>があるが

xxに耐える、耐えた

ではなく

xxは耐える、耐えた

で<xxに耐える、耐えた>のような用法ではなく

xxが耐える

のような純自動詞的な使い方だ。

これらの言葉が人々自由を愛する限り耐える (生き残る)。
最も暗い時代でも人間性耐えた、耐え抜いた (生き残った)。
彼の劇作三世紀以上も耐えてきた (生き抜いてきた)。

は<は>を<が>で置き換えたものだが

<これらの言葉>、<人間性>、<彼の劇作>が初回出、あるいは事件報告のような場合は可能だ。

 さて

苦痛に耐える
重労働に耐える

に戻ると

苦痛を耐え忍ぶ
重労働を耐えをこらえる

は可能で、これは<忍ぶ>、<こらえる>にひかれたためだろう。

<耐える>と<忍ぶ>、<こらえる>は意味的にどこが違う。しいて探せば

<耐える>受身度が高い、<忍ぶ>、<こらえる>は能動度が高いと言えないか?<忍ぶ>、<こらえる>に積極性 (対象に働きかける) ニュアンスはないか? 一方<耐える>はこの背極性が薄いといえないか?

しつこいようだが

苦痛を耐える
重労働を耐える
イジメを耐える
理不尽な非難を耐える

はダメだろうか?

例えば

イジメに耐える

は受身度が高く、反抗の姿勢が薄い。

一方

イジメを耐える

は積極性 (対象に働きかける) 、そして反抗の姿勢が感じられないだろうか?

英語を参考にすると

苦痛を耐える ー to endure pain
重労働を耐える ー to endure heavy labor
イジメを耐える ー to endure bullying
理不尽な非難を耐える ー to endure unreasonable criticism

で他動詞用法だが、

to endure against pain
to endure heavy against heavy labor
to endure against bullying
to endure against unreasonable criticism

の自動詞用法も可能だろう。だが、受身的、能動的に差は特にないようだ。

また<さて>だが、<xxに耐える>の<に>だが、助詞<に>は普通

学校に行く
学校に戻る
家に帰る

夜7時に家に帰る

花子に花を贈る
太郎に話しをする 

という使い方だが、 細かく分類すると助詞<に>にはいろいろな用法があり、<対象を示す>というのもある。

Wiki

行為を行う対象

  • 不正厳正に対処する。
  • 一言一句こだわる。

https://japanese-language-education.com/nikaku/ 

対象】の用法

対象とは、述語が表す動きや認識に対して、その動きの影響を受けるもの・認識が向けられるもののことです。

【動作の対象
反抗した

【心的活動の対象
彼の雄姿憧れた

ーーーーー

不正厳正に対処する。

不正厳正に対処する。

では、やや問題がありそう。だが

不正を厳正に対する。 はほぼダメで

不正に厳正に対する。 が普通

不正を厳正に処する。これはOK

で合成語の<対処する>はそう厳密ではなさそう。<対処する>は自動詞、他動詞兼用とも言えそう。これは<xxする>動詞にみられる。

一言一句こだわる。 

一言一句こだわる。

でも問題ないだろう。すなわち<に>は<を>で代替できるのだ。

従って

<こだわる>は普通<xxにこだわる>だが、<xxこだわる>だと、むしろ積極性 (対象に働きかける) が感じられないだろうか?

反抗した

反抗した

は全くダメ。 <反抗する>も<xxする>動詞だが、自動詞で、英語でいえば against が必要な動詞だ。 

彼の雄姿憧 (あこが) れた


彼の雄姿憧れた

は可能のようだ。 これまた<を>で対象そのものが強調されるようだ。

 

 以上のように<対象を示す>助詞<に>は流動的だ。<対象を示す>助詞は普通<を>で、<を>をとる動詞は普通他動詞。ところで、<を>をとる自動詞がある。移動動詞。移動動詞はこれまで何度も取り上げた。

<xxに耐える>は<に>をとるが、自動詞であるとともに他動詞でもあるのではないか?

 

sptt

 

Friday, July 18, 2025

ヘンテコな他動詞<受ける>、自動詞<受かる>

 
他動詞<受ける> 試験を受ける
自動詞<受かる> 試験に受かる 

他動詞<受ける>は<試験を受ける>以外に、例えば<試練を受ける>、<いじめを受ける> があるが、<試練に受かる>はほぼダメ、<いじめに受かる>はダメだ。自動詞らしいのは<xxが受かる>だが、例がすぐに思いうかばない。 <試練に受かる>がほぼダメというのは、試験はもともとある意味では試練だからだ。

ところで

自動詞<受かる> 試験に受かる 

は<を>をとらないので自動詞か?

試験が受かる

なら自動詞でいいが、こうはいわない。<試練が受かる>、<いじめが受かる>もダメ。

<受ける>は<を>をとるので他動詞だが、やや特殊で、意味としては<与えられる>で受身的だ。

A ーー 試験 ーー> B

Aは与える。Bは与えられる。またはBは<受ける>

受身は対象が主語で

試験が与えられる 

これからすると

<受ける>は<を>をとるから他動詞といえるか? 少なくとも能動的に<試験に働きかける<わけではない。

英語で<受ける>は to receive で、to receive xx で他動詞。だが 

<試験を受ける>は to receive an exam とはいわず、to take an exam.

to receive も to take も他動詞だが、英語でも to receive は受身的だ。

An exam is taken. はなんとかなるが、An exam is received.とはまず言わないだろう。A gift is received. ならいい。

つまるとこころは<試験を受ける>がおかしいようだ。さらには<試験に受かる >はややこしい。

関連動詞として

植える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。
終 (お) える 他動詞 ー 終わる 自動詞   試験が終わる
備 (そな) える  他動詞 ー 備わる 自動詞  xxが備わっている
掛 (か) ける 他動詞 ー 掛かる 自動詞  絵が壁に掛かっている
賭 (か) ける 他動詞 ー 賭かる 自動詞  命が賭かる
ぶつける 他動詞 ー ぶつかる 自動詞  車がぶつかる
曲げる 他動詞 ー 曲がる 自動詞    鉄筋が曲がる
上 (あ) げる 他動詞 ー 上がる 自動詞  成績が上がる
下 (さ) げる 他動詞 ー 下がる 自動詞  成績が下がる

などがあるが、他動詞は純他動詞 (能動的) で受身的ではない。 


sptt

Monday, June 30, 2025

日本語の動詞活用、下一段活用


前々回のポスト

日本語の動詞活用、五段活用、上一段 / 下一段活用

の下一段活用の部分で


さて<寝る>は自動詞、<染める>は他動詞だ。 <寝る>に対応す他動詞はないが、<染める>に対応する自動詞は<染まる>。<染まる>は<染ま>を語幹とし<る>の部分が五段活用する。

と書いた。<染める>以外では、手元の辞書では<植える>、<受ける>、<捨てる>が紹介されている。すべて他動詞だ。

染める 他動詞 ー 染まる 自動詞

他動詞<染める>の下一段活用は

未然形 染めーない
連用形 染めーて、染めーます
終止形 染めーる
連体形 染めーるーとき、染めーるーところ
仮定形 染めーれば
命令形 染めーろ

語幹の<染め>は変化がない。<め>は<ま、み、む、、も>の<め>。

一方、自動詞<染まる>の五段活用は

未然形 染まーらーない
連用形 染まーりーて->染まって (音便) 、染まーりーます
終止形 染まーる
連体形 染まーるーとき、染まーるーところ
仮定形 染まーれば
命令形 染まーれ

語幹の<染ま>は変化がない。活用部の<ら、り、る、れ、ろ>の<ろ>がないが、 <ろ>は第二の未然形となっている。これは未然形に付く意思、推量の<う> (古語では<む>) が<ろ>につく。<染まろう>はひと昔は<染まらう> (古語では<染まらむ>) になっていた。

したがって

未然形 染まーらーない

未然形 染まーらーない、染まーろーう

としないと<ら、り、る、れ、ろ>の五段活用にならない。

命令形 染まーれ

の下に

推量、意思形 染まーろーう

を加えれば

<ら、り、る、れ、ろ>になる。

さて、下一段活用の動詞に戻ると

植える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxx植わっている。

受ける  他動詞 ー (受かる) 自動詞  試験に受かる。<受かる>は自動詞だが、他動詞<受ける>にそのままは対応しない。

捨てる 他動詞 ー 自動詞 ? 

でどうも下一段活用動詞は統一がとれていない、規則的でない。 これらだけでは不十分で、もう少し調べてみる。

得 (え) る

未然形 得 (え) ーない
連用形 得 (え) ーて
終止形 得 (え) ーる
連体形 得 (え) ーるーとき
仮定形 得 (え) ーれば
命令形 得 (え) ーろ 

<得 (え) る>の古語形は<ア行下二段活用>で

活用{え/え/う/うる/うれ/えよ}

未然形 得 (え) ーない
連用形 得 (え) ーて、得 (え) ーます
終止形 得 (う)
連体形 得 (う) ーるーときi
已然形 得 (う) ーれば
命令形 得 (え) ーろ

<う>と<え>があるので二段活用。<得 (う)>はもうほとんど使わないが、<得 (う) るとき>は今でも使うことがありそう。

XXえる

和 (あ) える (料理)  他動詞 ー ? (和う)

与 (あた) える 他動詞 ー ?

与 (あた) える

未然形 与 (あた) え ーない
連用形 与 (あた) え ーて
終止形 与 (あた) え ーる
連体形 与 (あた) え ーるーとき
仮定形 与 (あた) え ーれば
命令形 与 (あた) えーろ

与 (あた) える>の古語形は<与ふ>で<ハ行下二段活用>。

活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

未然形 与 (あた) へ ーず
連用形 与 (あた) へ ーて
終止形 与 (あた) ふ
連体形 与 (あた) ふ ーるーとき
已然形 与 (あた) ふ ーれば
命令形 与 (あた) へーよ

古語では

未然形<与 (あた) へ>+<れば>は今の仮定形<与 (あた) えれば>。発音は同じだ。一方已然形<与 (あた) ふ>+<れば>で意味が違う。現代語では<与えるので、与えたので>となる。

甘 (あま) える 自動詞 ー ?

未然形 甘 (あま) え ーない
連用形 甘 (あま) え ーて
終止形 甘 (あま) え ーる
連体形 甘 (あま) え ーるーとき
仮定形 甘 (あま) え ーれば
命令形 甘 (あま) えーろ

甘 (あま) える>の古語形は<ヤ行下二段活用>で

活用{え/え/ゆ/ゆる/ゆれ/えよ}

未然形 甘 (あま) え ーず
連用形 甘 (あま) え ーて
終止形 甘 (あま) ゆ
連体形 甘 (あま) ゆ ーるーとき
已然形 甘 (あま) ゆ ーれば
命令形 甘 (あま) えーよ 

<xxゆ>由来の<xxえる>は多い。

癒 (い) える 自動詞 (癒ゆ)ー 癒 (いや) す 他動詞

植 (う) える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。

未然形 植 (う) え ーない
連用形 植 (う) え ーて
終止形 植 (う) え ーる
連体形 植 (う) え ーるーとき
仮定形 植 (う) え ーれば
命令形 植 (う) えーろ

植 (う)える>の古語形はややこしい。<ワ行下二段活用>で 

活用{ゑ/ゑ/う/うる/うれ/ゑよ}

未然形 植 (う) ゑ ーない
連用形 植 (う) ゑ ーて
終止形 植 (う)
連体形 植 (う) う ーるーとき
已然形 植 (う) う ーれば
命令形 植 (う )ゑーよ 

<ゑ>は見慣れない平仮名だが、昔は

wa, wi, u, we, wo

という発音があったようで、これは別の書き方をすれば

ua,  ui,  uu,  ue,  uo

つまりは

<u> + <a>、<i>、<u>、<e>、<o>

という音の組み合わせ。<u>は<a>や<e>に比べると、発音するのに力がいる。おそらく、このため使われなくなったのだろう。つまりは終止形、連体形、已然形の<植 (う) う>は発音しずらい。まだ結論ではないがe>は下一段活用で活躍する。

見慣れない平仮名がたくさん出てくる (とと思われる) 古語のワ行4段活用はない。また現代語のワ行五段活用は、ワ行とは言うが<わ>の一字しか出てこない。

買う

未然形 買わーない、買おう (*) 
連用形 買いてー>買って、買いーます
終止形 買う
連体形 買うーとき、もの
仮定形 買えば
命令形 買え

 (*)  <買おう>はワ行であれば<う>でもよさそうだが、ダメのようだ。

飢 (う) える

未然形 飢 (う) え ーない
連用形 飢 (う) え ーて
終止形 飢 (う) え ーる
連体形 飢 (う) え ーるーとき
仮定形 飢 (う) え ーれば
命令形 飢 (う) えーろ

飢 (う) える>の古語形は上の<植 (う)え る>に準じる。ワ行下二段活用飢 (う) える>は自動詞だ。

終 (お) える 他動詞 ー 終わる 自動詞

未然形 終 (お) え ーない
連用形 終 (お) え ーて
終止形 終 (お) え ーる
連体形 終 (お) え ーるーとき
仮定形 終 (お) え ーれば
命令形 終 (お) えーろ

終 (お) え る>の古語形はややこしい。終止形は<を・ふ 【終ふ】>で、自動詞 / 他動詞ハ行下二段活用。ハ行下二段活用活用は<与 (あた) える>で出てきた。{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

ネットでは<自動詞ハ行下二段活用>と<他動詞ハ行下二段活用>なっているが、これは間違いで他動詞ハ行下二段活用だけだろう。

自動詞 ハ行下二段活用の例。

https://kobun.weblio.jp/content/%E3%82%92%E3%81%B5


万葉集 一七六

「天地(あめつち)と共にをへむと思ひつつ仕へ奉(まつ)りし心違(たが)ひぬ」

[訳] 天地(が終わる)とともに(奉仕も)終わろうと思いつづけてお仕え申し上げた志とは違ってしまった。

訳文では<(奉仕も)終わろう>となっているが<(奉仕を)終えよう>という意味だろう。

つまりは<終 (お) える>が<終 (を) ふ>だ。 反対に言えば<終 (を) ふ>が<終 (お) える>に変わっていったのだ。これは大きな変化だ。さらに他動詞<終 (お) える>に対応する自動詞は<終わる>。<終わる>は古語では<終 (を) はる>。これはラ行四段活用。

未然形 終 (を) へ ーず
連用形 終 (を)) へ ーて
終止形 終 (を) ふ
連体形 終 (を) ふ ーるーとき
已然形 終 (を) ふ ーれば
命令形 終 (を) へーよ
 
未然形<終 (を) へ>+<れば>は今の仮定形<終 (お) えれば>。発音は同じだ。一方已然形<終 (を) ふ+<れば>は現代語では<終 (お) えるので、終えたので>となる。 ところで、已然形というのは、Wiki によれば
 

(いぜんけい)

  1. (文法) 日本語文語における用言助動詞活用形の一つ。六活用形の五番目におかれる。已然とは「すでにそうなっている」の意であり、助詞「」「」「ども」などを伴い順接逆接確定条件を表す。係り結びで「こそ」を受けるときにも表れる。

 ”

ということで、<順接や逆接の確定条件を表す>で、<終 (お) えるので>というよりは<終 (お) えたので、終えあるので>となるか。これはおもしろい問題だ。

さらに、古語<終 (を) はる>が<終わる>と、表記では<は>ー><わ>に変わっていることにも注意。他動詞、下一段活用<xxえる>ー 自動詞 五段活用<xxわる>は。これからでてくる。

おびえる (怯える)   (おびゆ)  自動詞 ー 

変 (か) える 他動詞 (変ふ)ー 変わる 自動詞 ー 上記<終える>参照
抱 (かか) える 他動詞 (抱 ふ)ー ?  かかわる(関わる)(かかはる)

<かかわる>(関わる、係る)という語があるが<抱 (かか) える>とは関係ないように見えるが、<関わる、係る>と漢字を使わずに<かかわる>とすれば (耳で聞けば同じだ) 、<かかえる>ー<かかわる>とすれは、<抱 (かか) える>が原意といえるのではないか。

数 (かぞ) える 他動詞 (数ふ)ー ? 

自動詞<数わる>はないようだが、少数派だが<植わる>はあるので、<植わっている>ー<植えられている>)、<数わる>ー<数えられている>でよさそう。少なくとも<数わる>は<数えられている>より簡潔だ。

かなえる (かなへる)  他動詞 ー かなう (かなふ) 自動詞

<かなえる>、<かなう>はややこしい。

<夢をかなえる>、<望みをかなえる>で他動詞。<望みにかなう>、<理にかなう>、<要求にかなう>で自動詞。さらに<かなわない>という言い方がある。<この相手にはかなわない>。<かなわない>の肯定は<かなう>で<対抗できる>といった意味だが、<毎日こう暑くてはかなわない>(主語がない、というか省略されている)といった言い方もある。

意味は

<かなえる>は<夢、望みを実現させる>。

<かなう>は自動詞だが<望みを、理 (道理) を、要求を満足させる>といった他動詞的な意味にもなる。  だが基本的な意味は<対応する>のようだ。

構える 他動詞 (構ふ)ー ? 

古語<構ふ>は他動詞ハ行下二段活用で、上に<与える、与ふ>ででてきた。現代語<構える>は<与える>に準じ

未然形 構え ーない
連用形 構え ーて
終止形 構え ーる
連体形 構え ーるーとき
仮定形 構 え ーれば
命令形 構 えーろ 

なのだが、<かまわない>という言い方があり、<構えない>とは違う。<かまう>は別の語で、 <かかわる>といった意味で、ワ行五段活用 活用形。これに対応する古語は<構ふ>だが、こちらはハ行四段活用で、活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}。現代語の<かまう>は<わ>がでてくるのでワ行五段活用。上の<買う>で出てきたが

未然形: かまわ(ない)、かまお(う)
連用
: かまい(ます)、かまっ(た、て)
終止
: かま
連体
: かまう(こと)
仮定
: かまえ(ば)
命令
: かまえ 

この<かまう>は日常よく使う。ややこしく自他両用動詞のようだ。下一段活用ではないので、これ以上は話を進めない。(別途検討)


消 (き) える (消ゆ)  自動詞 ー 消す 他動詞
越 (こ) える (越ゆ) 自動詞 ー 越す 自動詞 (移動動詞)

古語<越ゆ>は自動詞となっている。もっとも現代語<越 (こ) える>も<を>をとる移動動詞扱いで自動詞。すぐ上の

消 (き) える (消ゆ)  自動詞 ー 消す 他動詞

からすると<越す>は他動詞のようだが、これも<を>をとる移動動詞で自動詞扱いのようだ。<す>の使役性、他動詞化性から検討してもいいのではないか。移動動詞については、これまでいろいろ書いているが、とりあえずの結論めいたものは

<越える>、<越す>は自動詞はたまた他動詞 ー 移動動詞 - 4May 21, 2025

 のポストで、最後に

 

 <を>をとる移動動詞とは

1)基本的に自動詞
2)<を>は (通過点) 通過場所、通過物、場合によっては通過物そのものあらわし (示し)、動詞が働きかける対象 のような目的語を示すわけではない。

2)は思い切ってもっと簡単に

<を>は動詞内容が行われる場所を示す格助詞。

と言える。場所を示す格助詞では<へ>と<に>だが、<を>も移動動詞では場所を示す格助詞になるということだ。

” 

と書いている。

聞 (きこ) える (聞 (きこ) ゆ)  自動詞 ー 聞く 他動詞

これは

見える (見ゆ)  自動詞 ー 見る 他動詞

とともに重要な動詞だ。 世界の認識の根本で、これまでにも別のポストで何度か取り上げて詳しく検討している。

<聞 (きこ) える>は<なしえる>、<行ける>などからの連想から可能の<聞くことができる>の意にもとれるが、<自然と耳に入る>、他動詞<聞く>に対応する自動詞と見た方がいいだろう。<聞 (きこ) える>は古語の<聞 (きこ) ゆ) >由来で、<聞 (きこ) ゆ) >には可能の意はない。<聞 (きこ) ゆ) >はャ行下二段活用。ャ行下二段活用の代表と言ってもいい。

未然形 聞 (きこえ) ーず
連用形 
聞 (きこえ) ーて
終止形 
聞 (きこ) ゆ
連体形 
聞 (きこ) ゆ ーるーとき
已然形 
聞 (きこ) ゆ ーれば
命令形 
聞 (きこ) えーよ

聞 (きこ) ゆ、聞 (きこ) ゆ ーるーとき

はやや古臭いが、耳に入る響きはいい。 

肥 (こ) える (肥ゆ)  自動詞 ー 肥やす 他動詞
答 (こた) える (答ふ)  自動詞 ー ?

冴 (さ) える (冴ゆ)  自動詞 ー 冴 (さ)やす 他動詞 (聞いたことはない)

<頭が冴える> とは言うが<頭を冴やす>とは言わない。<頭が冷える>とは言わないが<頭を冷やす>と言う。

支 (ささ) える  (支ふ )  他動詞 ー ?
従 (したが) える  (従ふ)   他動詞 ー 従う  (従ふ)  自動詞

古語では他動詞従ふ>はハ行下二段活用で、活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

①  服従させる。従わせる。
②  引き連れる。後について来させる。

 で<従わせる>の意味もあったようだ。

一方、自動詞従ふ>はハ行四段活用で、活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}。

現代語の<従う>は<わ>がでてくるので、 ワ行五段活用 活用形。これも古語の<与ふ><構ふ>と同じく、ハ行四段活用 (活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ) ー>現代語のワ行五段活用への移行だ。

未然形: 従わ(ない)、従お(う)
連用形: 従い(ます)、従っ(た、て)
終止形: 従う
連体形: 従う(こと)
仮定形: 従え(ば)
命令形: 従え

<従う>は<xxに従う>以外に、<応じる>の意でxxに従って (従いて) >、独立して<したがって、xxxx>という言い方がある。

据 (す) える 他動詞 (据う) ー 据 (す) わる、座る 自動詞

<据 (す) える>の古語は<据う>で、ワ行下二段活用。<植 (う) う>と同じ。

活用{ゑ/ゑ/う/うる/うれ/ゑよ}

で<わ>の字、そして<わ>の音は出てこない。なにか変な感じだ。

ところが、古語では<据う>以外に<他動詞 ヤ行下二段活用>の<据ゆ>がある。

活用{え/え/ゆ/ゆる/ゆれ/えよ}

現代語の自動詞<据 (す) わる>は

肝 (きも) がすわっている。度胸がすわっている。

という言い方があるが、あまり一般的ではない。一方、関連語の<座る>は日常語で毎日のように使われている。<据わる>、<座る>は文字で書くと違いが読んだり、言ったりする時は<すわる>で同じだ。

添 (そ) える  (添ふ)  他動詞 ー 添 (そ) わる 自動詞

<添 (そ) わる>はほとんど聞かないが

<植わっている>と同じように<添えられている> の代わりに<添わっている>で使える。

花子には気品が添わっている。

<添 (そ) える>は上の<従 (したが) える>と似かよった意味がある。

xxに従って
xxに沿 (そ) って

だが、こちらの方は<沿 (そ) う>でワ行五段活用。

備 (そな) える  (備ふ)  他動詞 ー 備わる 自動詞 xxが備わっている

古語の<備ふ>は他動詞ハ行下二段活用。<備わる 自動詞> の古語は<備はる>で、ラ行四段活用で

活用{ら/り/る/る/れ/れ}

未然形 備はら ーず
連用形 備はり ーて
終止形 備はる
連体形 備はる ーとき
已然形 備はれ ーば
命令形 備はれ  (自動詞の命令形)

現代語の 自動詞<備わる>は頻繁ではないが、<xxが備わっている>などで使われる。<備えられている>より少し簡潔で日本語的だ。

そびえる (そびゆ)  自動詞 ー 
揃 (そろ) える (そろふ)他動詞 ー 揃う 自動詞

古語<そろふ>はややこしい。自動詞<そろふ>はハ行四段活用で

活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

他動詞<そろふ>はハ行下二段活用で

活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

現代語の他動詞<揃 (そろ) える>は他動詞<そろふ>ハ行下二段活用由来だ。これは上の<備 (そな) ふ>に準じる。一方、現代語の自動詞は<揃 (そろ) う>は、古語の自動詞<そろふ>ハ行四段活用由来だ。これはラ行四段活用の備 (そな) はる>に準じない。くり返しになるが

未然形 備 (そな) はら ーず
連用形 備はり ーて
終止形 備はる
連体形 備はる ーとき
已然形 備はれ ーば
命令形 備はれ  (自動詞の命令形)

に対して

未然形 揃 (そろ) は ーず
連用形 揃 (そろ) ひ ーて
終止形 揃 (そろ) ふ
連体形 揃 (そろ) ふ ーとき
已然形 揃 (そろ) へ ーば
命令形 揃 (そろ) へ (自動詞の命令形)

現代語の自動詞<揃 (そろ) う>はワ行五段活用

未然形 揃 (そろ) わ ーず
連用形 揃 (そろ) い ーて、揃って
終止形 揃 (そろ) う
連体形 揃 (そろ) う ーとき
仮定形 揃 (そろ) え ーば
命令形 揃 (そろ) え (自動詞の命令形)

自動詞の命令形はまれにしか使わないだろう。

絶 (た) える (絶ゆ)自動詞 ー 絶やす 他動詞

<絶やす>の古語はやや複雑で

絶えす

[一] 自動詞サ行変格活用

活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}

[二] 他動詞サ行四段活用

活用{さ/し/す/す/せ/せ}

ここではこれ以上詮索しない。

耐 (た) える (耐ふ)自動詞 ー ?

<耐える>は普通<xxに耐える>で自動詞だが、<xxを耐える>でもよさそう。また<xxが耐える>という純自動詞的なあまり聞かない。別途検討


たずさえる (たづさふ)他動詞 ー たずさわる 自動詞

これもややこしい。他動詞<たずさえる>と自動詞<たずさわる>では意味にズレがある。

意味のズレでは、後で出てくるが

受ける  他動詞 ー 受かる 自動詞

が顕著。 

従 (したが) える  他動詞 ー 従う  (従ふ)  自動詞  (したがって)

もややズレがある。

ズレがあまりない動詞もある。上で出てきたが

植 (う) える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。
備 (そな) える 他動詞 ー 備わる 自動詞  xxが備わっている

これから出てくる 

つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞 (これもややズレがある)
伝 (つた) える 他動詞 ー 伝わる 自動詞

現代語の<たずさわる>は<かかわり合う。関係する>といった意味だが、これに関連しては、上の方に

抱 (かか) える 他動詞 (抱ふ)ー ?  かかわる(関わる)(かかはる)
 
というのがある。 <?>マークつきだが、<関わる>の漢字にだまされてはいけない。もっとも、後から出てくるが
 
掛 (か) ける 他動詞 ー 掛かる 自動詞
 
という動詞がある。
 
称 (たた) える (称ふ)他動詞 ー ?
仕 (つか) える (仕ふ)自動詞 ー ?
(ドブが、通路が、言葉が / に)つかえる (つかふ) 自動詞 ー ? 
 
関連語に<さしつかえる>がある。
 
https://www.weblio.jp/content/%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%81%88%E3%82%8B
 
デジタル大辞泉 

[動ア下一[文]さしつか・ふ[ハ下二都合悪いことが起こる。支障生じる。また、妨げとなる。「明日仕事に—・える」

 <さしつかえる>は自動詞で

(今日の疲労) が明日の仕事に差し支える 

のように使える。

つかまえる 他動詞 (つかまふ) ー つかまる 自動詞 <つかむ>という他動詞がある。

<つかまふ>はハ行下二段活用。活{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

未然形 つかまへ ーず
連用形 つかまへ ーて
終止形 つかまふ
連体形 つかまふ ーるーとき
已然形 つかまふ ーれば
命令形 つかまへーよ

古語<つかまふ>の意味は現代語の<つかまえる>の意のようだが、<つかまる>、<つかむ>の古語が見当たらない。

同じ様な意味では<とらえる>、古語<ろらふ>がある。

<つかまる>は<xxにつかまる>で、たとえば

手すりにつかまる

自動詞のようだが、<xxがつかまる>では

泥棒、犯人がつかまる

泥棒、犯人がつかまえられる

の意味になってしまう。

<つかまる>は<つかむ>の自動詞形といえそう。一方<つかむ>の受身形は<つかまれる>。 なにかややこしい。

伝 (つた) える(つたふ)他動詞 ー 伝わる(伝はる)自動詞

古語<つたふ>はネット辞典でチェックしてみると、自動詞用法と他動詞用法がある。

https://kobun.weblio.jp/content/%E4%BC%9D%E3%81%B5

学研全訳古語辞典

つた・ふ 【伝ふ】

[一] 自動詞ハ行四段活用  活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

ある物に沿って移る。伝わる。

出典 万葉集 一八二六

「鶯(うぐひす)の木末(こぬれ)をつたひ鳴きつつもとな」

[訳] うぐいすがこずえに沿って飛び移りながらむやみに鳴いている。

(この自動詞用法は<を>をとる移動動詞賭していいだろう。<こずえを移る>←<家を移る>。現代語訳に<伝わる>がある)

[二] 他動詞ハ行下二段活用 活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

① 伝え残す。伝言する。伝授する。

出典 徒然草 一八

「これをいみじと思へばこそ、記(しる)しとどめて世にもつたへけめ」

[訳] これをすばらしいと思ったからこそ、記録にとどめて世に伝え残したのだろう。

② 伝え受ける。受け継ぐ。教わる。

出典 方丈記 

「父方の祖母(おほば)の家をつたへて」

[訳] 父方の祖母の家を受け継いで。

 一方古語<伝はる>の方は

https://kobun.weblio.jp/content/%E4%BC%9D%E3%81%AF%E3%82%8B

学研全訳古語辞典
 
つたは・る 【伝はる】
自動詞ラ行四段活用 活用{ら/り/る/る/れ/れ}

① 続く。ずっと…する。

出典源氏物語 桐壺

「三代(みよ)の宮仕へにつたはりぬるに」
[訳] 三代の天皇にずっとお仕えしたが。

②(昔から、また他のところから)伝わる。

出典源氏物語 橋姫

「御耳とまるばかりの手などは、いづくよりか、ここまではつたはり来(こ)む」

[訳] 御耳にとまるほどの琴の奏法などは、どこから、ここまで伝わって来るだろうか。

 伝 (つた) える(つたふ)他動詞 ー 伝わる(伝はる)自動詞

は他動詞、自動詞であまり意味のズレがない。

ニュースを伝える
ニュースが伝わる

とだえる(とだゆ)自動詞 ー ? (とだやす)

とだえる(とだゆ)は上の

絶 (た) える (絶ゆ)自動詞 ー 絶やす 他動詞 

に接頭辞<と>がついたものだが、対応する<とだやす>は使われないようだ。

唱 (とな) える (唱ふ)他動詞 ー ?

言う (言ふ) 、歌う (歌ふ) は元の音が残っているが、<唱 (とな) ふ>は<唱う>ではなく<唱える>に変わっている。

古語<言ふ>、<歌ふ>は他動詞ハ行四段活用で

活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

(<言ふ>は自動詞ハ行四段活用もあるがやや特殊)

一方<唱 (とな) ふ> はハ行下二段活用で

活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

つまりは古語時代から活用が違うのだ。

言う (言ふ) 、歌う (歌ふ) と元の音が残っているのは、たとえば<言ふ>、<言う>は

未然形 言は ーず (古語の仮定は未然形を用いて<言はーば>
連用形 言ひ ーて
終止形 言ふ
連体形 言ふ ーとき
已然形 言へ ーば
命令形 言へ

現代語の自動詞<言う>はワ行五段活用

未然形 言わ ーず
連用形 言い ーて、言って
終止形 言う
連体形 言う ーとき
仮定形 言え ーば
命令形 言え
 
<下一段活用>の動詞は多いが、日本語の活用の基本は<五段活用>だろう。古語では<四段活用>。理由は<母音部>、すなわち
- a
- i
- u 
- e
- o  (四段活用ではこの母音部がない)
 
で異なる母音部を目いっぱい使っているので、動詞活用の差別化が容易(聞いてわかりやすい)だからだ。
 
実際には終止形、連体形の<- u  >は発音上は一番力がいる。さらに、おそらく終止形は、活用の代表みたいにあつかわれているが、一番使用頻度が低いのではないか。
 
 いずれにしても、基本的には古語の四段活用から現代語の五段活用への移行は表面的で、実際には変化、移行なしとも言える。

一方<唱 (とな) ふ>は上述のように他動詞ハ行下二段活用

未然形 唱へ ーず
連用形 唱へ ーて
終止形 唱ふ
連体形 唱ふ ーるーとき
已然形 唱ふ ーれば
命令形 唱 へーよ

現代語<唱える>は他動詞ア下一段活用で

未然形 唱え ーない
連用形 唱え ーて
終止形 唱え ーる
連体形 唱え ーるーとき
仮定形 唱え ーれば
命令形 唱えーろ 

古語の四段活用から現代語の五段活用への移行に比べると古語の下二段活用から現代語の下一段活用への変化、移行はかなり根本的な変化が起きている。

変化と言えばに、それこそ大昔に四段活用から下二段活用への変化、移行があったと考えられる。上述のように、日本語の活用の基本は<四段活用>(現代語では<五段活用>)で、これが下二段活用への変化、移行したと考えられる四段活用と下二段活用を比べてみると

未然形 言は ーず (古語の仮定は未然形を用いて<言はーば>
連用形 言ひ ーて
終止形 言ふ
連体形 言ふ ーとき
已然形 言へ ーば
命令形 言へ

未然形 唱へ ーず
連用形 唱へ ーて
終止形 唱ふ
連体形 唱ふ ーるーとき
已然形 唱ふ ーれば
命令形 唱 へーよ

下二段活用でも終止形では<唱ふ>が残っている。<唱へる>、あるいは<唱ふる>ではないのだ。だが、これも上で述べたが、実際終止形は一番使用頻度が低いようなので、四段活用のかすかな名残りにちかい。四段活用の下二段活用ヘの変化はかなりドラスティックだ。

さて、 古語の下二段活用から現代語の下一段活用への変化の話にもどると、繰り返しになるが、現代語<唱える>は他動詞ア下一段活用で

未然形 唱え ーない
連用形 唱え ーて
終止形 唱え ーる
連体形 唱え ーるーとき
仮定形 唱え ーれば
命令形 唱えーろ  
 
で、太字部も未然形、連用形の<-e>音に他つられて<-e>音になっている。これは<母音部>の多様性を放棄したことになる。言語の歴史ではこのようなこと (一般的には多様性の放棄) がよく起る。特にこの場合は徹底しており、下二段活用と比べてみると
 
未然形 唱へ ーず (仮定は<唱へ ーば>)
連用形 唱へ ーて
終止形 唱ふ
連体形 唱ふ ーるーとき
已然形 唱ふ ーれば
命令形 唱 へーよ
 
で、<ふ (ウ音) >が<エ音>に変わり、すべて<エ音>になっている。多様性の放棄は代償がともなうが、簡易化の利点 (簡単なこと) が代償を上回った、ということだろう。そして、この場合特に大きな問題はなかったようだ。
 
終止形に比べると連用形、連体形、そして仮定形は使用頻度が高い。過渡期では
 
連体形 唱 (とな) え ーるーとき
 
になるまで、古臭い言い方として

連体形 唱 (とな) う ーるーとき
 
 が使われていたのではないか?
 
 
捉 (とら) える 他動詞 ー ?  とらわる、とらわれる 自動詞
 
<捉 (とら) える>の受身は<捉えられる>。他動詞<捉える>の関連自動詞として<とらわる>、<とらわれる>がある。<とらわる>はあまり使われないが、<とらえらる>の意として使える。同じような意味で
 
つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞 
 
がある。<つかまる>は <つかまえらる>の意トしてよく使われる。<つかまえらる>より簡潔だ。だが、<つかまる>は上でも取りあげたが

手すりにつかまる
 
という用法、意味がある。
 
一方<とらわれる>は 意味がズレていて
 
劣等感にとらわれる
旧習にとらわれる
 
などと使われる。意味は<とらえられる>とほぼ同じだが、対象が抽象的なものようだ。<とらえられる>よりは少し簡潔だ。
 
敵ににとらわれる
 
はダメだろう。
 
萎 (な) える (萎ゆ)自動詞 ー 
煮える(煮ゆ)自動詞 ー 煮る 他動詞

生 (は) える (生 (は) ゆ)自動詞 ー 生やす 他動詞

これは少しややこしい。古語<生ゆ>はヤ行下二段活用で、 

未然形 生 (は) え ーず
連用形 生 (は) え ーて
終止形 生 (は) ゆ
連体形 生 (は) ゆ ーるーとき
已然形 生 (は) ゆ ーれば
命令形 生 (は) えーよ

<xxゆ>由来の<xxえる>は多いのだが、現代語の他動詞が<生やす>のようになるのは、これまで取りあげた動詞では

甘 (あま) える (甘ゆ)自動詞 ー 他動詞?
癒 (い) える (癒ゆ)自動詞 ー 癒 (いや) す 他動詞
消 (き) える (消ゆ)  自動詞 ー 消す 他動詞
聞 (きこ) える (聞ゆ)  自動詞 ー 聞く 他動詞
越 (こ) える (越ゆ) 自動詞 ー 越す 自動詞 (移動動詞)
肥 (こ) える (肥ゆ)  自動詞 ー 肥やす 他動詞
冴 (さ) える (冴ゆ)  自動詞 ー 冴 (さ)やす 他動詞 (聞いたことはない)
そびえる (そびゆ)  自動詞 ー そびやかす 他動詞
据 (すえ) る(据ゆ) 他動詞 ー
絶 (た) える (絶ゆ)自動詞 ー 絶やす 他動詞
とだえる(とだゆ)自動詞 ー ? (とだやす)
萎 (な) える (萎ゆ)自動詞 ー 
煮える(煮ゆ)自動詞 ー 煮る 他動詞  

これから出てくるのでは

映 (は) える (映ゆ)  自動詞 ー 
冷 (ひ) える (冷ゆ)  自動詞 ー 冷やす 他動詞
増 (ふ) える (増 ゆ) 自動詞 ー 増やす 他動詞
吠 (ほ) える (吠ゆ)  自動詞 ー
燃 (も) える (燃ゆ) 自動詞 ー 燃やす 他動詞

したがって

生 (は) える (生 (は) ゆ)自動詞 ー 生やす 他動詞

 は一般化されていると言える。

 <xxす>は使役的な意味があり、接続は

未然形+す

五段活用であれば

行かす、書かす、済ます、富ます、泣かす、読ます

下一段活用の場合は

未然形 生 (は) え ーず ー> 生 (は) え ーす

になるのだが、こうはならず<生やす> 。その他も同じ。

癒 (い) えす ダメ  癒 (いや) す
肥 (こ) えす ダメ  肥やす

(以下略)

したがって<生やす>は下一段活用 (古語では下二段活用) 由来というよりは、独自の他動詞形成だろう。

映 (は) える (映 (は) ゆ)自動詞 ー  (映 (は) やす)、映 (は) えさす 他動詞
冷 (ひ) える (冷 (ひ) ゆ) 自動詞 ー 冷やす 他動詞
控 (ひか) える (控ふ)  他動詞 / 自動詞
ふえる (増える) (ふゆ) 自動詞 ー ふやす 他動詞

<増ゆ>という古語は使用頻度が少ないようだ。<増 (ま) す>は自動詞 / 他動詞兼用。

踏 (ふ) まえる (踏まふ) 他動詞 ー ?
震 (ふる) える (震ふ) 自動詞 ー 震わす 他動詞
吠 (ほ) える (吠ゆ) 自動詞 ー

迷 (まよ) える (迷ふ)自動詞 ー 迷わす 他動詞 
燃 (も) える (燃ゆ)自動詞 ー 燃やす 他動詞
もだえる (もだゆ)自動詞 ー ?

わきまえる (わきまふ)他動詞 ー ?

<xxえる>はややこしい。古語にさかのぼれば

XXふ ー ハ行下二段活用
XXゆ ー ヤ行下二段活用
XXう ー ワ行下二段活用

由来の三つがある。

また、<える>には可能用法がある。

使える
取りえる ー> 取れる
行きえる ー> 行ける
勝ちえる ー> 勝てる

 ーーーー

XXける

明 (あ) ける 自動詞 ー 明かす 他動詞  夜が明ける / 夜を明かす
空ける 他動詞 ー 空く 自動詞  席を空ける、席があく
上 (あ) げる 他動詞 ー 上がる 自動詞
あざける 他動詞 ー ?
預 (あず) ける (預かる)  他動詞 ー ?
荒 (あら) げる 他動詞 ー ?  声を荒げる
生 (い) ける 他動詞 花を生ける ー ?
いじける 自動詞 ー ?
受ける  他動詞 ー (受かる) 自動詞  これはややこしい。別途検討。
おじける  (おじる)  自動詞 ー 
おどける 自動詞 ー 

かかげる (掲げる)  他動詞 ー ?
掛ける  他動詞 ー 掛かる 自動詞
賭ける 他動詞 ー 賭かる 自動詞
駆ける 自動詞 ー 
欠ける 自動詞 ー 欠く、欠かす 他動詞
陰 (かげ) る 自動詞 ー ?
かたげる (かたぐ)  自動詞 ー ?  方言か?
かまける 自動詞 ー ?
からげる 他動詞 ー  からがる 自動詞
くじける  自動詞 ー くじく 他動詞
こける 自動詞 ー ?  づっこける
焦げる  自動詞 ー 焦がす 他動詞
ころげる、ころがる  自動詞 ー ころがす 他動詞  笑いころげる

ささげる (捧げる)  他動詞 ー ?
さずける (授ける) 他動詞 ー ?
さける (割ける) 自動詞 ー 割く 他動詞
下 (さ) げる 他動詞 ー 下がる 自動詞
避ける  他動詞 ー ?
さばける 自動詞 ー さばく(裁く)  さばけやつだ。<さばける>と<裁く>は相当ズレがある。<裁ける>は<裁く>の可能形。

妨 (さまた) げる  他動詞 ー ?
湿気 (しけ) る 自動詞 ー ?
しげる (茂る) 自動詞 ー ?
しいたげる  他動詞 ー ?
しょげる 自動詞 ー ?   しょげかえる
しらける 自動詞 ー ?
透 (す) ける 自動詞 ー 透かす 他動詞
すすける 自動詞 ー ?
ずるける 自動詞 ー ?
削 (そ) げる 自動詞 ー 削ぐ 他動詞
そむける 他動詞 ー そむく 自動詞 <そむける>、<そむく>は意味が異なる。顔をそむける。上司にそむく。

たいらげる 他動詞 ー ?
たける 自動詞 ー ?   たけり狂う
助ける 他動詞 ー 助かる 自動詞
たまげる 自動詞 ー ?   方言か?
だらける 自動詞 ー ?
たわける 自動詞 ー ?

付 (つ) ける 他動詞 ー 付く 自動詞
xxつける

押しつける、くくりつける、取りつける、はりつける、見つける、盛りつける、割りつける

つなげる、つなぐ 他動詞 ー つながる 自動詞

続ける 他動詞 ー 続く 自動詞
てなづける 他動詞 ー ?
溶 (と) ける 自動詞 ー 溶かす 他動詞
どける (どかす)  他動詞 ー どく 自動詞
届ける 他動詞 ー 届く 自動詞
捉 (とら) える (とらふ)他動詞 ー  自動詞 捉 (とら) わる(とらはる)
とろける 自動詞 ー とろかす 他動詞

投げる 他動詞 ー ?
なまける  他動詞 
にやける 自動詞 ー ?
逃 (に) げる 自動詞 ー 逃がす 他動詞  (逃 (の) がれる 自動詞 ー 逃 (の) がす 他動詞)
抜 (ぬ) ける 自動詞 ー 抜く 他動詞
のける 他動詞 ー のく 自動詞

はける 自動詞 ー はく 他動詞  在庫がはける / 在庫をはく
はげる  自動詞 ー はがす 他動詞  頭がはげる。ペンキがはげる
化 (ば) ける 自動詞 ー 化かす 他動詞
弾 (はじ) ける 自動詞 ー 弾く 他動詞
肌ける (はだける)
ひける 自動詞 ー 引く 他動詞  <引ける>は<引く>の可能だが、<学校がひける>、<洪水 (大水) がひける>という言い方がある。
ひしゃぐ、ひしゃげる  自動詞 ー ?  方言か?
広げる 他動詞 ー 広がる 自動詞

形容詞+<ける、げる>

形容詞は大体形容詞+<まる、める>

広める 他動詞 ー 広まる 自動詞
せばめる 他動詞 ー せばまる 自動詞
高める 他動詞 ー 高まる 自動詞

広げる 他動詞 ー 広がる 自動詞

は例外だ。 また

広める 他動詞 ー 広まる 自動詞

また意味は似ているがが少しずれているようだ。

うわさを広げる ー うわさが広がる
うわさを広める ー うわさがまる

キリスト教を広げる ー キリスト教が広がる
キリスト教を広める ー キリスト教が広まる

疫病を広げる ー 疫病が広がる
疫病を広める ー 疫病が広まる 


ふける (老いる)  自動詞 ー ?
ふける 自動詞 ー ふかす 他動詞  芋がふける / 芋をふかす
ふざける 自動詞 ー ?
ぶつける 他動詞 ー ぶつかる 自動詞
ふやける 自動詞 ー ふやかす 他動詞
ぼける 自動詞 ー ぼかす 他動詞  <ぼける>と<ぼかす>は意味が違うが、同根だろう。古 (ふる) ぼける。

ほどける 自動詞 ー ほどく 他動詞
ぼろける 自動詞 ー ?

負 (ま) ける 自動詞 ー 負かす 他動詞
向 (む) ける 他動詞 ー 向く 自動詞
むける 自動詞 ー むく 他動詞  リンゴん皮をむく
もげる 自動詞 ー もぐ 他動詞  リンゴをもぐ、もぎとる

焼 (や) ける 自動詞 ー 焼く 他動詞
やわらげる 他動詞 ー やわらぐ 自動詞
揺 (ゆ) らげる 他動詞 ー 揺らぐ 自動詞 (揺らす 他動詞 ー 揺れる 自動詞)
よける (避ける) 他動詞 ー

分 (わ) ける 他動詞 ー 分かれる、別れる 自動詞

カ行五段活用

書かない、書こう
書きてー>書いて(音便)
書く
書くとき
書け

可能形は<書ける>。ネットでは


https://www.kokugobunpou.com/%E7%94%A8%E8%A8%80/%E5%8B%95%E8%A9%9E-10-%E5%8F%AF%E8%83%BD%E5%8B%95%E8%A9%9E/#gsc.tab=0

五段活用動詞の未然形+「れる」が1語の動詞になったもの

(例) 読ま五段未然れる読める

というのがあるが、 <まれる>が可能の意で、<読まれる>ー><読める>と変化した、ということだが、上の<xxえる>の最後で

<える>には可能用法がある。使える
取りえる ー> 取れる
行きえる ー> 行ける
勝ちえる ー> 勝てる

と書いた。これが応用できるだろう。

読みえる (得る)  ー> 読める

が自然だ。だが、実情はもっと複雑のようで、Wiki には<可能動詞>として次のような長い顔説がある。

可能動詞
(かのうどうし)とは、現代日本語共通語)において五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させたもので、可能(行為をすることができること)の意味を表現する。「書く」に対する「書ける」、「打つ」に対する「打てる」の類をいう。室町時代に発生し、次第に元来の可能の助動詞「〜れる」を用いる語法に取って代わった。

可能動詞の例

五段活用動詞 可能動詞
あ行  会う・買う・扱う  会える・買える・扱える
か行  行く・書く・歩く  行ける・書ける・歩ける
が行  漕ぐ・研ぐ・泳ぐ   漕げる・研げる・泳げる

以下略

五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させたもの、とあり、このポスト<日本語の動詞活用、下一段活用と大いに関係がある)

「行くことができる」という可能を表す表現には、「行ける」のほかに「行かれる」もある。「行ける」が可能のみを表すのに対し、「行かれる」は自発尊敬受身の意味でも使われる。

(「行かれる」を「行くことができる」の意で使うことはまでれだ。自発の「行かれる」とはどういう意味か? <行く>は自動詞なので、受身の「行かれる」もよくわからない。<太郎に行かれては困る>という言い方がある。これは<夜中に赤ん坊に泣かれて困った>の類の言い方で、迷惑表現と言える。)

「行かれる」のような「~れる・られる」の形は、古語の「~る・らる」の形から変化したものだが、「行ける」のような可能動詞はそれとの関係は不明である。由来には大きく2説があり、「知るる(知れる)」等からの類推で、従来からあった四段(後に五段)活用動詞に対する下二段(後に下一段)段活用の自発動詞が一般化した(類似の動詞の項を参照)という説[1]と、「行き得(る)」のような「連用形+得(る)」の表現が変化したという説[2]とがある。

下二段(後に下一段)段活用の自発動詞が一般化した、の箇所も下一段活用と大いに関係がある。ここで<自発動詞<とは自動詞のことだろう。だが複雑のようだ。<「行き得(る)」のような「連用形+得(る)」の表現が変化したという説>がだ妥当と思われる。)


可能表現の変化

元来は可能動詞を使わず、動詞の可能を表すには助動詞「る・らる」(現代の「れる・られる」)を用いていた。今は「読む」のような五段活用動詞の可能を表すには、専ら可能動詞を使って「読める」とするが、鎌倉時代頃には「読まるる(読まれる)」の形のみが認められていたのである。

可能動詞の発生は室町時代まで遡るが、多く用いられるようになったのは近代に至ってからである。

そうして可能動詞の使用が一般に広まるにつれ、逆に旧来の可能表現「れる」が耳慣れないという理由だけで疑問視されるような風潮も現われてくる。例えば「○○方面へは行かれません」という道路標識を見て「間違いではないか?」と行政に問い合わせることなどがある[要出典]。しかし「行かれる」など一部の「動詞+れる」については、これを可能の意味で使うことはしばしば行われている[3]


類似の動詞

可能動詞と別に、五段活用に対する下一段活用(古くは下二段活用)の自発動詞も数は少ないが存在する。例えば「切る」に対する「切れる」や、「裂く」に対する「裂ける」などがある。「気が置けない」という慣用句も、「気を置くことができない」ではなく、「気が置かれない」という意味である。

(切る」に対する「切れる」、裂く」に対する「裂ける」が自発動詞トなっているが、「切れる」、「裂ける」は自動詞と見た方がいい。)

注)カッコ内はsptt

 さてカ行五段活用に戻ると

書かない、書こう
書きてー>書いて(音便)
書く
書くとき
書け

Wiki の解説では<書ける>は 

五段活用の動詞を下一段活用動詞に変化させたもの

ということで<書く>を下一段活用動詞に変化させると

未然形 書けーない
連用形 
書けーて、書けーます
終止形 
書けーる
連体形 
書けーるーとき
仮定形 
書けーれば
命令形 
書けーろ 

書け>がややおかしいが、<書く>の可能動詞化と言える。<xく>、<xxく>動詞は少ない。アイウエオ順に並べてみる。

<xく>

あく(空く、開く、飽く、明く)
空く 自動詞 ー 空ける 他動詞   <空ける>に可能の意はない。
開 (あ) く 自動詞 ー 開(あ) ける 他動詞   可能 開かる,開からない
飽く、飽きる 自動詞 ー 飽かす 他動詞   可能 
明く、明ける 自動詞 ー 明かす 他動詞   <明ける>に可能の意はない。 
行く 自動詞   可能 行ける、行けない
置く 他動詞   可能 置ける、置けない

書く 他動詞   可能 書ける、書けない
聞く 他動詞   可能 聞ける、聞けない

効く 自動詞   可能 <効く>自体に能力、可能の意味がある。
割 (さ) く 裂く 他動詞 ー 割ける、裂ける 自動詞、 可能 割ける、割けない、使役 割かす

咲く 自動詞 ー 咲かす 他動詞、使役

避く、避ける 他動詞

急 (せ) く 自動詞/ 他動詞  気がせく、気をせく、息をせく ー 急 (せ) かす 使役

炊 (た) く 他動詞 ー 炊ける 自動詞  可能 炊ける、炊けない 使役 炊かす
付く 自動詞 ー 付ける 他動詞

着く 自動詞 ー 着かす 使役   可能 着ける、着けない 
解く 他動詞 ー 解ける 自動詞  可能 解ける、解けない

溶く 他動詞 ー 溶ける 自動詞  可能 溶ける、溶けない

泣く、鳴く 自動詞 ー 泣かす、鳴かす 使役  可能 鳴ける、鳴けない
抜く 他動詞 ー 抜ける 自動詞  可能 抜ける、抜けない

履 (は) く 他動詞   可能 履ける、履けない

吐く 他動詞   可能 吐ける、吐けない
ひく (引く、曳く、弾く、惹く )

引く 他動詞   可能 引ける、引けない  <気がひける>の<ひける>は自動詞。
曳く 他動詞   可能 曳ける、曳けない
弾く 他動詞   可能 弾ける、弾けない
惹く 他動詞   可能 惹ける、惹けない  <気をひく>の<ひく>。だが<気がひける>の<ひける>とは違うようだ。普通は<気が惹かれる>だろう。

吹く(噴く) 他動詞 ー 吹かす 使役  可能 吹ける、吹けない

拭く 他動詞   可能 拭ける、拭けない

撒 (ま) く向く 他動詞   可能 撒ける、撒けない
剥 (む) く (皮を剥く) 他動詞   可能 剥 (む) ける、剥 (む) けない

焼く 他動詞 ー 焼ける 自動詞   可能 焼ける、焼けない

沸く(湧く) 自動詞 ー 沸かす(湧かす) 他動詞、使役

嗅 (か) ぐ  他動詞   可能 嗅 (か) げる、嗅 (か)げない
漕 (こ) ぐ 他動詞   可能 漕げる、漕げない
削 (そ) ぐ 他動詞   削 (そ) げる 自動詞   可能 削げる、削げない
継 (つ) ぐ 他動詞   可能 継げる、継げない
研 (と) ぐ 他動詞   可能 研げる、研げない
剥 (は) ぐ  剥 (は)ぐる  他動詞 ー 剥 (は) げる 自動詞  可能 剥げる、剥げない、剥ぐれる、剥ぐれない

<道にはぐれる>は別物か? <離れる>の意は同根。

もぐ (梨をもぐ) 他動詞 ー もげる 自動詞   可能 もげる、もげない

問題は自動詞 (Wiki では自発動詞) と可能動詞が同形になる場合だ。

<xxく>、<xxxく>についても少しチェックしてみる。

仰ぐ  可能 仰げる、仰げない
あばく 可能 あばける、あばけない
歩く  可能 歩ける、歩けない
急ぐ  可能 急げる、急げない
動く   可能 動ける、動けない
うずく  
泳ぐ  可能 泳げる、泳げない 

かせぐ 可能 かせげる、かせげない 
かつぐ 可能 かつげる、かつげない 
くじく 他動詞 ー くじける 自動詞

くどく 可能 くどける、くどけない

さばく(裁く) 可能 裁ける、裁けない
そむく  可能 そむける、そむけない   上で取り上げたが<顔をそむける>というい方がある。

たたく 可能 たたける、たたけない
たじろぐ
嫁 (とつ) ぐ  可能 嫁げる、嫁げない 
届く  自動詞 ー 届ける 他動詞  <届く>自体に能力、可能の意味がある。
とどろく(轟く)

なびく 可能 なびける、なびけない
除く  可能 除ける、除けない
のぞく(覗く) 可能 覗ける、覗けない

はじく(弾く) 他動詞 ー はじける 自動詞  可能 はじける、はじけない
はたく  可能 はたける、はたけない
働く   可能 働ける、働けない
省 (はぶ) く  可能 省ける、省けない
ひしめく
響 (ひび) く
ひらめく
ふさぐ(塞ぐ)  他動詞 ー 塞がる 自動詞  可能 塞げる、塞げない
防 (ふせ) ぐ  可能 防げる、防げない

みつぐ(貢ぐ)  可能 貢げる、貢げない

やぶく  他動詞 ー やぶける 自動詞  可能 やぶける、やぶけない

ゆるぐ

問題は自動詞 (Wiki では自発動詞) と可能動詞が同形になる場合だが、以外と少ない。

ところで、<xxける>動詞にはおもしろい動詞がすくない。 アイウエオ順に並べてみると

あざける 他動詞
いじける 自動詞
おじける  (おじる)  自動詞
おどける 自動詞

かまける 自動詞  仕事にかまけて、家庭をおろそかにする
こける 自動詞  づっこける
ころげる、ころがる  自動詞 ー ころがす 他動詞  笑いころげる

しょげる 自動詞   しょげかえる
しらける 自動詞
すすける 自動詞
ずるける 自動詞
そむける 他動詞たいらげる 他動詞

たいらげる 他動詞 ー ?
たまげる 自動詞  方言か?
だらける 自動詞
たわける 自動詞

なまける  他動詞 他動詞 ー 届く 自動詞
にやける 自動詞

はげる  自動詞 ー はがす 他動詞  頭がはげる、ペンキがはげ

ばける (化ける) 自動詞 ー 化かす 他動詞
ひしゃげる、ひしゃぐ  自動詞  方言か? <押しつぶされる>の意。
ふける (老いる)  自動詞
ふざける 自動詞 
ふやける 自動詞
ぼける 自動詞
ほどける 自動詞 ー ほどく 他動詞
ぼろける 自動詞   ぼろけた家、ぼろけた車

むける 自動詞 ー むく 他動詞  一皮 (ひとかわ) むける、リンゴん皮をむく
もげる 自動詞 ー もぐ 他動詞  リンゴをもぐ、もぎとる

共通事項

1)人の否定的、非難的、ほめられたものではない言動を示す自動詞が多い。

あざける
いじける
おじける
おどける
かまける
しょげる
ずるける
だらける
たわける
なまける
にやける
はげる
ふける (老いる)
ふざける
ぼける
ぼろける

2)必要以上の弛緩 (リラックス)、主に人の言動関連 (重複あり)

おどける
しらける
だらける
たわける
なまける
にやける
ふざける
ぼける
ほどける 

3)上の 2) に関連するが  正常、本来からの離脱、変形  (重複あり)

かまける
こける  づっこける
ずるける
だらける
たわける
とける (溶ける)
どける
とろける
なまける
のける
はげる
ばける (化ける)
ひしゃげる
ふける (老いる)
ふやける
ぼける
ほどける
むける (皮がむける)
もげる

2)、3)はある意味ではユーモアの源泉といえる。

4)強調っぽいもの

たいらげる

 ーーーーー

XXせる

あせる 自動詞 ー ?
あびせる 他動詞 ー ?
失 (う) せる 自動詞 ー ?
知らせる 他動詞 ー ? 

済ませる(済ます) 他動詞 ー ?

乗せる 他動詞 ー 乗る 自動詞  バスに乗る
載せる 他動詞 ー 荷物を車に載せる、荷物を棚に載せる
馳 (は) せる(馳す)自動詞 ー ?
伏 (ふ) せる (伏す) 他動詞 ー ? 身を伏せる、身を伏す

<身を>は省略できる。 省略すると自動詞のように見える。

待ち伏せる 他動詞 ー ? これは<待つ>にひかれたものか?
任 (まか) せる (任す) 他動詞 ー ?
ませる 自動詞 ー ?  ませた子
見せる(見す)他動詞 ー ?
むせる 自動詞 ー ?
痩 (や) せる 自動詞 ー ?
寄せる(寄す) 自動詞 / 他動詞  波が寄せる(寄す)。身をを寄せる(寄す)

混 (ま) ぜる 他動詞 ー 混ざる 自動詞 

注)<せる>は使役の助動詞で、未然形+<せる>は使役となるので、これと区別しないといけない。  

行かせる
言わせる
書かせる
させる
立たせる
泣かせる  これは例外で使役とは言い難い。
履かせる
読ませる
割らせる

多様性と言えるが、以上は<xxす>、場合によっては<xxさせる>で 置き換えられる。

行かせる、行かす、行かさせる
言わせる、言わす、言わさせる
書かせる、書かす、書かさせる 

(以下略)

ややこしいのは上の<xxける>で紹介したが "可能動詞" というのがあり (Wiki)

可能動詞(かのうどうし)とは、現代日本語共通語)において五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させたもので、可能(行為をすることができること)の意味を表現する。

というもので

押す ー 押せる
貸す ー 貸せる
消す ー 消せる
越す ー 越せる
こなす ー こなせる
指す、刺す ー  指せる、刺せる
足す ー 足せる
出す ー 出せる
干す ー 干せる
燃す ー 燃せる

さらに、これまたややこしいが

<xxせる>、 <xxす>が両立する動詞がある。使役ではない。<xxす>はやや古い言い方だ。

済ませる ー 済ます  他動詞
馳 (は) せる ー 馳す 自動詞
伏せる  ー 伏す  他動詞
任せる ー 任す   他動詞
寄せる ー 寄す  自動詞 / 他動詞

さらに、漢語+<す (る) >の場合はもっとややこしくなる。

一語漢語+<す (る)>

愛す(る) ー 可能 愛せる、 否定 愛さない (<愛しない>はダメ)
圧す(る) ー 可能 圧せる、 否定 圧さない / 圧しない
案ず(る)(案じる)ー 可能 案ぜる(ダメ)、案じられる (可能、自発)、否定 案じない
介す(る) ー 可能 介せる、介せられる (可能、受身)、否定 介さない  意に介さない
課す (る) ー  可能 課せる、 否定 課さない (<課しない>はダメ)
感ず (る)(感じる) 可能 感ぜる(ダメ)、 感じられる (可能、自発)、感じれる (可能)、否定 感じない
帰す (る) ― 可能 帰せる、帰せられる (可能、受身)、帰せれる (可能)、 否定 帰さない / 帰しない供す (る) (供じる) 可能 供せる、供せられる (可能、受身)、供せれる (可能)、 否定 供さない / 供しない
禁ず (る)(禁じる) 可能 禁ぜる(ダメ)、 禁じられる (可能、受身)、禁じれる (可能)、否定 禁じない
決す (る)  可能 決せる、 決せられる (可能)、決せれる (可能)、否定 決しない
献ず (る)(献じる) 可能 献ぜる(ダメ)、献じられる (可能、受身)、献じれる (可能)、 否定 献じない
参ず (る)(参じる) 可能 参ぜる(ダメ)、参じられる (可能)、参じれる (可能)、 否定 参じない
称する  可能 称せる、称せられる (可能、受身)、称せれる (可能)、 否定 称さない
信ず (る)(信じる) 可能 信ぜる(ダメ)、信じられる (可能)、参じれる (可能)、 否定 信じない
制す (る)  可能 制せる、制せられる (可能、受身)、 否定 制さない / 制しない
煎ず (る)(煎じる) 可能 煎ぜる(ほぼダメ)、煎じられる (可能、受身)、煎じれる (可能)、 否定 煎じない
先ず (る)(先じる) 可能 先ぜる(ほぼダメ)、先じられる (可能、受身)、先じれる (可能)、 否定 先じない
損ず (る)(損じる) 可能 損ぜる(ダメ)、損じれる (可能)、 否定 損じない
達す(る)  可能 達せる(ダメ)、達せられる (可能、受身、自発)、達せれる (可能)、 否定 達しない (達さない)
徴す(る)  可能 徴せる、徴せられる (可能、受身)、徴せれる (可能)、否定 徴さない / 徴しない
呈す(る)  可能 呈せる、呈せられる (可能、受身)、呈せれる (可能)、否定 呈さない / 呈しない
徹す(る)  可能 徹せる、徹せられる (可能、受身)、徹せれる (可能)、否定 徹しない
任ず (る) (任じる) 可能 任ぜる(ほぼダメ)、任じられる (受身)、任じれる (可能)、否定 任じない
排す (る)  可能 排せる、排せられる (受身)、排せれる (可能)、否定 排さない 
免じる(免じる) 可能 免ぜる(ほぼダメ)、免じられる (可能、受身)、免じれる (可能)、免じられる (受身)、否定 免じない
要す(る) 可能 要せる、要せられる (可能、受身)要せれる (可能)、否定 要さない / 要しない

一語漢語+<す (る)>は相当ややこしい。<ややこしい>理由の一つは大和言葉+<す>との混乱だろう。

<する>は古語の<す>由来。ともにサ行変格活用で 

古語の<す>

未然形 せーず、せーば(仮定)
連用形 し―て
終止形 す
連体形 するーときi
已然形 すーれば
命令形 せ ーよ 

<する>

未然形 しーない、される(受身)
連用形 し―て、しーます
終止形 する
連体形 するーとき
仮定形 すれーば
命令形 し ーろ

例えば

愛す(る) ー 可能 愛せる、 否定 愛さない (<愛しない>はダメ)
課す (る) ー  可能 課せる、 否定 課さない (<課しない>はダメ)
介す(る) ー 可能 介せる、介せられる (可能、受身)、否定 介さない  意に介さない<意に介しない>はほぼダメ。
供す (る) (供じる) 可能 供せる、供せられる (可能、受身)、供せれる (可能)、 否定 供さない / 供しない
称する  可能 称せる、称せられる (可能、受身)、称せれる (可能)、 否定 称さない  / 称しない  
制す (る)  可能 制せる、制せられる (可能、受身)、 否定 制さない (<制しない>はほぼダメ)
徴す(る)  可能 徴せる、徴せられる (可能、受身)、徴せれる (可能)、否定 徴さない / 徴しない  
排す (る)  ー 可能 排せる、排せれる (可能)、排せられる (受身)、否定 排さない / 排しない
要す(る) 可能 要せる、要せられる (可能、受身)要せれる (可能)、否定 要さない / 要しない 

以上は可能<xxせる>がOK。すなわち、五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させた可能形とみなせる。たとえば、愛す(る) の可能形は

未然形 愛せーない
連用形 
愛せーて、愛せーます
終止形 
愛せーる
連体形 
愛せーるーとき
仮定
形 愛せーれば
命令形 

ところで、愛す(る) の標準形は、サ行変格活用<する>を使うと
 
未然形 しーない、される(受身)
連用形 し―て、しーます
終止形 する
連体形 するーとき
仮定形 すれーば
命令形 し ーろ
 
ところが
 
愛す(る) ー 可能 愛せる、 否定 愛さない (<愛しない>はダメ)

で、<愛しない>はダメなのだ。これはどうしたことか?
 
現代語ではサ行五段活用というのがある。

Wiki

話す
hanasu
- - - - - - -

これを応用すると

未然形 さーない、される(受身)、ーそう (意思)
連用形 し―て、しーます
終止形 する
連体形 するーとき
仮定形 せーば
命令形 
(意思形 ーそう)
 
これからすると<する>はサ行五段活用。
 
課す (る)、介す(る)も同様。だが曖昧なのもある。
 
供さない / 供しない
称さない / 称しない
徴さない / 徴しない 
排さない / 排しない
要さない / 要しない   
 
 
ニ語漢語+<せる>は可能にならない。
 
考慮す (る) 考慮せる
詮索す   詮索せる
探索す   探索せる
難航す   難航せる
排除す   排除せる
判断す   判断せる
満足す   満足せる
免除す   免除せる
憂慮す   憂慮せる

 ニ語漢語+<す (る)>の可能は

考慮できる
詮索できる

(以下略)

のように<できる>となるようだ。

ニ語漢語+<せる>は一語漢語+<せる>に比べ、簡単、規則的なようだ。

ーーーーー

XXてる

当てる 他動詞 ー 当たる 自動詞
あわてる 自動詞 ー ?
おだてる 他動詞 ー ?
企 (くわだ)てる 他動詞 ー ?
捨てる 他動詞 ー ?
育てる 他動詞  ー 育つ 自動詞
立てる 他動詞 ー 立つ 自動詞
果てる 自動詞 ー 果たす 他動詞 <果たす>は<果てる>に対応していない。
ばてる 自動詞  口語 ー ?
隔 (へだ) てる 他動詞 ー 隔 (へだ) たる 自動詞
ふてる 自動詞  口語 ー ?  ふてくされる
ほてる (火照る)  自動詞 ー ?
満てる 他動詞 ー 満 (みち) る 自動詞  <満 (みち) る>は<満てる>に対応していない。

ーーーーー

出る 自動詞 ー 出す 他動詞

かなでる 他動詞 ー ?
なでる (撫でる)  他動詞
茹 (ゆで) る 他動詞 ー ゆだる 自動詞


ーーーーー

<勝てる>は<勝ち得る>由来と思われるが、<勝つ>が基本語でタ行五段活用。タ行五段活用 (xxつ) には

うがつ (穿つ)  ー 可能 うがてる
打つ ー 可能 打てる
かこつ ー 可能 かこてる(ほぼダメ)
勝つ 自動詞 ー 可能 勝てる
育つ 自動詞 ー 育てる 他動詞、可能 育てる(ダメ)
立つ 自動詞 ー 立てる 他動詞 旗を立てる、可能 立てる(自分で立つことができる) 
建つ 自動詞 ー 建てる 他動詞 可能 建てる(ダメ) 可能 建てえる  <建つ>は<立つ>と字が違うが同じ意味だろう。だが、可能<建てる>がダメだ。
断つ 他動詞 ー 可能 断てる
経 (た) つ 自動詞 時間、日が経つ ー 可能 経 (た) てる(ダメ)
保 (たも) つ ー 可能 保てる
放 (はな) つ  ー 可能 放てる
待つ ー 可能 待てる
満つ 自動詞 ー 可能 満てる(ダメ) <満つ>は古語っぽい。現代語は<満ちる>か。他動詞は<満たす>でややこしい。
持つ ー 可能 持てる
分 (わ) かつ ー 可能 分 (わ) かてる

普通は

分ける 他動詞 ー 分かれる 自動詞

これは上で何度か述べた五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させた可能形とみなせる、がなり立つと言える。

<落><満つ (る)>は古語で。現代語は<落ちる>、<満ちる>。<落ちる>、<満ちる>は上一段活用だ。

未然形 落ちーない、される(受身)、落ちーそう (推量)
連用形 
落ち―て、落ちーます
終止形 
落ち
連体形 
落ちるーとき
仮定形 
落ちれーば
命令形 
落ちーろ
 
<xxてる>動詞、タ行五段活用動詞 (xxつ) は少ないといえる。 一方
 
立つ 自動詞 = 立てる 他動詞
 
の関連語は多い。アイウエオ順に並べられる。
 
立つ 自動詞
 
(あら) 立つ  自動詞 ー 荒立てる 他動詞
泡立つ 自動詞
いきり立つ 自動詞
色めき立つ 自動詞
いら (だ) つ 自動詞
浮き立つ 自動詞
降 (お) り立つ  自動詞
 
切り立つ  自動詞  切り立った山々
際 (きわ) 立 (だ) つ   自動詞
けしき立 (だ) つ  自動詞
 
ざわめき立つ  自動詞
そそり立つ  自動詞  そそり立つ高層ビル
そびえ立つ 自動詞  そびえ立った山々
 
波立つ 自動詞 ー 立てる 他動詞
なり立つ 自動詞 ー なり立たす 他動詞
 
ふるい立つ 自動詞 ー ふるい立てる、ふるい立たす 他動詞
 
目立つ 自動詞 ー 目立てる (可能)、立たす 他動詞
 
沸 (わ) き立つ 自動詞 
 
=====
 
立てる 他動詞 

あばき立てる
言い立てる
打ち立てる
うなり立てる
うめき立てる

飾り立てる
駆 (か) り立てる
組み立てる
くわ立 (だ) てる(企てる)

けし立てる

騒 (さわ) ぎ立てる
仕立てる
責 (せ) め立てる
そば立てる  耳をそば立てる

取り立てる

煮立てる

引き立てる

吠え立てる

まくし立てる
見立てる
盛り立てる

わめき立てる

ーーーーー

XXねる

寝る 自動詞 ー ?  

うねる 自動詞 ー ?  
おもねる 自動詞 ー ?  

重 (かさ) ねる 他動詞 ー 重なる 自動詞
兼 (か) ねる 他動詞 ー ?
くねる 自動詞 ー ?
くすねる 他動詞 ー ?
こねる 他動詞 ー ?

すねる  自動詞 ー ?
そこねる(損なう)他動詞 ー ?

訪 (たず) ねる 他動詞 ー ?
尋 (たず) ねる 他動詞 ー ?  
束 (たば) ねる  他動詞 ー ?
つねる  他動詞 ー ?
連 (つら) ねる  他動詞 ー 連なる 自動詞

跳 (は) ねる  自動詞 ー ?  
ひねる  他動詞 ー ?  

まねる (真似る)  他動詞 ー ?  

委 (ゆだ) ねる  他動詞 ー ?

ナ行五段活用動詞は、現代語では<死ぬ>だけ。古語では<往ぬ去ぬ>があった。これはめずらしいことと言える。これは古後で助動詞の<ぬ>があったためではないか。

未然形 死なーない、される(受身)、死のーう (推量形、意思形)
連用形 
死に―て、音便 死んで、死にます
終止形 
死ぬ
連体形 
死ぬーとき
仮定形 
死ねーば
命令形 
死ね
 
未然形の<死なされる(受身)>は普通は<殺される>だろう。<死ぬ>は自動詞なので、受身は変だ。
 
可能形は<死ねる> で、規則的にナ行下一段活用になる。
 
未然形 死ねーない、死ねられる、死ねれる(受身)、死ねーよう (推量形、意思形)
連用形 
死ね―て、死ねます
終止形 
死ね
連体形 死ねーとき
仮定形 
死ねれーば
命令形 
死ね
 
Wiki 
 

古典日本語 
 
助動詞

  1. (完了) 物事が完了したことをしめす。―してしまった。

活用: 古語: 完了

連用形接続
未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ぬるぬれ
 
 ”
 
未然形 夏来なーば (夏が来れば)
連用形 夏来にーて
終止形 夏来ぬ 
連体形 夏来ぬる―とき
已然形 夏来ぬれーば (夏が来るので、夏が来たので) 

ーーーーー

 XXへる

古語<xxふ>由来、関連で、現代語では<xxえる> 。始めの方の<XXえる>参照。

XXべる

浮かべる 他動詞 ー 浮かぶ 自動詞
くべる  他動詞  まきをくべる ー ?  
比 (くら) べる  他動詞 ー ?
しゃべる  自動詞 / 他動詞 ー よくしゃべる / フランス語をしゃべる
調 (しら) べる  他動詞 ー ?
滑 (すべ) る  他動詞 ー ?
食べる 他動詞 ー ?
並 (なら) べる  他動詞 ー 並ぶ 自動詞
寝 (ね) そべる  自動詞 ー ?  
述 (の) べる  他動詞 ー ?
侍 (は) べる  自動詞 ー ?  

五段活用動詞<xxぶ>を下一段活用の動詞に変化させた可能形

遊ぶ  自動詞 ー 可能 遊べる
浮かぶ  自動詞 ー 可能 浮かべる(ダメ) 浮かべられる、浮かべれる
選ぶ  他動詞 ー 可能 選べる
及ぶ  自動詞 ー 可能 及べる(ほぼダメ)
ころぶ  自動詞 ー 可能 ころべる (?)
忍 (しの) ぶ  他動詞 ー 可能 忍べる
すさぶ  自動詞 ー 可能 ?
飛ぶ  自動詞 ー 可能 飛べる
尊 (とうと) ぶ   他動詞 ー 可能 尊べる
運 (はこ) ぶ  他動詞 ー 可能 運べる
滅 (ほろ) ぶ 自動詞 ー 可能 滅べる (?)
学ぶ 他動詞 ー 可能 学べる
結ぶ 他動詞 ー 可能 結べる
喜 (よろこ) ぶ  自 / 他動詞 ー 可能 喜べる

自動詞は<xxべる>可能形になりにくい。

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 XXめる

温 (あた) める、暖める 他動詞 ー 温まる、暖まる 自動詞 
収 (おさ) める、治める 他動詞 ー 収 (おさ) まる、治まる 自動詞 
からめる 他動詞 ー からまる 自動詞
したためる  他動詞 ー ?
染める 他動詞 ー 染まる 自動詞
とどめる 他動詞 ー とどまる 自動詞  
眺 (なが) める 他動詞 ー ?
ぬくめる (温める)  他動詞 ー ぬくまる 自動詞

別のポスト

まる-める動詞 - II October 24, 2018

で詳しくチェックしてある。 <xxめる>は下一段活用になり。<xxめる>動詞はいくらでもる。

基本的には

<xxめる>は他動詞、<xxまる>は自動詞。<xxめる>も< 五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させた可能形>をチェックしてみる。

A. 形容詞の動詞化(自動詞-他動詞の組み)

丸(まる)い - まるまる(まるくなる) - まるめる(まるくする)
高い - 高まる - 高める
低い - 低まる(低くなる) - 低める(低くする)
はやい(早い、速い) - はやまる - はやめる
遅い(おそ) - (遅まる)遅くなる - (遅める)遅くする
広い - 広まる - 広める  (広がる - 広げる、というのもある。)
せまい - せばまる - せばめる  (これは発音からは例外だ)
近い - 近まる(近くなる)- 近める(近くする)、近づける
遠い - 遠まる(遠くなる) - 遠める(遠くする)、遠ざける
固(かた)い、 - 固まる - 固める
浅(あさ)い - 浅くなる - 浅くする
深(ふ)い - 深まる(深くなる) - 深める(深くする)
薄(うす)い - 薄まる(薄くなる) - 薄める(薄くする)
厚(あつ)い - 
まる(くなる) - める(くする)
清い - 清まる - 清める
きたない -  きたなくなる - きたなくする

赤(あか)い - 赤まる(赤くなる) - 赤める(赤くする) 

五段活用の動詞(xxまる)を下一段活用の動詞(xxめる)に変化させたものだが規則的に可能形にならない


B. 形容動詞

あたたかな - あたたむ - あたたまる - あたためる
あらたな - あらたむ - あらたまる - あらためる (改まる - 改める)
しずかな - (静む) - しずまる - しずめる

例がすくないが、上の形容詞と同様


五段活用の動詞(xxまる)を下一段活用の動詞(xxめる)に変化させたものだが規則的に可能形にならない

C. <xむ>、<xxむ>動詞の変化

<xむ>動詞

うむ(埋む)- 埋まる - 埋める
きむ(決む) - 決まる - 決める
こむ(込む) - (こまる、困る) - 込める
しむ(閉む、締む) - しまる -  しめる  
そむ(染む) - 染まる - 染める
たむ(貯む) - たまる - ためる
つむ(詰む) - 詰まる - 詰める
とむ(止む) - 止まる - 止める
はむ(嵌む) - はまる - はめる
やむ(已む、止む) - やまる - やめる  雨がやむ、痛みがやむ(やまる)

例外
せむ(攻む) - (迫る) - 攻める  
せむ(責む) - (  ) - 責める
(なむ) - なまる(訛る) - なめる(舐める)
つむ(積む) - 積まる - 積める   
<積む>は他動詞、<積まる>自動詞、可能は<積める>自/他動詞、可能。


<xxむ>動詞

おさむ -おさまる(収、納、治、修まる) - おさめる(収、納、治、修める)
かがむ - かがまる - かがめる
かたむ(固む) - かたまる - かためる
からむ(絡む) - からまる - からめる     <絡>の字を使わず、平仮名がいい。
きわむ - きわまる - きわめる
くるむ - くるまる - くるめる     首をすくめる
さだむ(定む) - 定まる - 定める
しずむ(沈む) - しずまる - しずめる    <-- しずかな (形容動詞)
すくむ - すくまる - すくめる  
首をすくめる 

つとむ(務む) - つとまる - つとめる   <つとまる>は自発、可能
ぬるむ - ぬるまる - ぬるめる  
とどむ(留む) - 留まる - 留める
はじむ(始む) - 始まる - 始める
やすむ - やすまる - やすめる    <やすまる>は自動詞、自発、可能 。意味も<やすむ>とズレがある。
ゆるむ - ゆるまる - ゆるめる      <ゆるまる>は自発度が高いか。

左側の<xxむ>は大体古語だ。

すずむ - すずまる - すずめる 可能
なごむ - なごまる - なごめる
 可能   
みとむ(認む) - (認まる) - 認める

<xむ>動詞、<xxむ>動詞はかなりあるが<まるーめる>組(ペア)は限られている。別のポスト ” うらみ、つらみの<xx む(mu)>動詞 “ 参照。

動詞に関しては、少ないが
下一段活用の動詞(xxめる)で可能形になるものがある。別途検討予定。

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XXれる

あきれる  自動詞 ー ?
あこがれる  自動詞 ー ?
あばれる  自動詞 ー ?
いかれる (ダメになる)   自動詞 ー ?
浮 (う) かれる  自動詞 ー ?
恐 (おそ) れる  他動詞 ー ? 

枯 (か) れる  自動詞 ー 枯らす 他動詞
かすれる  自動詞 ー かすらす、かすれさす 他動詞
くずれる (崩れる)  自動詞 ー くずす 他動詞
けがれる  自動詞 ー けがす 他動詞
こすれる  自動詞 ー こする 他動詞 
壊 (こわ) れる  自動詞 ー 壊す 他動詞

しおれる (萎れる)  自動詞 ー しおらす  他動詞
擦 (す) れる  自動詞 ー 擦る 他動詞
それる (反れる、外れる) 自動詞 ー そらす 他動詞

垂 (た) れる 自動詞 ー 垂らす 他動詞
だれる 自動詞 ー
てれる (照れる)  自動詞 ー

とれる 自動詞 ー とる (取る) 他動詞  ボタンがとれる

発音は同じだが、<取れる>は可能。背が高いので棚の上のモノが取れる。

<とる>は多義語。

とれる 自動詞 ー とる (獲る) 他動詞  ここは魚がよくとれる。魚をとる

流 (なが) れる 自動詞 ー 流す 他動詞
濡 (ぬ) れる 自動詞 ー 濡らす 他動詞

はぐれる  自動詞 ー はぐらかす 他動詞  意味がズレている。
晴 (は) れる  自動詞 ー 晴らす 他動詞  意味がズレている。
腫 (は) れる  自動詞 ー 腫らす 他動詞  目を腫らす(能動的に腫らすわけではない。腹がすくー 腹をすかす)

ばれる  自動詞 ー ばらす 他動詞  秘密がばれる、秘密をばらす (口語) 

<ばらす>は<ばらばらにする>の意もある。 (口語)
剥 (は) がれる  自動詞 ー 剥 (は) がす他動詞
触 (ふ) れる  自動詞 ー  xxに触れる 英語の to touch は他動詞
へこたれる  自動詞 ー 

蒸 (む) れる  自動詞 ー 蒸す、蒸らす 他動詞
漏 (も) れる  自動詞 ー 漏らす 他動詞  

<漏る>は自動詞。<漏る>、<漏れる>は全く同様ではない。

水が漏れる、水が漏る
噂 (うわさ) が漏れる、噂が漏る(ダメ)

もつれる  自動詞 ー

やつれる  自動詞 ー やつす 他動詞 身をやつす

汚 (よご) れる  自動詞 ー 汚す 他動詞

割 (わ) れる  自動詞 ー 割る 他動詞

忘 (わす) れる 他動詞 ー ?  

<xxれる>は圧倒的に自動詞だ。

注)<れる>は受身の助動詞で、未然形+<れる>は受身となるので、これと区別しないといけない。

五段活用未然形+れる

くずす 他動詞 ー くずされる 受身
壊 (こわ) す 他動詞 ー 壊される 受身
取る 他動詞 ー 取られる 受身
流す 他動詞 ー 流される 受身
濡らす 他動詞 ー 濡される 受身
汚す 他動詞 ー 汚される 受身
割る 他動詞 ー 割られる 受身

以上は<受身>というよりは<被害>だ。 繰り返しなるが五段活用を下一段活用にすると可能形になる。

くずす 他動詞 ー くずせる
壊す 他動詞 ー 壊せる
取る 他動詞 ー 取れる
流す 他動詞 ー 流せる
濡らす 他動詞 ー 濡せる
汚す 他動詞 ー 汚せる
割る 他動詞 ー 割れる 可能、自動詞

基本的に、自動詞の受身形はない。割れられる (ダメ)、割られる。

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相当長くなってしまったが、以上からすると、下一段活用動詞は

1)上一段活用動詞に比べ格段に多い。

これは<e>の方が<i>に比べて発音しやすい (発音が楽な) ためではないか?

2)自動詞、他動詞が入りま混じっているが<xxねる>、<xxめる>は他動詞が多い。一方<xxれる>は自動詞が多い。<れる>は受身、自発の助動詞。

3) 五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させた可能形が多く認められる。これはこのポストを書いているうちに見つけた。相当の規則性がある。

 

sptt