Thursday, July 24, 2025

ヘンテコな他動詞<たずさえる>、自動詞<たずさわる>

 

他動詞<たずさえる>と自動詞<たずさわる>では意味にズレがある。

古語<づさふ>は

[一] 自動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

手を取りあう。連れ立つ。連れ添う。

出典万葉集 七二八

「吾妹子(わぎもこ)とたづさひ行きてたぐひて居(を)らむ」

[訳] あなたと連れ立って行って、一緒にいよう。

の自動詞と

[二] 他動詞ハ行下二段活用 活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
 
がある。

手に持つ。携帯する。携える。

これは現代語<たずさえる> の意と同じだ。

みやげをたずさえて (携えて) 故郷に帰る。

<手にもって>、<携帯して> 故郷に帰る。

では日本語の味がない。

一方<たずさわる>の古語は<たづさはる>で自動詞だが

自動詞ラ行四段活用

活用{ら/り/る/る/れ/れ}

① 手を取り合う。

出典万葉集 九〇四

「夕星(ゆふつづ)の夕べになればいざ寝よと手をたづさはり」

[訳] 夕方の星の出る夕べになると、さあ寝なさいと手を取り合い。

(<を>取るので自動詞というよりは他動詞。<たづさはり>自体に<手を取り合う>の意味があるので<夕星(ゆふつづ)の夕べになればいざ寝よとたづさはり> でも通じるはずだ。これであれば自動詞でもいさそう。

② 連れ立つ。

出典万葉集 三九九三

「思ふどち馬うち群れてたづさはり」

[訳] 親しい仲間が馬に乗って集まり連れ立ち。

( ①と②の意味は上の古語<たずさふ>の

[一] 自動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

手を取りあう。連れ立つ。連れ添う

とほぼ同じ。)

③ かかわり合う。関係する。

出典徒然草 一六七

「一道にたづさはる人」

[訳] 一つの専門の道にかかわり合う人

 <たずさわる>と<③ かかわり合う。関係する>は似たようなところがある。一方

① 手を取り合う。
② 連れ立つ。
 
は現代語の<たずさわる>とは関係が薄い。

頭の<た>は 訳文に見えるがに<手>の意だ。

手折る ー> たおる
手の心  ー>たなごころ (手のひら 
手綱 (たづな)

などと言うのがある。したがって、古語<言葉が誕生したころは<手>の意味があったであろう。したがって

手を取りあう。(手を取って) 連れ立つ。手を取って) 連れ添う。 

が原意。古語の<づさはる>では、これが<かかわり合う。関係する>の意味に変わって行ったことになる。上記の

③ かかわり合う。関係する。

出典徒然草 一六七

「一道にたづさはる人」

[訳] 一つの専門の道にかかわり合う人

ここで注意したいのは<たさはる>ではなく<たさはる>。ほとんど聞かないが

という言葉があり、関連語かもしれない。 

"  
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12180529352

<たずさわる>の<かかわり合う。関係する>という意味は、<手>を使うと

手を出す
手を入れる
手を突っ込む (首を突っ込む)
 
というような言い方がある。

<かかわり合う、関係する>に関連しては
 
 抱 (かか) える 他動詞 (抱 ふ)ー ?  かかわる(関わる)(かかはる)
 
というのがある。 <?>マークつきだが、<関わる>の漢字にだまされてはいけない。
 
これは別途検討。 

 
sptt

No comments:

Post a Comment