<抱える>は他動詞、<関わる、係る>は<xxに関わる、係る>で 自動詞。一見関係なさそうだが、平仮名で書けば、または耳で聞けば
<かかえる>ー<かかわる>
<関わる、係る>の方は多くは<xxに関わる、係る>と使うが
xxは (が) yyに関わって、係わっている
という純自動詞的な言い方がある。少しよく考えると、<関わる、係る>の漢字に惑わさられなければ、話は違ってくる。
一方、<抱える>は<だきかかえる>とも言えるが、<抱 (だ) き抱 (かか) える>とは書かない。したがって<抱く>の<抱>も<抱える>の<抱>もかなりの当て字だ。
<かかえる>ー<かかわる>
で話を進めよう。
<かかえる>は上記のように物理的、身体動作的には<だきかかえる>だが、比喩的に
問題をかかえる
借金をかかえる
などと言う。一般的には<自分の内に持つ>と言えそう。あたり前だが<何かを自分の内に持つ>とその何かと自分との間に関係、<かかわり合い>ができる、生じる。<できる>、<生じる>は典型的な自動詞だ。つまりは<かかえる>と<かかわり>ができる、生じるのだ。
これで<終わり、以上>でもいいのだが、<かかえる>と<かかわる>の言葉をもう少しチェックしてみる。<かかえる>の古語は<かかふ>で、ネット辞典では
https://kobun.weblio.jp/content/%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%81%B5
かか・ふ 【抱ふ】
[一]他動詞ハ行下二段活用活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
① 抱きかかえる。
② 自分に課せられたものとして持つ。かかえる。
出典平家物語 一一・鶏合壇浦合戦[訳] これ程の大事をこのさきに抱えているのに。
③ 召しかかえる。雇い入れる。
という解説がある。
一方<かかわる>の古語は<かかはる>で、ネット辞典では
https://kobun.weblio.jp/content/%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%81%AF%E3%82%8B
かかは・る 【係はる・関はる】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
かかわりあいになる。関係をもつ。
出典蜻蛉日記 上
「かかる所も、とりつくろひかかはる人もなければ」
[訳] このような所も、手入れをしかかわりあいになる人もないので。
という解説がある。
これからすると、古語の<かかふ>、<かかはる> は昔から現代語の<かかえる>、<かかわる>のような独立した意味で使われていたようで他動詞<かかふ>から自動詞<かかはる>に転用されていった形跡がすぐには見いだせない。
<かかふ>、<かかはる>の関係、つまりは、他動詞と自動詞では意味にズレがある動詞では、最近調べているが、
たずさえる (たづさふ)他動詞 ー たずさわる 自動詞受ける (受く) 他動詞 ー 受かる 自動詞
従 (したが) える (従ふ) 他動詞 ー 従う (従ふ) 自動詞 (したがって)
もややズレがある。古語<従ふ>はややこしい。他動詞養蜂と自動詞用法がある。
一方、ズレがあまりない動詞もある。
植 (う) える 他動詞 ー 植わる 自動詞 庭にxxが植わっている。
備 (そな) える 他動詞 ー 備わる 自動詞 xxが備わっている
つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞 (これもややズレがある)
伝 (つた) える 他動詞 ー 伝わる 自動詞
ところで、<関わる、係る (かかわる) >では
掛 (か) ける 他動詞 ー 掛 (か) かる 自動詞
があり、これまた漢字にとらわれなければ
かける 他動詞 ー かかる 自動詞
<かかる>の方は意味としては、物理的、身体動作的には<引っかかる>だが、比喩的には
yyは (が) xxにかかる
で<関係する>の意で使われる。同義語とも言える。
できるかできないかは努力にかかっている。できるかできないかは努力にかかわっている。
<かわる>は<かかえる>よりも<かかる>由来の線が濃いようだ。
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