Saturday, December 21, 2024

日本語の複合動詞<xxまちがえる>、<xxちがえる>

別のポスト

spttやまとととばじてん " <失敗する>のやまとことば "で


見そこなう /  見そこねる  慣用用法で  to fail to see ではなく、人物評価をまちがえる。
見そびれる                             これが to fail to see になる。

<見る>関連の失敗では

見あやまる
見落とす
見くびる
見過ごす
見まちがえる
見ちがえる  慣用用法がある 花子は大きくなると、見違えるほどの美人になった。

がある。

と書いて、<見まちがえる>と<見ちがえる>の 違いにふれたが、他の<xxまちがえる>、<xxちがえる>をチェックしてみる。例によってアイウエオ順。

 <xxまちがえる>は汎用性がある

言いまちがえる / ちがえる
打ちまちがえる / ちがえる
売りまちがえる / ちがえる
選びまちがえる / ちがえる
送りまちがえる  普通は、送り先をまちがえる
押しまちがえる / ちがえる   ボタンを押しまちがえる
降 (お) りまちがえる / ちがえる

買いまちがえる / ちがえる
書きまちがえる
数えまちがえる / 数えちがえる
切りまちがえる

指しまちがえる
差しまちがえる   差すものや差すところをまちがえる
刺しまちがえる   刺すものや刺すところをまちがえる 
刺しちがえる  ナイフや、昔は刀で互いに刺し合う

漢字はちがうが<指す><差す><刺す>は広い意味で同義語。

出しまちがえる / ちがえる

並びまちがえる / 並べまちがえる
乗りまちがえる

はかり (計り) まちがえる
踏むまちがえる / 踏ちがえる

階段を踏ちがえる、アクセルとブレーキを踏むまちがえる / 踏ちがえる
道を踏みちがえる (踏ちがえる、慣用用法:道を踏みあやまる)

見まちがえる / 見ちがえる   上記参照

やりまちがえる
呼びまちがえる

<xxちがえる>はおもしろい慣用用法がある。

行きまちがえる ー 行き先をまちがえる
行きちがえる / 行きちがう (常用)  ー なにかのまちがいで、会う予定の相手に会えない

入れまちがえる
入れちがえる   慣用用法:ある人が出たすぐあとに別の人がはいってきて、行きちがいになる。入れちが。太郎と入れちがいに花子が入ってきた。

聞きまちがえる / 聞きちがえる (常用) ー まちがって聞きとる、あることを他のこととして聞きとる

食 (く) いまちがえる / くいちがえる  ー 食べ物で、間違ったものを食べる
くいちがう (常用)  ー 合うわない、一致しない (自動詞)

取りまちがえる ー まちがったものを取る
とりちがえる (常用)  ー 普通二つのものを、なにかのまちがいで、一方を他方のものとして理解する

寝まちがえる  必ずしも<寝方をまちがえる>にはならない。
寝ちがえる   慣用用法:寝方が悪くて、首筋などを痛める。

履 (は) きまちがえる ー 履物を履きまちがえる
はきちがえる (常用)  ー 普通二つのものを、なにかのまちがいで、一方を他方のものとして理解する

読みまちがえる / ちがえる  慣用用法:予測をまちがえる


 (追加予定)

ーーーーー

ちがえる ー まちがえる、誤る以外に

ちがうようにする、ちがうように見えるようにする to differentiate  区別する

たがえる  ー まちがえる、誤る以外に

<交わらせる>。ふつうは二本の細長いもの十字に<交わらせる>。だが、こうすると<とりちがえ>や<はきちがい>が生じる可能性がある。さらには

 そむく、反する (たがう)

の意もある。

 

 

sptt

Sunday, December 15, 2024

日本語の複合動詞<xxそこなう>、<xxそこねる>

 

前回のポスト

" 日本語の複合動詞<xx 落ちる、落とす>" の最後で、

"

一体、<財布を落とす>はおかしな言い方だ。 <落とす>意思はないだろう。

言い落とす  言い忘れる
聞き落とす  聞き逃す
見落とす   見逃す

があるので

思い落とす
考え落とす

があってもよさそうだが、聞かない。

:"
と書いたが。これを考えているうちにおもしろい複合動詞構成用の言葉が次々と出てきた。

xxそこなう
xxそこねる
xxそびれる
xxちがえる
xxまちがえる
xx忘れる (前回のポストで<xx落とす>に関連して出てきている)

特に

xxそこなう

は汎用性が高く、またおもしろい。

 <そこなう>と<そこねる>はコンピュタワープロでは

そこなう ー 損なう
そこねる ー 損ねる

と出てくる。

引用が長くなるがネット辞書では

 

そこな・う〔そこなふ〕【損なう/害う】の解説

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%90%8D%E3%81%AA%E3%81%86/


[動ワ五(ハ四)]
物をこわして、だめにする。傷つける。「器物を—・う」
人の気持ちやからだの調子を悪くする。「感情を—・う」「健康を—・う」
殺傷する。「一兵も—・うことなく
動詞の連用形に付いて)

㋐…するのに失敗する。「書き—・う」
㋑…する機会を逸する。「乗り—・う」「見舞状を出し—・う」


そこ・ねる【損ねる】の解説

[動ナ下一][文]そこ・ぬ[ナ下

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%90%8D%E3%81%AD%E3%82%8B/#jn-130447



㋐人の気持ちを傷つける。「機嫌を—・ねる」「感情を—・ねる」
㋑からだの調子を悪くする。「働きすぎて健康を—・ねる」



㋐物がこわれる。傷がつく。「私の琵琶はちと—・ねて役に立ちませぬ」〈虎寛狂・伯養〉
㋑気持ちなどが、悪い状態になる。「ちと機嫌が—・ねた」〈虎寛狂・子盗人

(これは自動詞用法で、例文は古文のようだ。<機嫌をそこねる>が現代語だが、<機嫌がそこねた>もわるくない。sptt)

 
動詞の連用形に付いて)

㋐…するのに失敗する。「買い—・ねる」

㋑…する機会を失う。「言い—・ねる」

 ”

<そこなう>は<害う>という漢字も出てくる。複合動詞用法(動詞の連用形に付いて)では、<xxそこなう>、<xxそこねる>もほぼ同じ。

英語で言えば

 ㋐…するのに失敗する。

to fail to do、to fail in doing  (自動詞)

to fail to do something、to fail in doing something (他動詞)

㋑…する機会を失う>は英語で言えば

 to miss a chance to do

<xxする機会を失う>では、これまたおもしろい、これに特化したような<xxそびれる>がある。 

"

そび・れるの解説

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%81%9D%E3%81%B3%E3%82%8C%E3%82%8B/

[動ラ下一][文]そび・る[ラ下二]その行為をする機会を失う。…しそこなう。多く動詞の連用形に付いて用いられる。「つい聞き—・れた」
出典:デジタル大辞泉(小学館)

"

<そびれる>は漢字がでてこない<純やまと言葉>だ。もっとも<そこなう>も<そこねる>も漢字を使わなければ<純やまと言葉>だ。

漢語由来では<xx損 (そん) じ>があるが。少数派で意味、使われ方は限られるようだ。例によって、アイウエオ順に書き出してみる。上で書いたように、<xxそこなう>、<xxそこねる>は汎用性が高く、意味を成せば何にでもつくと言っていい。

1)自動詞+ そこなう

会いそこなう
行きそこなう
受かりそこなう   試験に受かりそこなった、受かりそこねた。
降 (お) りそこなう
しそこなう、 漢語+し (<する>の連用形) +そこなう
飛行機が離陸 / 着陸しそこなう、合意しそこなう(自動詞)
(できそこなう)  できそこない
出そこなう
xxになりそこなう
乗りそこなう
入 (はい) りそこなう

(追加予定)

大体<xxそこねる>で言い換えられる。<xxそびれる>は

飛行機が離陸 / 着陸しそびれる、合意しそびれる

はややおかしい。<できそびれる>はダメ。その他は使えるが、 <xxそこなう>、<xxそこねる>と言いそう。個人差があるだろう。

追加予定だが、上の例ではだいたい

xxするのに失敗する、xxしない

<xxそこなった>では  xxするのに失敗した、xxしなかった、xxすることができなかった。

行きそこなった   行かなかった、行けなかった
乗りそこなった   乗らなかった、 乗れなかった

 

2)他動詞+そこなう

合わせそこなう  合わせるのに失敗する、うまく合わせるのに失敗する。 
(人を) 会わせそこなう  会わせそこなった ー 会わせられなかった
打ちそこなう、打ち損じる  例えば<野球の打者がボールを打ちそこなった>。
受けそこなう  受けるのに失敗する、 うまく受けるのに失敗する

例えば<野球のキャッチャーが投手が投げたボールを受けそこそこなった>では、1)暴投でまったく受けられなかった 2)うまく受けられずに前に落とした、横にそらした。
試験を受けそこなった / 受けそびれた。 試験を受けなかった。<試験に失敗する>は<試験いに受かりそこねた> になる。

売りそこなう   売るのに失敗する。
選びそこなう   選択を誤る 例えば<太郎は嫁を選びそこなった>

買いそこなう   買うのに失敗する
書きそこなう   書き損じる、うまく書くのに失敗する <書きまちがう>とはちがう。勝ちそこなう   勝てる試合を勝ちそこなった。
聞きそこなう   聞きそこなった ー 聞かなかった
切りそこなう   うまく切るのに失敗する答えそこなう   
答えそこなった 1)答えなかった 2)正しく、うまく答えるのに失敗した。

しそこなう、し損じる
しそこなう、し損じる   漢語+する

説得しそこなう  説得に失敗する 
説得しそこなった 1)説得しなかった、2)説得したがうまくいかなかった。

説明しそこなう   説明に失敗する 
説明しそこなった 1)説明しなかった、2)説明したがうまくいかなかった。

助けそこなう   助けられたのに助けそこなった。
食べそこなう   食べそこなった。食事時間に遅れて食べられなかった。
うまいものを食べそこなった。食事時間に遅れて、うまいものは残っていなかった。
詰めそこなう   将棋で使いそう。もう少しで詰めるところだったが、詰めそこなった。
取りそこなう   取りそこなった  多分に<取ろうとしたが取れなかった>。

学びそこなう   学びそこなった  多分に<学ぼうとしたが学ば / 学べなかった>。
見そこなう    慣用用法  to fail to see ではない。人物評価をまちがえる。
<見そこねる>はいいが、<見そびれる>は別の意味というか、本来の to fail to see になる。

もうけそこなう  
もうけそこなった  多分に1)<もうけたが、もっともうけられるはずだった>。場合によって2)もうけられるはずだったが、まったくもうけられなかった。
もらいそこなう

やりそこなう   多分に<うまくやることができない>。
読みそこなう   読みそこなった。1)読もうとしたが読まなかった。場合によって2)読みまちがえた。

(追加予定)

以上も大体<xxそこねる>で言い換えられる。


<失敗する>、<失敗した>にもいろいろある。大きく分けると

1)<全否定>というか、<全失敗>の場合。

 まったくxxしない>、まったく<xxするのに失敗する>。

xxそこなった  <xxしよう>としたが、しなかった。できなかった。

2)<部分否定>というか、<未達失敗>の場合。

xxしたが、うまくできなかった 。xxしようしたが、うまくできなかった。

があるようだ。

さらには、<計画やもくろみに反して、失敗する>の意が場合が少なくない。さらにまた、失敗の原因や理由もいろいろあり、言い方もまたいろいろある。

うっかりして、降 (お) りそこなう、乗りそこなう ー 注意不足、不注意

試験に受かりそこなった、受かりそこねた。 ー 勉強不足、努力不足

もう少しで詰めるところだったが、詰めそこなった。ー 思慮不足、読み不足

説明しそこなう   説明に失敗する  ー 能力不足、経験不足

食べそこなう   食べそこなった。食事時間に遅れて食べられなかった。ー 時間おくれ
乗りそこなう   急行列車に乗りそこなった。急行列車に乗り遅れた。ー 時間おくれ

話が横道にそれてきているので、これ (失敗の原因や理由もいろいろあり、言い方もまたいろいろある) については別のポストで話を進める予定。


sptt

 

Thursday, December 12, 2024

日本語の複合動詞<xx 落ちる、落とす>

 日本語の複合動詞<xx 落ちる、落とす>は、前回のポスト

” 

日本語の複合動詞<xx 上がる、上げる>、<xx 下がる、下げる> 、英語の<動詞+up / down>

 ”

の最後の方で<xx 下がる、下げる>に関連して触れたのだが、<xx 落ちる、落とす>自体おもしろい複合動詞の構成語なので、独立させ、もう少し詳しく調べることにした。

<xx 下がる、下げる>は<xx 落ちる、落とす>という言い方あもある。

自動詞+落ちる

(かけ落ちる)  かけ落ち <かけ>は<駆ける>の<駆け>でいいのかよくわからない。

欠け落ちる   <欠けて>落ちる

ネット辞書では

<かけおち>

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E9%A7%86%E8%90%BD%E3%81%A1/

かけ‐おち【駆(け)落ち/×駈け落ち/欠(け)落ち】の解説
[名](スル)
  1. 結婚を許されない相愛の男女がひそかによその土地に逃れること。「親に結婚反対されて—する」

  1. ひそかに逃げること。逐電出奔

    1. 「あとに残った人は自分の—の為に助かるに違いないと考えた」〈漱石坑夫

  1. (欠け落ち)近世重税貧困悪事などから、居住地を離れてよその土地へ逃げること。

と言う解説がある。

くずれ落ちる
切れ落ちる  <切り落とす>の自動詞版
削 (けず) れ落ちる  <削り落とす>の自動詞版

こぼれ落ちる   落ちこぼれ
転 (ころ) げ落ちる、転がり落ちる

滴 (したた) り落ちる
擦 (す) れ落ちる  <擦り落とす>の自動詞版
ずれ落ちる、ずり落ちる  ずれて落ちる   他動詞版<ずらし落とす>。

垂 (た) れ落ちる、 したたり落ちる

抜け落ちる   髪が抜け落ちる、床 (板) が抜け落ちる

はげ落ちる

<勝ち上がる>に対して<負け下がる>、<負け落ちる>があってもよさそうだが、聞かない。

<落ちる>には物理的な<落ちる>の意からずれた慣用表現がある。

汚れが落ちる   汚れが洗い落ちる
衣服の色が落ちる(あせる、褪せる)
金が落ちる   金が使われ (て) 落ちる
運、ツキが落ちる
都 (みやこ) 落ち
落ち度
落ち目 (down、downward)


他動詞+落ちる

<落ちる>は自動詞なので、<他動詞+自動詞>の組み合わせになり、この組み合わせはごく少ない。

振い落ちる  <ふるい>にかけると、小さな、あるいは重いものが下に落ちる。だが<振い落ちる / た>はあまり聞かない。ある種の試験は不適任者を<振い落とす>目的があるが、<俺はふるい落とされた>は聞くが、<俺はふるい落ちた>はあまり聞かない。

 

自動詞+落とす

<落とす>は他動詞なので、<自動詞+他動詞>の組み合わせになり、この組み合わせもごく少ない。

泣き落とす   慣用用法  <落とす>は説得する、攻略する。

<くどき落とす> という言い方があるが、これは<泣き落とす>と違い<他動詞+落とす>。しかも典型的な複合動詞で<説得して攻略する>の意だ。

 

他動詞+落とす

言い落とす  言い忘れる
撃ち落とす  撃って落とす 

聞き落とす  聞き逃す(耳で聞く)、尋ねる、質問するの意の<聞く> の場合もある。

切り落とす  切って落とす
口説 (くど) き落とす      口説いて落とす。<落とす>は説得する、攻略する。
蹴 (け) 落とす   蹴って落とす   慣用表現もある。

叩 (たた) き落とす  叩いて落とす
取り落とす   取りそこなって落とす  実際には<取りそこなって落ちる>か?    <落とす>意思はないだろう。<財布を落とす>も変な言い方だ。

はじき落とす  はじいて落とす
引き落とす   慣用用法  銀行口座から金を引き落とす
吹き落とす   吹いて落とす
振り落とす   振って落とす
振るい落とす   振るって落とす

見落とす    見逃す。<見逃す>は別の意味の慣用用法がある。

これも<落とす>意思はないだろう。 

読み落とす   あまり聞かないが、ある個所を、読み逃す、読み忘れる。 

これも<落とす>意思はないだろう。<読み飛ばす>は意思がある場合とない場合がありそう。

ーーーーー

一体、<財布を落とす>はおかしな言い方だ。 <落とす>意思はないだろう。

言い落とす  言い忘れる
聞き落とす  聞き逃す
見落とす   見逃す

があるので

思い落とす
考え落とす

<勝ち上がる>に対して<負け下がる>、<負け落ちる>

があってもよさそうだが、聞かない。 

 

sptt

Wednesday, December 4, 2024

日本語の複合動詞<xx 上がる、上げる>、<xx 下がる、下げる> 、英語の<動詞+up / down>

日本語の複合動詞<xx 上がる、上げる>、<xx 下がる、下げる> 、英語の<動詞+up / down>を比較、検討してみる。

細かいことを言うと、組み合わせはもう少し複雑で

1.自動詞+上がる、他動詞+上がる
2.自動詞+上げる、他動詞+上げる
3.自動詞+ 下がる、他動詞+下がる
4.自動詞+下げる、他動詞+下げる
5.自動詞+up 、他動詞+up
6.自動詞+down 、他動詞+down

となる。 英語では、単独動詞として自動詞の to rise (上がる) 、他動詞の to raise (上げる) があり、数少ない自他動詞ペアだ。

1.自動詞+上がる、他動詞+上がる

1-1)自動詞+上がる

浮き上がる

駆け上がる
勝ち上がる
切れ上がる   

よくわからないが<小股が切れ上がる>というのがある。<切れる>は自動詞。

このナイフはよく切れる。

この<切れる>は他動詞<切る>の可能形とみなせるが、自動詞<切れる>とすると、変な自発になる。

せり上がる   

競売 (せり) でせり上がる。この場所がせり上がっている。で多義語のようだが、意味は似ているところがある。

立ち上がる   

<立ち>自動詞<立つ>の連用形。自動詞<立つ> 立たない、立ち (立って)、立つ、立つ時、立てば。

でき上がる   

<できる>は<xxができる>で自動詞。<できる>を英語にしようとすると、やっかいだ。<can> は可能の意がある助動詞。<able >は可能と言うか<能力がある>という意がある形容詞。 <だれだれはできる人だ>では<できる>は形容詞になる。

太郎は数学ができる。

Taro can Math. ダメ。Taro can do Math well. でなんとかなるが、主動詞<do>が必要。

<できあがる>の<でき>は<できる>の連用形とみなせるが、<できあがる>に可能の意は全くない。<できあがる>の、<でき>は

火山ができる、ニキビ (できもの) ができる、耳にタコができる 

の<できる>で、基本的な自動詞の一つだ。上の三例は、原因が想像されるためか自発感が薄い。      

飛び上がる、跳び上がる

成り上がる  

<成り上がり者>はj本来自発的に<成り上がった人>だが、実際はそこそこ努力した人も含む。しかし批判的、非難的な言い方だ。

干 (ひ) 上がる  

<ひ>は古語<ひる>の連用形。 <ひからびる>というのもある。<からびる>は<枯れる>+<xxびる>

吹き上がる

<吹く>は自他兼用。風が吹く。笛を吹く。<吹き上げる>ほどは使われないが<吹き上がる>は自発の感がる。

膨 (ふく) れ上がる  これは自発的だ。<膨れ上げる>という言い方はない。

巻き上がる   <巻く>は自他兼用。ほこりが巻き上がる。
まくれ上がる  

<まくれる>は自動詞。他動詞は<まくる>。<めくれる>、<めくる>というのもある。
舞い上がる   <舞う>は自他兼用。風が舞う。舞を舞う。風が舞い上がる。
燃え上がる

わき上がる   <湯が沸く>の<沸く>。

 

1-2) 他動詞+上がる

買い上がる   相場用語

切り上がる   外為用語  <切り上げる>は意図的。<切り上がる>は<なぜかこのところ円が切り上がってきている>と言うと、自発的だ。

組み上がる  普通は<xxを組み上げる>のように使うが、<xxがうまく組み上がる、上がった>も可能。状況によるが、可能、自発。

汲み上がる  普通は<井戸から水を汲み上げる>のように使うが、<井戸から水汲み上がる>も可能だろう。状況によるが、水に目を向ければ可能、自発。

繰り上がる  <繰 (く) る>>は基本的に他動詞。<繰り上がる>は自動詞、自発か?

仕上がる  <仕 (し)>は<する>の連用形。<する>は基本的に他動詞。<仕上がる>は自動詞、自発か?

積み上がる   <積み上げる>に比べるとかなり自発的。

のし上がる   

<のす>は自他兼用。おもしろい動詞だ。<のし上がる>では自動詞になる。意思が感じられるためか、自発の感がない。<のし上げる>は使役になるようだ。

持ち上がる   

<持つ>は基本的に他動詞。<持ち上がる>は可能にもなるが、自動詞、自発にもなる。 結婚話が持ち上がる。

盛り上がる   <盛る>は基本的に他動詞。<盛り上がる>は自動詞、自発か? 

複合動詞<自動詞+上がる>が自動詞で、自発の意味がありそうなのは推測できるが、 複合動詞<他動詞+上がる>が自動詞になるものがある、さらには自発の意味になる場合があるのは注目すべきことだ。

 

2.自動詞+上げる、他動詞+上げる

2-1)自動詞+上げる

立ち上げる  自動詞 <立つ> 立たない、立ちて (立って)、立つ、立つ時、立てば。

乗り上げる   <乗る>は<xxに乗る>で自動詞。 暗礁に乗り上げる。<乗る>がそぐわない場合もる。

吹き上げる   <吹く>は自他兼用か。風が吹く。笛を吹く。

 

2-2)他動詞+上げる

編み上げる  to finish knitting
打ち上げる
売り上げる
押し上げる  to push up      <腕立て伏せ>は push up

買い上げる
書き上げる  to finish writing
数え上げる
築き上げる
切り上げる
組み上げる
汲み上げる
繰り上げる

差し上げる   慣用用法がある  to give
仕上げる    to finish up

たくし上げる (たくり上げる)   袖をたくし上げる  to roll up one's sleeves
叩 (たた) き上げる   主に慣用用法
立て上げる  他動詞<立てる> 立てない、立てて、立てる、立てる時、立てれば。<立て上げる>はあまり聞かない。 

突き上げる  突いてあげる、慣用用法がある。
作り上げる  to build up、to finish making, building
積み上げる  to pile up
釣り上げる
吊り上げる  
取り上げる  to pick up

 慣用用法<選ぶ> to choose, to select は to pick out で to pick up ではない。

引き上げる  to pull up、慣用用法1)to lift up、to raise up、慣用用法2)to withdraw。

<懸垂 (けんすい) >は pull up。腹筋運動は sit up。椅子から立ち上がることではない。これらはジムで道具を使わなければ、自重 self weigh が負荷のなっているので、self weight training と言うようだ。

振り上げる  to raise     to raise one's hand

吹き上げる  <吹く>は自他兼用。風が吹く。笛を吹く。火山が火を噴 (吹) き上げる。

巻き上げる  

<巻く>は自他兼用。風で砂ぼこりが巻き上がる。風が砂ぼこりを巻き上げる。慣用用法 金を巻き上げる。英語の to wind up は<時計のネジを巻く>。慣用用法では<終える>、to end up (with) というのがある。

まくり上げる  <まくる>他動詞。競馬用語で<まくり上げる>と言うのがある。

<めくり上げる>というのもある。

見上げる   to look up  慣用用法もある。
磨き上げる  to improve、to polish up   ブラシアップ ( to brush up ) は和製英語のようだ。
持ち上げる  to lift, to lift up
盛り上げる

読み上げる

<他動詞+上げる>は汎用性が高く、意味をなせばいくらでもある。 

調理用語
蒸し上げる  ー 蒸しあがる
たき上げる - たき上がる
焼き上げる  ー 焼き上がる
茹 (ゆ) で上げる  ー 茹で上がる

上で書いたが、右側の複合動詞<他動詞+上がる>が自動詞、さらには自発の意味になる場合が少なくない。

 

3.自動詞+ 下がる、他動詞+下がる

3ー1)自動詞+下がる

成り下がる   

垂れ下がる  

ぶら下がる   ぶらりと下がる  複合動詞ではなく<副詞+動詞>の変形。

 

3ー2)他動詞+下がる

食い下がる  慣用用法
繰り下がる

吊り下がる     自動詞  to hang   xxが吊り下がっている

引き下がる  慣用用法 その、ある<場>から去る、撤退する。

<引き下がる>は<他動詞 引く>+<自動詞 下がる>のようだが、<引く>は<わが身を引く>の<わが身が>が隠れているとみなせる。

 

4ー1)自動詞+下げる

 チェック中

 

4-2)他動詞+下げる

言い下げる  to withdraw, deny what one said.
押し下げる  to push down

繰り下げる

ずり下げる   ずりおろす   to pull down

吊り下げる   to hang、down はいらないようだ。 to hang up は奇妙だが<電話を切る>。

取り下げる  慣用用法 to abandon
払い下げる
引き下げる   to pull down 慣用用法
振り下げる
掘り下げる  to dig down はダメで、to dig deep と言うらしい。慣用用法

見下げる   to look down 主に慣用用法

 

<xx 下がる、下げる>は<xx 落ちる、落とす>という言い方あもある。

自動詞+落ちる



(かけ落ちる)   かけ落ち
くずれ落ちる
転 (ころ) げ落ちる。転がり落ちる
ずれ落ちる
抜け落ちる

 <落ちる>は慣用表現が少なくない。

汚れが落ちる    汚れが洗い落ちる
金が落ちる     金が使われて落ちる
運、ツキが落ちる
落ち度
落ち目 (down、downward)

 

他動詞+落ちる

チェック中

自動詞+落とす

チェック中

他動詞+落とす

言い落とす   言い忘れる
撃ち落とす  撃って落とす 

聞き落とす  聞き逃す
切り落とす  切って落とす
口説 (くど) き落とす      口説いて落とす。<落とす>は説得する、攻略する。
蹴 (け) 落とす   蹴って落とす   慣用表現もある。

叩 (たた) き落とす  叩いて落とす
取り落とす   取りそこなって落とす  実際には<取りそこなって落ちる>か?    <落とす>意思はないだろう。<財布を落とす>も変な言い方だ。

引き落とす   慣用用法  銀行口座から金を引き落とす
吹き落とす   吹いて落とす
振り落とす   振って落とす

見落とす    見逃す。<見逃す>は別の意味の慣用用法がある。これも<落とす>意思はないだろう。 

読み落とす   あまり聞かないが、ある個所を、読み逃す、読み忘れる。 

これも<落とす>意思はないだろう。 <読み飛ばす>は意思がある場合とない場合がありそう。

ーーーーー

一体、<財布を落とす>はおかしな言い方だ。 <落とす>意思はないだろう。

言い落とす  言い忘れる
聞き落とす  聞き逃す
見落とす   見逃す

があるので

思い落とす
考え落とす

があってもよさそうだが、聞かない。

 ーーーーー

さて、上記のチェック中に注目したい。実を言うと最近の複合動詞調査で、これは初めから気になっていたことなのだが、これまで<チェック中>に遭遇しなかった。したがって、この<チェック中>は重要なのだ。

これと言うのは

主動詞が自動詞 + 補助動詞が他動詞

主動詞が他動詞 + 補助動詞が自動詞

の組み合わせの場合のことだ。 組み合わせとしては具合が悪いはずなのだ。だが、これまで代表的な複合動詞チェックした限りでは、けっこうある。

4ー1)自動詞+下げる

 チェック中

 数は多くないが

3ー2)他動詞+下がる

はある。

食い下がる  慣用用法
繰り下がる  <繰り下がる>は<繰り下げる>の自動詞用法と見ていい。

算数で、四捨五入で5以上の場合は五入で<繰り上がる>が 、四捨では<繰り下がらない>。<繰り下げる>は 、例えば、ある行事の予定日を一日から数日遅らす場合に使いそうだ。これの自動詞用法は可能だ。

運動会が一週間繰り下がった。

だが<運動会が一週間繰り上がった。>ほどは使いそうもない。 

運動会が一週間延期された。<運動会が一週間延期した>はダメだろうが、自発感がある。

吊り下がる     自動詞  to hang

<吊るす>は明らかに他動詞だが、<吊る>は他動詞か?

衣服をハンガーに吊る。

はダメ。 衣服をハンガーに吊るす

<首吊り>は<首を吊る> で<吊る>は他動詞だ。だが実際は、

首に縄など輪 (わ) っか状のものを首にかけて体を吊るす。 さらには、意思に関係なく体の自重で<(体が)吊り下がる>ことになる。

引き下がる  慣用用法.。上記参照。(わが身を) 引いて後へ下がる。 

 

他動詞+落ちる

チェック中

振い落ちる  <ふるい>にかけると、小さな、あるいは重いものが下に落ちる。だが<振い落ちる / た>はあまり聞かない。ある種の試験は不適任者を<振い落とす>目的があるが、<俺はふるい落とされた>は聞くが、<俺はふるい落ちた>はあまり聞かない。

 

自動詞+落とす

チェック中

泣き落とす   慣用用法  <落とす>は説得する、攻略する。

<くどき落とす> という言い方があるが、これは<泣き落とす>と違い<他動詞+落とす>。しかも典型的な複合動詞で<説得して攻略する>の意だ。


追記

英語の<動詞+up / down>も検討する予定だったが、上の説明では参考程度に出てくるだけだ。<up / down>は自動詞にも他動詞にも付き、元来副詞で、強調して発音すれば副詞<度合い>が高まる。

to go up, to go down

to come up    これは慣用表現で<(現れ)出て来る>

to slow down     to get slowing down、the car is slowing down  自動詞。 to slow down the speed. 他動詞


sptt

Sunday, December 1, 2024

自動詞は自発的か?

 

日本語文法では、よくわけのわからない<自発の助動詞>と言うのがある。Wiki 日本語版では、<自発(文法)>でのタイトルで、助動詞に限らず、自発動詞、自発補助動詞など、やや詳しい解説がある。

前回ポスト ” 複合動詞<xxなおる>、<xxなおす>の英語表現 "  で

日本語文法では、よくわからない<自発の助動詞>というのがあるが、<並び直る>はある意味では<自発表現>と言える。もっとも、このような自動詞は基本的に自発的だ。

と書いた。

また、以前に日本語の自動詞と他動詞をいろいろな観点からチェックしたことがあるが、特に<自動詞は自発的か?> の観点からチェックしたことはないよう気がするので、チェックしてみることにした。

何度か取り上げているが、英語で

This (product) sells well.

というのがあり、この場合 sells ( to sell )は自動詞。

Taro sells cars.

は他動詞で、 to sell は他動詞用法が多いが、上のような自動詞用法もある。これも何度か取り上げているが

This knife cuts well.

も to cut の自動詞用法。初級文法では出てこない (ような) ので、このような自他兼用動詞の自動詞用法を使いこなせる人は少ないのでないか。純自動詞では

Hanako runs fast.
It works (functions) well.

が例。

さて以上を日本語に直してみる。

1)This (product) sells well.  これ (この製品) はよく売れる。
2)This knife cuts well.     このナイフはよく切れる
3)Hanako runs fast.      花子は早く走る
4)It works (functions) well.  これはよく (うまく、具合よく) 働く。

1)2)は<売れる>、<切れる>は受け身ではない。可能とも自発ともとれるのだが、普通は英語でなじみのある<可能>と見るのではないか?

もう二つ英語の例をあげると

5)to see 他動詞と to look 自動詞

to see は他動詞で直接目的語をとり

I see the sea. 海を見る。
I see a church on the hill.    丘の上の教会を見る。 

to see は直接目的語をとる他動詞にもかかわらず、積極的に<見る>のではなく、自発的な<見る>で、場合によっては

I see the sea. 海が見える。The sea is seen. 
I see a church on the hill.    丘の上の教会が見える。 A church is seen on the hill.

と訳せる。この<見える>は<見る>対応の自動詞で、受け身ではなく自発>と言える。<見る>の受身は<見られる>。

一方、 to look は自動詞で直接目的語は取れず、at の後に目的語をとる。

I look at the sea.  海を見る。
I look at a church on the hill.   丘の上の教会を見る。

これは自動詞表現だが、積極的に<見る>相当。

6)to hear 他動詞と to listen 自動詞

to hear は他動詞で直接目的語をとり

I hear a sound of the bell. ベルの音を聞く。

これは、どちらかと言うと

ベルの音が聞こえる。

<聞こえる>は自発だ。<聞く>の受け身は< 聞かされる>か?

一方、 to listen は自動詞で直接目的語は取れず、to を置いて、その後に目的語を置く。

I listen to the sound of the bell.  そのベルの (その) 音を聞く。

これは自動詞表現だが、積極的に<聞く>相当。 the sound と定冠詞 the を取っているが、普通は積極的に<聞く>となると、すでに分かっている音だ。しかし

I listen to a sound of the bell.   あるいは

I try to listen to some sound(s) of the bell.  

とも言えるだろう。

5)、6)で注目したいのは、直接目的語をとる他動詞 to see、to hear が、 積極的に<見る>、<聞く>ではなく、日本語の<自発>に似ていることだ。言い換えると、まことに奇妙だが、他動詞が自発的なのだ。

もう少し例をあげると

日本語の<取る>は他動詞、対応する自動詞は<取れる>。他動詞<取る>は比較的明確だが、<取れる>は可能、自発がある。

太郎は背は高いので、棚の上のモノが取れる。 可能
シャツのボタンがと取れる。 自発  英語では

The button of the shirt comes off.

と言う。自動詞が使われ、自発的だ。日本語<取られる>、英語 be taken の受身形ではない。

日本語では<こわす、壊す>、<こわれる>があり、自発的に破壊するものは

xxが壊れる、壊れた

と言うが、英語は to break ( 壊す ) 、他動詞性が強く、普通は<xx is broken>と受身形を使う。It breaks (それは壊れる) と言いそうだが、そうは言わない。

一方 to crack は自動詞性が強く

It cracks, it cracked が自然で、it is cracked,  it was cracked は間違いではないようだが、こうは言わない。

以上は前置き。

英語にも自動詞、他動詞があり、さらに自他兼用というのが少なくない。 自動詞の代表は

to go, to come, to walk, to run, to swim, to sleep

自他兼用では

to move, to turn, to spin, to roll, to wind, to stand, to bend

一方、日本語の方は、他動詞と自動詞のペアが多く、区別が明確なので、英語の自他兼用による混乱はない。もっとも混乱するのは日本人だけか?

動く ー 動かす
回る ー 回す        <巻く> は自他兼用か?   風が巻く
立つ - 立てる
座 (すわ) る ー 据 (す) える 、置く

受験英語では

to lie (横になる) ー to lay (横にする、ねかす、置く) 

の区別がよく出てくる。

起きる ー 起こす  to rise ー to raise
曲がる ー 曲げる  to bend は自他兼用。
折れる ー 折る    to break は基本的に他動詞.。
混ざる ー 混ぜる  to mix は自他兼用。
染まる ー 染める   to dye は基本的に他動詞.。
流れる ー 流す   to flow は基本的に自動詞.。
解ける ー 解く   to resolve は自他兼用。to solve は他動詞
溶ける ー 溶かす  to resolve は自他兼用。

まだまだある。さて、上に戻って

3)Hanako runs fast.      花子は早く走る
4)It works (functions) well.  これはよく (うまく、具合よく) 働く。

3)は主語の花子があるので<走る>自動詞だが自発とは見られないだろう。

4)も主語 It があるが、自発ともみえる。可能ではない。

最後の4)に注目して話を進める。

自然現象は、自動詞が多く使われるが、原因があるためか自発とは見られないようだ。

雨が降る。
風が吹く。  
カミナリが鳴る。
太陽が昇る。
月が出る。
川が流れる。川の水が流れる。
雪が解ける。(これは自発が少し感じられるか?)

人や動物の動き、活動も自動詞が使われるが、自発とは見られないようだ。 

花子は早く走る 

アリが動く。魚が泳ぐ。鳥が飛ぶ。

自発が少し感じられる表現では

ゆれる ー ゆらす、ゆする  to swing は自他兼用。

木の枝が風にゆれる。

鳴る - 鳴らす   to ring は自他兼用。The bell rings. 電動ベルの<鳴る>は自発的だ。

風鈴が鳴る。


sptt

 

 

 


Friday, November 29, 2024

複合動詞<xxなおる>、<xxなおす>の英語表現

複合動詞<xxなおる>、<xxなおす> をざっと調べてみたが<xxなおす>が圧倒的に多い。そして<xxなおす>は意味は少しずれるのだが、英語では<xxagain>と訳せるものが少なくない。

日本語では<なおる> は書き言葉では<直る>、<治る>、<なおす>は<直す>、<治す>と書いて区別し、<治る>、<治す>は病気、医療関係に使われるが、耳で聞けば<なおる>、<なおす>で区別はない。とにかく複合動詞としての<xxなおる>、<xxなおす>をチェックしてみる。アイウエオ順。

<xxなおる>

居直る  自動詞  慣用表現
開き直る 自動詞  慣用表現
立ち直る 自動詞  to recover

持ち直る 自動詞  to recover <持ち直す>でもいい。
向き直る 自動詞   ネット辞典では to turn around と出てくるが、180度とは限らないか? <向き直す>でもいい。

追加予定

<xxなおす>

<xxなおす>は汎用性が高く、意味が成せばどんな動詞にでもつく。

洗い直す  to wash again
言い直す  to say again in a correct way, in a better way
行き直す  to go again
教え直す  to teach again
思い直す  to reconsider

買い直す  to buy again
書き直す   to rewrite
考え直す  to think again、to rethink、to change the thought
聞き直す  to listen something again
組み直す  to reconstruct、to reorganize

し直す   to do something again、to make something again
座り直す  to change the sitting position

食べ直す  to eat again
作り直す  to make something again, to remake
立て直す  to rebuild、to reconstruct、to recover
出直す   to go again、場合により to come again、to re-start

並べ直す  to realign、to rearrange
寝直す   to sleep again
飲み直す  to drink again

学び直す  to study again、to learn again
見直す   to see something in a different way、to review
持ち直す  to change the holding position (文字通り) 、to recover(慣用)
やり直す  to do something again、to make something again、to rework
読み直す  to read again (from a different point of view)

追加予定 (いくらでもある)

 1)<直す>自体には to correct <間違いを正す>の意がある。あるいは<あらためて、もう一度xxする>の意がある。したがって、単なる again (再び) ではない。<間違いを正す>で、<間違い>を病気 (一種の身体機能の間違い) とすれば、<病気を正す>、<身体機能の間違いをなくす>で<病気を治す>になる。自動詞用法を使えば、<身体機能の間違いが正される>で<病気が治る>になる。

また<直す>と<治す>の違いだが、上の論議を機械に当てはめると

 間違い ー> 故障、不具合 (機能の間違い) 

となる。

故障を直す、不具合を直す

<直す>が使われるようだが、何か変な感じだ。<治す>も変だ。

2)英語の re-xxxx  の<re>はラテン語系の動詞に現れるが、主に again の意だ。一音節なので経済的。

3)<xxなおる>が<xxなおす>に比べて極端に少ない理由。

 <xxなおる>は、上の例では<自動詞+自動詞>構成で、複合動詞としても自動詞になる。

立ち直る 自動詞  (自動詞+自動詞)

<立ち直す>はなく、<立て直す><他動詞+他動詞>になる。<立て直る>もない。 

持ち直る 自動詞  (自動詞+自動詞) 

<xxが持ち直る>でも、 <xxが持ち直す>が使われる。自動詞。<xxを持ち直す>他動詞。

詳しい理由、経緯がよくわからないが、ちょっと調べた限りでは、これは他の動詞にもあてはまり、<xxなおる>が<xxなおす>に比べて極端に少ない表面上の理由だ。

向き直る 自動詞  (自動詞+自動詞) 

太郎は向き直った。


太郎は向き直した。

は同じような意味で、 単独の<向き直す>は他動詞っぽいが、<太郎は向き直した>は自動詞っぽい。

よくわからない、曖昧なので、もう少し調べてみた。

止まった時計が動き始めた、動き出した。 自動詞+自動詞

が普通の言い方だが、<xxなおる>、<xxなおす>にこだわれば

止まった時計が動き直った。 自動詞+自動詞

とはなんとか言えそう。さらに

止まった時計が動き直した。自動詞+他動詞

とも言え、しいていえば<止まった時計が動き直した>を使いそう。この場合<動き直す>は<自動詞+他動詞>構成だが、複合動詞として明らかに自動詞だ。

生き返った。 自動詞+自動詞

が普通の言い方だが、言い換えると

生き直った。
生き直した。 

で、どちらかと言えば<生き直した>を使いそう。

上の<xxなおす>の例では

座り直す  自動詞+他動詞

<座り直る>は純自動詞的だが、ほとんど使われず普通は<座り直す>が使われる。

細かいことを言えば

座る = to sit で日本語も英語も自動詞。しかしながら to sit は to set oneself と他動詞を使った表現も可能だ。あるいはこういう他動詞表現が脳裏にある。

並べ直す  自動的に、放っておいても<並び直る>場合があるのだが、ほとんど聞かない。 

日本語文法では、よくわからない<自発の助動詞>というのがあるが、<並び直る>はある意味では<自発表現>と言える。もっとも、このような自動詞は基本的に自発的だ。

もう少し例文を作ってみた。

船は一度は沈んだが、浮かび直ってきた。 <浮かび直してきた>でもいい。普通は<浮かび上がってきた>。

二人は一旦は離れるが、近づき直ってくるだろう。普通は<近づき直してくるだろう>か。

今は失業中だが、間もなく働き直る。普通は<働き直す>。

その機械はしばらく止まっていたが、今動き直った。普通は<今動き直した>。もっと普通は<今動き始めた>。

成績が / は一旦は下がったが、最近上がり直ってきた。 普通は<上がり直してきた>。


つまりは、元来<xx直る>が<xx直す>で置き換えらているものが少なくないようだ。

 

sptt

 

Thursday, November 28, 2024

複合動詞<xx離れる>、<xx離す>と英語の<xx off>

前回のポスト " 日本語の複合動詞と英語の<動詞+副詞>、複合動詞<xx 去る>、<xx away> " で

<なくす、見えなくする>は away、off が使われるか?away は遠くに離れて行ってみえなくなる感じ。off の方は近視眼的に<切り離れる>、<切り離す>の感じだ。おそらく<xx離れる>、<xx離す>で多く出てくるだろう。この off が (を) 使いこなせるようになれば英語は一人前と言える。

と書いたが、忘れないうちに<xx離れる>、<xx離す>と<xx off>の関係を調べてみる。 <xx離れる>、<xx離す>以外では<外 (はず) れる>、<xx 外す>が関連ありそう。ざっと調べてみたが、これは予想外に少ない。

1.<xx離れる>、<xx離す>

 <xx離れる>

かけ離れる  to go far (away)

<xx離す>

切り離す  to cut off
突き離す(突き放す)  to push away
引き離す  to pull off、to pull apart
見離す(見放す)  to abandon

<外 (はず) れる>、<xx 外す>

<xx 外れる>、

取り外れる  to be removed、 to come off  <(シャツのボタン)がとれる>

<xx外す>

取り外す  to remove
振り外す  to shake off

(追加予定)

 <予想外に少ない>理由は、これらは主に普通、複合動詞の形ではなく、

xxして(すると)離れる  押して (押すと) 離れる 
xxして離す   押して離す、引いて離す、叩いて離す(叩き離す)

xxして(すると)外れる  押して (押すと) 離れる 
xxして外す  押して外す、引いて外す、叩いて外す(叩き外す)

のような言い方になるからだ。なぜだかよくわからない。

これに反して、おもしろいのは off (オフ) がそのまま日本語で使われるケースが少なくない。

オフリミット  off limit
オフレコ  off record(ding)
シーズンオフ  season off   オフシーズン と言うのもある。
スピンオフ  spin off
プレイオフ  play off  スポーツ用語
リードオフマン  lead off man  野球用語
<サヨナラ試合>は walk off (立ち去る) game と言うと言う   野球用語

 使用頻度は高くないが

オフバランス  バランスシート外
トレイドオフ  あちらが立てばこちらが立たずの関係

と言うのがある。

 

sptt