Tuesday, November 5, 2024

<仕事に打ち込む>は自動詞、他動詞?

最近<込む>、<込める>をかなり念入りに調べているが、<打ち込む>という言い方がある。

1)釘を打ち込む
2)打者が打ち込む
3)仕事に打ち込む

1)釘を打ち込む

は原意に近く、<xxの中にxxを打って入れる> 

釘を木に打ち込む

<込む>自体は自動詞。他動詞は<込める>。だが<打ち込む>は他動詞。<打つ>は複合動詞<打ち込む>の意味の主動詞で、<打つ>は他動詞。<込む>は複合動詞<打ち込む>の副動詞といえ、<副詞>的な働き。意味としては<入 (はい) る、入れる、in、 into)。

2)打者が打ち込む

この<込む>は<込む>の代表的な慣用用法の一つで、<十分 (に) xxする>の意。これは、意味が成り立てば、いわばいくらでもある。

教え込む
覚え込む
鍛 (きた) え込む
切りきざみ込む
探 (さが) し込む
仕込む
締め込む
調べ込む
染め込む
使い込む  <しっかり使う>の意味。使い込みが足りない
突き込む  <突っ込む、つっこむ>原意は<突きこむ>だが、上記の<探 し込みが足りない>、<調べ込みがたりない>は<つっこみ>(掘り下げ)が足りないのだ。
漬け込む
投げ込む  投手が投げ込む
煮込む   
塗り込む  
走り込む  陸上選手が走り込む
磨 (みが) き込む

ーーーーー

打ち込む

打ち込む  打者が打ち込む
投げ込む  投手が投げ込む 

は少しやっかいで

バットでボールを打ち込む
ボールを投げ込む

なら、特に一場面に限ると、確かに他動詞といえるが

打者が、なっとくいくまで、打ち込む
投手が、しっかりと、十分に投げ込む 

とすると<他動詞感>が薄くなるようだ。だが、他動詞としておく。

<走り込む>の<走る>は<xxを走る>とは言えないので自動詞(*)。<走り込む>も自動詞となる。一方

(*)運動場、トラックを走るは、いわゆる”<を>を取る自動詞”としておく。

 <走り込む>の<走る>は自動詞で主動詞。副動詞の<込む>も単独では自動詞。<自動詞+自動詞>の<走り込む>は自動詞で問題ない。 <トラックを走り込む >とすると2)の<十分 (に) xxする>の意になる。”<を>を取る自動詞” で問題ないだろう。

さて

3)仕事に打ち込む

だが、少しやっかい。

 字面上<仕事に打ち込む>は、<xxを>がないので自動詞。

<仕事に打ち込む>は意味的には他動詞的だ。解釈は異なるものがいくつかあるかもしれないが、

<わが身を仕事に打ち込む>の<わが身、oneself>が省略されたものとみなす解釈。この<みなす解釈 (みなし解釈) >は重要で、他に応用できるのではないか。


sptt


 

Sunday, October 27, 2024

<出る、出す>と<入る、入 (はい) る、入れる>の複合動詞

 <出る>と<入 (はい) る>は日本語の基本動詞で、まさに基本だがこれまた基本動詞の<行く>、<来る>との複合動詞をチェックしてみる。内 (うち)、外 (そと) が関係してくる。

出て行く
入って来る

これは内 (うち) から見てで、

内 (うち)から外 (そと) 出て行く
外 (そと)から内 (うち) に入って来る

<外 (そと) から見た場合は、逆転して

出て来る
入って行く

で済ませられるが、くどくいえば

内 (うち) から外 (そと) に出て来る
外 (そと)から内 (うち) に入って行く 

一方<行く>は<離れて行く>。<来る>は<近づいて来る>。これは大前提で、上の例文をチェックすれば<行く>は<離れて行く>。<来る>は<近づいて来る>で間違いない。

さて英語をチェックしてみる。

出て行く - to go out
入って来る - to come in

出て来る - to cone out
入って行く - to go in

で副詞の<out>と<in>が使われ。変な言い方だが、日本語にならって

出て行く - out and go
入って来る - in and come

出て来る - out and come
入って行く - in and go

とは言えない。

 一方ラテン語系の to exit、to enter という 一語動詞がある。こちらの方はあまり居場所に関係なく

to exit  ー 出て行く、だが<出て来る>でもよさそう。
to enter ー入って行く、だが<入って来る>でもよさそう。

ところで<come> の方は

入って来る - in and come ー> income (収入)
出て来る - out and come ー> outcome (結果)

がありよく使われる。<outgo>、<ingo>はない。

to outflow  流れ出る、流出する。これは<流れ出て行く>だけでなく<流れ出て来る>の場合でもいい。流出して行く、流出して来る。名詞も outflow。
to inflow  なぜか<流れ入る>とはあまり言わない。流れ入って来る、流れ入って行く。流入する。流入して行く、流入して来る。名詞も inflow。

to outfall - fallout  原発の fallout。 

上で<outgo>、<ingo>はない、と書いたが、ネット辞典にあたってみると

"outgo" in Japanese. Noun、 Verb. 支出. 出費.

というのが出て来る。これは聞いたことがないが形容詞の outgoing はよく聞く。An outgoing mail. An outgoing person。incoming はもとの意が残っている。An incoming mail。

to outperform 出来 (でき) が上回る。正確には<だれだれを出来 (でき) で上回る>。これはよく聞く。

to runout (to run out) なくなる, 尽きる, 使(つか)い果(は)たす
to outrun は<追い越すために. はしりぬく. 走り抜く>の意があるようだが、聞いたことはない。

さて、<行く>と<来る>はあくまで自動詞。<出る>と<入 (はい) る>は自動詞だが<出す>と<入 (いれ) る>という他動詞がある。英語の<out>、<in>も

自動詞 + <out>、<in>
他動詞 + <out>、<in>

がある。他動詞の場合は

<to xx out>something / someone、<to xx in>something / someone 以外に

<to xx>something / someone<out>、<to xx>something / someone <in>
<to xx>it / him, her<out>、<to xx>it / him, her <in>

という言い方があり、<out>、<in>はより副詞的になる。

to pull in ー  to push out

ビジネスでよく使われ<納期を早める>。反対の<納期を伸ばす>は to push out ではなく普通は to postpone が使われる。文字通りでは

to pull in ー  引き入れる
to push out ー  押し出す

その他。たくさんというか、いくらでもあるので分類して書き出してみる。アイウエオ順。

<自動詞+出る>

あふれ出る
歩 (あゆ) み出る (歩みでる)  歩いて出る
現 (あらわ) れ出る   普通は<出現する>。<現れい出たるは>という言い方はある。
浮き出る <浮いて出て来る>だが、慣用的な言い方がある。
生 (うま) れ出る
躍 (おどり) り出る   慣用的な言い方。トップに躍り出る。
こぼれ出る
ころがり出る
しみ出る
進み出る
飛び出る、跳び出る
流れ出る  
抜け出る   抜けるー自動詞、抜くー他動詞 (抜き出る)
走り出る  走って出る
吹 (噴、ふ) き出る  汗がふき出る、吹きでもの
燃え出る
萌 (も) え出る

以上の多くは<出る>は<外に、out>、<外に現れる>の意がある。

現 (あらわ) れ出る (現れい出たるは)

はいいが

消え出る
隠 (かく) れ出る
沈み出る
潜 (もぐ) り出る

は意味的に不成立。ところが、これから見るように

消え出す (消え始める) 、隠れ出す (隠れ始める)、沈み出す、潜り出す

は問題ない。

<自動詞+出す>

あばれ出す
あふれ出す 
歩き出す、歩 (あゆ) み出す
痛み出す
浮き出す
動き出す
生まれ出す   子供が生まれ出した(ダメ)、新しいアイデアが生まれ出した(OK)   
おこり出す
駆け出す
傾 (かたむ) き出す
崩 (くず) れ出す
曇 (くも) り出す
こぼれ出す
転がり出す
壊 (こわ) れ出す
沈み出す
死に出す   たくさんの人が死に出した
しみ出す
進み出す
座り出す
立ち出す
倒れ出す
近づき出す
飛 (と) び出す、跳 (と) び出す  跳び出し注意(交通標語)
止まり出す   汽車が止まり出した
流れ出す
(カミナリが)鳴り出す
泣き出す
(日が)昇 (のぼ) り出す
煮え出す
抜け出す  抜くー他動詞、抜けるー自動詞。複合動詞<抜け出す>は他動詞。<抜け出す>は自動詞。<抜き出る>は自動詞。<抜き出す>は他動詞。

走り出す
(風が)吹き出す、
(雨が)降 (ふ) り出す
曲がり出す  道が曲がり出す
離れ出す
燃えだす
揺れ出す
笑い出す

1)<xx(し)始める、ばぜか ” 始まる" ではない>だが<xx出す>の複合動詞としては前半の自動詞がメインで自動詞になる。

2)単純な<xx(し)始める>ではなく<突然、にわかにxxし始める>の意が内包されている。以上の例文ではほとんど例外がない、といえる。これは大発見だ。

しかし、一時的、一度だけの動作、行為、様態変化ではおおむねダメで、継続的でないといけない。これは当然のことか。

転 (ころ) び出す
死に出す
つまづき(躓き)き出す
止まり出す 

などは基本的におかしい。

死に出す   <太郎は死に出した>はおもしろい表現だが、基本的にダメ。<大勢 (大勢) が死に出した>ならOK
止まり出す  <汽車がよっくり止まり出した>はなんとかなるが、<汽車が突然(急に)止まり出した>は変だ。

3)さらには日本語には<”を” をとる自動詞>というやっかいな自動詞 (移動動詞) >があるが、この判定に使えそうだ。(これは別途検討)

行く、歩く、走る、飛ぶ、通る、通りかかる、渡る、旅行する、泳ぐ、散歩する、曲がる、経る、横切る、経由する、通過する、登る http://seislunas.com/modules/write/write_detail.php?write_id=33

道を通る、山を登る、公園を散歩する、階段を上る、京都を旅行する、橋を渡る https://www.youtube.com/watch?v=kc4bIe_SwxY

でこぼこ道をあるく  歩き出す
そこを動くな  動き出す
その場所を移る   移り出す
家を移る    移り出す (*)
川を泳ぐ(泳ぎ渡る) 川を泳ぎ出す  <川で泳ぐ、プールで泳ぐ>は移動感が薄い)
階段をおりる   おり出す
坂道を下 (くだ) る  下り出す
列車がトンネル(踏切)を過ぎる  過ぎだす(*)
山道を進む   進み出す
鳥が空を飛ぶ   飛び出す(飛び始める)
町中を流れる川   流れ出す (*)
山道を昇 (のぼ)る  昇 (のぼ)り出す
小さな町を通る   通り出す (*)
自転車が車道を走る  走り出す
運動場を走る  走り出す  (<運動場で走る>は移動感が薄い)
車が角を曲がる  曲がり出す
川を渡る、橋を渡る  渡り出す

事務所を移動する  移動し出す
公園を散歩する    散歩し出す
欧州を旅行する   旅行し出す (*)
東京を経由する   経由し出す (*)

 (*)は何か変だ。

対照的に<xx(し)終わる、終える、止 (や) む)はこの<突然、にわかにxxし終わる、終える、止む>の意が薄い。

(雨が、風が、痛みが )やみ出した。

<他動詞+出る>

かつぎ出る  xxをかついで出る

抜き出る   抜くー他動詞、抜けるー自動詞。複合動詞<抜き出る>は自動詞。

申し出る


<他動詞+出す>

言い出す  言い始める
打ち出す
えぐり出す
選び出す
押し出す
おびき出す
思い出す
折り出す
書き出す  
かつぎ出す  慣用的な言い方。
語りだす  語り始める
聞き出す
蹴 (け ) り出す  
壊 (こわ) し出す  壊し始める
探し出す
しぼり出す
擦り出す
刷り出す
せり出す
作り出す
紡 (つむ) ぎ出す
取り出す
話し出す  話し始める 
引き出す
叩 (たた) き出す
つまみ出す
つむぎ出す
投げ出す   慣用的な言い方がある。
のり出す <乗る>ではない。身をのり出す。関連語:のけぞる
抜け出す   髪が抜け出す
抜き出す
盗み出す
はたき出す 
ひねり出す、ひねくり出す  発明とか新しい方法、やり方、解決方法
ほじくり出す
掘り出す
彫り出す
見 (み) 出す  見始める
見 (みい) 出す
持ち出す  
読み出す  <読み始める>以外に慣用的な<xxを読み出す>がある。

以上の<出す>は<out>の意味が多い。

言い出す  言い始める
語り出す  語り始める
話し出す  話し始める、
見 (み) 出す  見始める

 は示唆するところがある。<言う>、<語る>、<話す>は他動詞とみなされているが、必ずしも<直接的な>目的語はいらない。

<しゃべる>は<xxをしゃべる>とは言わないので自動詞だろう。

太郎は (xxと) 言い出した。
花子は静かに語り出した。
次に次郎が話しだした。 

英語では

to tell 他動詞
to talk 自動詞

となっていいる。<to say>は

to say it   で他動詞でいいが

to say that xxxx

は他動詞か?

 ーーーーー

 話が長くなっているが、<動詞+入る、入 (はい) る>、<動詞+入れる> をチェックしてみる。

<自動詞+入 (い) る、入 (はい) る>

駆け入る
込み入る
立ち入る
跳び入る、跳び入る 飛び入り
這 (はい) いる  這 (は)入る  <這 (は)う>は>は<を>を取る自動詞か。

 <他動詞+入 (い) る、入 (はい) る>

開 (あ) け入る  開けて入る
討 (う) ち入る
押し入る
折り入る  折り入って(話がある)
(恐れ入る)
聞き入る
掛け入る
差しいる
攻め入る
取り入る
見入る
分け入る

 <自動詞+入れる>

いまのところみつからない。

  <他動詞+入れる>

おとし入れる(陥れる、落とし入れる)
買い入れる <ー> 売り出す
担 (かつ) ぎ入れる
聞き入れる
組み入れる
差し入れる
(探る入れる)探り入れる <ー> さぐり出す
誘い入れる <ー> 誘い出す
取り入れる
流し入れる  流し込む
泣き入れる  泣き入れ
投げ入れる
願いいれる

引き入れる
踏み入れる
混ぜ入れる
呼び入れる

<入 (い) る、入 (はい) る>、<入れる>の複合動詞は<出る>、<出す>の複合動詞に比べて目立ってすくない。基本的には<out>に対して<in>の意味だ。

 さて <入 (い) る、入 (はい) る>、<入れる>の複合動詞を探している間にい大きな発見をした。上で

流し入れる ー 流し込む
混ぜ入れる ー 混ぜ込む

を取り上げているが、<込む>、<込める>は他にも意外なほどたくさんある。アイウエオ順に書き出してみる。


上がり込む  自動詞
集め込む   他動詞
当て込む  他動詞
あばれ込む  自動詞
言い込める 他動詞
入れ込む  自動詞    <わが身を入れ込む>で隠れた他動詞
打ち込む  他動詞  打者がボールを打ち込む
売り込む  他動詞
追い込む  他動詞
描き込む  他動詞
老い込む  自動詞
教え込む  他動詞
押し込む   他動詞  押し込める  他動詞 押して中に入れる
送り込む  他動詞
落ち込む  自動詞
落とし込む 他動詞   卵を落としこむ(落とし入れる)
覚え込む  他動詞
思い込む  自動詞か。 xxと思い込む  思いを込める
織り込む  他動詞  織り込み済み
折り込む  他動詞  折り込み広告

 

 

 

買い込む  他動詞  買い入れる <売り込む>はダメ、この<込む>は別ものだ。
抱 (かか) え込む  他動詞
書き込む  他動詞   書き込み

駆け込む  自動詞
搔っ込む(掻っ込む) 他動詞  掻き込む、掻き入れる
かつぎ込む 他動詞
刈り込む  他動詞
考え込む  自動詞
気負いこむ  自動詞
聞き込む  他動詞  聞き込み

鍛 (きた) え込む  他動詞
切り込む  自動詞
繰り込む  自動詞
くわえ込む 他動詞

消し込む  他動詞

削 (けず) り込む  他動詞
蹴り込む  他動詞

差し込む  自動詞  日が差し込む  他動詞  鍵を差しこむ

誘い込む  他動詞

仕込む  他動詞  教え込む 慣らし込む

沈め込む  他動詞

絞 (しぼ) り込む 他動詞
しみ込む  自動詞  沁 (し) みる

しゃがみ込む 自動詞

すべり込む  自動詞

すまし込む  自動詞

住み込む  自動詞
擦り込む  他動詞
刷り込む  他動詞

ずれ込む  自動詞
座り込む  自動詞

攻め込む  他動詞

責めこむ   他動詞

注ぎ込む  自動詞    雨水が小川に注ぎ込む  他動詞 お湯を急須に注ぎ込む

染め込む  他動詞

倒し込む  他動詞

倒れ込む   自動詞
叩 (たた) き込む  他動詞 これを (は)、忘れないように、よく頭に叩き込んでおくこと。
立ち込める  霧が立ち込める。<立ち込める>は自動詞
立て込む  自動詞  家が立て込む。
頼み込む  他動詞

だまし込む  他動詞

たれ込む  自動詞 / 他動詞
使い込む  他動詞

つけ込む  自動詞
漬け込む  他動詞

包み込む   他動詞
積み込む   他動詞
詰め込む   他動詞
連れ込む   他動詞

溶かしこむ 他動詞

溶け込む  自動詞
閉じ込める  他動詞

泊まり込む  自動詞
取り込む   他動詞

流し込む  他動詞 
流れ込む  自動詞 

殴 (なぐ) り込む  自動詞
投げ込む  他動詞  投手が投げ込む
なすり込む  他動詞  罪をなすり込む,なすりつける

慣 (な)らし込む 他動詞

慣れ込む  自動詞

煮込む   他動詞

逃込む   自動詞
塗り込む  他動詞

寝込む    自動詞

ねじこむ  他動詞

ねじり込む 他動詞

練り込む 他動詞

眠り込む  自動詞
飲み込む  他動詞  慣用的な言い方あがある。 飲み込みがいい / わるい
のめり込む 自動詞   中毒、中に入って出てこない
乗り込む  自動詞

入 (はい) り込む  自動詞   穴に入り込む (入り込んで出てこない) 

挟み込む 他動詞

走り込む  急いで走り込む、 陸上選手が
はたき込む  他動詞

働き込む / 込める  自動詞

はまり込む  自動詞   泥沼にはまりこんで出てこない(比喩)

はめ込む  他動詞

払い込む  他動詞
張り込む  自動詞  張り込み
引き込む  他動詞  引き入れる、 自動詞 引っ込む 山村に引っ込む 引き籠 (こも) る(引き籠って出てこない)

浸 (ひた) しこむ  他動詞

浸り込む   自動詞    中毒、中に入って出てこない

ふさぎ込む  自動詞

へこむ(凹む)、へっこむ  自動詞
踏み込む  自動詞

ふさぎ込む 自動詞
振り込む  他動詞

ほうり込む  他動詞
彫りこむ  他動詞

紛 (まぎ) れ込む  自動詞

混ざり込む  自動詞

混ぜ込む  他動詞

迷い込む  自動詞

丸め込む  他動詞  だまし込む

回し込む  他動詞

回り込む  自動詞

磨き込む  他動詞

見込む   他動詞

めかし込む 自動詞
めり込む  自動詞
申し込む  他動詞 申し入れる
もぐり込む  自動詞
持ち込む  他動詞
盛り込む  他動詞

やり込める  他動詞

寄せ込む  

呼び込む  他動詞

割り込む  自動詞  割って入 (はい) る

 

 

<込む>、<込める>は上で書いたように基本的には<in>の意味だ。微妙なのもあるが

駆け込む  駆けて入る
かつぎ込む かついで入る
蹴り込む  蹴って入れる
包み込む  包んで入れる、包み入れる
取り込む  取って入れる  取り入れる
投げ込む  投げて入れる、投げ入れる
ほうり込む  ほうって(投げて)入れる
まぎれ込む  まぎれるように(わからないように)入る
混ざり込む  混ざって入る
混ぜ込む  混ぜて入れる、混ぜるように入れる
まぎれ込む  まぎれるように(わからないように)入る
もぐり込む  もぐるように(わからないように)入る
持ち込む  持って入る

がある。だが<in>の意味が薄い、または<in>の意味がほとんどないものも少なくない。

 

 

 

sptt


 

Saturday, October 26, 2024

複合動詞 <XX 払う、はらう>

 

前回のポスト " 複合動詞<XX 去る>、<XX away>" に引き続いて<XX 払う、はらう>をチェックしてみる。 " 複合動詞<XX 去る>、<XX away>" と似たようなところがり、英語では<XX away>、<XX off>あるいはあまり使わないが<XX apart>が該当するか。基本的には<払う、はらう>自体は他動詞で<離す、はなす>の意がある。<払う>単独では<支払う>の意があり、基本的には<外に出す>の意か?。アイウエオ順に書き出してみる。

明け、開け、空け払う  家をあけ払う
売り払う
追い払う 、おっぱらう(関東方言)
掻き払う (かきはらう) 、かっぱらう (関東方言) 主に強奪するの意
切り払う
支払う 
出払う (ではらう) 、でっぱらう(関東方言)
取り払う (とりはらう) 、とっぱらう (関東方言)
引き払う  家を引き払う
吹き払う  机に上のチリを吹き払う
振り払う

(追加予定)

 

<出払う>は自動詞<出る>+<払う>だが、他はみな<他動詞>+払う。また<出払う>には<きれいさっぱり>の意がある。

他動詞組でも

家をあけ払う
売り払う
取り払う
家を引き払う

 などは<きれいさっぱり>の意があり。

 上で<離す、はなす>と書いたが、以上を検討してみると<外に向かって、あるいは脇に離す、はなす>内容の意味があるものが少なくない。

 

参考)November 2, 2014のポスト 

<払う>は<支払う>だけではない 

https://sptt-latin-subjunctive.blogspot.com/2014/11/blog-post.html

 

sptt



 

 

Friday, October 25, 2024

複合動詞<XX 去る>、<XX away>

英語では<動詞+副詞>が日本語では大方<動詞の連用形+動詞>になる。一応複合動詞としておく。これからいろいろ検討していく予定だが、一番目として<XX 去る>を取り上げる。

<去(さ)る> 自体独立した動詞としての用法があり、<離れて行く>が原意に近い。

花子は黙って去った。

でもいいが

花子は黙って去って行った。

が普通だ。<去って行く>も<って>があるが一種の複合動詞と言えそうだが、これから検討するのは<動詞の連用形+去る>。<XX 去る>は<XX away>相当と思われる。アイウエオ順に書き出してみる。

洗い去る  洗い流し去る
置き去る  置き去 (ざ)り
切り去る  切り取り去る
崩 (くず) れ去る
壊 (こわ) し去る
消し去る
過ぎ去る
出し去る  膿(うみ) を出し去る
立ち去る
どけ去る (のけ去る) 邪魔ものをどけ去る 
飛び去る
取り去る   不純物を取り去る
流し去る  溝、どぶたまった泥を流し去る
流れ去る
抜き去る
脱ぎ去る   古い習慣を脱ぎ去る
逃げ去る
拭 (ぬぐ) い去る
運び去る
走り去る
吹き去る  吹き飛ばす、吹き飛ばし去る <吹きさらし>は<吹き曝し>
拭 (ふ) き去る
葬 (ほうむ) り去る
持ち去る
破り去る
忘れ去る

(追加予定)

<自動詞+去る>と<他動詞+去る>を分けてみる。

 <自動詞+去る>

崩 (くず) れ去る
過ぎ去る
立ち去る
飛び去る
流れ去る
逃げ去る
走り去る

<崩 (くず) れ去る>は例外で、<崩れて、そして去る>ではなく跡形もなく、すっかり崩れる>といった意味だ。

<立ち去る>は何かおかしい感じがする。調べてみたが<(居座っていた人が立って去る>の意のようだ。その他は 

過ぎ去る  通り過ぎて去る  to pass away
飛び去る  飛んで去る、飛びながら去る to fly away
流れ去る  流れながら去る to flow away
逃げ去る  逃げて去る to flee away
走り去る  走って去る、走りながら去る to run away

で<XX away>が対応する。

 <他動詞+去る>

洗い去る  洗い流し去る
置き去る  置き去 (ざ)り
切り去る  切り取り去る
消し去る
壊 (こわ) し去る
出し去る  膿(うみ) を出し去る
どけ去る (のけ去る) 邪魔ものをどけ去る 
取り去る   不純物を取り去る
流し去る  溝、どにたまった泥を流しさる
抜き去る
脱ぎ去る   古い習慣を脱ぎ去る
拭 (ぬぐ) い去る
吹き去る  吹き飛ばす、吹き飛ばし去る <吹きさらし>は<吹き曝し>
拭 (ふ) き去る
葬 (ほうむ) り去る
持ち去る
破り去る  届いた不合格通知を破り去った。
忘れ去る

<去る、away>の意味があるのは

置き去る  xxを置いて去る 英語は leave it で<置き去る>の意があるようで、to leave it away とは言わない。

<置き去る>は<意図的に置いて去る>と<置き忘れて去る>の場合があるが、後者の場合は<去る>のない<置き忘れる>でいいようだ。英語の to leave it の場合は<置き忘れる>も意味するか?英語の <to leave>はやっかいな動詞で以前に ” 英語の to leave は多義語”  というポストを書いたことがある。

<置き去 (ざ)り>もおもしろい言葉だ。普通は<置き去 りにする>、<置き去 りにされる>で使う。

抜き去る  <AがBを追い抜いて去る>で他動詞だが自動詞のような感じだ。<away>の意味がある

運び去る  運んで去る

持ち去る  他人の物を<持ち去る>が多いようで、<盗み去る(盗んで去る)>のような感じだ。<持ち去る>は英語のマクドナルドや KFC の<take away>相当だが、日本語では<お持ち帰り>になっている。<持ち去り>では客が泥棒のようになる。<お持ち帰り>は定着しているが、私が住む香港ではいろいろある、というかいろいろあった。ひと昔前は<take away>の訳語と思われる<レン走, ling1 zau2 (拎走)>、一時<行街 haang4 gaai1>というのを聞いたが、最近は<外売、ngoi6 maai6 (外賣)>が定着しているようだ。

<持ち去る>の<去る>も<away>の意が残っている。

忘れ去る  これは悪くない言葉だ。頭の中にある者が<to go away, gone away>。 だが忘れ去る>はこれから述べるが<すっかり忘れる>の意味も含んでいる。

さて残りだがこれらが自動詞をふくめても<XX 去る>の中で一番多い。繰り返しになるが

洗い去る  洗い流し去る
切り去る  切り取り去る
消し去る
壊 (こわ) し去る
出し去る  膿(うみ) を出し去る
どけ去る (のけ去る) 邪魔ものをどけ去る 
取り去る   不純物を取り去る
流し去る  溝、どにたまった泥を流しさる
脱ぎ去る   古い習慣を脱ぎ去る
拭 (ぬぐ) い去る
吹き去る  吹き飛ばす、吹き飛ばし去る <吹きさらし>は<吹き曝し>
拭 (ふ) き去る
葬 (ほうむ) り去る
破り去る
忘れ去る

で、これらの動詞には大体<去る、離れて行く、away>の意味はあるが、どうもそれだけではないようだ。<離れて行く、away>以外にどんな意味があるかというと、それは<すっかり>、<跡形もなく>、<徹底的に>といった副詞的な意味で、一種の強調。

跡形もなく消し去った
跡形もなく壊 (こわ) し去って行った
すっかり忘れ去った

<すっかり>、<徹底的に>能ような強調には<xx尽くす>、<xx払う>、<xx果たす>などがあるが順を追って検討する予定。

 <xxさる>にはなかなかいい言葉がある。上でとりあげた<忘れ去る>。他では

消し去る  消し去ることのできない罪悪感
過ぎ去る  楽しい時間は過ぎ去った
拭い去る  この汚名はきっと拭い去る

 

sptt

 

 

Thursday, October 24, 2024

持つ、持って行く、持って来る

まず日本語と英語を比較してみる。一般的には

持つ ー to have (持っている)、to hold (in hand、in hands, in my hand, in my hands) (手に持つ、持っている)
持って行くー to take、to bring (話者のいる場所、話相手との関係など、状況による)
持って来るー to bring、to take

他に<to fetch> というのがあり、あまり使わないが

to fetch は<行って取って、持って返ってくる>という言う意味だ。

だが、他にも言い方はあろう。特徴的なのは英語では<持って行く>、<持って来る>に<to have>が使えないことだ。

to have and go
to have and come

は意味が明確だがダメなのだ。どちらかと言えば日本語の方が学びやすい。

to take (something, someone) and go
to take (something, someone) and come 

ならよさそうだがが、日本語にもどすと

(何かを)取って行く
(誰かを)連れて行く
(何かを)取って来る
(誰かを)連れて来る

でモノと人では違ってくる。<連れる>やや特殊な動詞だが、使用頻度は高い。 

さらには

to go to take (something)
to come to take (something)

(何かを)取りに行く
(何かを)取りに来る

というのもあるが、<持って行く、持ってくる>とは違う。だが

to go to take (something) and come back

だと to fetch (something) の意味になる。

 to come to take (something) and go

だと<来て、取って、行く>で何か変で、<来て、取って、持って行く>になる。これは一語の英語動詞はないようだ。

以上からすると日本語の<持って行く>、<持って来る>には<取る>が内包されているようだ。<持つ>ためには基本的に<取る>必要があるのだが、これはあたたり前で、取り立てて言う必要はなく<持つ>の一語で済ませているのが日本語だ。

中国語では<带来>(持って来る)という語がよく使われる。<带走>(持って行く)。これ以外に<to take、取る>を意味する<拿>があり、<拿来>、<拿走>も可能か。また<行く>には<去>というのがあるので<带去>、<拿去>も可能か。

実際に聞いたのでは、広東語だが<レン過去>というのがあって、多分これは北京語では<带過去>。この<带過去>をネット辞典でしらべてみると

带過去 日本語 持って行ってください ー> 持てって行く
带過去 英語  Take it with you (to take it with you )


英語では<to take>が出てくるが、注意したいのは<with you>で、この<with you>の意が<带>にはあるということだ。もちろん自分(話者)が行くのであれば<to take it with me>となる。


sptt

Sunday, October 20, 2024

ラテン語を使った英単語記憶法 inference

 

森鴎外はラテン語を使った英単語記憶法をすすめている。ラテン語の接頭辞は、ラテン語、フランス語からの輸入語ではほとんどそのまま英語で使われている。例として<xx fer>をチェックしてみる。またラテン語の前置詞が接頭辞化したものがある。

to differ - difference
to offer  - offer
to prefer - preference
to refer - reference
to suffer - suffering
to transfer - transfer

という<xx fer>語はなじみがある。右側は名詞形。<offer><transfer>の名詞形が動詞形と同じなのは英語の大きな特徴。すでになじみがあれば特に接頭辞と語幹をチェックする必要はなさそう。他に

to confer - conference (コンファレンス、少し気取ってンファレンスはなじみがある)
to defer - deferral (この名詞形は聞いたことも使ったこともない)

ビジネスでは to postpone - postponement が使われる。

 

さて、最近<AI>関連の英文記事で inference という言葉に出くわした。ネット辞典でチェックしてみると

to infer - inference 

これはこれまで動詞も名詞形も聞いたことはなかった。

<xx fer>の<fer>を語幹としておく。この<fer> は基本的に “to bear, bring, carry” が原意。Latin ferre “to bear, bring, carry”。(www.dictionary.com)

接頭辞の<in>はなじみがあるが、多義の接頭辞。語幹の<fer> は基本的に “to bear, bring, carry” が原意、を知らなくとも、なじみの語が結構あるので、推測ができそう。

ネット辞典でのチェック

簡単な英英辞典では

noun
 
a conclusion reached on the basis of evidence and reasoning.
 
"researchers are entrusted with drawing inferences from the data"
synonyms: deduction, conclusion, reasoning, conjecture, speculation, surmise, thesis, theorizing, hypothesizing, presumption, assumption, supposition, reckoning, extrapolation, reading between the lines, guesswork, guessing, guesstimate, ratiocination

かなりの類語数だ。また簡単な英日辞典では

https://ejje.weblio.jp/content/inference

推論、推理、推論されたもの、推定、結論

やや詳しい解説では

  実用日本語表現辞典

 https://www.weblio.jp/content/inference

「inference」とは、観察情報から結論導き出すことを指す。論理的な推論帰結意味しデータ事実基づいて判断下すプロセスである。科学数学哲学などの分野でよく用いられる概念であり、問題解決意思決定において重要な役割を果たす。 

とある。したがって Inference は一語では<推論>と言えそう。上で<原意、を知らなくとも、なじみの語が結構あるので、推測ができそう>と書いたが、<推測>や<推理>でもよさそう。<ラテン語を使った英単語記憶法>では<推測>、<推理>が重要、かつおもしろいとことろだ。

また、<データや事実に基づいて判断を下すプロセスである>は大いに<AI>と関連がある。

<www.dictionary.com>でチェックしてみると<inference>は出てこない。新しい<AI>用語か。動詞<infer>は出てくる。ここでは<Origin>と参考として<Note>をコピー / ペイストしておく。

Origin of infer1

First recorded in 1520–30; from Latin inferre, equivalent to in- + ferre “to bring, carry, bear”; in- 2, bear 1
 

Usage Note

Infer has been used to mean “to hint or suggest” since the 16th century by speakers and writers of unquestioned ability and eminence: The next speaker criticized the proposal, inferring that it was made solely to embarrass the government. Despite its long history, many usage guides condemn the use, maintaining that the proper word for the intended sense is imply and that to use infer is to lose a valuable distinction between the two words. Although the claimed distinction has probably existed chiefly in the pronouncements of usage guides, and although the use of infer to mean “to suggest” usually produces no ambiguity, the distinction too has a long history and is widely observed by many speakers and writers.
 
Origin からすると

  in- 2, bear 1

 なのだが、問題は接頭辞の<in>で< in- 2>を Link すると

in-2

  1. prefix

  2. not; non- Compare un- 1

    irregular
    incredible
    illegal
    insincere
    imperfect

と出てくる。これは<否定、反対>の意の接頭辞で、どうもおかしい。

not , non + to bring, carry, bear

では<to infer>の意にならない。

<in-2>とは別に<in-1>があって

in-1

  1. a prefix representing English in ( income; indwelling; inland , etc.), but used also as a verb-formative with transitive, intensive, or sometimes little apparent force ( intrust; inweave , etc.). It often assumes the same forms as in- 2, such as en- 1, em- 1, im- 3.

 で、つまりは英語の<in>で<中、中に、中へ><内、内に、内へ>だ。

 こちらの方は

 to bear in、 to bring in、 to carry in

で、例えば< to bring in>は<持って入(はい)る、(変な日本語だが) 持ち入れる>><to carry in>は<運び入れる>で意味が成立する。だがこれらの意味は推理、推測とは直接関係はなさそう。推測、推理は<導き出す>、<引き出す>で<in>ではなく<out>だ。Wiki のラテン語辞典にあたってみた。

    Verb

    īnferō (present infinitive īnferre, perfect active intulī, supine illātum); third conjugation, irregular

    1. to carry, bring, put, place, or throw in, into, to, or upon somewhere or something; insert
  1. Synonyms: īnserō, īnsertō, intrōferō, immittō, intrōdūcō, invehō, implicō
    Antonyms: excipiō, ēiciō, extrahō
  2. to bring forward, introduce, produce, cause, occasion, inspire

二番目の<to bring forward>、<to introduce>、<to produce>、<to cause>は<out>の意味があるので、こじつければ<推測する>、<推理する>、<導き出す>、<引き出す>の意味に関連する。

 

www.dictionary.com は語源(origin)の宝庫。私は大いに活用している。

 

sptt

Thursday, July 18, 2024

うらみ、つらみの<xx む(mu)>動詞ー2

 

かなり前(2018年)に ” うらみ、つらみの<xx む(mu)>動詞 ” というポストを書いているが、<xx む>動詞に再度挑戦。2018年のポストはほとんど参考にしていない。

<xむ>、<xxむ>動詞を機械的<あいうえお順>に並べてみる。

<xむ>

あむ 編む
いむ 忌む
うむ 生む、倦む
笑む <笑む>はほぼ死語で<ほほ笑む>。<笑みを浮かべる>

かむ 噛む、咬む、     鼻を<かむ>
きむ 決む(決める)
くむ 組む、汲む
こむ 込む(込める)、混む

しむ 沁みる
すむ 住む、済む、澄む
せむ 攻む(攻める)、責む(責める)
そむ 染む(染まる、染める)

たむ 貯む(貯める)、矯む(矯める)
つむ 積む、摘む、詰む(詰める)
とむ 富む、止む(止める)

なむ 舐む(舐める)
のむ 飲む

はむ 食む
ふむ 踏む
ほむ ほめる(誉める)

もむ 揉む

やむ 已む(已める)、病む
よむ 読む 

以上からは特に<む>の語感は感じられない。

<xxむ>だと多くなる。

<あ行>

あおむ  青む、赤む、白む、黒む
あがむ  あがめる(崇める)  おがむ(拝む)と関係がありそう
あぐむ
(あざむ) あざむく(欺く)
(あやむ) あやめる(殺める)
あゆむ  歩む

いがむ  いがみあう
いさむ  勇む、勇ましい、勇み足
いじむ  いじめる
いたむ  痛む、いたましい、悼む
(いとむ)いとめる(射止める)
いどむ  挑む


(うすむ)薄む  薄まる、薄める、薄い
うずむ  うずめる(埋める)
うとむ  疎む  これを、<うとむ>と読める人は少ないだろう
うらむ  恨む  うらめしい
うるむ  潤む  これを、<うるむ>と読める人は少ないだろう

え(?)

おがむ  拝む
おさむ  おさめる (治める、収める、納める)
おしむ  惜しむ


<か行>


かがむ  屈む  これを、<かがむ>と読める人は少ないだろう。 <しゃがむ>は方言か。
かこむ  囲む
かさむ  嵩む  これを、<かさむ>と読める人は少ないだろう
かすむ  霞む    かすめる (掠める)
(かたむ)  固む  固まる、固める、固い
かゆむ  かゆい (痒い)
からむ  絡む


きざむ  刻む
きしむ  軋む  これを、<きしむ>と読める人は少ないだろう
きばむ  黄ばむ  黄+ばむ、青ばむ、黒ばむ
きわむ  きわめる(極める)


くすむ  くすんだ色
くぼむ  窪む
くらむ  目がくらむ   暗い
くるむ  包む   これを、<くるむ>と読む人は少ないだろう

け(?)

このむ  好む  好ましい
こばむ  拒む   これを、<こばむ>と読める人は少ないだろう

 

<さ行> 

さだむ  さだめる(定める)

しかむ  しかめる(<顰める>が読める人はまずいないだろう)
(しがむ)  しがみつく
しくむ  し組む
しずむ  沈む
しとむ  しとめる(し留める、し止める)
しぼむ  萎む  これを、<しぼむ>と読める人は少ないだろう

すくむ  竦む  これを、<すくむ>と読める人は少ないだろう
すごむ  すごい
すすむ  進む
すずむ  すずしい
すぼむ  すぼめる   口をすぼめる

せがむ  なぜか漢字が出てこない
せばむ  せばめる(狭める)

そねむ  これは漢字が出てこない。 ねたみそねみ。

 

<た行>

たのむ  頼む
たたむ  畳む
たゆむ  これを、<たゆむ>と読める人は少ないだろう。弛むことなく、弛まず
たるむ  弛む  これを、<たるむ>と読める人は少ないだろう


たわむ  撓む  これを、<たわむ>と読める人は少ないだろう

ちぢむ  縮む

つかむ  掴む
つぐむ  口をつぐむ 
つつむ  包む
つとむ  つとめる 努める、務める 
つまむ  摘まむ
つるむ  弦む これを、<つるむ>と読める人は少ないだろう、弦(弦)由来

て(?)

とがむ (咎む) とがめる、咎める(咎む、咎める、<とがむ><とがめる>と読める人は少ないだろう)
とどむ  とどめる
とろむ        とろける、<まどろむ>は<目がとろむ>

<な行>

ながむ  ながめる (眺める)
なごむ  和む これを、<なごむ>と読める人は少ないだろう
なじむ  馴染む
なずむ  泥む これを、<なずむ>と読める人は少ないだろう

なずむ〔なづむ〕【▽泥む/▽滞む】 1 そのことに心がとらわれる。こだわる。執着する。
2 物事がはかばかしく進まないでいる。進むのに難渋する。とどこおる。<暮れなずむ>は<なかなか暮れない、という意味か?>

なだむ なだめる (宥める) これを、<なだめる>と読める人は少ないだろう

にくむ  憎む  にくい、にくらしい
にじむ  滲む

にらむ  睨む  これを<ぬるむ>と読める人は少ないだろ

ぬすむ  盗む
ぬるむ  温む  これを<ぬるむ>と読める人は少ないだろ、ぬるい

ねたむ  妬む  これを<ねたむ>と読める人は少ないだろ

のぞむ  望む

<は行>


はさむ  挟む
はじむ  はじめる (始める)
はずむ  弾む
はばむ  阻む  これを、<はばむ>と読める人は少ないだろう
はらむ  孕む

ひがむ  僻む  これを、<ひがむ>と読める人は少ないだろう
ひずむ  歪む  <ゆがむ>とも読める。<歪>は<ひずみ>、<歪み>は<ゆがみ>
ひそむ  潜む   
ひるむ  怯む  これを、<ひるむ>と読める人は少ないだろう
ひろむ  ひろめる(広める) 

ふくむ  含む

へこむ

ほそむ  ほそめる(細める)

<ま行>

まとむ  まとめる (纏める) まとまる

みとむ  認める

むくむ  これは漢字がなさそう。<浮腫む>むりやりな漢字だ。

めぐむ  恵む

めざむ  目+覚む  (目覚める)

もとむ  求む  (求める)

 <や行>

やすむ  休む  (休まる、休める)

ゆがむ  歪む
ゆるむ  緩む  これを、<ゆるむ>と読める人は少ないだろう

よどむ  淀む

 

<わ行>

 ?

 
ーーーーー

今回<xx む>動詞に再挑戦しようと思ったのは、よく出くわす中国語の<委屈>という語に関連して<うらむ>(うらみつらみ)、<ねたむ>、<そねむ>(ねたみそねみ)などの曲折した negative な感情表現の動詞に<xx む>が多いのではないか、という疑問がわいてきたからだ。以上調べた限りでは<委>も<屈>も出てこない。

<あ行>
(あざむ) あざむく(欺く)

いじむ  いじめる  (これは曲折した negative な感情が関連した行動だ。)
いたむ  痛む、いたましい

うとむ  疎む  これを、<うとむ>と読める人は少ないだろ
うらむ  恨む  うらめしい

おしむ  惜しむ 

<か行>

こばむ  拒む

<な行>

にくむ  憎む  にくい、にくらしい

ねたむ  妬む  これを<ねたむ>と読める人は少ないだろ

<は行>

ひがむ  僻む  これを、<ひがむ>と読める人は少ないだろう
ひずむ  歪む  <ゆがむ>とも読める。<歪>は<ひずみ>、<歪み>は<ゆがみ>

 <や行>

ゆがむ  歪む

よどむ  淀む

が目立つ程度。

<うらみつらみ>の<つらみ>は<つらむ=つらい、つらく思う>由来だが<つらむ>はほとんど聞かない。

<ねたみそねみ>の<そねみ>は<そねむ>由来だが<そねむ>もほとんど聞かない。

一方 positive な<xxむ>もけっこうある。

いさむ  勇む  は必ずしもいい意味ではない。  勇み足

いどむ  挑む

このむ  好む

すすむ  進む

なごむ  和む
なじむ  馴染む  

のぞむ  望む

めぐむ  恵む

 

意外な発見-1

ある意味ではやまとことば物理、工学用語がすくなくない。

たるむ  弛む  たるみ
たわむ  撓む  たわみ
ちぢむ  縮む  ちぢみ
はずむ  弾む  はずみ
ひずむ  歪む  ひずみ
へこむ  へこみ
ゆがむ  歪む  ゆがみ
ゆるむ  緩む  ゆるみ

漢字は使わない方がよさそう。また多くは<曲折した negative>ではないが、変形する、正常でなくなる状態になる、とは言える。

 

意外な発見-2

顔、身体の表情表現

かがむ、しゅがむ
目がくらむ
顔を(しかむ)しかめる
口をすぼむ、すぼめる
にらむ
手足がむくむ
顔がゆがむ、顔をゆがめる

 

意外な発見-3

これは大いに文法に関係している。

<xxむ>は自動詞<xxまる>と他動詞<xxめる>に<進化>したものが少なくない。これまで<xxまる><xxめる>。<まる><める>動詞として幾度かとりあげているが、ここでは以前のポストは見ないで話しを進める。

うずむ  うずまる(埋まる) 砂にうづまる、うずめる(埋める) 身を砂にうづめる
かがむ  かがまる、 かがめる  身をかがめる
すくむ  すくまる 身がすくむ、身がすくまる、 すくめる 身をすくめる
くるむ  くるまる、布団にくるまる、 くるめる 身を布団にくるめる
ちぢむ  ちぢまる 身がちぢまる、  ちぢめる 身をちぢめる
ひそむ  潜む、  ひそめる(潜める) 身をひそめる

以上

身を砂に埋める は <砂に埋まる>こと
身をかがめる は <かがまる>こと
身をすくめる は <(身が)すくむ>こと
身を布団にくるめる は<布団にくるまる>こと
身を潜める は <潜む>こと 

で他動詞ー>自動詞変換だ。もっともこれは<xxむ>に限ったことではない。

身を隠(かく)す  隠れる
目をさます  目がさめる   <目を覚ます>は自分が自分の目をさますことではない。

ーーーー

形容詞+<まる><める>

あおむ  青む、赤む、白む、黒む

は 青くなる、赤くなる、etc となる。

 ひろむ (ひろまる) ひろめる(広める)

 は 広くなる、広くする

同じように

(高む) 高まる、高める

は 高くなる、高くする

形容詞の連用形+なる ー 自動詞
形容詞の連用形+する ー 他動詞

 で一般性がある。(文法上重要)。またかなり昔から使われてきたとようだ。

一方、語幹+<まる>、語幹+<める>はこの一般性がない。だが

青い ー 青める、青める
固い ー 固まる、固める
薄い ー (薄む)薄まる、薄める 

などの言い方もあり、形容詞+なる、形容詞+する、よりは一音節短いの省力化になり、また<語感>が違う。

 

sptt