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<xxく>動詞、<xxかる-ける>動詞
の続編。上のポストは相当長く、読み切ったのは私ぐらいではないかと思っている。文法的規則性を見つけようと試みたのだが、 支離滅裂なところがあり、規則性は結局見つからなかった。今回は別の方法を試みた。
<xく>動詞
話が長くなるので 、とりあえず二音節の<xく>動詞だけをチェック。
空 (あ) く (自動詞) 席が空く、部屋が空く (自動詞) 、席 / 部屋を
空ける (他動詞) 席 / 部屋を空けさす / させる(使役)、席 / 部屋を
空かす (他動詞)、 席 / 部屋を空かす、空かさす / させる(使役)
開 (あ) く (自動詞) ドアが開く、 開ける (他動詞) 、窓を開ける、開けさす、させる(使役) <窓が開かる、開からない> (可能) という言い方がある。これはやや特殊だが<見つける>という動詞も
見つける (他動詞) 、落した財布を見つける、 <落した財布が見つかる、見つからない> という言い方がある。だが<見つかる>は可能というよりは自動詞。自動詞だが変な自動詞だ。<見つく>は古語にあるが他動詞。
[三] 他動詞カ行下二段活用
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
見つける。発見する。
で他動詞。末尾参照。
飽く (自動詞) (古語) 飽きる (自動詞)、 飽かす (他動詞) 飲み飽かす、厭きるまでむ、厭きるほど飲む、飽きさす /させる (使役)
(生く) (古語) 生きる (自 / 他動詞)。 長く生きる (自動詞)、長い一生を生きる (他動詞) 、使役:生きさす、生きさせる
生ける (他動詞) 花を生ける、使役:花を生けさす、花を生けさせる
古語活用
| 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | 活用型 |
| (語幹) | け | け | く | くる | くれ | けよ | カ行下二段活用 |
この古語の活用から<生ける>が生じた。末尾参照。
生かす <生く>(古語) (自動詞) の他動詞化か。この機会を生かす 使役:生かさす / 生かさせる
原意:生きるようにさせる。 生きさすー>生かす
行く (自動詞) 行ける(可能)、 行かす / 行かさす / 行かせる(使役)
浮く (自動詞) 浮ける(可能) 浮かす (他動詞)、浮かせる (他動詞、可能) 浮かさす / させる(使役) 他動詞<浮かべる>は<浮かす>と違う。
置く (他動詞) 置ける(可能) 置かす、置かさす / させる(使役)
書く (他動詞) 書ける(可能) 書かす / かさす / させる(使役)
欠く (他動詞) 思慮を欠く、欠ける (自動詞) 知恵が欠ける,欠かす
聞く (他動詞) 聞ける(可能) 聞かす / 聞かさす / 聞かせる(使役)
<聞こえる>は<聞こゆ>由来で別もの。
効く (自動詞) 薬が効く。 効かす(他動詞)すごみを効かす, 効かさす(他動詞) 、すごみを効かさす、効かさせる(他動詞) 、すごみを効かさせる 効かさす / 効かさせるは使役にもなる。太郎にすごみを効かさす、太郎にすごみを効かさせる
薬を効かす、 薬を効かさす、薬を効かせる、薬を効かせる、で他動詞は問題ない。
使役はどうなるか?
太郎にすごみを効かさす、効かさせる、効かさせさす
どうもやっかいだ。
割 (さ) く (他動詞) 割ける (自動詞、可能) 、割かす / 割かさす / させる(使役)
(避く) (他動詞) (古語、文語) 避ける (他動詞) 、(避かす) / 避けさす / 避けさせる(使役)
咲く (自動詞) 花が咲く、咲かす(他動詞)、咲かせる(他動詞、可能) 咲かさす/ させる(使役)
爺さんが桜の花を咲かす(他動詞)、咲かせる(他動詞)
爺さんは桜の花が咲かせる(可能) この<咲かせる>は他動詞ではない。
爺さんに桜の花を咲かさす/ させる(使役)
敷く (他動詞) 布団を敷く 敷ける(可能) 敷かす / さす ./ させる(使役)
透 (す) く 透ける (自動詞) 透かす(他動詞) xxを透かしてみる、透かさす / させる(使役)
空 (す) く (自動詞) おなかがすく、電車が空く 空かす (他動詞) おなかを空かす
<おなかを空かす>の<空かす>は<を>を取るので他動詞と言えるが、実際には本人が他動詞的に <おなかを空かす>わけではない。
漉 (す) く (他動詞) 紙を漉く、漉ける (可能)
好く (他動詞)
急 (せ) く (自動詞) 気が急く、 急(せ) かす、急かせる(他動詞)、急かさす、させる(使役)
炊く(他動詞) 御を炊く 炊ける (自動詞、可能) 御飯が炊ける、 炊かす(使役)
(たく) たかる (自動詞) ハエがたかる ハエをたからす(ハエに命令はできないので使役ではなく他動詞)
着 (つ) く (自動詞) 着ける (可能)、 着かす(他動詞) 荷物を時間通りに着かす 着かかさす、させる(使役)
付く (自動詞) 付ける (他動詞) 、破れた紙をテープで付ける、 付かす (他動詞)、 護衛のため太郎を花子に付かす、 付けさす、させる(使役) 護衛のため太郎を花子に付けさせる
護衛のため太郎を花子に付かす
の<付かす> は微妙で純他動詞とは言いにくいが純使役とも言いにくい。
就く (自動詞) 任務に就く 就ける (他動詞) 太郎を任務に就ける、就かす (他動詞) 太郎を任務に就かす、 就かさす(他動詞) 太郎を任務に就かさす、 就かさせる (他動詞)太郎を任務に就かさす <就かす、就かさす、就かさせる>使役ともなる。このあたりも微妙。
突 (つ) く (他動詞) 突ける (可能)、 突かす、突かさす、突かさせる (使役)
(浸く) 浸 (つ) かる (自動詞) ー 漬ける (他動詞) 、 浸からす (他動詞) 、漬けらす / らせる
解く(他動詞) 問題を解く、 解ける (自動詞)、問題が解ける、解ける (可能)、解かさす / 解かせる / 解かさせる (使役)
太郎が / は問題を解く (他動詞)
問題が解ける (自動詞)
太郎は問題がける (可能)
太郎に問題を解かさす / 解かせる / 解かさせる
<解かす> (他動詞)がありそうでない。<問題を解かす>という言い方はない
溶く(他動詞) 溶ける (自動詞)
溶かす(他動詞) 、塩を水に溶かす、 溶かせる / させる(使役)
梳く (他動詞) 髪を梳く 梳かす(他動詞) 髪をとかす 髪かせる / させる(使役)
説く (他動詞) 世の摂理を説く。
どく(自動詞) どける (他動詞)、 どかす(他動詞) どけさす / どけさせる、どかさす / どかさせる どける (他動詞)、どかす(他動詞) は個人差、方言のちがいか?
鳴く (自動詞) 鳥が鳴く、鳴かす(他動詞) 鶯を鳴かす <>を擬人化すれは使役になる。
泣く (自動詞) 赤ん坊が泣く、花子が泣く 泣ける (可能) 、泣かす(他動詞)
<夜通し赤ん坊に泣かれて閉口した>という言い方がある。<泣かれ (て) >は自動詞<泣く>の受身。他動詞<泣かす>の受身は<泣かされる>。<泣かれ (て) >は被害相とも言える受身で、自動詞の受身が可能。<死なれて>。
抜く(他動詞) 抜ける (自動詞) 釘が抜ける 抜かす(他動詞) 腰を抜かす、大事なポイントを抜かす 抜かす、抜かせる、抜かさせる (使役) 太郎にくぎを抜かす / 抜かせる / 抜かさせる
<腰を抜かす>の<抜かす>は、上の<おなかを空かす>と同じで、<を>を取るので他動詞と言えるが、実際には本人が他動詞的に <腰を抜かす>わけではない。
ころんで脚の骨を折る
アキレス腱を切る
も同様。
のく 退く (自動詞) のける (他動詞)、 のかす (他動詞)、 のけさす / させる、のかさす / させる (使役)
吐く(他動詞) 商品を吐く 吐ける (自動詞) 在庫が吐ける 吐かす (他動詞) 在庫を吐かす 吐かす / かせる / させる (使役) 容疑者に泥をはかす / かせる / させる 、 吐けさす / けさせる (使役) 商品を吐けさす / させる
掃く (他動詞) 庭を掃く 掃ける (可能) 掃かす / かせる / させる (使役)
履く (他動詞) 靴を履く 履ける (可能) 履かす / かせる / させる (使役)
引く (他動詞) 綱を引く 引ける (可能) 引かす / かせる / させる (使役)
ひく (自動詞) 潮がひく ひける (自動詞) 潮がひける、仕事がひける
拭く (他動詞) テーブルを拭く 拭ける (可能) 拭かす / かせる / させる (使役)
吹く(自動詞 / 他動詞) 風が吹く (自動詞) 、笛を吹く、口笛を吹く(他動詞) 口笛を吹かす(他動詞) 吹かさす / かせる / させる (使役) 風を、笛を吹かさす / かせる / させる
<口笛を吹く(他動詞)>と<口笛を吹かす(他動詞)>の違いは微妙。
<火をふく>は漢字変換では<火を噴く>と出てくるが。<口から火が出てくる>ので<火を吹く>でもよさそう、というか、この方がよく<火を噴く>は当て字。<鬼が火を噴く>はおかしい。
巻く (自動詞 / 他動詞) 風が巻く、渦がまく (自動詞)、ネジを巻く (他動詞)、渦を巻く (他動詞) 巻ける (可能) 巻かす (他動詞) 巻かす / かさす / かせる / させる (使役)
<巻かす>は使役になる。太郎にネジを / 渦を巻かす。
<渦をまく= 他動詞>は問題がありそう。<ここでは流れが渦を巻いている>は自動詞っぽい。別のところで<ヘビがとぐろを巻く>という言い方を検討したことがある。
撒く (蒔く) まく (他動詞) 種を蒔く
(負く) 負ける (自動詞) A組が負ける。B組がA組に負ける 負かす (他動詞)
A組がB組を負かす。これは内容的には<B組がA組に負ける>とおなじだ。負ける (自動詞) - 負かす (他動詞)、 勝つ (自動詞) - 勝たす (他動詞) はややこしい。
<負かせる>は可能。使役は負ける (自動詞)を使って<負けさす / させる>になる。他動詞を使った<負かさす /負かさせる>はダメだろう。
向く(自動詞 / 他動詞) 気が向く(自動詞)、 西を向く(<を>をとるので、とりあえず他動詞) 向ける (他動詞) 銃を向ける 向かす (他動詞) 西を向かす 向かす / かせる / させる (使役) 向けさす / させる (使役)
<向く>関連動詞は非常に複雑。
西を向く <を>をとるので、とりあえず他動詞
がまずやっかいなのだ。
剥 (む) く (他動詞) 皮をむく、むける (自動詞、可能) 皮がむける
焼く (他動詞) 肉を焼く 焼ける (自動詞) 肉が焼ける 焼けさす / けさせる (他動詞) 焼かす / かさす/ かせる (使役)
焼けさす / けさせる (他動詞) は<焼ける (自動詞)>の他動詞化と言える。
家を焼けさす / けさせる
は<家が焼けるようにさす / させる>で <家を焼かす / かさす/ かせる (使役)>とは違う。したがって
<家を焼けるようにさす / させる>はおかしいという。この辺もややこしい。
(よく) よける (自動詞 / 他動詞) 横によける (自動詞)、水たまりをよけて歩く (他動詞)、車がよけて通る (他動詞)
<横によける>は<わが身を横に動かしてよける>、<車がよけて通る>は<車が人をよけて通る>の簡易表現とすると、<よける>は他動詞になる。
湧く (自動詞) アイデアが湧く、水が湧き出る、勇気が湧く
沸く (自動詞) 湯が沸く 沸かす(他動詞) 湯を沸かす
(分く) 分かる、わかる (自動詞) ― 分ける (他動詞) 、分かつ (他動詞)
A.<xく>自動詞 ー <xかす>他動詞。
1.人がする行為で自動詞的なものは対応する他動詞は少なく、使役になる。
行く (自動詞) 行ける(可能)、 行かす / かさす / かせる(使役)
歩 (ある) く (自動詞) (xxく) 歩ける(可能)、 歩かす / かさす / かせる(使役)
泳 (およ)ぐ (自動詞) (xxぐ) 泳げる(可能)、 泳がす / がさす / 泳がせる(使役)
例外
(生く) (古語) 生きる (自 / 他動詞
生かす <生く>(古語) (自動詞) の他動詞化か。この機会を生かす 使役:生かさす / 生かさせる
急 (せ) く (自動詞) 気が急く、 急(せ) かす、急かせる(他動詞)
着 (つ) く (自動詞) 着ける (可能)、 着かす(他動詞) 荷物を時間通りに着かす 着かかさす、させる(使役)
どく(自動詞) どける (他動詞)、 どかす(他動詞) どけさす / どけさせる(使役)、 どかさす / かせる / かさせる(使役)
泣く (自動詞) 赤ん坊が泣く 泣ける (可能) 、 泣かす(他動詞) 泣かす / かさす / かせる / かさせる(使役)
のく 退く (自動詞) のける (他動詞)、 のかす (他動詞) のけさす / のけさせる(使役)、 のかさす / かせる / かさせる(使役)
<使役とはなにか?>も大問題で、議論の余地がある。基本的には<誰だれ、人に><xxさす、させる>。
2.自然現象の自動詞には対応する他動詞がある。<かす>による他動詞化。
浮く (自動詞) 浮ける(可能) 浮かす (他動詞)
咲く (自動詞) 花が咲く、咲かす(他動詞)、咲かせる(他動詞、可能)
沸く (自動詞) 湯が沸く 沸かす(他動詞) 湯を沸かす
<浮く>、<咲く>、<咲く>は自然現象だが、<浮かす>、<浮かす>、<浮かせる>、<沸かす>は人が関与している。人が対象に働きかけている。これは<他動詞>の定義でもある。
3.自動詞の他動詞化の<xかす>と使役の<xかす>
効く (自動詞) 薬が効く。 効かす(他動詞)すごみを効かす, 効かさす(他動詞) 、すごみを効かさす、効かさせる(他動詞) 、すごみを効かさせる 効かさす / 効かさせるは使役にもなる。太郎にすごみを効かさす、太郎にすごみを効かさせる
これはあいまいなところがある。
太郎はすごみを効かさせ (他動詞) て<生かしてはおけぬ>と言った。
太郎にもっとすごみを効かさす / 効かさせるように命じた。
だが、二番目は<命じる>が使役で、<すごみを効かさす / 効かさせる>は依然として、他動詞と見た方がいい。
効かす(他動詞)すごみを効かす
と
効かさす(他動詞) すごみを効かさす
の違いは何か?
後者は<声に>とか<態度に>などを加えられるが、前者は何かおかしい。<おかしい>がダメでもなさそう。
咲く (自動詞) 花が咲く、咲かす(他動詞)、咲かせる(他動詞、可能) 咲かさす/ させる(使役
爺さんが / は桜の花を咲かす(他動詞)、咲かせる(他動詞)
爺さんは桜の花が咲かせる(可能) この<咲かせる>は他動詞ではない。
爺さんに桜の花を咲かさす/ させる(使役)
咲かす(他動詞)花を咲かす
と
咲かさす(他動詞)花を咲かさす
の違いは何か?
これも微妙だ。後者は<花に命じて咲かす>、つまりは使役的なニュアンスがある。一方前者はあくまで<爺さん>の意図、行為。
空 (す) く (自動詞) おなかがすく、電車が空く 空かす (他動詞) おなかを空かす
<おなかを空かす>の<空かす>は<を>を取るので他動詞と言えるが、実際には本人が他動詞的に <おなかを空かす>わけではない。
ころんで脚の骨を折る
アキレス腱を切る
も同様。この言い方はおもしろい。別のところで<自身>を介在させて論じたことがある。
ころんで脚の骨を折る ー> ころんで脚の骨が折れた
アキレス腱を切る ー> アキレス腱が切れた
なぜか右側のようにはあまり言わない。 <折る>、<切る>は他動詞。<折れる>、<着れる>は自動詞で、怪我は意識的するもの (怪我をする) ではないので、自動詞がよさそうなのだが。
空 (す) く (自動詞) おなかがすく、 空かす (他動詞) おなかを空かす
は少し様子が違う。
<おなかがすく>は
(私は) はおなかがすいている。
はいいが
太郎はおなかがすいている。
はややおかしい。英語では Taro is hungry. で何ら問題ない。だが日本語では<太郎はおなかがすいている>はおかしいのだ。 発話者に太郎のおなか具合はわからない。したがって、
太郎はおなかがすいているようだ。
ならおかしくない。
太郎はおなかを空かしている。
もややおかしい。
太郎はおなかを空かしているようだ。
なら問題ない。
空 (す) く (自動詞) おなかが空く
と
空かす (他動詞) おなかを空かす
の違いはなにか?
話がそれかけているが、ここでも
<使役とはなにか?>が大問題で、議論の余地がある。
上で、
基本的には<誰だれ、人に><xxさす、させる>。
と書いたが、人ではなく、モノの場合、すなわち<何なに、モノに><xxさす、させる>場合も考えられる。そしてこれが、日本語に場合重要で、ペアになった<自動詞>と<他動詞>が関連してくる。そしてこのペアになった<自動詞>と<他動詞>が非常にたくさんあるのが日本語の大きな特徴になっている。まさに一例だが
雨が降 (ふ) る <降る>自動詞
天が雨を降 (ふ) らす <降らす>他動詞
黒雲 (くろくも) が雨をが降らす
<降る>の使役は<降らさす>、<降らさす>で
天に / 黒雲に雨を降 (ふ) らさす / させる
で使役のようになる。 だが、童話や漫画以外ではこうはあまり言わない。
また、別の<xる>動詞関連のポストで
”
< xらす>は、これまたこれから見るように、使役化の働きがある。使役の意味、定義はっきりしていないが、自動詞の他動詞化でもある。
”
と書いている。
B.<xく>他動詞 ー <xける>自動詞。
欠く (他動詞) 思慮を欠く、欠ける (自動詞) 知恵が欠ける
割 (さ) く (他動詞) 割ける (自動詞、可能)
炊く(他動詞) 御を炊く 炊ける (自動詞、可能) 御飯が炊ける
溶く(他動詞) 溶ける (自動詞) 溶かす(他動詞) 、塩を水に溶かす
抜く(他動詞) 抜ける (自動詞) 釘が抜ける 抜かす(他動詞) 腰を抜かす、大事なポイントを抜かす
剥 (む) く (他動詞) 皮をむく、むける (自動詞、可能) 皮がむける
焼く (他動詞) 肉を焼く 焼ける (自動詞) 肉が焼ける
C.<xく>他動詞 ー <xかす>他動詞。
溶く(他動詞) 溶ける (自動詞) 溶かす(他動詞) 、塩を水に溶かす
抜く(他動詞) 抜ける (自動詞) 釘が抜ける 抜かす(他動詞) 腰を抜かす、大事なポイントを抜かす
吐く(他動詞) 商品を吐く 吐ける (自動詞) 在庫が吐ける 吐かす (他動詞) 在庫を吐かす
異常のように整理してみたが、残念ながら規則性というほどのことはない。
D.<xく>自/他兼用動詞
このグループはやややこしい。上で概 (おおむ) ね検討済み。詳しくは個々に検討する必要がある。
ーーーーー
末尾
学研全訳古語辞典
み-つ・く 【見付く】
[一]自動詞カ行四段活用
活用{か/き/く/く/け/け}
見なれる。見てなじむ。
[訳] 盛りをすぎた尼削(あまそ)ぎの額のなじんでいないのに。
[二]自動詞カ行下二段活用
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
[一]に同じ。
「鳶(とび)烏(からす)も、不断、焼き印の大編み笠(がさ)をみつけて」
[訳] とびやからすも、ふだん焼き印入りの大編み笠を見なれて。
[三]他動詞カ行下二段活用
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
見つける。発見する。
[訳] 金の入っている竹を見つけることが何回もあった。
学研全訳古語辞典
い・く 【生く】
[一]自動詞カ行四段活用
「竹芝のをのこに、いけらむ世のかぎり、武蔵(むさし)の国を預けとらせて」
[訳] 竹芝の男に、今後生きているかぎり、武蔵の国を預け与えて。
[二]自動詞カ行上二段活用
活用{き/き/く/くる/くれ/きよ}
生きる。生存する。助かる。
[訳] 命だけは、どうして助からないことがあろうか、いや、助かるだろう。
[三]他動詞カ行下二段活用
カ行下二段活用
| 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | 活用型 |
| (語幹) | け | け | く | くる | くれ | けよ | カ行下二段活用 |
「いで、なほここながら死なむと思へど、いくる人ぞ、いとつらきや」
[訳] それでもやはりここにいるままで死にたいと思うけれど、私を生かす人がいるのは、たいそうつらい。
[訳] つつじを桶(おけ)にいけて、その傍らで食事の用意に干した鱈を裂く女がいる。◇「活く」とも書く。
語の歴史
自動詞は、上代・中古が四段、中世から上二段、他動詞は中古から下二段活用として用いられる。また、下二段活用から現代語「生ける」が生じた。
参考
他動詞化、使役の<xx す>動詞 May 19, 2018
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