Friday, November 15, 2024

複合動詞<xxきる>

 複合動詞<xxきる>の例はいくらでもあると言っていい。すこし前に "  <xx きる (切る) >の複合動詞 " というポストを書いているが、これは第二弾。前回のポストをあまり参考にしないで再検討してみる。

<切る>は<切る>由来で、物理的に<切る>では

打ち切る  打って切れないことはない。だが、慣用用法が主に使われる。

押し切る  <押して切る>ことはまずないだろう。西洋の鋸 (のこぎり) は押して切るようだ。慣用用法が主。

たたき切る  たたいて切れないことはない。慣用用法の<たたき切る>は一種の強調。 


強い勢いで斬りつけること、斬り捨てることを意味する表現一般的には叩き切る」と表記する

という解説がある。( 日本語表現辞典

ち (千) 切る   これは<ちりぢり、散り散りになるように)切る、切り散らす、で複合動詞とすれば<散り切る>の変形。

突っ切る   <突いて切る>こともほとんどないだろう。

ねじ切る、 ねじり切る   ねじって切る

はさみ切る  はさんで切る

引き切る             引いて切る、引っ張って切る。<ひっきりなし>の<ひっきり>は

<ひっきりなし>のネット辞典の解説で

絶え間のないこと。「引っ切り」は「切れ目」「区切り」の意 (デジタル大辞泉

とある。<区切り>、<区切る>は後で述べるが<切る>の重要なコンセプト。

焼き切る  焼いて切る

 

また、<途中で切る>、中断の意があるが、これはむしろ少数派で

 打ち切る、見切る、思い切る、割り切る

多数派は

1)強調
2)完了

1)強調は前回のポスト " 複合動詞<xxかえる> " で<xxかえる>と並行して並べてみた。

あきれかえる  あきれきる
あふれかえる  あふれきる
甘えかえる   甘えきる
いばりかえ(えばりかえる) いばりきる(いばりきる)
うかれかえる  うかれきる
おごりかえる  おごりきる
恐れかえる   恐れきる
おびえかえる  おびえきる

悲しみかえる  悲しみきる
乾きかえる   乾ききる

狂いかえる   狂いきる
こごえかえる  こごえきる
困 (こま) りかえる   困りきる
こわがりかえる  こわがりきる

しょげかえる  しょげきる
すねかえる   すねきる

黙りかえる   黙りきる
だらけかえる  だらけきる
ちぢみかえる  恐ろしさでちぢみかえる、 ちぢみきる
ちらかりかえる  ちらかりきる
疲れかえる   疲れきる

泣きかえる   赤ん坊が泣きかえる

嘆きかえる   嘆ききる
怠 (なま) けかえる  怠けきる

冷 (ひ) えかえる  冷えきる
膨 (ふく) れかえる   膨れかきる
ふさぎかえる  ふさぎきる
震 (ふる) えかえる   寒さで震えかえる、震えきる
へたりかえる  へたりきる

乱れかえる   乱れきる
むくれかえる  むくれきる

汚 (よご) れかえる  汚れきる
喜びかえる  喜びきる
弱りかえる  弱りきる

笑いかえる  笑いきる  

強調といってもいろいろあり、<xxかえる>の方は

a) 極度の<恐れ、驚き、喜び、嘆き、悲しみ、乱れ、疲れ、寒暑>。

b) 絶望的な<どうしようもない>のニュアンスのものが少なくない。

あきれかえる、困りかえる、疲れかえる、赤ん坊が泣きかえる、乱れかえる、弱りかえる

c) 状況ににより批判的な言い方と言えるものがある。

あきれかえる、甘えかえる、いばりかえる、だらけかえる、ちらかりかえる、汚れかえる

一方上記の<xxきる>例の方はどちらかというと ” 一般的な ” な強調で、極度まではいかず

<すっかり、xxきる>程度。また<切る、to cut>の意味はないと言っていい。いくらでもあるが、上の例以外では

開けきる   戸を開けきる
上がりきる
飢えきる
売りきる   なくなる
押しきる
落ちきる   葉が落ちきる  なくなる

買いきる
かたずけきる
枯れきる   木が枯れきる
乾ききる  のどが乾ききる

探しきる
閉 (し) めきる  戸を開けきる
湿りきる
知りきる
捨てきる  なくなる

出しきる  なくなる
楽しみきる
使いきる   なくなる
勤めきる
跳びきる  <とびっきり>とは?
取りきる  なくなる

伸ばしきる
伸びきる
乗りきる  皆船に乗りきる。残る人がいなくなる。<困難を乗りきる>と言うが<乗り越える(きる)>が適切だろう。

張りきる   ゆるみなく十分に張る。ぴんと張る。「張り切った糸を指ではじく」「張り切った筋肉」(デジタル大辞泉)。だが、主に慣用方法で使われる。
減りきる  腹が減るきる、体重が減りきる。限度があって<なくなる>ことはない。
増えきる
太りきる
振りきる  <振って切る>こともあるが、普通は<追手、後続を振るようにして離す>。
広げきる  風呂敷を広げきる 

曲げきる   <曲げて切る>こともあるが、普通は<しっかり曲げる>、<可能な限り、できるだけ曲げる>。
混ぜきる
燃えきる  燃え尽きる   なくなる

痩 (や) せきる

わかりきる 

ーーーーー

漢語+しきる

これもいくらでもある

感動しきる
絶望しきる
疲労しきる
燃焼しきる


2)完了

完了、完了形は文法用語であり、少し詳しく検討してみる。完了は文字通りでは<終わる、終わる>。文法用語の完了は英文法の解説用に作られた和製漢語だろう。中国の中国語文法解説で<完了>の字はあまり見ない。<了>は多義語だが過去、完了の意味がある。また<完了、wán le >というのはドラマなどでよく聞く。<ああ、これで終わりだ。もうダメだ。>という意味。

さて<切る>と完了だが、上で

<区切り>、<区切る>は後で述べるが<切る>の重要なコンセプト

と書いたが、<終わる>、<終える>は終了、完了を表す一般的な動詞で、自動詞<終わる>では主語(主題)、他動詞<終える>では対象の内容が関連してくる。この内容、意味内容はいろいろあるが、ここでは<区切り>を考えてみる。

<区切り>がある意味内容の場合は<完了>が可能だが (これが大多数)、<区切り>がはっきりしない意味内容の場合は<完了>表現になりにくい。

<区切り>がはっきりしない意味内容の場合

a)<終わり>が想定しにくい一種の過程

行く、来る、帰る、進む、動く、遊ぶ、さまよう、うろつく、生まれる (生まれて来る)  、生きる、死ぬ、風が吹く、雨が降る

太郎は学校に行ききる、行ききった。
次郎は我が家に来きる、来きった
兵士は敵陣に進みきる、進みきった
花子は家に帰りきる、帰りきった。
美代子は一日中動ききる、動ききった。(一日中は一種の<区切り>だ。)
三郎は遊びきる、遊びきった
四郎はさまよいきる、さまよいきった
五郎はうろつききる、うろつききった

赤ん坊が生まれきる、生まれきった。
彼は、裕福に (貧しく) 生ききる、生ききった。
老人が死にきる、死にきった。

風が吹ききる
雨が降りきる

以上は完了表現は基本的に変だ。

b)通例、習慣の場合 これは動詞内容にあまり関係がない。

太郎の息子は毎日遊びきる、遊びきった。  (<毎日遊ぶ>は通例、習慣)
次郎の息子は毎日勉強しきる、勉強しきった。
花子の娘は年に一度実家に戻りきる、戻りきった。
美代子の娘は毎日働ききる、働ききった。
佐藤は毎朝運動をしきる。
加藤は毎晩居酒屋で酒を飲みきる。

<区切り>がある意味内容の場合

歩ききる  特定の距離
歌いきる  一曲、3曲も
泳ぎきる  特定の距離、場所

語りきる  一つの話、三つもの話
過ぎきる  列車は踏切りを過ぎきるまで待つ。

食べきる  特定の量の食べ物、食事

飲みきる  特定の量の飲み物

走りきる  特定の距離

やりきる  ある特定のこと
読みきる  一冊の本、10冊もの本

渡りきる  ある特定の者、場所

以上は完了表現が可能。 

<すっかり、xxきる>で強調で取り上げ、<なくなる>を付記したもの

売りきる  なくなる
落ちきる  葉が落ちきる  なくなる
出しきる  なくなる
使いきる   なくなる
取りきる  なくなる
燃えきる  燃え尽きる   なくなる

は完了とも見做せる。

 

3)<途中で切る>、中断

打ち切る
思い切る
見切る

ーーーーー

終了、完了では<きる>以外に、一般的な<xx終わる>、<xx終える>を除き

xx果てる、xx果たす
xx尽きる、主に<なくなる>、 xx尽くす

上の例では

売りきる  売り尽くす。だが<売り尽きる>もOKで自動詞。  
落ちきる  落ち尽きる。だが<落ち尽くす>もOKで自動詞。

出しきる  出し尽くす。だが<出し尽きる>もOKで自動詞。 
使いきる  使い尽くす。だが<使い尽きる>もOKで自動詞。 
取りきる  取り尽くす。だが<取り尽きる>もOKで自動詞。 
燃えきる  燃え尽きる。<燃え尽くす>は変だ。

<言いきる>はややこしい。

はっきりと言いきる

(言いきる) ー 言い尽きる、言い尽きた、で自動詞  完了、もうない

すべて(すっかり)言いきる ー 言い尽くす、で他動詞  完了、もうない

<尽きる>は<きる>があるが、昔は<つく>。今でも<底 (そこ) をつく> という言い方がある。

資金が底をつく。

で他動詞のようだが、昔は<資金尽く>で自動詞。今でも<資金が底を尽くす>とは言わない。<資金が底につく (着く) >ならいいがこうも言わない。

その他では

xxやむ、xxやめる   雨がやむ

がある。別途検討、再検討予定。

 

 sptt

 

Wednesday, November 13, 2024

複合動詞<xxかえる>

 <かえる>はおもしろい言葉が少なくない。

あきれかえる  あきれきる、あきれはてる
あふれかえる  あふれきる
甘えかえる   甘えきる
いばりかえ(えばりかえる) いばりきる(えばりきる)
驚きかえる   驚きはきる、驚きはてる

英語で<驚く、驚いている>は to be surprised だが、to be astonished というのもあり、これは<驚きかえる>相当だろう。

うかれかえる  うかれきる
うだりかえる  うだりかえる暑さ
えばりきる   えばりきる
おごりかえる  おごりきる
恐れかえる  恐れきる、恐れ上がる
おののきかえる
おびえかえる  おびえきる、おびえ上がる

悲しみかえる  悲しみきる
乾きかえる   乾ききる
狂いかえる   狂いきる
こごえかえる  こごえきる
困りかえる   困りきる、困り込む、困りはてる   
こわがりかえる  こわがりきる

しょげかえる  しょげきる、 しょげ込む
すねかえる   すね込む

たまげかえる  <たまげる>は関東方言か? たまげきる
黙りかえる   黙りきる、黙り込む
だらけかえる  だらけきる、だらけ込む
ちぢまりかえる  おそろしさでちぢまりかえる  
ちぢみかえる   ちぢみきる
ちらかりかえる  ちらかりきる
疲れかえる   疲れきる、疲れはてる
ときめきかえる

嘆きかえる   嘆ききる
怠 (なま) けかえる  怠けきる
煮えくりかえる   怒りで (腹が) 煮えくりかえる

冷 (ひ) えかえる   冷えかえる寒さ、冷えきる
膨 (ふく) れかえる  膨れかきる
ふさぎかえる  ふさぎきる、ふさぎ込む
震えかえる   寒さで、恐れで震えかえる、震えきる
へたりかえる  へたりきる

乱れかえる   乱れきる
蒸しかえる   蒸しかえる暑さ 蒸し込む

汚 (よご) れかえる  汚れきる
喜びかえる  喜びきる
弱りかえる  弱りきる、弱り込む、弱りはてる

笑いかえる  笑いきる 

1) <xxきる>で置き換えらりものがすなくない。<xxきる>は別途検討。

2) 極度の<恐れ、驚き、喜び、嘆き、悲しみ、乱れ、疲れ、寒暑>。おもしろいのは極度の寒暑はあるが、極度の暖かさ、涼しさはないので、これに関連した表現は見つからない。

3) 絶望的な<どうしようもない>のニュアンスのものが少なくない。

あきれかえる、うだりかえる暑さ、蒸しかえる暑さ、困りかえる、疲れかえる、よわりかえる

絶望的なニュアンスの複合動詞の後半の動詞では<xxはてる>がある。上で取り上げたが

困りはてる
疲れはてる
よわりはてる 

<はてる>は<絶望的なニュアンス>以外の意もあり、けっこうある。おもしろいので、これも別途取り上げる予定。

4) また<かえる>は批判的な言い方がある。これは<かえる、返る=反発>が働いているためか?

あきれかえる、甘えかえる、いばりかえる、だらけかえる、ちらかりかえる、汚れかえる

 

sptt

 

<はてる、果てる>、<はたす、果たす>の複合動詞

 <はてる、果てる>、<はたす、果たす>の複合動詞は<込む>、<込める>の複合動詞と並んで多義にわたっている。

はてる、果てる: 尽きる、終わる、終焉 (しゅうえん)、ある意味で未達
はたす、果たす: やりとげる、達成

自動詞で未達、他動詞で達成というのはおもしろい。

自動詞<はたす、果たす>の未達はやや特別で、普通は<果てない=尽きない、終わらない>と否定で未達なのだが、<尽き果てそうな状態になる>とも考えられる場合がある。 <はてる、果てる>の複合動詞をアイウエオ順に並べてみる。いくらでもある、と言っていいが、おもしろいものが少なくない

あきらめ果てる
あきれはてる
言い果てる
行き果てる
老いはてる
落ちはてる
落ち込みはてる
落ちぶれはてる
衰えはてる
驚きはてる
おののきはてる
おびえはてる

悲しみはてる
考え果てる
消え果てる
朽 (く) ち果てる
腐りはてる
壊 (くず) れ果てる
朽 (く) ち果てる
苦しみはてる
暮れ果てる
困りはてる
壊 (こわ) れ果てる

死に果てる
すぼみ果てる  収縮する、小さくなる
ずるけはてる  ずるける=ずるをする、なまける、ずるけてxxしない
染まりはてる   悪に染まりはてる

泣きはてる
嘆きはてる
怠 (なま) けはてる
悩みはてる

広がり果てる   広がり切る (限度に近い)
ふくらみ果てる  ふくらみ切る  (限度に近い)
へたりはてる

燃え果てる 

痩 (や) せはてる
破れ果てる
敗れ果てる
汚 (よご) れはてる
弱りはてる

副詞<すっかり>と相性がいい。これは<果てる>という意味も残るが ” 強調 ” と言えるものが多いので<はてる>とした。

副詞<ついに>と相性がいいものは<果てる>とした。だが<はてる>、<果てる>は聞いたり、言ったるする場合は区別はない。したがって基本的な違いはないのか。

 さて冒頭の

はてる、果てる: 尽きる、終わる、終焉 (しゅうえん)、ある意味で未達

 の<ある意味で未達>について説明する。上記の例の<xx果てる>の方をもう一度検討してみる。

言い果てる ー 言い切る、言い尽くす前に言い果てた。

行き果てる ー 行き着く前に行き果てた。

考え果てる  ー すっかり考え切る、考え尽くす前に考え果てた。いいアイデアが考えつく前に考え果てた。

死に果てる ー 死に尽きる前に死に果てた。

燃え果てる   ー 燃えきる、燃え尽きる前に燃え果てた。

以上はややこしいので、あまり言わないが可能で<ある意味で未達>だ。数学で極限という考え方があるが、これとは違う。未達でまだ何かが残っている感じだ。

終わり果てる
尽き果てる

は主動詞が<終わる>、<尽きる>なので未達にならない。

話が長くなってきたので、他動詞<はたす、果たす>の複合動詞は後日に検討予定。

 

sptt 

 

Sunday, November 10, 2024

<xxつまる>、<xxつめる>の複合動詞

 <xx詰まる、つまる>、<xx詰める、つめる>の複合動詞は<込む>、<込める>に似たようなところがあるが、<込む>、<込める>ほどは使われない。


歩き詰める   自動詞   歩き詰め
言い詰まる   自動詞
言い詰める
行き詰 (づ) まる   自動詞
行き詰 (つ) める  自動詞  毎日行き詰める  通い詰める
追い詰める
押し詰まる   自動詞  年が押し詰まる
押し詰める
思い詰める

通いつめる  自動詞   毎日通いつめる
考え詰める
切り詰める  費用を切り詰める
食いつめる  自動詞

差し詰まる  自動詞
知り詰める
座り詰める   自動詞  一日中座り詰める

立ち詰める  自動詞  一日中立ち詰める
突き詰める

煮詰める   他動詞  慣用用法がある。議論、意見を煮詰める

働き詰める   自動詞  一年中働き詰める、働き詰め
張り詰める  自動詞  氷が張りつめる、 慣用用法 緊張が張りつめる

見つめる

寄り詰める

笑い詰める


1)中断。詰まると滞 (とどこお) る

言い詰まる   自動詞
行き詰 (づ) まる   自動詞

2)継続的、断続的な繰り返し行為

行き詰 (つ) める  自動詞  毎日行き詰める
通いつめる  自動詞   毎日通いつめる
座り詰める   自動詞  一日中座り詰める
立ち詰める  自動詞  一日中立ち詰める
働き詰める   自動詞  一年中働き詰める

歩き詰める
煮詰める
笑い詰める

3)終わる、終える、尽きる

行き詰 (づ) まる   
切り詰める 
食いつ詰める

<つまるところ>は結局のところ、最終的にはという意味だ。中国語では<果然,竟然,究竟>というのがるが、中英簡易自辞典では anyway が出てくる。

4)<詰め寄る>感じ

言い詰める
追い詰める
突き詰める
寄り詰める 

5)一点、またはごく狭い場所への収斂 (れん)

思い詰める
考え詰める
知り詰める
煮詰める  慣用用法  
見つめる

6)

張り詰める

 

Friday, November 8, 2024

<込む>、<込める>の複合動詞

 <込む>、<込める>の複合動詞、すなわち<xx込む>、<xx込める>は調べてみるとおもしろい言葉少なくない。

当て込む、言い込める、思い込む、抱 (かか) え込む、ころがり込む 、絞 (しぼ) り込む、座り込む、抱き込む、黙り込む、(霧が) 立ち込める、たれ込む、使い込む、つけ込む、包み込む、なぐり込む、なだれ込む、のめり込む、話しこむ、ふさぎ込む、へたり込む、ほれ込む、舞い込む、まぎれ込む、まるめ込む、めかし込む、盛り込む、やり込める、弱り込む、わり込む

これらの<込む>、<込める>はいったいどういう意味か?

アイウエオ順に書き出してみる。

上がり込む
集め込む
当て込む
あばれ込む
入れ込む
言い込める
入れ込む
打ち込む  釘を打ち込む、打者が打ち込む、仕事に打ち込む
埋め込む  他動詞  埋まり込む  自動詞
埋もれ込む 自動詞
売り込む
描き込む
追い込む  追って中に(限られた場所に)入れる
老い込む
送り込む
押し込む   押して入れる
押し込める   押して入れる
覚え込む
思い込む  自動詞か。 思いを込める
織り込む  織り込み済み
折り込む  折り込み広告

買い込む  買い入れる
抱 (かか) え込む
書き込む
隠 (かく) し込む
隠 (かく) れ込む
駆け込む   駆けて入 (はい) る、駆けながら (はい) る
搔っ込む(掻っ込む) 掻き込む、掻き入れる
囲い込む
かつぎ込む  かついで入れる
刈り込む  
考え込む
気負い込む 上の<入れ込む>や<意気込む>も似ている。
聞き込む   聞き入れる、聞き入る (はいる)、 聞き込み 、聞き込み調査、
決め込む
切り込む  自動詞
食い込む   太ってきてベルトが腹に食い込む。頑張って3位に食い込む。
食らい込む  頑張って3位に食らい込む
繰り込む
狂い込む
くわえ込む
消し込む
蹴り込む  蹴り入れる
ころがり込む  ころがって入ってくる
 
探 (さが) し込む
差し込む  日が差し込む 自動詞、 指を差しこむ 他動詞
仕込む
忍び込む
絞 (しぼ) り込む
しまい込む
しみ込む  沁 (し) みる
締 (しめ) め込む
しゃがみ込む
調べ込む
進み込む
すべり込む
すまし込む  自動詞
住み込む
擦り込む
刷り込む
ずれ込む
座り込む  自動詞
背負い込む
注ぎ込む  注ぎ入れる
染め込む
 
足し込む
倒れ込む
抱き込む
叩 (たた) き込む  これを (は)、忘れないように、よく頭に叩き込んでおくこと。
たたみ込む
立ち込める  霧が立ち込める。<立ち込める>は自動詞
立て込む  自動詞  家が立て込む。
頼み込む
黙り込む
ため (貯め、溜め) 込む
たれ込む  自動詞 / 他動詞
使い込む
突き込む  突っ込む
つけ込む  つけ入 (い) る
漬け込む
包み込む
積み込む  積んで入れる、積むようにして入れる
詰め込む  詰めるように入れる
釣 (つ) り込む  つりりこまれる
連れ込む  連れて入る
溶 (と) け込む
閉じ込める   閉じこもる
飛び込む、跳びこむ  プールに跳んで入 (はい)
とっち込める   口語、関東方言か?
泊まり込む
取り込む
 
流し込む  流して入れる
流れ込む  流れて入る
なぐり込む  自動詞  なぐり込み  <なっぐって入る>ではない
投げ込む  投げ入れる。 投手が投げ込む
なすり込む
なだれ込む   なだれのように入 (はい) る
逃げ込む
煮込む
塗り込む
寝かし込む
寝込む   自動詞
狙 (ねら) い込む
飲み込む  呑み込み  慣用的な言い方あがある。 呑み込みがいい / わるい
のめり込む  自動詞
乗り込む   自動詞 (乗り物に)入 (はい) る

入 (はい) り込む
運び込む
挟 (はさ) み込む
走り込む  急いで走り込む、 陸上選手が走り込む
はたき込む  はたき込み(相撲)
話しこむ
はめ込む
払い込む
張り込む  自動詞  張り込み
冷え込む
引き込む  他動詞  引き入れる、 引っ込む 自動詞  引き籠 (こも) る
引きずり込む
浸 (ひた) し込む
浸 (ひた) り込む
吹き込む  風が吹き込む
ふさぎ込む
へこむ(凹む)、へっこむ  自動詞
へたり込む
踏み込む
振り込む
ほうり込む
ぼけ込む
ほめ込む
彫りこむ
ほれ込む舞い込む  自動詞  
 
紛 (まぎ) れ込む   自動詞
混ぜ込む  混ぜ入れる
混ざり込む
まとめ込む
迷い込む   自動詞
まるめ込む
まわり込む
磨 (みが) き込む
見込む
めかし込む
めり込む  自動詞
申し込む  申し入れる
もぐり込む  もぐって、もぐるようにして入 (はい) る
持ち込む  持って入る
盛り込む

休み込む
やり込める
呼び込む    呼び入れる
弱り込む

割り込む 自動詞  割って、押しのけて入 (はい) る、ある水準、基準を下回る

 

1)複合動詞の後半の<込む>、<xx込む>、<込める>、<xx込める>は基本的には<入る>、<入れる>)、英語の<in>、<into, in to>の意味がある。だが<入る>、<入れる>ほど単純、中立ではなく<確かに>、<しっかり(と)>、さらには場合によって<むりやり(に)>といった強調がある。

入れ込む  入れて込める、込めるように入れる。ほかに慣用用法がある。気合が入りすぎている。
埋め込む  他動詞  埋まり込む  自動詞
埋もれ込む 自動詞
追い込む  追って中に(限られた場所に)入れる 
押し込む   押して入れる
押し込める  押して(限らた場所に)入れる
織り込む  織物になかに織って入れる。慣用用法がある。
折り込む  折って、折るようにして入れる。
書き込む  書き入れる
駆け込む   駆けて入 (はい) る、駆けながら (はい) る
かつぎ込む  かついで入れる
搔っ込む(掻っ込む) 掻き込む、掻き入れる
刈り込む  刈り入れる、刈り取る 
食い込む
食らい込む
繰り込む  繰り入れる、繰り越して入れる
蹴り込む  蹴り入れる
差し込む  差すよう入ってくる。日が差し込む 自動詞、 差すように入れる。指を差しこむ 他動詞
しみ込む  沁 (し) みるように入って行く
注ぎ込む  注ぎ入れる
ころがり込む  自動詞 ころがって入ってくる
叩 (たた) き込む
たたみ込む 折りたたんで中に入れる <たたむ>には<店をたたむ、たたみ込む>という慣用用法がある。
突き込む  突いて、突くようにして中に入 (はい) る 、入れる。慣用用法がある。
積み込む  積んで入れる、積むようにして入れる
詰め込む  詰めるように入れる
溶 (と) け込む  溶けて、溶けるよう入って行く
連れ込む  連れて入る
流し込む  流して入れる
流れ込む  流れて入 (はい) る
なぐり込む
なだれ込む  なだれのように入 (はい) る
乗り込む  自動詞 (乗り物に)入 (はい) る
逃げ込む
飛び込む、跳びこむ  自動詞 プールに跳んで入 (はい) る
投げ込む  投げ入れる
飲み込む  呑み込む 飲 (呑) んで入れる。慣用的な言い方あがある。呑み込みがいい / わるい
入 (はい) り込む
運び込む  運んである場所に入れる
はめ込む  はめるように入れる まさしく<確かに>、<しっかり(と)入れる
引き込む  引き入れる
吹き込む  風が吹き込む  吹き入ってくる
踏み込む  (地面や床を)踏むようにして入って行く
ほうり込む

混ぜ込む  混ぜ入れる
もぐり込む  もぐって、もぐるようにして入 (はい) る
持ち込む  持って入る
呼び込む   呼び入れる
割り込む  自動詞  割って、押しのけて入 (はい) る
 
だが例外もある。

隠れ込む
ころがり込む  自動詞 ころがって入って来る
忍び込む  自動詞  忍んで、人にわからないように入 (はい)る
舞い込む   自動詞 踊って入 (はい)る、入って来る、ではない。雪が舞うように、ひらひらと、入って来る。
紛 (まぎ) れ込む   自動詞
混ざり込む  自動詞
迷い込む   自動詞

2)さらに、少し注意してチェックしてみると、<xxして>、<xxしながら>ではなく<入ってから、xxする>になるものがある。

聞き込む  聞き込み 、聞き込み調査、入 (はい) って行って聞く
切り込む  切って(はい)るではない。切りながら入(はい)る、場合もあるが、入ってから切る、(たくさん)切る, 切り殺す
あばれ込む  あばれて入(はい)るではない。あばれながら入(はい)る、場合もあるが、入ってからあばれる、あばれまわる。
なぐり込む  なぐって入(はい)るで、なぐりがら入(はい)る場合もあるが、入ってからなぐる、なぐりまわる。

 
だがまだまだこれだけではない。
 
3)特に<むりやり(に)、to force to do something>といった強調のグループがある。

よい例は<買い込む>と<売り込む>。

 <買い込む>は<買い入れる>、<買い入れて、限られた場所にためておく>といった意味だ。

一方<売り込む>は<入れる、in) > の意は全くない。<むりやり(に)>強調で、<入れる、入 (はい) る、in) >の意味がないもの、薄いもので、<売り込む>以外では

閉じ込める
割り込む

がある。<むりやり(に)>といった強調のグループとも言えよう。だが、どうもそれだけではなさそう。まだまだあるのだ。

<込む>、<xx込む>、<込める>、<xx込める>は基本的には<入る>、<入れる>)、英語の<in>、<into, in to>の意味がある。

と書いたが、さらに

4)<限られた場所<の中に入れる、入れておく、入れてとどめておく>のグループがある。上の例と重複するものがある(これは重要)言葉はある特定の意味に限定されるとは限らない場合が往々にしてある

集め込む
追い込む
押し込む
押し込める
覚え込む 
 
抱 (かか) え込む
隠 (かく) し込む

しまい込む
住み込む
 
たたみ込む
ため (貯め、溜め) 込む
包み込む
閉じ込める   閉じこもる
泊まり込む
取り込む   取り込み中  <お取込み中のところ>という言い方がある。
 
迷い込む
まるめ込む
もぐり込む

似たような動詞に<籠 (こも) る>、<籠 (こ) める>がり、これに似た意味 (限られた場所の中にとどまる、とどめる) の意のものがある。

言い込める(籠める)  言って相手をカゴ、オリの中に入れておく、といった意味か。
引き籠る
やり籠める  <言い込める(籠める)>に似ている。
 
さらに、これと関連するが
 
5)<中に、in>の意がなく、あるいは薄く<限られた場所、状態にとどまる>の意味のグループがある。
 
上がり込む
思い込む
老い込む
考え込む
決め込む
狂い込む
くわえ込む
しゃがみ込む
絞 (しぼ) り込む
すまし込む
座り込む
黙り込む
話しこむ
寝込む
眠り込む
狙 (ねら) い込む
ふさぎ込む
へたり込む
ぼけ込む
ほれ込む
めかし込む
休み込む
弱り込む
 

まだ漏れているものが少なくない。


当て込む
打ち込む  打者が打ち込む
描き込む
送り込む

気負い込む
聞き込む   聞き込み
食い込む 

締 (しめ) め込む
すべり込む
刷り込む
ずれ込む
背負い込む
染め込む
 
頼み込む
倒れ込む
立ち込める  霧が立ち込める。<立ち込める>は自動詞
立て込む  自動詞  家が立て込む。
たれ込む  自動詞 / 他動詞
使い込む
突き込む  突っ込む
つけ込む  つけ入 (い) る
漬け込む
つり込む  釣り込む  つりこまれる

投げ込む  投げ入れる。 投手が投げ込む
なすり込む
煮込む
塗り込む
のめり込む  自動詞

運び込む
挟 (はさ) み込む
走り込む  急いで走り込む、 陸上選手が走り込む
払い込む
はたき込む  はたき込み(相撲)
張り込む  自動詞  張り込み
へこむ(凹む)、へっこむ  自動詞  <減り込む>が元の意か?
振り込む
彫りこむ
 
まわり込む
磨 (みが) き込む
見込む
めり込む
申し込む  申し入れる
盛り込む


以上のうち

打ち込む  打者が打ち込む
探し込む
仕込む
締 (しめ) め込む
調べ込む
染め込む
使い込む  <すっかり使う>の意味。<公金を使い込む>は少し違う。
投げ込む  投げ入れる。 投手が投げ込む
煮込む
走り込む  急いで走り込む、 陸上選手が走り込む
彫りこむ

6)<込む>の汎用用法 ー <十分 (に) ) xxする

これは意味が成り立てばいくらでもある。どんどん見つかり収拾がつかなくなる。

教え込む
鍛 (きた) え込む
覚え込む

など<十分xxする>で否定の場合は<xx込みが足りない>が一種のリトマス試験紙。意味が通れば、いくらでもある。これは<xx (し) 出す>が<xx(し) 始める>になるのに相当する。

教え込みが足りない
覚えみが足りない
鍛 (きた) 込みが足りない
 
上の例でいえば
 
打ち込む  打ち込みが足りない
切り込む  切り込みが足りない
探 (さが) し込む  探 し込みが足りない
仕込む   仕込みが足りない
締め込む  締め込みが足りない
調べ込む   調べ込みがたりない
染め込む  染め込みが足りない
使い込む  <しっかり使う>の意味。使い込みが足りない
突っ込む  原意は<突きこむ>だが、上記の<探 し込みが足りない>、<調べ込みがたりない>は<つっこみ>(掘り下げ)が足りないのだ。
漬け込む  漬け込みが足りない
投げ込む  投げ込みが足りない
煮込む   煮込みが足りない
塗り込む  塗り込みが足りない
走り込む  陸上選手が走り込む  走り込みが足りない
彫りこむ  彫り込みが足りない 
磨 (みが) き込む  磨 (みが) き込みが足りない
 
上で<ほれ込む>が出てきたが<愛したりない>という歌の文句があった。
 
なじみのある家事、料理関係でいえば

あぶり込む 十分 (に) あぶる
炒め込む  十分炒める
切り込む  十分切りきざむ
たたき込む  十分たたく
溶かす   十分溶かす
練り込む  十分練る
煮込む  十分煮る
浸 (ひた) しこむ  十分浸す
冷やし込む   十分冷やす
混ぜ込む  十分混ぜる
蒸しこむ   十分煮る
もみ込む  十分煮る
ゆで込む  十分ゆでる

洗い込む  十分洗う
ゆすぎこむ  十分ゆすぐ
すすぎ込む  十分すすぐ
拭き込む  十分拭いてきれいにする
 
 
さて残るは

当て込む
描き込む
送り込む
気負い込む
聞き込む   聞き込み
食い込む
消し込む

進み込む
すべり込む
刷り込む
ずれ込む

倒れ込む
立ち込める  霧が立ち込める。<立ち込める>は自動詞
立て込む  自動詞  家が立て込む。
たれ込む  自動詞 / 他動詞
つけ込む  つけ入 (い) る
とっち込める

なすり込む
のめり込む  自動詞

挟 (はさ) み込む
払い込む
はたき込む  はたき込み(相撲)
張り込む  自動詞  張り込み
へこむ(凹む)、へっこむ  自動詞
振り込む
ほめ込む
 
まわり込む
見込む
めり込む
申し込む  申し入れる
盛り込む

 

当て込む ー 予想する  当たるように思いを込める。<思い込む>、<決め込む>と似たようなところがある、確定度が低いので、<限られた場所、状態にとどまる>の意味のグループに入れなかったが、<思い込む>、<決め込む>も確定度がそれほど高いわけではない。

描き込む  絵画では、例えば、細かいところまで描き込む。感情が描き込まれている。これは小説でもいい。この<込む>は<しっかりと>、<念いりに>といった意味だ。

送り込む - 送ってある場所に入れる、で<かつぎ込む>、<運び込む>に似ている。

しかし、軍隊、援軍、救助隊を<送り込む>で、送り先の場所が広いので<xxの中に>はおかしい。また、<送り先>よりも<<送り元>に重点が置かれている。

気負い込む ー 気を入れ込む、気を入れる、気合を入れる

聞き込む  ー <聞き入れる>ではない。<耳に聞こえ入 (はい) る 。または<聞くためにどこそこに入り込む>。<聞き込み>のため歩き回る。

消し込む  ー これは<しっかり、十分に消す>でもいいが、どうもそれだけではなさそう。<消すと>(隠し込む、隠れ込むわけではないが)見えなくなる。<消し込む>と見えなくなる。この<込む>には<隠し込む、隠れ込む>のいがあるのではないか。

進み込む ー <送り込む>に似たようなよころがある、ある場所の中に入 (はい) る 場合るが、ある場所に近づくように進んでいく。<進み出る>は明らかに<出る>に目が向いている。

すべり込む - 野球用語では、すべってベースのある場所に入 (はい) る、ベースにさわる。慣用用法がある。<すべり込む>でなんとか、ぎりぎりで<やりとげる>。これは<すべり込みセーフ>の意だろう。

刷り込む ー 印刷や版画では紙を<擦 (す) って>インクを紙に入り込ませる。 擦り込む。

ずれ込む - これは難しい。<ずれる>は<すれる、擦れる>由来で、<本来の位置から少し外れる>の意。<込む>は強調だろう。<強調>は文法上曖昧な言葉で使わない方がいい。上で書いたが

<限られた場所、状態にとどまる>の意味のグループがある。これを当てはめる (はめ込む) と<本来の位置から少し外れた状態のままでいる>の意。

倒れ込む -これは難しい。しいて探せば、すぐ上の<限られた場所、状態にとどまる>の意味のグループで、これを当てはめると<倒れた状態のままでいる>の意。あるいは単純に<倒れて来る、倒れて行く>。

立ち込める  霧が立ち込める。

この<立つ> は<おこる、おきる、起きる>。<風立ちぬ>というのがある。<こめる>は<いっぱいになる>で<込む>というよりは<混む>。また<立ち込めた状態>がしばらく続くので<限られた場所、状態にとどまる>の意味のグループにはいるか。

立て込む  自動詞  家が立て込む。この<込む>も<混む>だ。電車やバスは人がたくさん入 (はい) り込むと<混んで>くる。

たれ込む  自動詞 / 他動詞

これはあまり使ったことがないが、<密告する>ことのようだ。

今回の社長交代は副社長が会長にたれ込んだためだ。 

<たれこむ>の<たれ>は<垂れる>で自動詞。他動詞は<垂らす>。水滴がたれる。

<たれこむ>は文字通りでは<たれて入 (はい) る>、<たらしこむ>は<たらして入れる>だが<たれこむ>は他動詞的になり、

今回の社長交代は副社長が社長の巨額にの公金私用を会長にたれ込んだためだ。

でもよさそう。

つけ込む  <漬け込む>とは違う。弱みにつけ込む

<つけこむ>はコンピュータでは<付け込む>と出くる。だが<付けて入(はい) る>は意味不明。<つけ入 (い) る>もほぼ同じような意味だ。<つけ込む>の方が簡潔だ。いづれも語源不詳のようだ。大胆に解釈すれば<つかみ込む>。<(弱みを)つかんでやりこめる>。

とっち込める  口語、関東方言か? <とっち>は(取って>。<取って>は<取りて>で<取って込める>になる。<取り込む>がある。意味は<取り入れる>だが、<取り入れて、外に出さない>語感がある。したがって、<閉じ込める>の意にもなる。<とっち込める>は<閉じ込めて>さらに制裁を加えるの意がある。公開の場合は<とっち込める>と言わないだろう。

なすり込む -<なする>は<擦る>で、<擦り込む>。<なすりつける>ともいう。文字通りでは、<(膏薬、軟膏を肌に)すりこむ、すってしみこませる >。英語で何というかというと、to apply ointment。初めて聞いたときは少し驚きがあった。<なすり込む> 慣用的には<責任をなすりつける>などという。

のめり込む  ー<のめる>は<体が前に倒れる>、関東方言で<つんのめる>というのがある。<のめり込む>は、ネット辞書では


前に倒れるようにしてはいり込む。 また、無遠慮にはいり込む。 ② ある状況・環境・考えの中に、抜け出せなくなるほどすっぽりとはいり込む。

上で<倒れ込む>というのがあった。

② の意味はどのようにして出てきたのか。<つんのめる>は瞬間的な体の動き。<すっぽりとはいり込む>は継続的な状態だ。<込む>にこの働きがある。上で<xxこむ>に

限られた場所、状態にとどまる>の意味のグループがある。

 と書いた。<倒れ込む>の方はそれほど長い時間ではない。

 <のめる><体が前に倒れる>の反対<体が後ろに倒れる(体を後ろに倒す)>は<のけぞる>か。<のけぞる>の<のけ>は<のける、除ける、退ける>ではない。<のけぞる>はコンピュータ出は<仰け反る>と出てくる。<仰け>は<仰ぐ>で<のけ>とは関係ない当て字。体の動きとしては<のる>というのがあり、身を<のり出す>の<のる>。<のけ>はこの<のる>と関係があるのではないか。

挟 (はさ) み込む 

戦闘場面を想像すると、敵を前後、あるいは左右の両方向から追い込んで、逃げ場所を狭め、狭い場所に<込めて> 動きを封じる。封じ込める。<封じる>はやまとことばではなく、漢語由来。

払い込む ー <払う>は<金>を払うとは限らないが、この場合は<金>。<金を送る>で、<込む>があると<受け取る>確かな感じがする。上の<送り込む>参照。また後から出て来る<振り込む>も参照。

はたき込む  はたき込み(相撲)  はたいて土俵にのめり込ませる。

張り込む 自動詞 張り込み  警察用語のようで、あり特定の場所に張りついて犯人や容疑者が出て来るのを待つこと。他動詞では<大金を張り込む>いうのがあり<大金を一気に出す、使う>の意がある。<込める>=<いれる>の意はないが、<一気に注ぎ込む>感じだ。

へこむ(凹む)、へっこむ  自動詞

<へこむ>は<へ込む>でよさそうだが、この<へ>がよくわからない。<へっこむ>が<へこむ>の方言、または<へこむ>の由来。だが逆に<へこむ>が<へっこむ>由来とすれば、もともとは<減り込む>。また<引っ込む>由来で、<へっこむ>はなまりとすれは<引き込む>だ。

振り込む  現代用語では支払方法。金を振り込む。<振る>は<ちり、邪魔もの>を<振って払いのける>の<振る>で<振る>と身から離れていくが、行き先は特定されていて<振込込み先>になる。また、麻雀用語に<振り込む>というのがある。

ほめ込む  この<込む>に<中に>の意がない。<十分にほめる>以上のもにがあるので<十二分にほめる>。ほめあげる、ほめちぎる、は十二分以上か。

見込む ーこれは上で出てきた<当て込む>(思い込む、決め込む)のグループと言える。<見込む>、<見込み>は一般社会、特に売り上げ、利益重視の一般的な会社では、重要な働きをする。販売部門では<販売計画、販売予想>、生産部門では<生産計画>が重要で、これに振り回されるが、やまとことばでは<見込み>や<もくろみ>、さらには<当て込み>、<思い込み>、決め込み>で、当てにならない代物だ。

めり込む ー <のめり込む>とは別物。ネット辞書では


めり‐こ・む【▽減り込む】
[動マ五(四)]押されるなどしてはまり込む。また、重みなどで沈むようにへこむ。「足が泥に—・む」「パンチが腹に—・む」
 
” 
<減り込む>は<読めば<へり込む>で<めり込む>と読む人はいないだろ。解説が正しければ、意味を取った<当て字>だ。また<へこむ>は、上記のように、<へりこむ>由来としておく。<めり込む>の<める>の語源は、ある語源解説によると
 

「めりはり」とは、(中略)
結論からいえば、これは日本の古い音楽用語です。「めり」は音声などが下がる・ゆるくなること、「はり」は逆に調子が上がる・張ることだそうです。
 http://www.asahi-net.or.jp/~qm4h-iim/k980722.htm
 
” 
 
申し込む  <申し入れる>。もとは

意志希望要求などを相手方伝える。「抗議を—・む」「結婚を—・む」「試合を—・む」

 https://www.weblio.jp/content/%E7%94%B3%E3%81%97%E8%BE%BC%E3%82%80

の意があったようだが 、以上は<申し出る>で言い換えられ、<申し入れる>ではない。

今は大体は漢語の<応募する、募集に応じる>相当。この<申し込む>の場合、<申す>に<言う>の意味はない。<込む>があると受け手が確かな者となる。申し入れる、申し立てる、申し述べるには<言う>の意がある。
 
盛り込む  これはやや難しい。<しっかりと>、<念いりに>といった意味でもいいが、それだけではない。その他の多くの<込む>と違うところは、たとえば、
 
いろいろなものを皿に盛り込む
 
は皿の中にではなく、皿の上に盛ることで、<xxの中に入 (はい) り込む、込める> わけにはいかない。上で
 
描き込む  絵画では、例えば、細かいところまで描き込む。感情が描き込まれている。これは小説でもいい。この<込む>は<しっかりと>、<念いりに>といった意味だ。
 
と書いたが、これに似ている。だが、これは<絵の中に、小説の中に>描く。
 

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<xx きる (切る) >の複合動詞

 複合動詞<xx きる (切る) ><きる>は<込む>、<込める>に似て多義語だ。アイウエオ順に並べてみる。

開 (あ) けきる
あきらめきる
集めきる
歩ききる
言いきる   自動詞 / 他動詞  xxと言い切る(自、理由を言い切る(他)
入 (い) れきる  容器が小さくて入れきれない
打ち切る   これで<打ちきり>。これで終わり。<打って切る>の意はない。多分<打って切り離す>。
裏切 (ぎ) る  これは<切る>の意がある。刀で<切る>。<切り離す>
売りきる  売りきれる
選びきる
泳ぎ切る  1000メートルを泳ぎきる
押しきる  押しきり(相撲) <押して切る>はおかしい。ノコギリ(鋸) は押したり、引いたりして<切る>。
思い切る  (未練を残さず)思いを切る、切り離す

買いきる
書ききる
貸しきる  貸しきりバス
語りきる
くたばりきる
暮 (く) れきる   日が暮れる
壊 (こわ) しきる

差しきる   競馬用語  <刺して切る>はおかしい
xxしきる (仕きる)
締 (し) めきる  投稿、投票の<締めきり(閉めきり)>
閉めきる   まどを閉め切る、 <ー> 開けきる
済ましきる  制限時間前に済ましきる。別物で<すましきった顔、態度>というのがある。これは<澄む>由来か?
捨てきる   未練があって捨てきれない
擦 (す) りきれる(切れる)

たたききる   <たたいて切る>ことはできるが(肉など)、何かおかしい
食べきる
ち切る、引きち切る
縮 (ちぢ) みきる    洗濯のあと服が縮みきっている。恐ろしさで (身が、体が) 縮みきっている。縮み上がる。
疲れきる
取りきる 

流しきる
投げきる    投手が9回を投げきる。
なめきる    はちみつをなめきる。<なめる>、<なめきる>は慣用用法がある。なめたまね、なめきったまねをする(態度をとる)。
伸ばしきる
伸びきる
昇りきる   階段を昇りきる。日が昇りきる。
飲みきる

入 (はい) りきる   狭くて入りきれない
はさみ切る   はさみで<切る>とは限らない。
運びきる
張り切る
走りきる   マラソン (42キロメートル) を走り切る
引ききる  <引いて切る>もおかしい  ひっきりなし
広がりきる / 広げきる
振りきる  <切る>は<離す、切り離す>の意味だ。

曲げきる
磨ききる  磨き上げる
見切る   見切りをつける。<見切る>の<切る>は to cut の意がある。<見て切る>ではなく<見るのを途中で切る、やめる>
乱れきる

焼き切る   焼いて切る
やつれきる
やりきる
弛 (ゆる) みきる  締めたねじがゆるみきっている。
読みきる
寄りきる  寄りきり(相撲)
弱りきる

忘れきる
割り切る   <割る>と<切る>は別物だ。これは<割って切り離す>

 

分類してみると

1)物理的な<切る、to cut>の意味。この意味の語はきわめて少ない。

2)<切り離す (切って離す) >の意

3)すっかり<xxする>

4)最後まで(しっかり)する、やる。済ませる、終わらせる

 

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Tuesday, November 5, 2024

<仕事に打ち込む>は自動詞、他動詞?

最近<込む>、<込める>をかなり念入りに調べているが、<打ち込む>という言い方がある。

1)釘を打ち込む
2)打者が打ち込む
3)仕事に打ち込む

1)釘を打ち込む

は原意に近く、<xxの中にxxを打って入れる> 、<xxを打って中に入れる>

釘を木に打ち込む

<込む>自体は自動詞。他動詞は<込める>。<打ち込む>は他動詞。<打つ>は複合動詞<打ち込む>の意味の主動詞で、<打つ>は他動詞。<込む>は複合動詞<打ち込む>の副動詞といえ、<副詞>的な働き。意味としては<入 (はい) る、入れる、in、 into)。

2)打者が打ち込む

この<込む>は<込む>の代表的な慣用用法の一つで、<十分 (に) xxする>の意。これは、意味が成り立てば、いわばいくらでもある。

教え込む
覚え込む
鍛 (きた) え込む
切りきざみ込む
探 (さが) し込む
仕込む
締め込む
調べ込む
染め込む
使い込む  <しっかり使う>の意味。使い込みが足りない
突き込む  <突っ込む、つっこむ>原意は<突きこむ>だが、上記の<探 し込みが足りない>、<調べ込みがたりない>は<つっこみ>(掘り下げ)が足りないのだ。
漬け込む
投げ込む  投手が投げ込む
煮込む   
塗り込む  
走り込む  陸上選手が走り込む
磨 (みが) き込む

ーーーーー

打ち込む

打ち込む  打者が打ち込む
投げ込む  投手が投げ込む 

は少しやっかいで

バットでボールを打ち込む
ボールを投げ込む

なら、特に一場面に限ると、確かに他動詞といえるが

打者が、なっとくいくまで、打ち込む
投手が、しっかりと、十分に投げ込む 

とすると<他動詞感>が薄くなるようだ。だが、他動詞としておく。

<走り込む>の<走る>は<xxを走る>とは言えないので自動詞(*)。<走り込む>も自動詞となる。一方

(*)運動場、トラックを走るは、いわゆる”<を>を取る自動詞”としておく。

 <走り込む>の<走る>は自動詞で主動詞。副動詞の<込む>も単独では自動詞。<自動詞+自動詞>の<走り込む>は自動詞で問題ない。 <トラックを走り込む >とすると2)の<十分 (に) xxする>の意になる。”<を>を取る自動詞” で問題ないだろう。

さて

3)仕事に打ち込む

だが、少しやっかい。

 字面上<仕事に打ち込む>は、<xxを>がない、<を>をとれないので自動詞。

<仕事に打ち込む>は意味的には他動詞的だ。解釈は異なるものがいくつかあるかもしれないが、

<わが身を仕事に打ち込む>の<わが身、oneself>が省略されたものとみなす解釈。この<みなす解釈 (みなし解釈) >は重要で、他に応用できるのではないか。

たとえば

入れ込む  他動詞  玉を籠 (かご) に入れ込む。 自動詞 あの馬は入れ込んでいる。そう入れ込まないで落ち着け。<わが身を入れ込む>で隠れた他動詞。


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