Thursday, July 24, 2025

他動詞<抱える>と自動詞<関わる、係る>

 

<抱える>は他動詞、<関わる、係る>は<xxに関わる、係る>で 自動詞。一見関係なさそうだが、平仮名で書けば、または耳で聞けば

<かかえる>ー<かかわる> 

<関わる、係る>の方は多くは<xxに関わる、係る>と使うが

xxは (が) yyに関わって、係わっている

という純自動詞的な言い方がある。少しよく考えると、<関わる、係る>の漢字に惑わさられなければ、話は違ってくる。

一方、<抱える>は<だきかかえる>とも言えるが、<抱 (だ) き抱 (かか) える>とは書かない。したがって<抱く>の<抱>も<抱える>の<抱>もかなりの当て字だ。

<かかえる>ー<かかわる> 

で話を進めよう。

<かかえる>は上記のように物理的、身体動作的には<だきかかえる>だが、比喩的に

問題をかかえる
借金をかかえる 

などと言う。一般的には<自分の内に持つ>と言えそう。あたり前だが<何かを自分の内に持つ>とその何かと自分との間に関係、<かかわり合い>ができる、生じる。<できる>、<生じる>は典型的な自動詞だ。つまりは<かかえる>と<かかわり>ができる、生じるのだ。

これで<終わり、以上>でもいいのだが、<かかえる>と<かかわる>の言葉をもう少しチェックしてみる。<かかえる>の古語は<かかふ>で、ネット辞典では

https://kobun.weblio.jp/content/%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%81%B5

学研全訳古語辞典

かか・ふ 【抱ふ】

[一]他動詞ハ行下二段活用

活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

① 抱きかかえる。

② 自分に課せられたものとして持つ。かかえる。

出典平家物語 一一・鶏合壇浦合戦
「これ程の大事を前にかかへながら」

[訳] これ程の大事をこのさきに抱えているのに。

③ 召しかかえる。雇い入れる。

という解説がある。 

一方<かかわる>の古語は<かかはる>で、ネット辞典では

https://kobun.weblio.jp/content/%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%81%AF%E3%82%8B

 学研全訳古語辞典

かかは・る 【係はる・関はる】

自動詞ラ行四段活用

活用{ら/り/る/る/れ/れ}

かかわりあいになる。関係をもつ。

出典蜻蛉日記 上

「かかる所も、とりつくろひかかはる人もなければ」

[訳] このような所も、手入れをしかかわりあいになる人もないので。

という解説がある。

これからすると、古語の<かかふ>、<かかはる> は昔から現代語の<かかえる>、<かかわる>のような独立した意味で使われていたようで他動詞<かかふ>から自動詞<かかはる>に転用されていった形跡がすぐには見いだせない。

<かかふ>、<かかはる>の関係、つまりは、他動詞と自動詞では意味にズレがある動詞では、最近調べているが、

たずさえる (たづさふ)他動詞 ー たずさわる 自動詞
受ける  (受く) 他動詞 ー 受かる 自動詞
従 (したが) える (従ふ) 他動詞 ー 従う (従ふ) 自動詞 (したがって)

もややズレがある。古語<従ふ>はややこしい。他動詞養蜂と自動詞用法がある。

一方、ズレがあまりない動詞もある。

植 (う) える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。
備 (そな) える 他動詞 ー 備わる 自動詞  xxが備わっている
つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞 (これもややズレがある)
伝 (つた) える 他動詞 ー 伝わる 自動詞

 ところで、<関わる、係る (かかわる) >では

 掛 (か) ける 他動詞 ー 掛 (か) かる  自動詞

があり、これまた漢字にとらわれなければ 

 かける 他動詞 ー かかる  自動詞

<かかる>の方は意味としては、物理的、身体動作的には<引っかかる>だが、比喩的には

yyは (が) xxにかかる 

で<関係する>の意で使われる。同義語とも言える。

できるかできないかは努力にかかっている。
できるかできないかは努力にかかわっている。

<かわる>は<かかえる>よりも<かかる>由来の線が濃いようだ。


sptt

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

ヘンテコな他動詞<たずさえる>、自動詞<たずさわる>

 

他動詞<たずさえる>と自動詞<たずさわる>では意味にズレがある。

古語<づさふ>は

[一] 自動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

手を取りあう。連れ立つ。連れ添う。

出典万葉集 七二八

「吾妹子(わぎもこ)とたづさひ行きてたぐひて居(を)らむ」

[訳] あなたと連れ立って行って、一緒にいよう。

の自動詞と

[二] 他動詞ハ行下二段活用 活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
 
がある。

手に持つ。携帯する。携える。

これは現代語<たずさえる> の意と同じだ。

みやげをたずさえて (携えて) 故郷に帰る。

<手にもって>、<携帯して> 故郷に帰る。

では日本語の味がない。

一方<たずさわる>の古語は<たづさはる>で自動詞だが

自動詞ラ行四段活用

活用{ら/り/る/る/れ/れ}

① 手を取り合う。

出典万葉集 九〇四

「夕星(ゆふつづ)の夕べになればいざ寝よと手をたづさはり」

[訳] 夕方の星の出る夕べになると、さあ寝なさいと手を取り合い。

(<を>取るので自動詞というよりは他動詞。<たづさはり>自体に<手を取り合う>の意味があるので<夕星(ゆふつづ)の夕べになればいざ寝よとたづさはり> でも通じるはずだ。これであれば自動詞でもいさそう。

② 連れ立つ。

出典万葉集 三九九三

「思ふどち馬うち群れてたづさはり」

[訳] 親しい仲間が馬に乗って集まり連れ立ち。

( ①と②の意味は上の古語<たずさふ>の

[一] 自動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

手を取りあう。連れ立つ。連れ添う

とほぼ同じ。)

③ かかわり合う。関係する。

出典徒然草 一六七

「一道にたづさはる人」

[訳] 一つの専門の道にかかわり合う人

 <たずさわる>と<③ かかわり合う。関係する>は似たようなところがある。一方

① 手を取り合う。
② 連れ立つ。
 
は現代語の<たずさわる>とは関係が薄い。

頭の<た>は 訳文に見えるがに<手>の意だ。

手折る ー> たおる
手の心  ー>たなごころ (手のひら 
手綱 (たづな)

などと言うのがある。したがって、古語<言葉が誕生したころは<手>の意味があったであろう。したがって

手を取りあう。(手を取って) 連れ立つ。手を取って) 連れ添う。 

が原意。古語の<づさはる>では、これが<かかわり合う。関係する>の意味に変わって行ったことになる。上記の

③ かかわり合う。関係する。

出典徒然草 一六七

「一道にたづさはる人」

[訳] 一つの専門の道にかかわり合う人

ここで注意したいのは<たさはる>ではなく<たさはる>。ほとんど聞かないが

という言葉があり、関連語かもしれない。 

"  
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12180529352

<たずさわる>の<かかわり合う。関係する>という意味は、<手>を使うと

手を出す
手を入れる
手を突っ込む (首を突っ込む)
 
というような言い方がある。

<かかわり合う、関係する>に関連しては
 
 抱 (かか) える 他動詞 (抱 ふ)ー ?  かかわる(関わる)(かかはる)
 
というのがある。 <?>マークつきだが、<関わる>の漢字にだまされてはいけない。
 
これは別途検討。 

 
sptt

Saturday, July 19, 2025

ヘンテコな動詞<耐える>ー 自動詞、他動詞?

<たえる>には<絶 (た) える>と<耐 (た) える>がある。<絶える>は

自動詞<絶える>に対して、他動詞の<絶やす>がある。

マンモスは絶えた。
友人からの連絡が絶えている。

という純自動詞的な用法がある。 一方、他動詞の<絶やす>は

この悪習を根こそぎ絶やす必要がある。

などと使う。 

この悪習根こそぎ絶やす必要がある。

ともいうが、<を>がなくても他動詞だろう。法律文のようになるが、これは

この悪習は、これを根こそぎ絶やす必要がある。

と言い換えが可能だ。

さて、同じ<たえる>の発音で<耐える>がある。<耐える>は普通

苦痛に耐える。
重労働に耐える。

と言い、自動詞。

苦痛を耐える。
重労働を耐える。 

と普通は他動詞的には使わない。

自動詞 絶える ー 他動詞 絶やす

のように自動詞<耐える>に対応する他動詞はあるか?

<耐える>は普通<xxに耐える>で自動詞だが、<xxが耐える>という純自動詞的な言い方はあまりきかない。<xxを耐える>はダメか?

<耐える>の類語として、ネット辞典では

 https://www.weblio.jp/content/%E8%80%90%E3%81%88%E3%82%8B

[類語](1耐え忍ぶ忍ぶこらえる辛抱する我慢する忍耐する隠忍する忍従する頑張る歯を食いしばる涙を呑む抑える

が載っているが

xxを忍ぶ、xxをこらえる、xxを辛抱する、xxを我慢する

が普通で、みな他動詞だ。<xxする>動詞が他動詞になるのはそれなりの理由があるようだが、<xxを忍ぶ>、<xxをこらえる>は純粋に他動詞だ。<耐える>が<xxに耐える>で自動詞なのはどうしたことか? 繰り返しになるが、<xxを耐える>はダメか?

英語で<耐える>に相当する語は to endure で

to endure stress, grate pain, difficulty

など直接目的語をとる他動詞。だが自動詞用法もある。

Dictionary..com

verb (used with object)

  1. to hold out against; sustain without impairment or yielding; undergo.

    to endure great financial pressures with equanimity.

    プレッシャーに耐える

  2. to bear without resistance or with patience; tolerate.

    I cannot endure your insults any longer.

    侮辱に耐えられない

  3. to admit of; allow; bear.

    His poetry is such that it will not endure a superficial reading.

    浅薄な読み方に耐えられない

英語は直接目的語をとる他動詞だが、日本語訳 (sptt訳) ではいずれも<xxに耐える、耐えられない>になっている。

verb (used without object)

endured, enduring 
  1. to continue to exist; last.

    These words will endure as long as people live who love freedom.

    これらの言葉は人々がが自由を愛する限り耐える (生き残る)。

  2. to support adverse force or influence of any kind; suffer without yielding; suffer patiently.

    Even in the darkest ages humanity has endured.

    最も暗い時代でも人間性は耐えた、耐え抜いた (生き残った)。

  3. to have or gain continued or lasting acknowledgment or recognition, as of worth, merit or greatness.

    His plays have endured for more than three centuries.

    彼の劇作は三世紀以上も耐えてきた (生き抜いてきた)。

日本語訳に<耐える>、<耐えた>があるが

xxに耐える、耐えた

ではなく

xxは耐える、耐えた

で<xxに耐える、耐えた>のような用法ではなく

xxが耐える

のような純自動詞的な使い方だ。

これらの言葉が人々自由を愛する限り耐える (生き残る)。
最も暗い時代でも人間性耐えた、耐え抜いた (生き残った)。
彼の劇作三世紀以上も耐えてきた (生き抜いてきた)。

は<は>を<が>で置き換えたものだが

<これらの言葉>、<人間性>、<彼の劇作>が初回出、あるいは事件報告のような場合は可能だ。

 さて

苦痛に耐える
重労働に耐える

に戻ると

苦痛を耐え忍ぶ
重労働を耐えをこらえる

は可能で、これは<忍ぶ>、<こらえる>にひかれたためだろう。

<耐える>と<忍ぶ>、<こらえる>は意味的にどこが違う。しいて探せば

<耐える>受身度が高い、<忍ぶ>、<こらえる>は能動度が高いと言えないか?<忍ぶ>、<こらえる>に積極性 (対象に働きかける) ニュアンスはないか? 一方<耐える>はこの背極性が薄いといえないか?

しつこいようだが

苦痛を耐える
重労働を耐える
イジメを耐える
理不尽な非難を耐える

はダメだろうか?

例えば

イジメに耐える

は受身度が高く、反抗の姿勢が薄い。

一方

イジメを耐える

は積極性 (対象に働きかける) 、そして反抗の姿勢が感じられないだろうか?

英語を参考にすると

苦痛を耐える ー to endure pain
重労働を耐える ー to endure heavy labor
イジメを耐える ー to endure bullying
理不尽な非難を耐える ー to endure unreasonable criticism

で他動詞用法だが、

to endure against pain
to endure heavy against heavy labor
to endure against bullying
to endure against unreasonable criticism

の自動詞用法も可能だろう。だが、受身的、能動的に差は特にないようだ。

また<さて>だが、<xxに耐える>の<に>だが、助詞<に>は普通

学校に行く
学校に戻る
家に帰る

夜7時に家に帰る

花子に花を贈る
太郎に話しをする 

という使い方だが、 細かく分類すると助詞<に>にはいろいろな用法があり、<対象を示す>というのもある。

Wiki

行為を行う対象

  • 不正厳正に対処する。
  • 一言一句こだわる。

https://japanese-language-education.com/nikaku/ 

対象】の用法

対象とは、述語が表す動きや認識に対して、その動きの影響を受けるもの・認識が向けられるもののことです。

【動作の対象
反抗した

【心的活動の対象
彼の雄姿憧れた

ーーーーー

不正厳正に対処する。

不正厳正に対処する。

では、やや問題がありそう。だが

不正を厳正に対する。 はほぼダメで

不正に厳正に対する。 が普通

不正を厳正に処する。これはOK

で合成語の<対処する>はそう厳密ではなさそう。<対処する>は自動詞、他動詞兼用とも言えそう。これは<xxする>動詞にみられる。

一言一句こだわる。 

一言一句こだわる。

でも問題ないだろう。すなわち<に>は<を>で代替できるのだ。

従って

<こだわる>は普通<xxにこだわる>だが、<xxこだわる>だと、むしろ積極性 (対象に働きかける) が感じられないだろうか?

反抗した

反抗した

は全くダメ。 <反抗する>も<xxする>動詞だが、自動詞で、英語でいえば against が必要な動詞だ。 

彼の雄姿憧 (あこが) れた


彼の雄姿憧れた

は可能のようだ。 これまた<を>で対象そのものが強調されるようだ。

 

 以上のように<対象を示す>助詞<に>は流動的だ。<対象を示す>助詞は普通<を>で、<を>をとる動詞は普通他動詞。ところで、<を>をとる自動詞がある。移動動詞。移動動詞はこれまで何度も取り上げた。

<xxに耐える>は<に>をとるが、自動詞であるとともに他動詞でもあるのではないか?

 

sptt

 

Friday, July 18, 2025

ヘンテコな他動詞<受ける>、自動詞<受かる>

 
他動詞<受ける> 試験を受ける
自動詞<受かる> 試験に受かる 

他動詞<受ける>は<試験を受ける>以外に、例えば<試練を受ける>、<いじめを受ける> があるが、<試練に受かる>はほぼダメ、<いじめに受かる>はダメだ。自動詞らしいのは<xxが受かる>だが、例がすぐに思いうかばない。 <試練に受かる>がほぼダメというのは、試験はもともとある意味では試練だからだ。

ところで

自動詞<受かる> 試験に受かる 

は<を>をとらないので自動詞か?

試験が受かる

なら自動詞でいいが、こうはいわない。<試練が受かる>、<いじめが受かる>もダメ。

<受ける>は<を>をとるので他動詞だが、やや特殊で、意味としては<与えられる>で受身的だ。

A ーー 試験 ーー> B

Aは与える。Bは与えられる。またはBは<受ける>

受身は対象が主語で

試験が与えられる 

これからすると

<受ける>は<を>をとるから他動詞といえるか? 少なくとも能動的に<試験に働きかける<わけではない。

英語で<受ける>は to receive で、to receive xx で他動詞。だが 

<試験を受ける>は to receive an exam とはいわず、to take an exam.

to receive も to take も他動詞だが、英語でも to receive は受身的だ。

An exam is taken. はなんとかなるが、An exam is received.とはまず言わないだろう。A gift is received. ならいい。

つまるとこころは<試験を受ける>がおかしいようだ。さらには<試験に受かる >はややこしい。

関連動詞として

植える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。
終 (お) える 他動詞 ー 終わる 自動詞   試験が終わる
備 (そな) える  他動詞 ー 備わる 自動詞  xxが備わっている
掛 (か) ける 他動詞 ー 掛かる 自動詞  絵が壁に掛かっている
賭 (か) ける 他動詞 ー 賭かる 自動詞  命が賭かる
ぶつける 他動詞 ー ぶつかる 自動詞  車がぶつかる
曲げる 他動詞 ー 曲がる 自動詞    鉄筋が曲がる
上 (あ) げる 他動詞 ー 上がる 自動詞  成績が上がる
下 (さ) げる 他動詞 ー 下がる 自動詞  成績が下がる

などがあるが、他動詞は純他動詞 (能動的) で受身的ではない。 


sptt

Monday, June 30, 2025

日本語の動詞活用、下一段活用


前々回のポスト

日本語の動詞活用、五段活用、上一段 / 下一段活用

の下一段活用の部分で


さて<寝る>は自動詞、<染める>は他動詞だ。 <寝る>に対応す他動詞はないが、<染める>に対応する自動詞は<染まる>。<染まる>は<染ま>を語幹とし<る>の部分が五段活用する。

と書いた。<染める>以外では、手元の辞書では<植える>、<受ける>、<捨てる>が紹介されている。すべて他動詞だ。

染める 他動詞 ー 染まる 自動詞

他動詞<染める>の下一段活用は

未然形 染めーない
連用形 染めーて、染めーます
終止形 染めーる
連体形 染めーるーとき、染めーるーところ
仮定形 染めーれば
命令形 染めーろ

語幹の<染め>は変化がない。<め>は<ま、み、む、、も>の<め>。

一方、自動詞<染まる>の五段活用は

未然形 染まーらーない
連用形 染まーりーて->染まって (音便) 、染まーりーます
終止形 染まーる
連体形 染まーるーとき、染まーるーところ
仮定形 染まーれば
命令形 染まーれ

語幹の<染ま>は変化がない。活用部の<ら、り、る、れ、ろ>の<ろ>がないが、 <ろ>は第二の未然形となっている。これは未然形に付く意思、推量の<う> (古語では<む>) が<ろ>につく。<染まろう>はひと昔は<染まらう> (古語では<染まらむ>) になっていた。

したがって

未然形 染まーらーない

未然形 染まーらーない、染まーろーう

としないと<ら、り、る、れ、ろ>の五段活用にならない。

命令形 染まーれ

の下に

推量、意思形 染まーろーう

を加えれば

<ら、り、る、れ、ろ>になる。

さて、下一段活用の動詞に戻ると

植える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxx植わっている。

受ける  他動詞 ー (受かる) 自動詞  試験に受かる。<受かる>は自動詞だが、他動詞<受ける>にそのままは対応しない。

捨てる 他動詞 ー 自動詞 ? 

でどうも下一段活用動詞は統一がとれていない、規則的でない。 これらだけでは不十分で、もう少し調べてみる。

得 (え) る

未然形 得 (え) ーない
連用形 得 (え) ーて
終止形 得 (え) ーる
連体形 得 (え) ーるーとき
仮定形 得 (え) ーれば
命令形 得 (え) ーろ 

<得 (え) る>の古語形は<ア行下二段活用>で

活用{え/え/う/うる/うれ/えよ}

未然形 得 (え) ーない
連用形 得 (え) ーて、得 (え) ーます
終止形 得 (う) ーる
連体形 得 (う) ーるーときi
已然形 得 (う) ーれば
命令形 得 (え) ーろ

<う>と<え>があるので二段活用。<得 (う) る>は今でも使うことがあり、使う人がいる。

XXえる

和 (あ) える (料理)  他動詞 ー ? (和う)

与 (あた) える 他動詞 ー ?

与 (あた) える

未然形 与 (あた) え ーない
連用形 与 (あた) え ーて
終止形 与 (あた) え ーる
連体形 与 (あた) え ーるーとき
仮定形 与 (あた) え ーれば
命令形 与 (あた) えーろ

与 (あた) える>の古語形は<与ふ>で<ハ行下二段活用>。

活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

未然形 与 (あた) へ ーず
連用形 与 (あた) へ ーて
終止形 与 (あた) ふ
連体形 与 (あた) ふ ーるーとき
已然形 与 (あた) ふ ーれば
命令形 与 (あた) へーよ

古語では

未然形<与 (あた) へ>+<れば>は今の仮定形<与 (あた) えれば>。発音は同じだ。一方已然形<与 (あた) ふ>+<れば>で意味がちがう。現代語では<与えたので>となる。

甘 (あま) える 自動詞 ー ?

未然形 甘 (あま) え ーない
連用形 甘 (あま) え ーて
終止形 甘 (あま) え ーる
連体形 甘 (あま) え ーるーとき
仮定形 甘 (あま) え ーれば
命令形 甘 (あま) えーろ

甘 (あま) える>の古語形は<ヤ行下二段活用>で

活用{え/え/ゆ/ゆる/ゆれ/えよ}

未然形 甘 (あま) え ーない
連用形 甘 (あま) え ーて
終止形 甘 (あま) ゆ
連体形 甘 (あま) ゆ ーるーとき
已然形 甘 (あま) ゆ ーれば
命令形 甘 (あま) えーよ 

<xxゆ>由来の<xxえる>は多い。

癒 (い) える 自動詞 (癒ゆ)ー 癒 (いや) す 他動詞

植 (う) える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。

未然形 植 (う) え ーない
連用形 植 (う) え ーて
終止形 植 (う) え ーる
連体形 植 (う) え ーるーとき
仮定形 植 (う) え ーれば
命令形 植 (う) えーろ

植 (う)える>の古語形はややこしい。<ワ行下二段活用>で 

活用{ゑ/ゑ/う/うる/うれ/ゑよ}

未然形 植 (う) ゑ ーない
連用形 植 (う) ゑ ーて
終止形 植 (う)
連体形 植 (う) う ーるーとき
已然形 植 (う) う ーれば
命令形 植 (う )ゑーよ 

<ゑ>は見慣れない平仮名だが、昔は

wa, wi, u, we, wo

という発音があったようで、これは別の書き方をすれば

ua,  ui,  uu,  ue,  uo

つまりは

<u> + <a>、<i>、<u>、<e>、<o>

という音の組み合わせ。<u>は<a>や<e>に比べると、発音するのに力がいる。おそらく、このため使われなくなったのだろう。つまりは終止形、連体形、已然形の<植 (う) う>は発音しずらい。まだ結論ではないがe>は下一段活用で活躍する。

見慣れない平仮名がたくさん出てくる (とと思われる) 古語のワ行4段活用はない。また現代語のワ行五段活用は、ワ行とは言うが<わ>の一字しか出てこない。

買う

未然形 買わーない、買おう (*) 
連用形 買いてー>買って、買いーます
終止形 買う
連体形 買うーとき、もの
仮定形 買えば
命令形 買え

 (*)  <買おう>はワ行であれば<う>でもよさそうだが、ダメのようだ。

飢 (う) える

未然形 飢 (う) え ーない
連用形 飢 (う) え ーて
終止形 飢 (う) え ーる
連体形 飢 (う) え ーるーとき
仮定形 飢 (う) え ーれば
命令形 飢 (う) えーろ

飢 (う) える>の古語形は上の<植 (う)え る>に準じる。ワ行下二段活用飢 (う) える>は自動詞だ。

終 (お) える 他動詞 ー 終わる 自動詞

未然形 終 (お) え ーない
連用形 終 (お) え ーて
終止形 終 (お) え ーる
連体形 終 (お) え ーるーとき
仮定形 終 (お) え ーれば
命令形 終 (お) えーろ

終 (お) え る>の古語形はややこしい。終止形は<を・ふ 【終ふ】>で、自動詞 / 他動詞ハ行下二段活用。ハ行下二段活用活用は<与 (あた) える>で出てきた。{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

ネットでは<自動詞ハ行下二段活用>と<他動詞ハ行下二段活用>なっているが、これは間違いで他動詞ハ行下二段活用がけだろう。

自動詞 ハ行下二段活用の例。

https://kobun.weblio.jp/content/%E3%82%92%E3%81%B5


万葉集 一七六

「天地(あめつち)と共にをへむと思ひつつ仕へ奉(まつ)りし心違(たが)ひぬ」

[訳] 天地(が終わる)とともに(奉仕も)終わろうと思いつづけてお仕え申し上げた志とは違ってしまった。

訳文では<(奉仕も)終わろう>となっているが<(奉仕を)終えよう>という意味だろう。

つまりは<終 (お) える>が<終 (を) ふ>だ。 反対に言えば<終 (を) ふ>が<終 (お) える>に変わっていったのだ。これは大きな変化だ。さらに他動詞<終 (お) える>に対応する自動詞は<終わる>。<終わる>は古語では<終 (を) はる>。これはラ行四段活用。

未然形 終 (を) へ ーず
連用形 終 (を)) へ ーて
終止形 終 (を) ふ
連体形 終 (を) ふ ーるーとき
已然形 終 (を) ふ ーれば
命令形 終 (を) へーよ
 
未然形<終 (を) へ>+<れば>は今の仮定形<終 (お) えれば>。発音は同じだ。一方已然形<終 (を) ふ+<れば>は現代語では<終 (お) えるので>となる。 ところで、已然形というのは、Wiki によれば
 

(いぜんけい)

  1. (文法) 日本語文語における用言助動詞活用形の一つ。六活用形の五番目におかれる。已然とは「すでにそうなっている」の意であり、助詞「」「」「ども」などを伴い順接逆接確定条件を表す。係り結びで「こそ」を受けるときにも表れる。

 ”

ということで、<順接や逆接の確定条件を表す>で、<終 (お) えるので>というよりは<終 (お) えたので、あるので>となるか。これはおもしろい問題だ。

さらに、古語<終 (を) はる>が<終わる>と、表記では<は>ー><わ>に変わっていることにも注意。他動詞、下一段活用<xxえる>ー 自動詞 五段活用<xxわる>は。これからでてくる。

変 (か) える 他動詞 (変ふ)ー 変わる 自動詞 ー 上記<終える>参照
抱 (かか) える 他動詞 (抱 ふ)ー ?  かかわる(関わる)(かかはる)

<かかわる>(関わる、係る)という語があるが<抱 (かか) える>とは関係ないように見えるが、<関わる、係る>と漢字を使わずに<かかわる>とすれば (耳で聞けば同じだ) 、<かかえる>ー<かかわる>とすれは、<抱 (かか) える>が原意といえるのではないか。

数 (かぞ) える 他動詞 (数ふ)ー ? 

自動詞<数わる>はないようだが、少数派だが<植わる>はあるので、<植わっている>ー<植えられている>)、<数わる>ー<数えられている>でよさそう。少なくとも<数わる>は<数えられている>より簡潔だ。

かなえる (かなへる)  他動詞 ー かなう (かなふ) 自動詞

<かなえる>、<かなう>はややこしい。

<夢をかなえる>、<望みをかなえる>で他動詞。<望みにかなう>、<理にかなう>、<要求にかなう>で自動詞。さらに<かなわない>という言い方がある。<この相手にはかなわない>。<かなわない>の肯定は<かなう>で<対抗できる>といった意味だが、<毎日こう暑くてはかなわない>(主語がない、というか省略されている)といった言い方もある。

意味は

<かなえる>は<夢、望みを実現させる>。

<かなう>は自動詞だが<望みを、理 (道理) を、要求を満足させる>といった他動詞的な意味にもなる。  だが基本的な意味は<対応する>のようだ。

構える 他動詞 (構ふ)ー ? 

古語<構ふ>は他動詞ハ行下二段活用で、上に<与える、与ふ>ででてきた。現代語<構える>は<与える>に準じ

未然形 構え ーない
連用形 構え ーて
終止形 構え ーる
連体形 構え ーるーとき
仮定形 構 え ーれば
命令形 構 えーろ 

なのだが、<かまわない>という言い方があり、<構えない>とは違う。<かまう>は別の語で、 <かかわる>といった意味で、ワ行五段活用 活用形。これに対応する古語は<構ふ>だが、こちらはハ行四段活用で、活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}。現代語の<かまう>は<わ>がでてくるのでワ行五段活用。上の<買う>で出てきたが

未然形: かまわ(ない)、かまお(う)
連用
: かまい(ます)、かまっ(た、て)
終止
: かま
連体
: かまう(こと)
仮定
: かまえ(ば)
命令
: かまえ 

この<かまう>は日常よく使う。ややこしく自他両用動詞のようだ。下一段活用ではないので、これ以上は話を進めない。(別途検討)


消 (き) える (消ゆ)  自動詞 ー 消す 他動詞
越 (こ) える (越ゆ) 自動詞 ー 越す 自動詞 (移動動詞)

古語<越ゆ>は自動詞となっている。もっとも現代語<越 (こ) える>も<を>をとる移動動詞扱いで自動詞。すぐ上の

消 (き) える (消ゆ)  自動詞 ー 消す 他動詞

からすると<越す>は他動詞のようだが、これも<を>をとる移動動詞で自動詞扱いのようだ。<す>の使役性、他動詞化性から検討してもいいのではないか。移動動詞については、これまでいろいろ書いているが、とりあえずの結論めいたものは

<越える>、<越す>は自動詞はたまた他動詞 ー 移動動詞 - 4May 21, 2025

 のポストで、最後に

 

 <を>をとる移動動詞とは

1)基本的に自動詞
2)<を>は (通過点) 通過場所、通過物、場合によっては通過物そのものあらわし (示し)、動詞が働きかける対象 のような目的語を示すわけではない。

2)は思い切ってもっと簡単に

<を>は動詞内容が行われる場所を示す格助詞。

と言える。場所を示す格助詞では<へ>と<に>だが、<を>も移動動詞では場所を示す格助詞になるということだ。

” 

と書いている。

肥 (こ) える (肥ゆ)  自動詞 ー 肥やす 他動詞
答 (こた) える (答ふ)  自動詞 ー ?

冴 (さ) える (冴ゆ)  自動詞 ー 冴 (さ)やす 他動詞 (聞いたことはない)

<頭が冴える> とは言うが<頭を冴やす>とは言わない。<頭が冷える>とは言わないが<頭を冷やす>と言う。

支 (ささ) える  (支ふ )  他動詞 ー ?
従 (したが) える  (従ふ)   他動詞 ー 従う  (従ふ)  自動詞

古語では他動詞従ふ>はハ行下二段活用で、活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

①  服従させる。従わせる。
②  引き連れる。後について来させる。

 で<従わせる>の意味もあったようだ。

一方、自動詞従ふ>はハ行四段活用で、活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}。

現代語の<従う>は<わ>がでてくるので、 ワ行五段活用 活用形。これも古語の<与ふ><構ふ>と同じく、ハ行四段活用 (活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ) ー>現代語のワ行五段活用への移行だ。

未然形: 従わ(ない)、従お(う)
連用形: 従い(ます)、従っ(た、て)
終止形: 従う
連体形: 従う(こと)
仮定形: 従え(ば)
命令形: 従え

<従う>は<xxに従う>以外に、<応じる>の意でxxに従って (従いて) >、独立して<したがって、xxxx>という言い方がある。

据 (す) える 他動詞 (据う) ー 据 (す) わる、座る 自動詞

<据 (す) える>の古語は<据う>で、ワ行下二段活用。<植 (う) う>と同じ。

活用{ゑ/ゑ/う/うる/うれ/ゑよ}

で<わ>の字、そして<わ>の音は出てこない。なにか変な感じだ。

ところが、古語では<据う>以外に<他動詞 ヤ行下二段活用>の<据ゆ>がある。

活用{え/え/ゆ/ゆる/ゆれ/えよ}

現代語の自動詞<据 (す) わる>は

肝 (きも) がすわっている。度胸がすわっている。

という言い方があるが、あまり一般的ではない。一方、関連語の<座る>は日常語で毎日のように使われている。<据わる>、<座る>は文字で書くと違いが読んだり、言ったりする時は<すわる>で同じだ。

添 (そ) える  (添ふ)  他動詞 ー 添 (そ) わる 自動詞

<添 (そ) わる>はほとんど聞かないが

<植わっている>と同じように<添えられている> の代わりに<添わっている>で使える。

花子には気品が添わっている。

<添 (そ) える>は上の<従 (したが) える>と似かよった意味がある。

xxに従って
xxに沿 (そ) って

だが、こちらの方は<沿 (そ) う>でワ行五段活用。

備 (そな) える  (備ふ)  他動詞 ー 備わる 自動詞 xxが備わっている

古語の<備ふ>は他動詞ハ行下二段活用。<備わる 自動詞> の古語は<備はる>で、ラ行四段活用で

活用{ら/り/る/る/れ/れ}

未然形 備はら ーず
連用形 備はり ーて
終止形 備はる
連体形 備はる ーとき
已然形 備はれ ーば
命令形 備はれ  (自動詞の命令形)

現代語の 自動詞<備わる>は頻繁ではないが、<xxが備わっている>などで使われる。<備えられている>より少し簡潔で日本語的だ。

そびえる (そびゆ)  自動詞 ー 
揃 (そろ) える (そろふ)他動詞 ー 揃う 自動詞

古語<そろふ>はややこしい。自動詞<そろふ>はハ行四段活用で

活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}

他動詞<そろふ>はハ行下二段活用で

活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}

現代語の他動詞<揃 (そろ) える>は他動詞<そろふ>ハ行下二段活用由来だ。これは上の<備 (そな) ふ>に準じる。一方、現代語の自動詞は<揃 (そろ) う>は、古語の自動詞<そろふ>ハ行四段活用由来だ。これはラ行四段活用の備 (そな) はる>に準じない。くり返しになるが

未然形 備 (そな) はら ーず
連用形 備はり ーて
終止形 備はる
連体形 備はる ーとき
已然形 備はれ ーば
命令形 備はれ  (自動詞の命令形)

に対して

未然形 揃 (そろ) は ーず
連用形 揃 (そろ) ひ ーて
終止形 揃 (そろ) ふ
連体形 揃 (そろ) ふ ーとき
已然形 揃 (そろ) へ ーば
命令形 揃 (そろ) へ (自動詞の命令形)

現代語の自動詞<揃 (そろ) う>はワ行五段活用

未然形 揃 (そろ) わ ーず
連用形 揃 (そろ) い ーて、揃って
終止形 揃 (そろ) う
連体形 揃 (そろ) う ーとき
仮定形 揃 (そろ) え ーば
命令形 揃 (そろ) え (自動詞の命令形)

自動詞の命令形はまれにしか使わないだろう。

絶 (た) える (絶ゆ)自動詞 ー 絶やす 他動詞

<絶やす>の古語はやや複雑で

絶えす

[一] 自動詞サ行変格活用

活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}

[二] 他動詞サ行四段活用

活用{さ/し/す/す/せ/せ}

ここではこれ以上詮索しない。

耐 (た) える (耐ふ)自動詞 ー ?

<耐える>は普通<xxに耐える>で自動詞だが、<xxを耐える>でもよさそう。また<xxが耐える>という純自動詞的なあまり聞かない。別途検討


たずさえる (たづさふ)他動詞 ー たずさわる 自動詞

これもややこしい。他動詞<たずさえる>と自動詞<たずさわる>では意味にズレがある。

意味のズレでは、後で出てくるが

受ける  他動詞 ー 受かる 自動詞

が顕著。 

従 (したが) える  他動詞 ー 従う  (従ふ)  自動詞  (したがって)

もややズレがある。

ズレがあまりない動詞もある。上で出てきたが

植 (う) える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。
備 (そな) える 他動詞 ー 備わる 自動詞  xxが備わっている

これから出てくる 

つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞 (これもややズレがある)
伝 (つた) える 他動詞 ー 伝わる 自動詞

現代語の<たずさわる>は<かかわり合う。関係する>といった意味だが、これに関連しては、上の方に

 抱 (かか) える 他動詞 (抱 ふ)ー ?  かかわる(関わる)(かかはる)
 
というのがある。 <?>マークつきだが、<関わる>の漢字にだまされてはいけない。
 
 
称 (たた) える 他動詞 ー ?
仕 (つか) える 自動詞 ー ?

(ドブが、通路が)つかえる 自動詞 ー ?
つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞
伝 (つた) える 他動詞 ー 伝わる 自動詞
とだえる (とだゆ)自動詞 ー ?
唱 (とな) える 他動詞 ー ?
捉 (とら) える 他動詞 ー ?

生 (は) える 自動詞 ー 生やす 他動詞
映 (は) える 自動詞 ー 
冷 (ひ) える 自動詞 ー 冷やす 他動詞
控 (ひか) える 他動詞 / 自動詞
増 (ふ) える 自動詞 ー 増やす 他動詞
踏 (ふ) まえる 他動詞 ー ?
震 (ふる) える 自動詞 ー 震わす 他動詞
吠 (ほ) える 自動詞 ー

迷 (まよ) える (迷う) 自動詞 ー 迷わす 他動詞 
燃 (も) える 自動詞 ー 燃やす 他動詞
もだえる 自動詞 ー ?

わきまえる 他動詞 ー ?

 <xxえる>はややこしい。古語にさかのぼれば

XXふ ー ハ行下二段活用
XXゆ ー ヤ行下二段活用
XXう ー ワ行下二段活用

由来の三つがある。

また、<える>には可能用法がある。

使える
取りえる ー> 取れる
行きえる ー> 行ける
勝ちえる ー> 勝てる

 ーーーー

明 (あ) ける 自動詞 ー 明かす 他動詞  夜が明ける、夜を明かす
あざける 他動詞 ー ?
生 (い) ける 他動詞 花を生ける ー ?
受ける  他動詞 ー (受かる) 自動詞  これはややこしい。別途検討。

おどける 自動詞 ー   

駆 (か) ける 自動詞 ー ?
欠 (か) ける 自動詞 ー 欠く、欠かす 他動詞
掛 (か) ける 他動詞 ー 掛かる 自動詞  絵を壁に掛ける、絵が壁に掛かっている
賭 (か) ける 他動詞 ー 賭かる 自動詞  命を賭ける、命が賭かる
砕 (くだ) ける 自動詞 ー 砕く 他動詞
こける (ころぶ)  自動詞 ー ?

避ける  他動詞 ー ?
湿気 (しけ) る 自動詞 ー ?
透 (す) ける 自動詞 ー 透かす 他動詞 

付 (つ) ける 他動詞 ー 付く 自動詞
溶 (と) ける 自動詞 ー 溶かす 他動詞
どける (どかす) 他動詞 ー どく 自動詞   

抜 (ぬ) ける 自動詞 ー 抜く 他動詞
のける 他動詞 ー のく 自動詞

はける 自動詞 ー はかす 他動詞  在庫がはける / 在庫をはかす (履く)

ふける (老いる)  自動詞 ー ?
ふける 自動詞 ー ふかす 他動詞  芋がふける、芋をふかす
ふざける 自動詞 ー ?
ぶつける 他動詞 ー ぶつかる 自動詞

負 (ま) ける 自動詞 ー 負かす 他動詞
向 (む) ける 他動詞 ー 向く 自動詞

焼 (や) ける 自動詞 ー 焼く 他動詞
よける (避ける) 他動詞 ー

分 (わ) ける 他動詞 ー 分かれる、別れる 自動詞


上 (あ) げる 他動詞 ー 上がる 自動詞

下 (さ) げる 他動詞 ー 下がる 自動詞

さまたげる 他動詞

しいたげる 他動詞 ー 

 ーーーーー

あせる 自動詞 ー ?
あびせる 他動詞 ー ?
失 (う) せる 自動詞 ー ?
乗せる 他動詞 ー 乗る 自動詞  バスに乗る
伏 (ふ) せる (伏す) 身を伏せる、身を伏す 他動詞 ー ?

馳 (は) せる 自動詞 ー ?
伏 (ふ) せる 自動詞 ー ?
待ち伏せる 自動詞 ー ?
任 (まか) せる 他動詞 ー ?
むせる 自動詞 ー ?

痩 (や) せる 自動詞 ー ?

注)<せる>は使役の助動詞で、未然形+<せる>は使役となるので、これと区別しないといけない。  

混 (ま) ぜる 他動詞 ー 混ざる 自動詞 

ーーーーー

当てる 他動詞 ー 当たる 自動詞
捨てる 他動詞 ー ?
立てる 他動詞 ー 立つ 自動詞
果てる 自動詞 ー 果たす 他動詞 <果たす>は<果てる>に対応していない。
ばてる 自動詞 ー ?
隔 (へだ) てる 他動詞 ー ? 
ほてる (火照る)  自動詞 ー ?

出る 自動詞 ー 出す 他動詞
かなでる 他動詞 ー ? 
茹 (ゆで) る 他動詞 ー ゆだる 自動詞

<勝てる>は<勝ち得る>

ーーーーー

寝る 自動詞 ー ?  
うねる 自動詞 ー ?  
おもねる 自動詞 ー ?  
兼 (か) ねる 他動詞 ー ?
こねる 他動詞 ー ?
すねる  自動詞 ー ?  
訪 (たず) ねる 他動詞 ー ?
尋 (たず) ねる 他動詞 ー ?  
束 (たば) ねる  他動詞 ー ?
つねる  他動詞 ー ?
跳 (は) ねる  自動詞 ー ?  
ひねる  他動詞 ー ?
まねる (真似る)  他動詞 ー ?  
委 (ゆだ) ねる  他動詞 ー ?

ーーーーー

くべる  他動詞 ー ? まきをくべる
比 (くら) べる  他動詞 ー ?
調 (しら) べる  他動詞 ー ?
並 (なら) べる  他動詞 ー ?
寝 (ね) そべる  自動詞 ー ?  
述 (の) べる  他動詞 ー ?
侍 (は) べる  自動詞 ー ?  

 ーーーーー

温 (あた) める、暖める 他動詞 ー 温まる、暖まる 自動詞 
収 (おさ) める、治める 他動詞 ー 収 (おさ) まる、治まる 自動詞 
からめる 他動詞 ー からまる 自動詞
したためる  他動詞 ー ?
染める 他動詞 ー 染まる 自動詞
とどめる 他動詞 ー とどまる 自動詞  
眺 (なが) める 他動詞 ー ?
ぬくめる (温める)  他動詞 ー ぬくまる 自動詞

別のポスト

まる-める動詞 - II October 24, 2018

で詳しくチェックしてある。 <xxめる>は下一段活用になり。<xxめる>動詞はいくらでもる。

基本的には

<xxめる>は他動詞、<xxまる>は自動詞。

ーーーーー

あきれる  自動詞 ー ?
あこがれる  自動詞 ー ?
あばれる  自動詞 ー ?
いかれる (ダメになる)   自動詞 ー ?
浮 (う) かれる  自動詞 ー ?

枯 (か) れる  自動詞 ー 枯らす 他動詞
かすれる  自動詞 ー ?
けがれる  自動詞 ー けがす 他動詞
こすれる  自動詞 ー こする 他動詞 
壊 (こわ) れる  自動詞 ー 壊す 他動詞

しおれる (萎れる)  自動詞 ー 壊す 他動詞
擦 (す) れる  自動詞 ー 擦る 他動詞
それる (反れる) 自動詞 ー そらす 他動詞

垂 (た) れる 自動詞 ー 垂
だれる 自動詞 ー
てれる (照れる)  自動詞

慣 (な) れる 自動詞 ー 慣らす 他動詞
流 (なが) れる 自動詞 ー 流す 他動詞
濡 (ぬ) れる 自動詞 ー 濡らす 他動詞

はぐれる  自動詞 ー はぐらかす 他動詞  意味がズレている。
晴 (は) れる  自動詞 ー 晴らす 他動詞  意味がズレている。
腫 (は) れる  自動詞 ー 
触 (ふ) れる  自動詞 ー 腫らす 他動詞

蒸 (む) れる  自動詞 ー 蒸らす 他動詞
漏 (も) れる  自動詞 ー 漏らす 他動詞
もつれる  自動詞 ー

やつれる  自動詞 ー
汚 (よご) れる  自動詞 ー 汚す 他動詞

割 (わ) れる  自動詞 ー 割る 他動詞

忘 (わす) れる 他動詞 ー ?  

 

注)<れる>は受身の助動詞で、未然形+<rる>は受身となるので、これと区別しないといけない。

 ーーーーー

上記のように、下一段活用動詞は

1)下一段活用動詞に比べ格段に多い。

これは<e>の方が<i>に比べて発音しやすい (発音がらくな) ためではないか?

2)自動詞、他動詞が入りま混じっているが<xxねる>、<xxめる>は他動詞が多い。一方<xxれる>は自動詞が多い。<れる>は受身、自発の助動詞。

 

 

sptt

 

Sunday, June 29, 2025

日本語の動詞活用、上一段活用


前回のポスト

日本語の動詞活用、五段活用、上一段 / 下一段活用

の上一段活用の部分で


<起きる>、<落ちる>は自動詞だが対応する他動詞がある。

起きる ー> 起こす
落ちる ー> 落とす

<起こす>は<起こ>、<落とす>は<落と>が語幹で、活用部は<す>だ。活用はより汎用的な五段活用。

と書いた。<起きる>、<落ちる>の二例だけでは、たまたまこうなっているだけかもしれないので、もう少し調べてみる。 <起きる>、<落ちる>は上一段活用動詞の代表だが、これ以外に<見る>、<着る>がある。語幹は<見 (み) >、<着 (き) >の一音節。また<見る>、<着る>は他動詞だ。

居る  語幹<居 (い) > 

居ない、居て、居る、居るとき、居れば、居ろ  自動詞

以下語幹略

射 (い)る、射て、射る、射るとき、射れば、射ろ  他動詞   

悔 (く) いない、悔いて、悔いる、悔いるとき、悔いれば、悔いろ 他動詞   古語<悔ゆ>

着 (き) ない、着て、着る、着るとき、着れば、着ろ 他動詞
飽 (あ) きない、飽きて、飽きる、飽きるとき、飽きれば、飽きろ 自動詞  古語<飽く>
生 (い) きない、生きて、生きる、生きるとき、生きれば、生きろ 自動詞  古語<生く>
起 (おき) きない、起きて、起きる、起きるとき、起きれば、起きろ 自動詞  古語<起く>
尽 (つ) きない、尽きて、尽きる、尽きるとき、尽きれば、尽きろ 自動詞  古語<尽く> 

( しない、して、する、するとき、すれば、しろ 他動詞  古語<す> サ行変格活用 <xxする>に適用)

漢語 (xx) じない、xxじてxxじる、xxじるとき、xxじれば、xxじろ 他動詞  古語<xx ず>

案じる、感じる、損じる、嘆じる、難じる、判じる、反じる、免じる、論じる

怖 (お) じない、怖じて、怖じる、怖じるとき、怖じれば、怖じろ 自 / 他動詞  古語<怖 ず>
閉 (と) じない 、閉じて、閉じる、閉じるとき、閉じれば、閉じろ 他動詞  古語<閉 ず>
恥 (は) じない、恥じて、恥じる、恥じるとき、恥じれば、恥じろ 他動詞  古語<恥ず> 

(お) ちない、落ちて、落ちる、落ちるとき、落ちれば、落ちろ 自動詞  古語<落つ>
朽 (く) ちない、朽ちて、朽ちる、朽ちるとき、朽ちれば、朽ちろ 自動詞  古語<朽つ>
満 (み) ちない、満ちて、満ちる、満ちるとき、満ちれば、満ちろ 自動詞  古語<満つ>

煮 (に) ない、煮て、煮る、煮るとき、煮れば、煮ろ  他動詞
似 (に) る、似て、似る、似るとき、似れば、似ろ   自動詞

<似るとき、似れば、似ろ>実際ほとんど使わないだろう。 <似て (い) るとき、似て (い) れば、似て (い) ろ>と言いそう。

あ (び)ない (浴びない) 、あびて、あびる、あびるとき、あびれば、あびろ 他動詞 水を / 非難を浴びる 古語<浴ぶ>
かびない、かびて、かびる、かびるとき、かびれば、かびろ 自動詞
帯 (お) びない、帯びて、帯びる、帯びるとき、帯びれば、帯びろ 他動詞  古語<帯ぶ>
媚 (こ) びない、こびて、こびる、こびるとき、こびれば、こびろ 自動詞   古語<媚ぶ>
錆 (さ) びない、錆びて、錆びる、錆びるとき、錆びれば、錆びろ 自動詞 
伸 (の) びない、伸びて、伸びる、伸びるとき、伸びれば、伸びろ  自動詞   古語<伸ぶ>
ほころびない、ほころびて、ほころびる (ほころぶ)、ほころびるとき、ほころびれば、ほころびろ  自動詞  <ほころぶ>はまだ古語ではない。

滅 (ほろ) びない、滅ろびて、滅ろびる、滅ろびるとき、滅ろびれば、ろびろ  自動詞  <滅ぶ>はまだ古語ではない。

詫 (わ) びない、わびて、わびる、わびるとき、わびれば、わびろ 他動詞  古語<詫ぶ>

見ない、見て、見る、見るとき、見れば、見ろ 他動詞
沁 (し) みない、しみて、しみる、しみるとき、しみれば、しみろ 自動詞  古語<沁む>

借 (か) りない、借りて、借りる、借りるとき、借りれば、借りろ 他動詞  古語<借る>
足 (た) りない、足りて、足りる、足りるとき、足りれば、足りろ 自動詞  古語<足る>

以上を見ると、かなり規則的だ。

1)自動詞が多い。

2)終止形 / 連体形は<語幹+る>。古語では<一語語幹+ゆ>、<一語語幹+ゆ、+く、+す、+つ、+ぶ、+む>と簡潔だ。古語<語幹+ぬ>相当がが見当たらない。古語では<ぬ>は完了 、否定(<ず>の連体形) として使われるためか。

煮ない、煮て、煮る、煮るとき、煮れば、煮ろ  他動詞
似る、似て、似る、似るとき、似れば、似ろ   自動詞

はあるが

xにない、xにて、xにる、xにるとき、xにれば、xにろ   古語<xぬ>

さて、上一段活用自動詞に対応の他動詞をチェックしてみる。

居る 自動詞 ー (居さす)

飽きる 自動詞 ー 飽かす
生きる 自動詞 ー 生かす
起きる 自動詞 ー 起こす

尽きる 自動詞 ー 尽くす

落ちる 自動詞 ー 落とす
朽ちる 自動詞 ー (朽ちさす)
満ちる 自動詞 ー 満たす

似る  自動詞 ー (似さす)

かびる 自動詞 ー (かびさす)
こびる 自動詞 ー (こびさす)
錆びる 自動詞 ー (錆びさす) 
伸びる 自動詞 ー 伸ばす
滅びる 自動詞 (滅ぶ)ー 滅ぼす
ほころびる 自動詞 (ほころぶ)  ー (ほころばす)

しみる 自動詞 ー します (しみさす)

足りる 自動詞 ー (足らす)

使用頻度が低い動詞は対応する他動詞がなく、使役の助動詞を使うことになる。 


sptt

 





 

Thursday, June 26, 2025

日本語の動詞活用、五段活用、上一段 / 下一段活用

 日本語の動詞活用には、ごく少数の変格活用を除いて、五段活用、上一段活用、下一段活用がある。五段活用が圧倒的に多そう。五段活用も上一段 / 下一段活用も基本的には規則的である。

A. 五段活用 書 (か) く、読 (よ) む  

<書 (か) 、読 (よ) >が語幹になる。活用部は<く>がある<か行>、<む>がある<ま行>。すなわち

 <書 (か)>の後にに<か、き、く、け、こ>

<読 (よ) >の後にに<ま、み、む、め、も> 

つまりは

書か、書き、書く、書け、書こ

読ま、読み、読む、読め、読も

<書 (か) 、読 (よ) >の一音節だけでは何のことだかわからないが、日本人であれば

書か、書き、書く、書け、書こ

読ま、読み、読む、読め、読も

のニ音節の場合は、これらの後にどのような言葉がくるか察しがつくのだ。

書かーない 否定。文法用語では未然形という。未然は<いまだしからず>で<まだxxない>。否定<xxない>と 未然<まだxxない>は違うが、未然形という。

書きーてー>書ーいて (音便) 、書きーます、書き始める。 文法用語では連用形という。連用は<用言に連なる>で、あとに用言がくるということだが、

<ます> は助動詞で用言と言えるが、<て>は助詞で、助詞は用言ではない。<書きー始める>の<始める>は動詞で用言。

書く  基本的には後に何も続かない。それで文法用語では終止形という。

書くーとき、ところ  文法用語では連体形という。連体は<体言に連なる>で、あとに体言 ( 名詞) がくる。

書けーば  文法用語では仮定形という。<書けば>は<もし>がなくても仮定を表す。

書こーう  それで文法用語では未来形または意思形という。

と思っていたが、 Wikiでは


五段活用の例

カ行五段活用「書く」の例

 ”

となっている。 <か、き、く、け、こ>の<こ>は第二の未然形となっている。これは未然形に付く意思、推量の<う> (古語では<む>) が<こ>につく。<書こう>はひと昔は<書かう> (古語では<書かむ>) になっていたためのようで、歴史を背負っている。 <か、き、く、け、こ>の順番を考え、また<五段活用>の名からすると、すっきりしない。

文法用語は統一がとれていない。

未然形、終止形、仮定形、命令形は伝える内容、一方連用形、連体形は<用言>、<体言>の文法用語由来だ。

日本人であれば、普通は上記の語尾変化を無意識にほぼ間違いなく使えるようになってから<動詞活用>を学ぶ、というか確認する。語尾変化を学ぶというよりは、文法用語を学ぶのだ。語尾変化はしゃべり始めてから時間をかけて実践で学ぶのだ。間違えれば親が正すだろう。

1)未然形

未然形は大活躍する。

否定ー書かーない
受身ー書かーれる
使役ー書かーす、せる

一例をあげれば <取る>は

否定ー取らーない
受身ー取らーれる
使役ー取らーす
、せる 

2)連用形

連用形も大活躍する。主に他の動詞、助動詞、助詞をしたがえる。連用の<用>は<用言>の<用>だが<連 (つら) ね用 (用途)>とも言える。上で取り上げたが

書きてー>書いて(音便) 。書いてしまう。書いてみる。
書きます

Wiki 


助動詞 ます

  1. 動詞の連用形について丁寧さを示す助動詞。

 ”

その他

書きながら

連用形の重要な働きとして<複合動詞をつくる>がある。

書き終える
書き損じる
書き始める

一例をあげれば <走る>は

走りてー>走って(音便) 。走ってみる。
走ります

その他

走りながら

複合動詞

走りー終える
走りー始める
走りー去る 

3)終止形

名称に反して終止形の後につく言葉ある。

<と>、<から> 

五段活用では終止形と連体形が同じなので、終止形の後ににつく言葉の判断は難しい。後で見るが、上一段活用、下一段活用も終止形と連体形は同じだ。

終止形の後につく言葉 

終止形の後につく助動詞があるが、ここでは省略。 

4)連体形

基本的には後ろに体言 (名詞) を従える。 上述にように連体形は終止形と同じ。

書くーとき、ところ、もの
読むーとき、ところ、もの 

連体形に付く、助動詞、助詞がある。助詞では、上記の

[走る]のは → [静かな]のは… ⇒ 連体形
[走る]ので → [静かな]ので… ⇒ 連体形

連体形の後につく助動詞

ようだ

上のアンチョコチェック法では

[走る]ようだ → [静かな]ようだ… ⇒ 連体形

となる、だが<ようだ> は<様だ>で<様>は体言と言える。

5)仮定形

仮定というと、英語につられて

もしxxば  

が頭に浮かぶが、日本語では<もし>はいらない。 仮定形を使って

書けーば
読めーば
取れーば
走れーば 

でよく、簡潔だ。昔は仮定の助詞ともいえる<ば>は未然形についた。

書かーば
読まーば
取らーば
走らーば 

<急がば回れ>の<急がば>は古い言い方で、現代語であれば<<急げば回れ>だ。上の

書けーば
読めーば
取れーば
走れーば

は古い言い方では仮定形ではなく已然形。已然形は未然形と対応しており、未然形が<いまだ然らず>に対して、已然形は<すでに然り>。したがって、古語では

書けば ー すでに書いた (ので)
読めば ー すでに読んだ (ので)

の意になる。例

Wiki 

"

「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」、正岡子規俳句。中略。

季語(秋)。「法隆寺の茶店に憩ひて」と前書きがある。法隆寺に立ち寄った後、茶店で一服して柿を食べると、途端に法隆寺の鐘が鳴り、その響きに秋を感じた、というのが句意である。「くへば」は単に「食べていると」という事実を述べて下に続けているもので「鐘が鳴るなり」と因果関係があるわけではない。

"

<食べると>と<食べている>とでは意味が違う。 已然形の意とすると<食べると>が正しい。<(もし) 柿を食えば>ではない。古後での仮定は<柿くはば>となる。

6)命令形

命令形は<命令>という内容に即した名前だ。基本的に命令形はそれだけで完了し、後には何も続かない。

書け
読め
取れ
走れ

 

B. 上一段活用 

起きる、落ちる   <起き、落ち>が語幹になる。<起きる>、<落ちる>は自動詞。

未然形 ー 起きない
連用形 ー 起きて、起きます、起き上がる
終止形 ー 起きる
連体形 ー 起きるとき、起きる場所
仮定形 ー 起きれば
命令形 ー 起きろ

すべて<起き>+<xx>で、語幹の活用がない。上一段活用というのは、<起き>の<き>は<か、、く、け、こ>の<き>で、部の<き>の字とう意味だ。だが

終止形 ー 起きる
仮定形 ー 起きれば
命令形 ー 起きろ 

と <起きる>の<る>の部分が活用する。<る>の部分を

五段活用させると

未然形 ー 起きらない (ダメ)
連用形 ー 起きりて、起きります、起きり上がる (ダメ)
終止形 ー 起きる
連体形 ー 起きるとき、起きる場所
仮定形 ー 起きれば
命令形 ー 起きれ (ダメ)

で、ダメなのは未然形、連用形、未然形だ。<起きる>昔は<起く>でか行上二段活用活用。

起きーず (未然形)
起きーて
起く
起くるーとき
起くれーば  (已然形)
起きよ

<上段>というのは、活用で<か、、け、こ>の<>と<>がでてくるからだ。

古後では未然形が<仮定>を表したので<起きーば>が 仮定をあらわあす。だがこれは聞いたことがない。<落ちる<>、古語<落つ>も同様。<落つーば>が 仮定をあらわあすが、これは聞いたことがない。<起きよ>の<よ>は活用語尾というよりは命令に特化された<語尾>はまたは助詞のような感じだ。

歴史的には古語の上二段活用活用ー>現代口語の上一段活用活用だが、この変化はややこしそうだ。

さて、<起きる>、<落ちる>は自動詞だが対応する他動詞がある。

起きる ー> 起こす
落ちる ー> 落とす

<起こす>は<起こ>、<落とす>は<落と>が語幹で、活用部は<す>だ。活用はより汎用的な五段活用。

未然形 ー 起こさない、使役:起こさす、起こさせる、受身:起こされる(受身)

連用形 ー 起こして、起こします
終止形 ー 起こす
連体形 ー 起こすとき、起こす場所
仮定形 ー 起こせば
命令形 ー 起こせ

で問題ない 。

自動詞<落ちる>、他動詞<落とす>

落ちる

未然形 ー 落ちない
連用形 ー 落ちて、落ちます
終止形 ー 落ちる
連体形 ー 落ちるとき、落ちる場所
仮定形 ー 落ちれば
命令形 ー 落ちろ

落とす

未然形 ー 落とさない、落とさす、落とさせる、落とされる
連用形 ー 落として、落とします
終止形 ー 落とす
連体形 ー 落とすとき、落とす場所
仮定形 ー 落とせば
命令形 ー 落とせ

自動詞が上一段活用 、他動詞が五段活用というのは、理由がありそう。

B. 下一段活用 

寝 (ね)る、染める  <寝 (ね)、染め>が語幹になる

寝 (ね)る

未然形 ー 寝ない、寝かす
連用形 ー 寝て、寝ます、寝ころがる
終止形 ー 寝る
連体形 ー 寝るとき、寝る場所
仮定形 ー 寝れば
命令形 ー 寝ろ

すべて<寝 (ね)>+<xx>で、語幹の活用がない。

染める

未然形 ー 染めない、使役:染めさす、受身L染められる
連用形 ー 染めて、染めます、染め出す
終止形 ー 染める
連体形 ー 染めるとき、染める場所
仮定形 ー 染めれば
命令形 ー 染めろ 

すべて<染め>+<xx>で、語幹の活用がない。下一段活用というのは、<染め>の<め>は<ま、み、む、、も>の<め>で、下部の<め>の字とう意味だ。だが、これも

終止形 ー 染める
仮定形 ー 染めれば
命令形 ー 染めろ 

と <染める>の<る>の部分が活用する。<る>の部分を

五段活用させると

未然形 ー 染めらない (ダメ)
連用形 ー 染めりて、染めります、染めりだす (ダメ)
終止形 ー 染める
連体形 ー 染めるとき、染める場所
仮定形 ー 染めれば
命令形 ー 染めろ

でダメなのは未然形と連用形だけだ。<染める>昔は<染む>でま行下二段活用活用。

染めーず (未然形)
染めーて
染む
染むるーとき
染むれーば  (已然形)

染めよ

で、上記の古語<起く>の上二段活用活用に相応している。

これまた、歴史的には古語の下二段活用活用ー>現代口語の下一段活用活用だが、この変化はややこしそうだ。

さて<寝る>は自動詞、<染める>は他動詞だ。 <寝る>に対応す他動詞はないが、<染める>に対応する自動詞は<染まる>。<染まる>は<染ま>を語幹とし<る>の部分が五段活用する。

未然形 ー 染まらない
連用形 ー 染まりてー>染まって(音便)、染なります、染まりだす
終止形 ー 染まる
連体形 ー 染まるとき、染まる場所
仮定形 ー 染まれば
命令形 ー 染まれ

(染まろう)

 

sptt