Monday, March 17, 2025

文を収める助動詞<だ>

 

別のブログ<やまとことばじてん>の方で、最近<やまとことばの Yes と No>というタイトルのポストを書いた、そのなかで


一方(Yes の)<そうだ>の<そう>は、いわゆる<こそあど語>で

こうだ
そうだ
ああだ
どうだ ?

の<そうだ>。上の四つは言い換えると

このようだ
そのようだ
あのようだ
どのようだ ?

<そうだ>、<そのようだ>は<it looks like it> の意がある。頭の<it>は<それ>ではなく、意味のある<to look like it>の不定句を<定文>にするための仮主語のようなもの。日本語でこのようにする必要はない。だが<定文>にするには<だ>が必要。(これは新しい発見だ。別途検討)
 
"

と書いたので、忘れないうちに検討しておく。助動詞<だ>については<うたがわしい>助動詞として、かなり以前にポストを書いたことがある。

断定、指定の助動詞<だ> June 2013 (* 末尾注)

 
さて、上記の引用部をもう少しよくチェックしてみると
 
<そうだ>は Yes になるが、<そのようだ>は Yes にならない。<そのようだ>は
 
It looks like it. 
 
あるいは
 
It looks so.
 
でもいい。この<It>も仮主語。<そう見える>という日本語では主語がないが、<それはそう見える>(<だ>はいらない)、<それはそのようだ>の意になるが、こうは言わず<そう見える>、<そのようだ>になる。<そう見えるだ>と言わないのは<見える>は終止形で、これで文が<収まって>いるからだ。一方、しつっこくなるが、<そのようだ>で<だ>が必要なのは、<だ>がないと文が<収まらない>からだ。
 
 It looks は It seems、maybe と並んで日本人が好きな、あるいは使いたがる、言質を取られるのをおそれた、責任回避の言い方だ。この冒頭の<It>が何だかわからないところが好まれるのか?<そのようだ>は最後に<だ>があるが、断定を避けた言い方だ。<そのよう>はだめで、英語で冒頭に<It>が必要なように、末尾の<だ>がないと、文として収まらない。これは<断定、指定>以外の<だ>の用法と言えないか>?
 
文として収める、文を収める<だ>だ。<断定、指定>も一種の言葉に出てこない (implicit な) <意味>で、これが助動詞<が>にある、ということだ。
 
 
 
 sptt
 
 
(*)(末尾注)
 
断定、指定の助動詞<だ> June 2013 からの抜粋

 ここでは話を簡単にするため<だ>を思い切って大和言葉の<定める>、<定めの>助動詞としてみる。<定める>はここでは英語の to identify に近い意味だが、自己同一化ではなく、一対一の対応を定めるといった意味。 (注3)

(注3)
(注)で書き加えるといった重要度の低いことではないが(詳しくは別途検討予定)、断定、指定に似通った<定>のつく語はけっこうある。確定、規定、決定、定義、判定、(さらには意味はやや限定されるが、評定、約定、固定、そして限定)などは断定、指定を大きな間違いなしで置き換えることができる。(意味はやや限定されるが、評定、約定、固定、そして限定がある。) ということは、<断定、指定の助動詞>という言い方は、かなり曖昧ということになる。<定>にこだわれば、肯定(.....である)、否定(.....(で)ない)、未定(まだ.....(で)ない)がある。<ない>は否定(打ち消し)の助動詞。さらには仮定、推定、想定、予定、暫定があり、仮定は仮定形というのがあうが、<らしい>は推定(推量)の助動詞。想定は仮定に近い。予定(だ、する)は英語の助動詞 will に近い。暫定はやや込み入っており<とりあえず.....しておく>という言う意味だ。仮定、推定、想定、予定は<定>の字が使われているが文法的な意味での<定>ではない。<仮定法>や英語にはないが他の欧米語のある<接続法>の世界だ。

Thursday, March 6, 2025

Likely は形容詞

 

Likely は簡単で、使いやすいのだが、教科書や参考書にあまり出てこないためか、<like>に比べて日本人が使うのをあまり聞かない。<likely>と<-ly>があるので、副詞のようだが形容詞でもある。

<like>は

I like chocolate.
I like driving.
The weather today is almost like spring even we are actually in mid winter.

<likely>

私は

It (That) is highly likely.
It (That) is quite likely.

という言い方が好きだ。

状況、場面にもよるが, たとえば

It will rain tomorrow. 

ー Yes, it (that) is highly likely.

<highly>がなければ

ー Yes, it (that) is likely.

で、日本語では

ええ、<多分>、<おそらく> 、そして日本人が好きな<maybe>。

となる。

 

Likely をネット辞典でチェックしてみた。(Google)

adjective
  1. such as well might happen or be true; probable.
     
    "speculation on the likely effect of opting out"
     
    synonyms: probable, distinctly possible, to be expected, odds-on, on, possible, credible, 
     
    以下略
     
  2. apparently suitable; promising.
     
    "a likely-looking spot"
     
    synonyms: suitable, appropriate, apposite, fit, fitting, acceptable, proper, right, 
     
     以下略

adverb 
 
probably.
 
"we will most likely go to a bar"
 
synonyms: probably, in all probability, presumably, no doubt, doubtlessly, like enough, (as) like as not

ーーーーー
It (That) is likely.
 
 
It (That) is possible.
 
と言えるので形容詞だ。そうすると
 
<多分>、<おそらく>、<maybe>

は形容詞ということになってしまうが、これはまちがい。

多分 そうだろう。
おそらく そうだろう。
maybe そうだろう。
 
が完全な文で、 <多分>、<おそらく>、<maybe>は副詞なのだ。
 
一方<likely> は

多分 (おそらく、maybe)そうだろう
 
という意味の<形容詞>なのだ
 
これは別のところで書いたが
 
<hungry>は<おなかがすいている、腹がへっている>という意味の形容詞なのだ、と同じようなことだ。
 

most likely>は<highly likely>に似ている。most は likely にかかる副詞、 likely は go にかかる副詞だ。

 

sptt

Tuesday, March 4, 2025

日本人好みの about、maybe

前回のポスト<中国語では副詞が助動詞>で


だいたい一万円。 おおよそ一万円
だいたい一週間。 おおよそ一週間

とは言える。 

英語で、日本人がよく使う about 相当。about の品詞はなにか? (別途検討)

と書いたので、忘れないうちに<about>の品詞をチェックしてみた。

A. about

ネット(Google)簡容辞典では

about

preposition

1.on the subject of; concerning.
       "I was thinking about you"

2.used to indicate movement within a particular area.

3.used to express location in a particular place.
      "rugs were strewn about the hall"
 
 adverb


1.used to indicate movement within an area.
       "men were floundering about"

2.used to express location in a particular place.
       "there was a lot of flu about"

3.(used with a number or quantity) approximately.
       "reduced by about 5 per cent"

 "

で最後が上の日本語の例文に相当する。したがって about は<副詞>ということになる。この用法、最後にあるので about の主要用法というわけではないだろう。いわば<おまけ>だ。ところで、<adverb>という品詞名からは<動詞にかかり、動詞を修飾する、動詞の様態を示す>になりが。3 は名詞を修飾している。しかし、一万円、一週間は純名詞ではなく<数詞>とようばれるもので、時別だ。純名詞であれば、<about apple>の様に about は前置詞 (preposition) になる。

日本語では<about> はそのまま<アバウト> で和製英語になっていて、

この数字はアバウトですが、根拠のない数字ではありません。

などと言う。もちろんこの<アバウト、about>は<副詞>ではない。

だいたい一万円。 おおよそ一万円

The cost is about ten thousand yen.
だいたい一週間。 おおよそ一週間

It takes about one week.to finish the repair.

などと言う。

about、maybe がなぜ日本人好みなのかは、

責任逃れ、言質を取られるのをおそれて、日本人は断定的な言い方は好まない。

というのが一般的だ。

中国語では

大概,差不多

Baoke-baidu

大概  dà gài  意思是大致的内容,大体的情况;表示不很精确的估计;表示有很大的可能性

おもしろいのは

Baoke-baidu の <基本解释>で

” 

基本解释

1. [broad outline; general idea]∶ 大致内容或情况
2. [probably;presumably]∶ 表示推测
3. [approximate; 


4. <副词> 表示有很大的可能性,表示推测。

なぜか4番目に<副词>とあるが、[probably;presumably] は副詞。approximate は形容詞。副詞はapproximately だ。 likely はおもしろい語で、見た目<-ly>副詞のようだが、形容詞でもる。

That is quite likely (possible).

また

likely ∶ 表示对时间、数量的不很精确的估计

は間違いだろう。

つまりは、品詞分類は相当混乱している。

Baoke-baidu には日本語もあって 

” 

日文

1.おおよその,大体 (だいたい)の。
大概的情况
大体の情况 (じょうきょう)。
 
2.たぶん,恐 (おそ)らく。
大概要起风了
恐らく风になるでしょう。
 
3.あらまし,概略(がいりゃく)。

 おおよそ,大体 (だいたい) は副詞だが

おおよそ,大体 (だいたい)

と<>をつけて(中国語では<的>) をつけて名詞 (体言) <情况>を修飾している。これはどう解釈したらいいのか?

3番目は名詞だ。

 ”

差不多 chà bù duō,意思是过得去

释义

(1) [almost; nearly] 相差不多;几乎等于
这样的话差不多是毫无意义的

(2) [just about right; not bad; not far off] 过得去


<差不多>は文字通りでは<差は多く、おおきくはない>。<过得去>は 文字通りでは<過ぎて行ける>。ー>なんとかOK.。not bad but not good, either.

また、懐疑や試験の制限時間が近づいたとき<時間差不多>という。

 

B. maybe

about と並んで日本人が好き、というか、よく使うのが maybe で

多分、おそらく

といったこれまた<責任逃れ、言質を取られるのをおそれた>言い方で、だいたいは発話の初めにくるので、いわば枕詞だ。 使っている意味としては

たぶん,恐 (おそ)らく

で、これは上の<大概>の日文の二番目の副詞用法に相当する。

 

maybe が連続して出て来ると単調になるので、perhaps、probably などを混ぜた方がいい。

 

sptt 



Saturday, March 1, 2025

中国語では副詞が助動詞

 

<中国語では副詞が助動詞>というのは、最近<可能>という語をしつこく調べているうちに発見した。これは私にとっては、新発見、大発見なのだが、<中国語では副詞が助動詞>は当たり前ともいえそうだ。次のネット記事に出くわした。


https://paochai.jp/media/doushi-jyodoushi-hukushi

質問

助動詞と副詞って、何が違うんですか?

どちらも動詞を前から修飾して意味を追加しているように思います。

回答

1.助動詞は否定があるが、副詞は否定がない

助動詞は「不会 」「不能」など否定にできますが、副詞は✗「 不非常 」「不极 」「不一直」など否定の形式をとれません。

2.助動詞は「不」を使って「A不A」を作れるが、副詞はできない

助動詞は、「你会不会说法语?」など「不」を使って「A不A」として使えますが、副詞は✗「已经不已经 」「非常不非常」のように使用することはできません。

3.助動詞は述語として使えるが、副詞は使えない

助動詞は「你会说韩语吗 ?我会」と述語として成り立ちますが、副詞は✗「 你也去吗 ?我也」のように述語として機能しません。


 上記の質問は大胆ともいえる。

<可能>が新発見、大発見というのは

<可能>が助動詞とも副詞とも言えるからだ。最近の別のポストからの引用になるが、

 

中国語の Wiki とも言える Baike-Baidu の<可能>の解説。


可能 kě néng,解释为表示可以实现;也许,或许;能否;怎能、难道。

近义词大概 不妨 可以 能够 或者 或许 恐怕 也许 或将 未必 要么 没准 疑似

释义

(①)(形)表示可以实现:可能性|动员一切可能动员的力量。②(动)也许;或许:他可能去了。③(名)能成为事实的属性;可能性:结果有两种可能。

おもしろいことに、この解説の<释义>は助動詞も副詞も出てこない。

<也许>や<难道>は私の理解では副詞、または副詞句。また近义词の大半も私の理解では副詞だ。可以、能够は助動詞っぽい。日本語では<できる>で、<できる>は基本的に動詞だ。(前回のポスト " <できる>は動詞、形容詞? " 参照)

也许,或许;能否;怎能、难道。

と 

近义词大概 不妨 可以 能够 或者 或许 恐怕 也许 或将 未必 要么 没准 疑似

をチェックしてみる。

也许,或许:<多分、恐らく、あるいは>
 
能否 néng fǒu,意思是有才能与否;能够不能够。
 
<できる、できないこと> (これは名詞だろう)
 
怎能:意思是怎么能够。
 
<どうしてできる?>  (反語、修辞句)
 
难道 nán dào,意思是犹难说,说不定。
 
<xxではないか、xxではないのか?> (反語、修辞句)

また

近义词大概 不妨 可以 能够 或者 或许 恐怕 也许 或将 未必 要么 没准 疑似

大概:だいたい(大体)、おおよそ

不妨:bù fáng 表示可以这样做,没有什么妨碍,你不妨试试看

不妨:文字通りでは<さまたげない>。可以这样做:文字通りでは<そのようにできる、してよい>。(You) may do. かまわない。

可以: できる、してよい。can, may

能够:  できる。can

或者:huò zhě 连词。表示选择或并列关系。あるいは。

或许:huò xǔ 可能但不肯定、也许;不一定 。多分、おそらく。

恐怕:おそらく(恐らく) 

或将:huò jiāng 或许在将来可能会(发生什么事)。文字通りでは<あるいはxxだろう、するだろう、or will>。

未必:wèi bì  不一定、可能的意思。多分、おそらく。

要么 yào me

1.[or] 表示在两种不同情况或事物之间选择
赶快给他发个电报,要么拨个长途电话。

2.[either…or ]在互相排斥的两事中进行选择。
要么战胜困难,要么被困难压倒。

没准 méi zhǔn。意思是说不定;不一定。

疑似   yí sì,释义是类似;近似。引申为嫌疑。谓似是而非或是非不明。指似是而非的事物。迷惑不解。亦指疑惑的事。

 

日本語では<多分>、<おそらく>は副詞だが、<xxだろう、will, may, may be>が続きそう。

大概:だいたい(大体)、おおよそ

も副詞といえる。

だいたい出来上がった。
だいたいいい。

<おおよそ>はダメで、<おおかた>

おおかた出来上がった。
おおかたいい。

だが

だいたい一万円。 おおよそ一万円
だいたい一週間。 おおよそ一週間

とは言える。 

英語で、日本人がよく使う about 相当。about の品詞はなにか? (別途検討)

不妨: さまたげない

<かまわない>、<できる>、<してよい>で、なぜか英語の助動詞の訳のようになる

或者:あるいは 

あるいはは日本語では独立した<接続詞>だが、中国語の場合は<xxか?、xxではないか?>の用法がある。

 

sptt

 


 

 


 

 

 

 

 

 

 


Friday, February 28, 2025

<できる>は動詞、形容詞?

 

だいぶ前に ”<できる>、<わかる>は動詞、形容詞、はたまた形容動詞? " というポストを書いたことがある(Nov 20, 2014)。読み返してみたが、イマイチ焦点ぼけだ。今回は<できる>だけを取り上げる。

1.動詞の<できる> 

<できる>は元来<出 (で) 来 (く) る>で、なにかが<出て来る>、古くは<出 (いで) 来る>の意だ。後で見るように、<出る>の連用形 <で>+<来る>の連用形<き>+<える>(可能を示す動詞語尾)由来も考えられる。

新しい火山(駅、政府)ができる。
にきび(おでき、できもの、みずむし)ができる。<おでき>、<できもの>は動詞<できる>由来の名詞(体言)だ。

それでは次にような例はどうか?

太郎はよくできる子だ。 

上の<できる>は、動詞とすると、文法的には体言<子>を修飾する(言い換えると<形容する>)連体形。それでは次はどうか?

太郎は数学がよくできる。

この構造はやや複雑。文法上、< 太郎は>の<太郎>は<よくできる>の主語ではない。主語は<数学が>の<数学>なのだ。< 太郎は>の<太郎>はいわゆる主題で<太郎についていえば>、<太郎はどうかといえば>という意味なのだ。そうすると<数学がよくできる>の<できる>はどういう意味になるのか。初めに述べた<出て来る>の<出来(でき)る>ではない。<数学がよく出て来る>は明らかにおかしい。この<できる>は<可能>とか<xx する能力がある>の意を表わしている。これは上で少し触れたが、<出る>の連用形 <で> + <来る>の連用形<き>+える(可能を示す動詞語尾)と考えられる。de + ki + eru -->de + ki + ru 、意味としては<出てこられる(これる)>だ。問題はこの原意<出てこられる(これる)>がどのようにして可能>とか<xx する能力がある>の意に変化、派生して行ったかだ。

太郎は数学ができる。

これを

象は鼻が長い。

と比べてみる。

文法構造上は

太郎、象は主題(象が長いわけではない。一方、不完全だが<太郎はできる>とは言える)
数学、鼻が主語

<できる>は (自) 動詞の終止形、<長い>は形容詞の終止形。

違うのは<できる>が動詞で、<長い>が形容詞、と言うことだ。<できる>は活用から見れば明らかに動詞だ。

太郎は数学ができる。

ところで、上で<数学が主語>と書いたが、<が>には、主語を示す以外に<対象を示す格助詞>とするのがある。

太郎は数学をできる

動詞的な意味

太郎は数学ができる -->太郎は数学できるようになる (出て来る)

これは変な日本語で、普通は

太郎は数学できるようになる (出て来る)。

この<が>は<対象を示す格助詞>とする。だがこれも変な日本語だ。<数学できる>とはどいうことか?

 

2.形容詞の<できる>

形容詞的な意味

太郎は数学ができる。 --> 太郎は数学ができる状態にある

とすると形容詞的、あるいは形容動詞的な意味になる。

手もとの辞書で<できる>を調べてみたが、たいそう複雑だ。よく調べていないが、大体は動詞扱い。 

参考

出典:デジタル大辞泉(小学館

大体は明らかに動詞なのだが、下記の解説、例文は動詞としては疑問が残る。



人格・能力・成績などがすぐれている。「彼は仕事が—・きる」「若いに似合わず人間が—・きている」「よく—・きる生徒

それをする能力や可能性がある。「ロシア語が—・きる」「—・きるだけ努力します」

11 (動作性の意味がある語に付いて、接尾語的に用い)そうする能力や可能性がある。また、そうすることが許される。…しうる。「運転—・きる」「拝観—・きる」「スタート—・きる」「そこへはお通し—・きません」「のんびり—・きる」


太郎は数学ができる。 --> 太郎は数学ができる状態にある。

は、内容的には

太郎は数学の問題を解く能力がある。
太郎は数学を理解する能力がある。 

さらには、もっと一般的に

太郎は数学能力がある。

と言い換えることができる。<能力がある>は短文、節になっているが、形容詞的な意味だ。英語で言えば capable。

能力と可能は意味が違うが、<できる>で間に合わせてしまう。

能力 ー できる能力がある。can、be capable、be able
可能 ー <できる>can、ありうる(可能性がある) 

可能 ー <できる>can

を使うと

太郎はこの数学の問題を解くことができる。

Taro can solve this math problem.

can は助動詞で <can + 動詞の原形>という文法構造になる。一方、日本語では

解くことができる

動詞の連体形+こと+が+できる

とするのが一般だ。英語文法の can の典型的な日本語訳か? この言い方、元来日本語らしくないが、可能をあらわす can の訳語としては間違いが少ない。そして形容詞的だ

xxすることが好き (だ).。
xxすることが嫌い (だ).。 

<好く>、<嫌う>は動詞だが、<好き><嫌い>は形容動詞の語幹で

好きな、好きだ
嫌いな、嫌いだ 

だが<できる><できるな>、<できるだ>とは言えないので形容動詞ではない。形容詞としても、活用からは

良くない
良くて
良い
良い
良ければ

美しくない
美しくて
美しい
美しい
美しければ 

できない (できれない)
できて  (できれて)
できる
できる
できれば (できれれば)

で、<できる>が問題。どう頑張っても形容詞に仲間には入れない。典型的な形容詞では

空は青い。空が青い。

という。

状況にもよるが

太郎はできる。  形容詞的。これは状態をあらわす<は>によるのだろう。
太郎ができる。  動詞的。
太郎ならできる。  動詞的。

また

太郎はできる子だ。

の<できる>は動詞<できる>の連体形、あるいは形容詞とみなすことができる。問題はこの<できる>の意味だ。上で

問題はこの原意<出てこられる(これる)>がどのようにして可能>とか<xx する能力がある>の意に変化、派生して行ったかだ。

と書いた。

回答は意外と簡単で、この<できる>は<よくできる>の意だろう。<よくできる>だと、かなり形容詞的になる。

一方、話はややこしくなるが、日本語には<可能の助動詞>というのがあって

太郎はこの数学の問題が解ける(解きえる)。

<解ける>は 

<解く>の仮定形<解け>+<る>

<る>が<可能の助動詞>となりそうだが、これは文法にない。(*) <解き>+<える>のなまり、とも言える。大阪あたりでは<できる>ー><でける>となまっているようだ。

行ける
来れる
書ける
読める

(*) これに関しては

<仮定形+<る>の可能、自発>(Jan, 2013

というポストを書いている。 

この言い方は便利で、ほぼ無意識に選択してつぃかっている。

ここではたばこを吸うことができません。
ここではたばこが吸えません。

ーーーー

さて、話は少し脇にそれるが、最近 中国語関係のブログ<sptt非典型中国語会話入門 (一部、広東語つき)>というの書き始めた。中国語を調べているうちに大きな発見をした。

Bake-baide で<可能>チェックしてみた。


可能 kě néng,解释为表示可以实现;也许,或许;能否;怎能、难道。
近义词大概 不妨 可以 能够 或者 或许 恐怕 也许 或将 未必 
 
释义

(①)(形)表示可以实现:可能性|动员一切可能动员的力量。②(动)也许;或许:他可能去了。③(名)能成为事实的属性;可能性:结果有两种可能。

 
上の<释义>によると、<可能>はなんと形容詞(形)、動詞(动)、名詞(名)なのだ。これは日本人、英語母国語人にとってはゆゆしき問題だ。副詞も助動詞も出てこない。別世界の文法と言える。
 
<副詞も助動詞も出てこない>は少し説明が必要。この<可能>はもともと<也许>という語を調べているうちに出てきた。
 
也许: yě xǔ 意思是近似于可能或者或许兴许等。
 
也许>の品詞名は出てこないが、使い方からして副詞で、<或者或许兴许>も同じような意味の副詞。問題は一番目の<可能>だ。
 
可能 kě néng,解释为表示可以实现;也许,或许;能否;怎能、难道。
 
で<可以实现>は<実現できる>で動詞っぽいが、恐らく形容詞扱い。
 
一方、也许,或许;怎能、难道> は中国語でどう扱うか調べていないが、日本語の感覚からは<副詞>、<副詞句>だ。
 
也许,或许:<多分、恐らく、あるいは>
 
能否,汉语词语,拼音是néng fǒu,意思是有才能与否;能够不能够。
 
<できる、できないこと> (これは名詞だろう)
 
怎能的意思是怎么能够。
 
<どうしてできる?>  (反語、修辞句)
 
难道 nán dào,意思是犹难说,说不定。
 
<xxではないか、xxではないのか?> (反語、修辞句)

また

近义词大概 不妨 可以 能够 或者 或许 恐怕 也许 或将 未必 
 
用法では日本語の感覚からは、ほとんど副詞とみなされる。したがって
 
(①)(形)表示可以实现:可能性|动员一切可能动员的力量。②(动)也许;或许:他可能去了。
 
という(形)(动)という説明は正しくないだろう。
 
可能  :英語では can、can be, could be。<多分、恐らく、あるいは>の意では、may,、may be,、might (be)、 probably。
 
英語、特によくわけのわからない英語の助動詞を無視すると

上の Baike-Baidu の解説からは、<可能>は形容詞(形)、動詞(动)なので、<できる>は<形容詞>の見方が出てきたわけだが、上述のように<あやしげな、正しくなさそうな>とことろがあるので、<可能>の例文を当たってみた。
 
 1.或許、也許。天空布滿了烏雲,等會兒可能會下雨。 

これは<可能=多分、おそらく>で副詞。

2.表示能成為事實的。我們要掌握一切可能的機會。 

これは<可能=表示能成為事實的、実現可能>で形容詞と言えないこともないが<可能的機會>と<的>があるで純形容詞と言えない。

3.可能性。據我判斷,發生這種事的可能不大。

これは<可能=可能性>で名詞。

 
Cambridge Dictionary
 
可能
perhaps uk /pəˈhæps/us /pɚˈhæps/ A2 adverb
used to show that something is possible or that you are not certain about something:

He hasn't written to me recently - perhaps he's lost my address.

他最近沒寫信給我——也許他把我的地址弄丟了。

arguably uk /ˈɑːg.ju.ə.bli/us /ˈɑːrg.ju.ə.bli/ adverb
used when stating an opinion or belief that you think can be shown to be true:

He is arguably the world's best football player.

他可能是世界上最好的足球運動員。

maybe
uk /ˈmeɪ.bi/us /ˈmeɪ.bi/ adverb
used to avoid giving a clear or certain answer to a question:

"Are you coming to Kelly's party?" "Maybe."

「你去參加凱利的聚會嗎?」「也許會去吧。」

maybe uk /ˈmeɪ.bi/us /ˈmeɪ.bi/ adverb
used to mean that something is a possible explanation for why something else happened:

"Why were you chosen for the team and not me?" "Maybe it's because I've been to more practices than you."

「為甚麼球隊選中了你,而不是我?」「也許是因為我參加訓練的次數比你多。」

perchance uk /pəˈtʃɑːns/us /pɚˈtʃæns/ adverb old use
by chance; possibly:

Do you know her, perchance?
你是否碰巧認識她?

presumably uk /prɪˈzjuː.mə.bli/us /prɪˈzuː.mə.bli/ B2 adverb
used to say what you think is the likely situation:

They can presumably afford to buy a bigger apartment.

他們大概買得起一間大一點的公寓。

may
uk /meɪ/us /meɪ/ A2 modal verb
used to express possibility:

There may be other problems that we don't know about.

可能有我們不知道的其他問題。

might uk /maɪt/us /maɪt/ A2 modal verb
used to express the possibility that something will happen or be done, or that something is true although not very likely:

I might come and visit you next year, if I can save enough money.

如果我存夠錢的話,明年我也許會來看你。

will uk /wɪl/us /wɪl/ modal verb
used to refer to what is likely:

That'll be Scott at the door.

敲門的可能是斯科特。

would uk /wʊd/us /wʊd/ modal verb
used to refer to what is very likely:

"The guy on the phone had a Southern accent." "That would be Tom."

「打電話的那個人一口南方口音。」「我估計可能是湯姆。」

might uk /maɪt/us /maɪt/ modal verb
past simple of the verb may, used especially when reporting what someone has said, thought, asked, etc.

I brought him some sandwiches because I thought he might be hungry.

我拿了些三明治給他,因為我想他可能餓了。

possibility
uk /ˌpɒs.əˈbɪl.ə.ti/us /ˌpɑː.səˈbɪl.ə.t̬i/ B1 noun
a chance that something may happen or be true:

It's not likely to happen but I wouldn't rule out the possibility.

這件事不太可能發生,但我不會排除有這種可能性。

prospect
uk /ˈprɒs.pekt/us /ˈprɑː.spekt/ B2 noun
the possibility that something good might happen in the future:

Is there any prospect of the weather improving?

天氣有可能好轉嗎?

likelihood uk /ˈlaɪ.kli.hʊd/us /ˈlaɪ.kli.hʊd/ C2 noun
the chance that something will happen:

This latest dispute greatly increases the likelihood of a strike.

最近的這場衝突極大地增加了罷工的可能性。

by any chance
C2 phrase
used to ask a question or request in a polite way:

Are you Hungarian, by any chance?

你或許是匈牙利人?
 

1)形容詞、動詞は出てこない。
2)<可能>が使われていない例文が少なくない。
3)助動詞= modal verbs、may, might, will,would での置き換えが多い。
 
 
 中国語の説明、英語の説明もかなり混乱していると言える。
 
 
 sptt