Friday, August 15, 2025

<五段活用 -> 下一段活用>変換による可能動詞化


少し前に書き始めた<日本語の動詞活用、下一段活用>は下一段活用動詞全般に渡っているのといくつかの発見 (というか、初めて知ったこと) が少なくなく、個々の発見をチェックしながら書き進めたので相当長くなってしまった。おそらく、私以外は相当の我慢をしながらでない読み切れないだろう。発見の中でも最大の発見は

<五段活用 -> 下一段活用>変換で可能動詞になる、というもの。

 発見はあくまで個人的なもので、日本語文法を少し学んだ人には<常識>なのかもしれない。Wiki には<可能動詞>として次のような長い解説がある。



可能動詞
(かのうどうし)とは、現代日本語共通語)において五段活用の動詞を下一段活用の動詞に変化させたもので、可能(行為をすることができること)の意味を表現する。




行く 自動詞  ー> 行ける
買う 他動詞 ー> 買える
書く 他動詞 ー> 書ける
住む 自動詞 ー> 住める
立つ 自動詞  ー> 立てる  <立てる>は自動詞<立つ>に対応する他動詞の<立てる>がある。
取る 他動詞  ー> 取れる  <取れる>は他動詞<取る>に対応する自動詞の<取れる>がある。
飲む 他動詞  ー> 飲める
引く 他動詞  ー> 引ける
増す 自動詞 ./  他動詞 ー> 増せる          川の水が増す(自動詞)、  人の数を増す(他動詞)
読む 他動詞 ー> 読める 

自動詞、他動詞に関係なく成り立つ。見事な 変換と言える。しかも活用全体の変換なのだ。

可能は助動詞でも表せる。未然形+助動詞<れる>

行く 自動詞 ー> 行かれる
買う 他動詞 ー> 買われる
書く 他動詞 ー> 書かれる
住む 自動詞 ー> 住まれる
立つ 自動詞 ー> 立たれる 
取る 他動詞 ー> 取られる
飲む 他動詞 ー> 飲まれる
引く 他動詞 ー> 引かれる
増す 自動詞 / 他動詞 ー> 増される
読む 他動詞 ー> 読まれる 

<行かれる>はいいが、他はほぼダメ。他動詞は<受身>の意が強い。

<住まれる>はほとんど聞かない。尊敬ともとれるが、<住まわれる>が使われるだろう。自動詞の受身で<被害相>として

あの一家に我が家の隣に住まれては困る。  

立たれる  そこに立たれては邪魔だ。この<立たれる>は自動詞の受身で<被害相>。泣かれて困る。

ーーーーー

英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語の<可能>は主に助動詞を使って表される。

英語 ー can, to be able to
ドイツ語  ー können
フランス語  ー pouvoir
イタリア語 ー potere, sapere, essere capace di

potere   する可能性を持ち合わせている能力がある。手段を持ち合わせている。
sapere  する能力がある。学習、訓練、経験などによって。する能力がある。学習、訓練、経験などによって。(sapere は助動詞ではないだろう_)
essere capace di ~ (be able to) 

英語ではなくなってしまっているがドイツ語、フランス語、イタリア語では助動詞に人称変化がある。人称によって助動詞語尾が変化する。時制では、今度は英語も含めて助動詞語尾が変化する。

このような語尾変化は覚えるのが大変だが、日本語の動詞活用と同じで、見方を変えれば,語尾の変化だけで違った意味を表せるようになっている。

ーーーーー

<五段活用 -> 下一段活用>変換で可能動詞になる

は<全部まとめて変換>することなので画期的なことと言える。

書かない、書こう
書きてー>書いて(音便)
書く
書くとき
書け

五段活用の<書く>を下一段活用動詞に変化させると

未然形 書けーない
連用形 
書けーて、書けーます
終止形 
書けーる
連体形 
書けーるーとき
仮定形 
書けーれば
命令形 
書けーろ 

書け>がややおかしいが、<書く>の下一段活用への変換による可能動詞化と言える。繰り返しになるが <全部まとめて変換>するのだ。

ーーーーー 

<下一段活用動詞>の<下一段活用動詞>への変換による可能動詞化はナンセンスだ。


染める 他動詞 ー 可能 染められる、染めれる

<染める>は古語<染む>の下一段化活用化と言えるが可能駅にならない。

染める 他動詞 ー 染まる 自動詞

の関係がある。

掛 (か) ける 他動詞 ー 可能 掛けられる、掛けれる
掛 (か) ける 他動詞 ー 掛かる 自動詞

乗せる 他動詞 ー 可能 乗せられる、乗せれる
乗せる 他動詞 ー 乗る 自動詞  バスに乗る

当てる 他動詞 ー 可能 当てられる、当てれる
当てる 他動詞 ー 当たる 自動詞

重 (かさ) ねる 他動詞 ー 可能 重ねられる、重ねれる
重 (かさ) ねる 他動詞 ー 重なる 自動詞

浮かべる 他動詞 ー 可能 浮かべられる、浮かべれる
浮かべる 他動詞 ー 浮かぶ 自動詞 

その他

植える  他動詞 (古語 植う)ー 可能 植えられる (受身とも) 、植えれる
植える  他動詞 (古語 植う)ー 植わる 自動詞  庭にxx植わっている。

植 (う)える>の古語形はややこしい。<ワ行下二段活用>で 

活用{ゑ/ゑ/う/うる/うれ/ゑよ}

受ける  他動詞 (古語 受く) ー 可能 受けられる、受けれる
受ける  他動詞 (古語 受く) ー 受かる 自動詞  試験に受かる。<受かる>は自動詞だが、他動詞<受ける>にそのままは対応しない。

捨てる 他動詞 (古語 捨つ ー 可能  捨てられる (受身とも)、 捨てれる
捨てる 他動詞 (古語 捨つ) ー 自動詞 ? 

可能は助動詞でも表せる。未然形+助動詞<られる>、<れる>。

ーーーーー 

<上一段活用動詞>の<下一段活用動詞>への変換による可能動詞化。

着 (き) る 他動詞ー> ける
起きる
 自動詞 ー> 起ける
飽きる 
自動詞 ー> 飽ける
閉じる 
他動詞 ー> 閉ぜる
落ちる 自動詞 ー> 落てる
見 (み) る 
他動詞 ー> める
借りる
 他動詞  ー> 借れる

で、全くダメ。

着 (き) る ー> 可能 着られる、着れる
起きる ー> 可能 起きられる、起きれる
飽きる ー> 可能 飽きられる (受身)、飽きれる (何か変だ) あきれたやつだ
<飽きる>は自動詞だが<飽きられる>は受身だ。

閉じる ー> 可能 閉じられる (受身とも)、閉じれる
落ちる ー> 可能 落ちられる(何か変だ)、落ちれる
試験に落ちる。試験に落ちられる ー 被害、迷惑、尊敬。 試験に落れる ー 可能 

見 (み) る ー> 可能 見られる (受身とも)、見れる
借りる ー> 可能 借りられる、借りれる 

<上一段活用動詞>の可能は助動詞で表せる。未然形+助動詞<られる>、<れる>。だが、ややこしいのがある。 


sptt

 

 

 




 

Wednesday, August 13, 2025

<xxびる>動詞ー2

<xxびる>動詞を調べてみた。代表で正規動詞らしいのに<滅びる>がある。なぜかいくつかの<xxびる>動詞、特に口語<xxびる>、は<滅びる>関連だ。アイウエオ順。

あびる 他動詞
いびる 他動詞
帯 (お) びる 他動詞
大人 (おとな) びる  自動詞
かびる (黴る)  自動詞 
くびる (縊る) 他動詞 ー くびれる 自動詞
こびる 自動詞
錆 (さ) びる 自動詞  <さびれる>、<さびれた>は関連語だろう。
せびる 他動詞
ちびる 自動詞  口語 ちびた鉛筆
伸びる 自動詞
のびる 自動詞  パンチを食らってのびた。
ひからびる 自動詞
ひなびる(いなかびる)自動詞   ひなびた (鄙びた) 町
ビビる 自動詞  口語
古びる 自動詞   古びた店 <新しびる>とは言わないので、<古>と<びる>はあるイメージが結びついているのだろう。

ほころびる 自動詞 (ほころぶ)  服の袖がほころびる。梅の花がほころびはじめた。
滅びる 自動詞 ー 滅ぼす  他動詞
わびる (詫びる)  他動詞

追記

<xx びる>動詞については

August 30, 2018 <xx びる>動詞

というポストがある。こちらの方が詳しい。

 

 sptt

Sunday, August 10, 2025

<愛する>はサ行変格活用、はたまたサ行五段活用?

 

一字漢語+する(昔は<一字漢語+す>)は比較的よく使われる。漢語的なところがある。


愛す(る) ー 可能 愛せる、 愛せられる (ダメ)、愛せれる (可能)否定 愛さない (<愛しない>はダメ)
圧す(る) ー 可能 圧せる、 圧せられる (可能、受身)、否定 圧さない / 圧しない
介す(る) ー 可能 介せる、介せられる (可能、受身)、否定 介さない  意に介さない
課す (る) ー 可能 課せる、課せられる (可能、受身)否定 課さない (<課しない>はダメ)
帰す (る) ― 可能 帰せる、帰せられる (可能、受身)、帰せれる (可能)、 否定 帰さない / 帰しない
喫す (る)  喫せられる (受身)、 否定 喫さない / 喫しない
供す (る) (供じる) 可能 供せる、供せられる (可能、受身)、供せれる (可能)、 否定 供さない / 供しない
決す (る)  可能 決せる、 決せられる (可能)、決せれる (可能)、否定 決しない
称する  可能 称せる、称せられる (可能、受身)、称せれる (可能)、 否定 称さない
制す (る)  可能 制せる、制せられる (可能、受身)、制せれる (可能)否定 制さない / 制しない
達す(る)  可能 達せる(ほぼダメ)、達せられる (可能、受身、自発)、達せれる (可能)、 否定 達しない (達さない)
徴す(る)  可能 徴せる、徴せられる (可能、受身)、徴せれる (可能)、否定 徴さない / 徴しない
呈す(る)  可能 呈せる、呈せられる (可能、受身)、呈せれる (可能)、否定 呈さない / 呈しない
徹す(る)  可能 徹せる、徹せられる (可能、受身)、徹せれる (可能)、否定 徹しない
排す (る)  可能 排せる、排せられる (受身)、排せれる (可能)、否定 排さない / 排しない)
発 (はっ)する 可能 発せる、発せられる (可能、受身)、発せれる (可能)、否定 発しない(発さない)
罰 (ばっ)する  可能 罰せる、罰せられる (可能、受身)、罰せれる (可能)、否定 罰しない(罰 さない)
要す(る) 可能 要せる、要せられる (可能、受身)要せれる (可能)、否定 要さない / 要しない

 一番目の<愛する>の活用は標準的には、サ行変格活用<する>を使った

未然形 しーない、される(受身)
連用形 し―て、しーます
終止形 する
連体形 するーとき
仮定形 すれーば
命令形 し ーろ
 
が使われるはずだ。ところが
 
愛する ー 否定 愛さない、<愛しない>はダメ。
 
現代語ではサ行五段活用というのがある。

Wiki

話す
hanasu
- - - - - - -

これを応用すると

未然形 さーない、される(受身)、ーそう (意思)
連用形 し―て、しーます
終止形 する
連体形 するーとき
仮定形 せーば
命令形 
(意思形 ーそう)
 
これからすると<する>はサ行五段活用。
 
課す (る)、介す(る)も同様。だが、これらは例外で、標準的には、サ行変格活用<する>が使われる。
 
<一字漢語+する>曖昧なものが少なくない。
 
さない / しない
供さない / 供しない
称さない / 称しない
徴さない / 徴しない
排さない / 排しない
要さない / 要しない 
 
 
<愛する>がサ行五段活用のようになったのは大和言葉のサ行五段活用<恋する>に<引かれた>たためはないか?だがこれは<課する>、<介する>の説明にならない。
 
上記の否定が<xさない>) になっている動詞 、否定が曖昧な動詞 (xさない / xしない) の特徴は<x>部が母音になっていること。ちなみに促音便動詞をチェックしみると
 
圧 (あっ) する ー 可能 圧せる、 否定  圧しない(圧さない)
喫 (きっ)する  喫せられる (受身)、 否定 喫しない (喫さない)
決 (けっ)する  可能 決せる、 決せられる (可能、受身)、決せれる (可能)、 否定 決しない(決さない)
達 (たっ)する  可能 達せる(ほぼダメ)、達せられる (可能、受身、自発)、達せれる (可能)、 否定 達しない(達さない)
徹 (てっ)する  可能 徹せる、徹せられる (可能、受身)、徹せれる (可能)、否定 徹しない(徹さない)
発 (はっ)する  可能 発せる、発せられる (可能、受身)、発せれる (可能)、否定 発しない(発さない)
罰 (ばっ)する  可能 罰せる、罰せられる (可能、受身)、罰せれる (可能)、否定 罰しない(罰 さない)
 
でこれも曖昧なところがある。

一字漢語+ずる(昔は<一字漢語+ず>)

は比較的統制がとれており

案ず(る)(案じる)ー 可能 案ぜる(ダメ)、案じられる (可能、自発)、否定 案じない
感ず (る)(感じる) 可能 感ぜる(ダメ)、感じられる (可能、自発)、感じれる (可能)、否定 感じない
禁ず (る)(禁じる) 可能 禁ぜる(ダメ)、 禁じられる (可能、受身)、禁じれる (可能)、否定 禁じない
献ず (る)(献じる) 可能 献ぜる(ダメ)、献じられる (可能、受身)、献じれる (可能)、 否定 献じない
参ず (る)(参じる) 可能 参ぜる(ダメ)、参じられる (可能)、参じれる (可能)、 否定 参じない
信ず (る)(信じる) 可能 信ぜる(ダメ)、信じられる (可能)、参じれる (可能)、 否定 信じない
煎ず (る)(煎じる) 可能 煎ぜる(ほぼダメ)、煎じられる (可能、受身)、煎じれる (可能)、 否定 煎じない
先ず (る)(先じる) 可能 先ぜる(ほぼダメ)、先じられる (可能、受身)、先じれる (可能)、 否定 先じない
損ず (る)(損じる) 可能 損ぜる(ダメ)、損じれる (可能)、 否定 損じない

転ず (る)(転じる) 可能 転ぜる、転じられる (可能)、転じれる (可能)、 否定 損じない
任ず (る) (任じる) 可能 任ぜる(ほぼダメ)、任じられる (可能、受身)、任じれる (可能)、否定 任じない
免じる(免じる) 可能 免ぜる(ほぼダメ)、免じられる (可能、受身)、免じれる (可能)、免じられる (受身)、否定 免じない

可能形の<xxぜる>は基本的にだめ。否定は<xxじない>で例外がない。

 

2字漢語+する(昔は<2字漢語+す>)も統制がとれており

ニ語漢語+<せる>は可能にならない。可能は<xxできる>になるようだ。否定は<xxしない>。
 
安心する  可能 安心せる ダメ。 可能 考慮できる  否定 安心しない 
考慮する  可能 考慮せる ダメ  可能 考慮できる  否定 考慮しない   
詮索する  可能 詮索せる ダメ  可能 詮索できる  否定 詮索しない  
探索する  可能 探索せる ダメ  可能 探索できる  否定 探索しない  
難航する  可能 難航せる ダメ  可能 (難航できる)  否定 難航しない  
判断する  可能 判断せる ダメ  可能 判断できる  否定 判断しない  
満足する  可能 満足せる ダメ  可能 満足できる  否定 満足しない  
免除する  可能 免除せる ダメ  可能 免除できる  否定 免除しない  
憂慮する  可能 憂慮せる ダメ  可能 (憂慮できる)  否定 憂慮しない

 

sptt  

 

 

Tuesday, August 5, 2025

ヘンテコな動詞<さばく (裁く)>、<さばける>

 <さばけた人>という言い方がある。<さばけた>は<さばける>由来。

 <さばける>は自動詞で、

さばける 自動詞 ー さばく 他動詞

という対応があるが<さばく>は多義語で、

1)人を裁く
2)在庫をさばく(売って在庫をなくす、へらす) 
3)混雑した人々をうまくさばく
4)花子は魚をうまくさばく。(調理用、または刺身用に解体する)

2)3)4)は 意味に共通したところがあり、<うまくものごとを処理する / うまくものごとに対処する>。

1)判事は人をさばける。 可能
2)- 1 太郎は 在庫がさばける。
2)- 2   在庫がさばける。

これは可能の意味にもなるが自動詞にもなる。

3)なれた駅員は混雑した人々をうまくさばける。 可能
4)花子は魚が / をうまくさばける。 可能

<さばける>は<さばく>の可能の意になるが、2)- 2のような例外もある。

さて<さばけた人>に戻ると

<さばけた>は<さばける>由来。上の<うまくものごとを処理できる / うまくものごとに対処できる>人でよさそうだが、イマイチずれがある。

<さばけた人>は 90% ほめ言葉で

道理がわかって、モノにこだわらない人

サバサバした、さっぱりした性格の人とはまた違う。


 sptt

Monday, August 4, 2025

ヘンテコな動詞<そむく>、<そむける>

 

<そむける>、<そむく>は意味が異なる。

 <そむく>は

上司にそむく
法律にそむく
正義にそむく
意にそむく

などのように使われ、漢字変換では<背く>と出てくる。前後があれば<背く>で<そむく>と読めそうだが、単独の<背く>の場合には<そむく>はすぐには思い浮かばない。意味内容からは他動詞っぽいが<xxにそむく>なので自動詞。<xxをそむく>とは言わない。

一方<そむける>は

顔をそむける、目をそむける

のような限定的な使い方で<そらす>の意のようだ。語源は

背 (を) 向ける

のようで、確かに、見ている対象に背を向ければ、顔や目を<そらす>ことになる。

せむける ー> そむける

の変化のようだ。<顔をそむける、目をそむける>の顔、目を除くと<そむける>になるが、<そむける>単独では使えないようだ。

死体からそむける
見たくないものからそむける

はダメだ。また

注意をそらす

はいいが

注意をそむける

はダメだ。

ところで、<そむける>の語源は<背 (を) 向ける>だろうか? <背 (を) 向ける>は何か取って付けた感じだ。

1)そっぽを向く

という言い方があり。 

そっぽを向く ー> そっぽ向くー> そ向く

が考えられるが、<向く>は<を>をとっても自動詞。<向ける>は他動詞で、<そむける>も他動詞だ。

2)<そむく>は漢字で書くと<背く>になるが<そむく>、<そむける>に<背>の意はないだろう。簡単に<そむける>の語源は<そむく>ではないか。<そむく>は<xxに反対する、反抗する、逆らう>だが、原因、または結果して<対象から離れる>の意がある。<そむける>は<対象から、目や顔を離す>ことだ。

 

sptt



 

 

 


Sunday, July 27, 2025

ヘンテコな動詞<捉 (とら) える>、<とらわる>、<とらわれる> 

 

前回のポスト

ヘンテコな動詞<つかむ>、<つかまる>、<つかまえる> 

に続いて、意味としては似ているような

捉 (とら) える 他動詞 ー  とらわる、とらわれる 自動詞
 
<捉 (とら) える>の受身は<捉えられる>。他動詞<捉える>の関連自動詞として<とらわる>、<とらわれる>がある。<とらわる>はあまり使われないが、<とらえらる>の意として使える。同じような意味で
 
つかまえる 他動詞 ー つかまる 自動詞 
 
がある。<つかまる>は <つかまえらる>の意としてよく使われる。<つかまえらる>より簡潔だ。だが、<つかまる>は

手すりにつかまる
 
という用法、意味がある。<とらわる>にこの用法はない。
 
一方<とらわれる>は 意味が少しズレていて
 
劣等感にとらわれる
旧習にとらわれる
 
などと使われる。意味は<とらえられる>とほぼ同じだが、対象が抽象的なもののようだ。また<とらえられる>よりは少し簡潔だ。だが
 
囚 (とら) われの身  

という言い方がある。しかし
 
敵にとらわれる
 
はダメだろう。
 
 
sptt
 

 


Friday, July 25, 2025

ヘンテコな動詞<つかむ>、<つかまる>、<つかまえる> 

 

つかまえる 他動詞  ー つかまる 自動詞 ー つかむ 他動詞がある。

この3動詞の関係はおもしろい。

<つかまる>は他動詞<つかまえる>の自動詞形といえる。

 <つかまえる>は英語では to catch だが、受身の to be caught は日本語では<つかまえられる>とも言えるが、普通は簡単、簡潔な<つかまる>と言う。

犯人は警察につかまった。 The criminal was caught by the police.

が普通で

犯人は警察につかまえられた。 The criminal was caught by the police.

はまれだ。 

つかまえる 他動詞  ー つかまる 自動詞

この簡易な自動詞用法は、日本語ではよく見られ、日本語らしい。

植 (う) える  他動詞 ー 植わる 自動詞  庭にxxが植わっている。
備 (そな) える 他動詞 ー 備わる 自動詞  xxが備わっている
伝 (つた) える 他動詞 ー 伝わる 自動詞
捉 (とら) える 他動詞 ー とらわる、とらわれる 自動詞 

気がつきにくいが

上 (あ) げる 他動詞 ー 上がる 自動詞
下 (さ) げる 他動詞 ー 下がる 自動詞

もこの類だ。

さて

つかまる 自動詞 ー つかむ 他動詞

のコンビは様相が異なる。<つかまる>は行為の対象があるので他動詞っぽいが

手すりにつかまる to hold, to grip a rail

で<に>をつとるので自動詞だ。(格) 助詞<に>には対象を示すというのがあるが

手すりをつかむ    to hold, to grip a rail

の<つかむ>は<を>をとるのでれっきとした他動詞だ。

つかまる 自動詞 ー つかむ 他動詞

の古語をネットでザっと調べてみたが出てこない。近代語か方言かもしれない。

 

sptt