Friday, November 23, 2012

<to have> と<持つ>


<to have>と<持つ>は明らかにイコールではない。それではどこが違う?

<持つ>には大きく分けて二つの意味が或る。

1)英語<to have>の一部の意味

<to have>には<持つ>にないいくつかの意味がある。

2)<長く持つ>、体言化した<持ちがいい>の<持つ>だ。この<持つ>は自動詞。

<たもつ>は<保つ>と漢字で表すが、<持つ>との関連はあきらか。また、餅(もち)もご飯に比べて<長もち>するからではないか? 別途検討。

<to have>にはこの意味がほとんどない。これは <to last (long)>とか<to endure>とかが相当する。形容詞では<be durable>(長持ちする)がある。

1)英語<to have>の一部の意味と述べたが、それでは<to have>にはどのような意味があるか。

a)現在完了形をつくる

 これは意味というよりは文法機能だ。現在完了形というのが日本語にはないので、当然これに相当する日本語はない。あえて探せば、経験を表す現在完了形の日本語訳はたいてい<xxしたことがある>なので、下線部分が訳といえば訳になる。この訳はそれなりに意味がある。

例) I have gone to Paris. より正確には  I have been to Paris. か。 わたしはパリに行ったことがある。<行く>の過去形(または完了形)<行った> +  ことがある。 したがって、to have + gone (go の完了形)と形は似ている。

b)日本語の<xxがある>、いわゆる主語とか主題を加えれば<xxにはxxがある>という表現に相当する。

例)Taro has a house. 

直訳: 太郎は家を持っている。普通、こうは言わない。

日本語らしい訳: 太郎には家がある。残念ながら、こうもあまり言わない。

次の例はどうか。

 例)Taro has a younger sister.

直訳: 太郎は妹を持っている。普通、こうはまず言わない。

日本語らしい訳: 太郎には妹がある。 これは日本語らしい普通の言い方だ。

もう少し例をあげてみる。

Taro has money.   太郎は金を持っている。 (日本語らしい言い方)-->太郎(に)は金がある。
<に>はあったほうが正確のようだが(主題を示す)、ないほうが日本語らしい。また<に>があるなしでは微妙に意味が違う 。 (注1)

Hanako has a dog.   花子は犬を持っている。  --> 花子は犬を飼っている。 
<花子には犬がある>とも<花子は犬がある>とも言わない。<持つ>とは違う動詞を使う。
ただし、<花子が犬を手に持っている>場合は<花子は犬を持っている>と言える。

Ichiro has courage.   一郎は勇気を持っている。-->  一郎(に)は勇気がある。
これも<に>はあったほうが正確のようだが(主題を示す)、ないほうが日本語らしい。 また、別の人ではなく<一郎>をことさら取り上げる場合やは<に>を加えて< 一郎は勇気がある>と言うだろう。また、<は>を除いて< 一郎勇気がある>とすると、今度は<どこに、誰に> という質問に対する回答になる。

 Miyoko has a reason to do so.   美代子はそうする理由を持っている。 --> 美代子にはそうする理由がある。
これは日本語らしい普通の言い方だ。
 
Jiro had breakfast at home.  次郎は家で朝食を持った。--> 次郎は家で朝食をした。
<持つ>とは違う動詞を使う。

I have headache.  わたしは頭痛を持っている。 --> わたしは頭痛だ。 わたしは頭痛持ちだ。
<わたしは頭痛だ>は<今><最近>で、長期に頭痛をわずらってはいない。一方<わたしは頭痛持ちだ>は長期わずらい。

もう少し例を調べたほうがよさそうだが、とりあえず以上の例から推論すると、上に述べた<xxがある>、<xxにはxxがある>という表現(意味)以外に、

c)日本語では<持つ>とは別の動詞を使う。 さらに推論すれば、日本語の動詞に連用形は体言化するので(持ち -->持ち(がいい))、動詞の連用形を使う。<わたしは頭痛持ちだ>。

d) <わたしは頭痛だ>の例のように <xxだ>という表現(意味)。


--ー-

<持つ>の複合動詞をチェックしてみた。

持ちxx

持ち合う
持ち上げる (慣用もあり)
持ちいる --> 用いる
持ちきる (慣用もあり) 持ちきり
持ちくずす  (慣用)
持ちこたえる
持ち去る
もち逃げる --> 持ち逃げ
持ち出す  (慣用もあり)
持ちなおす (慣用もあり) 
持ちつける (主に慣用)
持ち運ぶ
持ち回る (慣用もあり) 持ち回り
持ち寄る

長持ちの<もち>は上記のうちでは<持ちこたえる>のみ。<持ちなおす> は慣用は長持ちの<もち>に関連ありそうだ。<健康持ちなおす>。

持ちいる --> 用いる。 <持ち>(入る)か?、<持ち><要る>か? ただし普通には(特に口語)<使う>が使われる、<用いる>はあまり用いられない。

xx持つ

あわせ(併せ)持つ
受け持つ (慣用)
掛け持つ  (慣用)  掛け持ち
取り持つ  (慣用)

英語の to have の影響からか重要そうに見える<持つ>複合動詞はさほど多くない。ということは、日本語では<持つ>は使いこなされきた重要語ではないということになる。英語の to have と比べれば明らかに重要語ではない。


関連語

<もてなす>は<持てる>の連用形<持て>+<なす>。<持てる>は<持ち><得る>で、<持つことができる>の意。したがって、<持て>+<なす>は<持つことができる>ように<する>で、<もてなす>に意に近づく。

<持つ>の使役形は<持たす><持たせる>。<もたらす>は<もたる>の使役形となるが、<持つ>関連で<持たる>という動詞はない。

<たもつ>は<保つ>と漢字で表すが、<た持つ>だ。この<た>は何か?

1)<手>は<た>に変わる。手綱(たづな)、たもと(手+もと)。<手>で<持つ>は自然な動作だ。 だが、<たもつ>の意は<手>で<持つ>という動作ではなく、<長く持つ>の<持つ>だ。

2)接辞の<た>。 たやすい。

<持つ>から離れてしまうが、この接辞らしい<た>関連では、

た + 折れる  --> 倒(たお)れる ?
た + 組む  --> たくむ、たくらむ (企む)?
た + 繰(く)る  --> たくる、 たぐる、 たぐり寄せる。 これは<手>か?
た + 加える --> 蓄(たくわ)える ?

3) <た>は<耐(た)える>、古語<耐(た)ふ>の<た>。<耐え>、<持つ> --> <た持つ>ではないか?

<保つ>は日本語ではさほど頻繁に使われないが、英語では to keep や to hold , さらに -tain (tenere) が後ろにつく to maintain、 to retain、 to sustain,、は<保つ>に関連しており、さらには to obtain (手に入れる)、to contain (含む、コンテナで保管)も関連と見なせ、やたら<保つ>関連の動詞が多く、頻繁に使われる。

特に純英語の to hold は to have 以上に意味が多様化している。 to hold はおもしろい動詞だが、ここは to have の話なので、別の場所で検討予定。


(注1)これは、微妙どころでなく、きわめて大きな違い。後日のポスト ”<ある>、戦争と平和の存在” その他<ある>関連のポスト参照。

sptt














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