Thursday, September 12, 2013

英語の前置詞と日本語の助詞


かなり前のポスト(日本語の助詞)で次のように書いた。


前置詞との違い

繰り返しになるが、ラテン語の前置詞を見てみよう。

前置詞 (Japanese Wiki ラテン語文法(2))
奪格支配
ā ~から
cum ~とともに
~について
ex,ē(子音の前のみ) ~から外へ
in ~の中で
sine ~なしで
対格支配
ad ~へ
per ~を通って
in ~の中へ
trāns ~を通って

日本語訳が付いているが、注意して見れば日本語の助詞に対応しているのは

奪格支配
ā ~から
対格支配
ad ~へ

の二つだけだ。

他の前置詞に対応する日本語は助詞ではない。助詞の特徴はなんども述べてきたが、<内包された(implied)意味、または同じ文の中の他の語との関係を示す>ということだ。助詞自体に明示された(explicit)意味はない。

cum~とともに           伴う
~について     付く
ex,ē(子音の前のみ)~から外へ     外
in~の中で       中
sine~なしで       無し

per~を通って     通る
in~の中へ      中
trāns~を通って     通る

みなそれぞれの語に明示された意味がある。明示された意味があっては助詞ではない(格変化でもない)。

"

ラテン語の前置詞支配は対格(主に動きにともなう方向)と奪格(位置、条件付け)だけで属格、与格をとる前置詞がない。

日本語の助詞の大きな特徴は、助詞自体に明示された(explicit)意味はなく、ある言葉と他の言葉と関係を示すだけ、ということだ。これはヨーロッパ語のうちのラテン語、ドイツ語、ロシア語などの名詞、形容詞の格変化に似ている。格変化は形態的には語尾変化で、この変化する語尾自体に特定の意味はない。

英語では格変化が退化したためか、ある言葉と他の言葉と関係を示すのに前置詞が活躍する。日本語の助詞は名詞(体言)の後に置かれるので位置は違うが、前置詞には似たような働きがある。前置詞には明示された(explicit)は意味が薄れた、at、on、to、for、of、by、from、with がある。これらは日本語の助詞の働きに似ている。一方かなり明示された (explicit) 意味がある in、out、about、against, between、during、before、after、within、without、さらには of  を伴った前置詞句 in spite of、in stead of、regardless of もある。以上の前置詞の分類は日本語の助詞との比較に準じているようだが、必ずしもそうではない。

at、on、to、for、of、by、from、with は一語で意味を特定しにくい。 in、out 短い音節の語だが意味はかなり限定されている。


上記のラテン語の例を英語に変えると

with, together with~とともに           伴う
of, about, concerning~について     付く
out of~から外へ     外
in, inside of~の中で       中
without~なしで       無し

through               ~を通って     通る
into~の中へ      中
through (over)~を通って(越えて)  通る(越える)

 <with>は <~とともに >に以外に<without>との対比で<~ありで>の意がある。

もう少し英語の例をあげると

by, beside, close, near    ~ の脇(わき)で、隣で、そばで、近くで、
between                        ~ の間(あいだ)で
on, above, over               ~ の上(うえ)で
under, below, beneath     ~ の下(した)で
before, in front of            ~ の前(まえ)で
after, behind        ~ の後ろ(うしろ)で、 ~ の後(あと)で
inside of                          ~ の中(なか)で、
outside of         ~ の外(そと)で
around                            ~ のまわりで、 ~ のあたりで

日本語では<で>の代わりに<に>、<へ>、<から>、<まで>、<を通って>、<越えて>などが使えバリエーションが加わる。また以上の例は日本語で<xxx で>となるので<付帯情報付け>と言える。

下線をつけた  ~ のは共通しているので日本語の特徴といえる。 ~ のは格変化で言えば属格になる。



in stead of, in place of      ~ の代わりに
for                                  ~ のために (利益、目的)
besides                           ~以外に、 ~とは別に

<xxx に>も<付帯情報付け>と言える。<xxx で>も<xxx に>も<xxx>の箇所は名詞(体言)になるが、動詞の場合はどうか?

 against               ~ に対して(対する)
of, about, concerning     ~について(付く)
through (over)   ~を通って(通る)




動詞の連用形+て>となる。

sptt


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