Sunday, September 1, 2013
昨日、今日、明日
昨日(きのう)、今日(きょう)、明日(あす、あした)は漢字でもいいが、さきおととい(一昨昨日)、おととい(一昨日)、あさって(明後日)、しあさって(明々後日)となると<ひらがな>の方がいいだろう。いずれにしても特にあらたまらなければ<ひらがな読み>すなわち大和言葉を使うのが普通だ。
<きのう>は<きのふ>、<きょう>は<けふ>、<おととい>は<おととひ>と昔は書いたし、おそらくこれに似通った発音だっただろう。<あした>は昔は朝(あした)の読みでもある(<朝(あした)浜辺を......>(唱歌)。日常きわめて頻繁に使われるだけに語源がわからなくなっているようだ。
<おととい(ひ)>の<い(ひ)>は<日(ひ)>だろう。<おとと>は<弟、おとうと(ひと)>の<おと>と関係がありそう。
<きのふ>、<けふ>の<ふ>もやはり<日(ひ)>由来だろう。
朝(あさ)と明日(あした)の関係はドイツ語での Morgen と morgen の関係に似ている。
(これらの語の語源につては別の場所で別途検討予定)
さてここでは<sptt Notes on Grammar>本来の文法の話だ。
1)副詞と名詞
ドイツ語では morgen は<あした>の意で副詞で語尾変化なしだが、 (der) Morgen は朝の意で名詞。したがって格変化がある。
am Morgen in the morning
昨日(gestern)、今日(heute)も副詞
gestern Morgen yesterday morning
heute Morgen this morning
英語は副詞と名詞の形態上の区別はなく、意識的にもはっきりした区別はないだろう。
Today is Sunday. <Today>は名詞。
It is Sunday today. <today>は副詞。
I will finish this job today. <today>は副詞。
さて日本語だが、英語と同じで副詞と名詞の使い方があるが、これも意識的にはっきりした区別はないだろう。
今日は日曜日だ。<今日>は名詞。
この仕事は今日終える(終わらす)。 <今日>は副詞。
花子は昨日(きのう)の朝ねぼうして学校におくれた。<昨日(きのう)>は名詞。<朝>は副詞。<朝に>とは言わない。
英語では yesterday morning でいいが、<yesterday>は名詞ともなるので yesterday's morning でもよさそう。ドイツではgestern Morgen。 日本語の<きのう朝>はダメ。
2)時間と場所
昨日(きのう)、今日(きょう)、明日(あす、あした)は時間軸上(線上、一次元上)で今日(きょう)を現在として 昨日(きのう)は過去、明日(あす、あした)は未来になる。
今日(きょう)ではなくある特定の日を基準とすると、 昨日(きのう)は前の日(前日)、明日(あす、あした)はやや口語的だが<あくる日>で、<後日>ではなく、漢語では明日(みょうにち)になる。<あくる日>は漢語の明日(現在の中国語では<明天>)の訳語の可能性がある。<後日>は不特定の未来のある日を意味する。<明日(あす、あした)のことはわからない>という言い方があるが、この場合の<明日(あす、あした)>も不特定の未来のことを言っている。
一方場所軸上(線上、一次元上)の前後を対象にすると、表現のし方がほぼ逆になる。ある人、あるものを線上のある点におくと、後ろと前になる。<後ろの人(もの)>、<前の人(もの)>は場所的には後ろと前だ。だが時間軸上では<前人>とは<後ろの>人だ。<後人>というのなあまり聞かないが<これからから来る人>で時間軸上<前の>ひとだ。さらにヤッカイなのに<先>がある。<先のことはわからない>の<先>は未来をさすが、<先の左大臣>(古語)や<さっきの>のは過去をさす。
さらに例をあげれば、
場所
山道を前になり後(うしろ)になりのぼる
先(前)に進む
後(うしろ)からついて行く
時間
お先に失礼します。(退社時)
きみたちは先に行ってくれ。わたしは後(あと)から行く。遅れるが後(あと)で追いつく。
前に言ったことと後(あと)からしたことが大きく違う。
英語でも同じようことが言える。
場所
a man behind me - a man before me ( a man in front of me)
Please follow after me.
時間
two minutes before - two minutes later ( "after two minutes" は日本語の訳で少しおかしい。もっと英語らしいいのは、意味はやや違ってくるが、in two minutes で within two minutes はやや日本語訳的)
中国語はどうか。
昨日 - 昨天
今日 - 今天
明日 - 明天
きわめて簡単。<日>を<天>に換えるるだけだ。 もちろん中国読みで発音も日本語の音読みとは違う。
時間と場所の関係はどうか?
時間
以前 - 以前(いぜん)
前天 - おととい
後天 - あさって
場所
前面 - 前(まえ)
後面 - うしろ(うしろ)
時間と場所の関係については日本語(大和言葉)、英語、中国語とも同じような<逆の関係>がある。これはどうしたことか?
いくつかの回答がありそうだが、考えられるのは
1)過去を振り返ってみれば(視点が180度回転する)過去の出来事は<前に>、未来の出来事は<後ろに>見えることになる。
2)<過去>は<過ぎ去る>。英語の過去 past (to pass, passed) も<過ぎる>の意がある。 <過ぎる>は場合によっては<越える>とも言える。
5時前に山を越える。
5時過ぎに山を越える。
<5時前> は<5時を過ぎる前>のことだ。時間軸ではある時点(五時)を基点に前後を言う。これは絶対的な見方、表現で
5時前に山を越えた。
5時過ぎに山を越えた。
<過ぎる前>とは言えるが<過ぎた前>とはいえない。一方<過ぎる後>、<過ぎた後(あと)>とはいえるが<過ぎる後>とは言わない。<過ぎる>は特殊な動詞だ。
といえる。一方場所に限定すると
A) 山の前に湖がある。
B) 山の後ろに湖がある。
これは<山を基点とした>相対的な見方で 、山を越えてしまえば(山を越えて振り返ってみれば)
A)は<山の後ろに湖がある>となる。
B)は<山の前に湖がある>となる。
sptt
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