Wednesday, September 18, 2013
自動詞、他動詞 - 9 <xxえる>動詞、可能動詞
このポストは<自動詞、他動詞-6 日本語の他動詞、自動詞の作られ方>の続編または付録
ドイツ語の接頭辞(prefix)-1、<er->の<挿入>部で次のように書いた。
”
<挿入>
これを調べているうちに日本語に関して同じような関係を探し当てた。
取(と)る - とらえる (捕らえる、と漢字を使うと見えなくなる)
掴(つか)む - つかまえる (捕まえる、と漢字を使うと見えなくなる)
押(お)す - 押さえる (抑える、と漢字を使うと見えなくなる)
踏(ふ)む - ふまえる(踏まえる、とはあまり書かない)
向(む)く - 向かえる (迎える、と書くと見えなくなる)
以上の元の動詞はいずれも五段活用の動詞で<動詞未然形+える>の形式。意味としては、
とらえる - 取って得る
つかまえる - つかんで得る
押さえる - 押さえて得る
ふまえる - ふんで得る
向かえる - 向かって得る
(<ふまえる>の辞書の解説に<すでに得たもの、現在直面するものや将来の成り行きをよく見た上で、何かをする>というのがあったが、<ふまえる>に<何かをする>の意味はない。)
やや微妙だが
かかえる - か(掻)いて得る(持つ)
くわえる - 食(く)って得る(持つ)。ほとんど使わないが、銜(くわ)える、と漢字を使うと見えなくなる。
も同類だろう。
いづれも<xxて(して)<得る>、<持つ> の意だ。
単なる偶然の一致だが<er->と<える(eru)>は発音も似ている。
一方可能形は
取(と)る - 取れる (取りえる、ともいえる)
掴(つか)む - 掴める
押(お)す - 押せる
踏(ふ)む - 踏める
向(む)く - 向ける (向ける、は他動詞の用法もある)
掻(か)く - 掻ける
食う - 食える
となり、<動詞仮定形+る>の形式。
かなり微妙(あるいは?マーク)だが、また<得る>、<持つ>とあまり関係がなさそうだが、
かまえる - かまう(噛(か)む、は違いすぎる)
こらえる - 凝(こ)る
さかえる - 咲く。 <栄える>と漢字を使うと見えなくなる。
ささえる - 差(さ)す - 差せる (<差す>は<差し上げる>の<差す>だ)
たたえる - 立つ - 立てる
つかえる - 付く、付いて得る。<仕える>と書くと見えなくなる。
ひかえる - 引く - 引ける
も元の動詞は五段活用の動詞で<動詞未然形+える>の形式で、意味が元の動詞と関連はあるが意味は違う。但し、一見関連なさそうなのもある。
思う(古くは、おぼゆ、おもほゆ) - おぼえる(覚える、と漢字を使うと見えなくなる)
思う - 思いえる --> 思える (可能)
<思う>は五段活用だが<おぼゆ>、<おもほゆ> 何活用か?<おぼわず>、<おもほわず>だと五段活用、<おぼえず>、<おもほえず>とも言いそうで、下一段活用になる。思える (可能)、<思わせる>は使役になる。
おぼえる - 思(ひ)える、思って得る (?)
(別途検討)
<挿入>-終わり
”
上記<挿入>の中の例も語源は別として、
かまえる - <かまう(ふ)>からか。<かまわない>としてよく使う。
こらえる - <こらう(ふ)>からか。
さかえる - <さかう(ふ)>からか。
ささえる - <ささう(ふ)>からか。
たたえる - <たたう(ふ)>からか。
つかえる - <つかう(ふ)>からか。
ひかえる - <ひかう(ふ)>からか。
と考えるのが妥当だろう。
そのほかにも<える(得る)>関連として
あたえる <-- あたう(ふ)
かなえる <-- かなう(ふ)
きたえる <-- きたう(ふ)
こさえる <-- こさう(ふ)、こす
こしらえる <-- こしらう(ふ)、こしる
そなえる <-- そなう(ふ)、そぬ
そびえる <-- そびる、そぶ、<そばだつ>と関連がありそう。<える(得る)>とはあまり関係ない。
そろえる <-- <そろう>の他動詞。 そろいえる --> そろえる
たずさえる <-- たずさう(ふ)
----
形容(詞、動詞) がらみでは
あまえる <-- あまい
(追加予定)
などがある。
<xxえる>動詞についてもう少し検討してみる。
五段活用の動詞で<動詞未然形+える>の形式、と書いたが、<える>を動詞とすると、文法上は<動詞連用形>+<える>が規則で、上記の例は例外といえる。例外でも存在し使われるので亜流とする。本流はもちろん<動詞連用形>+<える>だ。
1)可能形
上記の挿入部で
"
一方可能形は
取(と)る - 取れる (取りえる、ともいえる)
掴(つか)む - 掴める
押(お)す - 押せる
踏(ふ)む - 踏める
向(む)く - 向ける (向ける、は他動詞の用法もある)
掻(か)く - 掻ける
食う - 食える
となり、<動詞仮定形+る>の形式。
”
とも書いたがのもとの動詞はすべて五段活用。もう少し調べてみる。
<+える>可能を表す。<動詞連用形>+<える>
自動詞
行く(五段活用) --> 行きえる --> 行ける。 <行かれる>は主に被害受身、尊敬。
歩く(五段活用) --> 歩きえる --> 歩ける。 <歩かれる>は主に被害受身、尊敬。
上がる(五段活用) --> 上がりえる --> 上がれる。 <上がられる>は主に被害受身、尊敬。
なる(五段活用) --> なりえる --> なれる。 <なられる>は主に被害受身、尊敬。
助かる(五段活用) --> (助かりえる) --> (助けれる)。 <助けれる>は他動詞<助ける>の可能。<助けられる>も他動詞<助ける>で可能にも受身にもなる。一方<助かる>は主語がないとも言える変な動詞で別途検討とする。
来(く)る(変格活用) --> (きれる) --> <来(こ)れる>は可能。 <来られる>は可能、許可、被害受身、尊敬。 仮定は<来(く)れば>。
落ちる(上一段活用) --> 落ちえる --> 落ちれる、落ちられる。
起きる(上一段活用) --> 起きえる --> 起きれる、起きられる。
いる(上一段活用) -->(いえる)--> <いれる>は可能、許可。<いられる>は可能、許可、被害受身、尊敬。
できる(上一段活用) -->できえる --> (でける)
解ける(下一段活用) --> 解けえる --> (解けれる)
(問題が、謎が、紐が、氷が) <解ける>自体自発と可能の意がある。
寝る(下一段活用) --> 寝える --> <寝れる>可能、許可。<寝られる>は可能、許可、被害受身、尊敬。
ある(五段活用) -->ありえる --> (あれる) (<あらない>ではなく<あらず>)
他動詞
書く(五段活用) --> 書きえる --> 書ける 。 <書かれる>は主に受身。
読む(五段活用) --> 読みえる --> 読める。 <読まれる>は主に受身。
切る(五段活用) --> 切りえる --> 切れる。 <切られる>は主に受身。
知る(五段活用) --> 知りえる --> 知れる。 <知られる>は主に受身だが、<知れる>も主に受身だ。
聞く(五段活用) --> 聞きえる --> 聞ける。 <聞こえる>は<xxが聞こえる>で自動詞。
見る(上一段活用) --> 見える --> 見える。 <見える>は<xxが見える>で自動詞。
着る(上一段活用) --> (着える) --> 着れる、着られる。)。 <着られる>は受身にもなる。
食べる(下一段活用) --> 食べえる --> 食べれる、食べられる。 <食べられる>は受身にもなる。<食べれる>は間違い、邪道といわれるが、<食べられる>が可能も受身も(そして尊敬も)表してしまうので、可能には<食べれる>を使ったほうがよさそう。
たずねる (下一段活用) --> たずねえる --> たずねれる、たずねられる。 <たずねられる>は受身にもなる。
捨てる(下一段活用) --> 捨てえる --> 捨てれる、捨てられる。 <捨てられる>は可能にも受身にもなる。
する(変格活用) --> しえる --> しえる
五段活用は大体規則的。大体<動詞連用形>+<える>でも意味は通じ、使える。可能形を<仮定形+える>というよりは<連用形、xx i>+<eru> --> <xx eru>の変化と考えた方がいい。
上一段活用、下一段活用、変格活用はやや複雑だが、これらも大体<動詞連用形>+<える>でも意味は通じ、使える。<える>自体は下一段活用だ。
3音節 の<xx える>
機械的な作業だがやてみる。
あえる - 会える (会う)、和える(料理用語)(他)
いえる - 言える(言う)、射える(射る)、癒える(病気用語)(自)
うえる - 植える(他)、飢える(自)
ええる - ( )
おえる - 終える(他)、負える(負う)、追える(負う)
かえる - 帰る(自)、買える(買う)、飼える(飼う)、孵る(自)、変(替、代)える(他)
きえる - 消える(自)
くえる - 食える (食う)
けえる - ( )
こえる - 越える(他)、肥える(自)、請える(請う)。肥える(自)の他動詞は<肥やす>。
さえる - 冴える(自)
しえる - しえる (する)
すえる - 据える(他)、饐える(自)、吸える(吸う)
せえる - ( )
そえる - 添える、沿える(沿う)
たえる - 絶える(自)、耐える(<耐える>自体に可能の意がある)(自、他)。絶える(自)の他動詞は<絶やす>。
ちえる - ( )
つえる - ( )
てえる - ( )
とえる - 問える(問う)
なえる - 萎える(自)
にえる - 煮える(<煮える>は自動詞。<煮れる>は可能)
ぬえる - 縫える(縫う)
ねえる - ( )
のえる - ( )
はえる - 生える(自)、映える(自)、這える(這う)。生える(自)の他動詞は<生やす>。
ひえる - 冷える(自)。他動詞は<冷やす>。
ふえる - 増える(自)。他動詞は<増やす>。
へへる - ( )
ほえる - 吠える(自)
まえる - 舞える (舞う)
みえる - 見える(自、可能にもなる)
むえる - ( )
めえる - ( )
もえる - 燃える(自、可能にもなる)、萌える(自)。燃える(自)の他動詞は<燃やす>。
やえる - ( )
ゆえる - 結える (結う)
よえる - 酔える (酔う)
わえる - ( )
( )内に終止形を入れたものは可能形。
a) 語呂が悪いためか<xx e>+<える>という3音節 の<xx える>という動詞はない。
b) <xx える>可能形もけっこうあるが、そうでないのもけっこうある。
c) 可能以外では自動詞が多い。未然形+<える>には自発の意がある。
d) 他動詞が<xx やす>となる動詞はもともと<xx う(ふ)>ではなく<xx ゆ>だったようだ。肥ゆ、絶ゆ、生ゆ、冷ゆ、増ゆ、燃ゆ。
2)古語の終止形<-u>活用の連用形<-i>+<える>が<-eru>に変化
染む --> 染みえる --> 染める(他動詞)、染まる(自動詞)
答う --> 答ええる -->答える (他動詞のようだが、xxに答える。xxが答える、で自動詞)
決む --> 決みえる --> 決める(他動詞)、決まる(自動詞)
定む --> 定みえる --> 定める(他動詞)、定まる(自動詞)
燃(も)ゆ --> 燃ええる --> 燃える(自動詞)、燃やす(他動詞というよりは<燃ゆ>の使役形)
<まる>(自動詞)、<<める>(他動詞)は規則的だ。<まる-める>動詞ペアといえる。
3)<える>の他動詞化 (自動詞-他動詞ペア)
上がる - 上げる 上がる -->上がりえる -->上げれる
開(あ)く - 開ける 開く -->開(あ)きえる --> 開(あ)ける
当たる - 当てる 当たる -->当たりえる -->当てれる
埋まる - 埋める 埋まる -->埋まりえる -->埋めれる
終わる - 終える 終わる -->終りえる -->終えれる
変わる、代わる、替わる - 変える、 代える、替える
変わる -->変りえる -->変(代、替)えれる
決まる - 決める 決まる -->決まりえる -->決めれる
下がる - 下げる 下がる -->下がりえる -->下げれる
絞まる - 絞める 絞まる -->絞まりえる -->絞めれる
閉(し)まる - 閉める 閉(し)まる -->閉(し)まりえる -->閉(し)めれる
染まる - 染める 染まる -->染まりえる -->染めれる
立つ - 立てる (立たす)。<立たす>は<立つ>の未然形<立た>+す。
立つ -->立ちえる --> 立てる
貯まる -貯める 貯まる -->貯まりえる -->貯めれる
溜まる - 溜める 溜まる -->溜まりえる -->溜めれる
縮(ちぢ)む - 縮める 縮む --> 縮みえる --> 縮める
掴(つか)まる-、掴む 掴まる -->掴まりえる -->掴めれる <掴まれる>は<掴む>の受身、可能形。
付く - 付ける 付く -->付きえる --> 付けれる
詰まる - 詰める 詰まる -->詰まりえる -->詰めれる
とどまる - とどめる とどまる -->とどまりえる -->とどめれる
閉じる - 閉ざす <閉じる> は<xxが閉じる>、<xxを閉じる>で自/他動動詞。
閉じる-->閉じえる -->閉じれる
止まる - 止める 止まる -->止まりえる -->止めれる
泊まる - 泊める 泊まる -->泊まりえる -->泊めれる
始まる - 始める 始まる -->始まりえる -->始めれる
はまる - はめる はまる -->はまりえる -->はめれる
向く - 向ける、向かす 向く -->向きえる --> 向ける
休まる - 休める。 <休む> 休まる -->休まりえる -->休めれる
可能の<える>が自動詞の他動詞化として働く例は多くない。
開(あ)く -->開(あ)きえる --> 開(あ)ける
立つ -->立ちえる --> 立てる
付く -->付きえる --> 付ける
向く -->向きえる --> 向ける
<える>の主要な働きは可能だ。
しかし、以上の例でも 一部重複するがxx ゆ動詞ペアがあり、<まる-める>、<がるーげる>、<たるーてる>、<わるーえる>もペアで、<める>、<げる>、<える>の<xx eru>は他動詞組だ。
特に<まる-める>は特徴的で
攻む - せまる - せめる
絡む - からまる - からめる
溜む - たまる - ためる
止(と)む - とまる - とめる
止(や)む - やまる - やめる
また<まる-める>は形容詞の動詞化で使われ、きわめて規則的。
あかい ーあかまる - あかめる
かたい -かたまる - かためる
たかい - たかまる - たかめる
ひろい - ひろまる - ひろめる (ひろがる - ひろげる、というペアもある)
せまい(せばい) - せばまる - せばめる
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