Saturday, June 28, 2014

日本語の自動詞、他動詞-14、向く- 再帰動詞


<日本語の自動詞、他動詞-2>で次のように書いた。


西を向く。英語で to turn to west か?

実際の動作を正確に表現すると。

 西を向く --> 自分の体を西に向ける
 to turn to west   --> to turn oneself to west

で、日本語も英語も他動詞 --> 自動詞の変換がある。 これは文法上の大きな問題で別途検討。



検討してみる。

英語にはあまりないが、フランス語やドイツ語には再帰動詞表現と言うのがある。フランス語やドイツ語と違って日本語では<自分>が出てこない場合が多い、つまり明示されないので、見つけにくいが日本語で再帰動詞表現を探してみる。

くるまる  
布団(ふとん)にくるまる、 <くるまる>は自動詞
わが身をくるめる、 <くるめる>は他動詞

わが身をくるめる -> くるまる

その他の例

わが身をたてる -> 立つ
わが身をねかせる ->ねる(横になる)
わが身をかくす -> かくれる
わが身を伏せる -> 伏せる
わが目をさます  -> 目がさめる、目ざめる
太郎は窓から自身の頭(顔)を出す。  -> 太郎は窓から頭(顔)を出す。
(追加予定)


<ふせる>は他動詞だが、上の例の場合の右側の<伏せる>は自動詞になるのか?
<目がさめる>主語+自動詞

以上<わが>は一人称の<わたしの>ではなく<自身の>の意味だ。

<向く>も同じように考え

わが身を向かす -> 向く

これは大げさに言えば<他動詞-->自動詞位相変換>になる。 ここで<位相>はモノの見方(つれて表わし方にもなる)といった軽い意味だが、文法的にはおもしろい検討課題だ。


再帰動詞表現は自分の動作が自分に向かわないといけない。

わが身を傷つける -> 傷つく
わが身をほろ(滅)ぼす -> ほろびる

<傷つく>、<ほろびる>の場合は他人が<わが身>を傷つける、滅ぼす場合が多いので、純再帰動詞とは少し違う。


太郎は窓から自身の頭(顔)を出す。  -> 太郎は窓から頭(顔)を出す。

これは主語が三人称になっている。だが基本的には同じで、自分の動作が自分に向かっている。問題は<頭(顔)を出す>の出すが他動詞か自動詞かだ。<頭(顔)を出す>で<出る>は<を>を取るので他動詞のようだ。しかし

1)太郎は窓から頭(顔)を出す。



2)花子は窓から太郎の頭(顔)を出す。

を比較してみよう。2)は現実にはあまりおこりそうもないが可能で、これは明らかに他動詞。それに比べると1)は他動詞性がやや低いといえる。ただし頭(顔)が自然に出て来るわけではないので、やはり他動詞のようだ。<意見を出す>、<辞表を出す>の<出す>とは他動詞性が違う。では次の例はどうか?

木が芽(枝)を出す。

木の気持ち察(さっ)しがたいが、おそらく<芽(枝)を出す>意識はないだろう。そうするとこの<出す>は自動詞に近づく。これはおもしろい文法問題だ。再度もっと詳しく検討予定。いろいろおもしろそうな文法問題が残っている。


sptt



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