Thursday, June 19, 2014

ドイツ語の接頭辞(prefix) - 8 <unter->



ドイツ語接頭辞(prefix)のポストの第8弾<unter->。前回の<auf->とはほぼ逆の意の接頭辞だ。相良大独和辞典の<unter->の解説の概要は次の通り。


動詞の分離前綴りとして常にアクセントを持ち、通常本来の意味を(示す)、また動詞の不分離前綴りとしては常にアクセントを持たず、通常比喩的な意味を表わし<下に、下へ、従属、遮断、中止、転覆、扶助、保護>などの意を表わす。


日本語の複合動詞では<主に下方向への動(うごき)の動詞>を含むことが予想される。

落とす - 落ちる
おろす(下ろす、降ろす) - おりる
かがめる - かがむ
くだす(下す) - くだる
さげる(下げる) - さがる
沈(しず)める - 沈む
伏/臥(ふ)せる - <伏/臥(ふ)す>は古語。<身を伏/臥せる>のようにので形式上は一応他動詞。
掘(ほ)る - 掘れる    <掘(ほ)る>は必ずしも下方向ではない。トンネルを掘る。
もぐる (自動詞) - <もぐらす>は他動詞というよりは使役形。    

従属は<下へ>行く、<下に>ある
転覆は、上にあるモノを<下で>なにかをして倒す、こわす
扶助、保護は<下から>持つ


問題は遮断、中止だが、これは英語の<under->ではなく<inter->がつく動詞と相関関係がある。この大辞典の前置詞、副詞としての<unter>の項目には<inter->(zwischen = between)との関係の説明がある。すなわち、昔は<unter>に<under>に加えて<inter->(between)の意味もあったのだ。

<inter->がなぜ遮断、中止の意があるかと言うと、簡単に言えば、<inter->の後につく動詞によるが<進行中のモノ、コトの間に入って、進行を止めようとする>の意が生じるからだ。

to intercept - 間に入って取る
to interfere - 間に入って邪魔する。
to interrupt - 間を破壊する。中断させる。
to intervene - 間に来る。中には入って(来て)邪魔する。

日本語では<間で xx する>は長すぎ、気がつきにくいが<さす(差す)>が使われる。

差し入(い)れる
差し障(さわ)る- 自動詞。他動詞はないようだ。<さしさわり(名詞、体言)がある>でよく使う。
差し出る - 自動詞。他動詞は<差し出す>だが、<間で xx する>の意はない。
差しつかえる - 自動詞。他動詞はないようだ。<さしつかえ(名詞、体言)がある>でよく使う。
差し止める
差しはさむ

さて、英語では under とともにラテン語系 sub- (sup-, sur) の接頭辞がつく動詞も多い。

subdivide  -  unterteilen         細分する
subject  -  unterziehen        ゆだねる、まかせる
submerge  -  untertauchen     沈める
support  -  unterstrützen        ささえる
suppress  -  unterdrücken     押ししずめる


<下(下方)へ置く>は日本語では<おろす>という表現がある。相良大独和辞典を読んでいておもしろいのは、 <xx の下に置く>にもいくつか違った意味(動き)があることだ。

<xx の下に置く>から一番先に思い浮かぶのは

テーブルの下に箱を置く。

といった例だろう。これをもう少し正確に言うと

テーブルの下の空間に箱を置く。

となる。それでは

手紙を枕の下に置く。

はどうか。これをもう少し正確に言うと

手紙を敷布団(ベッドの場合は敷布か)と枕の間に置く。手紙を敷布団と枕の間に差し込む(入れる)。

となる。<手紙を枕の下に置く>と手紙が見えなくなる。また水にもぐったり、モグラのように地下にもぐると、見えなくなる。地下にもぐるる場合(underground)はかくれてよからぬことをすることが多いようだ。under table もよからぬことで、これも under table の行為はたからは見えなくなる。 <unter->がつく動詞の中には、この意味の動詞がいくつかある。

また、突然の雨降りのとき、のき下に雨宿りするという意味の<unter->動詞がいくつかある。

beim Regen sich unterstellen
beim Regen sich treten (駆け込む感じか)
sich untertun

<beim Regen>は<雨なので>の意。


sptt

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