Monday, December 31, 2018

<xx がる>についての考察 -5  いやがる、いやがらせ


<xxがる>シリーズのようになっているが、別のポスト ”<xx がる>についての考察 -4” で<いやがる>、<いやがあらせ>については簡単に 


いやがる - <いやい>という形容詞はない。<いやだ>で形容動詞扱いか。反対語では<すきがる>が考えられが、ほとんど聞かない。<いやがらせ>という厄介(やっかい)なのもある。



と書いた。もう少し考えてみいる。<いじめ>は社会問題になっているようだが、<いやがらせ>も好ましくない言動だ。

前に引用したが私の手もとの三省堂辞書の<がる>は<語尾、五型>(動詞活用がある語尾なのだ)として第一義は


いかにもそのような状況にあるという印象を与えるような言動をする。


第二義は


いかにもそうであるかのようにふるまう。



例として

暑がる、寒がる
強がる
悪(わる)がる
新しがる

をあげている。上記の例は上記の説明にあうが、他の例では上記の説明しきれないものがあり、前に調べてみた。<いやがる>、さらには<いやがらせ>は説明しきれない例だ。<いやがる>は上記の説明を使うと

第一義は

いかにも<いやだ>という状況にあるという印象を与えるような言動をする。

第二義は

いかにも<いやで>あるかのようにふるまう。

具体的な例として

母親が太郎に

おまえ、花子さんとの見合い、そんなにいやがらなくも、いいじゃないか。

実際のところ、状況にもよるが、一般的には太郎は<<いやだ>という状況にあるという印象を与えるような言動ををしている>でも<いかにも<いやで>あるかのようにふるまって>いるわけでもないだろう。太郎が<いやがっている>のは<印象をあたえる>、<xxxのようにふるまう>などの作為はないだろう。単純に<いやなのだ>。まあ母親から見ればこのような<作為>があるとみているのかもしれない。つまり、実際は<いや>ではないが、そのようにふるまっている、とみているのだ。最後の箇所は気がつきにくいが(文法、ひいては言語分析)肝心なところだ。言い換えると<母親の見方、想像>がかなり強く反映された(主観的)発話なのだ。

さて<いやがらせ>とは、これまた手もとの辞書によると


人のいやだと思うことをわざとしたり、言ったりすること。



(<したりすること>は重複だが、それはそれとして)と<いやがらせ>は<いやがらせる>の連用形体言(名詞)用法だが<<いやがらせる>というのは聞いたことがない。

いやがらせるな!

ではなく、

いやがらせするな!
いやがらせはするな!
いやがらせをするな!

で、もっぱら体言の<いやがらせ>が使われる。

<いやがらせる>は使われないようだが意味を考えてみる。

A:被害者-<いやがらせ>を受ける人
B:加害者-<いやがらせ>をする人

 <いやがらせる>は

Bが(は)Aをいやがらせる。

と使える。これだた使役、というよりは強要(むりやり xx させる)で

Bが(は)Aをむりやり<いやがる>ようにする。

でもいいが、日本語らしくない。

Bが(は)むりやりにAが<いやがる>ようにする。

使役が<させる>とすると

Bが(は)Aをむりやり<いやがる>ようにさせる。
Bが(は)むりやりにAが<いやがる>ようにさせる。

となるが、おかしい。

かなり複雑だが<いやがらせる>は使われないのだ。

<いやがる>と<いやがらせ>の違い。

<いやがる>は繰り返しになるが辞書の(定)義では

第一義は

いかにも<いやだ>という状況にあるという印象を与えるような言動をする。

第二義は

いかにも<いやで>あるかのようにふるまう。

で、このような場合もあるだろうが、<いやがらせ>を受けたときの反応としてはおかしい。実際の反応はたいていの場合<いやだ>という感情は本当のもので作為的(印象を与えるような言動、xx のようにふるまう)ものではない。<いやがらせる>方も作為的なニセモノの<いやがり>ではなく、本当の<いやがり>を求めるだろう。

使役の助動詞としては<す>、<さす>、<せる>がある。

行かす
行かさす
行かせる

使役の助動詞と書いたが<許可>の助動詞ともいえる。いずれも問題ない。いっぽう

いやがらす
いやがらさす
いやがらせる

は何かおかしい。<おかしい>わけは<がる>にあるといえよう。

辞書ノ定義に少し手を加えてみる。sptt-定義


sptt-第一義は

はたから見て、いかにも<いやだ>という状況にあるという印象を与えるような言動をする。

sptt-第二義は

はたから見て、いかにも<いやで>あるかのようにふるまう。


これは<太郎と母親>のはなしでも少しふれた。こうすると

sptt-第一義は

はたから見て、いかにも<いやだ>という状況にあるという印象を与えるような言動をする。

sptt-第二義は

はたから見て、いかにも<いやで>あるかのようにふるまう。


こう解釈すると、いやがらせを受けてている人の本当の状況(感情)は関係がうすれ、はたから見て、<いやだ>という状況にあるという印象を与えるような言動をしている、いかにも<いやで>あるかのようにふるまって、見えればいいのだ。もちろん<はた>のなかには<いやがらせ>をしている人もふくまれる。

話が複雑になるが、ダブル<がる>を考えてみる。

BはAに<いやがらせ>をして、Aが<いやがる>のを見て<おもしろがる>やつだ。

ここではBが<おもしろがる>場面をかんがえてみる。

BはAに<いやがらせ>をして、Aが<いやがる>のを見て本当に<おもしろ>と感じる邪悪な(意地(いじ)のわるい、いじわるな)人間の可能性がたかい。

第一義は

いかにも<おもしろい>という状況にあるという印象を与えるような言動をする。

第二義は

いかにも<おもしろい>ようにふるまう。

の見せかけの、作為的な<おもしろい>をしているわけではない。だが<はたから見ると>見せかけの、作為的な<おもしろい>をしている、のだ。いいかえると、はたからは<見せかけの、作為的な<おもしろい>をしているように見えるのだ。実際<はた>の人はBの本当に状況(感情)はわからない。

このように<はたのひと>をほとんど無意識的に背景に置いた<がる>表現では

いやがらす
いやがらさす
いやがらせる

は何かおかしくなるのだ。



sptt


Friday, December 28, 2018

英語の形容詞的現在分詞<xxx-ing>の日本語訳


前回のポスト ”英語の過去分詞<xxx-ed>と日本語の<xxx た>” の終わりのところで過去分詞<xxx-ed>との比較で現在分詞<xxx-ing>を調べているうちに<xxx-ing>と対応する日本語で新発見をしたので、忘れないうちにまとめておく。前回のポストのコピーになるが、<xxx-ing>にはつぎのような表現がある。


I am interested in  ( That is interesting)  

これも日本語では<私はxxに興味がある>でかなり違った構造の言い方になる。短いが主語、述語がある完全な文<興味がある>が含まれている。

I am exited in  (That is exiting)

これは日本語で<私はxxに興奮させらている> はまったく聞かない。<私はxxに興奮している>もたまに聞く程度。<エキサイトしている>というのもたまに聞く。<まあ、そう興奮するな!>、<まあ、そうエキサイトするな!>はよく聞く。むかし私が英会話を習っているときにアメリカ人が<That is exiting.>というのを聞いて、これはいいと思った記憶がある。



さてこの<That is exiting.>だが、人によっては<That is exiting me.>と言うだろう。<That is exiting.>と言う人も潜在意識、無意識、言外(implicit)では<me>があるのではないか?あるいはもっと一般的に<us>(これは具体的な<私たちを>と<私たちどなどを>のもっと一般的なのがあ>の場合があるかもしれない。同じような人(心情)関連の<xxx-ing>では

astonishing
boring
disappointing
embarrassing
exciting
fascinating
fooling
forcing
irritating
moving
pressing
satisfying
soothing
surprising

(追加予定)

がある。 これらは受け身でもよく使われる。

I am astonished.
I am bored.
I am disappointed.
I am embarrassed.
I am excited.
I am fascinated.
I am fooled.
I am forced.
I am irritated.
I am moved.
I am pressed.
I am satisfied.
I am soothed.
I am surprised.

受け身形の日本語訳は

I am astonished.   私はおどろいている。私はたじろいでいる。
I am bored.      私はたいくつだ。わたしはおもしろくない。
I am disappointed.    私はがっかりしている。
I am embarrassed.  私はどぐまぎしている。私はたじろいでいる。
I am excited.     私は興奮している。
I am fascinated.   私は魅了されている。私はうっとりしている。私は引き寄せられている。
I am fooled.     私はバカにされている。私はたぶらかされている。
I am forced.     私は強(し)いられている。
I am irritated.    私はイライラしている。
I am moved.     私は感動している。
I am pressed.     私はプレッシャーをかけらている。
I am satisfied.         私は満足している。
I am soothed.     私は癒I(いや)されている。
I am surprised.    私はおどろいている。

日本語の場合<私は . . . . . 。>と言うとその場での発話と言うようりは客観的な報告口調になり、英語での発話はかなりへだたりがあろ。この原因の助詞<は>を取り払って

I am astonished.   私、おどろいている。
I am bored.      私、たいくつだ。わたし、おもしろくない。(この意味で I am boring. は間違い。)
I am disappointed.    私、がっかりしている。
I am embarrassed.  私、どぐまぎしている。私、たじろいでいる。
I am excited.     私、興奮している。
I am fascinated.   私、魅了されている。私、うっとりしている。
I am fooled.     私、バカにされている。私、たぶらかされている。
I am forced.     私、強(し)いられている。
I am irritated.    私、イライラしている。
I am moved.     私、感動している。
I am pressed.     私、プレッシャーをかけらている。
I am satisfied.         私、満足している。
I am soothed.     私、癒I(いや)されている。
I am surprised.    私、おどろいている。

とすると、基本的に日本語として変だが、臨場感が少しでる。

日本語で多いのは受け身でない<xxxx ている>だ。

I am astonished.   私、おどろいている。
I am disappointed.    私、がっかりしている。
I am embarrassed.  私、どぐまぎしている。私、たじろいでいる。
I am excited.     私、興奮している。
I am fascinated.   私、うっとりしている。
I am irritated.    私、イライラしている。
I am moved.     私、感動している。
I am satisfied.         私、満足している。
I am surprised.    私、おどろいている。

日本語では受け身でなく自動詞が用いられている。さて<xxx-ing>にもどってこれが形容詞的な修飾使われた場合の日本語。

astonishing   おどろかす、おどろかさせる、びっくりさせる (人、できごと)
boring      飽(あ)き飽きさせる、たいくつな、おもしろくない (人、できごと)
disappointing  がっかりさせる (ひと、できごと)
embarrassing  どぎまぎさせる (人、できごと)
exciting     興奮させる (人、できごと)
fascinating   魅了させる、うっとりさせる  (人、できごと)
fooling     バカにする、たぶらかす (人)
forcing     強(し)いる (人、できごと)
interesting        興味をいだかせる 、おもしろい (人、できごと)
irritating    いらだたせる (人、できごと)
moving     感動させる (人、できごと)
pressing    プレシャーがかかる (人、できごと)
satisfying    満足させる (人、できごと)
soothing    癒(いや)す、癒さす (人、できごと)
surprising   おどろかす、おどろかさす (人、できごと)

純形容詞化した訳を除いてすべて他動詞だ。<強いる>はもともと使役の意があるので<強いさせる>は<誰かにxxさせる>の純使役でつかわれる。 他動詞自体は本来目的語がないといけない。

次に<xxx-ing>が叙述的な形容詞として使われた場合の日本語。

That is (Taro is) astonishing.   それは(太郎は)おどろかす、おどろかさせる、びっくりさせる。
That is (Taro is) boring.      それは(太郎は)飽(あ)き飽きさせる、たいくつだ、おもしろくない。
That is (Taro is) disappointing.  それは(太郎は)がっかりさせる。
That is (Taro is) embarrassing.  それは(太郎は)どぎまぎさせる。
That is (Taro is) exciting。     それは(太郎は)興奮させる。
That is (Taro is) fascinating.   それは(太郎は)魅了させる、うっとりさせる。
Taro is fooling.          太郎はバカにする、たぶらかす。
That is (Taro is) forcing.    それは(太郎は)強(し)いる。
That is (Taro is) interesting.     それは(太郎は)興味をいだかせる 、おもしろい。
That is (Taro is) irritating.    それは(太郎は)いらだたせる。
That is (Taro is) moving.    それは(太郎は)感動させる。
That is (Taro is) pressing.   それは(太郎は)プレシャーをかける。
That is (Taro is) satisfying.   それは(太郎は)満足させる。
That is (Taro is) soothing.   それは(太郎は)癒(いや)す、癒さす。
That is (Taro is) surprising.  それは(太郎は)おどろかす、おどろかさす。

右側の日本語は機械的にやった直訳で、実際にはまずこうは言わない。日本語として間違いともいえる。裏を返せば英文例が英語的なのだ。では日本語らしい日本語ではどう言うか?

それは(太郎は)おどろかす、おどろかさせる、びっくりさせる。
 ->それに(太郎に)はおどろかさせられる、びっくりさせられる。

それは(太郎は)飽(あ)き飽きさせる、たいくつだ、おもしろくない。
 ->それに(太郎に)は飽(あ)き飽きさせられる、たいくつさせられる。

それは(太郎は)がっかりさせる。
 ->それに(太郎に)はがっかりさせられる。

それは(太郎は)どぎまぎさせる。
 ->それに(太郎に)はどぎまぎさせられる。

それは(太郎は)興奮させる。
 ->それに(太郎に)は興奮させられる。

それは(太郎は)魅了させる、うっとりさせる。
 ->それに(太郎に)(は)魅了させられる、うっとりさせられる。

太郎はバカにする、たぶらかす。
 ->それに(太郎に)(は)バカにされる、たぶらかされる。

それは(太郎は)強(し)いる。
 ->それに(太郎に)(は)強いられる。

それは(太郎は)興味をいだかせる 、おもしろい。
 ->それに(太郎に)は興味をいだかさせられる。

それは(太郎は)いらだたせる。
 ->それに(太郎に)はいらだたせられる。

それは(太郎は)感動させる。
 ->それに(太郎に)は感動させられる。

それは(太郎は)プレシャーをかける。
 ->それに(太郎に)はプレシャーをかけられる。

それは(太郎は)満足させる。
 ->それに(太郎に)は満足させられる。

それは(太郎は)癒(いや)す、癒さす。
 ->それに(太郎に)(は)癒される、癒させられる。

それは(太郎は)おどろかす、おどろかさす。
 ->それに(太郎に)はおどろかさせられる。

以上はこれまた機械的にやったものでおかしいものあるが、その他は日本語として変ではない。<それに(太郎に)は>の<は>はくせもので<は>がなくても成り立つが日本語として変なものがある。元来<は>は主語を示す格助詞ではなく主題をしめす係助詞(副助詞)ということになっている。ここでは<それに(太郎に)>と前に<に>があるので<には>の前の<これ(太郎)>は明らかに主語ではない。注目したいのはこれに続く<おどろかさせられる、びっくりさせられる>以下ですべて受け身形になっている。逆戻りして

それは(太郎は)おどろかす、おどろかさせる、びっくりさせる。
 ->それに(太郎に)はおどろかさせられる、びっくりさせられる。

を英語に直すと

I am astonished (surprised) by that (by Taro).

などとなる。 英語では主語が必要でこのようになるが、日本語では主語がない。主語はないが発話状況を考えると

私はそれに(太郎に)はおどろかさせられる、びっくりさせられる。

<は>が重なるので

私はそれに(太郎に)おどろかさせられる、びっくりさせられる。

の方がよさそうだが、これまた変な日本語だ。堂々巡(めぐ)りになっているが、これは承知の上でさらに話をすすめる。

私はそれに(太郎に)はおどろかさせられる、びっくりさせられる。

をもう一度考えてみると

私は>は主題で<誰かと言えば>、<誰について言っているのかといえば>という暗黙の問いに対する回答。だがこう大げさにいわなくて主題としておく。<それに(太郎に)は>は副主題ともいえ<何におどろかされていると言えば>の暗黙の問いに対する回答。<は>がない<それに(太郎に)>は副主題ではなく<何におどろかされている原因、理由>を示している。このような意味が助詞<に>にある。

さらに一歩すすめて上の受け身形のに日本語を能動にしてみる。

それは(太郎は)おどろかす、おどろかさせる、びっくりさせる。
 ->それに(太郎に)はおどろかさせられる、びっくりさせられる。
 ->(私は)それに(太郎に)おどろく(いている)、びっくりする(している)。

それは(太郎は)飽(あ)き飽きさせる、たいくつだ、おもしろくない。
 ->それに(太郎に)は飽(あ)き飽きさせられる、たいくつさせられる。
 ->(私は)それに(太郎に)飽(あ)き飽きする(している)、たいくつする(している)。 

それは(太郎は)がっかりさせる。
 ->それに(太郎に)はがっかりさせられる。
 ->(私は)それに(太郎に)がっかりする(している)。

それは(太郎は)どぎまぎさせる。
 ->それに(太郎に)はどぎまぎさせられる。
->(私は)それに(太郎に)どぎまぎしている。

それは(太郎は)興奮させる。
 ->それに(太郎に)は興奮させられる。
->(私は)それに(太郎に)興奮している。

それは(太郎は)魅了させる、うっとりさせる。
 ->それに(太郎に)(は)魅了させられる、うっとりさせられる。
->(私は)それに(太郎に)うっとりしている。

太郎はバカにする、たぶらかす。
 ->それに(太郎に)(は)バカにされる、たぶらかされる。
->(私は)それに(太郎に) これは自動詞化はダメ。 <バカにする>、<たぶらかす>は他動詞。自動詞がない。

それは(太郎は)強(し)いる。
 ->それに(太郎に)(は)強いられる。
->(私は)それに(太郎に)  これも自動詞化はダメ。<強いる>は強(つよ)い他動詞。自動詞がない。

それは(太郎は)興味をいだかせる 、おもしろい。
 ->それに(太郎に)は興味をいだかさせられる。 <興味をいだかせる>は助詞<を>がある句だ。
 ->(私は)それに(太郎に)興味をいだいている。

それは(太郎は)いらだたせる。
 ->それに(太郎に)はいらだたせられる。
  ->(私は)それに(太郎に)いらだっている。

それは(太郎は)感動させる。
 ->それに(太郎に)は感動させられる。
 ->(私は)それに(太郎に)感動している。

それは(太郎は)プレシャーをかける。
 ->それに(太郎に)(は)プレシャーをかけられる。 <プレシャーをかける>は文だ。
->(私は)それに(太郎に) これも自動詞化はダメ。

それは(太郎は)満足させる。
 ->それに(太郎に)は満足させられる。
 ->(私は)それに(太郎に)満足している。

それは(太郎は)癒(いや)す、癒さす。
 ->それに(太郎に)(は)癒される、癒させられる。
 ->(私は)それに(太郎に)癒える(癒えている)。

それは(太郎は)おどろかす、おどろかさす。
 ->それに(太郎に)はおどろかさせられる。
 ->(私は)それに(太郎に)おどろく(おどろいている)。

能動態にかえた日本語は自然だ。さて以上の自然な能動態の日本語ともとの英語を並べてみる。

(私は)それに(太郎に)おどろく(いている)、びっくりする(している)。
 That is (Taro is) astonishing.  

(私は)それに(太郎に)飽(あ)き飽きする(している)、たいくつする(している)。 
 That is (Taro is) boring.   

(私は)それに(太郎に)がっかりする(している)。
 That is (Taro is) disappointing.  

(私は)それに(太郎に)どぎまぎしている。
 That is (Taro is) embarrassing. 

(私は)それに(太郎に)興奮している。
That is (Taro is) exciting。 

(私は)それに(太郎に)うっとりしている。
That is (Taro is) fascinating.

私は)それに(太郎に)興味をいだいている。
That is (Taro is) interesting.    

 (私は)それに(太郎に)いらだっている。
That is (Taro is) irritating.

(私は)それに(太郎に)感動している。
That is (Taro is) moving. 

(私は)それに(太郎に)満足している。
That is (Taro is) satisfying. 

(私は)それに(太郎に)癒える(癒えている)。
That is (Taro is) soothing. 

(私は)それに(太郎に)おどろく(おどろいている)。
That is (Taro is) surprising.  

以上は英語はそれなりに英語らしく、日本語もそれなりに日本語らしいと言えないか。日本語<(私は>)は初めの方で書いた英語表現の<That is exiting (me).>のかくれた<me>に相当するといえないか。実際日本語で<私は>と口に出すとなにか翻訳調になる。

これで終わりそうだがまだまだ続く。<私は>を取り払い、ついでに<xxx する(xxx している)>に統一すると。

 それに(太郎に)おどろく(いている)、びっくりする(している)。
 That is (Taro is) astonishing.  

それに(太郎に)飽(あ)き飽きする(している)、たいくつする(している)。 
 That is (Taro is) boring.   

それに(太郎に)がっかりする(している)。
 That is (Taro is) disappointing.  

それに(太郎に)どぎまぎする(している)。
 That is (Taro is) embarrassing. 

それに(太郎に)興奮する(している)。
That is (Taro is) exciting。 

それに(太郎に)うっとりする(している)。
That is (Taro is) fascinating.

それに(太郎に)興味をいだく(いている)。
That is (Taro is) interesting.    

それに(太郎に)いらだつ(っている)。
That is (Taro is) irritating.

それに(太郎に)感動する(している)。
That is (Taro is) moving. 

それに(太郎に)満足する(している)。
That is (Taro is) satisfying. 

それに(太郎に)癒える(癒えている)。
That is (Taro is) soothing. 

それに(太郎に)おどろく(おどろいている)。
That is (Taro is) surprising.  

英語の方が<xxx-ing>なので<xxxしている>がよさそうだが、この<xxx-ing>は進行形ではない。日本語の<xxx している>も進行形ではなく状況をあらす形容詞に近い。進行形の日本語訳はふつう<xxx しているところだ>、過去であれば<xxx していたところだ>となる。おもしろいのは動詞だけの場合で、<は>は曲者(くせもの)だがこんどは<は>をつけて並べてみる。

 それに(太郎に)はおどろく、びっくりする。
 That is (Taro is) astonishing.  

それに(太郎に)は飽(あ)き飽きする、たいくつする。 
 That is (Taro is) boring.   

それに(太郎に)はがっかりする。
 That is (Taro is) disappointing.  

それに(太郎に)はどぎまぎする。
 That is (Taro is) embarrassing. 

それに(太郎に)は興奮する。
That is (Taro is) exciting。 

それに(太郎に)はうっとりする。
That is (Taro is) fascinating.

それに(太郎に)は興味をいだく。
That is (Taro is) interesting.    

それに(太郎に)はいらだつ。
That is (Taro is) irritating.

それに(太郎に)は感動する。
That is (Taro is) moving. 

それに(太郎に)は満足する。
That is (Taro is) satisfying. 

それに(太郎に)は癒(い)える。
That is (Taro is) soothing. 

それに(太郎に)はおどろく。
That is (Taro is) surprising.  

今度はかなりふつうの日本語になっている。しかもその場の状況の説明というよりはそれぞれ簡潔な表明になっている。動詞は自動詞だ。英語ではこうはいかないだろう。

さて最後。冒頭で<<xxx-ing>と対応する日本語で新発見をしたのでとかいたが、これまで書いてきたのは新発見とは関係なく、気のおもむくままに書いたもの。新発見というには

最後の例文、例えば

それに(太郎に)はおどろく、びっくりする。

は少し逆戻りして

(私は)それに(太郎に)(は)おどろく、びっくりする。

だが、<私は>の部分を<私の心は(が)>で置き換えが可能なのだ。曲者の<は>は今度は取り去る。

私の心はそれに(太郎に)おどろく、びっくりする。
 That is (Taro is) astonishing.  

私の心はそれに(太郎に)飽(あ)き飽きする、たいくつする。 
 That is (Taro is) boring.   

私の心はそれに(太郎に)がっかりする。
 That is (Taro is) disappointing.  

私の心はそれに(太郎に)どぎまぎする。
 That is (Taro is) embarrassing. 

私の心はそれに(太郎に)興奮する。
That is (Taro is) exciting。 

私の心はそれに(太郎に)うっとりする。
That is (Taro is) fascinating.

私の心はそれに(太郎に)興味をいだく。
That is (Taro is) interesting.    

私の心はそれに(太郎に)いらだつ。
That is (Taro is) irritating.

私の心はそれに(太郎に)感動する。
That is (Taro is) moving. 

私の心はそれに(太郎に)満足する。
That is (Taro is) satisfying. 

私の心はそれに(太郎に)癒(い)える。
That is (Taro is) soothing. 

私の心はそれに(太郎に)おどろく。
That is (Taro is) surprising.  

<は>は<が>でもいい。独りよがりだが、なにか斬新で詩的な感じがしないだろうか?


sptt




















Tuesday, December 25, 2018

英語の過去分詞<xxx-ed>と日本語の<xxx た>

 
形容詞ではないが英語の動詞完了形<xxx- ed>と日本語の<xxx た>は修飾語あるいは述語として同じようなところがあるが、ちがうところも多い。思いつくままに比較してみる。

tired  - 疲(つか)れた。

I am tired. - 私は疲れた。私は疲れている。

英語の方はあまり聞かないが to tire という他動詞があり、<疲れさす>の意。tired はこの他動詞 to tire の過去分詞で、<I am tired.>は受け身形だ。だが、<tired>を形容詞、述語としてみることもできる。とくに I am tired. は母国語人でも<疲れさせらた>、<疲れさせらている>とは思っていないだろう。 tiring、tiresome というのもときどき見かける。直訳は

I am tired. - 一般的な叙述は<私は疲れさせらる>で、中立、習慣をあらわす。こういう場合もあるがふつうは<私は疲れさせらている>と具体的な叙述になる。時制は is がになっており現在形。一方日本語の方は

私は疲れた。 - これが普通の言い方だろう。これは過去、完了の<た>が使われているので、文字上の意味は現在形でなく過去、完了だ。だが実際には<私は疲れている>の意に近く、現在の状態をあらわしているといえる。<疲れた>は自動詞<疲れる>に過去、完了の助動詞<た>がついたものだ。過去をあらわそうとすると<(あの時)私は疲れていた>となる。

現在形: 私は疲れている。
過去形: 私は疲れていた。

なのだ。<疲れて>の<て>は<た>の連用形で、ほとんで意識されないが<疲れて>には過去、完了が含まれてることになる。だが

太郎は私の家に来ている。
花子は学校に行っている。

はいいが

次郎は家に帰って、勉強している。
美代子は家に帰って、食事のしたくをしている。

は現在のことをのべている。<勉強して>、<食事のしたくをして>の<て>は<た>の連用形ではないのか? その前の<帰って>の<て>はそれほど意識はないが完了と言える。

勉強はしている。 --> 勉強はしてある。
食事のしたくはしている。 --> 食事の準備はしてある。

勉強、食事のしたくは人ではなく、<こと>なので<てある>となる。

<勉強して>、<食事のしたくをして>の<て>は<た>の連用形ではないのか?の答えは<<た>の連用形ではない>といえる。例はいくらでもある。

次郎は家に帰って、勉強してくる。
美代子は家に帰って、食事のしたくをしてくる。

も<帰って>は未来ののことだが、完了と言える。 <勉強してくる>、 <食事のしたくをしてくる>の<て>は完了でも過去でもない。

<xx てくる>は未来にのことだ。

行ってくる
買ってくる
借りてくる
もらってくる
働いてくる (仕事をしてくる)
休んでくる (<で>は<て>の音便)

しかし、この<くる>は<xx して(xx を済ませてから)から帰って(戻って)くる>の意があるにで完了の意があるといえる。

<行く>はどうか?

行って行く - これはダメだ。
買って行く - これからもずっとここで<買って行く>。
借りて行く - これからも続けて君から<借りて行く>。
もらって行く - これからはときどき姉から<もらっていく>ことにする。
働いて行く - これからもしばらくは<働いて行く>。
休んで行く - これからはここでときどき<休んで行く>ことにする。

以上の<て>には完了の意はない。何の意があるかと言うと<これからする=行く>内容だ。<来る>、<行く>は元(もと)の意味からズレて少し複雑な意味をもっている。これが<て>に影響しているのか?単なる<つなぎ>ではない。 単なる<つなぎ>というのは

読んで寝る
テレビを見て寝る
起きて食べる
玄関を出て(バス停へ)歩く
席を立って出ていく

以上は

読んで、それから寝る
テレビを見て、それから寝る
起きて、それから食べる
玄関を出て、それから(バス停へ)歩く
席を立って、それから出ていく

となるので<て>は完了といえる。この言い方は相当多い。

悲しんで泣く
びっくりして席を立つ
怒(おこ)ってどなりちらす
疲れて眠る

以上は因果関係がある。時間的な順序があるので(原因->結果)原因は完了と言える。

疲れて帰る
疲れて行く(去る、出ていく)

喜んで帰る
喜んで行く(去る、出ていく)

急いで帰る
急いで行く(去る、出ていく)

泣いて帰る
泣いて行く(去る、出ていく)

以上は因果関係ではなく<xxする(した)>時の状態をしめしている。この状態は、<xxする(した)>時と同時発生もありうるだろうが(*)、大体は英語の現在完了(過去におこってそれが現在まで続いている)に相当する。

(*)
びっくりして立ち上がる。
おこって帰る。

ほぼ同時発生だが因果関係、前後関係がある。

以上基本的には日本語の<xxx た>は完了の意を含んだ修飾語といえる。

一方英語の過去分詞<xxx-ed>は、形は過去、完了形だが、修飾語としては受け身の意で使われる場合が圧倒的に多いようだ。

a house built by Taro
a book written by Hanako
the present given from Jiro
the complain raised by Miyoko

以上を直訳すると

太郎によって建てられた家
花子によって書かれた本
次郎から与えられた(もらった)プレゼント
美代子から出された苦情

となる。だが、日本語では日常でこのように言うことはまずない。正常な日本語ではないのだ。 ではどう言うかというと

(これは)太郎が建てた家(です)
(ここに)花子が書いた本(がある)
次郎があげたプレゼント(は . . . . .)
美代子が出した苦情(は . . . . .)

となる。(不定冠詞、定冠詞意味分けをしたつもりでの訳)。英語に比べ直接的、簡単。しかも主語がある文章にちかい。一方英語の方は関係代名詞を使うと

a house which was built by Taro
a book which was written by Hanako
the present which was given by (from) Jiro
the complain which was raised by Miyoko

いずれも受け身かつ過去形になっている。現在形はどうか?

a house which is  built by Taro
a book which is written by Hanako
the present which is given by (from) Jiro
the complain which is raised by Miyoko

(これは)太郎が建てる家(です)
(ここに)花子が書く本(がある)
次郎があげるプレゼント(は . . . . .)
美代子が出す苦情(は . . . . .)

一番目と二番目はある状況ではダメではないが、何かおかしい。背景がない

太郎が建てる家
花子が書く本

自体は問題ない。だがこれは一般的記述で、一般論として

太郎が建てる家は. . . . .
花子が書く本は. . . . .

なら問題ない。これは英語の不定冠詞、定冠詞の問題と関連がありそうでおもしろそうだが、このポストは不定冠詞、定冠詞の話ではないので、<I am tired. - 私は疲れた。私は疲れている。>の問題に戻る。文法上似た表現に
 
I am interested in  ( That is interesting)  

これも日本語では<私はxxに興味がある>でかなり違った構造の言い方になる。短いが主語、述語がある完全な文<興味がある>が含まれている。

I am exited in  (That is exiting)

これは日本語で<私はxxに興奮させらている> はまったく聞かない。<私はxxに興奮している>もたまに聞く程度。<エキサイトしている>というのもたまに聞く。<まあ、そう興奮するな!>、<まあ、そうエキサイトするな!>はよく聞く。むかし私が英会話を習っているときにアメリカ人が<That is exiting.>というのを聞いて、これはいいと思った記憶がある。

I am surprised.
I am disappointed.
I am pleased. (これも<わたしは喜ばされてる>という感覚はないだろう)

だいぶ前に書いたことがあるが、英語では一語の純形容詞、日本語では完全な文章というのがある。

I am hungry.   わたしはおなかがすいている。おれは腹がへっている。
I am thirsty.   わたしはのどがかわいている。

主語はないが <xxxている>となるもの。

This is dirty.  これはよごれている (<これはきたない>でもいい)
He is angry.  彼は怒(おこ)っている。
She is drunken.  彼女は酔っている。
Hanako is satisfied.  花子は満足している。


本来は初めに来るはずだった過去分詞<xxx-ed>の形容詞的な修飾の例。

a boiled egg  ゆで卵。 poached egg、scrambled egg というのもある。 <ゆで>は<ゆでる>の連用形<ゆで>の名詞(体言)用法。
broken dream やぶれた夢    くだかれた野望は a broken wild hope か? <くだけた野望>という言い方も可能だ。(to break は他動詞、自動詞両刀使い)
a damaged fame  傷つけられた名声
a broken leg of the chair  椅子のこわれた足
a broken promise やぶられた約束
broken shoes  やぶれた靴(一足) <ゆで卵>の例にならうと<やぶれ靴>でこちらの方が日本語らしい。ときどき聞く<やぶれ傘>は何か特別の意味があるのか?
a broken window (glass) こわれた窓、われた窓ガラス(<こわされた>でもよさそう)
depressed feeling  意気消沈した心境、落ち込んだ心境
dried fruits  乾燥くだもの。<ドライフルーツ>の方が通りがよさそう。あまり聞かないが形容詞の dry を使った dry fruit (ドライフルーツ)は<ひからびたくだもの>になるか?
fallen fame  落ちた名声 (to fall は自動詞)
fallen leaves  落ちた木の葉
a water filled bottle (水で満たされた瓶) <-> an empty bottle
the flattened ground  (平らに)ならされた土地  flatten  <- 形容詞 flat
a hidden secret  かくされた秘密。 to hide は自他両刀なので< かくれた秘密>にもなる。これは特におもしろくないが a disclosed secrete は<暴露された秘密>で注目を引く。an open secrete は暴露される過程はなく、状態を示している。
the locked door   カギがかかった(かけられた)ドア、 the closed door は<とじられた(しめられた)ドア>。to close は他動詞、自動詞両刀使いなので、<とじている(しまっている)ドア>の場合もある。
an inflated balloon   ふくらんだ風船(気球)
an inflated report  誇張された報告
loved persons (ones)   愛された(ている)人々
naked lily  (彼岸花のこと。 この naked はほぼ純形容詞に近い。もとの動詞は to nake か?)
naked eyes  裸眼
an organized crime  組織犯罪。組織された犯罪。< 組織犯罪>は組織(名詞)+犯罪(名詞)の単純接続で、文字通ででは<組織の犯罪>。
a passed event   過ぎ去った出来事 (この to pass は自動詞)
a postponed schedule   延期されたスケジュール
a rotten apple  くさったリンゴ
a spoiled child  甘やかされたこども
a staffed animal  ぬいぐるみ。これはアメリカ英語でイギリス英語は a teddy bear。
a stolen wallet  盗まれた財布
a suspended discussion  中断された論議
a trusted person  信頼されている人、信頼できる人

(追加予定)

以上は日常よく使われるもの、聞いたこと、見たことがあるものだが、いくらでもありそう、作れそう。
主に受け身だが概して過去または<過去から現在>が絡んでいる。おもしろいのは自他兼用動詞、自動詞の場合だ。自動詞には受け身がない。

a broken window (glass) こわれた窓、われた窓ガラス(<こわされた>でもよさそう)
fallen leaves  落ちた木の葉  (受け身の意味はまったくない)
a passed event   過ぎ去った出来事 (受け身の意味はまったくない)
the closed door  は<とじられた(しめられた)ドア>。。to close は自動詞もあるもで、<とじている(しまっている)ドア>の場合もある。これは過去のことではなく過去->現在のアスペクトだ。だが英語では xxxx-ed、日本語では<<とじいる(しまっいる)>で<て+いる>の構造だ。<とじた(しまった)ドア>も間違いではないが、あまりきかない。

私だけかもしれないが

くだけた野望
こわれた窓、われた窓ガラス
落ちた木の葉
過ぎ去った出来事

は詩的な感じがする。これ人為が働いていないからだろう。

過去分詞<xxx-ed>(発音が似ている)もどきの形容詞がある。

a bankrupt company    倒産した(つぶれた)会社
a corrupt official   腐敗役人

ところで英語には現在分詞<xxx-ing> がある。これは過去分詞<xxx-ed>に似て

be + xxx-ing

として現在進行形を作るとともに形容詞的に修飾語としても使われる。

a boring job、an exiting job、an interesting job、a tiring job
a climbing plant  (這いのぼる)つる性植物   (to climb は自他両刀)
falling fame  落ちかけている名声  (to fall は自動詞)
an interesting novel, story  
an opening ceremony    (to open は自他兼用動詞)  和製英語か。
opening hours  英語では見たこと、聞いたことはないが<開店時間>の意になるか。 和製英語か。
pulling force  引っ張り力
the rising sun  (to srise は自動詞)
a sinking boat  沈んで行く船 (to sink は自動詞)
a sleeping baby, dog
a sleeping beauty   <眠れる美女>か?
sleeping time  睡眠時間  過去(眠った時間)でも slept time とは言わないようだ。(to sleepは自動詞)
a sliding door  (左右に)スライドさせて開け閉めするドア (to slide は自動詞)
a swimming pool  (to swim は自動詞)
a walking dictionary (to walk は自動詞)
walking distance    歩く距離、歩いた距離
working hours  就業時間 (to work は自動詞)
a working place  仕事場

(追加予定)

以上は日常よく使われるもの、聞いたこと、見たことがあるものだが、これまたいくらでもありそう。

修飾語としての<xxx-ing>は現在形のようだが

The once exiting job is now boring.
That was an interesting story three months ago.

といえるのであくまで名詞の修飾で時制とは関係ないようだ。

形容詞型の修飾語<xxx-ing>については調べているうちに新発見をしたので、次のポストでさらに検討する予定。


sptt











Monday, December 24, 2018

推量の助動詞<かもしれない>、<だろう>


前回のポスト<>の冒頭で次のように書いた。


手元の三省堂辞書の末尾にある<助動詞>表では推量の<助動詞>として

xxx らしい (終止形)
xxx ようだ (終止形)  漢字の<様>の字がないので、純日本語(大和言葉)のように見える。

そのほかに
xxx べし (終止形)  <べし>は漢文でよく出てくるので漢語(中国語)のように聞こえるが、れっきとした大和言葉だ。
xxx まい (終止形)
xxx みたいだ (終止形)

が取り上げられている。<xxx みたいだ>は少し長いので<純>助動詞ではなく助動詞句>というべきか。辞書では<見たような>がなまって<みたい>になったとある。<みたい>の<い>に注目しよう。形容詞語尾ともいえる。そして<だ>がついた。



英語を学んでいると

may 推量の助動詞 かもしれない

という簡単な説明があり、学ぶ方はおおかた<may = かもしれない>と 覚え、訳すことになる。だが<かもしれない>は日本語では助動詞ではない。また may とくらべてかなり長い。さらに may が肯定表現であるにもかかわらず<しれない>は<しる>の未然形<しら>+否定の(形容詞)<ない>で否定表現だ。<かも>は疑問の<か>+追加の<も>でやや複雑。<??>といったところか。ここは疑問というよりは不確実として、<不確実>を<知らない>で<???>とでもなるか。かなりな不確実な推定となる。助動詞<みたいだ>は語源を忘れてしまっているが、<かも>も<知らない>も忘れて<かもしれない>を一語の助動詞となる日がくるかもしれない。<xxx らしい>、<xxx ようだ>の確実度合は50-70%だろう。<みたいだ>もだいたいこの辺だろう。

上記の辞書にはないが<xxx だろう>という表現がある。意味は推量といえる。<xxx だろう>の方は、個人差があるが、わたしの感覚では確実度合は70-90%。<だろう>の<だ>は断定の<だ>だろう。<ろう>は<らし>が変化したものだろう。<xxxだ>+<ろう>で、一旦断定して推量を付け足している格好だ。

天気予報で責任軽減のため、降水確率に加えて

今日の午後は雨らしい。  <らしいだ>は間違いなので<らしいです>も間違いだろう。

今日の午後は雨らしいようだ(です)。
今日の午後は雨のようだ(です)。
今日の午後は雨みたいだ(です)。
今日の午後は雨だろう(でしょう)。

と言い分けができるかもしれない。

上で<<xxxだ>+<ろう>で、一旦断定して推量をつけたしている格好だ>と書いたが辞書の末尾の助動詞活用表をよく見ると

断定の<だ>の活用<だろ>+未来の<う>ということになる。だが<だろ>という活用は考えにくい。内容としとては断定の<だ>+不確定の未来の<う>で<だ>+<ろう>と同じになる。

-----

<だろう>と構成が似ているのに<たろう>がある。これも辞書では過去、完了の<た>の活用<たろ>+ 未来の<う>と読める。だが<たろ>という活用は考えにくい。過去、完了と未来は英語のように結びつくだろうが、これまた同じくこれは過去、完了の<た>+推定の<ろう>だろう。意味としては文字通り過去、完了のことを推定するのだ。

おまえ、そう言ったろう

とも

おまえ、そう言っただろう

ともいえる。

あなた、そう言ったでしょう。

という言い方もある。これまた辞書の活用表からすると、<でしょう>は<です>の活用<でしょ>+未来の<う>だ。だがこれまた<でしょ>という活用は考えにくい。ではどう解釈するか。<でしょ>は

<です>+<よう>(<よう(様)>は動詞の連体形につく) -> ですよう ->でしよう ->でしょう

だが以上の3例の場合、基本的には過去の推量だが、念押し、確認、<思い出させ>の意になっている。

過去、完了の推定はいいが、未来の推定はどうか。現在についての推定というのはないだろう。現在の時点で過去のこと、未来のことを推定する。

おまえ(は)そう言うろう
おまえ(は)そう言うだろう

< おまえ(は)そう言うろう。>はダメだ。<ろう>はダメなのだ。だが昔は<言うらし>という言い方ができた。

あなた(は)そう言うでしょう。 (上に<今日の午後は雨でしょう>がある。)

日本語の現在形は未来もあらわせるので

おまえ(は)そう言う。

となるが、変だ。



sptt

Monday, December 17, 2018

大和言葉<xxx らしい>と漢語<xxx (の)よう(様)だ>の対決


前回のポスト<長いがおもしろい形容詞 (xxxx しい)>で<xxx しい>形容詞を調べてみたが、調べてみているうちに<xxx らしい>と<xxx よう>との違いを調べたくなった。手元の三省堂辞書の末尾にある<助動詞>表では推量の<助動詞>として

xxx らしい (終止形)
xxx ようだ (終止形)  漢字の<様>の字がないので、純日本語(大和言葉)のように見える。

そのほかに

xxx べし (終止形)  <べし>は漢文でよく出てくるので漢語(中国語)のように聞こえるが、れっきとした大和言葉だ。 べからず(未然形)-べき(連用形)-べし(終止形)-べき(連体形)-べければ(仮定形、古語の已然形か?)という変形活用だ。
xxx まい (終止形)
xxx みたいだ (終止形)

が取り上げられている。<xxx みたいだ>は少し長いので<純>助動詞ではなく助動詞句>というべきか。辞書では<見たような>がなまって<みたい>になったとある。<みたい>の<い>に注目しよう。形容詞語尾ともいえる。そして<だ>がついた。

あなた、こどもみたい。
おまえ、こどもみたいだ。

<だ>はなくてもいい。これは<xxx ようだ>にもいえる。

まるで夢のよう。
まるで夢のようだ。

<だ>は断定というよりは付け足しのようだ。これはひとつのポイント。<xxx らしい>との対決のひとつのポイントだ。(ポイント-1)。

<xxx らしい>は古語<xxx らし>に現代語の形容詞語尾ともいえる<い>がついたものだ。一方<xxx (の)ようだ)>は上述のように漢語<様>由来。大和言葉では<さま>という読み方がある。<さま>は<様子(ようす)>の意に近い。<様>も<様子>も現代中国語でよく使われる。昔もよく使われていただろう。<らしい>は、意味的には<xxx しい>形容詞に似ているところがある。形容詞には<純>形容詞>ともいえる

白い、黒い、赤い、青い (昔は白し、黒し、赤し、青し、といった。)
長い、短い、高い、低い、大きい、小さい (昔は長し、短し、高し、低し、小さし、といった。<小さき家、とは言うが<大きき家>とは言わない。<大きなる家>か? これは<大きい>の<き>が形容詞連体形語尾<き>と続き語呂が悪いためだろう。)

などがあり、これらは直接的な形容で<xxx らしい>、<xxx のよう(な)>という間接的な形容ではない。直接的な形容の<純>形容詞>は簡単に間接的な形容になる。

白いらしい、黒いらしい、赤いらしい、青いらしい
長いらしい、短いらしい、高いらしい、低いらしい、大きいらしい、小さいらしい

白いようだ、黒いようだ、赤いようだ、青いようだ
長いようだ、短いようだ、高いようだ、低いようだ、大きいようだ、小さようだ

もちろん<白い>と<白いらしい>、<白いようだ>は意味が違う。<白い>が直接的な形容、<白いらしい>、<白いようだ>は間接的な形容だ。<間接的な形容>というのはあとででくるが、<xx にふさわしい>、<xx ににつかわしい)>、<xx に似ている>、<xx にほぼひとしい、同じ>といった意味を含んだ形容のことだ。

助動詞<らしい>、<ようだ>は動詞について

太郎は行くらしい。
太郎が行くらしい。
花子は来るらしい。
花子はが来るらしい。

これは文法用語では<推定>ということになっているが。辞書では<伝聞>の助動詞として<xxxそうだ>があるが、<らしい>は<伝聞>でもよさそう。<伝聞>は<伝え聞くところ(によると)>といった意味になる。<推定>も<伝聞>も背景には不確定、さらに一般化すると<不定>がある。<行く><来る>は動詞で、<らしい>は動詞の終止形(連体形かも)についている。<白いらしい>も<伝聞>といえるが、動詞ほどの<伝聞性>はなく<推定>、<不確定>の方がよさそう。接続では<らしい>は形容詞の場合も終止形(連体形かも)につく。

いっぽう<xxx ようだ> は

太郎は行くようだ。
太郎が行くようだ。
花子は来るようだ。
花子が来るようだ。

 微妙なところ(または個人差)があるが伝聞性が<らしい>より薄いか?しかし

(聞くところによると)太郎は行くらしい。
(聞くところによると)太郎が行くらしい。
(聞くところによると)花子は来るらしい。
(聞くところによると)花子はが来るらしい。

(聞くところによると)太郎は行くようだ。
(聞くところによると)太郎が行くようだ。
(聞くところによると)花子は来るようだ。
(聞くところによると)花子が来るようだ。

で問題ない。<聞くところによると>が伝聞を表わしてしまっているが、<ようだ>はこれと折が合わないというわけではない。

<らしい>については上で<終止形形(連体形かも)>と書いたが、<ようだ>についても同じようなことが言える。これは調べておく必要があるが、これは後まわしにする。やっかいなのは動詞も形容詞も終止形と連体形はほとんど同じことだ。また形容詞の場合

白らしい、黒らしい、赤らしい、青らしい

といえるが

長らしい、短らしい、高らしい、低らしい、大きらしい、小さらしい

はダメだ。

たとえば<白、黒、赤、青>+形容詞語尾<い>と分解できるが<なが、みじか、たか、おおき、ちいさ>+<い>は基本的に分解はだめだ。<なが、みじか、たか、おおき、ちいさ>は独立しておらず、名詞(体言)ではなく語幹といえる。一方<ようだ>の方は

白ようだ、黒ようだ、赤ようだ、青ようだ



長ようだ、短ようだ、高ようだ、低ようだ、大きようだ、小さようだ

もダメで

白いようだ、黒いようだ、赤いようだ、青いようだ
長いようだ、短いようだ、高いようだ、低いようだ、大きようだ、小さいようだ

と形容詞の終止形(または連体形)につく。

白ようだ、黒ようだ、赤ようだ、青ようだ

はダメだが

白のようだ、黒のようだ、赤のようだ、青のようだ

とは言える。これは<しろ>(名詞、体言)+<の>(助詞)+よう((名詞、体言)+だ

と分解できるだろう。一般には<AのB>(A、Bは名詞)で<Aの>+<助動詞>とは考えにくい。ここはひとつのポイント。(ポイント-2)

一方

形容詞の終止形、同じ形の連体形

長いのようだ、短いのようだ、高いのようだ、低いのようだ、大きいのようだ、小さいのいようだ

は外国人が言いそうだが、日本人としてはダメだ。これからすると形容詞の終止形、連体形は<の>につかない。外国人が言いそうなのはこれに関連している。

語幹+ようだ、語幹+のようだ

長(なが)ようだ、短(みじか)ようだ、高(たか)ようだ、低(ひく)ようだ、大きようだ、小さようだ

長(なが)のようだ、短(みじか)のようだ、高(たか)のようだ、低(ひく)のようだ、大きのようだ、小さのいようだ

これは全部ダメだ。

形容詞の連用形+(の)ようだ

白く(の)ようだ、黒く(の)ようだ、赤く(の)ようだ、青く(の)ようだ、
長く(の)ようだ、短く(の)ようだ、高く(の)ようだ、低く(の)ようだ、大きく(の)ようだ、小さく(の)ようだ、

で全部ダメ。形容詞の連体形の名詞(体言)化が働いていないようだ。

<白、黒、赤、青>+形容詞語尾<い>と分解できるが<なが、みじか、たか、おおき、ちいさ>+<い>は基本的にだめだ。<なが、みじか、たか、おおき、ちいさ>は独立しておらず、名詞(体言)ではなく形容詞の語幹といえる。

<らしい>は名詞(体言)にもつき

太郎らしい。
太郎は男らしい。
花子らしい。
花子は女らしい。

こんなバカなことをするとは(いかにも)<太郎らしい>。
(いかにも)<花子らしい>のは一年間遅刻なしであることだ。
次郎にはまだ<こどもらしい>ところがある。
美代子はまだ小さいこどもだが<おとならしい>ところがある。
三郎の行いは英雄らしい。
春子の立ち振る舞いは女王らしい。

以上は<推定>とも<伝聞>とも違う。言い換えになってしまうが<xx にふさわしい>、<xx につかわしい>、<xx にひとしい>、<xx に似ている>、<xx と(に)ほぼ同じ>といった意味だが、一般的に考えられている(想定されている)もの、ことと比べての表現だ。<xx に似ている>、<xx と(に)ほぼ同じ>以外は形容詞で、この場合の<らしい>は一般化された形容詞に近い(追記参照)。英語では childish と child-like の区別があるが、日本語では<こどもらしい>となる。<こどもじみた>はchildish に近い。

<(の)ようだ>に置き換えてみる。

太郎のようだ。。
太郎は男のようだ。
花子のようだ。
花子は女のようだ。

どうも<らしい>とは意味がちがってくる。続ける。

1.こんなバカなことをするとは(いかにも)<太郎ようだ>、<太郎のようだ>。
2.(いかにも)<花子ような>、<花子のような>のは一年間遅刻なしであることだ。
3.次郎にはまだ<こどもような>、<こどものような>ところがある。
4.美代子はまだ小さいこどもだが<おとなような>、<おとなのような>ところがある。
5.三郎の行いは<英雄ようだ>、<英雄のようだ>。
6.春子の立ち振る舞いは<女王ようだ>、<女王のようだ>。

<ようだ>はすべてダメ。<のようだ>は1と2はだめだが3-6はOK.これは<のようだ>には<xx にふさわしい>、<xx に似ている(につかわしい)>の意が自分自身には適用されないためだろう。

以上をまとめて やまとことば<xxx らしい>と漢語<xxx (の)様(よう)>の対決の結果をだすと。
 
ポイント-1

<xxx ようだ>の<だ>はなくてもいい。。

まるで夢のよう。
まるで夢のようだ。

<だ>は断定というよりは付け足し(のよう)だ。

少しややこしくなるが<きれい>という言葉がある。最後に<い>があるので形容詞のように見える(聞こえる)。

花子きれい。
花子は(が)きれい。
花子はきれいだ。

花子うつくしい。  (昔は<花子うつくし>と」言っていた。)
花子は(が)うつくしい。

上記例はどれもまちがいなさそうだ。だが<うつくしい>が形容詞の終止形であるのに対して、<きれい>はいわゆる形容動詞で<きれいだ>が終止形なのだ。しかし<きれい>は漢語の<綺麗>で中国語では名詞にも形容詞にもなる。輸入した日本では形容動詞の語幹といえ<静かだ>の<静か>相当。だが名詞(体言)としても意味をなす。<花子=綺麗(美)>と言ったところだ。 これに<だ>がつくと、この場合は<花子=綺麗(美)なのだ>と断定、強調が加わる。一方<うつくしいだ>はあきらかにまちがい。

<よう>、<ようだ>の方は、繰り返しになるが

まるで夢のよう。
まるで夢のようだ。

<だ>は断定というよりは付け足し(のよう)だ。

付け足しだ。



付け足しのようだ。

の違いは< 付け足しのようだ>の方は<付け足し、にほぼ同じ、等しい>といった意味だ。<付け足しだ>の<だ>は断定でもいいが断定の意は薄い。これは<ほぼ同じ、等しい>という内容も影響しているようだが、<ようだ>が形容動詞になっていて<ようだ>の<だ>は形容動詞の終止形語尾になっているといえないか。日本語では<綺麗だ>も形容動詞だが<綺麗>の意が強く残っているのに対しで<よう>はもとの漢語<様>の意が<綺麗>ほど強く残っていない。<様>は現代中国語では

A和B一様。 AはBと同じ。AはBに等しい。 または、AはBと同じようだ。

中国の常(つね)で<一様>は名詞にも形容詞にもなるが、形容詞とすると日本語では<AはBに等しい>が対応する。

ポイント-2

白のようだ、黒のようだ、赤のようだ、青のようだ

とは言える。これは<しろ>(名詞、体言)+<の>(助詞)+よう((名詞、体言)+だ

と分解できるだろう。一般には<AのB>(A、Bは名詞(体言))で<Aの>+<助動詞>とは考えにくい。

<らしい>はこのような分解ができない。

白らしい (白のらしい-ダメ)
白いらしい <白いのらしい>はいいが、<の>は助詞ではなく<モノ、コト>を示すいわば代名詞だ。

逆に言うと<らしい>は助詞<の>なしでスムーズにつながるということだ。 大和言葉<xxx らしい>と漢語<xxx (の)ようだ>を対決と考えると、<らしい>は<(の)ようだ>にかなり浸食されてはいるがそこそこがんばっているといえる。すみ分けはうかがえるが、そのまま置き換えができる重なる部分は少なくない。

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追記

このポストを書き始めたのは<xxx らしい>と<xxx (の)ようだ>の対比もあるが、前回のポスト "
長いがおもしろい形容詞 (xxxx しい)" と関連がある。前回のポストでは<xxxx しい>型形容詞について書いたが、いくつかは<xxxx らしい>で独立した形容詞になっている。

愛らしい (漢語由来)
あほらしい (関西方言)
いやらしい 
きたならしい (きたない)
ばからしい
わざとらしい

また、上でも書いたが、全般的に<xx い>型の<純>形容詞が直接的な形容であるのに対し<xxxx しい>型形容詞は全般的に間接的な形容だ。<間接的な形容>というのは具体的には<xx にふさわしい>、<xx につかわしい>、<xx にひとしい>、<xx に似ている>、<xx と(に)ほぼ同じ>、<よう>をつかえば<xxxx のようなだ>といった意味を持った形容のことだ。一部例をあげれば(あ行のみ)

あぶなっかしい (あぶない)
あらあらしい  (荒い、粗い)
いさましい
いそがしい
いたいたしい
いたましい
いとわしい
いまいましい
いまわしい
いらだたしい
うたがわしい
うらめしい
うらやましい)
おそろしいおとなしい
おもおもしい


AはB(だ)。AがB(だ)。

は基本的に

A = B

で<コプラ(copula)。<繋辞>という漢語があり、いわば<つなぎの語>。日本語では英語と違って<A is B>と一語(is)で<=>を表せない。<は>は助詞。<だ>は助動詞。英語の is (be) は動詞だ。一方<xxx らしい>と<xxx ようだ>は助動詞だが、<AはBらしい>、<AはBのようだ>は<Aほぼ=B>。英語では

A is almost B.
A is almost same as B.
A is almost equal B.
A is almost equal to B.
A is almost equivalent to B.
A is like B.
A is similar to B.
A is analogous to B.

などがあるが、is のあとはlike を除き形容詞だ。almost はその形容詞を修飾する副詞。same は<xx と同じ>と訳すが same の後は as になる。same は形容詞。like はそのまま使える。like は前置詞ということになっている。その他の形容詞は equal を除くとあとに to がつく。 なぜこんなことを言うのかというと、<xxx らしい>、<xxx (の)ようだ>は助動詞だが、意味としては<xxxxしい>型の形容詞に近い、ということを言いたいためだ。


sptt








Sunday, December 9, 2018

長いがおもしろい形容詞 (xxxx しい)


日本語にはおもしろい形容詞がけっこうある。特に<xxxx しい>形の形容詞は長いがおもしろいのが多い。思いうかぶかぎり(暇を見つけて一週間かけた)<あいうえお>順に並べてみる大半はやまとことばだ。

愛らしい (漢語由来)
愛くるしい (なぜ<くるしい>なのか?>
あさましい
あたらしい
あつかましい
あつ(っ)くるしい (暑い)
あぶなっかしい (あぶない)
あらあらしい  (荒い、粗い)
あほらしい (関西方言)
いかがわしい
いかめしい
いきぐるしい
いさましい (勇む-勇み-勇ましい)
いじらしい (いじる-いじり(庭いじり)-いじらしい、意味にズレがある)
いそがしい (急ぐ-急ぎ-忙しい)
いたいたしい
いたましい (痛む-痛み-痛ましい)
いたわしい (おいたわしい)
いちじるしい
いとわしい
いまいましい
いまわしい
いやらしい
いらだたしい
ういういしい
うたがわしい (うたがう-うたがい-うたがわしい)
うつくしい (美しい)
うっとうしい (ワープロでは<鬱陶しい>とむづかしい漢字が出てくる。漢語由来)
うらがなしい
うらさびしい
うらめしい
うらやましい (うらやむ-(うらやみ)-うらやましい)
うるわしい
うれしい (うれしむ-うれしみ-うれしい?)
おいしい
おくゆかしい (奥行き)
おこがましい (問われて名乗るもおこがましいが、という長い決まり文句がある。もう古いか。<おこ>はバカのことだ。したがってあとに出てくる<さしでがましい>の類だ。)
おしい (惜しむ -(負け)おしみ-(おしましい))
おしつけがましい
おぞましい
おそろしい (恐れる-恐れ-恐ろしい)
おとなしい
おどろおどろしい (今は古語か)
おびただしい
おもおもしい
おもくるしい
おもしろい
おもわしい (おもわしくない)

かがやかしい
かぐわしい (香しい、嗅(か)ぐ)
かしましい
かたぐるしい (硬い、固い、堅い)
かなしい (悲しむ-悲しみ-悲しい)
かまびすしい
かるがるしい (軽い)
かんばしい (<香(こう)ばしい>の関連語。香(こう、昔は<かう>)+ばし>で大和言葉。
ききぐるしい (聞き苦しい、お聞き苦しい)
きぜわしい (気ぜわしい)
きたならしい (きたない)
きはずかしい (気恥ずかしい)
きびしい
きむずかしい (気むずかしい)
ぎょうぎょうしい (仰々しい、漢語由来)
くちおしい (口惜しい、とかくが口とは関係ないので、この<くち>は接頭辞だろう)
くちうるさい
くちさがない
くちやかましい (<くちやかましく>の副詞形がふつう)
くどくどしい (<くどい>の強調)
くやしい (悔やむ-悔やみ-(悔やましい)
くるおしい
くるしい  (苦しむ-苦しみ)
くわしい
けがらわしい
けたたましい
けばけばしい
けわしい
こうごうしい (<神々(かみがみ)しい> で大和言葉)
こうばしい (<香ばしい>と書くようだが、もとは<かおる>の大和言葉でこれがなまったもの)
こころぐるしい (心ぐるしい)
こざかしい
このましい (好む-好み-好ましい)
こむずかしい

さしでがましい
さびしい
さみしい
さむざむしい(ふつうは<さむざむとした>として使う)(寒い)
さわがしい (騒ぐ-騒ぎ-騒がしい)
しかつめらしい
したしい (親しい)
したわしい (したう(慕う) ‐(したい)- したわしい
しらじらしい
ずうずうしい (<図々しい>だと漢語由来か?)
すがすがしい
すさまじい (すさむ-すさみ-すさまじい。 <じい>は<しい>のなまり)
すずしい
すばらしい
せせこましい 
せま(っ)くるしい (狭い)
せわしい
騒々(そうぞう)しい (これは漢語由来)
そそ(っ)かしい
そらぞらしい

たくましい (たくむ-たくみ-たくましい?)
ただしい (正しい)
たどたどしい
たのしい (楽しむ-楽しみ)
たのもしい (頼む-頼み)
つつましい
つましい 
てきびしい (<て>は<手>ではなく接辞だろう。<てぜま>)
ときめかしい
どくどくしい 
とげとげしい
とぼしい
とまどわしい

ながながしい (<長い>の強調)
なが(っ)たらしい(<長い>の強調)
なげかわしい (なげく-なげき-なげかわしい)
なごましい (なごむ-なごみ-なごましい)
なつかしい (なつく-(なつき)-なつかしい)
なまなましい
なまめかしい
なやましい (なやむ-なやみ-なやましい、意味にズレがある。
なれなれしい (なれる-なれ-なれなれしい)
なみだぐましい
にがにがしい (<甘ったるい>(*)が<あまあましい>はない)
にぎにぎしい (<にぎやか>関連)
にぎわしい
にくにくしい (<にくい>の強調)
にく(っ)たらしい
にくらしい (にくむ-にくしみ)
につかわしい ((につく)-(につき)-につかわしい)
ぬすっとたかだけしい(これが一番長いか? だが純形容詞というよりは熟語形容詞(*))
ねたましい (ねたむ-ねたみ-ねたましい)
のぞましい (望む-望み-のぞましい)
のろわしい

はかばかしい (ふつうは<はかばかしくない>で否定形容詞(**))
ばかばかしい (馬鹿は当て字で、<ばか>はやまとことば。<ばける>、<ばかす>関連か)
ばからしい
はげしい
はずかしい (恥じる-恥じ-恥ずかしい)
はなはだしい (<はな>は<はなから>の<はな(はじめ)>か? 次の<はだ>はよくわからない。
はなばなしい
はらだたしい
はれがましい
ひもじい
ふくぶくしい
ふさわしい 
ふてぶてしい
ふるめかしい (古い)
ほこらしい (ほこる-誇り-誇らしい)
ほほえましい (ほほえむ-ほほえみ-ほほえましい)

まぎらわしい
まずしい
まちがわしい
まどろ(っ)こしい
まどわしい (まどう-まどい-まどわしい)
まぶしい
みぐるしい(見苦しい、お見苦しい)
みじめったらしい
みずみずしい
めあたらしい (目新しい)
めまぐるしい
めずらしい (めずる-(めずり)-めずらしい)
むさくるしい
むずかしい
むつまじい
むなしい
めめしい
もったいらしい (ふつうは<もったいをつける>と使う)
もっともらしい
もどかしい
ものがなしい 
ものさびしい
ものものしい

やかましい
やさしい (易しい)
やさしい (優しい)
ゆかしい
ゆゆしい (<由々しい>と書くと漢語由来となる)
よそよそしい
よろしい
よわよわしい (<弱い>の強調)
よろこばしい (よろこぶ-よろこび-よろこばしい)

わざとらしい (<わざと+らしい>だが一語の形容詞の意識が強い。この手のものは他にもある。おそらく<この<らしい>が形容詞語尾<xxxx しい>の元だろう。(***))
わずらわしい (わずらう-わずらい-わずわしい)

促音便(っ)は関東方言あるいは江戸(東京)弁


-----
追加

かわいらしい  (<かわい>は<可愛>で漢語由来と思っていたが、調べてみたら何と<かほあゆし(顔映ゆし)>という大和言葉から派生している。

(さらに追加予定)

以上の<xxxx しい>型形容詞は下記の<xx い>型形容詞が短くそして標準的、中立的な意味が主なのに(例外はあろう)比べて断然おもしろい。

<xx い>型形容詞
白い、黒い、赤い、よい、悪い、大きい、小さい、高い、低い、長い、短い、重い、軽い、広い、狭(せま)い、明るい、暗い、早い、速い、遅い、太(ふと)い、細い、硬い、柔らかい、丸い、四角い、など、など。

A. 構造の違い

<xx い>型形容詞は純形容詞といえる。初めから形容しでそれ以上さかのぼれないのだ。形容が形容詞として直接的で含みがない。一方<xxxx しい>型形容詞は上ですべてではないが(  )内に付け足しとして書いたように語としてさかのぼれるものが多い。間接的形容詞、派生的ともいえる。このためか含みがある。<派生>というと源流でないことになり、かならずしもいい意味でないようだが、ことばで<派生>は重要だ。おおげさにいえば<派生>は<ことば形成の原動力>なのだ。 例えば

<きたない>と<きたならしい>を比べてみよう。

構造的には、というか造語方法は

きたな(い) + らしい

<らしい>は助動詞 (xxのように見える>。ふつうは名詞(体言)、動詞などが前にきて

あほらしい
ばからしい
太郎らしい  (来るのは太郎らしい。いかにも太郎らしい。)
太郎(花子)がくるらしい
バスが来たらしい

だが<きたならしい>は<きたないようだ>ではない。<きたないようだ>は関節的な表現だ。だが<きたならしい>は<きたない>を強調した言い方になっている。だがこの強調はあいまいで、どのような強調か? これは少しむずかしい。<らしい>と関節的な表現になっているが、こうすると、発話者の意見だけではなく他の人、あるいはだれが見ても<きたないいように見える>のニュアンスが伝わらないか?

もう一つ

<ながい>と<なが(っ)たらしい>

なが(い) + た + らしい  (<た>は語調(強調)を添える中間接辞か)

あるいは

なが(い) + たら + しい (<しい>か形容詞語尾としておく)

これまた<なが(っ)たらしい> は<ながい>に比べ批判口調になっている。

にくい - にくらしい - にく(っ)たらしい

は二段の批判口調になる。かなり横道にそれてしまっているが

わざとらしい

というのがある。これは上の一覧にとりあげなかったが、<わざとらしい>で形容詞としてもいい。<わざと>が独立して特に意識されず 、少し長いが<わざとらしい>が一語と意識される、または無意識で<わざとらしい>をつかえば形容詞だろう。

これに似たものに<xxxxがましい>がある。 <xxxxがましい>はおもしろい。上の一覧では

あつかましい
おこがましい
おしつけがましい
さしでがましい
はれがましい

<はれがましい>はかなり形容詞らしい。<はれがましい>は<はれ><がましい>の語源、あるいは<はれがましい>の成り立ちがよくわからないが、多くはそのよようなことは気にせずに<はれがましい>を使っている。その上の三つは<はれ>ほどではないが<おこ>、<おしつけ>、<さしで>はあまり意識されていないだろう。いっぽう

いいいわけがましい

は<いいわけ>がかなり意識にのぼってくる。 したがってまだ形容詞ではないようだ。

さて本題の<構造の違い>に戻ってまた<含みがある>というのは、いろいろ説明できると思うが、語はいくつかのかくれた意味を背負っていることともいえる。かくれた意味を内包している(to implicit) ともいえる。ここで<意味>は必ずも通常の語の意味以外に、たとえば動詞由来の<xxxx しい>形容詞であれば<動詞の意味>を背負っているのだ。ここが肝心というか、このポストの要(かなめ)、核心なのだ。これは前回のポスト<動詞連用形の名詞(体言)用法による動詞分類>でふれた。これを書いているうちに別の発見をしてこの形容詞論を書き始めた、というのが真相。

B. 強調
<xxxx しい>型形容詞を日常会話や翻訳文に使うとと精彩がでる。理由は基本的に普通の形容詞とくらべて<強調>があるからだ。わたしは文法あるいは言語学習で安易に<強調表現>というのをつ使うのに反対だ。とくに説明がよく、うまくできない場合に<これは強調表現>としてごまかしてしまうのだ。以上の<xxxx しい>であきらかに強調といえるのは

1)<繰り返し>表現

あきらかに強調といえるのは<繰り返し>表現だ。<繰り返し>には歌のリフレインと同じくリズムがあり、そして頭に残りやすい。また単なる強調ではなく、強調以外に意味にズレがあるのがおおい。

あらあらしい <- 荒い
おもおもしい <- 重い 
いたいたしい <- 痛い 
おどろおどろしい <- <おどろく>、<おどろかす>関連か? これは<おどろ>の三音節のリフレーン。
かるがるしい <- 軽い
くどくどしい <- くどい
けばけばしい
さむざむしい <- 寒い
しらじらしい <- 白い、 白(しら)む
すがすがしい (これは特に強調というわけではない)
そらぞらしい <- 空(そら)
たどたどしい
どくどくしい   <- 毒(どく)
とげとげしい <- とげ(棘)
ながながしい <- 長い
なまなましい  <- なま(生)
にがにがしい <- 苦い
にぎにぎしい <- にぎやか
にくにくしい <- にくい
はかばかしい <- <掃(は)く>関連か
ばかばかしい <- ばか
はなばなしい  <- 花
ふくぶくしい  <- 福(ふく)とすると漢語由来だ。
ふてぶてしい <- 不逞(ふてい)の輩、とすると漢語ゆらい。<太い>とすればやまとこば由来。たぶん漢語由来だろう。不逞(ふてい)の意味がよくわからなくてもいい、とういかそのほうがいい。なぜなら、言う方も聞く方もなんとなく<ふてぶてしい>のイメージがわけばいいのだ。
よわよわしい <- 弱い

この類の形容詞には予備軍がある。

あつい(暑い) -> あつあつしい
くろぐろとした -> くろぐろしい
けち - けちる - けちけちした -> けちけちしい
ひろびろ(と)した -> ひろびろしい
ほそぼそ(と)した -> ほそぼそしい
ほのぼの(と)した -> ほのぼのしい (すでにあるか?)
まるまる(と)した -> まるまるしい (<かどかどしい>はあるようだ)

漢語では

堂々とした -> 堂々しい


2)<xxxx くるしい>

あつ(暑)くるしい (暑っくるしい)
いきぐるしい
おもくるしい
かたぐるしい
聞き苦しい (お聞き苦しい)
せま(っ)くるしい
見苦しい (お見苦しい)
めまぐるしい
むさくるしい

<めまぐるしい>を除くと、<くるしい>は肉体的な<苦しい>以外に<わずらわしい、いやな、避けたい>の意がある。このような感情が口調にあらわれる。<めまぐるしい>は<<めま+ぐるしい>ではなく<めまぐる+しい>だろう。<めまぐるしい>は<目まぐる+しい>で<目+まぐる>または<目+ま(語呂の中間接辞+ぐる(ぐる、まわる)>だろう。

3)<うるさい>の類語

かしましい (<かしむ>音由来か)
かまびすしい
けたたましい
口うるさい(く)
口やかましい(く)
さわがしい (騒ぐ-騒ぎ-騒がしい)
騒々しい (これは漢語由来)
やかましい

<うるさい>も騒音以外に<わずらわしい、避けたい>の意がある。騒音もふくめ迷惑感情、被害意識が背景にあり、非難口調になる。苦情を言うときは効果があろう。

いまいましい
いまわしい
いらだたしい
はらだたしい

もこの類だ。

3)不快(いやな)感

いやらしい
きたならしい 
けがらわしい


4) 毀誉褒貶(きよほうへん)の<毀貶(けなし、そしり、批判)>の類。主に人の形容。

あさましい
あつかましい
いかがわしい
いやらしい
おしつけがましい
きたならしい
ぎょうぎょうしい (仰々しい、漢語由来)
くちうるさい
くちさがない
こざかしい
こむずかしい
さしでがましい
しらじらしい
ずうずうしい (<図々しい>だと漢語由来か?)
せせこましい
そそ(っ)かしい
とげとげしい
にくにくしい (<にくい>の強調)
にく(っ)たらしい
にくらしい (にくむ-にくしみ)
ぬすっとたかだけしい(これが一番長いか? だが純形容詞というよりは熟語形容詞(*))
ふてぶてしい
みぐるしい(見苦しい、お見苦しい)
みじめったらしい
もったいらしい (ふつうは<もったいをつける>と使う)


これだけあれば十分と思うが<貶(けな)し、誹(そし)り言葉>まだまだあるようだ。<褒(ほ)め言葉>よりはるかに多いだろう。人を貶(けな)すときは強調したくなる。<貶し言葉>については ”封神演義(ほうしんえんぎ)" の ”<そしり言葉>と<ほめ言葉>" というポストで中国の本家<毀誉褒貶>の言葉(いわゆる四字成語になる)についてかなりしつこく書いたことがある。やはり<けなし、そしり言葉>が<ほめ言葉>よりはるかに多い。

英語の形容詞語尾に<xxxx-ful>といのうがある。<xxxx(で)いっぱい><xxxxで(に)満ちている>でいわば強調だが、以下に見るように使われすぎてか大体強調が薄れている。また元の意味からズレているものがある。

armful - 腕いっぱいの、抱えきれないほどの
beautiful - 美しい
careful - 大体<注意深い>と訳されてしまう。なにかほかにないか>
cheerful - たのしい、愛らしい、愛想のいい(人の形容)
delightful - たのしい
dreadful - よく耳にし、わたしも時々つかうが、-causing or involving great suffering, fear, or unhappiness; extremely bad or serious というインターネット辞書解説がある。まさに強調形容詞だ。
doubtful - うたがわしい 
graceful   - 決まり訳は<優雅な>だが、<しとやかな>というのがある。
hopeful  -  <希望に満ちた>ではない。hopefully で<のぞむらくは>となるので、hopeful もこのような意味。 hopeful thinking = wishful thinking  だろう。
joyful  - たのしい、<よろこびに満ちた>だが<よろこばしい>は違う。
meaningful - <意味深い>はいまいち。いい大和言葉はないか?
mindful  - あまり聞かないが careful に似た意味。
mouthful
painful  - (大変)痛い、痛む  これは言い方、表情によっては強調がある。
peaceful - <平和な>というよりは<おだやかな>、<やすらかな>
spoonful
stressful  - ストレスが多い、いらだたしい。
successful   - これはよく聞くが、<うまくいく>、<うまくいった>。
tearful  - なみだがとまらない、<なみだぐましい>ではない。
tireless  - 疲れを知らない、<倦(う)むことなき>の意もあるか?
wishful - <希望的な(観測)>の意。wishful thinking としてよく聞く。
wonderful - すばらしい

(追加予定)

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<はかばかしくない>否定形容詞(*)

<xxxx ない>

いたしかたない
いたたまれない
いただけない
えげつない (関西方言)
(おもいない) (思いなし、思いなしか)
おもわしくない
かげひなたない
かぞえきれない
かたじけない
かまわない
ぎこちない
きたない
きいいらない(気に入らない)
きんかけない (気にかけない) 
きにくわない (気に食わない)
きり(が)ない
きわまりない 
くちさがない
こころない
こころもとない
しかたない
しょうがない
すまない
せわしない
そぐわない
たよりない
だらしない
とめどない
とんでもない
はしたない
はじない
はてしない
につかない
まぎれもない
みさかいない
みっともない
もうしわけない
もったいない
やるかたない
ゆくりない
ゆるぎない
わけない

(追加予定)

さらにまだまだあるだろう。おもしろ表現もある。(<しかたない、やるかたない、はしたない、だらしない>などは <sptt やまとことばじてん>の方でとりあげたことがある。)英語の形容詞語尾に<xxxx less>があり<xxxx free>という言い方がある。<xxxx free>の方は意味をなせば何にでもつくようだ。

aimless - <目的がない>ではなく<目標がない>だろう。
boneless - 骨なし。<骨抜きになった>の意はあるか?
borderless - 限りない、際限ない、<ボーダーレス>で通じる
countless - 数えきれない
doubtless - 疑いない
effortless - 苦労しくなていい 
endless - 終わりない、果てしない
fearless - 恐れを知らない、怖(こわ)いものなし(の)
limitless - 制限ない、無制限な(の)
meaningless - 意味がない
painless - 痛みなし(の)
seamless - 継ぎ目なし
spotless - チリ、シミがひとつもない(きわめてきれい、清潔な)
shameless - 恥知らずの
stainless - ステンレス
tearless - 涙なしの、苦労しくなていい
useless - (まったく)役立たない 


care free - <注意がいらない>というよりは<気楽な>
caffeine free
danger free  危険がない、あぶなくない
doctor free (聞いたことはない) - 医者いらず
medicine free (これも聞いたことはない) - 薬いらず
smoke free  
sugar free
stress free - ストレスがかからない
tax free

(追加予定)

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ぬすっとたかだけしい 熟語形容詞(**)

こころぐるしい  <- 心苦しい
なみだぐましい <- 涙ぐむ
はらだたしい <- 腹が立つ

(追加予定)

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<わざと+らしい>だが一語の形容詞の意識が強い。この手のものは他にもある。おそらく<この<らしい>が形容詞語尾<xxxx しい>の元だろう。(***)

やまとことば<xxxxらしい>と漢語<xxxx(の)様(よう)>の対決。

話が長くなってきたので、これは別のポストで書くことにする。

sptt

動詞連体形、連用形の名詞(体言)用法による動詞分類


<sptt やまとことばじてん>の方の<抽象代数やまとことばシリーズ>で<イデアル(環論)のやまとことば>というのを書いているうちに重大な発見をした。このポストの最後で次のように書いている。


 イデアル(理想)のやまとことばは難しい。<理想>は<最も(一番)望まれること、姿>で<最も(一番)>(絶対的な最上級)が必要なのだ。<最も望まれ(る)姿>が<理想>のやまとことばに近い。

このポストを書いているうち芋づる式に、文法上おもしろい(大げさに言うと、重大な)発見をした。

繰り返しになるが

<望(のぞ)む>の(連用形)名詞(体言)用法<のぞみ>はいいやまとこことばだが、理想とはズレがある。<望ましい>という形容詞がある。

<好(この)む>の(連用形)名詞(体言)用法<好み>は<好き嫌い>の<好き>で理想ではない。イデアルの訳語としてはダメだ。

のぞむ - のぞみ - のぞましい
このむ - このみ - このましい

以上は

動詞-連用形の名詞(体言)用法-形容詞

と一般化できる。<一般化>は抽象代数あるいは数学全般でよく出てくる重要作業。

長くなりそう文法的なことなので sptt Notes on Grammar のポストとして書く予定。



忘れないうちに書いておく。

のぞむ - のぞみ - のぞましい
このむ - このみ - このましい

をさらに続けてみる。

いさむ - いさみ - いさましい
いじらしい (いじる - いじり - いじらしい、意味にズレがある)
いそぐ - いそぎ ‐ いそがしい (急ぐ-急ぎ-忙しい)
いたむ - いたみ - いたましい
いらだつ - いらだち - いらだたしい
うたがう - うたがい - うたがわしい
うらむ - うらみ - うらめしい
おもう - おもい - おもわしい (<おもわしくない>でようく使う)
さわぐ - さわぎ - さわがしい
したう - (お)したい - したわしい
すさむ - すさみ - すさまじい
なやむ - なやみ - なやましい
ねがう - ねがい - ねがわしい  <ねがわしい>はあまり聞かないが<ねがわしい結果になった>とは言えそう。
なげく - なげき - なげかわしい
ねたむ - ねたみ - ねたましい
にぎわう - にぎわい - にぎわしい
のろう - のろい - のろわしい
まちがう - まちがい - まちがわしい
まどう - まどい - まどわしい
めざめる - めざめ - めざましい
よろこぶ - よろこび - よろこばしい
わずらう - わずらい - わずらわしい

以上は<動詞-連用形の名詞(体言)用法-形容詞>が、語尾活用変化をふくめて完全といえる。私だけかもしれないが、<美しさ>がある。形容詞はあきらかに動詞起源といえるだろう。

いとう ー (いとい) - いとわしい、いとしい
おそれる - おそれ - おそろしい  <おそれしい>がなまったものか
(うれしむ) - (うれしみ) ー うれしい  <うれしましい>ではない
かなしむ - かなしみ - かなしい  <かなしましい>ではない
たのしむ - たのしみ - たのしい  <たのしましい>ではない
たのむ - たのみ -  たのもしい  <たのましい>ではない
なつく - (なつき) - なつかしい
なまめく - (なまめき) - あまめかしい
にくむ - にくしみ - にくらしい  <にくましい>ではない
(につく、につかわす)-(につき、につかわし)-につかわしい
はげむ - はげみ - (はげましい)
はじる - はじ - はずかしい   <はじらしい>ではない。
まぎる(まぎれる) -まぎれ - まぎらわしい (<まぎらう-まぎらい-まぎらわしい>ならいい)
めずる-(めずり)-めずらしい
(ゆかす)-(うかし)-ゆかしい (おくゆかしい>というのがあるので、<行く-行き-ゆかしい>か)

以上は<動詞-連用形の名詞(体言)用法-形容詞>が不完全といえる。(  )内は日常の日本語としてないか、変なもの、少し変なもの。

(うれしむ) - (うれしみ) ー うれしい
かなしむ - かなしみ - かなしい
たのしむ - たのしみ - たのしい
たのしむ - たのしみ - たのしい

以上は形容詞が先にあり、これに動詞語尾<しむ>がついたもので、今回の<動詞連用形の名詞(体言)用法>の対象からは少しずれる。

以上の語はあるものでまとめられそうだが、<しい>を未然形につく形容詞語尾としてもう少し一般的な動詞を調べてみる。

読む - 読み - 読ましい
書く - 書き - 書かしい
学ぶ - 学び - 学ばしい
見る - 見 - 見しい
聞く - 聞き -聞かしい
嗅(か)ぐ - 嗅ぎ - 嗅がしい
触れる - 触れ - 触れしい
歩く - 歩き - 歩かしい
走る - 走り - 走らしい
泳ぐ - 泳ぎ - 泳がしい
作る - 作り - 作らしい
立つ - 立ち - 立たしい
座(すわ)る - すわり - すわらしい
動く - 動き - 動かしい
泣く - 泣き - 泣かしい
笑う - 笑い - 笑わしい
怒(いか)る - 怒り - いからしい
壊(こわ)す - こわし - こわさしい
壊れる - 壊れ - 壊れしい
止まる - 止まり - 止まらしい
止める - 止め - 止めしい
起きる - 起き - 起きしい
寝る - 寝 - 寝しい
語る - 語り - 語らしい
流れる - 流れ - 流れしい
流す - 流し - 流さしい
落とす - 落とし - 落とさしい
落ちる - 落ち - 落ちしい
ころがる - ころがり - ころがらしい
ころがす - ころかし - ころがさしい
上げる - 上げ - 上げしい
上がる - 上がり - 上がらしい
昇(のぼ)る - 登り - 昇らしい
沈(しず)む - 沈み - 沈ましい

きりがないのでここでやめるが、以上の日常、ふつうに使う動詞に関しては<動詞-連用形の名詞(体言)用法>は例外なくOKで、これまた私に言わすと<美しい>が、<xx しい>形容詞は全部ダメ、全滅だ。これはどうしたことか? 上記の一般動詞による形容(修飾)は次のようになる。

動詞連体形による形容(修飾)

読むもの、読む人、読むとき、読む場所
書くもの、書く人、書くとき、書く場所
以下同じ

動詞連用形の名詞(体言)用法に<の>をつけて形容(修飾)する。<の>がなく、連用形のまま体言(名詞)につく場合があるが、連体形ではない。

読みの時間、読みの姿勢、読みの方法(読み方)、読みの重要性(大切さ)
書きの時間、書きの姿勢、書きの方法(書き方)、書きの重要性(大切さ)
以下同じ

過去の助動詞(xxた)の連体形(xxた)をつける。英語の過去形(xx-ed)に似ているが受け身ではなく<過去>の意を持った形容(修飾)になる。

読んだ本、読んだ人、読んだ場所、読んだとき
書いた本、読んだ人、書いた場所、書いたとき
以下同じ

これは<のぞむ>、<このむ>にも当てはまる。

動詞連体形による形容(修飾)

望むもの、望む人、望むとき、望む場所
好むもの、好む人、好むとき、好む場所

動詞連用形の名詞(体言)用法に<の>をつけて形容(修飾)する。

望みの時間、望みの姿勢、望みの方法(望み方)、望みの重要性(大切さ)
好みの時間、好みの姿勢、好みの方法(好み方)、好みの重要性(大切さ)

過去の助動詞(xxた)の連体形(xxた)をつける。

望んだ本、望んだ人、望んだ場所、望んだとき好
好んだ本、好んだ人、好んだ場所、好んだとき

<のぞむ>、<このむ>以外の<xx しい>型形容詞を持つ他の動詞も同じだ。