Tuesday, December 25, 2018

英語の過去分詞<xxx-ed>と日本語の<xxx た>

 
形容詞ではないが英語の動詞完了形<xxx- ed>と日本語の<xxx た>は修飾語あるいは述語として同じようなところがあるが、ちがうところも多い。思いつくままに比較してみる。

tired  - 疲(つか)れた。

I am tired. - 私は疲れた。私は疲れている。

英語の方はあまり聞かないが to tire という他動詞があり、<疲れさす>の意。tired はこの他動詞 to tire の過去分詞で、<I am tired.>は受け身形だ。だが、<tired>を形容詞、述語としてみることもできる。とくに I am tired. は母国語人でも<疲れさせらた>、<疲れさせらている>とは思っていないだろう。 tiring、tiresome というのもときどき見かける。直訳は

I am tired. - 一般的な叙述は<私は疲れさせらる>で、中立、習慣をあらわす。こういう場合もあるがふつうは<私は疲れさせらている>と具体的な叙述になる。時制は is がになっており現在形。一方日本語の方は

私は疲れた。 - これが普通の言い方だろう。これは過去、完了の<た>が使われているので、文字上の意味は現在形でなく過去、完了だ。だが実際には<私は疲れている>の意に近く、現在の状態をあらわしているといえる。<疲れた>は自動詞<疲れる>に過去、完了の助動詞<た>がついたものだ。過去をあらわそうとすると<(あの時)私は疲れていた>となる。

現在形: 私は疲れている。
過去形: 私は疲れていた。

なのだ。<疲れて>の<て>は<た>の連用形で、ほとんで意識されないが<疲れて>には過去、完了が含まれてることになる。だが

太郎は私の家に来ている。
花子は学校に行っている。

はいいが

次郎は家に帰って、勉強している。
美代子は家に帰って、食事のしたくをしている。

は現在のことをのべている。<勉強して>、<食事のしたくをして>の<て>は<た>の連用形ではないのか? その前の<帰って>の<て>はそれほど意識はないが完了と言える。

勉強はしている。 --> 勉強はしてある。
食事のしたくはしている。 --> 食事の準備はしてある。

勉強、食事のしたくは人ではなく、<こと>なので<てある>となる。

<勉強して>、<食事のしたくをして>の<て>は<た>の連用形ではないのか?の答えは<<た>の連用形ではない>といえる。例はいくらでもある。

次郎は家に帰って、勉強してくる。
美代子は家に帰って、食事のしたくをしてくる。

も<帰って>は未来ののことだが、完了と言える。 <勉強してくる>、 <食事のしたくをしてくる>の<て>は完了でも過去でもない。

<xx てくる>は未来にのことだ。

行ってくる
買ってくる
借りてくる
もらってくる
働いてくる (仕事をしてくる)
休んでくる (<で>は<て>の音便)

しかし、この<くる>は<xx して(xx を済ませてから)から帰って(戻って)くる>の意があるにで完了の意があるといえる。

<行く>はどうか?

行って行く - これはダメだ。
買って行く - これからもずっとここで<買って行く>。
借りて行く - これからも続けて君から<借りて行く>。
もらって行く - これからはときどき姉から<もらっていく>ことにする。
働いて行く - これからもしばらくは<働いて行く>。
休んで行く - これからはここでときどき<休んで行く>ことにする。

以上の<て>には完了の意はない。何の意があるかと言うと<これからする=行く>内容だ。<来る>、<行く>は元(もと)の意味からズレて少し複雑な意味をもっている。これが<て>に影響しているのか?単なる<つなぎ>ではない。 単なる<つなぎ>というのは

読んで寝る
テレビを見て寝る
起きて食べる
玄関を出て(バス停へ)歩く
席を立って出ていく

以上は

読んで、それから寝る
テレビを見て、それから寝る
起きて、それから食べる
玄関を出て、それから(バス停へ)歩く
席を立って、それから出ていく

となるので<て>は完了といえる。この言い方は相当多い。

悲しんで泣く
びっくりして席を立つ
怒(おこ)ってどなりちらす
疲れて眠る

以上は因果関係がある。時間的な順序があるので(原因->結果)原因は完了と言える。

疲れて帰る
疲れて行く(去る、出ていく)

喜んで帰る
喜んで行く(去る、出ていく)

急いで帰る
急いで行く(去る、出ていく)

泣いて帰る
泣いて行く(去る、出ていく)

以上は因果関係ではなく<xxする(した)>時の状態をしめしている。この状態は、<xxする(した)>時と同時発生もありうるだろうが(*)、大体は英語の現在完了(過去におこってそれが現在まで続いている)に相当する。

(*)
びっくりして立ち上がる。
おこって帰る。

ほぼ同時発生だが因果関係、前後関係がある。

以上基本的には日本語の<xxx た>は完了の意を含んだ修飾語といえる。

一方英語の過去分詞<xxx-ed>は、形は過去、完了形だが、修飾語としては受け身の意で使われる場合が圧倒的に多いようだ。

a house built by Taro
a book written by Hanako
the present given from Jiro
the complain raised by Miyoko

以上を直訳すると

太郎によって建てられた家
花子によって書かれた本
次郎から与えられた(もらった)プレゼント
美代子から出された苦情

となる。だが、日本語では日常でこのように言うことはまずない。正常な日本語ではないのだ。 ではどう言うかというと

(これは)太郎が建てた家(です)
(ここに)花子が書いた本(がある)
次郎があげたプレゼント(は . . . . .)
美代子が出した苦情(は . . . . .)

となる。(不定冠詞、定冠詞意味分けをしたつもりでの訳)。英語に比べ直接的、簡単。しかも主語がある文章にちかい。一方英語の方は関係代名詞を使うと

a house which was built by Taro
a book which was written by Hanako
the present which was given by (from) Jiro
the complain which was raised by Miyoko

いずれも受け身かつ過去形になっている。現在形はどうか?

a house which is  built by Taro
a book which is written by Hanako
the present which is given by (from) Jiro
the complain which is raised by Miyoko

(これは)太郎が建てる家(です)
(ここに)花子が書く本(がある)
次郎があげるプレゼント(は . . . . .)
美代子が出す苦情(は . . . . .)

一番目と二番目はある状況ではダメではないが、何かおかしい。背景がない

太郎が建てる家
花子が書く本

自体は問題ない。だがこれは一般的記述で、一般論として

太郎が建てる家は. . . . .
花子が書く本は. . . . .

なら問題ない。これは英語の不定冠詞、定冠詞の問題と関連がありそうでおもしろそうだが、このポストは不定冠詞、定冠詞の話ではないので、<I am tired. - 私は疲れた。私は疲れている。>の問題に戻る。文法上似た表現に
 
I am interested in  ( That is interesting)  

これも日本語では<私はxxに興味がある>でかなり違った構造の言い方になる。短いが主語、述語がある完全な文<興味がある>が含まれている。

I am exited in  (That is exiting)

これは日本語で<私はxxに興奮させらている> はまったく聞かない。<私はxxに興奮している>もたまに聞く程度。<エキサイトしている>というのもたまに聞く。<まあ、そう興奮するな!>、<まあ、そうエキサイトするな!>はよく聞く。むかし私が英会話を習っているときにアメリカ人が<That is exiting.>というのを聞いて、これはいいと思った記憶がある。

I am surprised.
I am disappointed.
I am pleased. (これも<わたしは喜ばされてる>という感覚はないだろう)

だいぶ前に書いたことがあるが、英語では一語の純形容詞、日本語では完全な文章というのがある。

I am hungry.   わたしはおなかがすいている。おれは腹がへっている。
I am thirsty.   わたしはのどがかわいている。

主語はないが <xxxている>となるもの。

This is dirty.  これはよごれている (<これはきたない>でもいい)
He is angry.  彼は怒(おこ)っている。
She is drunken.  彼女は酔っている。
Hanako is satisfied.  花子は満足している。


本来は初めに来るはずだった過去分詞<xxx-ed>の形容詞的な修飾の例。

a boiled egg  ゆで卵。 poached egg、scrambled egg というのもある。 <ゆで>は<ゆでる>の連用形<ゆで>の名詞(体言)用法。
broken dream やぶれた夢    くだかれた野望は a broken wild hope か? <くだけた野望>という言い方も可能だ。(to break は他動詞、自動詞両刀使い)
a damaged fame  傷つけられた名声
a broken leg of the chair  椅子のこわれた足
a broken promise やぶられた約束
broken shoes  やぶれた靴(一足) <ゆで卵>の例にならうと<やぶれ靴>でこちらの方が日本語らしい。ときどき聞く<やぶれ傘>は何か特別の意味があるのか?
a broken window (glass) こわれた窓、われた窓ガラス(<こわされた>でもよさそう)
depressed feeling  意気消沈した心境、落ち込んだ心境
dried fruits  乾燥くだもの。<ドライフルーツ>の方が通りがよさそう。あまり聞かないが形容詞の dry を使った dry fruit (ドライフルーツ)は<ひからびたくだもの>になるか?
fallen fame  落ちた名声 (to fall は自動詞)
fallen leaves  落ちた木の葉
a water filled bottle (水で満たされた瓶) <-> an empty bottle
the flattened ground  (平らに)ならされた土地  flatten  <- 形容詞 flat
a hidden secret  かくされた秘密。 to hide は自他両刀なので< かくれた秘密>にもなる。これは特におもしろくないが a disclosed secrete は<暴露された秘密>で注目を引く。an open secrete は暴露される過程はなく、状態を示している。
the locked door   カギがかかった(かけられた)ドア、 the closed door は<とじられた(しめられた)ドア>。to close は他動詞、自動詞両刀使いなので、<とじている(しまっている)ドア>の場合もある。
an inflated balloon   ふくらんだ風船(気球)
an inflated report  誇張された報告
loved persons (ones)   愛された(ている)人々
naked lily  (彼岸花のこと。 この naked はほぼ純形容詞に近い。もとの動詞は to nake か?)
naked eyes  裸眼
an organized crime  組織犯罪。組織された犯罪。< 組織犯罪>は組織(名詞)+犯罪(名詞)の単純接続で、文字通ででは<組織の犯罪>。
a passed event   過ぎ去った出来事 (この to pass は自動詞)
a postponed schedule   延期されたスケジュール
a rotten apple  くさったリンゴ
a spoiled child  甘やかされたこども
a staffed animal  ぬいぐるみ。これはアメリカ英語でイギリス英語は a teddy bear。
a stolen wallet  盗まれた財布
a suspended discussion  中断された論議
a trusted person  信頼されている人、信頼できる人

(追加予定)

以上は日常よく使われるもの、聞いたこと、見たことがあるものだが、いくらでもありそう、作れそう。
主に受け身だが概して過去または<過去から現在>が絡んでいる。おもしろいのは自他兼用動詞、自動詞の場合だ。自動詞には受け身がない。

a broken window (glass) こわれた窓、われた窓ガラス(<こわされた>でもよさそう)
fallen leaves  落ちた木の葉  (受け身の意味はまったくない)
a passed event   過ぎ去った出来事 (受け身の意味はまったくない)
the closed door  は<とじられた(しめられた)ドア>。。to close は自動詞もあるもで、<とじている(しまっている)ドア>の場合もある。これは過去のことではなく過去->現在のアスペクトだ。だが英語では xxxx-ed、日本語では<<とじいる(しまっいる)>で<て+いる>の構造だ。<とじた(しまった)ドア>も間違いではないが、あまりきかない。

私だけかもしれないが

くだけた野望
こわれた窓、われた窓ガラス
落ちた木の葉
過ぎ去った出来事

は詩的な感じがする。これ人為が働いていないからだろう。

過去分詞<xxx-ed>(発音が似ている)もどきの形容詞がある。

a bankrupt company    倒産した(つぶれた)会社
a corrupt official   腐敗役人

ところで英語には現在分詞<xxx-ing> がある。これは過去分詞<xxx-ed>に似て

be + xxx-ing

として現在進行形を作るとともに形容詞的に修飾語としても使われる。

a boring job、an exiting job、an interesting job、a tiring job
a climbing plant  (這いのぼる)つる性植物   (to climb は自他両刀)
falling fame  落ちかけている名声  (to fall は自動詞)
an interesting novel, story  
an opening ceremony    (to open は自他兼用動詞)  和製英語か。
opening hours  英語では見たこと、聞いたことはないが<開店時間>の意になるか。 和製英語か。
pulling force  引っ張り力
the rising sun  (to srise は自動詞)
a sinking boat  沈んで行く船 (to sink は自動詞)
a sleeping baby, dog
a sleeping beauty   <眠れる美女>か?
sleeping time  睡眠時間  過去(眠った時間)でも slept time とは言わないようだ。(to sleepは自動詞)
a sliding door  (左右に)スライドさせて開け閉めするドア (to slide は自動詞)
a swimming pool  (to swim は自動詞)
a walking dictionary (to walk は自動詞)
walking distance    歩く距離、歩いた距離
working hours  就業時間 (to work は自動詞)
a working place  仕事場

(追加予定)

以上は日常よく使われるもの、聞いたこと、見たことがあるものだが、これまたいくらでもありそう。

修飾語としての<xxx-ing>は現在形のようだが

The once exiting job is now boring.
That was an interesting story three months ago.

といえるのであくまで名詞の修飾で時制とは関係ないようだ。

形容詞型の修飾語<xxx-ing>については調べているうちに新発見をしたので、次のポストでさらに検討する予定。


sptt











No comments:

Post a Comment