最近書いた(書いている)一連の<逆接と譲歩のあいまいさ>シリーズはその少し前のポスト ”<in spite of>の spite について” から始まっている。<in spite of>の spite について” に最近次の部分を追加しておいた。
"
xx のくせに
上で<この英語の even は曲者(くせもの)で>と書いたが、曲者(くせもの)の<くせ>も曲者だ。
太郎は男のくせに勇気がない。
花子は女のくせにめったに涙をみせない。
これはやや翻訳調になるが
太郎は男にもかかわらず勇気がない。
花子は女にもかかわらずめったに涙をみせない。
と言い換えられる。<くせ>はいくつか違った意味があるが、中毒に似た意味がある。
<くせ>自体は中立のようで
良いくせをを身につける。
悪いくせは直す。
というが、実際には <悪いくせ>が主だ。中毒とは
xxするのは悪い、やめたほうがいいと、わかっているがやめられない。xxであるのは悪い、直したがいいと、わかっているが直せない。
この中毒、中毒症状は悪意(spite)がなせるわざと言えないことはない。悪意(spite)は意地がわるく、人がいいことをしようとするのをさまたげるのだ。
太郎は男のくせに勇気がない。
を言い換えると、
太郎は本来の男のように勇気があるのがいいとわかって入るが、勇気がない。
だが spite = くせ、ではない。ここは言葉のおもしろいところで、何かのヒントになりそうだ。
"
以上は一種のゴマカシで、<にもかかわらず>の意味がある spite の隠れた意味の説明にはなりうるが、<くせ>がなぜ<にもかかわらず>になるのかの説明になっていない。
<何かのヒント>の何かとは何かを考えてみた。 spite (悪意)= くせ、ではないが、まったく関係ないというわけではない。
(くせは中毒、中毒症状といえるが)この中毒、中毒症状は悪意(spite)がなせるわざと言えないことはない。悪意(spite)は意地がわるく、人がいいことをしようとするのをさまたげるのだ。
太郎は男のくせに勇気がない。
は
太郎は男だが勇気がない。
で譲歩とういよりは逆接。太郎は男だから勇気があるはずだ(予想されること)が、実際は勇気がない(予想されることは反対の事実)。
太郎は男なのに勇気がない。
これは譲歩気味になる。
雨が降るのにでかけた。
も譲歩気味になるので、<のに>が譲歩の助詞、複合助詞、助詞句といっていい。<のに>は簡単だけに分析が難しい。
悪意(spite)は意地がわるく、人がいいことをしようとするのをさまたげるのだ。
と書いたが、<くせ>も人がいいことをしようとするのをさまたげる。
と言える。
いいことをしようとするにもかかわらず、クセのため、そのいいことをしない、できない。
いいことをしようとするのに、クセのため、そのいいことをしない、できない。
上でも書いたが<くせ>自体は中立のようで
良いくせをを身につける。
したがって
悪いことをしようとするにもかかわらず、クセのため、その悪いことをしない、できない。
は成り立つ。ここは<クセ>の意味の一般化で肝心なところだ。 言い換えると、習慣化、傾向化だが、漢字を使うと言い替えでゴマカシのようになる。<クセ>は
xx しようとするのをさまたげる
xx になることをさまたげる
でいわば<反対(勢)力>。
太郎は男で勇気があるべきだが、(あるはずだが)、クセの<反対(勢)力>がはたらいて、勇気がない。
これで
太郎は男のくせに勇気がない。
の<くせ>の譲歩の意味の説明になる。
(証明終わり)
花子は女のくせにめったに涙をみせない。
は
花子は女だてらにずめったに涙をみせない。
という言い方がある。少し調べてみたが<だてらに>はよくわからない。
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<くせ>の例文をもう探してみる。
美代子はおとなのくせして泣いてばかりで赤ん坊みたいだ。
次郎は他人がやらないことの文句をいうばかりだ。そのくせ自分はできない、やらない。
この<そのくせ>は nevertheless のニュアンスがある。
佐藤はすこしくせのある男だ。 ひとくせもふたくせもある。
鈴木はくせも(曲者)のだ。 (もとは<くすしきもの>、<くしきもの)か?)
<くせ>の関連語
くさい、臭(くさ)み
くす、くず
くそ
くしゃみ <- くさめ(古語)、といわれるが本当か?
くしゃくしゃ(ぐしゃぐしゃ)、くちゃくちゃ、(ぐちゃぐちゃ)
sptt
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