前回の、前々回のポストで強調構文<なのだ(のだ)>を取り上げ、強調構文での構成要素としての<の>の可能性をチェックしたが、結論は出なかった。だがチェック中に大発見をした。
行くか?
と
行くのか?
の違いはなにか?<行くか?>はいわば単純疑問文。<行くのか?>は<の>があるので強調疑問文か?強調というほどのことはないが<行くか?>とは違う。どこが違うのか?<の>は<こと>の代わりに使われる。
離れるのはつらい。
勉強するのはつまらない。
遊ぶのは楽しい。
以上は動詞につく<の>で無意識のうちによく使う。
<の>は<もの>の代わりにも使われる。
もっと大きいのはないか?もっと安いのがいい。
以上は形容詞につく<の>でこれまた無意識のうちによく使う。
形容動詞は
掃除機 は静かなのがいい。
<なの>になる。
だが単純に
の = こと
の = もの
ではないだろう。
さて<行くか?>と<行くのか?>の違いにもどると、<の=こと>とすると
行くことか?
となって、日本語にならない。
行くのはいいが . . . . .
でれば
行くことはいいが . . . . .
で日本語にはなるが、 <行くのはいい>と同じではない。同じではないが違いは微妙だ。どこが違う?
行かないのか?
をチェックしてみる。
行かないか?
は単純否定疑問だが、実際には<誘い>だ。一方
行かないのか?
は<行かない>ことを尋ねているようだが、実際には<行かないこと>の<確認>の問いだ。場合によっては遺憾(残念)の表明。
これを参考にすると
<行くのか?>は<行くこと>の<確認>の問いになる。答えが見えてきたような気がする。キーワードは<確認>だ。<確認>は文字通りでは<確かめて、認める>。英語に to identify という動詞がある。日本語では<自己同一化>なんというのがあるが、なんだかよくわからない。 to identify = 確認 =確かめて、認める。 これでもよくわからないが、ID カード(Identification Card) の使われ方は、ID カードを見て<本人>であることを確認する(見て、確かめて、認める)ことだ。これを<行くのか?>に適用すると<行くこと>が本当かどうかを確かめる問いといえる。一方<行かないのか?>は<行かないこと>が本当かどうかを確かめる問いといえる。したがって
いくのか?
は
行くことか?
ではなくて
行くことは確かか?
行くことはその通りか?
となる。<その>は<行くこと>だ。長いが下線部が<の>なのだ。
この最後の<なの>は ”<長いが下線部が<の>” を意味し、<だ>が断定。
上でふれた
行くのはいいが . . . . .
と
行くことはいいが . . . . .
の微妙な違いは
<行くのはいいが>は<行くことは確認済み>
<行くことはいいが>は<行くことの確認は関係ない>
で、気づきにくいが大きな違いだ。 これが一音節の助詞<の>の正体なのだ。強調構文に使われる<の>-<のだ>、<なのだ>は断定の助動詞<だ>を抜きにして、<の>自体に<ほかでもない>といった強調されるコト、モノ(それ)の identification (同一化)が働いていると考える。
sptt
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