Sunday, September 5, 2021

行くか?行くのか?行かないのか?-<の>の正体

 前回の、前々回のポストで強調構文<なのだ(のだ)>を取り上げ、強調構文での構成要素としての<の>の可能性をチェックしたが、結論は出なかった。だがチェック中に大発見をした。

行くか?

行くのか?

の違いはなにか?<行くか?>はいわば単純疑問文。<行くのか?>は<の>があるので強調疑問文か?強調というほどのことはないが<行くか?>とは違う。どこが違うのか?<の>は<こと>の代わりに使われる。

離れるのはつらい。
勉強するのはつまらない。
遊ぶのは楽しい。

以上は動詞につく<の>で無意識のうちによく使う。

<の>は<もの>の代わりにも使われる。

もっと大きいのはないか?
もっと安いのがいい。

以上は形容詞につく<の>でこれまた無意識のうちによく使う。

形容動詞は

掃除機静かなのがいい。

<なの>になる。 

だが単純に

の = こと
の = もの 

ではないだろう。


さて<行くか?>と<行くのか?>の違いにもどると、<の=こと>とすると

行くことか?

となって、日本語にならない。

行くのはいいが . . . . .

でれば

行くことはいいが . . . . .

で日本語にはなるが、  <行くのはいい>と同じではない。同じではないが違いは微妙だ。どこが違う?

行かないのか? 

をチェックしてみる。

行かないか? 

は単純否定疑問だが、実際には<誘い>だ。一方

行かないのか? 

は<行かない>ことを尋ねているようだが、実際には<行かないこと>の<確認>の問いだ。場合によっては遺憾(残念)の表明。

これを参考にすると

<行くのか?>は<行くこと>の<確認>の問いになる。答えが見えてきたような気がする。キーワードは<確認>だ。<確認>は文字通りでは<確かめて、認める>。英語に to identify という動詞がある。日本語では<自己同一化>なんというのがあるが、なんだかよくわからない。 to identify = 確認 =確かめて、認める。 これでもよくわからないが、ID カード(Identification Card) の使われ方は、ID カードを見て<本人>であることを確認する(見て、確かめて、認める)ことだ。これを<行くのか?>に適用すると<行くこと>が本当かどうかを確かめる問いといえる。一方<行かないのか?>は<行かないこと>が本当かどうかを確かめる問いといえる。したがって

いくか?


行くことか?

ではなくて

行くことは確かか?

行くことはその通りか?

となる。<その>は<行くこと>だ。長いが下線部が<の>なのだ。

この最後の<なの>は ”<長いが下線部が<の>” を意味し、<だ>が断定。

上でふれた

行くのはいいが . . . . .


行くことはいいが . . . . .

の微妙な違いは

 <行くのはいいが>は<行くことは確認済み>

 <行くことはいいが>は<行くことの確認は関係ない>

で、気づきにくいが大きな違いだ。 これが一音節の助詞<の>の正体なのだ強調構文に使われる<の>-<のだ>、<なのだ>は断定の助動詞<だ>を抜きにして、<の>自体に<ほかでもない>といった強調されるコト、モノ(それ)の identification (同一化)が働いていると考える。

 

sptt 

 

 

 

No comments:

Post a Comment