<気は心>というが、ここでは、大和言葉化した<気>について書く。
前回で述べたように、<思う>+他の動詞でさまざまな<思い方>ができるが、日本人は思うことが好きなのか、さらに大和言葉の名詞代表とも言うべき<こころ>を使って心理描
写を多様化、深化させてきた。しかも、<こころ>だけでは足りなかったようで中国語起源の<気>まで大和言葉化(*)して心理描
写を多様化、深化をさらに進めてきた。
(*)<気>の大和言葉化
<気>の発音は<き>と<け>がある。
現代中国語(普通話)の<気>の発音は(qi、チまたはチィ)で昔のある地域では<き>に近い発音だったのだろう。広東語では(チ)とはほとんど関係なさそうな<hei>と発音するが、これも、もともとは<khei>ではなかったか。なぜなら、他の普通話の<qi>は、
広東語では汽、起は<hei>だが、企、旗、其、期、起,騎、奇などは<khei>と発音する。<kei>ではなく<khei>としたのは<khei>は
<gei>ではないが<ややソフトkei>に対して、<khei>は少しばかり<h>が入る<ハードな<kei>だ。<khei>が<け>に変わるのは難し
くない。経済の法則が働く。(四声は無視)。いつ、中国のどの地域(の人々)から輸入したのか調べるのはむずかしいが、とにか日本では<気>の発音は<き>と<け>の二つになり(漢音、呉音とかいうやつかもしれない) 、意味も微妙, というよりはかなり違う。
なお、<チ>は普通話では<qi>はややハードで、<ji>はややソフト, さらに<chi>が<zhi>があって日本人は相当練習しないと聞き取れないし、発音しわけ切れない。
<気(き、け)>は深く日本語化(大和言葉化)しているが、気は気韻、気功、気宇などの純中国語が多いことからしても、純大和言葉ではない。
<気(き)>を含む重箱読みの例
気合い、気負い、気後れ、気落ち、気掛かり、気兼ね、気位い、気配り、気心(こころ)、気さく、気障(ざわ)り、気立て、気違い、気遣(使)い、気詰まり、気取り、気まぐれ、気短か、気晴らし、気まずい、気難しい、気持ち、 気やすい、気弱(よわ)、気らく
<気(き)>を含む湯桶読みの例
いい気、勝気、強気、弱気、悪気(わるぎ)、 堅気(気質とも書かれる)
もちろん、<気(き)>は独立して(名詞)自由に使われる。
動詞 + 気 - する気、やる気、行く気、乗り気(どういうわけか<乗る気>ではない)
形容詞 + 気 - いい気、悪い気
名詞の気 - 気が合う、気がある、気がいい、気が狂う、気が気でない、気が立つ、気が付く、etc.
まあ、これだけあれば、 <気(き>が大和言葉と思っても不思議ではない。
意味は大まかに言えば大和言葉の<こころ> に近い。<気は心>なのだ。したがって、人がかかわっている。
一方、<気(け)>の方も <気(き)>に劣らず日常よく使われるが、どちらかといえば、湯桶読みが多いようだ。また<気(け)>の方は<こころ>というよりは、<なんだかよくわからないが何かある>の<何か>、或いは<なんだかよくわからないが何かあるような様子>を表している、気配だ(気配りではない)。したがって、必ずしも人がかかわっていなくともよい。また、<XXの気(け)がある>で<XXの傾向がある>の意味を表す。<XX気味(ぎみ)>ともいえるが、こちらは<け>ではなく<き(ぎみ)>だ。
<気(け)>を含む湯桶読みの例
味気、嫌(いや)気、色気、女っ気、男っ気、寒(さむ)気、 吐き気、火の気、人の気、眠(ねむ)気、
<気(け)>を含む重箱読みの例
気高い
形容詞 + <気(げ)>
あやしげ、いそがしげ、うるさげ、うれしげ、おぼろげ、おそろしげ、きむずかしげ、たのしげ、つまらなげ、すずしげ、むずかしげ、ものうげ、やさしげ、よわよわしげ、
sptt
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