形容詞の体言(名詞)化の様子を調べてみる。
1)形容の度合、程度(ほど)を示す<さ>
暑い-寒い --> 暑さ、寒さ
高い-低い --> 高さ、低さ
強い-弱い --> 強さ、弱さ
速い-遅い(のろい) --> 速さ、遅さ(のろさ)
早い-遅い --> ?
大きい-小さい --> 大きさ、小ささ
暖(あたた)かい - 涼しい --> 暖かさ、涼しさ
広い-狭い --> 広さ、狭さ
長い-短い --> 長さ、短さ
明るい-暗い --> 明るさ、暗さ
良い-悪い --> 良さ、悪さ
遠い-近い --> 遠さ、近さ
重い-軽い --> 重さ、軽さ
古い-新しい --> 古さ、新しさ
深い-浅い --> 深さ、浅さ
粗(あら)い-細(こま)かい --> 粗さ、細かさ
太い-細(ほそ)い --> 太さ 、細(ほそ)さ
厚い-薄い --> 厚さ 、薄さ
多い-少ない --> 多さ、少ささ
赤い - 赤さ
青い - 青さ
黒い - 黒さ
白い - 白さ
黄色い - 黄色さ(ダメではない)
と日本語では見事な対応(すべて<さ>でいい)がある。英語はどうか?
暑い (hot) - 寒い (cold) --> 暑さ (hotness ? heat)、寒さ (coldness)
高い (high) - 低い (low) --> 高さ (height, highness)、低さ (lowness)
強い (strong) - 弱い (weak) --> 強さ (strength、strongness ?)、弱さ (weakness)
速い (fast, rapid) - 遅い(のろい) (slow) --> 速さ( fastness, rapidness, rapidity)、遅さ(のろさ)(slowness)
早い (early) - 遅い (late) --> 早さ?(earliness ?) 、遅い (lateness ?)
大きい (big, large) - 小さい (small, little) --> 大きさ (size、largeness ?)、小ささ (smallness ?)
暖(あたた)かい (warm) - 涼しい (cool) --> 暖かさ (warmness)、涼しさ (coolness)
広い (wide, spacious) - 狭い (narrow, ?) --> 広さ (width、 space、wideness ?)、狭さ (narrowness ?)
長い (long) - 短い (short) --> 長さ (length, longness ? longevity)、短さ (shortness)
明るい (bright) - 暗い (dark) --> 明るさ (brightness)、暗さ (darkness)
良い (good) - 悪い (bad) --> 良さ (goodness)、悪さ (badness ?)
遠い (far) - 近い (near, close) --> 遠さ (distance、farness ?) 、近さ (nearness ?)
重い (heavy) - 軽い (light) --> 重さ ( weight、heaviness ? )、軽さ (lightness)
古い (old) - 新しい (new) --> 古さ (age、oldness)、新しさ (newness)
深い (deep) - 浅い (shallow) --> 深さ (depth、deepness)、浅さ(shallowness)
粗い (rough) - 細(こま)かい(fine) --> 粗さ (roughness)、細かさ (fineness)
太い (thick) - 細(ほそ)い (thin) --> 太さ (thickness) 、細さ(thinness)
厚い (thick) - 薄い (thin) --> 厚さ (thickness) 、薄さ (thinness)
多い (many) - 少ない (a few, few) --> 多さ (quantity, manyness ?)、少なさ (fewness ?)
コ ンピュータワープロのスペルチェックでは strongness、longness、farness、manyness は間違い。総じて、xx ness は英語版の形容詞の名詞化、日本語では<さ>ではなく<xx こと>(熱いこと、etc)に近く、抽象化が進んだ xxxth の height、strength、width、 length、depth が<xx さ>に近い。heat、size、space、weight、 age、quantity はさらに抽象化が進んでいるが、もとの形容詞とは系統が違う語だ。ここで抽象化とは<高い (high)-低い (low)>などの程度の差を越え、ある特定の形容全体をとらえた表現ということである。日本語の<さ>は見事な対応に加えて、heat、size、 space、weight、age、quantity ほどではないが抽象化がすすんでいるといえる。
英語だけでは片手落ちなので中国語を調べてみる。中国語(中国人)は特に詩に見られるが<対比>が好きだ。
大小 - サイズを意味する
多少 - 疑問(いくら、いくつ)以外にナンバーを意味する。<你的电话号码(是)多少?> これは慣れるのに時間がかかる。
多大? どれくらい大きい? (年齢もこれでたずねる)
あまり自信はないが
多長? どれくらい長い?
多重? どれくらい重い?
多遠? どれくらい遠い?
となるのではないか?
特別でないかぎり、多小?、多短?、多軽?、多近?とはいわない。これは英語に通じるものがある。
多長? どれくらい長い? - 短いものでも How long ?
多重? どれくらい重い? - 軽いものでも How heavy ?
多遠? どれくらい遠い? - 近いところでも How far ?
続けると
低くても How high ?
弱くても How strong ?
遅(のろ)くても How fast ?
小さくても How big ?
新しくても How old ?
浅くても How deep ?
少なくても How many ?
と言うのが普通。<対比のある形容詞>では両極端(Max - Min)の間にいろいろ程度(ほど)があることに注意したい。そしてMaxの方の言葉はある特定の形容全体をあらわすことが多いということだ。たとえば <大きい-小さい>のサイズ全体を名詞(体言)であらわす場合、言語上(英語、中国語、そして日本語も)Min の<小ささ>ではなくMax の<大きさ>、how big ? 多大?、が使われる傾向があるということだ。
<さ>の抽象化の度合、加減、程度(ほど)をはかる目安として、<xx さがある>を使ってみる
暑い-寒い --> 暑さがある、寒さがある (暑さがのこる、寒さがのこる、は聞く)
高い-低い --> 高さがある、低さがある(ダメ)
強い-弱い --> 強さがある、弱さがある
速い-遅い(のろい) --> 速さがある、遅さ(のろさ)がある(ダメ)
早い-遅い --> 早さがある(ダメ) この<早い-遅い>、は<まだ早い>、<もう遅い>、<早すぎる>、<遅すぎる>などのように、基本的にある基準との比較でよく使われる。
大きい-小さい --> 大きさがある、小ささがある(ダメ)
暖(あたた)かい-涼しい --> 暖かさがある、涼しさがある (比喩用法が主)
広い-狭い --> 広さがある、狭さがある(ダメ)
長い-短い --> 長さがある、短さがある(ダメ)
明るい-暗い --> 明るさがある、暗さがある
良い-悪い --> 良さがある、悪さがある(ダメ)
遠い-近い --> 遠さがある(ダメ)、近さがある(ダメ)
重い-軽い --> 重さがある、軽さがある(ダメ)
古い-新しい --> 古さがある、新しさがある
深い-浅い --> 深さがある、浅さがある(ダメ)
粗(あら)い-細(こま)かい --> 粗さがある、細かさがある
太い-細(ほそ)い --> 太さがある 、細(ほそ)さがある(ダメ)
厚い-薄い --> 厚さがある 、薄さがある(ダメ)
多い-少ない --> 多さがある(ダメ)、少ささがある(ダメ)
<ダメ>の判断は個人差があろう。以上のうち
暑さ、寒さ, 高さ、強さ、速さ、大きさ、広さ、長さ、深さ、太さ、厚さ、は単に度合、程度(ほど)をあらわすから進んででおり、抽象度がやや高い。この判断も個人差があろう。<ダメ>の判断については以下同じ(個人差がある)。
2)<xx み>
形容詞の抽象化では<さ>以外に<み>があるが、<さ>が<程度>の意味があるに対して<み>は程度の意味が薄く、抽象化がさらに進んでいるといえる。だだ し、<み>は<さ>のようにどの形容詞にもつくというわけではない。日本語の抽象化の程度(ほど)を考えた場合これは残念なことであるとともに、どうしてこうなるのかはいい検討課題だ。
暑い - 寒い --> 暑み(ダメ)、寒み(ダメ)
高い - 低い --> 高み(OK)、低み(OK、辞書にある)
強い - 弱い --> 強み(OK)、弱み(OK)
速い - 遅い(のろい) --> 速み(ダメ)、遅み(ダメ)、のろみ(ダメ)
大きい - 小さい --> 大きみ(ダメ)、小さみ(ダメ)
暖(あたた)かい - 涼しい --> 暖かみ(OK)、涼しみ(ダメ)
広い - 狭い --> 広み(ダメ)、狭み(ダメ)
長い - 短い --> 長み(ダメ)、短み(ダメ)
明るい - 暗い --> 明るみ(OK)、暗み(ダメ)
良い - 悪い --> 良み(ダメ)、悪み(ダメ)
遠い - 近い --> 遠み(よさそう)、近み(よさそう)
重い - 軽い --> 重み(OK)、軽み(特殊だがOK)
古い - 新しい --> 古み(特殊だが可能のようだ)、新しみ(OK)
深い - 浅い --> 深み(OK)、浅み(ダメ)
粗い - 細(こま)かい --> 粗み(ダメ) 、細かみ(ダメ)
太い - 細(ほそ)い --> 太み(ダメ) 、細み(ダメ、細身というのがあるが、これは別)
厚い - 薄い --> 厚み(OK) 、薄み (ダメ)
多い - 少ない --> 多み(ダメ)、少なみ(ダメ)
美しい - 醜(みにく)い --> 美しみ(ダメ)、 醜み(ダメ)
3)<がり>、<げ>、<まり>、<め>
<さ>、<み>以外にもまだある。<広がり>の<がり>、<広まり>、<高まり>の<まり>、<高ぶり>の<ぶり>、で、これらは形容詞からではなく動詞(広がる、広まる、高まる、高ぶる)由来だ。<広がり>、<広まり>、<高まり>、<高ぶり>は、響きも含めて、いい大和言葉だと思う。さらには<がる>、<がり>の派生とみられるの<げ>がある。
広い --> 広がる、広げる --> 広がり、広げ
広い --> 広まる、広める --> 広まり、広め
狭(せま)い --> 狭(せば)まる、狭(せば)める --> 狭まり(<広がり>ほどではないが可能だ)、狭め(<広め>ほどではないが可能だ)。
他の形容詞をあたってみる。
暑い --> 暑がる --> 暑がり、暑げ
暑い --> 暑まる(ダメ)、暑める(ダメ) --> 暑め(ダメ)、<熱め>はいい
寒い --> 寒がる --> 寒がり、寒げ
寒い --> 寒まる(ダメ)、寒める(ダメ) --> 寒め (可能)、<冷ため>はいい
高い --> 高がる、高ぶる --> 高がり(ダメ)、高げ(可能)、高ぶり
高い --> 高まる、高める --> 高まり、高め
低い --> 低がる、低ぶる --> 低がり(ダメ)、低げ(可能)、低ぶり(ダメ)
低い --> 低まる、低める --> 低まり (ほぼダメ)、低め
強い --> 強がる --> 強がり、強げ
強い --> 強まる、強める --> 強まり (可能)、強め
弱い --> 弱がる --> 弱がり、弱げ
弱い --> 弱まる、弱める --> 弱まり、弱め
速い --> 速がる --> 速がり (可能)、速げ 可能)
速い --> 速まる、速める --> 速まり、速め
おそい --> おそがる --> おそがり(可能)、おそげ
おそい --> おそまる、おそめる --> おそまり (ほぼダメ)、おそめ
のろい --> のろがる(ダメ) --> のろがり (ダメ)、のろげ
のろい --> のろまる、のろめる --> のろまり (ほぼダメ)、のろめ
大きい --> 大きがる --> 大きがり (可能)、大きげ(可能)
大きい --> 大きまる、大きめる --> 大きまり(ダメ)、大きめ
小さい --> 小さがる --> 小さがり (可能)、小さげ(可能)
小さい --> 小さまる、小さめる --> 小さまり(ほぼダメ)、小さめ
長い --> 長がる --> 長がり (ダメ)、長げ(可能)
長い --> 長まる、長める --> 長まり(可能)、長め
短い --> 短がる --> 短がり (ダメ)、 短げ(可能)
短い --> 短まる、短める --> 短まり(可能)、短め
明るい --> 明るがる (ダメ) --> 明るがり (ダメ)、明るげ
明るい --> 明るまる、明るめる --> 明るまり ほぼダメ) 、明るめ
暗い --> 暗がる (ダメ) --> 暗がり、暗げ
暗い --> 暗まる、暗める --> 暗まり(ダメ) 、暗め
よい --> よがる --> よがり (ダメ)、よげ (心地よげ)
よい --> よまる、よめる --> よまり(ダメ)、よめ(ほぼダメ)
悪い --> 悪がる、悪ぶる --> 悪がり、悪げ、悪ぶり
悪い --> 悪まる、悪める --> 悪まり(ダメ)、悪め
遠い --> 遠がる --> 遠がり (ダメ)、遠げ (ダメ)
遠い --> 遠まる、遠める --> 遠まり(ほぼダメ)、遠め
近い --> 近がる --> 近がり (ダメ)、 近げ
近い --> 近まる、近める --> 近まり、近め
重い --> 重がる --> 重がり (ダメ)、重げ
重い --> 重まる、重める --> 重まり(ほぼダメ)、重め
軽い --> 軽がる --> 軽がり (ダメ)、軽げ
軽い --> 軽まる、軽める --> 軽まり(ダメ)、軽め
古い --> 古がる --> 古がり (ほぼダメ)、古げ
古い --> 古まる、古める --> 古まり(ほぼダメ)、古め
新しい --> 新しがる --> 新しがり、新しげ
新しい --> 新(あらた)まる、 新(あらた)める --> 新(あらた)まり、新(あらた)め、新しめ
粗(あら)い --> 粗がる、粗ぶる --> 粗がり (ダメ)、粗げ、粗ぶり
粗い --> 粗まる、粗める --> 粗まり(ダメ)、粗め
細(こま)かい --> 細かがる --> 細かがり (ダメ)、 細げ
細い --> 細かまる、細かめる --> 細かまり(ダメ)、細かめ
太い --> 太がる --> 太がり (ダメ)、 太げ
太い --> 太まる、太める --> 太まり(可能)、太め
細(ほそ)い --> 細がる --> 細がり (ダメ)、細げ
細い --> 細まる、細める --> 細まり、細め
厚い --> 厚がる --> 厚がり (ダメ)、厚げ
厚い --> 厚まる、厚める --> 厚まり(ダメ)、厚め
薄い --> 薄がる --> 薄がり (ダメ)、薄げ
薄い --> 薄まる、薄める --> 薄まり、薄め
多い --> 多がる --> 多がり (ダメ)、多げ
多い --> 多まる、多める --> 多まり(ダメ)、多め
少ない --> 少ながる --> 少ながり (ダメ)、少なげ
少ない --> 少なまる、少なめる --> 少なまり(ダメ)、少なめ
美しい --> 美しがる --> 美しがり、美しげ
美しい --> 美しまる、 美しめる --> 美しまり(ダメ)、美しめ
醜(みにく)い --> 醜がる --> 醜がり、 醜げ
醜(みにく)い --> 醜まる、 醜める --> 醜まり(ダメ)、醜め
<め>は<xx める>由来かどうかわからないが、<さ>と同じく見事な対応で、ほとんどすべて<め>がつく)がある。意味は<どちらかと言うと xx(形容詞)>と言う意味の体言(名詞)だ。一方<がり>の方は少数派で、以上の例では<広がり>以外では
寒がり
暑がり
強がり
暗がり
悪がり
新しがり
美しがり
醜がり
だけだ。 <暗がり >はやや<広がり>のような抽象化があるが(<暗がる>と<暗がり>は意味的に結びつかないないので、<暗がり>は<暗い>の語幹<くら>+(<がる>とは関係のない)<がり>かもしれない。寒がり、暑がり、強がり、悪がり、新しがりは抽象化とは関係のない特殊な意味になっている。<広がり>はいい言葉(大和言葉)だが、仲間が少ないことになる。しかし<えげ>は<がり>にくらべて一般化が進んでおり、大体の形容詞につく。<xx げな>、<xx げだ>のように使われるが、<xx げがいい>、<xx げが好きだ、きらいだ>のようにつかえるので、体言(名詞)化と見てもいいだろう。
<ぶり>も多くはない。<高ぶり>はかなり抽象化されているが、これ以外では
悪ぶる - 悪ぶり(ダメ)、、 <悪がる>も使う。
偉(えら)ぶる - 偉ぶり(ダメ)、 <偉がる>も使う。
忙しぶる - 忙しぶり(ダメ)、 <忙しがる>の方がよく使うようだ。
があるが体言(名詞)の<悪ぶり>、<偉(えら)ぶり>は間違いではないがほとんど聞かない。これらは形容詞の語幹につく、悪(わる)、偉(えら)、忙(いそが)し。
体言(名詞)につく例
かまととぶる - かまととぶり
男ぶる(?) - 男ぶり
りこうぶる - りこうぶり
金持ちぶる - 金持ちぶり
4)xxx 過ぎる --> xxx 過ぎ
<xxx 過ぎる>は英語の <too xxx>の訳としてよく使われる。
動詞の場合は
行き過ぎる
話しすぎる,しゃべり過ぎる
のように連用形につくが、形容詞の場合は語幹につく。
暑い-寒い --> 暑過ぎる、寒過ぎる
高い-低い --> 高過ぎる、低過ぎる
強い-弱い --> 強過ぎる、弱過ぎる
速い-遅い(のろい) --> 速過ぎる、遅過ぎる(のろ過ぎる)
早い-遅い --> 早過ぎる、遅すぎる
大きい-小さい --> 大過ぎる、小さ過ぎる
暖(あたた)かい - 涼しい --> 暖過ぎる、涼し過ぎる
広い-狭い --> 広過ぎる、狭過ぎる
長い-短い --> 長過ぎる、短過ぎる
明るい-暗い --> 明る過ぎる、暗過ぎる
良い-悪い --> 良過ぎる、悪過ぎる
遠い-近い --> 遠過ぎる、近過ぎる
重い-軽い --> 重過ぎる、軽過ぎる
古い-新しい --> 古過ぎる、新し過ぎる
深い-浅い --> 深過ぎる、浅過ぎる
粗(あら)い-細(こま)かい --> 粗過ぎる、細か過ぎる
太い-細(ほそ)い --> 太過ぎる 、細(ほそ)過ぎる
厚い-薄い --> 厚過ぎる、薄過ぎる
多い-少ない --> 多過ぎる、少さ過ぎる
美しい - 醜(みにく)い --> 美し過ぎる、醜過ぎる
上記の例を見るかぎり例外はない。<近過ぎる>は<近く過ぎる>でもよさそう。
<xxx 過ぎ>は<暑過ぎ、寒過ぎは体(からだ)によくない>のように使え、体言(名詞)と言えそうだが、これは<xxx 過ぎる>の連用形<xxx 過ぎ>の体言(名詞)化で、規則的だ。下記参照。
5)連用形
動詞には連用形の体言(名詞)化と言う文法法則がある。
行く - 行き
帰る - 帰り
行きはよいよい帰りはこわい。
<行き>は<行くこと>、<帰り>は<帰ること>ではない。<行くこと>、<帰ること>も抽象化と言えるが、<行き>、<帰り>は別の意味を持った抽象化だ。
この法則は形容詞にもあてはまるか?
暑い-寒い --> 暑く、寒く
高い-低い --> 高く、低く
強い-弱い --> 強く、弱く
速い-遅い(のろい) --> 速く、遅く
早い-遅い --> 早く、遅く
大きい-小さい --> 大きく、小さく
暖(あたた)かい-涼しい --> 暖く、涼しく
広い-狭い --> 広く、狭く
長い-短い --> 長く、短く
明るい-暗い --> 明るく、暗く
良い-悪い --> 良く、悪く
遠い-近い --> 遠く、近く
重い-軽い --> 重く、軽く
古い-新しい --> 古く、新しく
深い-浅い --> 深く、浅く
粗(あら)い-細(こま)かい --> 粗く、細かく
太い-細(ほそ)い --> 太く 、細く
厚い-薄い --> 厚く 、薄く
多い-少ない --> 多く、少なく
<古く>は xx、<新しく>は yy
朝早くはいい。夜遅くはだめ。
xx の<多く>は
は体言(名詞)のようだが、<は(係り助詞)>を<が(格助詞)>に換えてみる。
<古く>が xx、<新しく>が yy、はダメ。
<朝早くがいい>はOK。<夜遅くがだめだ>は別の意味になる。
xx の<多く>が、はOK。
体言(名詞)化は不十分。少なくとも文法上規則になっていない。連用形の副詞化は規則性がありそう。
文語の形容詞の活用は
種 類 | 例 語 | 語 幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | |||
ク 活用 | 高し | 高 | -から | -く | -し | -き | -けれ | -かれ | |||
-かり | -かる | ||||||||||
シク活用 | 悲し | 悲 | * | -しく | -し | -しき | -しけれ | -しかれ | |||
-しから | -しかり | -しかる | |||||||||
暑い-寒い --> 暑き、寒き
高い-低い --> 高き、低き
強い-弱い --> 強き、弱き
速い-遅い(のろい) --> 速き、遅き
早い-遅い --> 早き、遅き
大きい-小さい --> 大きき(?)、大きかる、小さき
暖(あたた)かい-涼しい --> 暖き、涼しき
広い-狭い --> 広き、狭き
長い-短い --> 長き、短き
明るい-暗い --> 明るき、暗き
良い-悪い --> 良き、悪き(あしき)
遠い-近い --> 遠き、近き
重い-軽い --> 重き、軽き
古い-新しい --> 古き、新しき
深い-浅い --> 深き、浅き
粗(あら)い-細(こま)かい --> 粗き、細かき
太い-細(ほそ)い --> 太き 、細き
厚い-薄い --> 厚き 、薄き
多い-少ない --> 多き、少なき
文語 口語
夏の暑きは - 夏の暑いのは、 夏の暑いことは
山の高きは - 山の高いのは、山の高いことは
etc
口語の方は、<の>が<こと>の意の体言なので<xx い>は連体形。
継続調査予定。
sptt
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