Wednesday, May 12, 2021

逆接と譲歩のあいまいさ-6、イタリア語 ancora、また、まだ


逆接と譲歩のあいまいさ>の第六弾。イタリア語の ancora は<それでも>、<それでもなお>と言った意味の逆接と譲歩の副詞として使われるが、アンコールの意の<再び><また>がもともとの意だろう。その同じ ancora が<それでも>、<それでもなお>の意になるのはどうしたわけか? ancora の姉妹語とも言える anche についてはこの<逆接と譲歩のあいまいさ>シリーズで以前にとりあげた。ancora を同じく Reverso Italian - English で調べてみると

 ancora

 
1       avv  
a      (tuttora)    still  
è ancora innamorato di lei      he's still in love with her  
ancora oggi      still today  
stava ancora dormendo      he was still asleep  
b      (di nuovo)    again  
ancora tu!      (not) you again!  
sei andato ancora a Parigi da allora?      have you been back to Paris since then?  
c    non ancora      not yet  
è pronto? - no, non ancora      is it ready? - no, not yet  
il direttore non è ancora qui      the manager isn't here yet  
d      (più)    (some) more  
ancora un po'      a little more  
vuoi ancora zucchero?      would you like some more sugar?  
mi dai ancora un po' di gelato?      could I have a bit more ice-cream?  
vorrei ancora latte      I'd like more milk  
ne vorrei ancora      I'd like some more  
prendi ancora un biscotto      have another biscuit  
ci sono ancora caramelle?      are there any sweets left?  
cosa vuoi ancora?      what else do you want?  
ancora per una settimana      for another week, for one week more  
ancora una volta      once more, once again  
ancora un po' e finivamo in acqua      we almost ended up in the water  
2       cong     (nei comparativi)    even, still  
ancora di più/meno      even more/less  
ancora meglio/peggio      even o still better/worse  
ancora altrettanto      as much again  
oggi fa ancora più freddo      it's even colder today 

のように、アンコールの意の<再び><また>だけでなく、譲歩表現を含めて活躍する。おもしろいのは still と again、日本語でいえば<まだ>と<また>に相当する意味があることだ。さらには、ややこしくなるが ancora には some (more)、even <さらに>の意味まである。some (more) <さらに>は、even more、still more のような比較に輪をかけた言い方で使い、言い換えると<さらにもっと><もっともっと>だ。<もっと>はとりあえず別として、ancora としては<まだ>と<また>の両義があり、日本語で言えば<まだ>と<また>は関連語ということになる。このことは意味深長で、<まだ>はいうまでもなく<また>の<た>が濁音になったに過ぎない。

<まだ>はおそらく<また>の派生だろう。

<また>は基本的に同じこと、同じようなことが繰り返す繰り返される)ことをあらわす副詞で、無意識のうちにきわめてよく使っている。

では近いうちにまた会いましょう。
またお前か。
また間違えた。 また失敗した。また成功した。

またも、またもや、またしても、またぞろ、またまた、 というのもある。

ここで<またまた>をチェクしてみる。

またまた失敗した。
またまたまた失敗した。
またまたまたまた失敗した。 

言葉遊びのようになるが、これを続けて行くと

またまたまたまた. . . . . 失敗した。

また失敗を続けている。 

で失敗が繰り返され、 失敗するのが常態(あたりまえ、普通)になる。このような状態は

まだ失敗を続けている。 

になる。これが ancora のコンセプトだろう。

<まだ>は、基本的には同じ状態を続けていることを示す副詞だ。

一方<また>は上で述べたように

基本的に同じこと、同じようなことを繰り返す(が繰り返される)ことをあらわす副詞だ。


sptt



 

 



 

 

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