Saturday, May 1, 2021

逆説と譲歩のあいまいさ -2 イタリア語 comunque


逆説と譲歩のあいまいさ>というタイトルはイタリア語の comunque という語に遭遇して調べているうちに思いついた。comunque は基本的には接続詞と思うが、副詞でもある。Reveso Italian- English Dictionary の説明は次のようになっている。

comunque 
 
1       avv     (in ogni modo)    anyhow, anyway, in any case  
devi farlo comunque      you'll have to do it anyway  
accetterà comunque      he'll accept in any case  
i miei non vogliono, ma ci vado comunque      my parents don't want me to, but I'm going anyway  
e comunque al biglietto ci penso io      and as for the ticket I'll see to that  
2       cong  
a      (in qualunque modo)    however, no matter how  
comunque vada      whatever happens  
comunque vada, sono contento che sia finita      however it turns out, I'm glad it's over  
comunque sia      however that may be  
b      (tuttavia)    however, nevertheless  
comunque potevi avvertirmi      however o nevertheless you could have let me know, you could have let me know though 


前置きが長くなるが、譲歩関連のポスト ”<in spite of>の spite について” で次のように書いた。



<xx 関係なく>相当の英語熟語 に

regardless of

がある。 <regardless of xx> と<in spite of xx>ではやはり意味が少しちがう。<regardless of xx>の方はかなり客観的な<xx とは関係なく> 。

天気(天候)に関係なく運動会は行われる。

とはいう。

悪天候に関係なく運動会は行われる。

ともいうが

悪天候にかかわらず運動会は行われる。

というのが普通だ。これは悪天候が運動会を行うことをさまたげる(反対する、反抗する)という状況がある。ここが重要なのだが、詳しくは後述。

悪天候にかかわらず運動会は行われる。

というのが、英語訳の常套句<にもかかわらず>影響からか、もっと普通だ。 微妙なところだが、これは in spite of の訳語としての方がふさわしいようだ。<も>の論議はここではしないが、<も>はいくつかの意味がある大助詞で(副助詞か。関係だけを示す格助詞とは違う)、ややこしいいわゆる文法用語の<譲歩>がからんでくる。これまたここが重要なのだが、詳しくは後述。

これは羊頭狗肉で<詳しくは後述>と書いているが、少し書いただけで詳しくは書いていない。したがってこれはゴマカシになるが<譲歩>の<も>については、なにかありそうなのは感じていたが具体的に詳しくはわかっていなかったなのだ。そうこうしているうちにこの comunque に出会ったというわけなのだ。

さて Reveso Italian- English Dictionary の comunque にもどって

comunque

 
1       avv     (in ogni modo)    anyhow, anyway, in any case 

2       cong  
a      (in qualunque modo)    however, no matter how 
b      (tuttavia)    however, nevertheless   

<avv>は adverb (副詞)の意。any 、anyway につては以前におもしろがって、以前に

<any は英語の大発明 - 日本語、イタリア語、中国語の any は?>
<any は英語の大発明-2 (any と some)>
<英語の anyway について>

というタイトルのポストを連続して書いている。anyway につては<英語の anyway について> で次のように書いている。


このポストは最近の any 関連のポストの一つ。英語では anyany の付く語が活躍するが、anyway を正しく多用できるようになればかなり上級の英語の使い手だ。ただし何事も使いすぎは弊害をもたらすので注意。日本語の<とにかく、ともかく、ともあれ>関連で少し調べてみた。

Merriam-webster Internet Dictionary

  1. 1 : anywise
  2. 2 :  in any case : anyhow
 これは<言い換え>で解説になっていない。

Examples of anyway in a Sentence
  1. The road got worse, but they kept going anyway.  (道はどんどん悪くなっていったが、とにかく行き続けた。)
  2. I didn't expect her to say “yes,” but I asked her anyway. (彼女が ”イエス” というのは期待していなかったが、とにかく頼んで(聞いて)みた。
  3. It makes no difference what we say. She's going to do what she wants anyway. (われわれが何と言おうと関係ない。彼女はとにかく自分がしたいことをするのだ。
  4. He's far from perfect, but she loves him anyway. (彼は完璧な男からはかけ離れてているが、とにかく彼女は彼が好きなのだ。)
以上は別のポスト<sptt やまとことばじてん ”<とにかく>、<ともかく>、<ともあれ>の語源” からのコピー。<ともかく>でもほぼ同じ。個人的には3番目は<とにかく>、4番目は<ともかく>がよさそう。<とにもかくにも>とうのがあるが、<とにかく>と<ともかく>はほぼ同じニュアンスだ。 <ともあれ>は上記4例文いずれの場合もいまいち。<ともあれ>は弱いというか<ひかえめ>だが、使う場面はある。

それはなにより。ともあれよかった。

日本語では他に

いずれせよ - whatever it is (they are), no matter what it is (they are)
つまるところ(結局のところ) - to conclude

<いずれせよ >はは譲歩構文。あとで出てくるが in spite of (にもかかわらず)譲歩構文をつくる。anyway は譲歩構文の結論部でつかわれるのだ。

つまるところ(結局のところ) - to conclude

<つまるところ(結局のところ)>次のように説明できる。これは文法用語の<譲歩>とは<とりあえず肯定するが、(疑問を残す、反対のことをいう、示唆する)>で、このような方法を使って(正しいと思う、正しいと思わせる)結論を述べる修辞法なのだ。

Cambridge Internet Dictionary

こちらはかなり詳しい。anyway のような慣用語の説明は難しい。
 
anyway

whatever else is happening (ほかになにが起ころうとも), without considering other things (ほかのことは考慮に入れずに):
whatever else is happening (ほかになにが起ころうとも) - これは譲歩構文の前半。anyway は後半の結論部で使われる。
without considering other things (ほかのことは考慮に入れずに)>でも間違いではないが、比較が入り込んで、rather than (considering) other things (ほかのことより優先させての方がいい場合がある。むしろ - rather than the other thing(s)。

Of course I don't mind taking you home - I'm going that way anyway.
もちろんあなたを家まで送っていくのはかまわない。とにかく私もそちらの方にいくんだから。

"I thought you said everyone had left." "Well, some of them have anyway."
私はあなたがみなもう帰ってしまった” と言ったと思っていた。まあ、とにかく幾(いく)人かは帰ってしまっている

Her parents were opposed to her giving up her course, but she did it anyway.
彼女の両親は彼女がこの学業コースをやめるのに反対していたが、とにかく彼女はやめてしまった。

In conversation, anyway is also used to change the subject, return  to an earlier subject, or get to the most interesting point (会話では、anyway は話題を変え、元の話題にもどる、あるいは一番関心のある点に戻るのに使われる):

話題を変え、元の話題にもどる - 日本語では<ところで>がある。 

Anyway, as I said, I'll be away next week.
とにかく、すでに言ったように、わたしは来週去ります。
Anyway, in the end I didn't wear your jacket.
とにかく、最終的に私はあなたの上着は着なかった。
What was he doing with so much of the company's money in his personal account anyway?
彼は自分の個人勘定でそんなにたくさんの会社の金をどうしているんだ? 一体全体

上記例は<ところで>で置き換えられる。
一体全体>はそもそもどういう意味か? what on earth という慣用句がある。

used to give a more important reason for something that you are saying(話していることでもっと重要な理由を述べるのに使われる:

I don't have time to go, and anyway it's too expensive.
私は行く時間がありません。それよりとにかく費用が高すぎます
(これは<rather (むしろ)>で置き換えららる。)


More examples
  • The meal isn't nearly ready, but I expect that they'll be late anyway.
  • 食事はすぐに準備できるわけではないが、私は彼らは遅れてくるだろうと思いますよ結局のところ。
  • Liberman realized Kurt was unsuited to office life, but offered him a contract anyway.
  • liberman Kurt が事務所仕事には向いていなとわかったが、それでもかく(とりあえず*彼にと契約申し出ておいた
  • The head teacher refused to let us try it, and it was pretty draft idea anyway.
  • 教頭は我々がそれを進めるのに反対したが、それはとにかくまだ初期段階のアイデアだった (これは<rather (むしろ)>で置き換えららる。)
  • I have no chance of winning the competition,  but I'm going to enter anyway.
  •  この競技に勝つ見込みはないが、とかく参加申し込みするこにする。
  • Even if it is pouring with rain, the even will take place anyway. 
  • 雨が降ろうとも、とにかくこのイベントは実施される。

(*) <とにかく>と<とりあえず>は少し意味が違うが anyway は意味、用途が広い。


Grammar
Anyway is an adverb. … Anyway は副詞)

Anyway meaning ‘in spite of …’We use anyway to contrast reasons or situations that have already been mentioned. It is usually used in end position: … (Anyway 'in spite of ' の意(にもかかわらず)。すでに述べた理由または状況と対照的な何かを述べるときに使う。)

‘in spite of …’
(にもかかわらず)は譲歩構文の代表だ。繰り返しになるが、anyway は後半の結論部で使われる。

対照的な何かを述べるとき>に使うのは一般に逆接の接続詞、but, however (しかし、だが)。したがって、上記例文は but が使われているのがある  and が使われているある。上で述べたように anyway 譲歩がらみの修辞法がからんでおり、単なる逆接ではない。

Anyway as a discourse marker … Anyway は話を進める働きがある)

Anyway meaning ‘at least’ We can use anyway in a similar way to ‘at least’ to limit a statement. …
Adverbs as discourse markers (anyway, finally) Discourse markers organise longer pieces of conversation or text. They can mark the openings or closings of conversations, changes in topics, and other functions connected with organising a conversation or text. Most discourse markers belong to the class of adverbs. … Anyway 'at least ' の意。'at least ' (少なくとも)と同じような意味で話を制限するときに使う。副詞として anyway (とにかく、ともかく、いづれにしろ)、finally (結局のところ)は話を進める働きがある話を進める働きとは会話や文章を長くする働き。話を始めたり、終わらせたり、話題を変えたり、会話や文章に関連したその他の働きがある。話を進める働きがあるのは主に副詞

<at least (少なくとも)>は<他の状況がなかったとしても>-->whatever else is happening (ほかになにが起ころうとも), without considering other things (ほかのことは考慮に入れずに)と同じような条件で、後半の結論部で使われる。

(中断後)話を始めたり、話題をかえる - ところで (<ところが>と違い逆接ではない) 
 話を終わらせたり - つまるところ (これは上で説明した)

 ”


長くなったが、以上は<英語の anyway について>の全文コピー。書き直したいところもあるが、これでいいだろう。 この引用の初めにあるが

<とにかく、ともかく、ともあれ>が anyway、副詞の comunque に相当する。さらには文中にあ

いずれにしろ -> いずれにしても

さらには

少なくとも
ほかになにが起ころうとも  -> xxxx とも
と<とも>がよく出てくる。<とにかく><とにもかくにも>という言い方たもある。つまるところ<も>が大活躍する。<も>は多義語の副助詞。説明の一番目にでてくる

1)並列、追加

AもBもCも
花子は行く。太郎も行く。  

英語でいえば、and, too, also。英語の and は名詞についても接続詞扱いか。追加でも毛色の変わったのに besides がある。 and はばかりでは単調になるのでbesides おすすめだ。

A besides B

だと<B に加えて A(も)>、  <B の他(ほか)に A(も)>となる。  これは前置詞か。 副詞としても使われる。 

This is very big.  Besides very heavy. <しかも>でまたぞろ<も>だ
 
2)譲歩句、節、文をつくる。

努力するも、試合に負けた。

努力したが、試合に負けた。 - これは譲歩性が薄いが、まったくないともいえない。この辺はあいまいなのだ。

だが<も>が活躍するのは上にあげたように譲歩熟語だ。

<とにかく、ともかく、ともあれ>

いずれにしろ -> いずれにしても

なにが起ころうとも
なにをしても
だれがしても
どこにいても、どこに行っても
どんなにして、いくらしても
どのうようにやっても 

<とにかく>は<も>がないが<とにかくも>とは言え、まちがいではない。

 2)は comunque の二番目の接続詞(cong)に相当する。

2       cong  

a      (in qualunque modo)    however, no matter how 
b      (tuttavia)    however, nevertheless    
 
ここで注目したいのは comunque には普通の逆接(however)と譲歩がらみの接続詞(no matter how, nevertheless)の両方の意味があり、区別がないのだ。どうということいようだが、これが今回の発見の一つで、このポストのタイトル<逆説と譲歩のあいまいさ -2>となっている。

in qualque mode = いかなるやりかた、方法でも 

tuttavia は文字通りでは<すべて、あらゆる道で>、<すべての、あらゆる道を通ってだが、さらに<いかなる道でも>いかなるを通っても>となりそうだが、Revso では

tuttavia
      cong   nevertheless, yet  
il compito era difficile, tuttavia ce l'ho fatta      the test was difficult, but I managed to do it

'tuttavia' found in translations in English-Italian dictionary

nevertheless      adv.     nonostante ciò ; tuttavia ; eppure ; comunque
however           
adv.     tuttavia ; comunque ; nonostante ciò ; sebbene
yet                   cinj.     ma ; però ; eppure ; tuttavia
 


となっている。なぜか例文の英語訳の方にはnevertheless も yet もなく、but ですましている。おそらく to manage という動詞を使っているからだろう。逆説と譲歩の違いはあいまいなのだ。  

but I managed to do it  -> Nevertheless I did it. to manage の意味合い(それでもなんとか)がでる。

話は<も>にもどって

それで 順接
それでも 逆接、譲歩  

で簡単、単純だが<も>働きをよく示している。さてもう一つの発見はこの<も>がらみでこれまたイタリア語になるだが、anche だ。

anche

      cong  
a      (pure)    also, too  
e va anche a Roma      and he's going to Rome too, and he's also going to Rome  
parla inglese e anche italiano      he speaks English and Italian too o as well  
vengo anch'io!      I'm coming too!  
sono stanchissimo! - anch'io!      I'm really tired! - me too!  
gli ho parlato ieri -- anch'io      I spoke to him yesterday -- so did I  
anche oggi non potrò venire      I won't be able to come today either  
potrebbe anche cambiare idea, ma...      he may change his mind, but ...  
avresti anche potuto avvertirmi      you could have let me know  
b      (perfino)    even  
lo saprebbe fare anche un bambino      even a child could do it  
anche se        (ipotesi)    even if,   (nonostante)    although  
anche se dovesse piovere      even if it rained  
me lo ricordo anche se avevo solo sei anni      I remember it, although I was only six  
anche volendo, non finiremmo in tempo      however much we wanted to, we wouldn't finish in time   
 
 
下の方に anche se = also if の例文がいくつかある。また anche だけで however much の意味がある。 文字通りでは anche se = also if  だが even if (仮にxxでも)、although (xxでも)の意になる。
 
イタリア語: anche = もまた(also, too 
 
日本語: でも、それでも逆接、譲歩 の<でも>、さらには単純に<も>

の関係はどうなっているのか? 
 
(続く)

sptt

 

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