捉 (とら) える / 捉えられる / 捉われる / (捉わる)
はどこがどう違う。
<捉える> の古語は
学研全訳古典辞典
とら・ふ 【捕らふ・捉らふ】
他動詞ハ行下二段活用
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
①
捕らえる。取り押さえる。
出典徒然草 一七五
「逃げんとするを、とらへてひきとどめて」
[訳] 逃げようとするのを取り押さえてひきとめて。
②
握る。手でしっかりとつかむ。
出典竹取物語 御門の求婚
「袖(そで)をとらへ給(たま)へば」
[訳] 袖をお握りになったので。
③
問題にする。
出典紫式部日記 消息文
「わが心の立てつる筋(すぢ)をとらへて」
[訳] 自分の心に決めた得意の方面を問題にして。
<捉えられる>は<<捉える>の受身。
<つかまえられる>が<つかまえる>の受身相当と同じだ。
一方<捉われる>は古語ではなく文語であり
捉(とら) わる
デジタル大辞泉
とらわ・る〔とらはる〕【▽囚はる】
つまりは口語<とらわれる>の文語形ということ。 さらに言い換えると
文語<とらはる (とらわる)> = 口語<とらわれる>
そして
文語<とらはる (とらわる)> Not = 口語<とらえられる>
のようだ。
口語<とらわれる>はどういう意味か?
デジタル大辞泉
とらわ・れる〔とらはれる〕【▽囚われる/捕(ら)われる/▽捉われる】
2の例文
先入観にとらわれる
目先のことにとらわれる
という言い方よく聞き、よく使う。
< とらわれる>は口語
ややこしいが、ここでは 文語<とらはる (とらわる)>に注目したい。
ひと昔前の改まった文語では
太郎は先入観にとらわれる ー> 太郎先入観にとらわる (<は>はいらない)
次郎は目先のことにとらわれる ー> 次郎目先のことにとらわる
でよかったのだ。<とらわる>は<とらわれる>よりすこし簡潔で、すぐにはわからないが<とらわれる>が受身が感じられるのに比べて受身は控えめになるようだ。
太郎先入観にとらわる、とらわりてあり
次郎目先のことにとらわる、とらわりてあり
花子三郎との結婚のことにとらわる、とらわりてあり
これは純受身の<とらえられる>
太郎は先入観にとらえられる、とらえられている
次郎は目先のことにとらえられる、とらえられている
花子は三郎との結婚のこととらえられる、とらえられている
と比べるとさらに大きな違いだ。<とらえられる、とらえられている>は翻訳調だ。
最近のポストでは
手すりをつかむ
手すりにつかまる
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試験に受かる
を検討したことがある。
先入観を捉える
先入観に捉わる
は
試験を受ける
試験に受かる (これは難題)
に似ていないこともない。
sptt